(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666173
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】発光ダイオードの駆動回路、駆動方法、それを用いた発光装置、電子機器および照明機器
(51)【国際特許分類】
H05B 37/02 20060101AFI20150122BHJP
H05B 37/03 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
H05B37/02 J
H05B37/03 B
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-128635(P2010-128635)
(22)【出願日】2010年6月4日
(65)【公開番号】特開2011-253783(P2011-253783A)
(43)【公開日】2011年12月15日
【審査請求日】2013年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】南 光祐
(72)【発明者】
【氏名】石川 裕之
(72)【発明者】
【氏名】福本 憲一
【審査官】
杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−012669(JP,A)
【文献】
特開2003−230270(JP,A)
【文献】
特開2005−039946(JP,A)
【文献】
特開2006−325396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
H05B 37/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続される複数の発光ダイオードを含む発光ダイオードストリングを駆動する駆動回路であって、
前記発光ダイオードストリングのアノード側の一端に駆動電圧を供給するためのDC/DCコンバータを制御する制御回路と、
前記発光ダイオードの電流経路上のカソード側に設けられ、駆動電流を生成する電流ドライバと、
前記駆動電流がオフの状態において、前記DC/DCコンバータのスイッチングトランジスタのオン、オフを指示するスイッチング信号を監視し、当該スイッチング信号にもとづいて前記発光ダイオードストリングの異常状態を示す異常検出信号を生成する異常検出回路と、
を備え、
前記DC/DCコンバータは、軽負荷状態において、前記スイッチング信号の周波数が低下する不連続モードで動作するよう構成され、
前記異常検出回路は、前記駆動電流がオフの状態において、前記スイッチング信号が連続モードを示すとき、異常状態と判定するよう構成され、
前記異常検出回路は、前記スイッチング信号のパルスの数をカウントし、カウント数に応じて連続モードか不連続モードかを判定し、異常状態か否かを判定することを特徴とする駆動回路。
【請求項2】
前記異常検出回路は、前記スイッチング信号およびクロック信号を受け、所定の検出期間内に発生する前記スイッチング信号のパルスの数をカウントするカウンタを含むことを特徴とする請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記DC/DCコンバータの入力側には、前記DC/DCコンバータに対する電力供給の遮断、導通を切り換え可能な保護回路が設けられており、
前記異常検出回路は、前記異常検出信号を出力するためのフェイル端子をさらに備え、
前記保護回路は、前記フェイル端子から出力される前記異常検出信号が異常状態を示すとき、遮断状態となることを特徴とする請求項1または2に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記クロック信号は、前記連続モードにおける前記スイッチング信号と同じ周波数を有することを特徴とする請求項2に記載の駆動回路。
【請求項5】
前記異常検出回路は、前記スイッチング信号のパルスが、前記カウンタにより所定の検出期間に所定回数以上検出されたとき、異常状態と判定することを特徴とする請求項2に記載の駆動回路。
【請求項6】
前記駆動回路は、調光パルスにもとづき前記電流ドライバに作用して前記駆動電流を設定するとともに、調光パルスを前記異常検出回路へ入力する調光回路をさらに備え、
前記発光ダイオードストリングの消灯期間は、前記異常検出回路において前記調光パルスがローレベルであることにより検出されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の駆動回路。
【請求項7】
発光ダイオードストリングと、
前記発光ダイオードストリングを駆動する請求項1から6のいずれかに記載の駆動回路と、
を備えることを特徴とする発光装置。
【請求項8】
液晶ディスプレイパネルと、
前記液晶ディスプレイパネルのバックライトとして設けられる請求項7に記載の発光装置と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項7に記載の発光装置を備えることを特徴とする照明機器。
【請求項10】
直列に接続される複数の発光ダイオードを含む発光ダイオードストリングを駆動する方法であって、
