(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記肌荒れ予防又は改善作用が、経皮水分蒸散量(TEWL:Transepidermal water loss)の亢進を抑制することとして定義されるものであることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の肌荒れ予防又は改善剤。
請求項1〜6の何れか一項に記載の肌荒れ予防又は改善剤を、皮膚外用剤全量に対し0.05質量%〜10質量%含有することを特徴とする、請求項7に記載の肌荒れ予防又は改善用の皮膚外用剤。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<本発明の肌荒れ改善剤>
本発明の肌荒れ予防又は改善剤は、前記一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩よりなることを特徴とする。本発明の肌荒れ予防又は改善剤は、前記一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の内、肌荒れ改善作用を有する成分であれば特段の限定なく適応することが出来る。本発明の肌荒れ予防又は改善作用には、保湿作用も包含される。また、本発明の肌荒れ予防又は改善剤は、皮膚バリア機能の低下による経皮水分蒸散量(TEWL:Transepidermal water loss)の亢進により生じる肌荒れ症状を対象とすることが好ま
しく、より好ましくは、経皮水分蒸散量の亢進による肌表面形状の異常による肌荒れを対象とした肌荒れ予防又は改善剤であることがより好ましい。皮膚バリア機能の低下による肌表面形状の異常による肌荒れとしては、痂皮形成、落屑等を伴うことのある肌荒れ等が好適に例示出来、この様な肌荒れにおいては、皮膚微小循環の不全等により皮膚表面形態の維持が困難になるほか、インタ
ーロイキン等の炎症因子が放出され、二次的炎症を生じる場合も存する。かかる炎症は、皮膚表面形状の変化異常を改善させないままでは治癒し難いとされるため、この様な炎症症状を伴う肌荒れの予防又は改善の意味においても、肌荒れを予防又は改善することは重要である。また、前記の肌荒れは、経皮水分蒸散量(TEWL:Transepidermal water loss)の亢進により生じる肌荒れと定義することが出来る
ため、本発明の肌荒れ改善剤は、経皮水分蒸散量により定義される肌荒れを対象とすることが好ましい。本発明における経皮水分蒸散量により定義される肌荒れとは、通常のTEWLの値に対し15%以上、より好ましくは、25%以上の亢進を以て、本発明では肌荒れ状態にあると定義する。また、本発明の前記一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩よりなる肌荒れ予防又は改善剤は、前記の肌荒れに対し肌荒れ予防又は改善作用を有する成分であれば特段の限定なく適応することが出来る。前記の肌荒れ予防又は改善作用を有する成分の内、より好ましいものを具体的に例示すれば、後述する実施例1に記載の「肌荒れ予防及び改善試験」において、5質量%ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液処置による経皮水分蒸散量の亢進が、コントロ
ール
群に比較し抑制される成分、即ち、五日目の被験サンプル投与群のTEWL測定値が、五日目のコントロ
ール群のTEWL測定値に比較し低い値を示す成分が好適に例示出来、さらに好ましくは、一日目のコントロ
ール群及び被験サンプル投与群の5質量%SDS水溶液処置前のTEWL値と、五日目のTEWL値の差に相当する△TEWL値を算出した場合に、被験物質投与群の
△TEWL値が、コントロ
ール群の△TEWL値と比較し、90%以下に抑制される成分が好適に例示出来る。また、自然治癒による経皮水分蒸散量の抑制効果が肌荒れ予防又は改善作用評価に影響を及ぼさない時期であれば、肌荒れ予防又は改善作用評価のための試験期間及びTEWL測定日に付いては特段の限定はない。また、肌荒れの如何に関わらず、△TEWL値を低下させる作用を有する成分を肌荒れ改善作用と定義する。
【0025】
ここで前記一般式(1)に表される化合物に付いて述べれば、式中、R
1は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R
2は、水素原子、無置換又は置換基を有する芳香族基、無置換又は置換基を有する芳香族基により置換されていてもよい炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、R
3は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、nは、1又は2の整数、mは、0〜3の整数を表す。前記R
1は、水素原子、炭素数
1〜8、より好ましくは、炭素数1〜4、の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、具体例を挙げれば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が好適に例示出来、より好ましくは、水素原子、メチル
基、エチル基が好適に例示出来る。前記R
2は、水素原子、無置換又は置換基を有する芳香族基、無置換又は置換基を有する芳香族基により置換されていてもよい炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、具体例を挙げれば、水素原子、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、ブチルオキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、アミノフェニル基、N−メチルフェニル基、N−エチルフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルアミノフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ピリジル基、ナフチル基、ビフェニル基、ベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、エトキシベンジル基、ヒドロキシベンジル基、アミノベンジル基、N−メチルアミ
ノベンジル基、N−エチルアミノベンジル基、クロロベンジル基、フルオロベンジル基、
トリフルオロメチルベンジル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基、フェニルエチル基、ナフチルエチル基、ビフェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルプロピル基、ビフェニルプロピル基、フェニルブチル基、ナフチルブチル基、ビフェニルブチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が好適に例示出来、より好ましくは、水素原子、フェニル基、ベンジル基、メチル基、エチル基が好適に例示出来る。前記R
3は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、具体例を挙げれば、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、ブチルオキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、アミノフェニル基、N−メチルフェニル基、N−エチルフェニル基、N
,N−ジメチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルアミノフェニル基、クロロフェニル基
、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ピリジル基、ナフチル基、ビフェニル基等が好適に例示出来、より好ましくは、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好適に例示出来る。前記nは、1又は2の整数を表し、より好ましくは、n=1が好適に例示出来る。前記mは、0〜3の整数を表し、m=0の場合がより好ましい。前記一般式(1)に表される化合物の
