【文献】
Gaodeng Xuexiao Huaxue Xuebao,2009年 2月,Vol.30, No.2,p.403-407
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明について詳細に報告する。
【0027】
本発明の有機金属錯体は下記一般式(1)で表される。
該有機金属錯体は赤色の発光色を有する燐光発光材料に用いることができる。燐光発光材料の用途は特に制限されるものではなく、例えば、有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子に用いるのが好ましい。
また、本発明の有機電界発光素子の用途は特に制限されるものではなく、例えば、発光装置、照明装置のほか、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、電子ペーパ等の表示装置とすることができる。
【0029】
(一般式(1)中、Aは窒素原子を含む芳香族複素環を表し、Bは芳香環又は芳香族複素環を表す。少なくとも一組のAとBについて、Aはキノリン環またはイソキノリン環を表し、Bはナフタレン環を表す。AおよびBはそれぞれ置換基を有していてもよく、さらに縮環していてもよい。R
1およびR
3はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。R
2は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又はハロゲン原子を表す。また、R
1、R
2、及びR
3のうちの少なくとも1つに、少なくとも1つ以上のフッ素原子を含む。)
【0030】
Aが表す窒素原子を含む芳香族複素環としてはキノリン環、1−イソキノリン環、3−イソキノリン環が好ましく、キノリン環が特に好ましい。色味の良い赤色発光を実現するためである。
Bが表す芳香環としてはナフタレン環が好ましい。
少なくとも一組のAとBについて、Aはキノリン環またはイソキノリン環を表し、Bはナフタレン環を表す。AとBの組み合わせとしては、キノリン環とナフタレン環、1−イソキノリン環とナフタレン環、3−イソキノリン環とナフタレン環が挙げられ、キノリン環とナフタレン環であることが好ましい。
AおよびBはそれぞれ置換基を有していてもよく、さらに縮環していてもよい。
【0031】
R
1、R
2、及びR
3が表すアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−オクタデシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、1−アダマンチル、トリフルオロメチルなどが挙げられる。本発明において、アルキル基等の置換基の「炭素数」とは、アルキル基等の置換基が他の置換基によって置換されてもよい場合も含み、当該他の置換基の炭素数も包含する意味で用いる。
R
1、R
2、及びR
3が表すアリール基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、o−メチルフェニル、m−メチルフェニル、p−メチルフェニル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、2,6−キシリル、3,4−キシリル、3,5−キシリル、3,6−キシリル、4,5−キシリル、4,6−キシリル、p−クメニル、メシチル、ナフチル、アントラニル、などが挙げられる。
R
1、R
2、及びR
3が表す。
R
1、R
2、及びR
3が表すヘテロアリール基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジル、ピリミジル、トリアジニル、キノリル、イソキノリニル、ピロリル、インドリル、フリル、チエニル、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル、アゼピニルなどが挙げられる。
R
1、R
2、及びR
3が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
R
1、R
2、及びR
3のうちの少なくとも1つに、少なくとも1つ以上のフッ素原子を含む。R
1、R
2、R
3に含まれるフッ素原子の数は1〜6であることが好ましく、3〜6であることがより好ましい。フッ素原子の数が上記範囲内であれば昇華精製収率が向上し、色味が改良されるためである。
R
1がトリフルオロメチル基であり、R
3がメチル基であることがより好ましい。昇華精製収率と色味の向上を両立するためである。
【0032】
一般式(1)で表される有機金属錯体は一般式(2)で表される有機金属錯体であることが好ましい。
【0034】
(一般式(1)中、A’は2−キノリル環、1−イソキノリル環または3−イソキノリル環を表す。B’は下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表されるナフチル骨格を表す。R
4、R
5はそれぞれ独立にA’、B’上の置換基を表す。R
1、R
2、R
3はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R
1、R
2、R
3のうち少なくとも1つ以上はフッ素原子を1つ以上含む置換基である。n及びmはそれぞれ独立に0〜6の整数を表す。)
【0036】
Aは2−キノリル環、1−イソキノリル環または3−イソキノリル環を表し、1−イソキノリル環または2−キノリル環であることが好ましく、2−キノリル環であることがより好ましい。
Bは一般式(2)〜(4)のいずれかで表されるナフチル骨格を表す。この骨格は一般式(2)または一般式(3)である場合がより好ましく、一般式(3)である場合が最も好ましい。なお、一般式(2)〜(4)の一般式中、*はBへの結合位置である。
【0037】
一般式(1)中のm、nはそれぞれ独立に0〜6の整数を表す。
【0038】
mとしては、0〜3である場合が好ましく、0〜2である場合がより好ましく、0〜1である場合がさらに好ましく、0である場合が最も好ましい。
【0039】
nとしては、0〜3である場合が好ましく、0〜2である場合がより好ましく、0〜1である場合がさらに好ましく、0である場合が最も好ましい。
【0040】
mが2以上のとき、R
4はそれぞれ同一でも異なっていても良く、nが2以上のとき、R5はそれぞれ同一でも異なっていても良く、mが1以上かつnが1以上のとき、R4とR5はそれぞれ同一でも異なっていても良い。
【0041】
mが2以上のとき、R4同士で互いに結合し縮環した構造であっても良く、nが2以上のとき、R5同士で互いに結合し縮環した構造であっても良い。
【0042】
R
4、R
5で表される置換基としては特に限定されないが、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、シリル基、シリルオキシ基が挙げられる。
【0043】
ここで、アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−オクタデシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、1−アダマンチル、トリフルオロメチルなどが挙げられる。本発明において、アルキル基等の置換基の「炭素数」とは、アルキル基等の置換基が他の置換基によって置換されてもよい場合も含み、当該他の置換基の炭素数も包含する意味で用いる。
【0044】
また、アルケニル基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリール、1−プロペニル、1−イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。
【0045】
また、アルキニル基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばエチニル、プロパルギル、1−プロピニル、3−ペンチニルなどが挙げられる。
【0046】
また、アリール基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、o−メチルフェニル、m−メチルフェニル、p−メチルフェニル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、2,6−キシリル、3,4−キシリル、3,5−キシリル、3,6−キシリル、4,5−キシリル、4,6−キシリル、p−クメニル、メシチル、ナフチル、アントラニル、などが挙げられる。
【0047】
また、ヘテロアリール基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジル、ピリミジル、トリアジニル、キノリル、イソキノリニル、ピロリル、インドリル、フリル、チエニル、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル、アゼピニルなどが挙げられる。
【0048】
また、アミノ基としては、好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。
【0049】
また、アルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。
