(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666117
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】X線撮像装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
A61B6/00 333
A61B6/00 300X
A61B6/00 350Z
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2009-232550(P2009-232550)
(22)【出願日】2009年10月6日
(65)【公開番号】特開2011-78528(P2011-78528A)
(43)【公開日】2011年4月21日
【審査請求日】2012年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029791
【氏名又は名称】日立アロカメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二
(74)【代理人】
【識別番号】100096976
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 純
(72)【発明者】
【氏名】宮本 高敬
【審査官】
亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−000384(JP,A)
【文献】
特開2004−147863(JP,A)
【文献】
特開平03−041933(JP,A)
【文献】
特開2008−252564(JP,A)
【文献】
特開2006−148205(JP,A)
【文献】
特開2004−105237(JP,A)
【文献】
特開2002−200071(JP,A)
【文献】
特開2000−060840(JP,A)
【文献】
特開平10−272125(JP,A)
【文献】
特表2004−521721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を発生するX線発生器と、
複数のX線検出器からなる検出器列と、
被検体の測定時に前記検出器列から得られるX線の検出結果に基づいて被検体のX線画像を形成する画像形成部と、
前記測定時に前記検出器列に含まれる評価用検出器を介して得られた被検体による減衰のないX線の検出結果と、前記測定時の前に前記X線発生器と前記検出器列を利用して予め得られた被検体による減衰のないX線の検出結果に関する標準値と、を比較することにより、前記測定時に前記検出器列から得られた検出結果の適正を評価する評価部と、
を有し、
前記X線発生器は、高エネルギーX線と低エネルギーX線を発生し、
前記検出器列は、高エネルギーX線と低エネルギーX線を検出し、
前記評価部は、前記測定時に、高エネルギーX線と低エネルギーX線の各々の検出結果の適正を評価し、
前記X線発生器は、前記検出器列の列方向に対して直交する方向に沿って移動しつつX線を発生させ、
前記検出器列は、X線発生器に追従して移動しつつX線を検出することにより、当該検出器列の列方向に沿った1ラインごとに複数のラインに亘って2次元的にX線を検出し、
前記画像形成部は、被検体の測定時に前記検出器列から複数のラインに亘って得られるX線の検出結果に基づいて2次元のX線画像を形成し、
前記評価部は、被検体の測定時に前記検出器列から複数のラインに亘って得られる検出結果の適正を各ラインごとに評価する、
ことを特徴とするX線撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線撮像装置において、
前記評価部は、前記検出器列に含まれる複数のサンプル検出器を介して得られた被検体による減衰のないX線の検出結果に基づいて、前記標準値として上限基準値と下限基準値を設定し、前記測定時に評価用検出器を介して得られた検出結果が、上限基準値から下限基準値までの範囲に収まる場合に有効と判定し、当該範囲に収まらない場合に無効と判定する、
ことを特徴とするX線撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載のX線撮像装置において、
前記評価部は、複数のサンプル検出器を介して得られた被検体による減衰のないX線の検出結果に関する平均値と標準偏差に基づいて前記上限基準値と下限基準値を設定する、
ことを特徴とするX線撮像装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のX線撮像装置において、
前記評価部は、被検体の測定時に前記複数のラインに亘って得られる検出結果について各ラインごとに有効か無効かを判定し、
