特許第5666131号(P5666131)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コバレントマテリアル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5666131-細胞培養モジュール 図000002
  • 特許5666131-細胞培養モジュール 図000003
  • 特許5666131-細胞培養モジュール 図000004
  • 特許5666131-細胞培養モジュール 図000005
  • 特許5666131-細胞培養モジュール 図000006
  • 特許5666131-細胞培養モジュール 図000007
  • 特許5666131-細胞培養モジュール 図000008
  • 特許5666131-細胞培養モジュール 図000009
  • 特許5666131-細胞培養モジュール 図000010
  • 特許5666131-細胞培養モジュール 図000011
  • 特許5666131-細胞培養モジュール 図000012
  • 特許5666131-細胞培養モジュール 図000013
  • 特許5666131-細胞培養モジュール 図000014
  • 特許5666131-細胞培養モジュール 図000015
  • 特許5666131-細胞培養モジュール 図000016
  • 特許5666131-細胞培養モジュール 図000017
  • 特許5666131-細胞培養モジュール 図000018
  • 特許5666131-細胞培養モジュール 図000019
  • 特許5666131-細胞培養モジュール 図000020
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666131
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】細胞培養モジュール
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/00 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
   C12M3/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2009-523091(P2009-523091)
(86)(22)【出願日】2008年9月30日
(86)【国際出願番号】JP2008067703
(87)【国際公開番号】WO2009104296
(87)【国際公開日】20090827
【審査請求日】2011年4月22日
(31)【優先権主張番号】特願2008-40916(P2008-40916)
(32)【優先日】2008年2月22日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2008-172949(P2008-172949)
(32)【優先日】2008年7月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507182807
【氏名又は名称】コバレントマテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100113561
【弁理士】
【氏名又は名称】石村 理恵
(72)【発明者】
【氏名】今泉 幸文
(72)【発明者】
【氏名】北川 文彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 まどか
【審査官】 鈴木 崇之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−094718(JP,A)
【文献】 特開平04−126068(JP,A)
【文献】 特開平02−005851(JP,A)
【文献】 特開2004−057019(JP,A)
【文献】 特開2006−141290(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/094586(WO,A1)
【文献】 特表平07−504570(JP,A)
【文献】 特表2005−512503(JP,A)
【文献】 特表2005−514056(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第10249903(DE,A1)
【文献】 特表2002−500004(JP,A)
【文献】 特開平06−169755(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/109668(WO,A1)
【文献】 北川文彦 他、高気孔率セラミックス細胞培養担体の開発、第27回日本バイオマテリアル学会大会予稿集、2005, p.301
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00−3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Thomson Innovation
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面に細胞を培養する凹部が設けられ、前記第1面に対向する第2面を有し、前記凹部の表面から前記第2面まで連通した、平均気孔径が10nm以上10μm以下の気孔を有する多孔体からなる、セラミックスまたはガラスにより構成された細胞培養担体と、
前記細胞培養担体を内部空間に密閉可能に保持し、前記細胞培養担体によって、内部空間を前記第1面側の空間と第2面側の空間に分けられる密閉系部材と、
前記内部空間に培養液が充填された状態で、前記内部空間に保持された細胞培養担体の前記第2面に対して水圧を供給する水圧供給部と、
前記第1面側の空間に浮遊する培養された細胞を回収する細胞回収部と、
を備え、
前記水圧供給部が第2面に対して水圧を供給することにより、前記水圧を前記細胞培養担体の多孔質体を通して前記第2面から前記凹部表面まで伝達し、前記凹部で培養した細胞を前記凹部から剥離し、
前記剥離した、第1面側の空間内に浮遊する細胞を前記細胞回収部によって、回収することを特徴とする細胞培養モジュール。
【請求項2】
第1面に細胞を培養する凹部が設けられ、前記第1面に対向する第2面を有し、前記凹部の表面から前記第2面まで連通した、平均気孔径が10nm以上10μm以下の気孔を有する多孔体からなる、セラミックスまたはガラスにより構成された細胞培養担体と、
前記細胞培養担体を内部空間に密閉可能に保持し、前記細胞培養担体によって、内部空間を前記第1面側の空間と第2面側の空間に分けられる密閉系部材と、
前記内部空間に培養液が充填された状態で、前記内部空間に保持された細胞培養担体の前記第2面に対して水圧を供給する第1の水圧供給部と、
前記内部空間に培養液が充填された状態で、前記内部空間に保持された細胞培養担体の前記第1面の凹部に対して水圧を供給する第2の水圧供給部と、
前記第1面側の空間に浮遊する培養された細胞を回収する細胞回収部と、
を備え、
前記第2の水圧供給部により、凹部方向に水圧を供給しながら細胞を培養し、細胞培養後、前記第2の水圧供給部による水圧の供給を停止し、
前記第1の水圧供給部が前記第2面に対して水圧を供給することにより、前記水圧を前記細胞培養担体の多孔質体を通して前記第2面から前記凹部表面まで伝達し、前記凹部で培養した細胞を凹部から剥離し、
前記剥離した、第1面側の空間内に浮遊する細胞を前記細胞回収部によって、回収することを特徴とする細胞培養モジュール。
【請求項3】
