特許第5666204号(P5666204)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5666204回転機構を有する多機能性制御ハンドルを備えるカテーテル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666204
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】回転機構を有する多機能性制御ハンドルを備えるカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/092 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
   A61M25/00 309B
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2010-190475(P2010-190475)
(22)【出願日】2010年8月27日
(65)【公開番号】特開2011-45719(P2011-45719A)
(43)【公開日】2011年3月10日
【審査請求日】2013年5月30日
(31)【優先権主張番号】12/550,307
(32)【優先日】2009年8月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508080229
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ウィリアム・シュルツ
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0288656(US,A1)
【文献】 米国特許第05987344(US,A)
【文献】 米国特許第06491681(US,B1)
【文献】 特開2006−000649(JP,A)
【文献】 特表平05−507212(JP,A)
【文献】 特開2011−45720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/092
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルであって、
カテーテル本体と、
該カテーテル本体遠位の偏向可能な中間部分と、
該中間体部分遠位のマッピングアセンブリであって、概ね円形部分を有するマッピングアセンブリと、
前記カテーテル本体近位の制御ハンドルであって、
偏向制御アセンブリと、
外側回転部材、内側回転部材、及びカムを有する回転制御アセンブリと、を有する制御ハンドルと、
前記中間部分を偏向させるように適合された、前記偏向制御アセンブリに対応する第1及び第2の牽引部材と、
前記マッピングアセンブリの前記概ね円形部分を収縮させるように適合された、前記回転制御アセンブリに対応する第3の牽引部材と、を備え、
前記外側回転部材が、前記内側回転部材を囲繞し、前記内側回転部材が、前記カム上に回転自在に載置され、
前記回転制御アセンブリが、前記第3の牽引部材の近位端が固定される従動子を含み、前記従動子が、前記カム上に形成されたらせん状のトラック内を摺動するように、前記内側回転部材の移動に従動するように適合され、
使用者による前記外側回転部材の回転が、前記第3の牽引部材を前記カテーテル本体に対して縦方向に移動させる、カテーテル。
【請求項2】
前記外側及び内側回転部材が、それらの間に延在する形成物によって、回転連結される、請求項に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記形成物が、連動歯である、請求項に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記形成物が、前記外側回転部材から前記内側回転部材内に延在するフィンガーである、請求項に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記内側回転部材及び前記外側回転部材が、共通の回転軸を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記外側回転部材が、第1の回転軸を有し、前記内側回転部材が、第2の回転軸を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記第1の回転軸が、前記制御ハンドルの縦軸を有する軸上にある、請求項に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記回転制御アセンブリが、前記偏向制御アセンブリの近位にある、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記偏向制御アセンブリの張力を調節するように適合された張力制御アセンブリを更に備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記外側回転部材が、前記カテーテル本体に対して前記第3の牽引部材を移動させ、前記マッピングアセンブリを収縮させるために、前記内側回転部材に回転を付与するように適合される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
患者の心臓で使用するための多機能性カテーテル制御ハンドルであって、
偏向アーム及びロッカー部材を有する偏向制御アセンブリと、
外側回転部材、内側回転部材及びカムを有する回転制御アセンブリと、
第1及び第2の牽引部材であって、それぞれが、前記偏向制御アセンブリに固定される近位端を有する、第1及び第2の牽引部材と、
前記回転制御アセンブリに固定される近位端を有する第3の牽引部材と、を備え、
前記外側回転部材が、前記内側回転部材を囲繞し、前記内側回転部材が、前記カム上に回転自在に載置され、
前記回転制御アセンブリが、前記第3の牽引部材の近位端が固定される従動子を含み、前記従動子が、前記カム上に形成されたらせん状のトラック内を摺動するように、前記内側回転部材の移動に従動するように適合され、
使用者による前記外側回転部材の回転が、前記第3の牽引部材を前記カテーテル本体に対して縦方向に移動させる、制御ハンドル。
【請求項12】
前記外側及び内側回転部材が、それらの間に延在する形成物によって、回転連結される、請求項11に記載の制御ハンドル。
【請求項13】
前記形成物が、連動歯である、請求項12に記載の制御ハンドル。
【請求項14】
前記形成物が、フィンガーである、請求項12に記載の制御ハンドル。
【請求項15】
前記内側回転部材及び前記外側回転部材が、共通の回転軸を有する、請求項11に記載の制御ハンドル。
【請求項16】
前記外側回転部材が、第1の回転軸を有し、前記内側回転部材が、第2の回転軸を有する、請求項11に記載の制御ハンドル。
【請求項17】
前記第1の回転軸が、前記制御ハンドルの縦軸を有する軸上にある、請求項16に記載の制御ハンドル。
【請求項18】
前記回転制御アセンブリが、前記偏向制御アセンブリの近位にある、請求項11に記載の制御ハンドル。
【請求項19】
前記偏向制御アセンブリの張力を調節するように適合された張力制御アセンブリを更に備える、請求項11に記載の制御ハンドル。
【請求項20】
前記外側回転部材が、前記カテーテル本体に対して前記第3の牽引部材を移動させ、前記マッピングアセンブリを収縮させるために、前記内側回転部材に回転を付与するように適合される、請求項11に記載の制御ハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテル、特に、カテーテルの部分を偏向させ、かつ収縮させるための複数の制御機構を有する制御ハンドルを備えるカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
電極カテーテルは医療業務において多年にわたり一般に用いられている。それらは心臓内の電気的活動を刺激及びマッピングすることに用いられ、更に異常な電気的活動の部位を除去することに用いられている。心房細動は、一般的な持続性心不整脈であり、脳卒中の主な原因である。この病状は、異常な心房組織基質内で伝播するリエントラント型ウェーブレットによって持続される。ウェーブレットを遮断するために、様々な方法が開発されており、外科的又はカテーテル媒介心房切開が含まれる。病状を治療する前に、まず、ウェーブレットの位置を判定しなければならない。そのような判定を行うために、様々な技術が提案されており、構造の内周周囲の肺静脈、環状静脈洞、又は他の管状構造内の活性を測定するように適合されたマッピングアセンブリを備えるカテーテルの使用が含まれる。1つのそのようなマッピングアセンブリは、カテーテル本体を概ね横断し、その遠位にある、概ね円状の主要領域を備え、外周及び主要領域の遠位にある概ね線状の遠位領域を有する、管状構造を有する。管状構造は、少なくともマッピングアセンブリの主要領域上に非導電性カバーを備える。形状記憶を有する支持部材は、少なくともマッピングアセンブリの主要領域内に配置される。複数の電極対(それぞれ2つの環電極を含む)は、マッピングアセンブリの概ね円形の主要領域によって担持される。
