(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666174
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】多連方向切換弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/04 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
F16K31/04 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-134423(P2010-134423)
(22)【出願日】2010年6月11日
(65)【公開番号】特開2011-256993(P2011-256993A)
(43)【公開日】2011年12月22日
【審査請求日】2013年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 明紀
【審査官】
関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−058114(JP,A)
【文献】
特開昭62−088886(JP,A)
【文献】
実開昭63−089474(JP,U)
【文献】
特開平05−106752(JP,A)
【文献】
実開昭61−148979(JP,U)
【文献】
特開2000−028023(JP,A)
【文献】
特開2008−089104(JP,A)
【文献】
実開平05−047652(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/00−31/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプールと当該スプールを収容する弁本体とを有し方向切換弁として用いられる複数連結されたスタックバルブと、
前記スタックバルブを動作させる複数の電動アクチュエータと、
前記スタックバルブと前記電動アクチュエータとの間に設けられたスプール中立復帰機構と、を備える多連方向切換弁であって、
前記電動アクチュエータは、
前記スプールと同軸に配置されるモータと、
前記モータの出力軸と前記スプールとの間に設けられるボールネジ減速機と、を有し、
前記スプール中立復帰機構は、
スプール中立位置において前記電動アクチュエータ側への移動が拘束され、前記スタックバルブ側へは前記スプールの移動と連動する第1ストッパーと、
スプール中立位置において前記スタックバルブ側への移動が拘束され、前記電動アクチュエータ側へは前記スプールの移動と連動する第2ストッパーと、
前記第1ストッパーと前記第2ストッパーとの間に配置されたバネと、
を有し、
前記電動アクチュエータが前記スタックバルブの幅内に納められていることを特徴とする、多連方向切換弁。
【請求項2】
請求項1に記載の多連方向切換弁において、
前記スタックバルブと前記ボールネジ減速機との間に前記スプール中立復帰機構が配置されており、
前記ボールネジ減速機は、
前記モータの出力軸に取り付けられたボールネジと、
前記ボールネジのボールを介して螺合するナットと、
を有し、
前記第1ストッパーの内側に配置された動力伝達部材をさらに有し、
前記動力伝達部材は、前記ナットを収容する筒状部を有し、
前記バネと前記筒状部の一部とが、前記スプールの軸方向にオーバーラップしていることを特徴とする、多連方向切換弁。
【請求項3】
請求項1または2に記載の多連方向切換弁において、
前記バネの復元力と前記モータの推力とのバランスにより前記スプールの位置決めがなされていることを特徴とする、多連方向切換弁。
【請求項4】
請求項1または2に記載の多連方向切換弁において、
前記モータはサーボモータであって、前記スプールに設けられた位置センサーによって当該スプールの位置決めがなされていることを特徴とする、多連方向切換弁。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の多連方向切換弁において、
前記電動アクチュエータとは反対側の前記スプール端部は、前記弁本体から突出しており、当該スプール端部に手動レバー連結部が設けられていることを特徴とする、多連方向切換弁。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の多連方向切換弁において、