【0050】
また、アリールオキシ基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。
【0051】
また、ヘテロ環基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子であり、具体的にはイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。
【0052】
また、ヘテロ環オキシ基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。
【0053】
また、アシル基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。
【0054】
また、アルコキシカルボニル基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。
【0055】
また、アリールオキシカルボニル基としては、好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。
【0056】
また、アシルオキシ基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。
【0057】
また、アシルアミノ基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。
【0058】
また、アルコキシカルボニルアミノ基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。
【0059】
また、アリールオキシカルボニルアミノ基としては、好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。
【0060】
また、スルホニルアミノ基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。
【0061】
また、スルファモイル基としては、好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。
【0062】
また、カルバモイル基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。
【0063】
また、アルキルチオ基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。
【0064】
また、アリールチオ基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。
【0065】
また、ヘテロ環チオ基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。
【0066】
。
また、スルホニル基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。
【0067】
また、スルフィニル基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。
【0068】
また、ウレイド基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。
【0069】
また、リン酸アミド基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。
【0070】
また、ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
【0071】
また、シリル基としては、好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、ジフェニルシリルなどが挙げられる。
【0072】
また、シリルオキシ基としては、好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、トリイソプロピルシリルオキシ、tert−ブチルジメチルシリルオキシ、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ、ジフェニルシリルオキシなどが挙げられる。
【0073】
R
4、R
5として好ましくはアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アシル基、アミノ基、シアノ基、シリル基、若しくはハロゲン原子であり、さらに好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、ハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子であり、最も好ましくはアルキル基、アリール基である。
【0074】
R
4、R
5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0075】
また、R
4、R
5のアリール基としては、フェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、イミダゾリル基が好ましく、フェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基がより好ましく、フェニル基が特に好ましい。
【0076】
また、R
4、R
5のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1−イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基が好ましく、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基がより好ましく、ビニル基、アリル基が特に好ましい。
【0077】
また、R
4、R
5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
【0078】
また、R
4、R
5のアシル基としてはアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基が好ましく、アセチル基、ベンゾイル基がより好ましく、アセチル基が特に好ましい。
【0079】
また、R
4、R
5のアミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基が好ましく、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、がより好ましく、ジメチルアミノ基、が特に好ましい。
【0080】
また、R
4、R
5のアミノ基としてはメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基が好ましく、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基がより好ましく、ジメチルアミノ基が特に好ましい。
【0081】
また、R
4、R
5のシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基がより好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
【0082】
また、R
4、R
5のハロゲン原子としてはヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、フッ素原子が好ましく、塩素原子、フッ素原子がより好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
【0083】
フッ素原子を含むR
1、R
2、R
3の置換基としては特に限定されないが、例えばフッ素原子、フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロアルキニル基、フルオロアリール基が挙げられる。
【0084】
ここで、フルオロアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、1,2−ジフルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、1,1,2−トリフルオロエチル、1,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル、1,2,2,2−テトラフルオロエチル、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル、1−フルオロ−1−プロピル、2−フルオロ−1−プロピル、3−フルオロ−1−プロピル、1,1−ジフルオロ−1−プロピル、1,2−ジフルオロ−1−プロピル、1,3−ジフルオロ−1−プロピル、2,2−ジフルオロ−1−プロピル、2,3−ジフルオロ−1−プロピル、3,3−ジフルオロ−1−プロピル、1,1,2−トリフルオロ−1−プロピル、1,1,3−トリフルオロ−1−プロピル、1,2,2−トリフルオロ−1−プロピル、1,2,3−トリフルオロ−1−プロピル、1,3,3−トリフルオロ−1−プロピル、2,2,3−トリフルオロ−1−プロピル、2,3,3−トリフルオロ−1−プロピル、3,3,3−トリフルオロ−1−プロピル、1−フルオロ−2−プロピル、2−フルオロ−2−プロピル、1,1−ジフルオロ−2−プロピル、1,2−ジフルオロ−2−プロピル、1,3−ジフルオロ−2−プロピル、1,1,1−トリフルオロ−2−プロピル、1,1、2−トリフルオロ−2−プロピル、1,1,3−トリフルオロ−2−プロピル、1,2,3−トリフルオロ−2−プロピル、1−フルオロシクロヘキシル、2−フルオロシクロヘキシル、3−フルオロシクロヘキシル、4−フルオロシクロヘキシル、1,2−ジフルオロシクロヘキシル、1,3−ジフルオロシクロヘキシル、1,4−ジフルオロシクロヘキシル、2,2−ジフルオロシクロヘキシル、2,3−ジフルオロシクロヘキシル、2,4−ジフルオロシクロヘキシル、2,5−ジフルオロシクロヘキシル、2,6−ジフルオロシクロヘキシル、3,3−ジフルオロシクロヘキシル、3,4−ジフルオロシクロヘキシル、3,5−ジフルオロシクロヘキシル、3,6−ジフルオロシクロヘキシル、4.4−ジフルオロシクロヘキシル、4,5−ジフルオロシクロヘキシル、4,6−ジフルオロシクロヘキシルなどが挙げられる。