【0003】
使用中、電極カテーテルは、主要静脈又は動脈、例えば、大腿動脈に位置付けられている誘導シース内に挿入され、かつ心室内に誘導される。心室内で、カテーテルは、誘導シースの遠位端を通過して伸展し、マッピングアセンブリを暴露させる。カテーテルは、マッピングアセンブリが心室の管状領域に位置付けられるように、カテーテルの遠位部分の偏向を含む動作を介して操作される。カテーテルの正確な位置及び配向、並びにマッピングアセンブリの構成を制御する能力は、非常に重要であり、カテーテルがどれほど有用であるかを大きく決定する。
【0004】
可動型カテーテルは、一般的に公知である。例えば、米国特許第Re 34,502号は、その遠位端にピストンチャンバを有するハウジングを備える、制御ハンドルを有するカテーテルを説明する。ピストンは、ピストンチャンバ内に載置され、縦方向移動が与えられる。細長いカテーテル本体の近位端は、ピストンに付着される。牽引ワイヤーは、ハウジングに付着され、ピストンを通り、カテーテル本体を通り、かつカテーテル本体の遠位端の先端部分内に延在する。牽引ワイヤーの遠位端は、カテーテルの先端部分内に固定される。この配置では、ハウジングに対するピストンの縦方向動作は、カテーテルの先端部分の偏向をもたらす。
【0005】
米国特許第RE 34,502号に説明される設計は、一般的に、単一の牽引ワイヤーを有するカテーテルに制限される。双方向の偏向が望ましい場合、1つ以上の牽引ワイヤーが必要になる。更に、更なる制御が望ましい場合、マッピングアセンブリの収縮等、追加の牽引ワイヤーが必要である。制御ハンドル内の空間は制限されており、牽引ワイヤー制御機構の操作は、リードワイヤー、ケーブル、及び潅注管等の制御ハンドルを通って延在する構成要素を妨害してはならない。更に、制御機構は、カテーテルが使用者によって片手で操作することが可能になるように、配列されるのが望ましい。したがって、好ましくは、使用者の片手での操作によって、カテーテルシャフトの双方向の偏向及びマッピングアセンブリの収縮等の少なくとも2つの独立した動作のために、3つの牽引ワイヤーを移動させることが可能な制御ハンドルの必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、患者の心臓に使用するため、特に、心臓の管状領域をマッピングするためのカテーテルに関する。一実施形態では、カテーテルは、カテーテル本体及びカテーテル本体の遠位の偏向可能な中間部分を有する。中間部分の遠位は、心臓の管状領域上又はその中に配置されるように適合される概ね円形部分を有するマッピングアセンブリを有する。カテーテルの制御ハンドルは、偏向制御アセンブリ及び回転制御アセンブリによって、中間部分を偏向させ、マッピングアセンブリを収縮させることができる、様々な制御機構の片手操作を可能にさせる。偏向制御アセンブリは、偏向アーム及びロッカー部材を有する。回転制御アセンブリは、外側回転部材、内側回転部材及びカムを有する。一対の牽引部材は、偏向制御アセンブリに対応して、中間部分を双方向に偏向させる。第3の牽引部材は、回転制御アセンブリに対応して、マッピングアセンブリの概ね円形部分を収縮させる。
【0007】
更に詳細な実施形態では、第3の牽引部材の近位端は、使用者による外側回転部材の回転が第3の牽引部材をカテーテル本体に対して縦方向に移動させるように、回転制御アセンブリ内に固定される。外側回転部材は、一般的に、内側回転部材を囲繞し、内側回転部材は、カム上に回転自在に載置される。制御アセンブリは、第3の牽引部材の近位端が固定される従動子を含み、従動子は、カム上に形成されたトラック内を摺動するように、内側回転部材の移動に従うように適合される。更に詳細な実施形態では、カム上のトラックは、らせん状であり、外側及び内側回転部材は、孔を係合する連動歯又はフィンガーを含む、形成物によって回転連結される。
【0008】
回転制御アセンブリは、内側回転部材及び外側回転部材が共通の回転軸、又は異なる回転軸を有するように、配列させることが可能である。更に、回転制御アセンブリは、偏向制御アセンブリの近位又は遠位のいずれかで配置される。制御ハンドルは、偏向制御アセンブリの張力を調節するように適合された張力制御アセンブリを含むことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明のこれらの及び他の特徴及び利点は、添付図面と合わせて考慮するとき、以下の詳細な説明を参照することにより、より十分に理解されるであろう。選択した構造及び特徴は、残りの構造及び特徴のよりよい理解を提供するために、特定の図面に示されていないことを理解する。
図1】本発明のカテーテルの一実施形態の上部平面図。
図2a】第1の直径に沿った、カテーテル本体と中間部分の連結部の一実施形態の側断面図。
図2b】第1の直径に概ね垂直な第2の直径に沿った、図2aの連結部の実施形態の側断面図。
図3】中間部分及びマッピングアセンブリを含む、図1のカテーテルの遠位部分の側面図。
図4】線4−4に沿った、図3の中間部分の縦方向側断面図。
図5】環電極の1つの配列を示す、マッピングアセンブリの概略図。
図6】線6−6に沿った、図3のマッピングアセンブリの縦方向側断面図。
図7図3のマッピングアセンブリの遠位端の一実施形態の側断面図。
図8a】第1の直径に沿った、中間部分とマッピングアセンブリとの間の連結部の一実施形態の側断面図。
図8b】第1の直径と概ね垂直な第2の直径に沿った、中間部分とマッピングアセンブリとの間の連結部の一実施形態の側断面図。
図9】偏向制御アセンブリの実施形態を含む、制御ハンドルハウジングの半分体の一実施形態の上部平面図。
図10】偏向制御アセンブリのロッカー部材の一実施形態の上部斜視図。
図11】ロッカー部材の一実施形態の底面斜視図。
図12】偏向制御アセンブリの滑車の一実施形態の側面図。
図13a】中立及び回転構造の偏向制御アセンブリの一実施形態の概略図。
図13b】中立及び回転構造の偏向制御アセンブリの一実施形態の概略図。
図13c】中立及び回転構造の偏向制御アセンブリの一実施形態の概略図。
図14】制御ハンドル上に載置される偏向制御アセンブリ及び張力制御アセンブリの一実施形態の縦方向断面図。
図14a】保持ナット及び張力ネジの一実施形態を含む、図14の部分の詳細図。
図15】第1の制御ハンドルハウジングの半分体の一実施形態の部分斜視図。
図16】偏向アームの一実施形態の斜視図。
図17】張力制御ダイアルの一実施形態の斜視図。
図18】係止プレートの一実施形態の斜視図。
図19】制御ハンドルの一実施形態の一部分の部分的斜視図。
図20】制御ハンドル上に載置された偏向アーム及び張力制御部材の一実施形態の一部分の部分的斜視図。
図21】第2の制御ハンドルハウジングの半分体及び保持ナットの一実施形態の一部分の部分的斜視図であり、第2の制御ハウジングの半分体は、第1の制御ハンドルハウジングの半分体と反対になるように適合される。
図22図17の張力制御ダイアル、及び組み立てられた図18の係止プレートの斜視図。
図23】回転制御アセンブリの一実施形態の分解斜視図。
図24】制御ハンドル上に組み立てられた、図23の回転制御アセンブリの側断面図。
図25】線b−bに沿った、図24の回転制御アセンブリの縦方向側断面図。
図26】線a−aに沿った、図24の回転制御アセンブリの縦方向側断面図。
図27】回転制御アセンブリの代替的実施形態の分解斜視図。
図28】制御ハンドル上に組み立てられた、図27の回転制御アセンブリの側断面図。
図29】線a−aに沿った、図27の回転制御アセンブリの縦方向側断面図。
図30】線b−bに沿った、図27の回転制御アセンブリの縦方向側断面図。
図31】線c−cに沿った、図27の回転制御アセンブリの縦方向側断面図。
図32】制御ハンドルハウジングの半分体の代替的実施形態の部分的斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、本発明は、心臓のマッピング及び/又は切除の複数の制御能力を有するカテーテル10に関する。図1の図示した実施形態では、カテーテル10は、カテーテルの部分を制御するため、例えば、中間部分14を偏向させ、マッピングアセンブリ17を収縮させるために、細長いカテーテル本体12と、カテーテル本体12の遠位端の偏向可能な中間部分14と、中間部分14の遠位端のマッピングアセンブリ17を含む、先端部分15と、カテーテル本体12の近位端の多機能性制御ハンドル16とを備える。
【0011】