前記スプール中立復帰機構のケーシングの端面に前記電動アクチュエータが固定されていることを特徴とする、多連方向切換弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械などの油圧アクチュエータ用の方向切換弁を動作させる電動アクチュエー
タを備える多連方向切換弁に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載された電動アクチュエータは、正逆回転可能なモータと、このモータの回転を直動運動に変換する変更機構と、直動軸をスプールの端に連結するリンクとからなる。モータは、L形ブラケットを介して上部旋回体のフレームに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−89104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、建設機械などの油圧アクチュエータ用の方向切換弁においては、その弁本体内を流れる油の圧力(フローフォース)に対抗するため、方向切換弁を動作させる電動アクチュエータの駆動源であるモータは、高出力のものが必要となる。よって、従来のように、モータで減速することなく方向切換弁を動作させようとすると、大型のモータとなってしまう。特許文献1の
図4には、バルブボディ(弁本体)の幅内にモータが納められている態様の電動アクチュエータが図示されているが、弁本体の幅内にモータを納めることは、実際には困難である。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、方向切換弁として用いられるスタックバルブの幅内に全てを納めることができ
る多連方向切換弁を提供することである。
【0008】
上記課題を解決するために本発明は
、スプールと当該スプールを収容する弁本体とを有し方向切換弁として用いられる複数連結されたスタックバルブと、前記スタックバルブを動作させる複数の電動アクチュエータと、前記スタックバルブと前記電動アクチュエータとの間に設けられたスプール中立復帰機構と、を備える多連方向切換弁であって、前記電動アクチュエータは、前記スプールと同軸に配置されるモータと、前記モータの出力軸と前記スプールとの間に設けられるボールネジ減速機と、を有し、前記スプール中立復帰機構は、スプール中立位置において前記電動アクチュエータ側への移動が拘束され、前記スタックバルブ側へは前記スプールの移動と連動する第1ストッパーと、スプール中立位置において前記スタックバルブ側への移動が拘束され、前記電動アクチュエータ側へは前記スプールの移動と連動する第2ストッパーと、前記第1ストッパーと前記第2ストッパーとの間に配置されたバネと、を有
し、前記電動アクチュエータが前記スタックバルブの幅内に納められている多連方向切換弁を提供する。
【0009】
この構成によると、モータの出力軸とスプールとの間にボールネジタイプの減速機を設けることで、モータを小型(高回転低出力)にできる。また、ボールネジタイプの減速機は、スリムな形状に形成することができる。これらにより、電動アクチュエータの全てをスタックバルブの幅内に納めることができる。その結果、コンパクトな多連方向切換弁とすることができる。
【0010】
また、スタックバルブと電動アクチュエータとの間に上記した構成のスプール中立復帰機構を設けることで、スタックバルブの一方側をあけることができる。その結果、スタックバルブの一方側からスプールを抜きやすくなり、メンテナンス作業を簡素化できる。
【0011】
また本発明において、前記スタックバルブと前記ボールネジ減速機との間に前記スプール中立復帰機構が配置されて
おり、前記ボールネジ減速機は、前記モータの出力軸に取り付けられたボールネジと、前記ボールネジのボールを介して螺合するナットと、を有し、前記第1ストッパーの内側に配置された動力伝達部材をさらに有し、前記動力伝達部材は、前記ナットを収容する筒状部を有し、前記バネと前記筒状部の一部とが、前記スプールの軸方向にオーバーラップしていることが好ましい。
【0012】
この構成によると、スプール中立復帰機構とボールネジ減速機とを一体的に形成できるので、短軸化できる。換言すれば、多連方向切換弁のスプールの軸方向長さを短くでき、コンパクトな多連方向切換弁とすることができる。
【0013】
さらに本発明において、前記バネの復元力と前記モータの推力とのバランスにより前記スプールの位置決めがなされていることが好ましい。
【0014】
この構成によると、スプールの位置制御をモータの電流値により行うことができるので、電動アクチュエータの制御を簡素化できる。