【0085】
また、フルオロアルケニル基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えば1−フルオロビニル、2−フルオロビニル、1,2−ジフルオロビニル、2,2−ジフルオロビニル、1,2,2−トリフルオロビニル、1―フルオロアリル、2―フルオロアリル、3―フルオロアリル、1,1―ジフルオロアリル、1,2―ジフルオロアリル、1,3―ジフルオロアリル、2,3―ジフルオロアリル、3,3―ジフルオロアリル、1,1,2―トリフルオロアリル、1,1,3―トリフルオロアリル、1,2,3―トリフルオロアリル、1,3,3―トリフルオロアリル、1−フルオロ−1−プロペニル、2−フルオロ−1−プロペニル、3−フルオロ−1−プロペニル、1,2−ジフルオロ−1−プロペニル、1,3−ジフルオロ−1−プロペニル、2,3−ジフルオロ−1−プロペニル、3,3、−ジフルオロ−1−プロペニル、1,2,3−トリフルオロ−1−プロペニル、3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル、1,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロペニル、1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペニル、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペニル、1,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロペニル、1−フルオロ−1−イソプロペニル、3−フルオロ−1−イソプロペニル、1,3−ジフルオロ−1−イソプロペニル、3,3−ジフルオロ−1−イソプロペニル、1,1,3−トリフルオロ−1−イソプロペニル、3,3,3−トリフルオロ−1−イソプロペニル、1,1,3,3−テトラフルオロ−1−イソプロペニル、1,3,3,3−テトラフルオロ−1−イソプロペニル、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−1−イソプロペニルなどが挙げられる。
【0086】
本発明において、フルオロアリル基とは、アリル基のいずれかの炭素上にフッ素原子が1つ結合した置換基を指す。例えば、下記一般式(5)の部分構造を1−フルオロアリル基、一般式(6)の部分構造を2−フルオロアリル基、一般式(7)の部分構造を3−フルオロアリル基とし、フッ素原子が2つ導入されたものはジフルオロアリル基、3つ導入されたものはトリフルオロアリル基と呼ぶ。
【0088】
本発明において、フルオロビニル基とは、ビニル基のいずれかの炭素上にフッ素原子が1つ結合した置換基を指す。例えば、下記一般式(8)の部分構造を1−フルオロアリル基、一般式(9)の部分構造を2−フルオロアリル基とし、フッ素原子が2つ導入されたものはジフルオロビニル基、3つ導入されたものはトリフルオロビニル基と呼ぶ。
【0090】
また、フルオロアルキニル基としては、好ましくは炭素数3〜30、より好ましくは炭素数3〜20、特に好ましくは炭素数3〜10であり、例えば1−フルオロプロパルギル、3−フルオロプロパルギル、1,1−ジフルオロプロパルギル、1,3−ジフルオロプロパルギル、1,1,3−トリフルオロプロパルギルなどが挙げられる。
【0091】
また、フルオロアリール基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜10であり、例えば2―フルオロフェニル、3―フルオロフェニル、4―フルオロフェニル、2,3―ジフルオロフェニル、2,4―ジフルオロフェニル、2,5―ジフルオロフェニル、2,6―ジフルオロフェニル、3,4―ジフルオロフェニル、3,5―ジフルオロフェニル、3,6―ジフルオロフェニル、2,3,4―トリフルオロフェニル、2,3,5―トリフルオロフェニル、2,3,6―トリフルオロフェニル、2,4,5―トリフルオロフェニル、2,4,6―トリフルオロフェニル、2,5,6―トリフルオロフェニル、3,4,5―トリフルオロフェニル、3,4,6―トリフルオロフェニル、3,5,6―トリフルオロフェニル、2,3,4,5―テトラフルオロフェニル、2,3,4,6―テトラフルオロフェニル、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、2,3,4,5,6―ペンタフルオロフェニルなどが挙げられる。
【0092】
フッ素原子を含むR
1、R
2、R
3の置換基としては、好ましくはフッ素原子、フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロアルキニル基、フルオロアリール基であり、より好ましくはフッ素原子、フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロアリール基であり、さらに好ましくはフッ素原子、フルオロアルキル基、フルオロアリール基である。
【0093】
R
1、R
2、R
3のフルオロアルキル基としては、好ましくはフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1−フルオロエチル基、2−フルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、1,1,2−トリフルオロエチル基、1,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基であり、より好ましくはフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1,1,2−トリフルオロエチル基、1,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基であり、特に好ましくはフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基である。
【0094】
R
1、R
2、R
3のフルオロアルケニル基として好ましくは1−フルオロビニル、2−フルオロビニル、1,2−ジフルオロビニル、2,2−ジフルオロビニル、1,2,2−トリフルオロビニル、1―フルオロアリル、2―フルオロアリル、3―フルオロアリル、1,1―ジフルオロアリル、1,2―ジフルオロアリル、1,3―ジフルオロアリル、2,3―ジフルオロアリル、3,3―ジフルオロアリル、1,1,2―トリフルオロアリル、1,1,3―トリフルオロアリル、1,2,3―トリフルオロアリル、1,3,3―トリフルオロアリル、1−フルオロ−1−プロペニル、2−フルオロ−1−プロペニル、3−フルオロ−1−プロペニル、1,2−ジフルオロ−1−プロペニル、1,3−ジフルオロ−1−プロペニル、2,3−ジフルオロ−1−プロペニル、3,3−ジフルオロ−1−プロペニル、1,2,3−トリフルオロ−1−プロペニル、3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニルであり、より好ましくは1−フルオロビニル、2−フルオロビニル、1,2−ジフルオロビニル、2,2−ジフルオロビニル、1―フルオロアリル、2―フルオロアリル、3―フルオロアリル、1,1―ジフルオロアリル、1,2―ジフルオロアリル、1,3―ジフルオロアリル、2,3―ジフルオロアリル、3,3―ジフルオロアリル、1−フルオロ−1−プロペニル、2−フルオロ−1−プロペニル、3−フルオロ−1−プロペニル、1,2−ジフルオロ−1−プロペニル、1,3−ジフルオロ−1−プロペニル、2,3−ジフルオロ−1−プロペニル、3,3−ジフルオロ−1−プロペニルであり、さらに好ましくは1−フルオロビニル、2−フルオロビニル、1―フルオロアリル、2―フルオロアリル、1−フルオロ−1−プロペニル、2−フルオロ−1−プロペニル、3−フルオロ−1−プロペニルであり、特に好ましくは1−フルオロビニル、2―フルオロアリルである。
【0095】
R
1、R
2、R
