特許第5666211号(P5666211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666211
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】配線基板及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20150122BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
   H01L23/12 501W
   H01L21/56 T
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-195652(P2010-195652)
(22)【出願日】2010年9月1日
(65)【公開番号】特開2012-54398(P2012-54398A)
(43)【公開日】2012年3月15日
【審査請求日】2013年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】513192281
【氏名又は名称】ピーエスフォー ルクスコ エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】PS4 Luxco S.a.r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】柏谷 依美
(72)【発明者】
【氏名】金藤 修
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 法翁
【審査官】 木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−190488(JP,A)
【文献】 特開平08−051258(JP,A)
【文献】 特開2010−135418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12−23/15
H01L 21/56
H05K 1/00− 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップが実装される複数の製品形成部が配置された製品形成エリアと、
前記製品形成エリアの外周側に設けられ、前記製品形成部に実装された前記半導体チップを覆う封止部が形成される成形エリアと、
前記成形エリアの外周側に設けられ、前記封止部を形成するための成形金型によって保持されるクランプエリアと、
前記製品形成エリアに設けられ、前記半導体チップと電気的に接続される配線と、
前記成形エリアに設けられ、複数のドットが配列されてなる第1のベタパターンと、
前記クランプエリアに設けられ、前記第1のベタパターンのドットよりも大きい複数のドットが配列されてなる第2のベタパターンと、
を備える、配線基板。
【請求項2】
前記クランプエリアは、前記成形金型が有するゲートに対応するゲートエリアを有し、
前記第2のベタパターンは、前記ゲートエリアに隣接する位置に設けられている、請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記第1のベタパターンは、マトリックス状に配列された前記複数のドットを有し、
前記第1のベタパターンは、前記配線基板の一面側の前記成形エリアと、前記配線基板の他面側の、前記成形エリアに対応する領域にそれぞれ設けられ、
前記配線基板の一面側の前記第1のベタパターンと、前記配線基板の他面側の前記第1のベタパターンは、ドットの位置が、前記マトリックス状に直交する2つの配列方向に対してそれぞれ互いにずれている、請求項1または2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記第2のベタパターンは、マトリックス状に配列された前記複数のドットを有し、
前記第2のベタパターンは、前記配線基板の一面側の前記クランプエリアと、前記配線基板の他面側の前記クランプエリアにそれぞれ設けられ、
前記配線基板の一面側の前記第2のベタパターンと、前記配線基板の他面側の前記第2のベタパターンは、ドットの位置が、前記マトリックス状に直交する2つの配列方向に対してそれぞれ互いにずれている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第1のベタパターン及び前記第2のベタパターンは、絶縁材料によって覆われている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項6】
前記第2のベタパターンは、前記配線基板の外周部の、前記ゲートエリアを除く全周に亘って設けられている、請求項2に記載の配線基板。
【請求項7】
前記第1のベタパターン及び前記第2のベタパターンは、前記配線と同一の材料で形成されている、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項8】