内、好ましいものとしては、前記一般式(2)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、より好ましくは、前記一般式(3)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来、さらに好ましくは、前記一般式(4)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。また、前記一般式(1)に表される化合物の内、好ましい化合物を具体的に例示すれば、N−ベンゾイルシステイン酸、N−(o−トルオイル)システイン酸(化合物1)、N−(m−トルオイル)システイン酸(化合
物2)、N−(p−トルオイル)システイン酸(化合物3)、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸(化合物4)、
N−(ビフェニルカルボニル)システイン酸(化合物5)
、N−(p−トルオイル)ホモシステイン酸(化合物6)、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。かかる化合物は、経皮水分蒸散量(TEWL値)測定による優れた肌荒れ改善作用、保湿作用を有する。また、かかる化合物は、親水性又は親油性媒体に対する溶解性に優れ、皮膚外用剤等への製剤化が容易であり、さらに、製剤中における安定性及び皮膚貯留性に優れ、皮膚外用剤等に配合した場合には、高い肌荒れ改善作用、保湿作用を発揮する。加えて、後述する抗炎症成分と共に皮膚外用剤に配合することにより、肌の肌表面形状の異常による肌荒れを対象とした肌荒れ予防又は改善に対し優れた効果を発揮する。
【0026】
ここで前記一般式(2)に表される化合物に付いて述べれば、式中、R
4は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R
5は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、nは、1又は2の整数、mは、0〜3の整数を表す。前記R
4は、水素原子、炭素数1〜8、より好ましくは、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、具体例を挙げれば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が好適に例示出来、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基が好適に例示出来る。前記R
5は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、具体例を挙げれば、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、ブチルオキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、アミノフェニル基、N−メチルフェニル基、N−エチルフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルアミノフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ピリジル基、ナフチル基、ビフェニル基等が好適に例示出来、より好ましくは、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好適に例示出来る。前記nは、1又は2の整数を表し、より好ましくは、n=1が好適に例示出来る。前記mは、0〜3の整数を表し、m=0の場合が
より好ましい。前記一般式(2)に表される化合物の内、前記一般式(3)又は(4)に表される化合物に含まれない化合物を具体的に例示すれば、N−(ベンジルカルボニル)
システイン酸、N−(メチルベンジルカルボニル)システイン酸、N−(エチルベンジルカルボニル)システイン酸、N−(プロピルベンジルカルボニル)システイン酸、N−(ブチルベンジルカルボニル)システイン酸、N−(メトキシベンジルカルボニル)システイン
酸、N−(エトキシベンジルカルボニル)システイン酸、N−(プロピルオキシベ
ンジルカルボニル)システイン酸、N−(ブチルオキシベンジルカルボニル)システイン酸、N−(ヒドロキシベンジルカルボニル)システイン酸、N−(アミノベンジルカルボニル)シス
テイン酸、N−(N’−メチルアミノベンジルカルボニル)システイン酸、N−(N’−エチルアミノベンジルカルボニル)システイン酸、N−(N’,N’−ジメチルアミノベンジル
カルボニル)システイン酸、N−(N’,N’−ジエチルアミノベンジルカルボニル)シス
テイン酸、N−(クロロベンジルカルボニル)システイン酸、N−(フルオロベンジルカルボニル)システイン酸、N−(ジフルオロベンジルカルボニル)システイン酸、N−(トリフルオロメチルベンジルカルボニル)システイン酸
、N−(ベンジルカルボニル)システ
イン
酸エチルエステル
、N−(メチルベンジルカルボニル)システイン
酸エチルエステル
、N−(エチルベンジルカルボニル)システイン
酸エチルエステル
、N−(プロピルベンジルカルボニル)システイン
酸エチルエステル
、N−(ブチルベンジルカルボニル)システ
イン
酸エチルエステル
、N−(メトキシベンジルカルボニル)システイン
酸エチルエステ
ル
、N−(エトキシベンジルカルボニル)システイン
酸エチルエステル
、N−(プロピルオキシベンジルカルボニル)システイン
酸エチルエステル
、N−(ブチルオキシベンジルカ
ルボニル)システイン
酸エチルエステル
、N−(ヒドロキシベンジルカルボニル)システ
イン
酸エチルエステル
、N−(アミノベンジルカルボニル)システイン
酸エチルエステル
、N−(N’−メチルアミノベンジルカルボニル)システイン
酸エチルエステル
、N−(N’−エチルアミノベンジルカルボニル)システイン
酸エチルエステル
、N−(N’,N’−ジ
メチルアミノベンジルカルボニル)システイン
酸エチルエスエル
、N−(N’,N’−ジエ
チルアミノベンジルカルボニル)システイン
酸エチルエステル
、N−(クロロベンジルカ
ルボニル)システイン
酸エチルエステル
、N−(フルオロベンジルカルボニル)システイ
ン
酸エチルエステル
、N−(ジフルオロベンジルカルボニル)システイン
酸エチルエステ
ル
、N−(トリフルオロメチルベンジルカルボニル)システイン
酸エチルエステル、N−(ベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(メチルベンジルカルボニル)ホモシステ
イン酸、N−(エチルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(プロピルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(ブチルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(メトキシベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(エトキシベンジルカルボニル
)ホモシステイン酸、N−(プロピルオキシベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−
(ブチルオキシベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(ヒドロキシベンジルカル
ボニル)ホモシステイン酸、N−(アミノベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(N’−メチルアミノベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(N’−エチルアミノベ
ンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(N’,N’−ジメチルアミノベンジルカルボ
ニル)ホモシステイン酸、N−(N’,N’−ジエチルアミノベンジルカルボニル)ホモシ
ステイン酸、N−(クロロベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(フルオロベンジルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(ジフルオロベンジルカルボニル)ホモシステイ
ン酸、N−(トリフルオロメチルベンジルカルボニル)ホモシステイン酸
、N−(ベンジルカルボニル)ホモシステイン
酸エチルエステル