3のフルオロアルキニル基として好ましくは1−フルオロプロパルギル、3−フルオロプロパルギル、1,1−ジフルオロプロパルギル、1,3−ジフルオロプロパルギル、1,1,3−トリフルオロプロパルギルであり、より好ましくは1−フルオロプロパルギル、3−フルオロプロパルギルであり、特に好ましくは3−フルオロプロパルギルである。
【0096】
R
1、R
2、R
3のフルオロアリール基として好ましくは2―フルオロフェニル、3―フルオロフェニル、4―フルオロフェニル、2,3―ジフルオロフェニル、2,4―ジフルオロフェニル、2,5―ジフルオロフェニル、2,6―ジフルオロフェニル、3,4―ジフルオロフェニル、3,5―ジフルオロフェニル、3,6―ジフルオロフェニル、2,3,4―トリフルオロフェニル、2,3,5―トリフルオロフェニル、2,3,6―トリフルオロフェニル、2,4,5―トリフルオロフェニル、2,4,6―トリフルオロフェニル、2,5,6―トリフルオロフェニル、3,4,5―トリフルオロフェニル、3,4,6―トリフルオロフェニル、3,5,6―トリフルオロフェニルであり、より好ましくは2―フルオロフェニル、3―フルオロフェニル、4―フルオロフェニル、2,3―ジフルオロフェニル、2,4―ジフルオロフェニル、2,5―ジフルオロフェニル、2,6―ジフルオロフェニル、3,4―ジフルオロフェニル、3,5―ジフルオロフェニル、3,6―ジフルオロフェニルであり、さらに好ましくは―フルオロフェニル、3―フルオロフェニル、4―フルオロフェニルであり、特に好ましくは4―フルオロフェニルである。
【0097】
フッ素原子を含まないR
1、R
2、R
3の置換基としては特に限定されないが、例えば水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、シリル基、シリルオキシ基が挙げられる。R1、R2、R3で表される置換基の好ましい範囲は、R4、R5で表される置換基と同じである。
【0098】
フッ素原子を含まないR
1、R
2、R
3としては、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、ヘテロ環基、シリル基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシ基、シリル基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、シリル基であり、特に好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基である。
【0099】
R
1、R
2、R
3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が好ましく、メチル基、エチル基、tert−ブチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0100】
また、R
1、R
2、R
3のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1−イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基が好ましく、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基がより好ましく、アリル基が特に好ましい。
【0101】
また、R
1、R
2、R
3のアルキニル基としては、プロパルギル基、ブチニル基が好ましく、プロパルギル基がより好ましい。
【0102】
また、R
1、R
2、R
3のアリール基としては、フェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、イミダゾリル基が好ましく、フェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基がより好ましく、フェニル基が特に好ましい。
【0103】
また、R
1、R
2、R
3のアリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基が好ましく、フェニルオキシ基がより好ましい。
【0104】
また、R
1、R
2、R
3のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、プロポキシ基、2−エチルヘキシロキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
【0105】
また、R
1、R
2、R
3のアミノ基としては、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基が好ましく、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基がより好ましく、ジメチルアミノ基が特に好ましい。
【0106】
また、R
1、R
2、R
3のヘテロ環基としては、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、カルバゾリル基が好ましく、イミダゾリル基、ピリジル基、フリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、カルバゾリル基がより好ましく、イミダゾリル基、ピリジル基、フリル基、カルバゾリル基がさらに好ましく、イミダゾリル基、ピリジル基、フリル基が特に好ましい。
【0107】
また、R
1、R
2、R
3のシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基がより好ましくトリメチルシリル基、トリエチルシリル基がさらに好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
【0108】
R
1がフッ素原子を含む置換基である場合、R
1上のフッ素原子の数は1〜10であり、1〜6が好ましく、1〜3がより好ましい。
【0109】
R
2がフッ素原子を含む置換基である場合、R
2上のフッ素原子の数は1〜10であり、1〜6が好ましく、1〜3がより好ましい。
【0110】
R
3がフッ素原子を含む置換基である場合、R
3上のフッ素原子の数は1〜10であり、1〜6が好ましく、1〜3がより好ましい。
【0111】
R
1、R
2、R
3の置換基のうち、少なくとも1つ以上の置換基はフッ素原子を少なくとも1つ以上含む。R
1、R
2、R
3の置換基に含まれる、全てのフッ素原子の個数は1〜30であり、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜3が特に好ましく、1〜2が最も好ましい。
【0112】
R
1、R
2、R
3の組み合わせとしては特に限定されないが、例えば、下表1,2の(10−1)〜(10−44)に示す組み合わせが挙げられる。
【0113】
R
1、R
2、R
3の組み合わせとして好ましくは、表1,2における(10−1)〜(10−38)に示す組み合わせであり、さらに好ましくは(10−1)〜(10−26)に示す組み合わせであり、より好ましくは(10−1)〜(10−11)に示す組み合わせである。
【0116】
本発明の化合物は、種々の方法で合成することが出来る。例えば、環Aおよび環Bを有する配位子とハロゲンイオンとがイリジウムに配位した化合物を原料とし、これに、少なくとも1つのフッ素原子を有するアセチルアセトン誘導体を塩基存在下で作用させ、配位子交換反応を行うことによって得ることができる。本発明の金属錯体を合成する際の反応溶媒としては、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ハロゲン系溶媒が好ましく、テトラヒドロフラン、2−エトキシエタノール、2−メトキシエタノール、2−プロパノール、エタノール、ジクロロメタン、クロロホルムがより好ましく、テトラヒドロフラン、2−エトキシエタノール、クロロホルムがさらに好ましく、2−エトキシエタノールが特に好ましい。合成する際の反応温度としては、0℃〜150℃が好ましく、25℃〜140℃がより好ましく、50℃〜120℃または沸点50℃未満の溶媒の場合は25℃〜溶媒の沸点までの範囲がさらに好ましく、60℃〜100℃または沸点60℃未満の場合は25℃〜溶媒の沸点までの範囲が特に好ましい。合成する際の反応時間としては、20分〜24時間である場合が好ましく、30分〜12時間である場合がより好ましく、40分〜6時間である場合がさらに好ましく、1時間〜4時間である場合が特に好ましい。合成する際に用いる塩基としては、有機塩基、無機塩基いずれでも良く、金属アルコキシド、炭酸塩が好ましく、ナトリウムメトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、がより好ましく、炭酸ナトリウムがさらに好ましい。
【0117】
次に本発明の化合物例を示すが、本発明はこれに限定されない。
【0118】
AおよびBからなる部分構造L1の例を以下に示す。
【0120】
フッ素原子を有するアセチルアセトナト配位子部分の構造L2の例を以下に示す。
【0122】
一般式(1)で表される化合物の、具体的な例として、上記部分構造L1と部分構造L2の組み合わせで、以下の表に表す。
【0125】
〔有機電界発光素子用発光材料〕
本発明の有機金属錯体は、有機電界発光素子用発光材料とすることができる。