前記発光ダイオードストリングのアノード側の一端に駆動電圧を供給するためのDC/DCコンバータを制御するステップと、
前記発光ダイオードの電流経路上のカソード側に設けられた電流ドライバにより、駆動電流を生成するステップと、
前記駆動電流がオフの状態において、前記DC/DCコンバータのスイッチングトランジスタのオン、オフを指示するスイッチング信号を監視し、当該スイッチング信号にもとづいて前記発光ダイオードストリングの異常状態を検出するステップと、
を備え、
前記DC/DCコンバータは、軽負荷状態において、前記スイッチング信号の周波数が低下する不連続モードで動作するよう構成され、
前記異常状態を検出するステップは、
前記スイッチング信号のパルスの数をカウントし、カウント数に応じて連続モードか不連続モードかを判定するステップと、
前記駆動電流がオフの状態において、前記スイッチング信号が連続モードを示すとき、異常状態と判定するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードの駆動技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルのバックライトとして、従来のCCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)やEEFL(External Electrode Fluorescent Lamp)に代えて、長寿命化、低消費電力化、広色域化の観点で優れた特性を有する白色発光ダイオード(以下、LEDと略す)が用いられている。
【0003】
図1は、一般的なLED駆動回路200の構成例を示す回路図である。LED駆動回路200は、電源回路202、電流ドライバ204、PWM(Pulse Width Modulation)調光回路206、LED端子208、保護回路210を備える。LED端子208には、駆動対象の複数のLEDを含むLEDストリングのカソード端子が接続される。電源回路202は、LEDストリング10のアノードに駆動電圧Vdrvを供給する。
【0004】
LED端子208には、電流ドライバ204が接続される。電流ドライバ204は、LEDストリング10の輝度に応じた駆動電流Idrvを発生し、LEDストリング10に供給する。
【0005】
何らかの故障や異常によりLEDの駆動経路上の端子が経路209を介して地絡すると、電源回路202、いくつかのLEDおよび経路209を介して、望ましくない大電流が流れるおそれがある。そこでLED駆動回路200は、LED端子208の電位にもとづき回路異常を検出する。具体的には、LED駆動回路200が正常に動作する場合、LED端子208の電位は、所定の電圧付近に安定的に保たれる。ところが、LEDストリング10が故障してオープン状態となったり、LEDの駆動経路上の端子が地絡あるいは天絡したりすると、LED端子208の電位(検出電圧Vsとも称する)が正常時とは異なった値となる。保護回路210は、LED端子208の検出電圧Vsを監視することにより、回路の異常状態を検出し、異常が発生すると所定の保護処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−32875号公報
【特許文献2】特開2002−252971号公報
【特許文献3】特開2007−028784号公報
【特許文献4】特開2007−173813号公報
【特許文献5】特開2008−136293号公報
【特許文献6】特開2006−325396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
LEDの輝度を制御する(調光)目的で、LEDストリング10に流れる駆動電流Idrvを、輝度に応じたデューティ比でオン(点灯期間)、オフ(消灯期間)をスイッチングさせる場合がある。これをPWM駆動もしくはPWM調光とも称する。PWM調光回路206は、電流ドライバ204に作用し、PWM信号SPWMに応じて駆動電流Idrvをスイッチングさせる。
【0008】
PWM駆動の消灯期間やスタンバイ状態において、駆動電流Idrvがオフされる期間は、故障の有無にかかわらずLED端子208の電位が所定の範囲から外れるため、正常状態と異常状態の区別がつかなくなり、適切な回路保護が妨げられる。
【0009】
本発明は課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、LEDの消灯期間において、LEDの異常を検出する技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様は、直列に接続される複数の発光ダイオードを含む発光ダイオードストリングを駆動する駆動回路に関する。駆動回路は、発光ダイオードストリングのアノード側の一端に駆動電圧を供給するためのDC/DCコンバータを制御する制御回路と、発光ダイオードの電流経路上のカソード側に設けられ、駆動電流を生成する電流ドライバと、駆動電流がオフの状態において、DC/DCコンバータのスイッチングトランジスタのオン、オフを指示するスイッチング信号を監視し、当該スイッチング信号にもとづいて発光ダイオードストリングの異常状態を検出する異常検出回路と、を備える。
【0011】