図2A及び2Bを参照すると、カテーテル本体12は、単一、中央又は軸的ルーメン18を備える。カテーテル本体12は可撓性であり、すなわち、曲げることができるが、その長さに沿って実質的に圧縮不可能である。カテーテル本体12は、いかなる好適な構造、かついかなる好適な材料からも作製されてよい。好適な構造は、ポリウレタン又はナイロン製の外壁22を含む。外壁22は、制御ハンドル16が回転されるとき、カテーテル10の先端部分が対応する方向に回転されるように、ステンレス鋼等の埋め込まれた編みメッシュを含み、カテーテル本体12のねじり剛性を上昇させる。
【0012】
カテーテル本体12の外径は重要ではないが、好ましくは、約0.267cm(8フレンチ)以下である。同様に、外壁22の厚さは重要ではない。外壁22の内表面は、任意の好適な材料、例えば、ポリイミドから作製することが可能な硬化チューブ材20で囲まれる。硬化チューブ材20は、カテーテル本体12の近位端の外壁22に対する場所に保持される。第1の糊接合部23は、Super Glue.RTM等の速乾性糊によって、強化チューブ材20の遠位端と外壁22の遠位端との間に作製される。その後、第2の糊接合部25は、より遅乾性ではあるが、より強力な糊、例えば、ポリウレタンを使用して、硬化チューブ材20の近位端と外壁22の近位端との間に形成される。
【0013】
編み外壁22とともに、硬化チューブ材は、同時にカテーテルの壁厚を最小限にし、それによって、単一のルーメンの直径を最大限にしながら、向上したねじれ安定性を提供する。硬化チューブ材20の外径は、外壁22の内径とほぼ同一、又はそれよりもわずかに小さい。ポリイミドチューブ材は、非常に薄い壁である得るが、非常に優れた剛性を提供するため、好適である。これは、強度及び剛性を犠牲にせずに、ルーメン18の直径を最大限にする。ポリイミド材料は、屈曲したときに、ねじれる傾向があるため、典型的に、硬化チューブ材に使用されない。しかしながら、ポリウレタン、ナイロン、又は他の同様の材料、特にステンレス鋼編みメッシュを有する材料の外壁22と組み合わせて、ポリイミド硬化チューブ材20の屈曲したときのねじれる傾向は、カテーテルが使用される用途に対して、典型的に、解消されることが分かっている。
【0014】
一実施形態では、外壁22は、約0.234cm(0.092インチ)の外径及び約0.160cm(0.063インチ)の内径を有し、ポリイミド硬化チューブ材20は、約0.1562cm(0.0615インチ)の外径及び0.132cm(0.052インチ)の内径を有する。
【0015】
図2A、2B及び4に示すとおり、中間部分14は、複数の軸外ルーメン、例えば、第1、第2、第3及び第4のルーメン、30、31、32及び33を有する、チューブ材19の短い部分を備える。チューブ材19は、好ましくは、カテーテル本体12より可撓性である好適な非毒性材料で作製される。チューブ材19に好適な材料は、編みステンレス鋼などの埋込みメッシュを有する編みポリウレタンである。カテーテル本体12の外径のように、中央部分14の外径は、好ましくは、約0.267cm(8フレンチ)以下である。ルーメンの大きさは、重要ではない。一実施形態では、中間部分は、約0.233cm(7フレンチ、0.092インチ)の外径を有し、ルーメンは、一般的に、約0.0559cm(0.022インチ)の直径を有し、ほぼ同一の大きさであるか、又は選択したルーメンは、約0.0914cm(0.036インチ)のわずかに大きな直径を有することが可能である。
【0016】
カテーテル本体12を中間部分14に取り付ける手段が、図2A及び2Bに示されている。中間部分14の近位端は、ポリイミド補剛材20の外表面を受容する内部カウンターボア24を備える。中間部分14及びカテーテル本体12は、糊29等で付着させる。
【0017】
図2A及び2Bに示すとおり、様々な構成要素、例えば、リードワイヤー及び複数の牽引部材、並びに任意の他のワイヤー又はケーブルは、カテーテル本体12の単一ルーメン18を通って延在する。カテーテル本体12に対する牽引部材の縦方向動作は、使用者が制御ハンドルを介してカテーテルの様々な部品を操作することを可能にさせる。一実施形態では、牽引部材は、中間部分14を偏向させるための一対の偏向牽引部材42、及び先端部分15のマッピングアセンブリ17を調節するための収縮牽引部材35を含む。
【0018】
単一ルーメンカテーテル本体12は、単一ルーメン18本体が、カテーテル10を回転しているときに、より良い先端制御を可能にすることができるため、多ルーメン本体よりも好ましい場合がある。単一ルーメン18は、構成要素がそこを通って通過し、カテーテル本体内を自由に浮遊させることが可能になる。そのような構成要素が複数のルーメン内で制限される場合、それらは、ハンドル16が回転されるときに、エネルギーを蓄積することができ、それによって、例えば、ハンドルが解放された場合、又は曲線周辺で湾曲した場合に、逆回転される傾向を有するカテーテル本体12の裏返りが生じ、いずれも望ましくない性能特性である。
【0019】
偏向牽引部材42は、カテーテル本体12の中央ルーメン18を通って、中間部分14の第2のルーメン31内に延在する。別の偏向牽引部材42は、中央ルーメン18を通って、中間部分14の第4のルーメン33内に延在する。偏向牽引部材42の遠位端は、Tアンカー83によって、中間部分14の遠位端付近のチューブ材19の壁に固定される(図8B)。中間部分14では、それぞれの偏向牽引部材42は、プラスチック、例えば、テフロンRTM(Teflon. RTM)、シース81を通って延在し、それは、中間部分14が偏向させられるとき、偏向牽引部材42が中間部分14のチューブ材19の壁に切り込むのを防止する。
【0020】
図2Bに示すとおり、偏向牽引部材42に対して囲繞する圧縮コイル44は、カテーテル本体12の近位端から中間部分14の近位端に延在する。圧縮コイル44は、任意の好適な金属、例えば、ステンレス鋼から作製される。圧縮コイル44は、それ自体にきつく巻きつけられ、圧縮に抵抗するのではなく、可撓性、すなわち、屈曲を提供する。圧縮コイル44の内径は、好ましくは、牽引ワイヤー42の直径よりもわずかに大きいものである。例えば、牽引部材42が約0.0178cm(0.007インチ)の直径を有するとき、圧縮コイル44は、好ましくは、約0.0203cm(0.008インチ)の内径を有する。牽引部材42を被覆するテフロンRTM(Teflon. RTM)は、それらが圧縮コイル44内を自由に摺動することを可能にする。圧縮コイル44の外表面は、可撓性で非導電シース27で被覆され、圧縮コイル44とリードワイヤー及びケーブル等の他の構成要素との間の接触を防止する。非導電シースは、ポリイミドチューブ材から作製することが可能である。
【0021】
圧縮コイル44は、糊接合部50によって、カテーテル本体12内の硬化チューブ材20の近位端付近のそれらの近位端で固定され(図2B)、糊接合部49によって、第2のルーメン31及び第4のルーメン33内の中間部分14の近位端付近のその遠位端で固定される(図2B)。
【0022】
図3を参照すると、中間シャフト14の遠位端は、マッピングアセンブリ17である。マッピングアセンブリ17は、概ね線状の近位領域38及び、概ね円形の主要領域39を備える。近位領域38は、以下に詳細に説明するとおり、それが中間部分14の概ね直線伸張であるように、中間部分14上に載置される。一実施形態では、近位領域38は、例えば、中間部分14内に含まれない、露出した長さを有し、約3mm〜約12mmの範囲、より好ましくは、約3mm〜約8mmの範囲、更に好ましくは、約5mmであるが、必要に応じて異なることがある。
【0023】
概ね円形の主要領域39は、概して、カテーテル本体12と横方向であり、そうでない場合、それと垂直でもある。概ね円形の主要領域39は、平らな円形を形成することが可能であるか、又は極わずかにらせん状であることがある。一実施形態では、主要領域39は、約10mm〜約25mm、より好ましくは、約12〜約20mmの範囲の外径を有する。概ね円形の主要領域39は、時計方向、又は反時計方向に湾曲させることが可能である。図5、6及び7に示すとおり、マッピングアセンブリ17は、必要に応じて、いかなる断面形状も有することが可能である、非導電性カバー又はチューブ材52で形成される。非導電性カバー52は、いかなる好適な材料でも作製することが可能であり、好ましくは、ポリウレタン又はPEBAX等の生体適合性プラスチックから作製される。非導電性カバー52は、所望の概ね円形形状の概ね円形の主要領域39に事前に形成することが可能である。あるいは、概ね円形の主要領域39の形状は、ワイヤー又は非導電性カバー52を通って延在する他の構成要素によって画定することが可能である。
【0024】