、N−(メチルベンジルカルボニル)ホモ
システイン
酸エチルエステル
、N−(エチルベンジルカルボニル)ホモシステイン
酸エチ
ルエステル
、N−(プロピルベンジルカルボニル)ホモシステイン
酸エチルエステル
、N−(ブチルベンジルカルボニル)ホモシステイン
酸エチルエステル
、N−(メトキシベンジ
ルカルボニル)ホモシステイン
酸エチルエステル
、N−(エトキシベンジルカルボニル)
ホモシステイン
酸エチルエステル
、N−(プロピルオキシベンジルカルボニル)ホモシス
テイン
酸エチルエステル
、N−(ブチルオキシベンジルカルボニル)ホモシステイン
酸エ
チルエステル
、N−(ヒドロキシベンジルカルボニル)ホモシステイン
酸エチルエステル
、N−(アミノベンジルカルボニル)ホモシステイン
酸エチルエステル
、N−(N’−メチ
ルアミノベンジルカルボニル)ホモシステイン
酸エチルエステル
、N−(N’−エチルアミノベンジルカルボニル)ホモシステイン
酸エチルエステル
、N−(N’,N’−ジメチルア
ミノベンジルカルボニル)ホモシステイン
酸エチルエステル
、N−(N’,N’−ジエチル
アミノベンジルカルボニル)ホモシステイン
酸エチルエステル
、N−(クロロベンジルカ
ルボニル)ホモシステイン
酸エチルエステル
、N−(フルオロベンジルカルボニル)ホモ
システイン
酸エチルエステル
、N−(ジフルオロベンジルカルボニル)ホモシステイン酸]エチルエステル
、N−(トリフルオロメチルベンジルカルボニル)ホモシステイン
酸エチ
ルエステル、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(2)に表される化合物の内、好ましいものとしては、N−ベンゾイルシス
テイン酸、N−(o−トルオイル)システイン酸(化合物1)、N−(m−トルオイル)システイン酸(化合物2)、N−(p−トルオイル)システイン酸(化合物3)、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸(化合物4)、
N−(ビフェニルカルボニル)システイン
酸(化合物5)、N−(p−トルオイル)ホモシステイン酸(化合物6)、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。かかる化合物は、経皮水分蒸散量(TEWL値)測定による優れた肌荒れ改善作用、保湿作用を有する。また、かかる化合物は、親水性又は親油性媒体に対する溶解性に優れ、皮膚外用剤等への製剤化が容易であり、さらに、製剤中における安定性及び皮膚貯留性に優れ、皮膚外用剤等に配合した場合には、高い肌荒れ改善作用、保湿作用を発揮する。加えて、後述する抗炎症成分と共に皮膚外用剤に配合することにより、肌の肌表面形状の異常による肌荒れを対象とした肌荒れ予防又は改善に対し優れた効果を発揮する。
【0027】
ここで前記一般式(3)に表される化合物に付いて述べれば、式中、R
6は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R
7は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、nは、1又は2の整数を表す。前記R
6は、水素原子、炭素数1〜8、
より好ましくは、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、具体例を挙げれば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が好適に例示出来、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル
基が好適に例示出来る。前記R
7は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、具体例を挙げれば、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、ブチルオキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、アミノフェニル基、N−メチルフ
ェニル基、N−エチルフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルア
ミノフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ピリジル基、ナフチル基、ビフェニル基等が好適に例示出来、より好ましくは、より好ましくは、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好適に例示出来る。前記nは、1又は2の整数を表し、より好ましくは、n=1が好適に例示出来る。前記一般式(3)に表される化合物の内、前記
一般式(4)に表される化合物に含まれない化合物に関し具体例を挙げれば、N−(ベン
ゾイル)ホモシステイン酸、N−(メチルベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(エチルベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(プロピルベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(ブチルベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(メトキシベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(エトキシベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(プロピルオキシベンゾイル)ホモシステ
イン酸、N−(ブチルオキシベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(ヒドロキシベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(アミノベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(N’−メチルア
ミノベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(N’−エチルアミノベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(N’,N’−ジメチルアミノベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(N’,N’−ジエチルアミノベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(クロロベンゾイル)ホモシステイ
ン酸、N−(フルオロベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(ジフルオロベゾイル)ホモシステイン酸、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)ホモシステイン酸、N−(ナフチルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(ビフェニルカルボニル)ホモシステイン酸、N−(ベンゾイル)ホモシステイン酸メチルエステル、N−(メチルベンゾイル)ホモシステイン
酸メチルエステル、N−(エチルベンゾイル)ホモシステイン酸メチルエステル、N−(プロピルベンゾイル)ホモシステイン酸メチルエステル、N−(ブチルベンゾイル)ホモシ
ステイン酸メチルエステル、N−(メトキシベンゾイル)ホモシステイン酸メチルエステ
ル、N−(エトキシベンゾイル)ホモシステイン酸メチルエステル、N−(プロピルオキシベンゾイル)ホモシステイン酸メチルエステル、N−(ブチルオキシベンゾイル)ホモシ
ステイン酸メチルエステル、N−(ヒドロキシベンゾイル)ホモシステイン酸メチルエス
テル、N−(アミノベンゾイル)ホモシステイン酸メチルエステル、N−(N’−メチルア
ミノベンゾイル)ホモシステイン酸メチルエステル、N−(N’−エチルアミノベンゾイル)ホモシステイン酸メチルエステル、N−(N’,N’−ジメチルアミノベンゾイル)ホモ
システイン酸メチルエステル、N−(N’,N’−ジエチルアミノベンゾイル)ホモシステ
