特許第5666106号(P5666106)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666106
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】配向膜形成方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
   G02F1/1337
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2009-173124(P2009-173124)
(22)【出願日】2009年7月24日
(65)【公開番号】特開2010-39485(P2010-39485A)
(43)【公開日】2010年2月18日
【審査請求日】2012年3月21日
(31)【優先権主張番号】10-2008-0076899
(32)【優先日】2008年8月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】鄭 進 秀
(72)【発明者】
【氏名】崔 洛 初
【審査官】 山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−081621(JP,A)
【文献】 特開2000−147506(JP,A)
【文献】 特開2001−066602(JP,A)
【文献】 特開平11−133429(JP,A)
【文献】 特開2001−296526(JP,A)
【文献】 特開2004−333992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサブ画素領域に区分された単位画素領域が定義されたベース基板と、前記ベース基板上に形成された光反応性高分子膜を有する基板を提供する段階と、
第1単位画素領域の第1露光領域に、第1方向において前記基板と第1傾斜角をなす第1光を照射して前記光反応性高分子膜を第1光配向させる段階と、
前記第1光配向させることと実質的に同時に第2単位画素領域の第2露光領域に、第2方向において前記基板と第2傾斜角をなす第2光を照射して前記光反応性高分子膜を第2光配向させる段階と、
前記第1単位画素領域の前記第1露光領域は前記第1光に露出させ、前記第1単位画素領域の第2露光領域は遮蔽する第1マスク部と、前記第2単位画素領域の第1露光領域は遮蔽させ、前記第2単位画素領域の第2露光領域は前記第2光に露出させる第2マスク部を含むマスクを前記基板上に配置する段階を含み、
前記第1マスク部及び前記第2マスク部の間の上側に遮断膜を設置し、前記第1光と前記第2光の干渉を防止することを特徴とする配向膜形成方法。
【請求項2】
複数のサブ画素領域に区分された単位画素領域が定義されたベース基板と、前記ベース基板上に形成された光反応性高分子膜を有する基板を提供する段階と、
第1単位画素領域の第1露光領域に、第1方向において前記基板と第1傾斜角をなす第1光を照射して前記光反応性高分子膜を第1光配向させる段階と、
前記第1光配向させることと実質的に同時に第2単位画素領域の第2露光領域に、第2方向において前記基板と第2傾斜角をなす第2光を照射して前記光反応性高分子膜を第2光配向させる段階と、
前記第1単位画素領域の前記第1露光領域は前記第1光に露出させ、前記第1単位画素領域の第2露光領域は遮蔽する第1マスク部と、前記第2単位画素領域の第1露光領域は遮蔽させ、前記第2単位画素領域の第2露光領域は前記第2光に露出させる第2マスク部を含むマスクを前記基板上に配置する段階と、を含み、
前記第1マスク部及び前記第2マスク部は、互いに分離され個別的に制御されることを特徴とする配向膜形成方法。
【請求項3】
前記第1光及び前記第2光は、前記マスクを通じて前記各単位画素領域に照射され、前記各単位画素領域の第1露光領域内の前記光反応性高分子膜は、前記第1方向にプリチルトされ、前記各単位画素領域の第2露光領域内の前記光反応性高分子膜は前記第2方向にプリチルトされることを特徴とする請求項1又は2記載の配向膜形成方法。
【請求項4】
前記基板上に投影された前記第1光と前記第2光の進行方向は、互いに逆方向であることを特徴とする請求項1又は2記載の配向膜形成方法。
【請求項5】
前記第1光及び前記第2光の露光エネルギー及び前記第1傾斜角及び前記第2傾斜角の大きさを調節して、前記光反応性高分子膜の光配向程度を調節することを特徴とする請求項4記載の配向膜形成方法。