図示した実施形態では、事前に形成された支持部材54は、非導電性カバー52を通って延在し、概ね円形の主要領域39を画定する。支持部材54は、形状記憶を有する、すなわち、力が働いた際に、その本来の形状を伸張させるか、又は屈曲させることが可能であり、かつ力を除去した際に、実質的に本来の形状に戻ることが可能である、材料から作製される。支持部材54の好適な材料は、ニッケル/チタン合金である。そのような合金は通常、ニッケルを約55%、チタンを約45%含むが、ニッケルを約54%〜約57%含み、残りがチタンであってもよい。好適なニッケル/チタン合金は、耐久性、強度、耐食性、電気抵抗、及び温度安定性とともに、優れた形状記憶性を有する、ニチノールである。
【0025】
一連の環電極26は、図5に示すとおり、マッピングアセンブリ17の概ね円形の主要領域39の非導電性カバー52上に載置される。環電極26は、プラチナ若しくは金、又はプラチナ及びイリジウムの組み合わせ等のいかなる好適な固体導電性材料でも作製することが可能であり、糊等で非導電性カバー52の上に載置することが可能である。あるいは、環電極26は、非導電性カバー52をプラチナ、金及び/又はイリジウム等の導電性材料で被覆することによって形成することが可能である。コーティングは、スパッタリング、イオンビーム蒸着又は等価な技術を用いて施されることができる。好適なマッピングアセンブリは、米国特許第7274957号に説明され、その全体の開示は、参照することにより本明細書に組み込まれる。必要に応じて、更なる電極(図示せず)を、中間部分14及び/又は概ね線状の近位部分38に沿って載置することが可能である。
【0026】
収縮牽引部材35は、例えば、心臓の円形又は管状領域をマッピングするか、又は剥離するときに、例えば、収縮プラーワイヤーは、概ね円形の主要領域39を収縮させて、それによって、その直径を変化又は減少させるために提供される。収縮ワイヤー35は、制御ハンドル16内に固定される近位端を有し、それは、以下に更に説明するとおり、収縮ワイヤーを操作するために使用される。収縮ワイヤー35は、カテーテル本体12の中央ルーメン18を通り、中間部分14の第3のルーメン32を通り、マッピングアセンブリ17の非導電性カバー52内に延在する。非導電性カバー52を通って延在する収縮ワイヤー35の部分は、図6に最も良く示すとおり、概ね円形の主要領域の中心付近の概ね円形の主要領域39の側面に位置付けられる。概ね円形の主要領域の中心は、概ね円形の主要領域によって形成された円の中心を指す。この配列で、概ね円形の主要領域39の収縮は、収縮ワイヤー35の位置がさほど制御されていない配列よりも著しく改善される。
【0027】
図5及び6に示すとおり、マッピングアセンブリ17内で、収縮ワイヤー35は、プラスチックチューブ55を通って延在する。一実施形態では、プラスチックチューブ55は、当該技術分野において一般的に周知のとおり、その上に編み層が形成されるポリイミドの内部層、編みステンレス鋼メッシュ等を備える編み層等を含む、3つの層を備える。編み層は、収縮ワイヤー35のマッピングアセンブリ17の事前形成された曲線を伸張する傾向を減少させながら、プラスチックチューブ55の強度を強化する。ポリテトラフルオロエチレンの薄いプラスチック層は、編み層が非導電性カバー52内でリードワイヤー40と絡まるのを保護するために、編み層上に提供される。プラスチックチューブ55は、糊等によって、第3のルーメン32内の中間部分14の遠位端に固定された近位端を有する(図8a)。支持部材54は、収縮ワイヤー35を有するプラスチックチューブ55を通って延在する(図8a)。支持部材54の遠位端及び収縮ワイヤー35は、はんだ付けされるか、又は小さなステンレス鋼チューブ53に付着される(図7)。この配列で、収縮ワイヤー35及び支持部材54の相対位置は、上述のとおり、概ね円形の領域39の中心に近接して、概ね円形の領域39の側面上に位置付けることが可能になるように、制御することが可能である。曲線の内側の収縮ワイヤー35は、支持部材54を曲線の内側に引き寄せ、概ね円形の領域39の収縮を強化させる。更に、プラスチックチューブ55が編み層を含むときに、それは、収縮ワイヤー35が非導電性カバー52を通って分裂しないようにする。
【0028】
第3の圧縮コイル46は、カテーテル本体12、及び収縮ワイヤー35に対して囲繞する中間部分シャフト14内に位置する(図2A)。第3の圧縮コイル46は、カテーテル本体12の近位端から中間部分14の第3のルーメン32の遠位端付近に延在する。第3の圧縮コイル46は、例えば、ステンレス鋼等の任意の好適な金属で作製され、それ自体にきつく巻かれて、可撓性、すなわち、屈曲性を与えるが、圧縮に対して耐性である。第3の圧縮コイル46の内径は、好ましくは、収縮ワイヤー35の直径よりもわずかに大きい。圧縮コイル46の外表面は、例えば、ポリイミドチューブ材製等の可撓性の非導電性シース68によって被覆される。第3の圧縮コイル46は、正方形又は長方形の断面積を有するワイヤーから形成することが可能であり、それは、円形の断面積を有するワイヤーから形成された圧縮コイルよりも圧縮性を低くさせる。その結果、第3の圧縮コイル46は、より多くの圧縮を吸収するため、収縮ワイヤー35がマッピングアセンブリ17を収縮させるように操作されたときに、カテーテル本体12、特に、中間部分14を偏向させないようにする。
【0029】
第3の圧縮コイル46は、近位の糊接合部50によって、カテーテル本体12の外壁付近のその近位端に固定され、遠位の糊接合部72によって、中間部分14に固定される。
【0030】
カテーテル10の糊接合部は、ポリウレタンの糊等を含んでよい。糊は、チューブ壁内に作製された孔を通して、シリンジ等を使用して塗布されてよい。そのような穴は、針が永久的な孔を形成するために十分に加熱されるチューブ壁を穿孔する、例えば、針等によって形成されてよい。次いで、糊は、チューブ材内の部品周辺でウィッキングして、構成要素の全周囲の周りに糊接合部を形成するように、孔を通して導入される。
【0031】
図7で図示した実施形態では、マッピングアセンブリ17の遠位端は、ポリウレタンの糊等のドーム51で密閉される。金属又はプラスチック、例えば、ポリアミドから作製される短い環56は、非導電性カバー52の遠位端内に載置される。短いリング56は、非導電性カバー52の遠位端が崩壊するのを防ぎ、それにより遠位端の非導電性カバーの直径を維持する。
【0032】
図8a及び8bに示すとおり、中間部分14及びマッピングアセンブリ17の接合点で、非導電性カバー52は、糊等で中間部分14に付着させる。プラスチックチューブ55は、中間部分14の遠位端内に挿入され、糊接合されたその近位端を有する。プラスチックチューブ55からの糊(図示せず)は、第3のルーメン32内に定置される第3の圧縮コイル46の遠位端を固定するように更に機能させることが可能である。支持部材54は、第3のルーメン32から非導電性カバー52内のプラスチックチューブ55内に延在する。支持部材54の近位端は、中間部分14の偏向させる能力に悪影響を及ぼさないように、第3のルーメン32の遠位端から近位の約5mm短い距離で終端する。しかしながら、必要に応じて、支持部材54の近位端は、中間部分14及び/又はカテーテル本体12内に更に近位に伸展させることが可能である。
【0033】
環電極26に付着したリードワイヤー40は、中間部分14の第1のルーメン30(図2A)を介して、カテーテル本体12の中央ルーメン18を介して、制御ハンドル16を介して延在し、環電極26から受信した情報を受信し、表示するための適切なモニター又は他のデバイスに連結される連結装置(図示せず)内の近位端で終端する。カテーテル本体12の中央ルーメン18、制御ハンドル16及び中間部分14の近位端を通って延在するリードワイヤー40の部分は、ポリイミド等の任意の好適な材料で作製することが可能な保護シース62内に封入される。保護シース62は、それをポリウレタンの糊等でリードワイヤールーメン30内に糊接合することによって、中間部分14の近位端付近のその遠位端に固定し、糊接合部73を形成する。
【0034】
リードワイヤー40は、任意の従来の技術によって、環電極26に付着される。一実施形態では、それぞれの環電極26は、第1に非導電性カバー52内に孔を形成することによって、載置される。電極リードワイヤー40は、孔を通って提供され、環電極26は、リードワイヤー及び非導電性カバー52上の定う位置で溶接される。
【0035】
図1を参照すると、制御ハンドル16は、好適な鋳造処理により構成されたプラスチック等の任意の好適な剛性材料で作製することが可能な、概ね細長いハンドルハウジングを備える。図示された実施形態では、ハウジングは、2つの対向する半分体16a及び16bを含み、これらは、概ね互いに鏡像関係にあり、糊、超音波接合又は他の適切な手段により、ハウジングの周囲の長手方向の継ぎ目28に沿って接合される。図示した実施形態では、反対の半分体によって形成されたハンドル16の横断面は、ハンドルの長さに沿って変化する。より遠位の部分112は、更に小さく、概ね長方形の横断面を有する。中央部分114は、更に大きく、概ね長方形の横断面を有する。より近位の部分116は、概ね円形の横断面を有する。