イン酸メチルエステル、N−(クロロベンゾイル)ホモシステイン酸メチルエステル、N−(フルオロベンゾイル)ホモシステイン酸メチルエステル、N−(ジフルオロベゾイル)
ホモシステイン酸メチルエステル、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)ホモシステイ
ン酸メチルエステル、N−(ナフチルカルボニル)ホモシステイン酸メチルエステル、N−(ビフェニルカルボニル)ホモシステイン酸メチルエステル、N−(ベンゾイル)ホモシ
ステイン酸エチルエステル、N−(メチルベンゾイル)ホモシステイン酸エチルエステル
、N−(エチルベンゾイル)ホモシステイン酸エチルエステル、N−(プロピルベンゾイル)ホモシステイン酸エチルエステル、N−(ブチルベンゾイル)ホモシステイン酸エチル
エステル、N−(メトキシベンゾイル)ホモシステイン酸エチルエステル、N−(エトキシベンゾイル)ホモシステイン酸エチルエステル、N−(プロピルオキシベンゾイル)ホモ
システイン酸エチルエステル、N−(ブチルオキシベンゾイル)ホモシステイン酸エチル
エステル、N−(ヒドロキシベンゾイル)ホモシステイン酸エチルエステル、N−(アミノベンゾイル)ホモシステイン酸エチルエステル、N−(N’−メチルアミノベンゾイル)ホモシステイン酸エチルエステル、N−(N’−エチルアミノベンゾイル)ホモシステイン酸エチルエステル、N−(N’,N’−ジメチルアミノベンゾイル)ホモシステイン酸エチル
エステル、N−(N’,N’−ジエチルアミノベンゾイル)ホモシステイン酸エチルエステ
ル、N−(クロロベンゾイル)ホモシステイン酸エチルエステル、N−(フルオロベンゾイル)ホモシステイン酸エチルエステル、N−(ジフルオロベゾイル)ホモシステイン酸エ
チルエステル、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)ホモシステイン酸エチルエステル
、N−(ナフチルカルボニル)ホモシステイン酸エチルエステル、N−(ビフェニルカルボニル)ホモシステイン酸エチルエステル、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(3)に表される化合物の内、好ましいものとしては、N−ベンゾイルシステイン酸、N−(o−トルオイル)システイン酸(化合物1)
、N−(m−トルオイル)システイン酸(化合物2)、N−(p−トルオイル)システイン酸(化合物3)、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸(化合物4)、
N−(ビフェ
ニルカルボニル)システイン酸(化合物5)、N−(p−トルオイル)ホモシステイン酸(化合物6)、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。かかる化合物は、経皮水分蒸散量(TEWL値)測定による優れた肌荒れ改善作用、保湿作用を有する。また、かかる化合物は、親水性又は親油性媒体に対する溶解性に優れ、皮膚外用剤等への製剤化が容易であり、さらに、製剤中における安定性及び皮膚貯留性に優れ、皮膚外用剤等に配合した場合には、高い肌荒れ改善作用、保湿作用を発揮する。加えて、後述する抗炎症成分と共に皮膚外用剤に配合することにより、肌の肌表面形状の異常による肌荒れを対象とした肌荒れ予防又は改善に対し優れた効果を発揮する。
【0028】
ここで前記一般式(4)に表される化合物に付いて述べれば、式中、R
8は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R
9は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表す。前記R
8は、水素原子、炭素数1〜8、より好ましくは、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、具体例を挙げれば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が好適に例示出来、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基が好適に例示出来る。前記R
9は、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、具体例を挙げれば、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、ブチルオキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、アミノフェニル基、N−メチルフェニル基、N−エチルフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルアミノフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ピリジル基、ナフチル基、ビフェニル基等が好適に例示出来、より好ましくは、より好ましくは、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好適に例示出来る。前記一般式(4)に表される化合物の内、好ましいものを具体的に例示すれば、N−(ベンゾイル)システイン酸、N−(メチルベンゾイル)システイン酸、N−(
エチルベンゾイル)システイン酸、N−(プロピルベンゾイル)システイン酸、N−(ブチルベンゾイル)システイン酸、N−(メトキシベンゾイル)システイン酸、N−(エトキシベンゾイル)システイン酸、N−(プロピルオキシベンゾイル)システイン酸、N−(ブチルオキシベンゾイル)システイン酸、N−(ヒドロキシベンゾイル)システイン酸、N−(アミノベンゾイル)システイン酸、N−(N’−メチルアミノベンゾイル)システイン酸、N−(N’−エチルアミノベンゾイル)システイン酸、N−(N’,N’−ジメチルアミノベ
ンゾイル)システイン酸、N−(N’,N’−ジエチルアミノベンゾイル)システイン酸、N−(クロロベンゾイル)システイン酸、N−(フルオロベンゾイル)システイン酸、N−(ジフルオロベゾイル)システイン酸、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)システイン
酸、N−(ナフチルカルボニル)システイン酸、N−(ビフェニルカルボニル)システイン
酸、N−(ベンゾイル)システイン酸メチルエステル、N−(メチルベンゾイル)システイン酸メチルエステル、N−(エチルベンゾイル)システイン酸メチルエステル、N−(プロピルベンゾイル)システイン酸メチルエステル、N−(ブチルベンゾイル)システイン酸
メチルエステル、N−(メトキシベンゾイル)システイン酸メチルエステル、N−(エトキシベンゾイル)システイン酸メチルエステル、N−(プロピルオキシベンゾイル)システ
イン酸メチルエステル、N−(ブチルオキシベンゾイル)システイン酸メチルエステル、N−(ヒドロキシベンゾイル)システイン酸メチルエステル、N−(アミノベンゾイル)シ
ステイン酸メチルエステル、N−(N’−メチルアミノベンゾイル)システイン酸メチルエステル、N−(N’−エチルアミノベンゾイル)システイン酸メチルエステル、N−(N’,N’−ジメチルアミノベンゾイル)システイン酸メチルエステル、N−(N’,N’−ジエチルアミノベンゾイル)システイン酸メチルエステル、N−(クロロベンゾイル)システイ
ン酸メチルエステル、N−(フルオロベンゾイル)システイン酸メチルエステル、N−(ジフルオロベゾイル)システイン酸メチルエステル、N−(トリフルオロメチルベンゾイル
)システイン酸メチルエステル、N−(ナフチルカルボニル)システイン酸メチルエステ
ル、N−(ビフェニルカルボニル)システイン酸メチルエステル、N−(ベンゾイル)システイン酸エチルエステル、N−(メチルベンゾイル)システイン酸エチルエステル、N−(エチルベンゾイル)システイン酸エチルエステル、N−(プロピルベンゾイル)システイ
ン酸エチルエステル、N−(ブチルベンゾイル)システイン酸エチルエステル、N−(メトキシベンゾイル)システイン酸エチルエステル、N−(エトキシベンゾイル)システイン
酸エチルエステル、N−(プロピルオキシベンゾイル)システイン酸エチルエステル、N−(ブチルオキシベンゾイル)システイン酸エチルエステル、N−(ヒドロキシベンゾイル
)システイン酸エチルエステル、N−(アミノベンゾイル)システイン酸エチルエステル
、N−(N’−メチルアミノベンゾイル)システイン酸エチルエステル、N−(N’−エチルアミノベンゾイル)システイン酸エチルエステル、N−(N’,N’−ジメチルアミノベン