【請求項6】
複数のサブ画素領域に区分された単位画素領域が定義されたベース基板と、前記ベース基板上に形成された光反応性高分子膜を有する基板を提供する段階と、
第1単位画素領域の第1露光領域に、第1方向において前記基板と第1傾斜角をなす第1光を照射して前記光反応性高分子膜を第1光配向させる段階と、
前記第1光配向させることと実質的に同時に第2単位画素領域の第2露光領域に、第2方向において前記基板と第2傾斜角をなす第2光を照射して前記光反応性高分子膜を第2光配向させる段階と、
非偏光紫外線を偏光させて前記第1光を提供する段階と、
前記非偏光紫外線を偏光させて前記第2光を提供する段階と、
を含み、
前記非偏光紫外線は、ビームスプリッターを通過してP偏光及び前記第1光に提供されるS偏光に分離され、前記P偏光は1/2波長位相差板を通過して前記第2光に提供されることを特徴とする配向膜形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配向膜形成方法に関する。より詳細には、光配向方法で配向膜にマルチドメインを形成する配向膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、液晶表示装置は、現在一番広く使用されている平板表示装置の1つであって、画素電極と共通電極など、電場生成電極(field generating electrode)が形成されている2枚の表示板と、その間に介在された液晶層及び前記表示板の外面に付着されている偏光子を含む。
【0003】
最近、液晶表示装置の視野角が狭い問題を解決するために、各画素内で主視野角方向を異ならせて視野角の補償効果を有するマルチドメイン液晶セルが提案されている。
【0004】
前記マルチドメイン液晶セルを得るために、前記電場生成電極に切開部、即ち、スリットを形成する方法と前記電場生成電極上に突起を形成する方法などが提案されている。
【0005】
しかし、前記電場生成電極に形成されたスリット及び突起は、画素の透過率を低下させる要因になる。従って、前記スリット及び突起のような要素を形成することなしに、液晶を配向させる配向膜が多方向の配向方向を有するようにして前記マルチドメイン液晶セルを具現しようとする試みが進行されている。一例として、ポリイミドで配向層を基板上に塗布し、前記基板全体をラビングしてモノドメインを形成した後、1つのドメインをフォトレジストでブロッキングした後、他のドメインを逆方向にラビングしてマルチドメインを形成する方法が開示されている。
【0006】
しかし、前記ラビング工程で製作された液晶セルは、ラビング工程時、埃や静電気が発生して歩留まりが低下して液晶セルが破損されるという問題が発生している。
【0007】
前記したラビング方法の問題点を克服するために、ラビングの代わりに紫外線を用いた光配向法が提案されているが、一定のパターンに透過部と遮蔽部を有するマスクを基板上に配置して紫外線を照射して配向膜にプリチルト角を付与する方法である。
【0008】
しかし、従来の光配向法によって、例えば、4ドメインを形成する場合、最小でも4回の光配向工程が必要であり、液晶表示装置の上板及び下板を結合することを考慮すると、8回以上の光配向工程が必要である。このように、光配向工程数が多ければ、マスクと基板との間に発生するギャップを調整する工程を追加に実施しなければならず、前記マスク配列に多様なエラーが発生されるなど、工程での生産性を阻害するという大きな問題点になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の技術的課題は、このような従来の問題点を解決するためのもので、本発明の実施例は、工程数を減少させる配向膜形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した本発明の技術的課題を解決するために、本発明の一特徴による配向膜形成方法において、複数のサブ画素領域に区分された単位画素領域が定義されたベース基板と、前記ベース基板上に形成された光反応性高分子膜を有する基板を提供する。前記単位画素領域の第1露光領域に前記基板と第1方向に第1傾斜角をなして偏光された第1光を照射して前記光反応性高分子膜を第1光配向させる。前記第1光配向させることと実質的に同時に他の単位画素領域の第2露光領域に前記基板と第2方向に第2傾斜角をなして偏光された第2光を照射して前記光反応性高分子膜を第2光配向させる。
