(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
原稿を読み取るための読取面を有する読取手段と、前記読取面に対して原稿を搬送する搬送手段と、前記読取面に対向して配置され、該読取面に沿って原稿の読み取りをガイドするガイド手段とを備えた原稿読取装置において、
前記ガイド手段は、背景色の異なる少なくとも2つの平面部が角度を持って形成され、前記各平面部が前記読取面に対向するように回転可能に設けられる背景切替体と、
該背景切替体を回転可能に保持すると共に、前記読取面を通過させる原稿をガイドするガイドホルダとを備え、
前記ガイドホルダが前記読取面に向けて揺動可能に配置されていることを特徴とする原稿読取装置。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送路中に設けられている読取部を通過する原稿の画像を静止した読取ユニットにて読み取る装置、いわゆるシートスルー型の原稿読取装置が知られている。このような原稿読取装置にあっては、読取位置における原稿の背景が原稿画像に影響を与えないようにするため、読取面(コンタクトガラス)に対向する位置に設けられるガイド板を白色部材によって構成している場合が多い。
【0003】
このような、白色部材からなるガイド板を用いた構成の原稿読取装置にあっては、両面に文字等の画像が記録された両面原稿の表面画像を読み取る際に、裏面側の画像も同時に読み取られる、いわゆる裏写りが生じ、正確な画像の読み取りができないという問題点があった。特に、この裏写りは、薄手の原稿の場合に顕著となっていた。
【0004】
このような裏写りを防止するために、白色部材と黒色部材とによる2つの背景面を有するガイド板を設け、原稿の種類に応じて白色部材と黒色部材とを切り替える切替機構を備えた構造の原稿読取装置がいくつか提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、画像読取手段に備わる読取面に対向するように、白色領域と黒色領域とを有する背景切替板を設け、この背景切替板をスライド移動機構によって水平方向にスライド移動させて背景を白又は黒に切り替える原稿読取装置が提案されている。また、特許文献2には、白面と黒面とを有する背景切替用ローラを読取面(コンタクトガラス)と対面させて設け、背景切替用ローラを駆動機構で回転させることで背景を白又は黒に切り替えるように制御する原稿読取装置が提案されている。
【0006】
これらの装置では、主にシェーディング補正データを取得する際に背景色を切り替えるようになっている。通常、片面原稿を読み取る際には白色系の背景板を読取位置に対向させておき、薄手の両面原稿を読み取る際に、黒色系の背景板が読取位置に対向するように移動させている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る原稿読取装置の実施形態を詳細に説明する。
図1に示すように本発明の原稿読取装置1は、第1の画像読取部4を有する本体ユニット2と、この本体ユニット2の上方に第2の画像読取部5を有して開閉可能に取り付けられる搬送読取ユニット3とを備えて構成されている。
【0014】
前記第1の画像読取部4では、第1の読取面である第1のコンタクトガラス6の上面を通過する原稿の一方の面(表面)を読み取り、第2の画像読取部5では、前記第1のコンタクトガラス6上を通過した原稿の他方の面(裏面)を第2の読取面である第2のコンタクトガラス7を通して読み取る。また、本体ユニット2の上面には、原稿を載置するための平面スペースを有する第3の読取面となる第3のコンタクトガラス8が設けられ、このコンタクトガラス8上にセットされた原稿を前記第1の画像読取部4が移動することによって読み取ることができるようになっている。
【0015】
前記第1の画像読取部4は、ランプなどの光源10、複数のミラー11,12,13,14,15,レンズ16,CCDなどの光電変換素子17等を備える。この第1の画像読取部4上を通過する原稿には、前記第1のコンタクトガラス6を介して光源10から発せられる光が照射される。そして、前記原稿面に照射されて反射した光をミラー11〜15によって何度か反射させた後、レンズ16を介して光電変換素子17で光電変換することで原稿の画像が読み取られる。
【0016】
本体ユニット2に設けられている第3のコンタクトガラス8は、ブック物等の厚手の原稿を固定した状態で読み取り操作する際に使用され、この第3のコンタクトガラス8の下面に沿って前記第1の画像読取部4を水平移動させることによって原稿の読取処理が行われる。