ゾイル)システイン酸エチルエステル、N−(N’,N’−ジエチルアミノベンゾイル)シ
ステイン酸エチルエステル、N−(クロロベンゾイル)システイン酸エチルエステル、N−(フルオロベンゾイル)システイン酸エチルエステル、N−(ジフルオロベゾイル)シス
テイン酸エチルエステル、N−(トリフルオロメチルベンゾイル)システイン酸エチルエ
ステル、N−(ナフチルカルボニル)システイン酸エチルエステル、N−(ビフェニルカルボニル)システイン酸エチルエステル、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。前記一般式(4)に表される化合物の内、好ましいものとしては、N−ベンゾイルシステイン酸、N−(o−トルオイル)システイン酸(化合物1)、N−(m−トルオイル)システイン酸(化合物2)、N−(p−トルオイル)システイン酸(
化合物3)、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸(化合物4)、
N−(ビフェニ
ルカルボニル)システイン酸(化合物5)、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示出来る。かかる化合物は、経皮水分蒸散量(TEWL値)測定による優れた肌荒れ改善作用、保湿作用を有する。また、かかる化合物は、親水性又は親油性媒体に対する溶解性に優れ、皮膚外用剤等への製剤化が容易であり、さらに、製剤中における安定性及び皮膚貯留性に優れ、皮膚外用剤等に配合した場合には、高い肌荒れ改善作用、保湿作用を発揮する
。
【0029】
前記一般式(1)〜(4)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、市販されているシステイン酸、ホモシステイン酸、並びに、それらの誘導体を出発原料とし、例えば、「ペプチド合成の基礎と実験(丸善)」等に記載の方法
に従い、脱保護、カップリング及び保護基の導入反応を行うことにより製造することも出来るし、下記の製造方法により製造することも出来る。かかる化合物は、そのまま肌荒れ予防又は改善剤として使用することも出来るが、薬理学的に許容される酸又は塩基と共に処理し塩の形に変換し、塩として使用することも可能である。例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩などの鉱酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩などの有機酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属、トリエチルアミン塩、トリエタノ
ールアミン塩、アンモニウム塩、モノエタノ
ールアミン塩、ピペリジン塩等の有機アミン塩、リジン塩、アルギン酸塩等の塩基性アミノ酸塩などが好適に例示出来る。
【0030】
斯くして得られた前記一般式(1)〜(4)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩は、優れた肌荒れ予防又は改善作用を有するため、肌荒れ予防又は改善用の皮膚外用剤における有効成分として有用である。この様な作用を奏するには、前記一般式(1)〜(4)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩から選択される1種乃至は2種以上を、皮膚外用剤全量に対し総量で0.01質量%〜10質量%、より好ましくは、0.05質量%〜5質量%、さらに好ましくは、0.1質量%〜3質量%含有することが好ましい。これは、皮膚外用剤全量に対する前記一般式(1)〜(4)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の含有量が0.01質量%より少ないと、肌荒れ予防又は改善作用が低下し、また10質量%を超える量を配合しても、効果が頭打ちになるので、皮膚外用剤全量に対する前記の含有量が好ましい。
【0031】
【化11】
<製造例1: 化合物1のL異性体の合成>
N−(o−トルオイル)−L−システイン酸(化合物1のL異性体)
【0032】
L−システイン酸
3g(17.7mmol)(東京化成工業株式会社)、テトラヒドロフ
ラン 18(mL)(和光純薬工業株式会社)、水 1
8mLを10
0mL容ナス型フラスコに入れた後、氷浴にて冷却した。十分に冷却した後、炭酸カリウム 4.4
0g(31.6mmol)(和光純薬工業株式会社)を添加した。o−トルオイルクロリド 3.2
8g(東京
化成工業株式会社)を液温が上昇しないように順次添加した。添加後、氷浴を外し室温にて攪拌した。薄層クロマトグラフィ−で反応の進行を確認した後、テトラヒドロフラン(和光純薬工業株式会社)を減圧留去した。得られた残渣を酢酸エチル(和光純薬工業株式会社)にて洗浄した後、塩酸にてpHを2以下に調整した。濾液を濃縮し、水 2
0mLを添加した。析出した結晶を濾取し、結晶をアセトン(和光純薬工業株式会社)で懸洗した。濾取した結晶を60℃にて乾燥し、上記構造を有する化合物1のL異性体 0.7
8g
(2.72mmol)を得た。以下に、示性値を示す。
1H−NMR(D
2O):δ 2.31(3H,s)、3.42(2H,m)、4.86(1H,m)、7.24(2H,m)、7.35(2H,m).
FAB−MS(negative ion mode):M/z=286([M−H]
−)
【0033】
【化12】
<製造例2: 化合物2のL異性体の合成>
N−(m−トルオイル)−L−システイン酸(化合物2のL異性体)
【0034】
L−システイン酸
3g(17.7mmol)(東京化成工業株式会社)、テトラヒドロフ
ラン 18mL(和光純薬工業株式会社)、および、水 1
8mLを100
mL容ナス型フラスコに入れた後、氷浴にて冷却した。十分に冷却した後、炭酸カリウム 4.4
0g(31
.6mmol)(和光純薬工業株式会社)、m−トルオイルクロリド 2.1
9g(東京化成工業株式会社)を液温が上昇しないように順次添加した。氷浴下1時間反応させた後、m−
トルオイルクロリド 1.0
9g(東京化成工業株式会社)を再度添加した。添加後、氷浴を外し室温にて攪拌した。薄層クロマトグラフィ−で反応の進行を確認した後、テトラヒドロフラン(和光純薬工業株式会社)を減圧留去した。得られた残渣を酢酸エチル(和光純薬工業株式会社)にて洗浄した後、塩酸にてpHを2以下に調整した。濾液を濃縮し、水 1
8mLを添加した。4℃にて熟成した後、析出した結晶を濾別した。得られた結晶をアセトン(和光純薬工業株式会社)で懸洗し、濾取した。濾取した結晶を60℃にて乾燥し、上記構造を有する化合物2のL異性体 1.6
5g(5.74mmol)を得た。以下に、
示性値を示す。
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 2.36(3H,s)、2.94(2H,m)、4.41(1H,m)、7.36(2H、d)、7.58(2H,t)、8.84(1H,d)、12.5(1H,brs).
FAB−MS(
negative ion mode):M/z=286([M−H]
−)
【0035】
【化13】
<製造例3: 化合物3のL異性体の合成>
N−(p−トルオイル)−L−システイン酸(化合物3のL異性体)
【0036】
L−システイン酸1水和物
5g(26.7mmol)(シグマ アルドリッチ社)、1,
4−ジオキサン 2
0mL(和光純薬工業株式会社)、および、水 1
0mLを10
0mL容ナス型フラスコに入れた後、氷浴にて冷却した。十分に冷却した後8(N)水酸化ナトリウム水溶液 10.
7mL、p−トルオイルクロリド 3.3
6mL(シグマ アルドリッチ社)を液温が上昇しないように順次滴下した。滴下終了後、氷浴を外し室温にて攪拌した。薄層クロマトグラフィ−で反応の進行を確認した後、1,4−ジオキサン(和光純薬工業株式会社)を減圧留去した。得られた残渣を酢酸エチル(和光純薬工業株式会社)にて洗浄した後、塩酸にてpHを2以下に調整した。得られた水溶液を凍結乾燥し、メタノ
ール(和光純薬工業株式会社)で目的物を抽出した。メタノ−ルを減圧留去した後、結晶化し、ろ過した。濾取した結晶を乾燥し、上記構造を有する化合物3のL異性体 5.7
9g(
20.2mmol)を得た。以下に示性値を示す。
1H−NMR(D
2O):δ 2.32(3H,s)、3.46(2H,m)、4.87(1H,m)、7.25(2H,d)、7.64(2H
,d).