【0011】
本発明の実施例において、前記単位画素領域の前記第1露光領域は前記第1光に露出させ、第2露光領域は遮蔽する第1マスク部及び前記他の単位画素領域の第1露光領域は遮蔽させ、前記第2露光領域は前記第2光に露出させる第2マスク部を含むマスクを前記基板上に配置して使用することができる。
【発明の効果】
【0012】
前記した配向膜形成方法によると、マルチドメインを形成するための光配向工程数を大幅減少させて工程の生産性を大幅向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例1による配向膜形成方法の順序図である。
図2図1で説明された配向膜形成方法が適用される基板の単位画素領域を示す平面図である。
図3図1で説明された配向膜形成方法を行う配向膜形成装置の概略図である。
図4図3に図示されたマスクの平面図である。
図5図3に図示されたマスクに対する光の入射角及び遮断膜を示す側面図である。
図6】サブ画素領域に光配向工程が実施されることを示す斜視図である。
図7図3に図示された配向膜形成装置で大型の基板に配向膜を形成する工程を示す平面図である。
図8図1乃至図7で説明された配向膜形成方法を用いた液晶表示装置の製造方法を説明するための順序図である。
図9図6図7、及び図8で説明された光配向工程によって配向膜が形成されたアレイ基板のプリチルト角方向を示す平面図である。
図10図2に図示された下部基板を有する液晶表示装置をI−I’に沿って切断した断面図である。
図11図1乃至図7で説明された光配向工程によって上部配向膜が形成された対向基板の配向方向を示す平面図である。
図12図9及び図11に図示されたアレイ基板及び対向基板が結合された液晶表示装置の平面図である。
図13】実施例2による配向膜形成装置の概略図である。
図14】実施例3による配向膜形成装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の例示的な実施例を詳細に説明する。
【0015】
本発明は多様に変更することができ、多様な形態を有することができること、特定の実施形態を図面に例示して本文に詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の開示形態に限定するのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物、乃至代替物を含むことを理解すべきである。
【0016】
各図面を説明しながら類似の参照符号を類似の構成要素に対して付与した。図面において、構造物の寸法は本発明の明確性のために実際より拡大して示した。
【0017】
第1、第2等の用語は、多様な構成要素を説明するために使用することができるが、構成要素は用語によって限定されない。用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲から逸脱することなしに、第1構成要素は第2構成要素と称されてもよく、同様に第2構成要素も第1構成要素に称されてもよい。単数の表現は、文脈上、明白に相違が示されない限り、複数の表現を含む。
【0018】
本出願において、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを意図するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたもの等の存在または付加の可能性を予め排除しないことを理解しなければならない。
【0019】
なお、異なるものとして定義しない限り、技術的であるか科学的な用語を含めてここで用いられる全ての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有している。一般的に用いられる辞典に定義されているもののような用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有することと解釈すべきであり、本出願で明白に定義されない限り、異常的であるか過度に形式的な意味に解釈されない。
【0020】
実施例1
図1は、本発明の実施例1による配向膜形成方法の順序図である。図2は、図1で説明された配向膜形成方法が適用される基板102の単位画素領域PAを示す平面図である。
【0021】