【0017】
次に、搬送読取ユニット3の構成について説明する。この搬送読取ユニット3は、
図1に示したように、複数枚の原稿を載置可能な給紙トレイ20と、載置された複数枚の原稿を繰出位置に昇降する支持トレイ21と、読取処理の終了した原稿を収納する排紙トレイ22とを備えている。
【0018】
また、この搬送読取ユニット3には、給紙トレイ20上に積載されている複数枚の原稿から1枚ずつ第1のコンタクトガラス6に向けて給紙する給紙路23と、この給紙路23から第1のコンタクトガラス6及び第2のコンタクトガラス7を経由して延びる中継路24と、この中継路24から排紙トレイ22の排紙口に連なる排紙路25とを有する。
【0019】
前記給紙トレイ20には、載置された原稿の両側部を規制する一対のサイドガイド26が設けられている。この一対のサイドガイド26は、一般的なラック及びピニオンを用いた連動機構によって連結されており、給紙トレイ20の原稿載置領域における原稿幅方向の中央基準に幅方向に互いに接近及び離反し、原稿の中央部を基準に位置付けるように構成されている。
【0020】
さらに、原稿を載置した支持トレイ21が上昇によって当接された原稿を繰り出すための繰出ローラ27と、繰り出された原稿を給送する給紙ローラ28と、この給紙ローラ28に圧接して原稿を1枚ずつに分離する分離パッド29と、1枚ずつに分離されて給紙される原稿の先端を突き当てて整合した後に下流側に送るレジストローラ対30とを備える。
【0021】
前記中継路24には、第1のコンタクトガラス6に向けて原稿を搬送するための送りローラ対31と、第1のコンタクトガラス6の上流側に配置される第1の搬送ローラ対32と、前記第1のコンタクトガラス6の下流側に配置される第2の搬送ローラ対33とが設けられている。また、前記第2の画像読取部5の下流側には、第3の搬送ローラ対34が設けられ、さらに、その先の排紙路25には、排紙トレイ22に排紙する排紙ローラ対33が設けられている。
【0022】
次に、前記第2の画像読取部5の詳細について説明する。この第2の画像読取部5は、
図2に示すように、第2のコンタクトガラス7に向けて搬送される原稿に光を照射するランプなどの光源41と、原稿からの反射光を所定の方向に導く複数のミラー42,43,44と、これら複数のミラーにより導かれた反射光を収束するレンズ45と、このレンズ45により収束された光を光電変換する光電変換素子46とを備えている。
【0023】
このような第2の画像読取部5を前記第1の画像読取部4の下流側に設けることによって、前記第1の画像読取部4を通過する原稿については表面を読み取り、第2の画像読取部5を通過する際には裏面を続けて読み取ることができる。このように、原稿が給紙トレイ20から排紙トレイ22に向けて搬送される間に、原稿の表面と裏面とを連続して読み取ることができるので、両面原稿の画像読取時間を大幅に短縮することができる。
【0024】
上述したような構造の原稿読取装置1にあっては、特に薄い紙質の両面原稿を読み取る際に、原稿の読み取る面とは反対側の画像を読み込んでしまう(裏写り)といった問題がある。そこで、本実施形態では、より確実且つ簡易に両面原稿の裏写りを防止して原稿の搬送ガイドを行うことのできる背景板を備えたガイド手段を設けた。以下、このガイド手段について詳細に説明する。
【0025】
図3は、搬送読取ユニット3内の第2の画像読取部5に対向して設けられるガイド手段50の構成を示したものである。このガイド手段50は、第2のコンタクトガラス7に対向するように回転可能に配置される背景切替体51と、この背景切替体51の回転面に設けられる2つの平面部52a,52bを有する背景板52と、背景切替体51を回転可能且つ揺動可能に保持するガイドホルダ55とを備えて構成されている。前記背景切替体51は、ガイドホルダ55の一端を凹設した凹部内に背景板52が露出するようにして、一対の回転軸53a,53bを介して回転支持されている。また、前記ガイドホルダ55の上部には、第2のコンタクトガラス7を通過した原稿を第3の搬送ローラ対34に向けてガイドするガイド板56が一体に設けられている。
【0026】