前記第2の水圧供給部が、内部空間に保持された細胞培養担体の水平方向から水圧を供給することを特徴とする請求項2項に記載の細胞培養モジュール。
【請求項4】
前記内部空間に培養液を充填し、前記充填させた培養液を循環させる培養液循環系が更に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の細胞培養モジュール。
【請求項5】
第1面に細胞を培養する凹部が設けられ、前記第1面に対向する第2面を有し、前記凹部の表面から前記第2面まで連通した、平均気孔径が10nm以上10μm以下の気孔を有する多孔体からなる、セラミックスまたはガラスにより構成された細胞培養担体と、
前記細胞培養担体を内部空間に密閉可能に保持し、前記細胞培養担体によって、内部空間を前記第1面側の空間と第2面側の空間に分けられる密閉系部材と、
前記内部空間に培養液を充填し、前記充填させた培養液を循環させると共に、前記循環により前記内部空間に保持された細胞培養担体の前記第1面の凹部及び前記第2面に対して水圧を供給する培養液循環系と、
前記第1面側の空間に浮遊する培養された細胞を回収する細胞回収部と、
を備え、
前記培養液循環系が第2面に対して水圧を供給することにより、前記水圧を前記細胞培養担体の多孔質体を通して前記第2面から前記凹部表面まで伝達し、前記凹部で培養した細胞を凹部から剥離し、
前記剥離した、第1面側の空間内に浮遊する細胞を前記細胞回収部によって、回収することを特徴とする細胞培養モジュール。
【請求項6】
第1面に細胞を培養する凹部が設けられ、前記第1面に対向する第2面を有し、前記凹部の表面から前記第2面まで連通した、平均気孔径が10nm以上10μm以下の気孔を有する多孔体からなる、セラミックスまたはガラスにより構成された細胞培養担体と、
前記細胞培養担体を内部空間に密閉可能に保持し、前記細胞培養担体によって、内部空間を前記第1面側の空間と第2面側の空間に分けられる密閉系部材と、
前記内部空間に培養液を充填し、前記充填させた培養液を循環させると共に、前記循環により、前記内部空間に保持された細胞培養担体の前記第1面の凹部に対して水圧を供給する培養液循環系と、
前記内部空間に培養液が充填された状態で、前記内部空間に保持された細胞培養担体の前記第2面に対して水圧を供給する水圧供給部と、
前記第1面側の空間に浮遊する培養された細胞を回収する細胞回収部と、
を備え、
前記水圧供給部が第2面に対して水圧を供給することにより、前記水圧を前記細胞培養担体の多孔質体を通して前記第2面から前記凹部表面まで伝達し、前記凹部で培養した細胞を凹部から剥離し、
前記剥離した、第1面側の空間内に浮遊する細胞を前記細胞回収部によって、回収することを特徴とする細胞培養モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヒト骨髄液からの幹細胞の分離、目的とする組織細胞への分化・誘導、3次元培養技術、足場材料の開発等の進歩に伴い、細胞培養によって幹細胞から皮膚、骨、軟骨、血管、心臓弁、靭帯等の組織を作製することが可能となり、一部では、既に臨床応用が開始されている。
なお、このような細胞の培養にあっては、基板表面上にアレイ状やハニカム状等に規則配列され、種細胞を凝集させて保持する細胞培養セルを備えた細胞培養チップを用いる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
また、細胞培養担体と細胞とを含む培養液を収納する培養容器と、培養液中で細胞培養担体を移動させるための磁場を発生する磁場発生装置とを備える細胞培養装置が知られている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2005−27598号公報
【特許文献2】特開2004−313007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した特許文献1、2に示すような細胞培養技術は、細胞を培養させた後、前記細胞培養チップや前記細胞培養担体からの剥離作業が必要となる。この剥離作業は、通常、トリプシン処理等の酵素処理を用いて行う。
しかしながら、このような酵素処理を長時間行うと培養した細胞はある程度劣化してしまい、最悪、細胞自体が死滅する場合がある。また、トリプシン処理等の酵素処理は、非常に作業が煩雑という問題もある。
そこで、本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に剥離させることができる細胞培養モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る細胞培養モジュールは、第1面に細胞を培養する凹部が設けられ、前記第1面に対向する第2面を有し、前記凹部の表面から前記第2面まで連通した、平均気孔径が10nm以上10μm以下の気孔を有する多孔体からなる、セラミックスまたはガラスにより構成された細胞培養担体と、前記細胞培養担体を内部空間に密閉可能に保持し、前記細胞培養担体によって、内部空間を前記第1面側の空間と第2面側の空間に分けられる密閉系部材と、前記内部空間に培養液が充填された状態で、前記内部空間に保持された細胞培養担体の前記第2面に対して水圧を供給する水圧供給部と、前記第1面側の空間に浮遊する培養された細胞を回収する細胞回収部と、を備え、 前記水圧供給部が第2面に対して水圧を供給することにより、前記水圧を前記細胞培養担体の多孔質体を通して前記第2面から前記凹部表面まで伝達し、前記凹部で培養した細胞を前記凹部から剥離し、前記剥離した、第1面側の空間内に浮遊する細胞を前記細胞回収部によって、回収することを特徴とする。
このような構成とすることで、トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に剥離させることができる。
特に、前記細胞培養担体を構成する多孔体の気孔の平均気孔径が10nm以上10μm以下であり、前記気孔は前記細胞培養担体の前記凹部の表面から、前記第2面まで連通していることで、細胞培養担体の第2面に供給した水圧を、該細胞培養担体の凹部の表面まで伝達することができるため、細胞培養担体の凹部で培養した細胞を、細胞培養担体から容易に剥離させることができる。
【0005】
また、本発明に係る細胞培養モジュールは、第1面に細胞を培養する凹部が設けられ、前記第1面に対向する第2面を有し、前記凹部の表面から前記第2面まで連通した、平均気孔径が10nm以上10μm以下の気孔を有する多孔体からなる、セラミックスまたはガラスにより構成された細胞培養担体と、前記細胞培養担体を内部空間に密閉可能に保持し、前記細胞培養担体によって、内部空間を前記第1面側の空間と第2面側の空間に分けられる密閉系部材と、前記内部空間に培養液が充填された状態で、前記内部空間に保持された細胞培養担体の前記第2面に対して水圧を供給する第1の水圧供給部と、前記内部空間に培養液が充填された状態で、前記内部空間に保持された細胞培養担体の前記第1面の凹部に対して水圧を供給する第2の水圧供給部と、前記第1面側の空間に浮遊する培養された細胞を回収する細胞回収部と、を備え、前記第2の水圧供給部により、凹部方向に水圧を供給しながら細胞を培養し、細胞培養後、前記第2の水圧供給部による水圧の供給を停止し、前記第1の水圧供給部が前記第2面に対して水圧を供給することにより、前記水圧を前記細胞培養担体の多孔質体を通して前記第2面から前記凹部表面まで伝達し、前記凹部で培養した細胞を凹部から剥離し、前記剥離した、第1面側の空間内に浮遊する細胞を前記細胞回収部によって、回収することを特徴とする。
このような構成とすることで、軟骨細胞等の圧力に強い細胞を培養することができ、かつ、トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に剥離させることができる。