LEDストリングが正常であれば、駆動電流がオフの状態において、DC/DCコンバータの出力電流は非常に小さくなる。反対に、LEDストリング上の一部が予期せぬノードにショートすると、駆動電流がオフの状態、すなわち消灯期間においても、DC/DCコンバータの出力電流は、正常状態よりも大きくなるであろう。DC/DCコンバータの出力電流の大きさは、スイッチング信号のパルス幅や発生頻度に影響を及ぼす。したがってこの態様によれば、スイッチング信号を監視することにより、駆動電流がオフの状態における異常状態を検出することができる。
【0012】
DC/DCコンバータは、軽負荷状態において、不連続モードで動作するよう構成されてもよい。異常検出回路は、駆動電流がオフの状態において、スイッチング信号が連続モードを示すとき、異常状態と判定してもよい。
LEDストリングが正常であれば、駆動電流がオフの状態において、DC/DCコンバータの出力電流は非常に小さくなり、DC/DCコンバータは不連続モードで動作する。この態様によれば、駆動電流がオフにもかかわらずDC/DCコンバータが連続モードで動作していることを根拠として、異常状態を検出することができる。
【0013】
異常検出回路は、スイッチング信号および連続モードにおけるスイッチング信号と同じ周波数を有するクロック信号にもとづき、異常状態を検出してもよい。
不連続モードでは、スイッチング信号の発生頻度(周波数)は、クロック信号の発生頻度(周波数)より低くなる。この態様によればクロック信号とスイッチング信号の周期もしくは周波数にもとづいて、異常状態を検出できる。
【0014】
異常検出回路は、スイッチング信号のパルスが、所定の検出期間に所定回数以上検出されたとき、異常状態と判定してもよい。
不連続モードでは、スイッチング信号のパルスの発生頻度が減少する。ある検出期間において、スイッチング信号のパルスがある回数以上発生していれば、それは連続モードとみなすことができる。したがってこの態様によれば、異常状態を検出できる。
【0015】
異常検出回路は、スイッチング信号のデューティ比が所定のしきい値より大きいとき、異常状態と判定してもよい。
異常状態では、DC/DCコンバータの出力電流が大きくなるため、スイッチング信号のデューティ比が増大する場合がある。この場合には、デューティ比にもとづいて異常状態を検出できる。
【0016】
本発明の別の態様は、発光装置である。この装置は、発光ダイオードストリングと、発光ダイオードストリングを駆動する上述のいずれかの態様の駆動回路と、を備える。
【0017】
本発明のさらに別の態様は、電子機器である。この電子機器は、液晶ディスプレイパネルと、液晶ディスプレイパネルのバックライトとして設けられる上述の発光装置と、を備える。
【0018】
本発明のさらに別の態様は、照明機器である。この照明機器は、上述の発光装置を備える。
【0019】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明のある態様によれば、LEDの消灯期間において、異常状態を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一般的なLED駆動回路の構成例を示す回路図である。
【
図2】実施の形態に係るLED駆動回路の構成を示す回路図である。
【
図3】
図3(a)、(b)は、正常状態および異常状態におけるLED駆動回路の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0023】
本明細書において、「部材Aが部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0024】
図2は、実施の形態に係るLED駆動回路100の構成を示す回路図である。
図2にはLED駆動回路100とLEDストリング10を含む発光装置全体が示されている。この発光装置は、液晶パネルのバックライト、携帯電話のイルミネーションあるいは照明装置など、LEDを利用したさまざまな光源として利用可能である。
【0025】
LED駆動回路100は、DC/DCコンバータ40およびLED駆動IC110を備え、少なくともひとつのあるいは直列に接続された複数のLEDを含むLEDストリング10を駆動する。DC/DCコンバータ40は、LEDストリング10の駆動に要する駆動電圧Vdrvを生成して、LEDストリング10のアノードに供給する。
図2には、インダクタL1、スイッチングトランジスタM1、整流ダイオードD1、出力キャパシタCoを含むダイオード整流型のDC/DCコンバータ40が示されるが、そのトポロジーは特に限定されるものではない。
【0026】
LED駆動IC110は、主として以下の3つの機能を有する。
(機能1)LEDストリング10に流れる駆動電流Idrvを調整して輝度を制御する機能
(機能2)DC/DCコンバータ40をフィードバック制御して駆動電圧Vdrvを調節する機能
(機能3)異常状態を検出し、回路を保護する機能
【0027】
機能1に関して、LED駆動IC110は電流ドライバ70およびPWM調光回路74
備える。電流ドライバ70は、駆動対象のLEDストリング10の電流経路上のカソード側に設けられる。電流ドライバ70は、輝度に応じた駆動電流Idrvを生成し、LEDストリング10に流れる電流を制御する。駆動電流Idrvの大きさに応じたLEDストリング10の輝度の調整を、電流調光(アナログ調光)と称する。