【0036】
図1及び9の図示した実施形態では、制御ハンドル16は、中央部分114内に偏向制御アセンブリ74の構成要素を収容する。偏向制御アセンブリは、オペレータによって直接操作されて中間部分14の偏向を制御することが可能な偏向部材又はアーム75を含む。偏向アーム75は、制御ハンドルの縦方向軸に対して概ね横方向又は垂直である軸76の周りを回転できる。偏向制御アセンブリ74は、偏向牽引部材42上で作用して中間部分14を偏向させる回転自在のロッカー部材78を有する。
【0037】
ロッカー部材78は、長さLの寸法、幅Wの寸法及び厚さTの寸法を有する(図10及び11)。その厚さ寸法Tとともに、ロッカー部材78は、全体の厚さを貫通して延在する中心孔又は通路143を画定する、2つの対向する環状形成物140a及び140bで構成される。中心孔143は、偏向アーム75の回転軸76と合致する。その長さに沿って、ロッカー部材78は、中央孔143を挟んで互いに対立する2つのより小さい孔146も有する。それぞれの孔には、滑車147、例えば、軸76に平行な回転軸を有するスナップベアリング(図12)が位置している。それぞれの偏向牽引部材42は、スロット148を通ってロッカー部材に進入し、一部分は、それぞれの滑車147に巻きつけられている。
【0038】
当業者には理解されるが、ロッカー部材78及び滑車147は、軸76の周りのロッカー部材の一方向の回転が、1つの牽引部材42を引き戻して、中間部分14をその方向へ偏向させるように配置されている。図13a〜13cを参照すると、ロッカー部材78が偏向アームを使用して回転させられると(線75で示すとおり)、滑車147は、ニュートラル位置(図13a)から転位され、1つの滑車147は、牽引部材42をその固定された近位端に対してカテーテル本体12の片側で引き出して、その方向へ中間部分14を偏向させる(図13b及び13c)。
【0039】
それぞれの偏向牽引部材42は、複数のセグメントを備えてよい。図9に図示するとおり、それぞれの偏向牽引部材は、ロッカー部材78より遠位の制御ハンドル16内の位置で接合又は接続される、遠位の牽引ワイヤー42a及び近位の繊維部分42bを有する。それぞれの偏向牽引部材の牽引ワイヤー42a及び引張繊維42bは、接続装置154、例えば、収縮チューブで圧着された真鍮のフェルールによって、互いに接続又は固定される。それぞれの牽引ワイヤー42aは、カテーテル本体12及び中間部分14を通って延在する。それぞれの引張繊維42bは、制御ハンドル16の内部で延在する。このように、滑車147と相互作用し、偏向操作中に繰り返される屈曲及び伸展を受けるのは、より可撓性の引張繊維42bであり、それらは、曲げ応力及び疲れ破損を受けにくいためである。
【0040】
それぞれの牽引ワイヤー42aは、ステンレス鋼又はニチノール等の任意の好適な金属で作製される。好ましくは、それぞれの牽引ワイヤーは、テフロンRTM(Teflon. RTM)の被覆等の低摩擦被覆を有する。それぞれの牽引ワイヤーは、好ましくは約0.0152mm(0.006インチ)〜約0.0305cm(0.012インチ)の範囲の直径を有する。好ましくは、両方の引きワイヤーは同一の直径を有する。平坦な引きワイヤーを丸い引きワイヤーの代わりに用いてよい。それらの断面の寸法は、丸い引きワイヤーに相当する引張強度を与えることができるものであるべきである。
【0041】
それぞれの引張繊維42bは、好ましくは、実質的に2480〜3200Mpa(412〜463ksi)の範囲の最大引張強度を有する、高分子密度ポリエチレン(例えば、Spectra(商標)又はDyneema(商標))、紡績パラ−アラミド繊維ポリマー(例えば、Kevlar(商標))、又は溶融紡績液晶ポリマー繊維ロープ(例えば、Vectran(商標))、又は高強度セラミック繊維(例えば、Nextel(商標))等の高弾性率の繊維であってよい。「繊維」という用語は、引張繊維が織られた又は編まれた構造体であり得るという点で、本願では複数形の繊維と互換性を持って使用される。いかなる場合においても、これらの材料は可撓性である傾向を有し、より大きな噛み合わせのために滑車等との巻き付き係合に使用されるときに、適切な耐久性を提供する。更に、それらは実質的に非伸縮性であり、非伸縮性であることが制御ハンドルの操作に対する反応性を増大させ、かつMRIで概ね透明に見えるように非磁性である。材料が低密度であることは、その材料をX線機器に対してほぼ透明にする。材料は短絡を防止するために非電導性であることもできる。例えば、Vectran(商標)は、高い強度、高い耐摩耗性を有して、電気絶縁体、非磁性のポリマーであり、持続した負荷状態の下で低い伸長を示す。
【0042】
図9に図示した実施形態では、それぞれの引張繊維42bは、連結装置154からロッカー部材78に向かって近位に延在し、そこでは、それぞれの引張繊維は、それぞれの滑車147の周りに巻きつき、約180度回転して、制御ハンドルの遠位端に向かって逆戻りする。引張部材42bのそれぞれの近位端は、一対のラック(a pair or racks)92、スラグ94及びストップ96を含むアンカーアセンブリ90により固定される。それぞれの引張繊維22bの近位端は、一対のラック92によって画定されたチャネル91とそれぞれの引張繊維の近位端との間に延在し、チャネル91内に適合し、並進するような寸法にされた鋳造部材又はスラグ94の中に包み込まれるスラグの近位には、ラック92に沿って選択された位置に、例えば、動きに対して着脱可能に選択された場所に固定する、ラック及びストップ内に形成された互いに噛み合う歯98などの手段により、調節可能に位置決めされたストップ96がある。ストップ96は、それぞれの引張繊維42bが、スラグ94がそれらを通過して近位に移動するのを阻止しながら、その中、又はその下を摺動することが可能になるように形成される。したがって、ストップ96は、スラグ94の近位への動作を制限し、引張繊維42bの近位端を固定して、それぞれが偏向制御アセンブリ74により近位に引き出されたときに、偏向を達成させる。2つのハウジングの半分体16a及び16bが接合する前の制御ハンドル16を組み立てる際に、ストップ96は、それぞれの引張部材での所望の張力を達成するために、ラック92の間に選択的に位置付けられる。ラック92の相互に噛み合う歯98及びストップ96は、張力の微調整を可能にする。
【0043】
制御ハンドル16上の偏向アーム75及び張力調節部材101を含む、偏向制御アセンブリ74の構成及びアセンブリを以下に説明する。図14及び14aを参照して、アセンブリ74のロッカー部材78は、制御ハンドル16の2つの半分体16aと16bとの間に位置し、それぞれの環状形成体140a及び140bは、それぞれ、それぞれのハウジングの半分体16a及び16bの遠位部分114内に形成された開口部120a、120bを通って延在する。
【0044】
環状形成体140aは、偏向アーム75(図16)の接面154から突出する突出部152を受容して、偏向アーム75とロッカー部材78を回転連結させる、開口部120a(図15)を介して露出された凹部160(図10)を有する。突起152は、凹部160にスナップ式にはまり込むことができ、及び/又は接着剤、糊、超音波接合などにより固定されることができる。偏向アーム75からの中央の円形突出部156は、ロッカー部材78の環状形成体140aによって外接された孔143に適合する。好適な偏向アセンブリ及び制御ハンドルは、2008年12月30日に出願された、同時係属の米国特許第12/346,834号、名称「DEFLECTABLE SHEATH INTRODUCER」に説明されており、その全体の開示は、参照することにより、本明細書に組み込まれる。偏向感度を有する別の好適な偏向アセンブリは、2008年9月16日に出願された、同時係属の米国特許第12/211,728号、名称「CATHETER WITH ADJUSTABLE DELFECTION SENSITIVITY」に説明されており、その全体の開示は、参照することにより、本明細書に組み込まれる。その中に、偏向感度ノブに反応するカムは、2つの滑車147間の分離距離を変化させることが可能であり、したがって、偏向アームの偏向感度を変更する。
【0045】
偏向アーム75の反対には、様々な機構及び部品によってロッカー部材78に結合し、かつ間接的にそれと係合して、オペレータが偏向アーム75が回転されることが可能な容易性を調節するのを可能にする偏向引張調節部材又はダイアル101(図17及び20)がある。主に半分のハウジング16b上に載置される、張力調節アセンブリ100の図示した実施形態には、調節ダイアル101(図17)、係止プレート102(図18)、張力キャップネジ103、保持ナット136及びワッシャ119(図14及び14a)が含まれる。使用者は、ダイアル101を回転させて、ロッカー部材78をワッシャ119(例えば、ベルビル型)及び制御ハンドルハウジングの半分体16bに対して効果的に圧縮又は解放することによる偏向アーム75の回転動作の硬性又は張力を調節する。