図1を参照すると、本実施例の配向膜形成方法で、まず、基板102を提供する(段階S10)。前記基板102は、例えば、図2に図示されたように、光配向工程による配向膜形成工程が進行される前の基板102でもよく、前記基板102を以下、下部基板102で定義する。前記下部基板102は、スイッチング素子を用いたアクティブマトリックス駆動方式で駆動される素子基板でもよい。前記下部基板102は、大略長方形形状を有する。従って、前記下部基板102の縦方向を第1方向(x)で、横方向を第2方向(y)でそれぞれ定義する。
【0022】
図2を参照すると、前記下部基板102は、下部ベース基板、画素電極170、及び下部光反応性高分子膜181を含む。
【0023】
前記下部ベース基板には、マトリックス形態で複数の単位画素領域PAが定義される。前記単位画素領域PAは、後述される液晶表示装置で液晶層が独立的に制御される個別領域単位で定義される。
【0024】
本実施例において、前記単位画素領域PAは、マトリックス形態に配列された複数のサブ単位画素領域SPA11、SPA12、SPA21、SPA22に区分されることができる。図2において、前記単位画素領域PAは、4つのサブ単位画素領域SPA11、SPA12、SPA21、SPA22、例えば、1行1列サブ単位画素領域SPA11、1行2列サブ単位画素領域SPA12、2行1列サブ単位画素領域SPA21、及び2行2列サブ単位画素領域SPA22に区分されている。本実施例において、前記単位画素領域PAは大略長方形形状を有する。これと異なり、前記画素領域PAの形状はV字、Z字形状など、多様に変形されることができる。
【0025】
前記下部ベース基板には、複数のゲートライン111、データライン121、薄膜トランジスタTFTが形成されている。前記薄膜トランジスタTFTは、前記ゲートライン111と連結されるゲート電極112、及び前記データライン121と連結されるソース電極122を含む。前記画素電極170は、前記単位画素領域PAにITO又はIZOのような透明な伝導性物質層を蒸着してパターニングして形成され、前記薄膜トランジスタTFTのドレイン電極124に連結されている。
【0026】
前記下部光反応性高分子膜181は、例えば、シンナマート(cinnamate)系列の光反応性高分子(photo−reactive polymer)及びポリイミド(polyimide)系列の高分子のブレンド(blend:混合)を前記画素電極170の上に塗布して、硬化させて形成されることができる。
【0027】
例えば、前記シンナマート系列の光反応性高分子及びポリイミド系列の高分子を1:9乃至9:1(weight/weight)でブレンドして有機溶媒に溶解させ、前記有機溶媒に溶解された前記高分子を前記下部基板102上にスピンコーティング方式で塗布することができる。以後、前記下部基板102上にコーティングされた高分子層を加熱して硬化させて前記下部光反応性高分子膜181を形成することができる。
【0028】
図3は、図1で説明された配向膜形成方法を行う配向膜形成装置1の概略図である。
【0029】
前述したように、前記下部基板102を提供した後、前記単位画素領域PAの第1露光領域に偏光された第1光L2を照射して前記下部光反応性高分子膜181を第1光配向させる(段階S20)。前記下部基板102上で前記第1方向(x)と平行な線と前記第1光は第1傾斜角をなす。
【0030】
また、前記第1光配向させることと実質的に同時に他の単位画素領域PAの第2露光領域に偏光された第2光L4を照射して前記下部光反応性高分子膜181を第2光配向させる(段階S30)。前記下部基板102上で前記第1方向(x)の逆方向と平行な線と前記第2光L4は第2傾斜角をなす。ここで、前記第1露光領域及び前記第2露光領域は、前記単位画素領域PAを図3に図示された配向膜形成装置1によって1回スキャン工程によって配向方向が決定される領域で定義される。即ち、1つ以上の前記単位サブ画素領域(SPA11、SPA12、SPA21、SPA22)が前記第1露光領域及び前記第2露光領域にそれぞれ含まれることができる。
本実施例で、前記第1露光領域は、図2に図示された前記単位画素領域PAで1行1列単位サブ画素領域SPA11及び2行1列単位サブ画素領域SPA21を含む。前記第2露光領域は、1行2列単位サブ画素領域SPA12及び2行2列単位サブ画素領域SPA22を含む。
【0031】