FAB−MS(negative ion mode):M/z=286([M−H]
−)、308([M+Na−H]
−)
【0037】
【化14】
<製造例4: 化合物4のL異性体の合成>
N−(p−メトキシベンゾイル)−L−システイン酸(化合物4のL異性体)
【0038】
L−システイン酸
2g(11.8mmol)(東京化成工業株式会社)、テトラヒドロフ
ラン 1
2mL(和光純薬工業株式会社)、および、水 1
2mLを10
0mL容ナス型フラスコに入れた後、氷浴にて冷却した。十分に冷却した後、炭酸カリウム 2.9
4g(21.3mmol)(和光純薬工業株式会社)、4−メトキシベンゾイルクロリド 1.6
1g(東
京化成工業株式会社)を液温が上昇しないように順次添加した。氷浴下1時間反応させた後、4−メトキシベンゾイルクロリド 0.8
1g(東京化成工業株式会社)を再度添加した。添加後、氷浴を外し室温にて攪拌した。薄層クロマトグラフィ
ーで反応の進行を確認した後、テトラヒドロフラン(和光純薬工業株式会社)を減圧留去した。得られた残渣を酢酸エチル(和光純薬工業株式会社)にて洗浄した後、塩酸にてpH2を以下に調整した。析出した結晶をろ過し、水で洗浄した。濾液を濃縮し、再度析出した結晶をろ過した。得られた結晶をあわせた後、アセトン(和光純薬工業株式会社)で懸洗した。結晶をろ過した後、濾取した結晶を60℃にて乾燥し、上記構造を有する化合物4のL異性体 2.4
7g(8.14mmol)を得た。以下に示性値を示す。
1H−NMR(D
2O):δ 3.45(2H,m)、3.81(3H,s)、4.85(1H,m)、7.00(2H,d)、7.72(2H,d).
FAB−MS(negative ion mode):M/z=302([M−H]
−)
【0039】
【化15】
<製造例5: 化合物5のL異性体の合成>
N−(ビフェニルカルボニル)−L−システイン酸(化合物5のL異性体)
【0040】
L−システイン酸
2g(11.8mmol)(東京化成工業株式会社)、テトラヒドロフ
ラン 1
2mL(和光純薬工業株式会社)、および、水 1
2mLを10
0mL容ナス型フラスコに入れた後、氷浴にて冷却した。十分に冷却した後、炭酸カリウム 2.9
4g(21
.3mmol)(和光純薬工業株式会社)、4−フェニルベンゾイルクロリド 2.0
5g(東京化成工業株式会社)を液温が上昇しないように順次添加した。氷浴下1.5時間反応させた後、4−フェニルベンゾイルクロリド 1.0
2g(東京化成工業株式会社)を再度添加した。添加後、氷浴を外し室温にて攪拌した。薄層クロマトグラフィ
ーで反応の進行を確認した後、テトラヒドロフランを減圧留去した。得られた残渣を酢酸エチルにて洗浄した後、塩酸(和光純薬工業株式会社)にてpHを2以下に調整した。析出した結晶をろ過し、水で洗浄した。得られた結晶をアセトン(和光純薬工業株式会社)で懸洗した後、ろ過した。濾取した結晶を60℃にて乾燥し、上記構造を有する化合物5のL異性体 2.3
7g(6.78 mmol)を得た。以下に示性値を示す。
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 2.96(2H,m)、4.54(1H,q)、7.42(1H,m)、7.51(2H,m)、7.74(2H,d)、7.80(2H,d)、7.90(2H,d)、8.94(1H,d).
FAB−MS(negative ion mode):M/z=348([M−H]
−)
【0041】
【化16】
<製造例6: 化合物6の合成>
N−(p−トルオイル)ホモシステイン酸(化合物6)
【0042】
DL−ホモシステイン酸
2g(10.9mmol)(シグマ アルドリッチ社)、テトラヒドロフラン 1
2mL(和光純薬工業株式会社)、および、水 1
2mLを10
0mL容ナス型フラスコに入れた後、氷浴にて冷却した。十分に冷却した後、炭酸カリウム 2.7
1g
(19.6mmol)(和光純薬工業株式会社)を添加した。p−トルオイルクロリド 1.
4
9g(シグマ アルドリッチ社)を液温が上昇しないように順次添加した。氷浴下1時間
反応させた後、p−トルオイルクロリド 0.7
6g(シグマ アルドリッチ社)を再度添
加した。添加後、氷浴を外し室温にて攪拌した。薄層クロマトグラフィ
ーで反応の進行を確認した後、テトラヒドロフラン(和光純薬工業株式会社)を減圧留去した。得られた残渣を酢酸エチル(和光純薬工業株式会社)にて洗浄した後、塩酸にてpH2を以下に調整した。溶液をろ過後、濾液を濃縮し、メタノ
ール(和光純薬工業株式会社)を添加した。析出した結晶を濾別後、水で懸洗した。結晶をろ過し、濾取した結晶を60℃にて乾燥し、上記構造を有する化合物6 1.9
5g(6.47mml)を得た。以下に示性値を示す。
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 2.12(2H,m)、2.35(3H,s)、2.57(2H,t)、4.37(1H,m)、7.26(2H,d)、7.79(2H,d)、9.02(1H,d).