半導体チップが実装される複数の製品形成部が配置された製品形成エリアと、前記製品形成エリアの外周側に設けられ前記製品形成部に実装された前記半導体チップを覆う封止部が形成される成形エリアと、前記成形エリアの外周側に設けられ前記封止部を形成するための成形金型によって保持されるクランプエリアと、前記製品形成エリアに設けられ前記半導体チップと電気的に接続される配線と、前記成形エリアに設けられ複数のドットが配列されてなる第1のベタパターンと、前記クランプエリアに設けられ前記第1のベタパターンのドットよりも大きい複数のドットが配列されてなる第2のベタパターンと、を備える配線基板を用いて、前記半導体チップを前記製品形成部に実装する工程と、
前記半導体チップが前記製品形成部に実装された前記配線基板の前記クランプエリアを成形金型で保持し、前記成形エリア及び前記製品形成エリアを覆うように前記封止部を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記配線基板は、前記第1のベタパターンが、マトリックス状に配列された前記複数のドットを有し、
前記第1のベタパターンは、前記配線基板の一面側の前記成形エリアと、前記配線基板の他面側の、前記成形エリアに対応する領域にそれぞれ設けられ、
前記配線基板の一面側の前記第1のベタパターンと、前記配線基板の他面側の前記第1のベタパターンは、ドットの位置が、前記マトリックス状に直交する2つの配列方向に対してそれぞれ互いにずれている、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記配線基板は、前記第2のベタパターンが、マトリックス状に配列された前記複数のドットを有し、
前記第2のベタパターンは、前記配線基板の一面側の前記クランプエリアと、前記配線基板の他面側の前記クランプエリアにそれぞれ設けられ、
前記配線基板の一面側の前記第2のベタパターンと、前記配線基板の他面側の前記第2のベタパターンは、ドットの位置が、前記マトリックス状に直交する2つの配列方向に対してそれぞれ互いにずれている、請求項8または9に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップが実装される配線基板、及びこの配線基板を用いた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、BGA(Ball Grid Array)型の半導体装置では、配線基板が有する複数の製品形成部のそれぞれに半導体チップを搭載し、配線基板上の複数の製品形成部を一体的に覆う封止体を形成した後、配線基板を個々の製品形成部毎に分割するMAP(Mold Array Process)方式が用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
配線基板は、半導体チップが実装される複数の製品形成部が配列された製品形成エリアと、製品形成エリアに実装された半導体チップを覆う封止体としての封止樹脂材が設けられる成形エリアとを有している。製品形成エリアは、半導体チップと電気的に接続される配線パターンが形成されている。成形エリアは、製品形成エリアの周囲に亘って配置されている。また、配線基板は、成形エリアに封止樹脂材を形成するときに成形金型の上金型と下金型との間に配線基板を挟んで保持するためのクランプエリアを有している。クランプエリアは、成形エリアの外周側に配置されており、配線基板の外周部に沿って枠状に形成されている。
【0004】
また、配線基板の剛性を高めて反りの発生を抑えるために、所望の配線パターンが形成された製品形成部の外周側に、配線を形成する材料によって塗り潰されたベタパターンが設けられている。このベタパターンは、配線基板の成形エリアとクランプエリアに亘って形成されている。
【0005】
ただし、配線基板の一面を連続的に覆うように、いわゆる塗り潰すようにベタパターンを構成した場合には、ベタパターンを形成する材料と、配線基板を形成する材料との熱膨張率の差によって、配線基板に厚み方向に反りが生じてしまう不都合がある。また、塗り潰すようにベタパターンを構成した場合には、ベタパターンが配線基板から剥離してしまう不都合がある。
【0006】
そのため、ベタパターンは、配線基板に生じる反りを緩和し、ベタパターンの剥離を抑えるために、所定の大きさに形成された複数のドットに分割されており、複数のドットがマトリックス状に配列されて構成されている。また、ベタパターンを構成するドットは、ベタパターンによって配線基板に生じる反りがある程度小さくなるように、所定の大きさに形成されている。
【0007】