本実施例で前記第1光配向工程及び前記第2光配向工程は、1回スキャン工程で同時に前記下部基板102に実施される。このため、前記配向膜形成装置1は、図3に示すように、光源10、第1光伝達系50、及び第2光伝達系30を含む。
【0032】
前記光源10は、紫外線を出射する紫外線ランプでもよい。本実施例において、前記光源10は、第1紫外線ランプ11及び第2紫外線ランプ13を含むことができる。前記第1及び第2紫外線ランプ11、13から出射される紫外線は非偏光された光である。
【0033】
前記第1及び第2光伝達系50、30は、前記光源10から出射された紫外線をガイドし、前記下部基板102の前記下部光反応性高分子膜181に照射して前記下部光反応性高分子膜181を光配向させる。
【0034】
前記下部光反応性高分子膜181の表面には、光に反応する高分子鎖が形成されている。前記高分子鎖には、前記高分子鎖が方向性を有するようにする2重結合が存在する。前記2重結合の方向性によって前記下部光反応性高分子膜181に入射される紫外線UVが特定な方向に偏光軸を有する場合にのみ、前記高分子鎖が互いに光重合反応をすることができる。前記光重合反応の結果、前記高分子鎖が偏光された紫外線UVの入射方向に少し傾くことになってプリチルト角を有する。
【0035】
前記第1光伝達系50は、前記単位画素領域PAの第1露光領域に前記第1光L2を照射する。
【0036】
前記第1光伝達系50は、第1反射板51、第2反射板53、及び第1偏光板55を含むことができる。前記第1反射板51は、図3に示すように、前記第1紫外線ランプ11から出射された第1紫外線L1を前記第2反射板53に向かって反射させる。前記第2反射板53は、前記第1偏光板55に向かって前記第1紫外線L1を反射させる。前記第2反射板53によって反射された前記第1紫外線L1は、前記下部基板102と前記第1傾斜角をなし、前記下部基板102が移送される前記第1方向(x)の逆方向に照射される。
【0037】
前記第1偏光板55は、前記第1紫外線L1の照射方向と直交するように配置され、前記第1偏光板55によって前記第1紫外線L1は偏光された前記第1光L2に変換され前記第1露光領域に入射される。
【0038】
前記第2光伝達系30は、前記第1光L2が照射されることと実質的に同時に他の単位画素領域PAの第2露光領域に前記第2光L4を照射する。
【0039】
前記第2光伝達系30は、第3反射板31、第4反射板33、及び第2偏光板35を含むことができる。前記第3反射板31は、図3に示すように、前記第2紫外線ランプ13から出射された第2紫外線L3を前記第4反射板33に向かって反射させる。前記第4反射板33は、前記第2偏光板35に向かって前記第2紫外線L3を反射させる。前記第4反射板33によって反射された前記第2紫外線L3は、前記下部基板102と第2傾斜角をなし、前記下部基板102が移送される前記第1方向(x)に照射される。
【0040】
前記第2偏光板35は、前記第2紫外線L3の照射方向と直交するように配置され、前記第2偏光板35によって前記第2紫外線L3は偏光された前記第2光L4に変換され前記第2露光領域に入射される。
【0041】
前記下部基板102上に投影された前記第1光L2の偏光軸と前記第2光L4の偏光軸は互いに平行でもよい。
【0042】
図4は、図3に図示されたマスク70の平面図である。図5は、図3に図示されたマスク70に対する光の入射角及び遮断膜77を示す側面図である。図6は、露光領域に光配向工程が実施されることを示す斜視図である。
【0043】
図4図5、及び図6を参照すると、本実施例の配向膜形成方法は、前記下部基板102上にマスク70を配置する段階を更に含むことができる。前記第1方向(x)に互いに隣り合う単位画素領域PAを第1単位画素領域PA及び第2単位画素領域PAで定義する。前記マスク70は、前記第1単位画素領域PAの第1露光領域は、前記第1光L2に露出させて第2露光領域は遮蔽することができる。また、前記マスク70は第2単位画素領域PAの第1露光領域は遮蔽させ第2露光領域は前記第2光L4に露出させることができる。
【0044】
このため、前記マスク70は、第1マスク部72及び第2マスク部74を含むことができる。前記第1マスク部72及び前記第2マスク部74は一体に形成されることができる。前記第1マスク部72及び前記第2マスク部74の間には遮断膜77を設置して前記第1光L2と前記第2光L4の干渉を防止することができる。前記第1マスク部72には、透過領域71及び遮蔽領域73が交互に形成されている。前記透過領域71は、前記第1露光領域のサイズに対応するサイズを有することができる。前記第2マスク部74には、前記第1マスク部72と交互に透過領域75及び遮蔽領域76が形成されていることができる。