前記画像形成部は、無効と判定された無効ラインの検出結果に代えて、当該無効ラインの近傍で有効と判定された複数の有効ラインの検出結果から得られる補間値を利用する、
ことを特徴とするX線撮像装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のX線撮像装置において、
前記評価部は、被検体の測定時の前に前記X線発生器と前記検出器列を所定位置に固定して得られた被検体による減衰のないX線の検出結果に基づいて前記標準値を設定する、
ことを特徴とするX線撮像装置。
【請求項6】
X線を発生するX線発生器と、
複数のX線検出器からなる検出器列と、
被検体の測定時に前記検出器列から得られるX線の検出結果に基づいて被検体のX線画像を形成する画像形成部と、
前記測定時に前記検出器列に含まれる評価用検出器を介して得られた被検体による減衰のないX線の検出結果と、前記測定時の前に前記X線発生器と前記検出器列を利用して予め得られた被検体による減衰のないX線の検出結果に関する標準値と、を比較することにより、前記測定時に前記検出器列から得られた検出結果の適正を評価する評価部と、
を有し、
前記X線発生器は、前記検出器列の列方向に対して直交する方向に沿って移動しつつX線を発生させ、
前記検出器列は、X線発生器に追従して移動しつつX線を検出することにより、当該検出器列の列方向に沿った1ラインごとに複数のラインに亘って2次元的にX線を検出し、
前記画像形成部は、被検体の測定時に前記検出器列から複数のラインに亘って得られるX線の検出結果に基づいて2次元のX線画像を形成し、
前記評価部は、被検体の測定時に前記検出器列から複数のラインに亘って得られる検出結果の適正を各ラインごとに評価し、
前記X線発生器は、各ラインごとに高エネルギーX線と低エネルギーX線を発生し、
前記検出器列は、各ラインごとに高エネルギーX線と低エネルギーX線を検出し、
前記評価部は、被検体の測定時に各ラインごとに高エネルギーX線と低エネルギーX線の各々の検出結果の適正を評価する、
ことを特徴とするX線撮像装置。
【請求項7】
請求項6に記載のX線撮像装置において、
前記評価部は、被検体の測定時に各ラインごとに高エネルギーX線と低エネルギーX線の各々の検出結果について有効か無効かを判定し、高エネルギーX線に関する判定結果と低エネルギーX線に関する判定結果の組み合わせに応じた総合判定結果を得る、
ことを特徴とするX線撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮像装置に関し、特にX線の検出結果の適正を評価する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体に対してX線を照射して被検体を透過したX線を検出することにより被検体のX線画像を形成する装置が知られている。例えば、平面的なX線のファンビームを発生するX線発生器とそのファンビームを1次元的に検出するX線検出器列を移動させつつ、被検体を透過したX線を検出することにより、被検体に関する2次元的なX線画像を形成することができる。
【0003】
ところが、X線の検出結果に何らかの要因でノイズなどが混入してしまうと、その検出結果から得られるX線画像などにそのノイズなど伴う悪影響が及んでしまう。そのため、X線などの検出結果からノイズなどを除去する技術が従来から提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、放射線の照射されない領域を設けて、その領域に対して画像欠陥の検出と補正を行い、欠陥補正後の画像データを用いて複数のラインのノイズのばらつきを判定する旨の技術が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、X線遮蔽部分に対応するX線検出素子のデータからラインノイズ成分を演算し、演算されたラインノイズ成分に基づいて画像を補正する旨の技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−61823号公報
【特許文献2】国際公開第WO2004/105609号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した背景技術に鑑み、本願の発明者は、X線の検出結果の適正を評価する技術について研究開発を重ねてきた。
【0008】