【0046】
ダイアル101は、摩擦誘導の表面を有する周縁エッジ115を有する概ね円形の横断面を有する(図17)。中央の円形突出部105及び複数の突起部106(図17)は、ダイアル101の表面104から突出するダイアルの直径に沿って位置する。
【0047】
係止プレート102は、ダイアル101とハンドルハウジング16bとの間に挟まれる(図20)。係止プレート102(図18)は、中央のより大きな孔107及び2つのより小さな孔108を有し、その3つのすべては、係止プレートの全体の厚さを貫通して延在する。ダイアル101の2つの突起物106は、より小さな孔108を通ってプレート102(図21)内に挿入され、ハウジングの半分体16bの外表面内に形成された半円形の溝109(図19)内で受容されるように適合される。溝109は、時計方向及び半時計方向のダイアル101の回転の程度を制限する。プレート102の中央孔107(図18)は、より大きな円形横断面107a及びより小さな円形横断面107bを含む、異なる横断面を有する。より大きな円形横断面107aは、キャップネジ103の頭112を受容し、より小さな円形横断面107bは、キャップネジ103のネジ付き本体115を受容する(図14a)。
【0048】
係止プレート102の中央孔107を通って延在するキャップネジ103のネジ付き本体115は、ロッカー部材78の開口部143内に位置する保持ナット136を係合する。ナットの頭115は、ロッカー部材78の開口部143の内表面において形成されたネック132に隣接し、固定される。ハウジングの半分体16b内の開口部120b(図21)は、より大きな横断面122及びより小さな横断面124を有する。より小さな横断面124は、ナット136がハウジングハンドル16bに対する回転に対して効果的に係止されるように、ナット136の多角形(例えば、六角形)の末端部126と一致する多角形の形状を有する。
【0049】
ダイアル101の中央突出物105(図17)は、キャップネジ103の頭112を有するプレス機又は締まりばめを形成して、これらの2つの構成要素との間に回転配列を作成する。ダイアル101の突起部106は、ダイアル101及び係止プレート102を係止し、回転連結させ、キャップネジ103は、係止プレート102に回転連結される。ダイアル101と係止プレート102との連結は、2つの構成要素をともに溶接することによって達成されてもよい。その場合、突起部106は、ダイアル101から突出する必要はないが、代わりに、係止プレート102から延在することが可能である。
【0050】
ナット136の多角形の末端部126とハウジングハンドル16bとの間に、ワッシャ119があり、それは、ナット136及びハウジングハンドル16bに対する圧縮が、使用者によるキャップネジ103とナット136との間の係合を締める又は解放するダイアル101の回転によって調節可能であり、したがって、ロッカー部材78の容易性を増加又は減少させ、それによって、偏向アーム75を回転させることが可能である。
【0051】
例えば、リードワイヤー40及び収縮ワイヤー35を含む、制御ハンドルを通って延在する構成要素は、遠位端で制御ハンドルにも進入する。図9の図示した実施形態では、これらの構成要素は、制御ハンドルの縦軸に沿って延在する。ロッカー部材78の幅寸法Wを介するチャネル150の形成を介して2つの偏向牽引部材42との間に位置付けられる構成要素がそこを通って延在する保護チューブ152を提供することが可能である(図11)。チャネル150の遠位及び近位部分は、ロッカー部材78が所定の角度範囲内で、例えば、制御ハンドル16の縦方向軸に対して約±45度で、チューブ材152及びそこを通る構成要素によって妨害されることなく、自在に回転させることを可能にするために、例えば、三角形又は楔型のへこみ151(図9及び11)を有する。
【0052】
あるいは、収縮ワイヤー35を除く、制御ハンドルを通って延在する構成要素は、制御ハンドル16の遠位端内への入口の偏向牽引部材42から枝分かれする、軸外の経路153上を経路とする。したがって、構成要素は、ロッカー部材78を避けて、ハンドルの周辺に沿って延在する。
【0053】
圧縮コイル44の遠位端と中間部分14内のそれぞれの偏向牽引部材42の遠位の固定部位との間の距離は、偏向牽引部材方向への中間部分14の湾曲を決定すると理解される。例えば、2つの偏向牽引部材42が圧縮コイル44の遠位端から異なる距離で固定される配列は、第1の平面において長いリーチ曲線、及び90度の平面において短いリーチ曲線を可能にする。第1の、すなわち、1つの平面における第1の曲線は、概して、それが偏向させられる前に、中間部分14の軸に沿い、横断面第1の曲線の遠位にある第2の曲線は、横断し、好ましくは、第1の平面に垂直である。カテーテルの中間部分14の高いトルク特性は、一方向に偏向させて他方向に変形させる傾向を減少させる。そのようなカテーテルと使用するための好適な偏向制御ハンドル及びその部品は、1997年9月5日に出願された、米国特許第08/924,611号、名称「Omni−Directional Steerable Catheter」、1998年8月7日に出願された、同第09/130,359号、名称「Bi−Directional Control Handle for Steerable Catheter」、1998年8月28日に出願された、同第09/143,426号、名称「Bidirectional Steerable Catheter with Bidirectional Control Handle」に説明されており、それらの全体の開示は、参照することにより、本明細書に組み込まれる。
【0054】
第3の牽引部材、例えば、収縮ワイヤー35を使用してマッピングアセンブリ17を調節するために、制御ハンドル内の2つの偏向牽引部材42との間に延在する収縮ワイヤーの遠位端は、回転制御アセンブリ200を使用する作動のために制御ハンドル内に固定される。図22に図示される実施形態では、回転制御アセンブリ200は、外側回転部材(又は制御ノブ)202、カム本体207が内側回転部材(又は、ギア)204を担持するカム206を含み、それらの組み合わせは、例えば、マッピングアセンブリ17を収縮させ、かつ拡張させるようにカテーテル本体12に対して収縮ワイヤー35の縦方向移動を達成する。図23〜25を参照すると、回転制御アセンブリが載置される制御ハンドル16の近位部分116は、内径D1及び外径D2の概ね円形の横断面を有する。回転制御アセンブリ200は、偏向制御アセンブリ74の遠位に位置付けることが可能であると理解されているが、開示した実施形態では、それは、偏向制御アセンブリ74の近位に位置付けられる。
【0055】
開示した実施形態では、外側回転制御ノブ202は、制御ハンドルの近位部分116上に載置される。2つの半分体202a、202bから形成され、スナップ嵌め、又は糊若しくは音波溶接により互いに接合するように適合されたノブ202は、制御ハンドル16の外表面において形成された外周の凹部208(図15も参照)内で受容される。半分体202a、202bから組み立てられたとき、外側回転ノブ202は、ノブ202が凹部208内の制御ハンドル16の周りを回転させることが可能になるように、凹部208よりもわずかに大きい内径D3を有する、概ね円筒形、例えば、環の形状である。ノブが凹部208内で回転させることが可能な限り、ノブ202と制御ハンドル16との間の周縁接触がある。したがって、制御ハンドル上に載置されたノブは、ノブの回転が制御ハンドルの縦方向軸上になるように制御ハンドルの近位部分116と同心である。ノブの外表面は、カテーテルの使用者によるノブ202の回転を促進するために、摩擦誘導形成体210を有する。ノブの一部分は、ハンドルの外径D2よりも大きい直径D4を有してよい。
【0056】
ギア204が担時されるカム206は、円筒形本体207、及び遠位端にカラー209を有する。ギア204は、カム206の縦方向軸がギア204の回転軸を画定するように、カムの円筒形本体207上に載置される。ギアは、カム206上、及びその周辺を回転する。カラー209の一部分(例えば、図23の底部分)は、位置Xで制御ハンドルハウジングの内表面に形成された凹部230(図15)内で受容され、かつそこに取り付けられる。カラー209の取り付けは、カム206をハンドル16に固定し、それによって、ハンドル16内、及びそれに対するギア204の回転軸を固定する。
【0057】