特に、前記細胞培養担体を構成する多孔体の気孔の平均気孔径が10nm以上10μm以下であり、前記気孔は前記細胞培養担体の前記凹部の表面から、前記第2面まで連通していることで、細胞培養担体の第2面に供給した水圧を、該細胞培養担体の凹部の表面まで伝達することができるため、細胞培養担体の凹部で培養した細胞を、細胞培養担体から容易に剥離させることができる。
ここで、前記第2の水圧供給部が、内部空間に保持された細胞培養担体の水平方向から水圧を供給することが望ましい。このような構成とすることで、本発明に係る細胞培養モジュールは灌流培養も可能となる。
また、前記内部空間に培養液を充填し、前記充填させた培養液を循環させる培養液循環系が更に設けられていることが望ましい。
【0006】
また、本発明に係る細胞培養モジュールは、第1面に細胞を培養する凹部が設けられ、前記第1面に対向する第2面を有し、前記凹部の表面から前記第2面まで連通した、平均気孔径が10nm以上10μm以下の気孔を有する多孔体からなる、セラミックスまたはガラスにより構成された細胞培養担体と、前記細胞培養担体を内部空間に密閉可能に保持し、前記細胞培養担体によって、内部空間を前記第1面側の空間と第2面側の空間に分けられる密閉系部材と、前記内部空間に培養液を充填し、前記充填させた培養液を循環させると共に、前記循環により前記内部空間に保持された細胞培養担体の前記第1面の凹部及び前記第2面に対して水圧を供給する培養液循環系と、 前記第1面側の空間に浮遊する培養された細胞を回収する細胞回収部と、を備え、前記培養液循環系が第2面に対して水圧を供給することにより、前記水圧を前記細胞培養担体の多孔質体を通して前記第2面から前記凹部表面まで伝達し、前記凹部で培養した細胞を凹部から剥離し、前記剥離した、第1面側の空間内に浮遊する細胞を前記細胞回収部によって、回収することを特徴とする。
このような構成とすることで、軟骨細胞等の圧力に強い細胞を培養することができ、かつ、トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に剥離させることができる。
特に、前記細胞培養担体を構成する多孔体の気孔の平均気孔径が10nm以上10μm以下であり、前記気孔は前記細胞培養担体の前記凹部の表面から、前記第2面まで連通していることで、細胞培養担体の第2面に供給した水圧を、該細胞培養担体の凹部の表面まで伝達することができるため、細胞培養担体の凹部で培養した細胞を、細胞培養担体から容易に剥離させることができる。
【0007】
また、本発明に係る細胞培養モジュールは、第1面に細胞を培養する凹部が設けられ、前記第1面に対向する第2面を有し、前記凹部の表面から前記第2面まで連通した、平均気孔径が10nm以上10μm以下の気孔を有する多孔体からなる、セラミックスまたはガラスにより構成された細胞培養担体と、前記細胞培養担体を内部空間に密閉可能に保持し、前記細胞培養担体によって、内部空間を前記第1面側の空間と第2面側の空間に分けられる密閉系部材と、前記内部空間に培養液を充填し、前記充填させた培養液を循環させると共に、前記循環により、前記内部空間に保持された細胞培養担体の前記第1面の凹部に対して水圧を供給する培養液循環系と、前記内部空間に培養液が充填された状態で、前記内部空間に保持された細胞培養担体の前記第2面に対して水圧を供給する水圧供給部と、前記第1面側の空間に浮遊する培養された細胞を回収する細胞回収部と、を備え、前記水圧供給部が第2面に対して水圧を供給することにより、前記水圧を前記細胞培養担体の多孔質体を通して前記第2面から前記凹部表面まで伝達し、前記凹部で培養した細胞を凹部から剥離し、前記剥離した、第1面側の空間内に浮遊する細胞を前記細胞回収部によって、回収することを特徴とする。
このような構成とすることで、軟骨細胞等の圧力に強い細胞を培養することができ、かつ、トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に剥離させることができる。
特に、前記細胞培養担体を構成する多孔体の気孔の平均気孔径が10nm以上10μm以下であり、前記気孔は前記細胞培養担体の前記凹部の表面から、前記第2面まで連通していることで、細胞培養担体の第2面に供給した水圧を、該細胞培養担体の凹部の表面まで伝達することができるため、細胞培養担体の凹部で培養した細胞を、細胞培養担体から容易に剥離させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に剥離させることができる細胞培養モジュールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。
図2】第1の実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。
図3】第1の実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。
図4】第1の実施形態の変形例に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。
図5】第2の実施形態に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。
図6】第2の実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。
図7】第3の実施形態に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。
図8】第3の実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。
図9】第3の実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。
図10】第3の実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。
図11】第4の実施形態に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。
図12】第5の実施形態に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。
図13】第5の実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。
図14】第5の実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。
図15】第6の実施形態に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。
図16】第6の実施形態の変形例に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。
図17】第7の実施形態に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。
図18】第7の実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。
図19】第7の実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。
【符号の説明】
【0012】
1 細胞培養モジュール
10 密閉系部材
20 培養液水圧供給部
30 細胞回収部
40 空気圧供給部
50 第2の培養液供給部
100 培養液循環系
130 フィーダー細胞(Feeder細胞)供給部