【0045】
図7は、図3に図示された配向膜形成装置1で大型の下部基板102に配向膜を形成する工程を示す平面図である。
【0046】
図7を参照すると、大型の前記下部基板102の上に複数の露光領域105が設定され、前記露光領域105にはそれぞれ前記マスク70が複数個、例えば、2つが配置されることができる。
【0047】
各露光領域105で前記スキャン方向、即ち、前記第1方向(x)に前記第1光L2及び前記第2光L4がスキャンされると、1つの単位画素領域PAの前記第1露光領域及び前記第2露光領域は順次に光配向され、その配向方向は互いに逆方向になる。
【0048】
即ち、本実施例による配向膜形成方法及びこれを行うための配向膜形成装置1によると、1回スキャンする工程によって、単位画素領域PAの第1露光領域及び第2露光領域の前記下部光反応性高分子膜181を光配向して2ドメインを形成することができる。
【0049】
前記第1光L2及び前記第2光L4の露光エネルギー及び前記第1傾斜角及び前記第2傾斜角のサイズを調節して前記下部光反応性高分子膜181の光配向程度を調節することができる。
【0050】
一方、前記第1マスク部72及び前記第2マスク部74の間の上側に図6に示すような遮断膜77を設置して前記第1光L2と前記第2光L4の干渉を防止することができる。
【0051】
図8は、図1乃至図7で説明された配向膜形成方法を用いた液晶表示装置の製造方法を説明する順序図である。図9は、図6図7、及び図8で説明された光配向工程によって配向膜が形成されたアレイ基板101の光配向方向を示す平面図である。
【0052】
図6図7図8、及び図9を参照すると、本実施例の液晶表示装置の製造方法において、まず、アレイ基板101を製造する(段階S310)。前記図2に図示された前記下部基板102を図1乃至図7で説明された配向膜形成方法によって処理して前記アレイ基板101を製造することができる。
【0053】
即ち、前記単位画素領域PAの前記第1露光領域及び前記第2露光領域の下部光反応性高分子膜181を、偏光された前記第1光L2及び前記第2光L4を前述したように1回スキャンする工程でそれぞれ第1方向(x)及び前記第1方向(x)の逆方向に光配向して、前記アレイ基板101に下部配向膜を形成することができる。例えば、下部光反応性高分子膜181の1行1列サブ単位画素領域SPA11及び2行1列サブ単位画素領域SPA21は、x軸と平行な第1光配向方向182に配向され、1行2列サブ単位画素領域SPA12及び2行2列サブ単位画素領域SPA22は、x軸と平行で、前記第1光配向方向182と逆方向である第2光配向方向184に配向されることができる。
【0054】
図10は、図2に図示された下部基板102を有する液晶表示装置100をI−I’に沿って切断した断面図である。図11は、図1乃至図7で説明された光配向工程によって上部配向膜280が形成された対向基板201の配向方向を示す平面図である。
【0055】
図10及び図11を参照すると、前記単位画素領域PAの第3露光領域及び第4露光領域の上部光反応性高分子膜を、図1乃至図7で説明された配向膜形成方法によって、偏光された第3光及び第4光を用いて1回スキャンする工程でそれぞれ第3光配向方向186及び第4光配向方向188に光配向して上部配向膜280を形成し、前記上部配向膜280を有する対向基板201を製造する(段階S320)。
【0056】
ここで、前記第3光配向方向186及び前記第4光配向方向188は互いに逆方向で、前記第1光配向方向182及び前記第2光配向方向184と実質的に垂直である。前記第3光は、前記第3光配向方向186と第3傾斜角をなし、前記第4光は前記第4光配向方向188と第4傾斜角をなす。
【0057】
本実施例において、前記対向基板201は、上部ベース基板210、遮光パターン220、カラーフィルターパターン230、オーバーコーティング層240、共通電極270、及び上部配向膜280を含むことができる。
【0058】
前記遮光パターン220は、前記ゲートライン111、前記データライン121、及び前記薄膜トランジスタTFTに対応するように前記上部ベース基板210の下面に形成されている。
【0059】