本発明は、その研究開発の過程において成されたものであり、その目的は、X線の検出結果の適正を評価する改良技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的にかなう好適なX線撮像装置は、X線を発生するX線発生器と、複数のX線検出器からなる検出器列と、被検体の測定時に前記検出器列から得られるX線の検出結果に基づいて被検体のX線画像を形成する画像形成部と、前記測定時に前記検出器列に含まれる評価用検出器を介して得られた被検体による減衰のないX線の検出結果と、前記測定時の前に前記X線発生器と前記検出器列を利用して予め得られた被検体による減衰のないX線の検出結果に関する標準値と、を比較することにより、前記測定時に前記検出器列から得られた検出結果の適正を評価する評価部と、を有することを特徴とする。
【0010】
望ましい具体例において、前記評価部は、前記検出器列に含まれる複数のサンプル検出器を介して得られた被検体による減衰のないX線の検出結果に基づいて、前記標準値として上限基準値と下限基準値を設定し、前記測定時に評価用検出器を介して得られた検出結果が、上限基準値から下限基準値までの範囲に収まる場合に有効と判定し、当該範囲に収まらない場合に無効と判定する、ことを特徴とする。
【0011】
望ましい具体例において、前記評価部は、複数のサンプル検出器を介して得られた被検体による減衰のないX線の検出結果に関する平均値と標準偏差に基づいて前記上限基準値と下限基準値を設定する、ことを特徴とする。
【0012】
望ましい具体例において、前記X線発生器は、前記検出器列の列方向に対して直交する方向に沿って移動しつつX線を発生させ、前記検出器列は、X線発生器に追従して移動しつつX線を検出することにより、当該検出器列の列方向に沿った1ラインごとに複数のラインに亘って2次元的にX線を検出し、前記画像形成部は、被検体の測定時に前記検出器列から複数のラインに亘って得られるX線の検出結果に基づいて2次元のX線画像を形成し、前記評価部は、被検体の測定時に前記検出器列から複数のラインに亘って得られる検出結果の適正を各ラインごとに評価する、ことを特徴とする。
【0013】
望ましい具体例において、前記評価部は、被検体の測定時に前記複数のラインに亘って得られる検出結果について各ラインごとに有効か無効かを判定し、前記画像形成部は、無効と判定された無効ラインの検出結果に代えて、当該無効ラインの近傍で有効と判定された複数の有効ラインの検出結果から得られる補間値を利用する、ことを特徴とする。
【0014】
望ましい具体例において、前記評価部は、被検体の測定時の前に前記X線発生器と前記検出器列を所定位置に固定して得られた被検体による減衰のないX線の検出結果に基づいて前記標準値を設定する、ことを特徴とする。
【0015】
望ましい具体例において、前記X線発生器は、各ラインごとに高エネルギーX線と低エネルギーX線を発生し、前記検出器列は、各ラインごとに高エネルギーX線と低エネルギーX線を検出し、前記評価部は、被検体の測定時に各ラインごとに高エネルギーX線と低エネルギーX線の各々の検出結果の適正を評価する、ことを特徴とする。
【0016】
望ましい具体例において、前記評価部は、被検体の測定時に各ラインごとに高エネルギーX線と低エネルギーX線の各々の検出結果について有効か無効かを判定し、高エネルギーX線に関する判定結果と低エネルギーX線に関する判定結果の組み合わせに応じた総合判定結果を得る、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、X線の検出結果の適正を評価する改良技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施において好適なX線撮像装置の全体構成を示す図である。
【
図2】X線検出器列12による検出信号の収集を説明するための図である。
【
図3】評価部20によるX線カウント数の評価を説明するため図である。
【
図4】評価部20による総合判定を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の好適な実施形態を説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施において好適なX線撮像装置の全体構成を示す図である。X線発生器10は、被検体40に対してX線11を照射する。本実施形態におけるX線11は、X線発生器10側を頂点としてX線検出器列12側へ向かって徐々に扇状に広がる2次元的なファンビームであり、また、被検体40は、例えば人の前腕などである。
【0021】
X線検出器列12は、1次元的に配列された複数のX線検出器によって構成され、X線発生器10から発生して被検体40を透過したX線11を検出する。X線検出器列12によって検出されたX線11に関する検出信号は、評価部20とX線画像形成部22へ出力される。
【0022】
評価部20は、被検体40の測定時にX線検出器列12から得られた検出信号の適正を評価する。評価部20による評価については後に詳述する。
【0023】