【0015】
さらに本発明において、前記モータはサーボモータであって、前記スプールに設けられた位置センサーによって当該スプールの位置決めがなされていることが好ましい。
【0016】
この構成によると、フローフォースが影響してもスプールの位置を確実に正確な位置とすることができる。
【0017】
さらに本発明において、前記電動アクチュエータとは反対側の前記スプール端部は、前記弁本体から突出しており、当該スプール端部に手動レバー連結部が設けられていることが好ましい。
【0018】
この構成によると、電動アクチュエータがフェールした(壊れて作動しなくなった)ときに、スタックバルブの制御対象である油圧アクチュエータを手動で動かすことができる。
【0019】
さらに本発明において、前記スプール中立復帰機構のケーシングの端面に前記電動アクチュエータが固定されていることが好ましい。
【0020】
この構成によると、電動アクチュエータとスタックバルブのスプールとの間の芯ずれを許容する機構を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る多連方向切換弁の一部を示す平断面図である。
【
図2】
図1に示す多連方向切換弁の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明に係る多連方向切換弁は、例えばショベル(不図示)などの建設機械に適用される。具体的には、例えばショベルのブームやバケットを起伏させるための油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)への圧油の給排を制御する弁として用いられる。
【0023】
(多連方向切換弁の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る多連方向切換弁の一部を示す平断面図である。
図2は、
図1に示す多連方向切換弁の側断面図であり、
図3は、
図1に示す多連方向切換弁の正面図である。
【0024】
多連方向切換弁は、例えばバルブ1がY方向に複数連結されてなるものである。
図1には、多連方向切換弁を構成する1つのバルブ1のみを示しており、他のバルブの図示を省略している。なお、通常は、バルブ1と完全に同じバルブ同士がY方向に複数連結されるのではない。例えば、スタックバルブ2内の油流路Fなどは、制御対象である油圧アクチュエータによって変わる。ただし、本発明は、完全に同じバルブ同士がY方向に複数連結された多連方向切換弁を除くものではない。また、本発明は、方向切換弁として用いられるスタックバルブ2のみが複数連結された多連方向切換弁のみに限られるものでもない。すなわち、方向切換弁以外の用途のスタックバルブを含む多連方向切換弁であってもよい。
【0025】
多連方向切換弁を構成するバルブ1は、方向切換弁として用いられるスタックバルブ2と、スタックバルブ2を動作させる電動アクチュエータ3と、スタックバルブ2と電動アクチュエータ3との間に設けられるスプール中立復帰機構4とから構成される。
【0026】
(スタックバルブ)
スタックバルブ2は、スプール5と、スプール5を収容する直方体状の弁本体6とを有する。スプール5は棒状の部材であって、外周面に複数の溝が彫られている。また、スプール5の一端には所定の厚みを有する手動レバー連結部21が形成されている。手動レバー連結部21には孔5aが設けられている。この手動レバー連結部21を含むスプール5端部は、弁本体6から突出している。ここで、電動アクチュエータ3がフェールした(壊れて作動しなくなった)とき、手動レバー連結部21に手動レバー(不図示)を取り付けて、スプール5を手動で動かし、スタックバルブ2の制御対象である油圧アクチュエータを動かす。ショベルの場合、これにより、ブームやバケットを動かして、ショベルを安全な姿勢に移行させることができる。一方、手動レバー連結部21とは反対側のスプール5の端面中央には、ボルト穴5bが設けられている。
【0027】
弁本体6は、スプール5がその軸方向(X方向)に移動自在となる態様で当該スプール5を収容する中空部を有し、弁本体6の内面には溝が彫られている。弁本体6の内面とスプール5の外周面との間の隙間が圧油の流路Fである。弁本体6に対するスプール5の位置により、弁本体6の外面に設けられたポート6a・6bから制御対象である油圧アクチュエータへ圧油が供給されたり停止されたり、圧油の供給の向き(ポート6aから油圧アクチュエータへ圧油を送るとともに油圧アクチュエータからポート6bへ圧油が戻るか、もしくは、ポート6bから油圧アクチュエータへ圧油を送るとともに油圧アクチュエータからポート6aへ圧油が戻るか)が切り換えられたりする。