前記ガイドホルダ55は、下流側の一端が回動ピン57を介して搬送読取ユニット3に軸支持され、底部には前記背景切替体51を第2のコンタクトガラス7側に付勢させるための付勢部材(付勢バネ)58が第3のコンタクトガラス8に当接する当接板54との間に設けられている。このため、前記背景板52と一体に回転する背景切替体51が第2のコンタクトガラス7に対して近接及び離間する方向に揺動自在となる。符号59は原稿を背景板52の各平面部52a,52bにガイドするための可撓性のフィルム部材59である。このフィルム部材59は、上流側の一端が前記ガイドホルダ55に取り付けられ、下流側はフリーの状態で各平面部52a,52bの上面まで延設されている。
【0027】
前記背景板52は、原稿の搬送方向に直交する幅サイズに合わせた長方形状の2つの平面部52a,52bからなり、このそれぞれの平面部52a,52bは所定の角度を持たせて形成されている。また、前記各平面部52a,52bは、それぞれ異なった背景色となっている。本実施形態では、原稿幅方向に延びる板材をL字状に成形あるいは折曲げ等によって互いに直交する平面部52a,52bを形成したものであり、一方の平面部52aが白色系の背景面(白色面)で、他方の平面部52bが黒色系の背景面(黒色面)となっている。前記背景板52は、プラスチック等の樹脂材あるいは金属材によって形成され、表面に白色及び黒色の塗料を塗布、あるいは、白色及び黒色のシール材を貼付する等によって、各背景面を構成している。
【0028】
したがって、片面にのみ画像が形成された片面原稿を読み取る場合は、前記背景板52の白色面52aを第2のコンタクトガラス7に対向させ、両面に画像が形成されている両面原稿を読み取る場合には、黒色面52bを第2のコンタクトガラス7に対向させるように切り替えることで、原稿の裏写りによる画像読取不良を防止することが可能となる。
【0029】
図4及び
図5に前記背景板52を備えた背景切替体51の構造を示す。この背景切替体51は、前記背景板52を支持する支持部材60と、この支持部材60の長手方向に対向して設けられ、その中心部から回転軸53a,53bが突出する一対の側板62a,62bとを備える。
【0030】
前記側板62a,62bには、それぞれの四隅に高さ幅が略等しい四片の突起部63a〜63d、64a〜64dが一体に形成されている。前記突起部63a,64aは白色面52aの長手方向の両角部に対応し、突起部63c,64cは黒色面52bの長手方向の両角部に対応して設けられる。また、突起部63b,64bは白色面52aと黒色面52bとが交差する両角部に対応して設けられ、突起部63d,64dは前記突起部63b,64bとそれぞれ対角線上に対向した位置に設けられる。この突起部は、背景切替体51の回転に伴って常時第2のコンタクトガラス7に当接し、この第2のコンタクトガラス7と前記背景板52の白色面52a及び黒色面52bとの間に原稿を通過させるための一定のギャップが保持される。また、前記側板62a,62bの前記背景板52の背面側に面した部分は円弧状の張出部63e,64eとなっている。このような張出部63e,64eを設けることによって、ガイドホルダ55に設けられている回転ガイド部61の内周面に沿って背景切替体51の回転をスムーズにガイドすることができる。
【0031】
前記突起部は、ガイドホルダ55を底部側から付勢する付勢バネ58の付勢力によって第2のコンタクトガラス7に常時当接しており、この第2のコンタクトガラス7と背景板52の各平面部52a,52bとの間の間隔を一定に保持している。なお、全ての突起部は第2のコンタクトガラス7に設定されている有効読取領域外に当接するように設定されている。
【0032】
図6に示すように、前記支持部材60は、金属製の板状部材によって、前記背景板52と対向するような略L字状に形成される。この支持部材60は、長手方向の両端部がそれぞれ内側に折り曲げられ、折り曲げられた部分の側面に一対の回転軸53a、53bがそれぞれカシメ固定される。
【0033】
前記背景切替体51の内側面には複数のボス65と、タップが立てられた複数のネジ孔67とが設けられ、前記支持部材60には前記複数のポス65に係合する係合孔66と、前記ネジ孔67に係合する複数の固定ネジ68が貫通するための複数の貫通孔69が形成されている。つまり、背景板52はボス65を支持部材60の係合孔66に係合させることによって位置決めされる。また、支持部材60に開設されている貫通孔69を介して固定ネジ68をネジ孔67にねじ留めすることによって、支持部材60に背景板52を一体固定させている。なお、本実施形態においては、ボス65、ネジ孔67を背景板52の原稿幅方向の両端側と略中央部の3箇所に設け、ボス65はその先端部のみが係合孔66に挿入されるように段差状に形成されている。そして、この段差状の段差部が支持部材60の平面部に当接するまで固定ネジ68によってねじ留めすることで、背景板52の白色面52a及び黒色面52bがそれぞれ対向する支持部材60の各平面部とが略平行となり、L字状に成形された背景板52を保持するとともに、曲がり等の変形を矯正することができる。