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について、図面を参照して、詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。
本実施形態に係る細胞培養モジュール1は、図1に示すように、密閉系部材10と、培養液水圧供給部20と、細胞回収部30とで構成されている。
密閉系部材10は、例えば、図1に示すように、下蓋10Aと、下蓋10A上に設けられた上蓋10Bと、下蓋10Aと上蓋10Bとを固定する固定部材15と、で構成されている。
【0014】
下蓋10Aは、図1に示すように、細胞培養担体Sを保持し、かつ、培養液を収容するための凹部10Aaを備える凹形状で構成されている。
上蓋10Bは、図1に示すように、下蓋10A上に設けられ、下蓋10Aと内部空間12を形成し、該内部空間12を密閉可能に保持するために、該下蓋10Aの凹部10Aaに密閉可能に契合する凸部10Baを備えている。
【0015】
細胞培養担体Sの保持は、例えば、図1に示すように、下蓋10Aの凹部10Aaの底部10Aa1にO−リング17aを配置し、O−リング17a上に細胞培養担体Sを配置し、細胞培養担体S上にO−リング17bを配置し、O−リング17a、細胞培養担体S及びO−リング17bを、下蓋10Aと上蓋10Bとを一体に固定する際に、上蓋10Bの凸部10Baで、O−リング17bを加圧することで、下蓋10Aの凹部10Aa内に細胞培養担体Sを保持する。
なお、下蓋10Aの凹部10Aaに、上蓋10Bの凸部10Baを契合させる際には、内部空間12が密閉可能に保持されるように、上蓋10Bの凸部10Baに設けられた窪みにO−リング17cを取り付けてから行う。
【0016】
下蓋10A及び上蓋10Bは、例えば、アクリル樹脂で構成されている。
固定部材15は、例えば、SUS304で構成されている。
O−リング17a、17b、17cは、例えば、フッ素系ゴムで構成されている。
なお、前記密閉系部材10は、本実施形態では、前述したように、下蓋10Aと上蓋10Bとが固定部材15により一体に固定された構成で説明しているが、本発明は、細胞培養担体Sを内部空間12に密閉可能に保持することができれば、上述した構成に限定されない。
【0017】
内部空間12に密閉可能に保持される細胞培養担体Sは、その表面(第1面)Saに細胞を培養するための凹部S1が設けられた多孔体で構成されている。
前記細胞培養担体Sは、ジルコニア、イットリア、チタニア、アルミナ、シリカ、ハイドロキシアパタイトおよびβ−リン酸三カルシウムのうちの少なくともいずれか1種のセラミックスまたはガラスにより構成される。これらのセラミックスまたはガラスは、生体安定性が高いため、好適である。
【0018】
培養液水圧供給部20は、下蓋10Aの底部10Aa1に一体に又は着脱可能に設けられ、該内部空間12に培養液を供給する。
培養液水圧供給部20は、例えば、図1に示すように、培養液を収容する培養液収容部22と、一端が該底部10Aa1に他端が該収容部22に取り付けられ、該収容部22に収容された培養液を該内部空間12に供給する培養液供給管24と、該供給管24に取り付けられ、該内部空間12に供給する培養液の供給量を制御する供給量制御部26と、該収容部22に取り付けられ培養液供給の際の供給圧を制御する供給圧制御部28とを備える。
【0019】
培養液収容部22は、例えば、樹脂性の収容容器で構成されている。
培養液供給管24は、例えば、樹脂性のチューブで構成されている。
供給量制御部26は、例えば、該培養液の供給量を制御する電磁弁で構成されている。電磁弁は図示しない制御部により、その開閉動作及び開閉量が制御され、その開閉量によって、該培養液の供給量が制御される。
供給圧制御部28は、例えば、培養液収容部22から培養液供給管24に対して高圧ガスを供給する高圧ガス供給装置で構成されている。
【0020】
更に、培養液水圧供給部20は、該内部空間12に保持された細胞培養担体Sの裏面側Sb(細胞培養担体Sの凹部S1が設けられた面(第1面)Saに対向する面(第2面))方向に液圧を与えることで、前記第2面Sbに水圧を供給する。
水圧を与える方法は、密閉された内部空間12に培養液が充填された状態で、該内部空間12に培養液を供給するように供給量制御部26及び供給圧制御部28を制御することで行う。
すなわち、内部空間12に培養液が充填された状態で、供給量制御部26を開状態として、供給圧制御部28により培養液の供給圧を大きくすることで大きい水圧が、供給圧を小さくすることで小さい水圧が細胞培養担体Sの第2面Sbに供給される。
【0021】
前記水圧を細胞培養担体Sの第2面Sbに与えることにより、細胞培養担体Sの凹部S1で培養された細胞は、細胞培養担体Sから剥離され、内部空間12に充填された培養液内に浮遊する。
なお、細胞培養担体Sの第2面Sbに供給した水圧を、該細胞培養担体Sの凹部S1の表面まで伝達させるためには、該細胞培養担体Sは多孔質体(多孔体)で構成されていることが必要である。
【0022】
より好ましくは、前記細胞培養担体Sを構成する多孔体の気孔の平均気孔径が10nm以上10μm以下であり、前記気孔は前記細胞培養担体Sの前記凹部S1の表面から、前記第2面Sbまで連通して設けられていることが好ましい。
このような構成とすることで、細胞培養担体Sの第2面Sbに供給した水圧を、該細胞培養担体Sの凹部S1の表面まで伝達することができるため、細胞培養担体Sの凹部S1で培養した細胞を、細胞培養担体Sから容易に剥離させることができる。
【0023】
細胞回収部30は、上蓋10Bの上部10Ba1に一体に又は着脱可能に設けられ、細胞培養担体Sの凹部S1で培養され、細胞培養担体Sの第2面Sbに供給した水圧により、細胞培養担体Sから剥離された細胞を培養液ごと密閉系部材10の内部空間12から回収する。
細胞回収部30は、例えば、図1に示すように、培養した細胞を培養液ごと収容する細胞収容部32と、一端が該上部10Ba1に、他端が該収容部32に取り付けられ、該内部空間12内で培養された細胞を培養液ごと該内部空間12から排出する細胞排出管34と、該排出管34に取り付けられ、該内部空間12から排出される培養液の排出量を制御する排出量制御部36とで構成されている。
【0024】
細胞収容部32は、例えば、樹脂性の収容容器で構成されている。
細胞排出管34は、例えば、樹脂性のチューブで構成されている。
排出量制御部36は、例えば、該排出量を制御する電磁弁で構成されている。電磁弁は図示しない制御部により、その開閉動作及び開閉量が制御され、その開閉量によって、該排出量を制御する。
【0025】
次に、図1に示す細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を、図2、3を用いて説明する。
図2、3は、本実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。
最初に細胞培養担体Sの第2面Sbに、フィーダー細胞(Feeder細胞)を設置する。
【0026】
次に、凹形状の下蓋10Aを用意し、下蓋10Aの底部10Aa1にO−リング17a、フィーダー細胞(Feeder細胞)が設置された細胞培養担体S及びO−リング17bをこの順で積層して下蓋10Aの凹部10Aa内に設置する。その後、下蓋10Aの凹部10Aa内に設置した細胞培養担体Sの凹部S1に培養する細胞を設置する。なお、培養する細胞が細胞培養担体Sの凹部S1に設置されると、前記設置した細胞は、細胞培養担体Sの表面に付着され、保持される。
【0027】