前記単位画素領域PAに対応する前記上部ベース基板210には、カラーフィルターパターン230が形成される。カラーフィルターパターン230は、例えば、赤色フィルター、緑色フィルター、及び青色フィルターを含むことができる。前記赤色フィルター、前記緑色フィルター、及び前記青色フィルターの順に前記第2方向(y)に各単位画素領域PAに配置されることができる。
【0060】
前記オーバーコーティング層240は、前記カラーフィルターパターン230及び前記遮光パターン220を覆い、前記共通電極270は前記オーバーコーティング層240上に形成されている。
【0061】
前記上部配向膜280は、前記共通電極270上に形成される。
【0062】
図12は、図9及び図11に図示されたアレイ基板101及び対向基板201が結合された液晶表示装置100の平面図である。
【0063】
図10及び図12を参照すると、前記アレイ基板101と前記対向基板201とを結合させ、これらの間に液晶を注入して前記液晶層301を形成して前記液晶表示装置100を製造する(段階S330)。
【0064】
ここで、前記各単位サブ画素領域(SPA11、SPA12、SPA21、SPA22)で前記下部配向膜180の下部光配向方向182、184と上部配向膜280の上部光配向方向186、188は、図12に示すように、互いに直交することができる。
【0065】
従って、前記下部光配向方向182、184と前記上部光配向方向186、188をベクトル的に合計した方向が各単位サブ画素領域の配向方向C1、C2、C3、C4で定義される。
【0066】
前記各単位サブ画素領域(SPA11、SPA12、SPA21、SPA22)で前記配向方向(C1、C2、C3、C4)は全て異なって4ドメインが形成される。
【0067】
前記単位画素領域PAの第1対角線方向に隣り合う単位サブ画素領域SPA11、SPA22で前記配向方向C1、C3は、前記単位画素領域PAの中心から発散するように、互いに逆方向に形成されている。前記単位画素領域PAの第2対角線方向に隣り合うサブ単位画素領域SPA12、SPA21で前記配向方向C2、C4は前記単位画素領域PAの中心に集まるように、互いに逆方向に形成されている。
【0068】
前記下部配向膜180と前記上部配向膜280に光配向方向を決定する方法は、マルチドメインを形成する方法によって多様に変更されることができる。
【0069】
図10を参照すると、前記液晶層301に電場が印加されない場合、前記アレイ基板101及び前記対向基板201の間に配置された液晶分子310は垂直に配向されることができる。即ち、前記液晶表示装置100は、垂直配向モードに作動されることができる。
【0070】
前記液晶分子310は、図10に示すように、前記下部配向膜180の表面では前記下部配向方向182、184にプリチルト角を有して傾いており、前記上部配向膜280の表面では前記上部配向方向186、188にプリチルト角を有して傾いている。
【0071】
前記アレイ基板101の背面には、下部偏光板190が付着されることができる。前記対向基板201の上面には、上部偏光板290が付着されることができる。前記下部偏光板190と前記上部偏光板290の偏光軸は、互いに直交するように配置されることができる。本実施例では、前記液晶分子310の方位が前記偏光軸と約45°をなす方向に配列されるように前記配向方向C1、C2、C3、C4が決定されている。
【0072】
実施例2
図13は、実施例2による配向膜形成装置800の概略図である。
【0073】
本実施例の配向膜形成方法及びこれを用いた液晶表示装置の製造方法は、図1乃至図12で説明された配向膜形成方法及びこれを用いた液晶表示装置の製造方法と実質的に同じである。従って、重複説明は省略する。
【0074】
本実施例の配向膜形成装置800は、マスク870が2つのマスク部に分離され個別的に制御されることを除いては、図1乃至図7で説明された配向膜形成装置1と実質的に同じである。従って、対応する要素については、対応する参照番号を付与し、重複された説明は省略する。
【0075】
図13を参照すると、本実施例において、前記マスク870は、第1マスク部872と第2マスク部874が分離されている。従って、第1露光領域に照射される第1光L2と第2露光領域に照射される第2光L4が干渉されないように前記第1マスク部872と前記第2マスク部874を十分に離隔させることができる。
【0076】