【0034】
前記背景切替体51は、
図7に示すように、駆動モータMTを有する回転駆動機構によって回転制御される。この回転駆動機構は、駆動モータMTと、この駆動モ−タMTの回転力を背景切替体51の各回転軸53a,53bに伝達する複数のギヤZ1〜Z8とで構成される。ここで、第1〜第4ギヤ(Z1〜Z4)の回転軸は駆動モータMTを支持するブラケット70に回転自在に取り付けられ、第6〜第8ギヤ(Z6〜Z8)の回転軸はガイドホルダ55の支持フレーム71に対して回転自在に取り付けられる。なお、第5ギヤZ5の回転軸は、ガイドホルダ55を揺動可能に支持する回動ピン57と兼用になっている。このように、第6〜第8ギヤ(Z6〜Z8)をガイドホルダ55側に設けることによって、このガイドホルダ55がギヤZ5の回転軸(回動ピン)57を支点にして回動する構成となっているので、ガイドホルダ55の揺動をスムーズに行うことができるとともに、この揺動の際に各ギヤの連結が解除するようなことがない。また、第3ギヤZ3及び第4ギヤZ4の回転軸には前記背景板52のホームポジションを検出するための検出フラグ72が設けられ、ポジションセンサ73によって前記背景板52の位置検出を行う。
【0035】
次に、前記背景板52の切替動作について説明する。
図8は背景板52の回転切替動作を示す作用図、
図9(a)は背景切替のイニシャル動作のフロー図、
図9(b)は背景板の回転動作のフロー図である。
【0036】
原稿読取装置1の主電源をONすることによって、背景切替体51が
図7(a)に示したような回転位置となるようにイニシャル動作が開始される。このイニシャル動作では、
図8(a)に示すように、先ず、ポジションセンサ73が検出フラグ72を検出(ON)しているか否かを判断する(ST10)。検出していなければ背景板52がホームポジションにないと判断し、駆動モータMTを正転駆動(ST11)し、ポジションセンサ73が検出フラグ72を検出するまで背景切替体51の回転駆動を継続する(ST12)。そして、ポジションセンサ73が検出フラグ72を検出した時点で駆動モータMTを停止する(ST13)。これによって、背景板52がホームポジションに位置付けられる。なお、本実施形態における背景板52のホームポジションは、
図8(a)に示したように、背景板52の白色面52aが第2のコンタクトガラス7と平行に対向する回転位置となるように設定されている。
【0037】
前記イニシャル動作が完了した後、本体ユニット2から原稿の給紙指令信号と同時に背景色を白色にするか黒色にするかの背景切替信号を受信(ST20)すると、
図9(b)に示した背景切替動作が実行される。この背景切替動作は、給紙トレイ20上の原稿を給紙する給紙動作の前に実行され、背景切替信号が白色背景を示す情報であれば、上述したインシャル動作で既に第2のコンタクトガラス7に対向した位置には背景板52の白色面52aが位置付けられている(
図8(a)参照)ため、背景切替動作は実行せずに終了する。背景切替信号が黒色背景を示す情報であれば、駆動モータMTを正転駆動(ST21)し、パルスカウンタのカウントを開始する(ST22)。この駆動モータMTの駆動によって、背景板52が
図8(b)に示したように、突起部63a,64a及び突起部63b,64bが第2のコンタクトガラス7に当接しつつ図中の矢印方向に回転する。このとき、背景板52の回転支点(回転軸53a,53b)と白色面52aとの距離はL字状の角部に向かって大きくなるため、ホルダガイド55は付勢バネ58の付勢力に抗して回動ピン57を支点として下方に押し下げられる。このようにして背景板52がガイドホルダ55とともに第2のコンタクトガラス7に近接及び離間する方向に揺動自在となっているので、本実施形態のような角部がL字状となっている背景板52の回転動作を支障なくスムーズに実行させることができる。
【0038】
次に、駆動モータMTの駆動パルスをカウントするカウンタ値が予め定められた設定パスル値に到達したならば、カウンタをリセットすると同時に駆動モータMTを停止する(ST24〜ST25)。これによって、
図8(c)に示したように、背景板52が約90°回転し、第2のコンタクトガラス7に黒色面52bが平行に対向するように位置付けられる。なお、駆動モータMTには、背景板52が90°回転するのに要するパルス値が予め設定される。