その後、上蓋10Bの凸部10Baの窪みにO−リング17cを挿入し、下蓋10Aの凹部10Aaと、上蓋10Bの凸部10Baとをそれぞれ契合させるように嵌め合わせ、固定部材15により下蓋10Aと上蓋10Bとを一体に固定して、内部空間12が形成された本実施形態に係る密閉系部材10を構成する。
その後、下蓋10Aの底部10Aa1に培養液水圧供給部20の培養液供給管24を取り付けると共に、上蓋10Bの上部10Ba1に細胞回収部30の細胞排出管34を取り付けることで、本実施形態に係る細胞培養モジュール1を構成する。
【0028】
次に、細胞回収部30の排出量制御部36を「開」状態とし(本実施形態では排出量制御部36の電磁弁を「開」状態として)、培養液水圧供給部20の供給量制御部26を「開」状態とし(本実施形態では供給量制御部26の電磁弁を「開」状態として)、更に、供給圧制御部28から供給圧を与えることで該内部空間12内に培養液が完全に満たされるまで、培養液収容部22から培養液を供給する。
内部空間12に培養液が完全に満たされた時点で供給圧制御部28からの供給圧を止めて、供給量制御部26を「閉」状態とし(本実施形態では供給量制御部26の電磁弁を「閉」状態とし)、同時に、細胞回収部30の排出量制御部36を「閉」状態(本実施形態では排出量制御部36の電磁弁を「閉」状態)とする。これによって、細胞培養担体Sの凹部S1に保持された細胞が培養される環境が整う(図2)。
【0029】
細胞培養後、細胞回収部30の排出量制御部36を「開」状態として内部空間12内の培養液の排出を開始すると共に、培養液水圧供給部20の供給量制御部26を「開」状態とし、更に、供給圧制御部28から供給圧を与えて内部空間12に新たに培養液の供給を開始する。この操作により、細胞培養担体Sの第2面Sb方向に、培養液水圧供給部20から液圧P1が供給される。この液圧P1により、細胞培養担体Sの第2面Sbには水圧が供給されるため、細胞培養担体Sの凹部S1で培養された細胞は、細胞培養担体Sの凹部S1の表面から剥離され、内部空間12内の培養液内に浮遊し、そのまま、培養液と共に、細胞回収部30の細胞排出管34を経て、細胞収容部32に回収される(図3)。
【0030】
以上より、本実施形態に係る細胞培養モジュールは、上述したような構成を備えているため、トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に剥離させることができる。
なお、本実施形態で説明した細胞回収部30は、図1では、上蓋10Bの上部10Ba1に、すなわち、細胞培養担体Sの凹部S1の上方(垂直方向)に設けられた構成で説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図4に示すように、下蓋10Aの凹部10Aaに保持された細胞培養担体Sの前記垂直方向と垂直に交差する水平方向(図4では紙面方向)に前記細胞回収部30の細胞排出管34を設置してもよい。
また、本実施形態では、該制御部26、36について電磁弁を用いた例で説明したが、例えば、シリンダー等で制御してもよく、単なる手動式の弁で構成してもよい。
【0031】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。
本実施形態に係る細胞培養モジュール2は、第1の実施形態で説明した図1に示す培養液水圧供給部20が、細胞培養担体Sの水平方向(図5では紙面方向)に配置され、図1に示す培養液水圧供給部20の位置に空気圧供給部40が設けられた点が異なる。その他は、第1の実施形態と同様なため説明を省略する。
【0032】
空気圧供給部40は、下蓋10Aの底部10Aa1に一体に又は着脱可能に設けられ、該内部空間12に充填された培養液に空気圧を供給することで、細胞培養担体Sの第2面Sbに水圧を供給する。
空気圧供給部40は、例えば、空気圧を発生させる空気圧発生装置42と、前記下蓋10Aの底部10Aa1に一体に又は着脱可能に設けられ、前記空気圧発生装置42で発生させた空気圧を該内部空間12に供給する空気圧供給管44とで構成されている。
空気圧発生装置42は、例えば、エアーシリンダーで構成されている。
空気圧供給管44は、例えば、樹脂性のチューブで構成されている。
【0033】
次に、図5に示す細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を、図6を用いて説明する。なお、第1の実施形態で説明した部分と重複する部分の説明は省略する。
図6は、本実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。
最初に、本実施形態に係る密閉系部材10を構成する。その後、下蓋10Aの底部10Aa1に空気圧供給部40の空気圧供給管44を取り付け、細胞培養担体Sの水平方向に培養液水圧供給部20の培養液供給管24を取り付け、更に、上蓋10Bの上部10Ba1に細胞回収部30の細胞排出管34を取り付けることで、本実施形態に係る細胞培養モジュール2を構成する。
【0034】
次に、細胞回収部30の排出量制御部36を「開」状態とし、培養液水圧供給部20の供給量制御部26を「開」状態とし、更に、供給圧制御部28から供給圧を与え、該内部空間12に培養液が完全に満たされるまで、培養液収容部22から培養液を供給する。
内部空間12内に培養液が完全に満たされた時点で供給圧制御部28から供給圧を止めて、供給量制御部26を「閉」状態とし、同時に、細胞回収部30の排出量制御部36を「閉」状態とする。これによって、細胞培養担体Sの凹部S1に保持された細胞が培養される環境が整う。
【0035】
細胞培養後、空気圧発生装置42により空気圧P2を該内部空間12内に保持された細胞培養担体Sの第2面Sb方向に充填された培養液に供給する。これによって、細胞培養担体Sの第2面Sbには水圧が供給される。この水圧により、細胞培養担体Sの凹部S1で培養された細胞は、細胞培養担体Sから剥離され、内部空間12内の培養液内に浮遊する(図6)。
【0036】
その後、培養液水圧供給部20の供給量制御部26を「開」状態とし、更に、供給圧制御部28から供給圧を与えて内部空間12に新たに培養液の供給を開始すると共に、細胞回収部30の排出量制御部36を「開」状態として内部空間12内の培養液の排出を開始すると、該内部空間12内に浮遊した培養された細胞は該培養液と共に、細胞回収部30の細胞排出管34を経て、細胞収容部32に回収される。
【0037】
以上より、本実施形態に係る細胞培養モジュールは、上述したような構成を備えているため、トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、細胞培養担体から容易に剥離させることができる。
なお、本実施形態に係る細胞培養モジュール2では、培養液水圧供給部20が、細胞培養担体Sの水平方向に配置され、該水平方向から該内部空間12に培養液を供給するが、該培養液の供給と共に、該内部空間12に培養液が充填された状態で、該内部空間12に液圧を与えて、該水平方向から水圧を供給してもよい。
この液圧を与える方法は、第1の実施形態で説明したのと同様であるため、説明を省略する。
このように、水平方向から該内部空間12に水圧を与えることで、該内部空間12内の培養液の流れを制御することができるため、灌流培養も可能となる。
【0038】
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。
本実施形態に係る細胞培養モジュール3は、第1の実施形態で説明した図4に示す細胞培養モジュールの該上部10Ba1に、新たに、該内部空間12に培養液を供給する第2の培養液水圧供給部50が設けられた点が異なる。その他は、第1の実施形態と同様なため、説明を省略する。
【0039】
第2の培養液水圧供給部50は、上蓋10Bの上部10Ba1に一体に又は着脱可能に設けられ、該内部空間12に培養液を供給する。