また、1つの単位画素領域PAで第1露光領域が第1光L2によって光配向される時間と第2露光領域が第2光L4によって光配向される時間の間の間隔が自由に調節されることができる。
【0077】
実施例3
図14は、実施例3による配向膜形成装置1000の概略図である。
【0078】
本実施例の配向膜形成方法及びこれを用いた液晶表示装置の製造方法は、図1乃至図12で説明された配向膜形成方法及びこれを用いた液晶表示装置の製造方法と実質的に同じである。従って、重複説明は省略する。
【0079】
図14を参照すると、本実施例の配向膜形成装置1000は、光源、第1光伝達系1034、第2光伝達系1036、及びビームスプリッティング系(beam splitting system)1032を含む。
【0080】
前記光源は、1つの紫外線ランプ1011を有することを除いては、図3で説明された光源10と実質的に同じである。
【0081】
前記ビームスプリッティング系1032は、第1反射板1031及びビームスプリッター1033を含む。
【0082】
前記第1反射板1031は、前記紫外線ランプ1011から出射された非偏光紫外線を前記ビームスプリッター1033に向かって反射する。前記ビームスプリッター1033は、前記非偏光紫外線を第1S偏光と前記第1S偏光と偏光軸が直交するP偏光に分離して出射する。
【0083】
前記第1光伝達系1034は、第2反射板1035を含む。前記第2反射板1035は、前記第1S偏光を反射する。前記第2反射板1035によって反射された前記第1S偏光を第1光L1で定義する。前記第1光L1は基板1102に対して前記第1方向(x)と第1傾斜角をなす方向に進行する。前記第1光L1は、第1マスク部1072を通じて第1単位画素領域PAの第1露光領域の下部光反応性高分子膜1181に照射される。これにより、前記第1露光領域の下部光反応性高分子膜1181は、前記第1方向(x)に光配向される。
【0084】
前記第2光伝達系1036は、第3反射板1037及び1/2波長位相差板1051を含むことができる。前記第3反射板1037は、前記P偏光を反射する。前記第3反射板1037によって反射された前記P偏光L2を第2光L2で定義する。前記第2光L2は、前記基板1102に対して前記第1方向(x)の逆方向と第2傾斜角をなす方向に進行して、前記1/2波長位相差板1051に入射される。
前記第2光L2は、前記1/2波長位相差板1051によって第2S偏光L3に変換され、第2マスク部1074を通じて第2単位画素領域PAの第2露光領域の下部光反応性高分子膜1181に照射される。これにより、前記第2露光領域の下部光反応性高分子膜1181は、前記第1方向(x)の逆方向に光配向される。
【0085】
前記配向膜形成装置1000は、前記基板1102を前記第1方向(x)に移送させる移送テーブルを更に含むことができる。
【0086】
本実施例の配向膜形成装置1000によると、偏光板を使用するときに発生される光の損失を防止することができる。図3に図示された配向膜形成装置1によると、非偏光紫外線が前記第1偏光板55及び前記第2偏光板35を通過しながらP偏光またはS偏光のみが偏光され残り光が損失される。反面、本実施例によると、前記配向膜形成装置1000は、前記ビームスプリッター1033から出射されたP偏光及びS偏光を全部使用することができる。従って、前記配向膜形成装置1000の光利用効率が向上される。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明によると、1回スキャン工程で単位画素領域の配向膜に複数のドメインを形成することができる。従って、光配向工程を使用してマルチドメインを形成する工程の工程数が減少され生産性が革新的に向上されることができる。従って、本発明は配向膜を使用する装置に適用されることができる。
【0088】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特徴請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0089】
1 配向膜形成装置
10 光源
30 第2光伝達系
50 第1光伝達系
70 マスク
102 基板
181 光反応性高分子膜
170 画素電極
100 液晶表示装置
101 アレイ基板
201 対向基板
PA 単位画素領域
SPA サブ画素領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14