【0039】
このような背景切替動作によって、白色面52a又は黒色面52bのいずれか一方が第2のコンタクトガラス7と対向する位置に位置付けられると、原稿送り動作が実行され、
図1に示したように、片面原稿であれば第1の画像読取部4で原稿が読み取られた後、そのまま排紙トレイ22に排出される。一方、両面原稿であれば前記第1の画像読取部4で表面が読み取られた後に、第2の画像読取部5で裏面が読み取られて排紙トレイ22に排出される。このように、所定の原稿の読取処理が終了すると、再度イニシャル動作を実行によって、背景板52の白色面52aを第2のコンタクトガラス7に対向した位置に移動させて全ての動作を終了し、次の給紙指令があるまで待機する。
【0040】
前記背景切替信号は、操作者が本体ユニット2に設けられている操作パネルの背景切替ボタンを押すことによって送信するようにしてもよく、また、原稿の種類や読取モードに応じて切り替えるようにしてもよい。例えば、原稿の種類や読取モードに応じて切り替える場合は、「両面薄紙原稿」が操作パネル上で選択されたときや両面又は薄紙のモードが操作パネル上で選択されたとき、あるいは、両面モードと薄紙モードが同時に操作パネル上で選択されたときなどによって、背景色を白色から黒色に切り替えるようにすればよい。
【0041】
本実施形態では、背景板52が
図8(b)に示した矢印方向(搬送の上流側方向)にのみ回転するように駆動モータMTを一方向(正転)だけで駆動するようにしている。これは背景板52に接触するように配置されているフィルム部材59や背景板52の白色面51a又は黒色面51bに傷が付いたり、損傷したりしないようにするためである。また、駆動モータMTを正逆転させずに一方向に回転させることで、制御が簡易になり、回転の位置出し精度の誤差が少なくなるといった利点もある。
【0042】
次に、原稿の給紙から読取処理を経て排紙するまでの一連の流れを
図1に基づいて概説する。最初に給紙トレイ20上に原稿が載置されたことをエンプティセンサ(図示せず)が検知すると、繰出ローラ27及び給紙ローラ28が駆動する。これによって、前記給紙トレイ20上に載置された複数の原稿が順次繰り出され、分離パッド29によって1枚のシートに分離される。
【0043】
前記分離パッド29を経た原稿の先端をレジストセンサ(図示せず)が検知すると、その検知した時点から原稿を所定量搬送することによって、レジストローラ対30のニップ部に原稿の先端が突き当たって整合され、スキューが取り除去される。その後、レジストローラ対30、送りローラ対31及び第1〜第3の搬送ローラ対32、33、34が駆動する。前記原稿はU字状に延びる給紙路23に沿って搬送される間に表面と裏面が反転した状態で第1の画像読取部4から第2の画像読取部5を順に通過する。第1の画像読取部4を通過する際に原稿の表面が読み取られ、第2の画像読取部5を通過する際に前記原稿の反対面(裏面)が読み取られる。
【0044】
前記第2の画像読取部5を経た原稿の先端が第3の搬送ローラ対34に到達する前に、この第3の搬送ローラ対34と排紙ローラ対35とが駆動し、前記第1の画像読取部4及び第2の画像読取部5を経由して表裏両面が読み取られた原稿を排紙トレイ22に排紙する。なお、原稿の片面のみを読み取る場合は、第1の画像読取部4又は第2の画像読取部5のいずれか一方を選択する。
【0045】
以上説明したように、本発明の原稿読取装置1では、原稿の背景色を切り替えるための背景板52が白色面52a及び黒色面52bの2つの平面部からなり、これらの平面部が回転によって切り替わる構造となっている。このため、上記搬送読取ユニット3のような限られたスペース内に両面原稿を読み取るための第2の画像読取部5を設けた場合であっても、この第2の画像読取部5と対向するように前記背景板52を備えた背景色の切り替え機構を組み込むことができる。また、両面原稿の表面と裏面を原稿の搬送方向に沿って連続して読み取ることができるとともに、両面原稿の裏写りを確実に防止することができる。
【0046】
なお、本実施形態では、白色及び黒色の2つの背景面を構成するため白色面52aと黒色面52bとをL字状に連結した背景板52を使用したが、四角柱状の支持部材を用い、この支持部材の4方向のいずれか2つの側面を白色面、黒色面として構成することもできる。また、前記支持部材の互いに対向する一方の側面を一対の白色面に、他方の側面を一対の黒色面とすることで、半回転ごとに白色面と黒色面とが交互に切り替わるような構成にすることもできる。