X線画像形成部22は、X線11の検出信号に基づいて、被検体40内の骨などを映し出したX線画像の画像データを形成する。画像データの形成には、周知の技術が利用される。そして、X線画像形成部22において形成された画像データに対応するX線画像は表示部24に表示される。
【0024】
図1のX線撮像装置内の各部は、制御部30によって制御される。以下、
図1のX線撮像装置の動作について詳述する。なお、既に
図1に示した部分(構成)については、以下の説明においても
図1の符号を利用する。
【0025】
図2は、X線検出器列12による検出信号の収集を説明するための図である。X線検出器列12は、直線状に配列された複数のX線検出器(X線検出素子)で構成されている。例えば、1チャンネル(ch)から1000チャンネル(ch)までの1000個のX線検出器でX線検出器列12が形成されている。
【0026】
X線画像50を形成する際には、つまり被検体40を測定する際には、被検体40を間に挟んで対向して配置されたX線発生器10とX線検出器列12が、互いの相対的な位置関係を固定しつつ、
図2に示すX軸方向に沿って移動する(走査される)。その移動(走査)の過程において、X軸方向に並ぶ複数のラインに亘って、例えば1ラインから1000ラインまで、各ラインごとに複数のX線検出器の各々によりX線カウント数が計数される。そして、Y軸方向に配列された例えば1000個のX線検出器により、X軸方向の例えば1ラインから1000ラインまで、X線カウント数が2次元的に計数される。こうして2次元的に計数されたX線カウント数に基づいて2次元のX線画像50が形成される。
【0027】
本実施形態においては、上述した被検体40の測定時に、被検体40による減衰のないX線の検出結果(X線カウント数)を利用して、X線検出器列12により得られたX線カウント数の適正が評価される。被検体40による減衰のないX線カウント数は、X線検出器列12に含まれる評価用検出器を利用して計数される。
【0028】
図2に示す例では、最上端に位置する1000チャンネルのX線検出器が評価用検出器として機能する。つまり、1000チャンネルのX線検出器は、被検体40の測定時にX軸方向に沿って移動しつつ、被検体40が存在しない領域52に沿ってX線カウント数を計数する。領域52は、X線が被検体40などを透過せず空気のみを透過して計数される領域、つまりエアバリューが計測される領域である。
【0029】
評価部20は、被検体40の測定時に領域52に沿って得られるX線の検出結果(X線カウント数)と、被検体40の測定前に予め得られた標準値を比較する。この標準値は、被検体40の測定に利用される装置のX線発生器10とX線検出器列12から得られる。
【0030】
被検体40の測定に先立って、例えば装置の工場出荷時または定期的に実施される装置のキャリブレーション時に、被検体40が存在しない状態でX線発生器10とX線検出器列12がX軸上の所定位置、例えば中央の500ラインの位置に移動され、その所定位置に固定された状態でX線が空気のみを透過した際のX線カウント数、つまりエアバリューが計数される。そして、例えば60チャンネル(60個)程度のX線検出器から得られるX線カウント数の平均値AVと標準偏差SDに基づいて、標準値として、上限基準値と下限基準値が設定される。
【0031】
評価部20は、例えば「平均値AV+5×標準偏差SD=上限基準値」とし、「平均値AV−5×標準偏差SD=下限基準値」とする。もちろん、平均値AVと標準偏差SDに基づいて他の計算式に従って上限基準値と下限基準値が算出されてもよい。
【0032】
図3は、評価部20によるX線カウント数の評価を説明するため図である。
図3の横軸は被検体を測定した際のライン(
図2のX軸)に対応しており、
図3の縦軸はX線カウント数である。
図3には、被検体を測定した際に評価用検出器(
図2の1000チャンネルのX線検出器)から得られたX線カウント数の変化(各ラインごとのX線カウント数)が示されている。
【0033】
評価部20は、被検体の測定時に評価用検出器を介して得られたX線カウント数が、上限基準値から下限基準値までの範囲に収まる場合に有効と判定し、その範囲に収まらない場合に無効と判定する。評価部20は、複数のラインに亘って得られるX線カウント数を各ラインごとに評価する。
【0034】
図3に示す例において、波形部分E1では、例えば1つのラインまたは2つのラインだけ突発的に上限基準値を超えており、波形部分E2では、例えば1つのラインまたは2つのラインだけ突発的に下限基準値よりも小さくなっている。また、波形部分E3では、数個のラインに亘って連続的に下限基準値よりも小さくなっている。評価部20は、波形部分E1,E2,E3に対応するラインを無効と判定する。つまり、これらのラインにおいて、走査中の軸ずれなどに伴う機械的なノイズや、電源ラインなどから発生する電気的なノイズや、X線検出器列12のスパークなどが発生していると判断する。