本発明の有機金属錯体を有機電界発光素子用発光材料として用いた場合、より製造適性があり、色みの良い有機電界発光素子が製造できるため好ましい。
【0126】
〔有機電界発光素子用発光材料を含有する発光層〕
本発明は、本発明の有機電界発光素子用発光材料を含む発光層にも関する。本発明の発光層は有機電界発光素子に用いることができる。
本発明の発光層は、ホスト材料、炭化水素材料の少なくとも1つを更に含むことが好ましい。
本発明の前記一般式(1)で表される有機金属錯体を有機電界発光素子用材料として用いることで、より製造適性及び色味に優れた有機電界発光素子を得ることができる。本発明の発光層における有機電界発光素子材料の含有量は発光層中1〜30質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましい。
【0127】
〔本発明の有機電界発光素子用発光材料を含有する組成物〕
本発明は前記本発明の有機電界発光素子用発光材料で表される化合物を含有する組成物にも関する。
本発明の組成物における有機電界発光素子用材料の含有量は1〜40質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
本発明の組成物における他に含有しても良い成分としては、有機物でも無機物でもよく、有機物としては、後述するホスト材料、蛍光発光材料、燐光発光材料、炭化水素材料として挙げた材料が適用でき、好ましくはホスト材料、炭化水素材料であり、より好ましくはホスト材料及び一般式(VI)で表される化合物である。
本発明の組成物におけるホスト材料の含有量は50〜95質量%であることが好ましく、70〜90質量%であることがより好ましい。
本発明の組成物は蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等により有機電界発光素子の有機層を形成することができる。
【0128】
〔有機電界発光素子〕
本発明の素子について詳細に説明する。
本発明の有機電界発光素子は、基板上に、一対の電極と、該電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層とを有する有機電界発光素子であって、有機層のいずれかの層に一般式(1)で表される化合物を含有する。発光層と陰極の間に一般式(1)で表される化合物を含有する層をさらに有することが好ましい。
【0129】
本発明の有機電界発光素子において、発光層及び一般式(1)で表される化合物を含有する層は有機層であり、更に複数の有機層を有していてもよい。
発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明もしくは半透明であることが好ましい。
図1は、本発明に係る有機電界発光素子の構成の一例を示している。
図1に示される本発明に係る有機電界発光素子10は、支持基板12上において、陽極4と陰極9との間に発光層6が挟まれている。具体的には、陽極4と陰極9との間に正孔注入層4、正孔輸送層5、発光層6、正孔ブロック層7、及び電子輸送層8がこの順に積層されている。
【0130】
<有機層の構成>
前記有機層の層構成としては、特に制限はなく、有機電界発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記透明電極上に又は前記背面電極上に形成されるのが好ましい。この場合、有機層は、前記透明電極又は前記背面電極上の前面又は一面に形成される。
有機層の形状、大きさ、及び厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0131】
具体的な層構成として、下記が挙げられるが本発明はこれらの構成に限定されるものではない。
・陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極。
有機電界発光素子の素子構成、基板、陰極及び陽極については、例えば、特開2008−270736号公報に詳述されており、該公報に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0132】
<基板>
本発明で使用する基板としては、有機層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
<陽極>
陽極は、通常、有機層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
<陰極>
陰極は、通常、有機層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
【0133】
基板、陽極、陰極については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0070〕〜〔0089〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0134】
<有機層>
本発明における有機層について説明する。
【0135】
−有機層の形成−
本発明の有機電界発光素子において、各有機層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等いずれによっても好適に形成することができる。
【0136】
(発光層)
<発光材料>
本発明における発光材料は、前記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
【0137】
発光層中の発光材料は、発光層中に一般的に発光層を形成する全化合物質量に対して、0.1質量%〜50質量%含有されるが、耐久性、外部量子効率の観点から1質量%〜50質量%含有されることが好ましく、2質量%〜40質量%含有されることがより好ましい。
【0138】
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、2nm〜500nmであるのが好ましく、中でも、外部量子効率の観点で、3nm〜200nmであるのがより好ましく、5nm〜100nmであるのが更に好ましい。
【0139】
本発明の素子における発光層は、発光材料のみで構成されていても良く、ホスト材料と発光材料の混合層とした構成でも良い。発光材料は蛍光発光材料でも燐光発光材料であっても良く、ドーパントは一種であっても二種以上であっても良い。ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は一種であっても二種以上であっても良く、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。さらに、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいても良い。本発明の素子における発光層としては、ホスト材料と発光材料として一般式(1)で表される化合物とを用いたものが好ましい。
また、発光層は一層であっても二層以上の多層であってもよい。発光層が複数の場合、一般式(1)で表される化合物を二層以上の発光層に含んでもよい。また、それぞれの発光層が異なる発光色で発光してもよい。
【0140】
<ホスト材料>
本発明に用いられるホスト材料として、以下の化合物を含有していても良い。例えば、ピロール、インドール、カルバゾール、CBP(4,4’−ジ(9−カルバゾイル)ビフェニル)、アザインドール、アザカルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体およびそれらの誘導体(置換基や縮環を有していてもよい)等を挙げることができる。
【0141】
本発明における発光層において、前記ホスト材料の三重項最低励起エネルギー(T
1エネルギー)が、前記燐光発光材料のT
1エネルギーより高いことが色純度、発光効率、駆動耐久性の点で好ましい。
【0142】
また、本発明におけるホスト化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、発光効率、駆動電圧の観点から、発光層を形成する全化合物質量に対して15質量%以上99質量%以下であることが好ましい。
【0143】
(蛍光発光材料)
本発明に使用できる蛍光発光材料の例としては、例えば、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、縮合芳香族化合物、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジン誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の錯体やピロメテン誘導体の錯体に代表される各種錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン誘導体などの化合物等が挙げられる。
【0144】
(燐光発光材料)