また、クランプエリアは、成形金型のゲートに対応する位置に、ゲートエリアが設けられている。ゲートエリアは、配線を形成する材料によって塗り潰されて形成されており、封止樹脂材との剥離性を確保するために絶縁膜が除去されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−044324号公報
【特許文献2】特開2001−044229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、携帯型電子機器の小型化、薄型化に伴って、携帯型電子機器に搭載される半導体装置も小型化、薄型化の要求があり、配線基板も薄型化されてきている。配線基板を厚さ0.1mm程度まで薄型化した場合には、配線基板の機械的な剛性が大幅に低下してしまう。
【0010】
そのため、配線基板の成形工程において、図8に示すように、成形金型121を構成する一組の上金型121aと下金型121bとの間に、薄い配線基板101の外周部のクランプエリア113に亘って挟んで保持したときに、成形金型121のゲート124に対応する、クランプエリア113内のゲートエリア114の部分が、成形金型121の配線基板101を挟む力によって、歪んでしまう問題がある。
【0011】
このように、ゲートエリア114の部分が、成形金型121のキャビティ122側に膨らむように歪むことによって成形金型121内に注入された封止樹脂材130が、配線基板101の一面側から配線基板101の他面側に流れて漏れ出してしまい、配線基板101の裏面側に形成されたランドを封止樹脂材130が覆ってしまう恐れがある。これにより、半導体装置の製造工程における、その後に行われるボールマウント工程において、配線基板のランドに半田ボールを形成できなくなる。その結果、半導体装置の製造不良となり、半導体装置を実装基板に実装することが不能になるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上述のような課題を解決するものである。
【0013】
本発明の配線基板の一態様によれば、半導体チップが実装される複数の製品形成部が配置された製品形成エリアと、製品形成エリアの外周側に設けられ製品形成部に実装された半導体チップを覆う封止部が形成される成形エリアと、成形エリアの外周側に設けられ封止部を形成するための成形金型によって保持されるクランプエリアと、製品形成エリアに設けられ半導体チップと電気的に接続される配線と、成形エリアに設けられ複数のドットが配列されてなる第1のベタパターンと、クランプエリアに設けられ第1のベタパターンのドットよりも大きい複数のドットが配列されてなる第2のベタパターンと、を備える。
【0014】
以上のように構成した本発明に係る配線基板は、成形エリアに設けられた第1のベタパターンよりも大きなドットからなる第2のベタパターンが、クランプエリアに設けられたことによって、配線基板のクランプエリアの剛性が向上される。このため、配線基板の成形エリアに封止部を形成するときに配線基板のクランプエリアに歪みが生じるのを防ぐことができる。その結果、配線基板は、成形エリアに封止部を形成するときに封止樹脂材が配線基板の一面側から他面側に流れ込むことによって、成形不良を生じることを防ぐことができる。
【0015】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法の一態様によれば、半導体チップが実装される複数の製品形成部が配置された製品形成エリアと、製品形成エリアの外周側に設けられ製品形成部に実装された半導体チップを覆う封止部が形成される成形エリアと、成形エリアの外周側に設けられ封止部を形成するための成形金型によって保持されるクランプエリアと、製品形成エリアに設けられ半導体チップと電気的に接続される配線と、成形エリアに設けられ複数のドットが配列されてなる第1のベタパターンと、クランプエリアに設けられ第1のベタパターンのドットよりも大きい複数のドットが配列されてなる第2のベタパターンと、を備える配線基板を用いる。そして、半導体装置の製造方法は、半導体チップを製品形成部に実装する工程と、半導体チップが製品形成部に実装された配線基板のクランプエリアを成形金型で保持し、成形エリア及び製品形成エリアを覆うように封止部を形成する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、クランプエリアに設けられた第2のベタパターンを備えることによって、配線基板のクランプエリアの剛性の向上を図り、封止部を形成したときに配線基板に歪みを生じることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施例の配線基板を示す平面図である。
図2】本実施例の配線基板を示す断面図である。
図3】本実施例の配線基板が備える第1及び第2のベタパターンを示す平面図である。
図4】本実施例における第1及び第2のベタパターンを構成するドットの配置を説明するための平面図である。
図5】本実施例の配線基板を用いた半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