第2の培養液水圧供給部50は、図7に示すように、培養液を収容する培養液収容部52と、一端が該上部10Ba1に、他端が該収容部52に取り付けられ、該収容部52に収容された培養液を該内部空間12に供給する培養液供給管54と、該供給管54に取り付けられ該内部空間12に供給する培養液の供給量を制御する供給量制御部56と、該収容部52に取り付けられ培養液供給の際の供給圧を制御する供給圧制御部58とを備える。
【0040】
培養液収容部52は、例えば、樹脂性の収容容器で構成されている。
培養液供給管54は、例えば、樹脂性のチューブで構成されている。
供給量制御部56は、例えば、該培養液の供給量を制御する電磁弁で構成されている。電磁弁は図示しない制御部により、その開閉動作及び開閉量が制御され、その開閉量によって、該培養液の供給量を制御される
供給圧制御部58は、例えば、培養液収容部52から培養液供給管54に対して高圧ガスを供給する高圧ガス供給装置で構成されている。
【0041】
また、前記第2の培養液水圧供給部50は、該内部空間12に保持された細胞培養担体Sの凹部S1方向に液圧を与えることで、該凹部S1に水圧を供給する。
水圧を与える方法は、密閉された内部空間12に培養液が充填された状態で、該内部空間12に培養液を供給するように供給量制御部56及び供給圧制御部58を制御することで行う。
すなわち、内部空間12に培養液が充填された状態で、供給量制御部56を「開」状態として、供給圧制御部58により培養液の供給圧を大きくすることで大きい水圧が、供給圧を小さくすることで小さい水圧が細胞培養担体Sの凹部S1に供給される。
第2の培養液水圧供給部50により液圧を細胞培養担体Sの凹部S1方向に与えながら、凹部S1内で細胞を培養すると、軟骨細胞等の圧力に強い細胞を培養することができる。
【0042】
次に、図7に示す細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法を、図8から10を用いて説明する。
図8から10は、本実施形態に係る細胞培養モジュール3を用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。なお、第1の実施形態で説明した部分と重複する部分の説明は省略する。
最初に、本実施形態に係る細胞培養モジュール3を構成する。
【0043】
次に、細胞回収部30の排出量制御部36を「開」状態とし、培養液水圧供給部20の供給量制御部26を「開」状態とし、更に、供給圧制御部28から供給圧を与え、該内部空間12に培養液が完全に満たされるまで培養液を供給する。
この際、第2の培養液水圧供給部50においても同様に供給量制御部56及び供給圧制御部58を制御して培養液を供給してもよい。または、第2の培養液水圧供給部50のみで培養液を供給してもよい。
内部空間12内に培養液が完全に満たされた時点で供給圧制御部28からの供給圧を止めて、供給量制御部26を「閉」状態として、培養液水圧供給部20における培養液の供給を停止する。この際、同様に、細胞回収部30の排出量制御部36も「閉」状態とする(図8)。
【0044】
次に、第2の培養液水圧供給部50の供給量制御部56を「開」状態とし、供給圧制御部58から供給圧を与え、細胞培養担体Sの凹部S1方向に液圧P3を供給しながら細胞を培養する(図9)。
細胞培養後、供給圧制御部58からの供給圧を止めて、供給量制御部56を「閉」状態とし、細胞培養担体Sの凹部S1方向に対する液圧P3の供給を停止し、その後、細胞回収部30の排出量制御部36を「開」状態として内部空間12内の培養液の排出を開始すると共に、培養液水圧供給部20の供給量制御部26を「開」状態とし、更に、供給圧制御部28から供給圧を与えて内部空間12に新たに培養液の供給を開始する。この操作により、細胞培養担体Sの第2面Sb方向に、培養液水圧供給部20から液圧P1が供給される。この液圧P1により、細胞培養担体Sの第2面Sbには水圧が供給されるため、該細胞培養担体Sの凹部S1で培養された細胞は、細胞培養担体Sの凹部S1の表面から剥離され、内部空間12内の培養液内に浮遊し、そのまま、培養液と共に、細胞回収部30の細胞排出管34を経て、細胞収容部32に回収される(図10)。
【0045】
以上より、本実施形態に係る細胞培養モジュールは、上述したような構成を備えているため、軟骨細胞等の圧力に強い細胞を培養することができ、かつ、トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に剥離させることができる。
なお、本実施形態で説明した第2の培養液水圧供給部50は、第2の実施形態で説明したような図5に示す空気圧供給部40で構成してもよい。この場合、空気圧供給部40により、該内部空間12に充填された培養液に空気圧を供給することで、細胞培養担体Sの凹部S1に水圧を供給することができるため、本実施形態で説明した効果と同様な効果を得ることができる。
【0046】
(第4の実施形態)
図11は、第4の実施形態に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。
本実施形態に係る細胞培養モジュール4は、第3の実施形態で説明した図7に示す培養液水圧供給部20、第2の培養液水圧供給部50が、第2の実施形態で説明した空気圧供給部40に各々置き換えられ、また、細胞培養担体Sの水平方向に設けられた細胞回収部30に対向する方向に培養液水圧供給部20が新たに設けられた点が異なる。その他は、第3の実施形態と同様なため、説明を省略する。
下蓋10Aの底部10Aa1に取り付けられた空気圧供給部40は、前述した第2の実施形態と構成及び作用が同様であるため説明を省略する。また、上蓋10Bの上部Ba1に取り付けられた空気圧供給部40においても、前述した第3の実施形態と構成及び作用が同様であるため説明を省略する。
【0047】
次に、図11に示す細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明する。
なお、第1から第3の実施形態で説明した部分と重複する部分の説明は省略する。
最初に、本実施形態に係る細胞培養モジュール4を構成する。
次に、細胞回収部30の排出量制御部36を「開」状態とし、更に、培養液水圧供給部20の供給量制御部26を「開」状態とし、供給圧制御部28から供給圧を与え、該内部空間12に培養液が完全に満たされるまで、培養液収容部22から培養液を供給する。内部空間12内に培養液が完全に満たされた時点で、供給圧制御部28からの供給圧を止めて、細胞回収部30の排出量制御部36及び培養液水圧供給部20の供給量制御部26を「閉」状態とする。
【0048】
細胞培養の際には、上蓋10Bの上部Ba1に取り付けられた空気圧供給部40により、細胞培養担体Sの凹部S1上に水圧を供給しながら培養を行う。これによって、軟骨細胞等の圧力に強い細胞を培養することができる。
また、細胞培養中に、培養液水圧供給部20から該内部空間12内に細胞培養担体Sの水平方向に液圧を与えてもよい。このような構成とすることで内部空間12内の培養液の流れを制御することができ、灌流培養も可能となる。
【0049】
細胞培養後、下蓋10Aの底部10Aa1に取り付けられた空気圧供給部40により、細胞培養担体Sの第2面Sbに水圧を供給して、細胞培養担体Sの凹部S1で培養された細胞を細胞培養担体Sから剥離させて、内部空間12内の培養液内に浮遊させる。
その後、培養液供給部20の供給量制御部26を「開」状態とし、供給圧制御部28から供給圧を与え、内部空間12に新たに培養液の供給を開始すると共に、細胞回収部30の排出量制御部36を「開」状態とし、内部空間12内の培養液の排出を開始すると、該内部空間12内に浮遊した培養された細胞は該培養液と共に、細胞回収部30の細胞排出管34を経て、細胞収容部32に回収される。