【0035】
そして、X線画像形成部22は、無効と判定された無効ラインの検出結果に代えて、その無効ラインの近傍で有効と判定された複数の有効ラインの検出結果から得られる補間値を利用してX線画像を形成する。つまり、無効ラインにおける各X線検出器のX線カウント数は利用せず、無効ラインに隣接する2つの有効ラインにおける当該X線検出器のX線カウント数から補間値(例えば平均値)を算出し、無効ラインにおける当該X線検出器のX線カウント数とみなして、X線画像を形成する。
【0036】
なお、波形部分E3のように所定ライン数だけ連続的に無効と判定された場合には、測定全体が無効と判断されてもよい。その場合には、例えば、測定をやり直すように表示部24に警告などが表示されてもよい。
【0037】
図1のX線撮像装置は、被検体40内の骨などを映し出したX線画像を形成すると共に被検体40内の骨の密度(骨密度、骨塩量)を算出する機能を備えてもよい。骨の密度は例えばDXA法(Dual X-ray Absorptiometry:二重X線吸収法)などの公知の手法を用いて測定される。
【0038】
DXA法においては、高エネルギーX線と低エネルギーX線の2種類のエネルギーのX線11が利用される。つまり、X線発生器10は、各ラインごとに高エネルギーX線と低エネルギーX線を発生し、X線検出器列12は、各ラインごとに高エネルギーX線と低エネルギーX線の各々のX線カウント数を計数する。
【0039】
また、DXA法を用いて測定が行われる場合には、評価部20は、被検体の測定時に各ラインごとに高エネルギーX線と低エネルギーX線の各々のX線カウント数の適正を評価する。例えば、被検体の測定に先立って、高エネルギーX線について、60チャンネル(60個)程度のX線検出器から得られるX線カウント数(エアバリュー)の平均値AVと標準偏差SDに基づいて、上限基準値と下限基準値が設定され、同様に、低エネルギーX線についても、60チャンネル(60個)程度のX線検出器から得られるX線カウント数(エアバリュー)の平均値AVと標準偏差SDに基づいて、上限基準値と下限基準値が設定される。
【0040】
評価部20は、高エネルギーX線と低エネルギーX線の各々について、例えば「平均値AV+5×標準偏差SD=上限基準値」とし、「平均値AV−5×標準偏差SD=下限基準値」とする。もちろん、平均値AVと標準偏差SDに基づいて他の計算式に従って上限基準値と下限基準値が算出されてもよい。
【0041】
こうして、被検体の測定時に評価用検出器から得られる高エネルギーX線と低エネルギーX線の各々について、
図3を利用して説明したように、複数のラインに亘って各ラインごとにX線カウント数が有効か無効かが判定される。そして、DXA法を用いて測定が行われる場合には、評価部20は、高エネルギーX線に関する判定結果と低エネルギーX線に関する判定結果の組み合わせに応じた総合判定結果を出力する。
【0042】
図4は、評価部20による総合判定を説明するための図である。評価部20は、例えば、高エネルギーX線に関するX線カウント数が2ライン連続で無効と判定された場合に「高エネルギーエラー」と判断し、また、低エネルギーX線に関するX線カウント数が2ライン連続で無効と判定された場合に「低エネルギーエラー」と判断する。そして、高エネルギーエラーと低エネルギーエラーの組み合わせに応じて総合的な判定結果を出力する。
【0043】
例えば、
図4に示すように、高エネルギーエラーが未発生かつ低エネルギーエラーが未発生の場合には、被検体に関する測定が正常に行われたと総合判定される。また、高エネルギーエラーが発生かつ低エネルギーエラーが未発生の場合には、X線検出器列12のスパークであると総合判定され、例えばスパークである旨が表示部24に表示される。また、高エネルギーエラーが未発生かつ低エネルギーエラーが発生の場合には、監視領域(
図2の領域52)に何らかの障害物(例えば被検者の服など)があると総合判定され、例えば監視領域を確認させるようなメッセージが表示部24に表示される。そして、高エネルギーエラーが発生かつ低エネルギーエラーが発生の場合には、例えば装置の不具合を指摘するメッセージが表示部24に表示される。このように、評価部20が、高エネルギーX線に関する判定結果と低エネルギーX線に関する判定結果の組み合わせに応じた総合判定結果を出力するようにしてもよい。
【0044】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
【符号の説明】
【0045】
10 X線発生器、12 X線検出器列、20 評価部、22 X線画像形成部、24 表示部、30 制御部。