本発明に使用できる燐光発光材料としては、一般式(1)で表される化合物の他、例えば、US6303238B1、US6097147、WO00/57676、WO00/70655、WO01/08230、WO01/39234A2、WO01/41512A1、WO02/02714A2、WO02/15645A1、WO02/44189A1、WO05/19373A2、特開2001−247859、特開2002−302671、特開2002−117978、特開2003−133074、特開2002−235076、特開2003−123982、特開2002−170684、EP1211257、特開2002−226495、特開2002−234894、特開2001−247859、特開2001−298470、特開2002−173674、特開2002−203678、特開2002−203679、特開2004−357791、特開2006−256999、特開2007−19462、特開2007−84635、特開2007−96259等の特許文献に記載の燐光発光化合物などが挙げられ、中でも、更に好ましい発光性ドーパントとしては、Ir錯体、Pt錯体、Cu錯体、Re錯体、W錯体、Rh錯体、Ru錯体、Pd錯体、Os錯体、Eu錯体、Tb錯体、Gd錯体、Dy錯体、及びCe錯体が挙げられる。特に好ましくは、Ir錯体、Pt錯体、又はRe錯体であり、中でも金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含むIr錯体、Pt錯体、又はRe錯体が好ましい。更に、発光効率、駆動耐久性、色度等の観点で、3座以上の多座配位子を含むIr錯体、Pt錯体、又はRe錯体が特に好ましい。
【0145】
燐光発光材料の含有量は、発光層中に、発光層の総質量に対して、0.1質量%以上50質量%以下の範囲が好ましく、0.2質量%以上50質量%以下の範囲がより好ましく、0.3質量%以上40質量%以下の範囲がさらに好ましく、20質量%以上30質量%以下の範囲が最も好ましい。
【0146】
本発明に用いることのできる燐光発光材料(一般式(1)で表される化合物及び/又は併用する燐光発光材料)の含有量は、発光層の総質量に対して、0.1質量%以上50質量%以下の範囲が好ましく、1質量%以上40質量%以下の範囲がより好ましく、5質量%以上30質量%以下の範囲が最も好ましい。特に5質量%以上30質量%以下の範囲では、その有機電界発光素子の発光の色度は、燐光発光材料の添加濃度依存性が小さい。
本発明の有機電界発光素子は、上記発光材料(一般式(1)で表される化合物)の少なくとも一種を該発光層の総質量に対して5〜30質量%含有することが最も好ましい。
【0147】
有機電界発光素子は、さらに、炭化水素化合物を含むことが好ましく、発光層に炭化水素化合物を含むことがより好ましい。
また、炭化水素化合物は下記一般式(VI)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(VI)で表される化合物を発光材料とともに適切に用いることにより、材料分子間の相互作用を適切に制御し、隣接分子間のエネルギーギャップ相互作用を均一にすることで駆動電圧をさらに低下させることが可能となる。
また、有機電界発光素子において用いられる、一般式(VI)で表される化合物は、化学的な安定性に優れ、素子駆動中における材料の分解等の変質が少なく、当該材料の分解物による、有機電界発光素子の効率低下や素子寿命の低下を防ぐことが出来る。
一般式(VI)で表される化合物について説明する。
【0149】
一般式(VI)中、R
4、R
6、R
8、R
10、X
4〜X
15は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
【0150】
一般式(VI)の、R
4、R
6、R
8、R
10、X
4〜X
15で表されるアルキル基は、アダマンタン構造、アリール構造で置換されていてもよく、炭素数1〜70が好ましく、炭素数1〜50がより好ましく、炭素数1〜30がさらに好ましく、炭素数1〜10がよりさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数2〜6の直鎖のアルキル基が最も好ましい。
【0151】
一般式(VI)の、R
4、R
6、R
8、R
10、X
4〜X
15で表されるアルキル基としては、例えば、n−C
50H
101基、n−C
30H
61基、3−(3,5,7−トリフェニルアダマンタン−1−イル)プロピル基(炭素数31)、トリチル基(炭素数19)、3−(アダマンタン−1−イル)プロピル基(炭素数13)、9−デカリル基(炭素数10)、ベンジル基(炭素数7)、シクロヘキシル基(炭素数6)、n−ヘキシル基(炭素数6)、n−ペンチル基(炭素数5)、n−ブチル基(炭素数4)、n−プロピル基(炭素数3)、シクロプロピル基(炭素数3)、エチル基(炭素数2)、メチル基(炭素数1)などが挙げられる。
【0152】
一般式(VI)の、R
4、R
6、R
8、R
10、X
4〜X
15で表されるアリール基は、アダマンタン構造、アルキル構造で置換されていてもよく、炭素数6〜30が好ましく、炭素数6〜20がより好ましく、炭素数6〜15がさらに好ましく、炭素数6〜10が特に好ましく、炭素数6が最も好ましい。
【0153】
一般式(VI)の、R
4、R
6、R
8、R
10、X
4〜X
15で表されるアリール基としては、例えば、1−ピレニル基(炭素数16)、9−アントラセニル基(炭素数14)、1−ナフチル基(炭素数10)、2−ナフチル基(炭素数10)、p−t−ブチルフェニル基(炭素数10)、2−m−キシリル基(炭素数8)、5−m−キシリル基(炭素数8)、o−トリル基(炭素数7)、m−トリル基(炭素数7)、p−トリル基(炭素数7)、フェニル基(炭素数6)などが挙げられる。
【0154】
一般式(VI)のR
4、R
6、R
8、R
10は、水素原子であっても、アルキル基であっても、アリール基であってもよいが、前述の高いガラス転移温度が好ましい観点から、少なくともひとつはアリール基であることが好ましく、少なくともふたつはアリール基であることがより好ましく、3ないし4つがアリール基であることが特に好ましい。
【0155】
一般式(VI)の、X
4〜X
15は、水素原子であっても、アルキル基であっても、アリール基であってもよいが、水素原子、又はアリール基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
【0156】
本発明における一般式(VI)で表される化合物の分子量は、有機電界発光素子を真空蒸着プロセスや溶液塗布プロセスを用いて作成するので、蒸着適性や溶解性の観点から、2000以下であることが好ましく、1200以下であることがより好ましく、1000以下であることが特に好ましい。また、蒸着適性の観点では、分子量が小さすぎると蒸気圧が小さくなり、気相から固相への変化がおきず、有機層を形成することが困難となるので、250以上が好ましく、350以上がより好ましく、400以上が特に好ましい。
【0157】
一般式(VI)で表される化合物は、室温(25℃)において固体であることが好ましく、室温(25℃)から40℃の範囲において固体であることがより好ましく、室温(25℃)から60℃の範囲において固体であることが特に好ましい。
室温(25℃)において固体を形成しない一般式(VI)で表される化合物を用いる場合は、他の材料と組み合わせることにより、常温で固相を形成させることができる。
【0158】
一般式(VI)で表される化合物は、その用途が限定されることはなく、有機層内のいずれの層に含有されてもよい。本発明における一般式(VI)で表される化合物の導入層としては、後述の発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電荷ブロック層のいずれか、もしくは複数に含有されるのが好ましく、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層のいずれか、もしくは複数に含有されるのがより好ましく、発光層、正孔注入層、正孔輸送層のいずれか、もしくは複数に含有されるのが特に好ましく、発光層に含むことが最も好ましい。
【0159】
一般式(VI)で表される化合物を、有機層中で用いる場合は、一般式(VI)で表される化合物の含量は、電荷輸送性を抑制しない程度の量に制限して用いる必要があり、一般式(VI)で表される化合物は0.1〜70質量%含まれることが好ましく、0.1〜30質量%含まれることがより好ましく、0.1〜25質量%含まれることが特に好ましい。
また、一般式(VI)で表される化合物を、複数の有機層に用いる場合はそれぞれの層において、上記の範囲で含有することが好ましい。
【0160】
一般式(VI)で表される化合物は、いずれかの有機層に、一種類のみを含有していてもよく、複数の一般式(VI)で表される化合物を任意の割合で組み合わせて含有していてもよい。
【0161】
一般式(VI)で表される化合物の具体例を以下に列挙するが、以下に限定されるものではない。
【0166】
一般式(VI)で表される化合物は、アダマンタン、もしくは、ハロゲン化アダマンタンと、ハロゲン化アルキルもしくは、アルキルマグネシウムハライド(グリニヤー試薬)を適当に組み合わせることによって合成できる。例えば、インジウムを用いて、ハロゲン化アダマンタンと、ハロゲン化アルキルをカップリングすることができる(文献1)。また、ハロゲン化アルキルをアルキル銅試薬に変換し、芳香族化合物のグリニヤー試薬とカップリングすることもできる(文献2)。また、ハロゲン化アルキルを、適当なアリールホウ酸とパラジウム触媒を用いてカップリングすることもできる(文献3)。
文献1:Tetrahedron Lett. 39, 1998, 9557−9558.