FAB−MS(negative ion mode):M/z=300([M−H]
−)
【0043】
<本発明の抗炎症成分>
本発明の肌荒れ予防又は改善用の皮膚外用剤は、1)前記一般式(1)で表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を含有することを特徴とする。また、前記一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、抗炎症成分を共に配合することにより、肌荒れ予防又は改善作用、取り分け、皮膚バリア機能の低下による肌表面形状の異常による肌荒れに対する予防又は改善作用に優れる。前記の肌表面形状の異常を伴う肌荒れとしては、痂皮形成、落屑等を伴うことのある肌荒れ等が好適に例示出来、この様な肌荒れにおいては、皮膚微小循環の不全等により皮膚表面形態の維持が困難になるほか、インタ
ーロイキン等の炎症因子が放出され、二次的炎症を生じる場合も存する。かかる炎症は、皮膚表面形状の変化異常を改善させないままでは治癒し難いとされるため、この様な炎症症状を伴う肌荒れの予防又は改善の意味においても、肌荒れを予防又は改善することは重要である。
【0044】
本発明の皮膚外用剤に用いられる抗炎症成分としては、抗炎症作用を有する物質であれば特段の限定なく適応出来、例えば、キク科カミツレ属カミツレ(カモミ
ール)の抽出物、キク科ゴボウ属ゴボウの抽出物、マメ科クララ属クジンの抽出物、カバノキ科カバノキ属シラカバの抽出物、クルミ科コウキの抽出物、マメ科カンゾウ属カンゾウの抽出物など、抗炎症作用を有する植物抽出物、クラリノン、グラブリジン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸などの抗炎症植物抽出物の主要な成分などが好ましく例示出来、より好ましくは、キク科ゴボウ属ゴボウの抽出物、マメ科クララ属クジンの抽出物、カバノキ科カバノキ属シラカバの抽出物、クルミ科コウキの抽出物、グリチルレチン酸誘導体及びその誘導体から選択されるものが好適に例示出来、さらに好ましくは、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸アルキル及びその塩、並びに、グリチルレチン酸及びその塩が好適に例示出来る。植物の抽出物は、水やエタノ
ールなどの低級アルコ
ールを溶媒として、植物体
又はその加工物に1〜20倍量加え
、攪拌を適宜加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬し、不溶物を濾過などで除去した後
、減圧溜去等で溶媒を
除去し、場合によっては「ダイアイオンHP20」等を担体としてカラムクロマトグラフィ
ー等で精製分
画し、使用することができる。植物抽出物を作製するのに好ましい部位としては、キク科カミツレ属カモミ
ールであれば、花蕾、キク科ゴボウであれば根部、マメ科クララ属クジンであれば、地下茎部、カバノキ科カバノキ属シラカバであれば樹皮、クルミ科コウキであれば葉部、マメ科カンゾウ属カンゾウであれば、地下茎が好ましく例示出来る。グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸アルキル及びその塩、グリチルリチン酸及びその塩などのグリチルレチン酸誘導体は、抗炎症作用のほかに、メラニン産生抑制作用、保湿作用等を有する。本発明は、肌荒れ予防又は改善に優れた作用を有する皮膚外用剤に関するが、この様な用途に対し皮膚外用剤を使用する際には、紫外線暴露による炎症を惹起する可能性が高く、炎症反応及びそれに付随する種々の皮膚反応により、メラニン生成が亢進する。従って、この様な抗炎症作用を有する成分を含有させることにより、炎症が沈静化する又は更なる炎症を抑えると共に、経皮的水分蒸散量の増加が抑制される。即ち、炎症後の肌荒れの出現も抑制される。また、色素沈着も重篤化することを防ぐことが出来る。
【0045】
前記グリチルレチン酸誘導体は、医薬部外品の有効成分として知られている成分であり、グリチルレチン酸アルキル及びその塩としては、例えば、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸ラウリル等が好適に例示出来、グリチルリチン酸及びその塩としては、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸アンモニウム等が好適に例示出来、これらの内、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルリチン酸ジカリウムが好ましい。これは、使用例が豊富で安全性が高いことが既に知られているからである。かかる成分の好ましい含有量は、皮膚外用剤全量に対し0.01質量%〜3質量%であり、より好ましくは、0.03質量%〜1質量
%であり、さらに好ましくは、0.05
質量%〜0.5質量%である。これは少なすぎると前記効果を奏しない場合が存し、多すぎても、効果が頭打ちになり、この系の自由度を損なう場合が存するためである。かかる成分は、前記一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と共に皮膚外用剤に配合することにより、優れた肌荒れ予防又は改善作用を発現する。
【0046】
本発明の抗炎症成分は、前記一般式(1)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と共に皮膚外用剤に含有させることにより、優れた肌荒れ予防又は改善作用を発揮する。かかる成分は
、取り分け、経皮水分蒸散量(TEWL:Transepidermal water loss)の亢進により生じる肌荒れ症状を予防又は改善する。経皮水分
蒸散量の亢進により生じる肌荒れには、皮膚バリア機能の低下による肌表面形状の異常による痂皮形成、落屑等を伴うことのある肌荒れ等が存する。この様な肌荒れにおいては、皮膚微小循環の不全等により皮膚表面形態の維持が困難になるほか、インタ
ーロイキン等の炎症因子が放出され、二次的炎症を生じる場合も存する。かかる炎症は、皮膚表面形状の変化異常を改善させないままでは治癒し難いとされるため、この様な炎症症状を伴う肌
荒れの予防又は改善の意味においても、肌荒れを予防又は改善することは重要である。
【0047】
<本発明の皮膚外用剤>
本発明の皮膚外用剤は、前記一般式(1)〜(4)に表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩よりなる肌荒れ予防又は改善剤を含有することを特徴とする。本発明の皮膚外用剤においては、前記必須成分以外に、通常化粧料で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスなどの炭化水素類、ホホバ油、カルナウバワックス、オレイン酸オクチルドデシルなどのエステル類、オリ
ーブ油、牛脂、椰子油などのトリグリセライド類、ステアリン酸、オレイン酸、レチノイン酸などの脂肪酸、オレイルアルコ
ール、ステアリルアルコ
ール、オクチルドデカノ
ール等の高級アルコ
ール、スルホコハク酸エステルやポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤類、アルキルベタイン塩等の両性界面活性剤類、ジアルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、これらのポリオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコ
ール、グリセリン、1,3−ブタンジオ
ール等の多価アルコ
ール類、増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色剤、防腐剤、粉体等を含有することができる。製造は、常法に従い、これらの成分を処理することにより、困難なく、為しうる。
【0048】