【0028】
(電動アクチュエータ)
電動アクチュエータ3は、モータ7と、モータ7の出力軸7aに取り付けられたボールネジ減速機8とを有する。モータ7およびボールネジ減速機8は、スプール5と同軸に配置される。ボールネジ減速機8は、モータ7とスプール5との間に配置されている。ボールネジ減速機8は、モータ7の出力軸7aに取り付けられるボールネジ9と、ボールネジ9のボール(不図示)を介して螺合するナット10とを備える。ナット10は、筒状の小径部10aと小径部10aの端に形成された筒状の大径部10bとからなる。ボールネジ9のモータ7側の端部は、軸受17により回転自在に支持されている。なお、軸受17を省略してもよい。スプール5で、ボールネジ減速機8を支持することが可能だからである。
【0029】
ここで、モータ7として、位置決め機能のないモータを用いることも好ましいし、サーボモータを用いることも好ましい。位置決め機能のないモータを用いる場合、バネ16の復元力とモータの推力とのバランスによりスプール5の位置決めがなされる。この構成によると、スプール5の位置制御をモータの電流値により行うことができるので、電動アクチュエータ3の制御を簡素化できる。
【0030】
これに対して、モータ7としてサーボモータを用いる場合、位置センサー(不図示)をスプール5に設けて、この位置センサーからの信号によりサーボモータが制御されてスプール5の位置決めがなされる。この構成によると、フローフォースが影響してもスプール5の位置を確実に正確な位置とすることができる。
【0031】
(スプール中立復帰機構)
スプール中立復帰機構4は、第1ストッパー14、第2ストッパー15、バネ16、動力伝達部材11、ケーシング18、およびリング板19とで構成されている。第1ストッパー14、第2ストッパー15、バネ16、および動力伝達部材11は、ケーシング18の中に収容されている。
【0032】
第1ストッパー14は、スプール中立位置において電動アクチュエータ3側への移動が拘束され、スタックバルブ2側へはスプール5の移動と連動する環状の板部材である。なお、
図1、2に示したスプール5の位置がスプール中立位置である。第1ストッパー14は、その一端が内側に突出しており、他端は外側に突出している。第1ストッパー14の端に形成された外側突出部は、ケーシング18の内面に形成された突出部に軸方向(X方向)で当接させられている。
【0033】
一方、第2ストッパー15は、スプール中立位置においてスタックバルブ2側への移動が拘束され、電動アクチュエータ3側へはスプール5の移動と連動する環状の板部材である。第1ストッパー14と同様に、第2ストッパー15は、その一端が内側に突出しており、他端は外側に突出している。第2ストッパー15の端に形成された外側突出部は、ケーシング18の端面に設けられたリング板19に軸方向(X方向)で当接させられている。リング板19は、弁本体6とケーシング18との間に挟み込まれている。また、第2ストッパー15の端に形成された内側突出部は、スプール5の端面に軸方向(X方向)で当接させられている。
【0034】
第1ストッパー14の端に形成された外側突出部と第2ストッパー15の端に形成された外側突出部との間には、縮められたバネ16が入れられている。
【0035】
また、スプール5とボールネジ減速機8のナット10との間であって、ストッパー14・15の内側には、動力伝達部材11が配置されている。動力伝達部材11は、スプール5の端面に形成されたボルト穴5bに捻じ込まれてスプール5に固定されるボルト部12と、ボールネジ9およびナット10を収容する筒状部13とからなる。本実施形態の動力伝達部材11は、一つの金属材料を加工してつくった部材(ボルト部12と筒状部13とは一体)であるが、ボルト部12と筒状部13とを別につくった後、溶接などで接合して一体化してもよい。
【0036】
ここで、筒状部13の小径部の端面は、第1ストッパー14の端に形成された内側突出部に軸方向(X方向)で当接させられている。筒状部13の大径部の端面は、ナット10の大径部10bに軸方向(X方向)で当接された状態で固定されている。筒状部13の小径部の端面を、第1ストッパー14の端に形成された内側突出部に当接させることで、スプール5と第1ストッパー14との連動機能を、動力伝達部材11に持たせることができている。
【0037】