【0050】
以上より、本実施形態に係る細胞培養モジュールは、上述したような構成を備えているため、軟骨細胞等の圧力に強い細胞を培養することができ、かつ、トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に剥離させることができる。更に、細胞培養担体Sの水平方向に設けられた細胞回収部30と対向する方向に培養液水圧供給部20が設けられているため、培養した細胞を細胞回収部32に回収するスピードが向上するという効果も有する。
【0051】
(第5の実施形態)
図12は、第5の実施形態に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。
本実施形態に係る細胞培養モジュール5は、第1の実施形態で説明した図4に示す培養液水圧供給部20に変え、内部空間12内の培養液を循環させる培養液循環系100が新たに設けられた点が異なる。その他は、第1の実施形態と同様なため、説明を省略する。
培養液循環系100は、例えば、図12に示すように、内部空間12内に充填された培養液を循環させる循環部110と、循環部110の循環方向(Dn or Up)を可変させる可変部120とで構成されている。
【0052】
循環部110は、培養液を事前に保持すると共に、循環された培養液を一時的に収容する培養液収容部112と、該収容部112に収容された培養液を該内部空間12内に供給する供給装置114と、該密閉系部材10、該収容部112及び供給装置114間を連結する配管116a、116b、116cと、配管116a、116cに取り付けられ、該循環部110の循環のON/OFF及びその循環量を制御する循環量制御部118a、118bとを備える。
【0053】
可変部120は、循環部110の配管116aに空気圧を供給する空気圧発生装置122と、一端が該配管116aに一体に又は着脱可能に連結され、他端が該発生装置122に接続された配管124と、配管124に取り付けられ、配管116aからの培養液の該発生装置122への侵入を防止すると共に、空気圧のON/OFFを制御する空気圧制御部126とで構成されている。
【0054】
培養液収容部112は、例えば、樹脂性の収容容器で構成されている。
供給装置114は、例えば、ポンプで構成されている。
配管116a、116b、116cは、例えば、樹脂性のチューブで構成されている。
循環量制御部118a、118bは、例えば、第1の実施形態で説明したような電磁弁で構成されている。
空気圧発生装置122は、例えば、エアーシリンダーで構成されている。
配管124は、例えば、樹脂性のチューブで構成されている。
空気圧制御部126は、例えば、第1の実施形態で説明したような電磁弁で構成されている。
【0055】
本実施形態に示す細胞培養モジュール5では、前述した制御部118a、118b、126の開閉動作を駆使して、密閉系部材10と循環部110との間の循環方向(Dn、Up)を制御する。循環方向がDnとなるように制御部118a、118b、126の開閉動作を制御すると、培養液が密閉系部材10と循環部110との間を循環し、その循環方向(Dn)に液圧が加わるため、細胞培養担体Sの凹部S1に水圧が供給される。また、循環方向がUpとなるように制御部118a、118b、126の開閉動作を制御すると、培養液が密閉系部材10と循環部110との間を循環し、その循環方向(Up)に液圧が加わるため、細胞培養担体Sの第2面Sbに水圧が供給される。制御部118a、118b、126の開閉動作の制御は後述する。
【0056】
次に、図12に示す細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法を、図13図14を用いて説明する。
図13、14は、本実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。なお、第1の実施形態で説明した部分と重複する部分の説明は省略する。
最初に、本実施形態に係る細胞培養モジュール5を構成する。
【0057】
次に、循環量制御部118a、118bを「開」状態とし、排出量制御部36を「閉」状態とし、予め培養液が収容されている培養液収容部112から供給装置114を用いて、密閉系部材10の内部空間12内に培養液を完全に満たされるまで供給する。
なお、前記培養液を供給する方向は、空気圧制御部126の開閉動作により制御することができる。すなわち、空気圧制御部126を「開」状態とすることで前記供給する方向をDn、空気圧制御部126を「閉」状態とすることで前記供給する方向をUpに制御することができる。
【0058】
次に、該内部空間12内に培養液が完全に満たされた状態で、前記培養液を供給する方向をDnとする。なお、内部空間12内に培養液を供給する際の方向がDnであった場合はそのまま継続し、該方向がUpであった場合は、供給する方向をDnに変えて継続する。この培養液の供給を継続させることで、培養液を密閉系部材10の内部空間12と循環部110との間を循環させる。
このように、培養液の供給する方向をDnに継続させることで、培養液が密閉系部材10と循環部110との間を循環されつつ、細胞培養担体Sの凹部S1方向に液圧P4が供給される(図13)。そのため、骨細胞等の圧力に強い細胞も培養することができる。
【0059】
細胞培養後、空気圧制御部126を「閉」状態とすることで供給方向をUpとする。
このように、培養液の供給する方向をUpとすることで、細胞培養担体Sの第2面Sbに液圧P5が供給される。この液圧により、該細胞培養担体Sの凹部S1で培養された細胞は、細胞培養担体Sの凹部S1から剥離され、内部空間12内の培養液内に浮遊する(図14)。
その後、排出量制御部36を「開」状態とし、制御部118bを「閉」状態とすることで、該培養液と共に、培養された細胞は、細胞回収部30の細胞排出管34を経て、細胞収容部32に回収される。
【0060】
以上より、本実施形態に係る細胞培養モジュールは、上述したような構成を備えているため、軟骨細胞等の圧力に強い細胞を培養することができ、かつ、トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に剥離させることができる。また、培養液を循環させることができるため、灌流培養も可能となる。
【0061】
(第6の実施形態)
図15は、第6の実施形態に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。
本実施形態に係る細胞培養モジュール6は、第1の実施形態で説明した培養液供給部20の培養液供給管24にフィーダー細胞(Feeder細胞)を供給するフィーダー細胞(Feeder細胞)供給部130を新たに備える点が異なる。その他は、第1の実施形態と同様なため、説明を省略する。
【0062】
フィーダー細胞(Feeder細胞)供給部130は、培養液供給管24に一体に又は着脱可能に設けられ、該内部空間12に培養液と共にフィーダー細胞(Feeder細胞)を供給する。
フィーダー細胞(Feeder細胞)供給部130は、図15に示すように、フィーダー細胞(Feeder細胞)及び培養液を収容する細胞収容部132と、一端が培養液供給管24に、他端が該収容部132に取り付けられ、該収容部132に収容されたフィーダー細胞(Feeder細胞)及び培養液を該内部空間12に供給する細胞供給管134と、該供給管134に取り付けられ、該内部空間12に供給するフィーダー細胞(Feeder細胞)及び培養液の供給量を制御する供給量制御部136と、該収容部132に取り付けられフィーダー細胞(Feeder細胞)及び培養液の供給の際の供給圧を制御する供給圧制御部138とで構成されている。