【0028】
LED駆動IC110は、電流調光に加えて、いわゆるPWM調光を行う。具体的には、輝度に応じたデューティ比にて駆動電流Idrvを時分割的にスイッチングさせ、駆動電流Idrvの時間平均を調節し、輝度を変化させる。
【0029】
PWM調光回路74は、輝度に応じたデューティ比を有するようにパルス変調された調光パルスSPWMを生成する。PWM調光回路74は、調光パルスSPWMにもとづき電流ドライバ70に作用して駆動電流Idrvをオン、オフさせる。
図2において、調光パルスSPWMのハイレベル期間がLEDストリング10の点灯期間(オン期間Ton)に割り当てられ、ローレベル期間が消灯期間(Toff)に割り当てられる。またPWM調光とは別に、電流ドライバ70をオフして消灯する場合にも、調光パルスSPWMはローレベルに固定される。
【0030】
LED駆動IC110は、電流調光およびPWM調光を併用して、LEDストリング10の輝度を最適化することができる。
【0031】
機能2に関して、LED駆動IC110は制御回路20を備える。制御回路20は、LEDストリング10を所望の輝度で発光させるために必要な駆動電圧Vdrvが得られるように、DC/DCコンバータ40を制御する。制御回路20の構成は特に限定されず、LEDドライバに利用される公知の、あるいは将来利用可能なものを用いればよい。
【0032】
たとえば制御回路20は、LEDストリング10のカソードと接続されるLED端子の電位(以下、検出電圧Vsという)を受け、検出電圧Vsが所定の基準電圧Vrefと一致するように、フィードバックによりDC/DCコンバータ40を制御する。このフィードバック制御により、DC/DCコンバータ40の出力電圧Vdrvは、
Vdrv=VLED+Vref
が成り立つように調節される。
【0033】
具体的には制御回路20は、パルス変調器22およびドライバ24を含む。パルス変調器22は、電圧モードあるいは電流モードのパルス幅変調器あるいはパルス周波数変調器などであり、基準電圧Vrefと検出電圧Vsの誤差に応じたデューティ比を有するスイッチング信号S4を生成する。ドライバ24はスイッチング信号S4に応じて、SWOUT端子に接続されるDC/DCコンバータ40のスイッチングトランジスタM1のゲートを駆動し、スイッチングトランジスタM1をスイッチングする。
【0034】
続いて、第3の機能である回路保護について説明する。保護機能に関して、LED駆動IC110は、保護回路50および異常検出回路60を備える。
【0035】
異常検出回路60は、ドライバ24から出力されるスイッチング信号S4および調光パルスSPWMを受ける。異常検出回路60は、駆動電流Idrvがオフの状態、すなわちLEDストリング10の消灯期間Toffにおいて、DC/DCコンバータ40のスイッチングトランジスタM1のオン、オフを指示するスイッチング信号S4を監視し、当該スイッチング信号S4にもとづいてLEDストリング10の異常状態を検出する。消灯期間Toffは、調光パルスSPWMがローレベルであることにより検出できる。
【0036】
異常検出回路60は、異常状態においてアサート(ローレベル)、正常状態においてネゲート(ハイレベル)となる異常検出信号S5を生成し、フェイル端子FAILから出力する。
【0037】
保護回路50は、異常検出信号S5がアサートされると、DC/DCコンバータ40に対する電力供給を遮断する。具体的には保護回路50は、保護スイッチM50、抵抗R50、R52、制御スイッチM52を含む。保護スイッチM50は、PチャンネルMOSFETであり、DC/DCコンバータ40のインダクタL1と直列に設けられる。抵抗R50は、保護スイッチM50のゲートソース間に設けられる。抵抗R52および制御スイッチM52は、保護スイッチM50のゲートと接地端子の間に直列に設けられる。制御スイッチM52のゲートには、異常検出信号S5が入力される。
【0038】
異常検出信号S5がネゲート(ハイレベル)される期間、制御スイッチM52はオンし、保護スイッチM50のゲートに接地電圧が印加されるため保護スイッチM50はオンし、DC/DCコンバータ40に入力電圧Vinが供給される。
【0039】
異常検出回路60によって異常が検出され、異常検出信号S5がアサート(ローレベル)されると、制御スイッチM52がオフし、保護スイッチM50のゲートに抵抗R50を介して入力電圧Vinが印加され、保護スイッチM50がオフする。その結果、DC/DCコンバータ40に対する入力電圧Vinの供給が遮断される。
【0040】
なお保護回路50による保護処理は特に限定されない。DC/DCコンバータ40が同期整流型である場合、保護回路50は、整流ダイオードD1に代えて設けられる同期整流用トランジスタをオフしてもよい。
【0041】
以上がLED駆動回路100の構成である。続いてその動作を説明する。
LEDストリング10が正常であれば、駆動電流Idrvがオフの状態すなわち消灯期間ToffにおいてDC/DCコンバータ40は無負荷状態となり、その出力電流Ioutは非常に小さくなる。
【0042】
反対に、LEDストリング10上の一部が予期せぬノード、たとえば接地端子にショートすると、DC/DCコンバータ40からLEDストリング10の一部を介して接地端子に大電流が流れる。その結果、消灯期間Toffであっても、DC/DCコンバータ40は無負荷状態とはならず、その出力電流Ioutは正常状態よりも大きくなるであろう。