ノブ202をギア204と回転連結させるために、例えば、ノブからギアへの回転動作を係合させ、かつ付与させることで、ノブ202の内表面及びギア204の外表面は、連動歯212及び214等の形成体を有する(図24)。図示した実施形態では、ギア204の外径D5は、ギア204の回転軸がノブ202の回転軸及び制御ハンドルの縦方向軸から軸外になるように、ハンドル16の横断面の直径D1並びに制御ノブ202の直径D3及びD4よりも、例えば、50%又はそれ以上に、有意に小さい。したがって、歯212及び214の一部分のみが常に互いに係合する。
【0058】
歯間の係合は、2つの制御ハンドルハウジングの半分体16a及び16b内の放射状カットアウト部222(図15)によってハンドル16内に形成される開口部又は孔220(図24)を介して生じる。開口部220は、図示した位置を制限するものではなく、ハンドル16の周縁の周りのいかなる位置であってもよいと理解される。ギア204の歯212、214、及び外側環202がそこを通って噛み合う、ハンドル16における開口部220は、カラー209の位置Xのすぐ近接にある。カム206は、カラー209及び位置Xが開口部220のすぐ近位にくるように反対にすることができると理解されているが、図示した実施形態では、開口部220は、位置Xのすぐ近位にある。
【0059】
図23で最も良く示されるように、らせん状チャネル又はトラック232は、カム206の円筒形本体207の外表面において形成され、カラー209と円筒形本体の近位端との間に延在する。カムとギアとの間に一般的に位置される従動子240のフィンガー241は、トラック内に乗り、その動作は、ギアがノブ202によって回転されると、ギア204内に形成された軸スロット242によって誘導される。収縮ワイヤー35の遠位端は、従動子がカテーテル本体12に対して縦方向に収縮ワイヤー35を引き出すように、フィンガー241に固定される。使用者がノブ202を回転させると、ギア204は、その軸スロット242及びその中の従動子240に沿って回転し、それぞれは、制御ハンドル16の縦方向軸を周回する。従動子240が周回すると、それは、軸スロット242に誘導されるとおり、らせん状チャネル232内を摺動し、制御ハンドル16に対して遠位又は近位に移動する。従動子240が遠位に摺動すると、収縮ワイヤー35は、遠位に引き出される。従動子240が近位に摺動すると、収縮ワイヤーは、近位に押し出される。そのような方法は、外側制御ノブ202の回転動作が収縮牽引部材35の縦方向動作に変換される方法である。有利に、従動子240が、らせん状トラック232に沿って移動することが可能である距離は、制限されないが、収縮ワイヤー35によって制御されるカテーテル構成要素における動作の範囲又は程度では、実際は、円筒形本体207の長さよりも更に長いことがある。実際は、従動子240が円筒形本体207に沿って移動することが可能な距離(及び、したがって、収縮ワイヤー35が移動することが可能な量)は、らせん状トラック232のピッチ(例えば、1つの完全ならせん回転の幅)及び円筒形本体207の直径によって異なる。したがって、制御ノブ202は、少なくとも360度、ないしはそれ以上の回転のために設計される。
【0060】
カム206のカラー209は、収縮ワイヤー35がそこを通って本体207に到達する放射状ノッチ244を有する。リップ249は、ギア204を本体207に保持するためのスナップ嵌め機能として、カム206の本体207の近位端に形成される。軸ノッチ246は、カム207の近位端の偏向がスナップ嵌め機能を促進させることを可能にする。保護チューブ材152を通って延在するリードワイヤー及び他の構成要素(例えば、熱電対ワイヤー、ケーブル、潅注チューブ材)は、ギア204とノブ202との間の通路270を通って通過することが可能である。
【0061】
代替的実施形態では、回転制御アセンブリ200を、図27に図示する。選択した構成要素は、同一又は同様であるが、相違点には、ギアなし外側回転制御ノブ202’、概ね円筒形である、より大きな同等サイズのギアなし内側回転部材204’、及びより大きな同等サイズのカム206’が含まれ、それらのうちの最後の2つは、3つのすべての構成要素が共通の縦方向軸を共有することを可能にする。
【0062】
図示した実施形態では、外側回転制御ノブ又は環202’は、制御ハンドル16’の近位部分116上に載置される。2つの半分体202’a、202’bで形成されたノブは、制御ハンドルハウジングの半分体16a’、16b’の外表面において形成された外周の凹部208(図31)内で受容される。ノブ202’は、ノブが凹部208内で回転されることが可能なように、凹部208よりもわずかに大きい内径D3を有する、概ね円筒形、例えば、環形状である。ノブがハンドル16’に対して制御ハンドルの縦方向軸の周りを回転されることが可能な限り、ノブ202’とハンドル16’との間の周縁接触がある。同様に、ノブの外表面は、カテーテルの使用者によるノブ202の回転を促進するために、摩擦誘導形成体210を有する。ノブの一部分は、ハンドルの外径D2よりも大きい直径D4を有してよい。しかしながら、ノブ202’の内表面は、概ね円滑である。
【0063】
この実施形態では、カム206’は、前述の実施形態のカム206と同様の構造及び機能を有し、相違点は、それが制御ハンドル内の概ね軸上又は同心位置にある内部シリンダー204’及び外部ノブ202’を担持し、シリンダー204’及び外部ノブ202’が共通の回転軸を有することを可能にするように、円筒形本体207’のより大きな外径D8を含むことである。カムのカラー209’は、制御ハンドルハウジングの半分体16a’、16b’の内表面において形成された周縁凹部260内に固定される。
【0064】
外側ノブ202’を内側回転部材204’と回転連結させるために、例えば、ノブ202’から内部回転シリンダー204’までの回転動作を行い、かつ付与するために、外側ノブ202’の内表面及び内部シリンダー204’の外表面は、形成体、例えば、他方の表面に形成された一致するくぼみ又は孔252に到達する一方の表面に形成されたフィンガー250を有する。図示した実施形態では、内側回転シリンダー204’の外表面において形成された2つの正反対のへこみ252と係合する外側ノブ202’の内表面において形成された少なくとも2つの正反対のフィンガー250がある。したがって、図示するとおり、内部シリンダー204’は、制御ハンドルの近位部分116の内径D1よりもわずかに小さい外径D7を有することが可能である。
【0065】
フィンガー250と孔252との係合は、ハンドルハウジングの半分体16a、16b内に形成された一対の正反対の放射状スロット254を介して生じる(図31)。スロット254は、制御ハンドルの縦方向軸に対して横方向に延在する。ハンドルが周縁Cを有する場合では、2つのスロットの接合がハウジングの半分体の近位部分における不連続をもたらし得るため、2つのスロットのそれぞれの長さは、最大約0.45Cであってよい。そのため、外側ノブ202’は、時計方向又は反時計方向に最大約290度まで回転させることが可能である。完全な円形スロットを回避することが所望であり得る一方、制御ハンドルは、完全な円形スロットで構成することが可能であるが、例えば、それらの間の内部構造的接続によって、中間及び遠位部分112及び114に接続されたままの近位部分116を有することを理解する。この実施形態によって達成される回転角度は、制御ハンドル16の遠位端と近位端との間の適切な剛性を維持するのに必要な複数のフィンガー及びすべての材料によって異なる。
【0066】
使用者がノブ202’を回転させると、フィンガー250は、内部シリンダー204’を回転させ、それは、順に、軸スロット242を回転させて、従動子240がカム206’の周りを周回させるように誘導する。従動子240は、制御ハンドルに対して遠位又は近位に移動して、順にらせん状トラック232内を摺動する。従動子240が遠位に摺動すると、収縮ワイヤー35は、遠位に引き出されて、例えば、マッピングアセンブリ17を収縮させる。従動子240が近位に摺動すると、収縮ワイヤー35は、近位に押し出されて、例えば、マッピングアセンブリ17を拡張させる。
【0067】
回転制御アセンブリの構成要素の相対的寸法は、図示した実施形態に制限されないことを理解する。図22〜25の実施形態では、ギア204の外径は、その間の歯の十分な係合がある限り、ノブ202の約0.2〜0.9の内径の範囲であってよい。図26〜29の実施形態では、シリンダー204’の外径は、フィンガーがシリンダーとノブとの間に到達するのに十分な長さである限り、ノブ202’の0.2〜0.9の内径の範囲であってよい。いずれかの実施形態において、カム本体の周辺のらせん状トラックの好適な長さLは、L=Pi(D−D)であってよく、Dは、マッピングアセンブリ17の概ね円形の主要部分39の拡大した直径であり、Dは、概ね円形の主要部分39の収縮した直径である。
【0068】
回転制御アセンブリは、樽型のカムを使用して、制御ノブの回転動作を有用な直線偏向に変換させると理解される。アセンブリ構成要素は、最小限の空間を有利に使用して、望ましい直線動作を達成する。