文献2:Tetrahedron Lett. 39, 1998, 2095−2096.
文献3:J. Am. Chem. Soc. 124, 2002, 13662−13663.
【0167】
アリール基を有するアダマンタン骨格は、アダマンタン、もしくは、ハロゲン化アダマンタンと、対応するアレーンやアリールハライドを適当に組み合わせることにより合成できる。
【0168】
なお、上記に示した製造方法において、定義された置換基が、ある合成方法の条件下で変化するか、または該方法を実施するのに不適切な場合、官能基の保護、脱保護(例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、グリーン(T. W. Greene)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.)(1981年)等)等の手段により容易に製造が可能である。また、必要に応じて適宜置換基導入等の反応工程の順序を変化させることも可能である。
【0169】
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
【0170】
−正孔注入層、正孔輸送層−
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。
−電子注入層、電子輸送層−
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。
正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0165〕〜〔0167〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0171】
−正孔ブロック層−
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、アルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−キノリナト)4−フェニルフェノレート(Aluminum (III)bis(2−methyl−8−quinolinato)4−phenylphenolate(BAlqと略記する))等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(2,9−Dimethyl−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline(BCPと略記する))等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。
正孔ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0172】
−電子ブロック層−
電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が、陽極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陽極側で隣接する有機層として、電子ブロック層を設けることができる。
電子ブロック層を構成する有機化合物の例としては、例えば前述の正孔輸送材料として挙げたものが適用できる。
電子ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
電子ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0173】
<保護層>
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0169〕〜〔0170〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0174】
<封止容器>
本発明の素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
封止容器については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0171〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0175】
〔成膜方法〕
さらに、本発明は一般式(1)で表される化合物と同一の有機層に用いられる化合物とを同時に加熱することにより昇華させて成膜する成膜方法にも関する。
成膜に際し、一般式(1)で表される化合物と同一の有機層に用いられる化合物とが混合されていることが好ましく、本発明の組成物を用いてもよい。一般式(1)で表される化合物と同一の有機層に用いられる化合物の含有割合は一般式(1)で表される化合物に対して同一の有機層に用いられる化合物が1%〜45%であることが好ましく、1%〜25%であることがより好ましい。
加熱の温度は200℃〜400℃であることが好ましく、250℃〜320℃であることがより好ましい。
加熱の時間は0.1時間〜350時間であることが好ましく、0.1時間〜150時間であることがより好ましい。
本発明の成膜方法によれば高効率、高耐久性、かつ高温駆動時の色変化の少ない発光層膜を容易に作成できるという利点がある。
【0176】
(駆動)
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書等に記載の駆動方法を適用することができる。
【0177】
本発明の発光素子は、種々の公知の工夫により、光取り出し効率を向上させることができる。例えば、基板表面形状を加工する(例えば微細な凹凸パターンを形成する)、基板・ITO層・有機層の屈折率を制御する、基板・ITO層・有機層の膜厚を制御すること等により、光の取り出し効率を向上させ、外部量子効率を向上させることが可能である。
【0178】
本発明の発光素子の外部量子効率としては、外部量子効率が20%以上30%以下であることが好ましい。外部量子効率の数値は20℃で素子を駆動したときの外部量子効率の最大値、もしくは、20℃で素子を駆動したときの100〜300cd/m
2付近での外部量子効率の値を用いることができる。
【0179】
本発明の発光素子は、陽極側から発光を取り出す、いわゆるトップエミッション方式であっても良い。
【0180】
本発明における有機EL素子は、共振器構造を有しても良い。例えば、透明基板上に、屈折率の異なる複数の積層膜よりなる多層膜ミラー、透明または半透明電極、発光層、および金属電極を重ね合わせて有する。発光層で生じた光は多層膜ミラーと金属電極を反射板としてその間で反射を繰り返し共振する。
別の好ましい態様では、透明基板上に、透明または半透明電極と金属電極がそれぞれ反射板として機能して、発光層で生じた光はその間で反射を繰り返し共振する。
共振構造を形成するためには、2つの反射板の有効屈折率、反射板間の各層の屈折率と厚みから決定される光路長を所望の共振波長の得るのに最適な値となるよう調整される。第一の態様の場合の計算式は特開平9−180883号明細書に記載されている。第2の態様の場合の計算式は特開2004−127795号明細書に記載されている。
【0181】
(本発明の発光素子の用途)
本発明の発光素子は、発光装置、ピクセル、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、又は光通信等に好適に利用できる。特に、照明装置、表示装置等の発光輝度が高い領域で駆動されるデバイスに好ましく用いられる。
【0182】
次に、
図2を参照して本発明の発光装置について説明する。
本発明の発光装置は、前記有機電界発光素子を用いてなる。
図2は、本発明の発光装置の一例を概略的に示した断面図である。
図2の発光装置20は、透明基板(支持基板)2、有機電界発光素子10、封止容器11等により構成されている。
【0183】
有機電界発光素子10は、基板2上に、陽極(第一電極)3、有機層11、陰極(第二電極)9が順次積層されて構成されている。また、陰極9上には、保護層12が積層されており、さらに、保護層12上には接着層14を介して封止容器16が設けられている。なお、各電極3、9の一部、隔壁、絶縁層等は省略されている。
ここで、接着層14としては、エポキシ樹脂等の光硬化型接着剤や熱硬化型接着剤を用いることができ、例えば熱硬化性の接着シートを用いることもできる。