【0043】
DC/DCコンバータ40の出力電流Ioutの大きさは、スイッチング信号S4のパルス幅や発生頻度に影響を及ぼす。具体的には、出力電流Ioutが大きいほど、パルス幅や発生頻度は大きくなる。そこで
図2の異常検出回路60によれば、スイッチング信号S4を監視することにより、駆動電流Idrvがオフの状態における異常状態を検出することができる。
【0044】
たとえばDC/DCコンバータ40は、軽負荷状態において、不連続モードで動作するよう構成される。異常検出回路60は、駆動電流Idrvがオフの状態において、スイッチング信号S4が連続モードを示すとき、異常状態と判定してもよい。連続モードにおけるスイッチング信号S4の発生頻度は、不連続モードにおけるそれよりも高くなる。そこで
図2の異常検出回路60は、スイッチング信号S4のパルスの数をカウントするカウンタ62を含む。
【0045】
図3(a)、(b)は、正常状態および異常状態におけるLED駆動回路100の動作を示すタイムチャートである。
カウンタ62には、スイッチング信号S4に加えて、連続モードにおけるスイッチング信号S4と同じ周波数を有するクロック信号CLKが入力される。
【0046】
まず、
図3(a)を参照して正常状態の動作を説明する。LEDストリング10が正常のとき、消灯期間Toffにおいて、DC/DCコンバータ40の出力電流Ioutは非常に小さくなり、DC/DCコンバータ40は不連続モードで動作する。不連続モードではスイッチング信号S4の発生頻度、つまり周波数が低下する。
【0047】
カウンタ62は、スイッチング信号S4の周期Tsw(周波数)を、クロック信号CLKを用いてカウントする。そしてスイッチング信号S4の周期が所定のしきい値より大きい、あるいはその周波数が所定のしきい値より小さい場合、不連続モードと判定し、LEDストリング10が正常であることを検出できる。
【0048】
図3(b)を参照する。異常状態では、駆動電流Idrvがゼロであるにもかかわらず、DC/DCコンバータ40の出力電流Ioutはゼロとはならない。その結果、DC/DCコンバータ40が不連続モードに移行せず、通常の負荷状態と同様の頻度で、スイッチング信号S4が生成され、スイッチング信号S4とクロック信号CLKの周期(周波数)は等しくなる。つまり、スイッチング信号S4の周期をクロック信号CLKを用いてカウントすると、所定のしきい値よりも小さくなる。異常検出回路60は、カウンタ62のカウント値にもとづいて連続モードであることを検出できる。
【0049】
このように、
図2のLED駆動回路100によれば、駆動電流IdrvがオフにもかかわらずDC/DCコンバータ40が連続モードで動作していることを根拠として、異常状態を確実に検出することができる。
【0050】
なおクロック信号CLKは、連続モードにおけるスイッチング信号S4の周波数とは無関係の周波数を有していてもよい。
【0051】
異常検出回路60の動作は以下のように把握することも可能である。
異常検出回路60は、スイッチング信号S4のパルスが、所定の検出期間に所定回数以上検出されたとき、異常状態と判定してもよい。
不連続モードでは、スイッチング信号S4のパルスの発生頻度が連続モードに比べて減少する。ある検出期間において、スイッチング信号のパルスがある回数以上発生していれば、それは連続モードとみなすことができる。
【0052】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0053】
DC/DCコンバータ40や制御回路20の構成によっては、駆動電流Idrvがオフの状態で、不連続モードに移行せず、連続モードで動作する場合もあり得る。この場合、異常検出回路60は、スイッチング信号S4のデューティ比が所定のしきい値より大きいとき、異常状態と判定してもよい。言い換えれば、異常検出回路60は、スイッチング信号S4のスイッチングトランジスタM1のオンに対応するパルス幅が所定のしきい値より大きいとき、異常状態と判定してもよい。
異常状態では、DC/DCコンバータ40の出力電流Ioutが正常状態よりも大きくなるため、スイッチング信号S4のデューティ比が増大する。したがってデューティ比やパルス幅にもとづいて異常状態を検出できる。
【0054】
LEDストリング10の点灯期間TonにおけるLEDストリング10の異常検出は、従来の検出電圧Vsにもとづく異常検出回路を併用することで可能である。
【0055】
実施の形態にもとづき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎないことはいうまでもなく、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0056】
10…LEDストリング、20…制御回路、22…パルス変調器、24…ドライバ、40…DC/DCコンバータ、M1…スイッチングトランジスタ、L1…インダクタ、D1…整流ダイオード、Co…出力キャパシタ、60…異常検出回路、62…カウンタ、50…保護回路、M50…保護スイッチ、S4…スイッチング信号、S5…異常検出信号、70…電流ドライバ、74…PWM調光回路、100…LED駆動回路、110…LED駆動IC。