前記の任意成分の内、特に好ましい成分としては、肌荒れ予防又は改善に従前より使用されてきた、ヒアルロン酸及び/又はその薬理学的に許容される塩、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンなどの保湿性高分子類、トレハロ
ース、硫酸化トレハロ
ース、プルラン、マルト
ース、カルボキシメチルデキストランなどの糖類誘導体などが好適に例示出来る。前記(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとは、メタアクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと、アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとを統括した用語であり、この様な、(メタ)アクリル酸のアミノ酸
又はアミン誘導体を構成モノマ
ーとする、ホモポリマ−
又はコポリマ
ーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンホモポリマ
ー、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・(メタ)アクリル酸ブチルコポリマ
ー、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・(メタ)アクリル酸ステアリルコポリマ
ー、ポリ(メタ)アクリロイルリジン、ポリ(メタ)アクリロイルグリシンなどが好適に例示できる。この様なものには、既に市販されているものが存し、この様な市販品を購入して利用することが出来る。好ましい市販品としては、例えば、リピジュアHM(メタアクリロイルオキシエチルホスホリルコリンホモポリマ
ー(分子量100000);日本油脂株式会社製)、リピジュアPMB(メタアクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・(メタ)アクリル酸ブチルコポリマ
ー(分子量600000);日本油脂株式会社製)、PMリジン(ポリメタアクリロイルリジン;岐阜シェラック株式会社製)等が好適に例示できる。かかる成分は
、それぞれ0.001質量%〜3質量%、より好ましくは、0.05質量%〜1質量%、さらに好ましくは、0.01
質量%〜0.1質量%含有することが好ましい。さらに、保湿性油剤、例えば、N−アシルグルタミン酸エステルなどを含有することも好ましい。か
かる成分の含有量は、0.01質量%〜10質量%、より好ましくは、0.1質量%〜5質量%含有することが好ましい。
【0049】
これらの必須成分、任意成分を常法に従って処理し、ロ
ーション、乳液、エッセンス、クリ
ーム、パック化粧料、洗浄料などに加工することにより、本発明の皮膚外用剤は製造できる。皮膚に適応させることの出来る剤型であれば、いずれの剤型でも可能であるが、有効成分が皮膚に浸透して効果を発揮することから、皮膚への馴染みの良い、ロ
ーション、乳液、クリ
ーム、エッセンスなどの剤型がより好ましい。
【0050】
以下に、本発明に付いて、実施例を挙げて更に詳しく説明を加えるが、本発明がかかる実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0051】
<試験例1: 肌荒れ改善試験>
男子従業員(年齢25〜45歳)5名を用いて、5質量%ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液で誘発させた肌荒れモデルを用い、被験サンプル(化合物3のL異性体 0.
5質量%含有10%含水エタノ
ール溶液、化粧料1)及びコントロ
ール(10%含水エタノ
ール)を表1に示すスケジュ
ールに従い投与し、本発明の肌荒れ予防又は改善剤の肌荒れに対する改善効果を評価した。即ち、前腕内側部に1.5cmφの部位を2つ設け、インテグラル社製の「テヴァメ
ータ」で経皮的散逸水分量(TEWL)を測定した後、5質量%SDS水溶液を絆創膏にしみこませ1日目、2日目、3日目及び4日目に30分間貼付した。
被験サンプル(1〜4回目)は、1日目から4日目の5質量%SDS水溶液貼付後にSDS水溶液と同じ部位に塗布した。5日目にTEWLを測定した。5日目のTEWL値から試験開始日のTEWL値を差し引いた値を「ΔTEWL」とし、この値を評価対象とした。表1に、前記の作業手順を、表2に、試験結果を示す。表2の結果より、本発明の前記一般式(1)に表される化合物(化合物3のL異性体)は、顕著な肌荒れ予防又は改善効果を有することが判る。尚、表2中の△TEWL比(%)は、肌荒れ改善度合いを表し、具体的には、コントロ
ール群及び被験サンプル投与群の一日目の5質量%SDS水溶液処置前のTEWL測定値と、五日目の
5質量%SDS水溶液処置後のTEWL値の差に相当する△TEWL値を算出し、コントロ
ール群の
△TEWL値に対する被験サンプル投与群の△TEWL値として算出される。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
表2の結果より、本発明の前記一般式(1)に表される化合物(化合物3のL異性体)を、0.5%含有する10%含水エタノ−ル溶液には、コントロ−ル(10%含水エタノ−ル)に比較し、顕著な肌荒れ予防又は改善作用が認められた。表2の結果より、化合物3には、肌荒れ予防又は改善作用が存することが確認された。
【実施例2】
【0055】
<製造例7: 本発明の皮膚外用剤の製造方法1>
表3及び表4に記載の処方に従い油中水乳化剤形の化粧料(クリ
ーム)を作製した。即
ち、イ、ロ、ハの成分をそれぞれ80℃に加温し、イの中にニを加えて溶解させ、混練してゲルを形成させ、これにロを加え希釈し、これに攪拌下徐々にハを加えて乳化し、攪拌冷却し、本発明の皮膚外用剤である、油中水乳化剤形の化粧料2及び化粧料3を作製した。同様の操作により、化粧料2の製剤成分中、「本発明の前記一般式(1)に表される化合物
」及び「本発明の抗炎症成分」を共に「水」に置換した比較例
1を作製した。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【実施例3】
【0058】
<試験例2: 本発明の皮膚外用剤の肌荒れ改善試験2>
前記の実施例2に記載の方法に従い作製した化粧料2及び化粧料3、比較例
1に付いて、実施例1に記載の方法に従い肌荒れ改善試験を実施した。結果を表5に示す。本発明の化粧料2及び化粧料3は、優れた肌荒れ予防又は改善作用を示した。かかる作用は、「前記一般式(1)に表される化合物」及び「抗炎症成分」を含有させた効果による。また、炎症による痂皮形成、落屑等を伴う被験者においては、炎症の抑制により肌荒れ改善が良好であることが目視により確認出来た。
【0059】
【表5】
【実施例4】
【0060】
<製造例8: 本発明の皮膚外用剤の製造方法2>
表6に記載の処方成分よりなる皮膚外用剤(化粧料4)を製造した。さらに、化粧料4の処方成分中、「本発明の前記一般式(1)に表される化合物」(化合物3のL異性体)の含有量を表7に記載の含有量に変更した化粧料5及び6
を製造した。さらに、化粧料4の処方成分である前記一般式(1)に表される化合物である「化合物3のL異性体」を、「化合物4のL異性体」に置換した化粧料7を作製した。また、化粧料4の処方成分中、「本発明の前記一般式(1)に表される化合物」(化合物3のL異性体)を「水」に置換した比較例
2を同様に作製した。
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】
【実施例5】
【0063】
<試験例3: 本発明の皮膚外用剤の肌荒れ改善試験3>
前記の実施例1に記載の方法に従い、化粧料4〜6及び比較例
2の肌荒れ改善試験を実施した。化粧料4〜
7は、何れも肌荒れ改善効果を示した。結果を表8に示す。これは、化粧料4〜
7に含有される本発明の前記一般式(1)に表される化合物の肌荒れ改善作用によるものである。
【0064】
【表8】