【0184】
本発明の発光装置の用途は特に制限されるものではなく、例えば、照明装置のほか、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、電子ペーパ等の表示装置とすることができる。
【0185】
次に、
図3を参照して本発明の照明装置について説明する。
本発明の実施携帯にかかる照明装置40は、
図3に示すように、前述した有機電界発光素子10と、光散乱部材30とを備えている。より具体的には、照明装置40は、有機電界発光素子10の基板2と光散乱部材30とが接触するように構成されている。
光散乱部材30は、光を散乱できるものであれば特に制限されないが、
図3においては、透明基板31に微粒子32が分散した部材とされている。透明基板31としては、例えば、ガラス基板を好適に挙げることができる。微粒子32としては、透明樹脂微粒子を好適に挙げることができる。ガラス基板及び透明樹脂微粒子としては、いずれも公知のものを使用できる。このような照明装置40は、有機電界発光素子10からの発光が光散乱部材30の光入射面30Aに入射されると、入射光を光散乱部材30により散乱させ、散乱光を光出射面30Bから照明光として出射するものである。
【実施例】
【0186】
以下に本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明の実施の態様はこれらに限定されない。
【0187】
合成例1〔金属錯体Aの合成〕
【0188】
【化14】
【0189】
300ml3つ口フラスコに化合物(5)2.0g、CH
2Cl
290ml、アセチルアセトン1.38mlを加えた後、ナトリウムメトキシド28%メタノール溶液2.8gを加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら加熱還流した。2時間後、反応液を室温まで冷却し、そこに水、2−プロパノールを加え攪拌した後に濾過し、得られた結晶を2−プロパノールで炊き洗いした。室温まで冷却後、濾過して取り出された結晶をヘキサンで洗浄し、乾燥させ、赤色結晶の金属錯体Aを0.55g得た。
【0190】
合成例2〔金属錯体Bの合成〕
【0191】
【化15】
【0192】
100ml3つ口フラスコに化合物(5)1.0g、2−エトキシエタノール20.6ml、1,1,1,5,5,5―ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオン0.29mlを加えた後、Na
2CO
3を719mg加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら加熱還流した。8時間後、反応液を室温まで冷却し、この液を濾過して取り出された結晶を水、2−プロパノール、ヘキサンの順で洗浄し得られた赤色結晶1.00gを得た。この結晶を200mlナスフラスコに移し、そこに2−プロパノール100mlを入れ、炊き洗いを行い乾燥させ、赤色結晶0.88gを得た。この結晶を0.65gとり、塩化メチレンによるショートカラム精製を行い、得られた赤色溶液にヘキサンを加えた。生じた沈殿生成物を濾過して取出し、乾燥させ、赤褐色結晶の金属錯体Bを0.46g得た。
【0193】
合成例3〔金属錯体Cの合成〕
【0194】
【化16】
【0195】
100ml3つ口フラスコに化合物(5)300mg、2−エトキシエタノール6ml、1,1,1―トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン0.17mlを加えた後、Na
2CO
3を215mg加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら加熱還流した。1時間半後、反応液を室温まで冷却し、そこに水80mlを加えて20分間攪拌した。この液を濾過して取り出された結晶を水、2−プロパノール、ヘキサンの順で洗浄し、乾燥させ、金属錯体Cを0.22g得た。
【0196】
合成例4〔金属錯体Dの合成〕
【0197】
【化17】
【0198】
100ml3つ口フラスコに化合物(5)0.8g、2−エトキシエタノール33ml、Na
2CO
30.58gを加え、1,1,1―トリフルオロ−5,5−ジメチル−2,4−ヘキサンジオン0.17mlを加えた後、窒素雰囲気下で攪拌しながら50℃まで加熱した。20分後、1,1,1―トリフルオロ−5,5−ジメチル−2,4−ヘキサンジオンをさらに0.3ml加え、さらに1時間攪拌した後、反応液を室温まで冷却した。冷却後の反応液に水65mlを加えて3分間攪拌した後、この液を濾過して取り出された結晶を水、2−プロパノール、ヘキサンの順で洗浄し、乾燥させ、金属錯体Dを0.89g得た。
【0199】
〔蒸着適性の評価〕
真空下(初期圧力0.01Pa)での示差熱天秤(TG/DTA)による測定により、25℃から毎分2℃昇温させて、金属錯体の重量が90%に減少した時点の温度(T@−10wt%)と、重量減少に変化が見られなくなった時点の金属錯体の残存率を表5に示す。
【0200】
本発明の金属錯体A〜Dを発光材料として用いた。発光材料A〜Dの構造を以下に示す。
【0201】
【化18】
【0202】
【表5】
【0203】
以上の結果より、本発明の発光材料B〜Dは、比較の発光材料Aよりも、より低い温度で昇華し、蒸着温度もより低い温度で行えることが示された。
【0204】
〔昇華精製適正の評価〕
合成した発光材料A〜Dについて、アルゴン雰囲気下(圧力0.07Pa)で昇華精製を行った。昇華精製後に得られた結晶の重量について、昇華精製前の結晶の重量に対するパーセント比率(昇華精製収率)を表6に示す。
【0205】
【表6】
【0206】
以上の結果より、本発明の発光材料B〜Dは、比較の発光材料Aよりも、より高い収率で昇華精製を行うことが出来、即ち昇華精製適性が良いということが示された。
【0207】
〔発光特性の評価〕
石英基板上に、発光材料と化合物Aを真空蒸着法により質量比2:98になるように共蒸着させ、浜松ホトニクス製絶対PL量子収率測定装置により、310nmの励起光を照射した際の、発光スペクトルの最大極大波長と量子収率を表7に示す。
化合物Aの構造を以下に示す。
【0208】
【化19】
【0209】
【表7】
【0210】
以上の結果より、本発明の発光材料B〜Dは、比較の発光材料Aよりも、より赤色の比視感度にとって好ましい610nmに近い発光波長の極大を持つことが示された。また、アセチルアセトナト配位子に含まれるフッ素原子の数も、6よりも3が、量子収率の観点で好ましいことが示されている。
【0211】
〔有機EL素子特性の評価〕
(有機EL素子の作製)
0.5mm厚み、2.5cm角のITO膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO膜)上に真空蒸着法にて以下の有機層を順次蒸着した。
第1層:化合物B:膜厚120nm
第2層:化合物C:膜厚10nm
第3層:化合物Dと発光材料(質量比85:15):膜厚30nm
第4層:化合物D:膜厚40nm
この上に、フッ化リチウム1.0nm及び金属アルミニウムを100nmをこの順に蒸着し陰極とした。
得られた積層体を、大気に触れさせること無く、アルゴンガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ(株)製)を用いて封止し、有機EL素子を作成した。
本発明の実施例における蒸着速度は、特に断りのない場合は0.2nm/秒である。蒸着速度はULVAC社製水晶振動子成膜コントローラーCRTM−9000を用いて測定した。以下に記載の膜厚も、CRTM−9000の数値と、Dektak型触針式膜厚計で測定した膜厚をもとに作成した検量線から算出したものである。
化合物B,C,Dの構造を以下に示す。
【0212】
【化20】
【0213】
(有機EL素子の評価)
金属錯体A,C,Dをそれぞれ用いた素子に対し、10Vの電圧を印加したところ、それぞれの金属錯体に由来する赤色発光を発した。
【0214】
本発明の有機金属錯体を用いた有機電界発光素子は、発光装置、表示装置、照明装置に用いることが出来る。発光装置、表示装置、照明装置の場合、本発明の発光素子は色味に優れた赤色発光を発するように設計されているため、有利に利用することができる。