【0063】
細胞収容部132は、例えば、樹脂性の収容容器で構成されている。
細胞供給管134は、例えば、樹脂性のチューブで構成されている。
供給量制御部136は、例えば、第1の実施形態と同様に電磁弁で構成されている。
供給圧制御部138は、例えば、細胞収容部132から細胞供給管134に対して高圧ガスを供給する高圧ガス供給装置で構成されている。
【0064】
なお、フィーダー細胞(Feeder細胞)を内部空間12に供給する方法は、例えば、培養液水圧供給部20から培養液を該内部空間12に供給する際、供給量制御部136を「開」状態とし、供給圧制御部138から供給圧を与え、細胞収容部132内のフィーダー細胞(Feeder細胞)及び培養液を同時に供給する。これによって、フィーダー細胞(Feeder細胞)は、そのまま、培養液供給管24内を培養液と共に流れていき、細胞培養担体Sの第2面Sbに付着される。
【0065】
本実施形態に係る細胞培養モジュールは、このような構成とすることで、細胞培養担体Sの第2面Sbにフィーダー細胞(Feeder細胞)を別作業で設置する必要が無く、作業が効率的になる。また、直接、細胞培養モジュール内で、細胞培養担体Sの第2面Sbにフィーダー細胞(Feeder細胞)を付着させることができるため、細胞培養の際の汚染も防止することができる。
また、本実施形態で説明したフィーダー細胞(Feeder細胞)供給部130は、前述したその他の実施形態に適用してもよい。なお、前述した第5の実施形態に係る細胞培養モジュール5に適用する場合は、図16に示すような構成を備えるとよい。
【0066】
(第7の実施形態)
図17は、第7の実施形態に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。
本実施形態に係る細胞培養モジュール7は、第5の実施形態で説明した培養液循環系100が、培養液循環系100aに置き換えられた点が異なる。その他は、第5の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
培養液循環系100aは、例えば、図17に示すように、内部空間12内に充填された培養液を循環させる循環部110aと、内部空間12に充填された培養液に空気圧を供給することで、細胞培養担体Sの第2面Sbに水圧を供給する空気圧供給部140と、で構成されている。
【0067】
循環部110aは、培養液を事前に保持すると共に、循環された培養液を一時的に収容する培養液収容部112と、該収容部112に収容された培養液を該内部空間12内に循環方向Dnから供給する供給装置114aと、該密閉系部材10、該収容部112及び供給装置114a間を連結する配管116a、116b、116cと、配管116a、116cに取り付けられ、該循環部110aの循環のON/OFF及びその循環量を制御する循環量制御部118a、118bとを備える。
空気圧供給部140は、例えば、空気圧を発生させる空気圧発生装置142と、一端が該配管116aに一体に又は着脱可能に連結され、他端が空気圧発生装置142に接続された配管144と、配管144に取り付けられ、配管116aからの培養液の空気圧発生装置142への侵入を防止すると共に、空気圧のON/OFFを制御する空気圧制御部146とで構成されている。
【0068】
培養液収容部112は、例えば、樹脂性の収容容器で構成されている。
供給装置114aは、例えば、ポンプで構成されている。
配管116a、116b、116cは、例えば、樹脂性のチューブで構成されている。
循環量制御部118a、118bは、例えば、第1の実施形態で説明したような電磁弁で構成されている。
空気圧発生装置142は、例えば、エアーシリンダーで構成されている。
配管144は、例えば、樹脂性のチューブで構成されている。
空気圧制御部146は、例えば、第1の実施形態で説明したような電磁弁で構成されている。
【0069】
本実施形態に示す細胞培養モジュール7では、該内部空間12内に循環方向Dnから培養液を供給する供給装置114aにより、該内部空間12内に培養液を充填し、前記充填させた培養液を循環方向Dnから循環させる。この循環により前記内部空間12に保持された細胞培養担体Sの凹部S1に水圧が供給される。また、空気圧供給部140により、該内部空間12に充填された培養液に空気圧を供給することで、細胞培養担体Sの第2面Sbに水圧を供給される。
【0070】
次に、図17に示す細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法を、図18図19を用いて説明する。
図18、19は、本実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。なお、第1の実施形態で説明した部分と重複する部分の説明は省略する。
最初に、本実施形態に係る細胞培養モジュール7を構成する。
次に、循環量制御部118a、118bを「開」状態とし、排出量制御部36を「閉」状態とし、空気圧制御部146を「閉」状態とし、予め培養液が収容されている培養液収容部112から供給装置114aを用いて、循環方向Dnから密閉系部材10の内部空間12内に培養液を供給する。
【0071】
該内部空間12内に培養液が完全に満たされた状態で、そのまま供給を継続し、培養液を密閉系部材10の内部空間12と循環部110aとの間を循環させる。
このように、培養液の供給する方向をDnに継続させることで、細胞培養中においても培養液が密閉系部材10と循環部110aとの間を循環されつつ、細胞培養担体Sの凹部S1方向に液圧P6が供給される(図18)。そのため、骨細胞等の圧力に強い細胞も培養することができる。
細胞培養後、循環量制御部118a、118bを「閉」状態とし、排出量制御部36を「閉」状態とし、空気圧制御部146を「開」状態とすることで該内部空間12に充填された培養液に空気圧を供給することで、細胞培養担体Sの第2面Sbに液圧P7が供給される。この液圧により、該細胞培養担体Sの凹部S1で培養された細胞は、細胞培養担体Sの凹部S1から剥離され、内部空間12内の培養液内に浮遊する(図19)。その後、排出量制御部36を「開」状態にすることで、培養された細胞は、細胞回収部30の細胞排出管34を経て、細胞収容部32に回収される。
【0072】
以上より、本実施形態に係る細胞培養モジュールは、上述したような構成を備えているため、第5の実施形態と同様に、軟骨細胞等の圧力に強い細胞を培養することができ、かつ、トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に剥離させることができる。更に、第5の実施形態と比べて、細胞培養担体Sの第2面Sbに供給する液圧P7をより高精度に制御することができるため、培養する細胞毎に前記液圧P7の高精度な制御が可能となる。
【0073】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において、各種の設計変更や改良を行うことができる。
例えば、前述したように、第1、2の実施形態で説明した細胞培養モジュール1、2に、第5の実施形態で説明した培養液循環系100を更に設けてもよい。この場合、培養液循環系100を、第5の実施形態で説明したように凹部S1及び第2面Sbの両方に液圧(水圧)を供給するような構成としてもよく、単に、内部空間12内の培養液を循環させるためだけに、例えば、細胞培養担体Sの水平方向に対向するように配置してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19