【0069】
使用中、望ましいマッピング位置に位置付けられた遠位端を有する、好適な誘導シースは、患者に挿入される。本発明に関連して使用するのに好適な誘導シースの例が、Biosence Webster,Inc.(カリフォルニア州ダイアモンドバー(DiamondBar))から市販されているPreface(商標)Braiding Guiding Sheathである。シースの遠位端は、心室のうちの1つ、例えば、心房内に誘導される。本発明に従うカテーテルは、その遠位端が誘導シースの遠位端から延在するまで、誘導シースから提供される。カテーテルが誘導シースから提供されると、マッピングアセンブリ17は、伸張され、シースを通リ抜ける。カテーテルの遠位端が望ましいマッピング位置に位置付けられると、誘導シースは、近位に引き出され、偏向可能な中間部分14及びマッピングアセンブリ17がシースの外側に延在することが可能になり、マッピングアセンブリ17は、支持部材54の形状記憶により、その本来の形状に戻る。
【0070】
偏向制御アセンブリ74の偏向アーム75を操作し、かつ回転させて、中間部分14を偏向させることによって、次いで、マッピングアセンブリ17は、アセンブリ17の概ね円形の主要領域39の外周が管状領域の内側の周縁と接触するように、肺静脈又は他の管状領域(上大静脈又は下大静脈等)内に挿入される。偏向アーム75の一方向への回転は、中間部分14をその方向に偏向させる。偏向75の反対方向への回転は、中間部分14をその反対方向に偏向させる。偏向75の張力は、ダイアル101を操作し、かつ回転させることによって調節される。ダイアル101の一方向への回転は、張力を増加させる。ダイアル101の反対方向への回転は、張力を減少させる。好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約70%、更により好ましくは少なくとも約80%の、ほぼ円形である主領域の円周は、管状領域の内側の円周に接触する。
【0071】
電極26の円形配列は、電極間の異所性拍動を特定することが可能なように、管状構造の周縁での電気活性の測定を可能にする。概ね円形の主要領域39の大きさは、円形主要領域は、概して、肺静脈又は冠状静脈洞の直径に対応する直径を有するため、肺静脈又は心臓の、若しくはその付近の他の管状構造の直径に沿った電気活性の測定を可能にする。回転アセンブリ200の外側制御ノブ202、202’を操作し、かつ回転させることによって、アセンブリ17、特に、概ね円形の主要領域39は、肺静脈又は他の冠状構造に一致するように収縮される。ノブを一方向に回転させることによって、収縮ワイヤーは、近位に引き出され、概ね円形の領域39の直径を締め付け、減少させる。ノブを反対方向に回転させることによって、収縮ワイヤーは、遠位に押し出され、概ね円形の領域39を解放し、その直径を拡大させる。
【0072】
前述の説明は、本発明の現在好ましい実施形態を参照して提示されてきた。当業者は、記載した構造の代替及び変更が、本発明の原理、趣旨及び範囲を大きく逸脱することなく実施できることを理解するであろう。当業者に理解されるとおり、図面は、必ずしも一定の縮尺ではない。したがって、上述の記載は、記述され以下の添付図に説明された厳密な構造のみに関係付けられるものとして読解されるべきではなく、むしろ、最も完全で公正な範囲を有するとされる以下の特許請求の範囲と一致し、かつそれらを補助するものとして読解されるべきである。
【0073】
〔実施の態様〕
(1) カテーテルであって、
カテーテル本体と、
該カテーテル本体遠位の偏向可能な中間部分と、
該中間体部分遠位のマッピングアセンブリであって、概ね円形部分を有するマッピングアセンブリと、
前記カテーテル本体近位の制御ハンドルであって、
偏向制御アセンブリと、
外側回転部材、内側回転部材、及びカムを有する回転制御アセンブリと、を有する制御ハンドルと、
前記中間部分を偏向させるように適合された、前記偏向制御アセンブリに対応する第1及び第2の牽引部材と、
前記マッピングアセンブリの前記概ね円形部分を収縮させるように適合された、前記回転制御アセンブリに対応する第3の牽引部材と、を備える、カテーテル。
(2) 使用者による前記外側回転部材の回転が、前記第3の牽引部材を前記カテーテル本体に対して縦方向に移動させるように、前記第3の牽引部材の近位端が、前記回転制御アセンブリ内に固定される、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記外側回転部材が、概して、前記内側回転部材を囲繞し、前記内側回転部材が、前記カム上に回転自在に載置され、
前記制御アセンブリが、前記第3の牽引部材の近位端が固定される従動子を含み、前記従動子が、前記カム上に形成されたトラック内を摺動するように、前記内側回転部材の移動に従動するように適合される、実施態様1に記載のカテーテル。
(4) 前記カム上の前記トラックが、らせん状である、実施態様3に記載のカテーテル。
(5) 前記外側及び内側回転部材が、それらの間に延在する形成物によって、回転連結される、実施態様3に記載のカテーテル。
(6) 前記形成物が、連動歯である、実施態様5に記載のカテーテル。
(7) 前記形成物が、前記外側回転部材から前記内側回転部材内に延在するフィンガーである、実施態様5に記載のカテーテル。
(8) 前記内側回転部材及び前記外側回転部材が、共通の回転軸を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(9) 前記外側回転部材が、第1の回転軸を有し、前記内側回転部材が、第2の回転軸を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(10) 前記第1の回転軸が、前記制御ハンドルの縦軸を有する軸上にある、実施態様9に記載のカテーテル。
【0074】
(11) 前記回転制御アセンブリが、前記偏向制御アセンブリの近位にある、実施態様1に記載のカテーテル。
(12) 前記偏向制御アセンブリの張力を調節するように適合された張力制御アセンブリを更に備える、実施態様1に記載のカテーテル。
(13) 前記外側回転部材が、前記カテーテル本体に対して前記第3の牽引部材を移動させ、前記マッピングアセンブリを収縮させるために、前記内側回転部材に回転を付与するように適合される、実施態様1に記載のカテーテル。
(14) 患者の心臓で使用するための多機能性カテーテル制御ハンドルであって、
偏向アーム及びロッカー部材を有する偏向制御アセンブリと、
外側回転部材、内側回転部材及びカムを有する回転制御アセンブリと、
第1及び第2の牽引部材であって、それぞれが、前記偏向制御アセンブリに固定される近位端を有する、第1及び第2の牽引部材と、
前記回転制御アセンブリに固定される近位端を有する第3の牽引部材と、を備える、制御ハンドル。
(15) 前記外側回転部材が、概して、前記内側回転部材を囲繞し、前記内側回転部材が、前記カム上に回転自在に載置され、
前記制御アセンブリが、前記第3の牽引部材の前記近位端が固定される従動子を含み、前記従動子が、前記カム上に形成されたトラック内を摺動するように、前記内側回転部材の移動に従動するように適合される、実施態様14に記載の制御ハンドル。
(16) 前記カム上の前記トラックが、らせん状である、実施態様15に記載の制御ハンドル。
(17) 前記外側及び内側回転部材が、それらの間に延在する形成物によって、回転連結される、実施態様15に記載の制御ハンドル。
(18) 前記形成物が、連動歯である、実施態様17に記載の制御ハンドル。
(19) 前記形成物が、フィンガーである、実施態様17に記載の制御ハンドル。
(20) 前記内側回転部材及び前記外側回転部材が、共通の回転軸を有する、実施態様14に記載の制御ハンドル。
【0075】
(21) 前記外側回転部材が、第1の回転軸を有し、前記内側回転部材が、第2の回転軸を有する、実施態様14に記載の制御ハンドル。
(22) 前記第1の回転軸が、前記制御ハンドルの縦軸を有する軸上にある、実施態様21に記載の制御ハンドル。
(23) 前記回転制御アセンブリが、前記偏向制御アセンブリの近位にある、実施態様14に記載の制御ハンドル。
(24) 前記偏向制御アセンブリの張力を調節するように適合された張力制御アセンブリを更に備える、実施態様14に記載の制御ハンドル。
(25) 前記外側回転部材が、前記カテーテル本体に対して前記第3の牽引部材を移動させ、前記マッピングアセンブリを収縮させるために、前記内側回転部材に回転を付与するように適合される、実施態様14に記載の制御ハンドル。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9
図10
図11
図12
図13a
図13b
図13c
図14
図14a
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32