なお、動力伝達部材11とボールネジ減速機8のナット10とを一体化してもよい(一つの金属材料を加工してつくってもよい)。
【0038】
電動アクチュエータ3は、スタックバルブ2との間でスプール中立復帰機構4を挟むように、当該スプール中立復帰機構4のケーシング18の端面にボルト23で固定されている。詳細には、ケーシング18の軸方向端面に板部材20・22を介してボルト23で固定されている。
【0039】
(多連方向切換弁の作動)
電動アクチュエータ3のモータ7を回転させるとボールネジ9が回転し、モータ7の回転運動がナット10の直動運動に変換される。これにより、ナット10に固定された動力伝達部材11が、例えば、電動アクチュエータ3側とは反対側にスプール5を押して、スプール5は移動する。その結果、スタックバルブ2内の圧油の流れが変わる。モータ7を停止させると、バネ16の弾性回復力により、第1ストッパー14が動力伝達部材11を電動アクチュエータ3側に押して、スプール5は
図1に示された位置(中立位置)まで戻る。一方、電動アクチュエータ3のモータ7を逆回転させると、ナット10に固定された動力伝達部材11が、例えば、電動アクチュエータ3側にスプール5を引いて、これによりスプール5は位置を変える。その後、モータ7を停止させると、バネ16の弾性回復力により、第2ストッパー15が電動アクチュエータ3側とは反対側に動力伝達部材11を押して、スプール5は
図1に示された位置(中立位置)まで戻る。
【0040】
なお、図示を省略しているが、動力伝達部材11の筒状部13には回転止めの処置が施されている。例えば、筒状部13の大径部の外周面に軸方向に溝が設けられ、この溝にケーシング18を貫通するような態様でボルトなどが差し込まれる。なお、このような回転止めの処置を、スプール5側(スタックバルブ2側)に施せば、スプール中立復帰機構4周りをよりスリムにできる。
【0041】
ボールネジタイプの減速機は、伝達力が大きく且つ減速比が大きくても小型にすることができる。したがって、本実施形態によると、モータ7の出力軸7aとスプール5との間にボールネジ減速機8を設けることで、モータ7を小型(高回転低出力)にできる。また、ボールネジタイプの減速機は、スリムな形状に形成することができる。これらにより、電動アクチュエータ3の全てをスタックバルブ2の幅内に納めることができる。
【0042】
また、電動アクチュエータ3の全てをスタックバルブ2の幅内に納めることができるので、バルブ1が複数連結された多連方向切換弁において、電動アクチュエータ3の全てをスタックバルブ2の一方側に配置できる。さらには、スタックバルブ2の一方側に配置した全ての電動アクチュエータ3において、モータ7をY方向(軸方向に対して直交する方向)に隣り合わせて配置できる。これらにより、多連方向切換弁の占有スペースを小さくすることができる。また、電動アクチュエータ3の全てをスタックバルブ2の一方側に配置することで、スプール5の抜く方向を統一できる。
【0043】
また、電動アクチュエータ3の全てをスタックバルブ2の一方側に配置するとともに、スタックバルブ2と電動アクチュエータ3との間にスプール中立復帰機構4を設けることで、スタックバルブ2(多連方向切換弁)の他方側をあけることができる。その結果、メンテナンスの際、多連方向切換弁の一方空間のみを開放すればよく、すなわち、メンテナンス作業を簡素化できる。
【0044】
また、本実施形態では、スプール5とボールネジ減速機8との間にスプール中立復帰機構4を配置している。これにより、スプール中立復帰機構4とボールネジ減速機8とを一体的に形成できる(スプール中立復帰機構4とボールネジ減速機8とをケーシング18内にコンパクトに納めることができる)ので、バルブ1を短軸化できる。結果として、多連方向切換弁の占有スペースをより小さくすることができる。
【0045】
また、スプール中立復帰機構4のケーシング18端面に、板部材20・22を介すのみで電動アクチュエータ3を直接固定しているので、電動アクチュエータ3とスタックバルブ2のスプール5との間の芯ずれを許容する機構を簡素化できている。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することが可能なものである。
【符号の説明】
【0047】
1:バルブ
2:スタックバルブ
3:電動アクチュエータ
4:スプール中立復帰機構
5:スプール
6:弁本体
7:モータ
7a:出力軸
8:ボールネジ減速機
11:動力伝達部材
14:第1ストッパー
15:第2ストッパー
16:バネ