図6】本実施例の配線基板を用いた半導体装置の製造方法におけるモールド工程を示す断面図である。
図7】本実施例の配線基板を用いたモールド工程を説明するための断面図である。
図8】本発明に関連する配線基板を用いたモールド工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の具体的な実施例について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は実施例の配線基板の概略構成を示す平面図である。図2は実施例の配線基板の概略構成を示す断面図である。図3は、実施例の配線基板が備える第1及び第2のベタパターンの構成を示す平面図である。図4は、実施例における第1及び第2のベタパターンを構成するドットの配置を説明するための平面図である。
【0020】
配線基板1としては、例えば厚さ0.1mmのガラスエポキシ配線基板が用いられている。配線基板1の一面には、図1に示すように、マトリックス状に配置された複数の製品形成部5を有している。配線基板1には、例えば4×5(縦×横)で配列された20個の製品形成部5を有する製品形成エリア6が2つ配置されている。また、配線基板1の各製品形成部5には、それぞれ所定の配線パターン(不図示)が形成されている。配線パターンを形成する配線は部分的に絶縁膜、例えばソルダーレジストで覆われている。
【0021】
図2及び図3に示すように、製品形成部5の一面側には、配線を覆うソルダーレジストから配線が露出された部位に、複数の接続パッド7が形成されている。また、図3に示すように、製品形成部5の他面側には、配線を覆うソルダーレジストから配線が露出された部位に、複数のランド8が形成されている。そして、接続パッド7と、接続パッド7に対応するランド8とは、配線基板1が有する配線によってそれぞれ電気的に接続されている。
【0022】
また、配線基板1は、複数の製品形成部5がマトリックス状に配置された製品形成エリア6の周囲に設けられた枠部10を有している。枠部10には、所定の間隔で位置決め孔9が設けられており、半導体装置の製造工程における搬送、位置決めが可能に構成されている。配線基板1の枠部10は、製品形成エリア6の周囲に配置されており、半導体チップ11を封止樹脂材で被覆するモールド工程にて製品形成部5と共に封止樹脂材が成形される成形エリア12と、成形エリア12の外周側に配置され、配線基板1の外周部に沿って形成されてモールド工程にて成形金型の間に挟まれて保持されるクランプエリア13とを有している。
【0023】
成形エリア12は、製品形成エリア6の外周に亘って設けられている。クランプエリア13は、成形エリア12の外周に亘って設けられている。また、配線基板1のクランプエリア13には、成形金型のゲートに対応するゲートエリア14が設けられている。ゲートエリア14は、配線を形成する材料によって塗り潰されて形成されている。
【0024】
また、配線基板1が有する成形エリア12の一面側には、図3及び図4に示すように、例えば略正方形状で、0.3mm×0.3mm程度(縦×横)のサイズの複数のドットによって構成された第1のベタパターン16が形成されている。第1のベタパターン16の各ドットは、0.05mmの間隔をあけてマトリックス状に配置されている。
【0025】
なお、本実施例において、ベタパターンは、複数のドットが配列されて構成されているので、連続的に塗り潰された「ベタ」状態と異なっており、厳密にはいわゆるドットパターンであるが、便宜上、ベタパターンと称する。
【0026】
また、成形エリア12の他面側にも、一面側と同様に、第1のベタパターン16が形成されている。ただし、成形エリア12の他面側に形成される第1のベタパターン16は、ドットの配置のみが、一面側に形成される第1のベタパターン16と異なっている。配線基板1の一面側の第1のベタパターン16と、配線基板1の他面側の第1のベタパターン16は、ドットの位置が、マトリックス状に直交する2つの配列方向に対してそれぞれ互いにずれている。
【0027】
すなわち、成形エリア12の他面側に形成された第1のベタパターン16を構成する1つのドットの中心点は、図4に点線で示すように、成形エリア12の一面側に形成された第1のベタパターン16において、2×2(縦×横)で配置された互いに隣接する4つのドットの中心点が形成する四角形の中心に位置するように配置されている。
【0028】
言い換えると、成形エリア12の他面側の第1のベタパターン16が有する1つの正方形状のドットは、成形エリア12の一面側の第1のベタパターン16において、2×2(縦×横)で配置された4つの正方形状のドットの各角にそれぞれ跨るように配置されている。
【0029】
実施例では、配線が形成されない領域である成形エリア12の上下面(表裏面)に、ドットの配置を互いにずらした第1のベタパターン16をそれぞれ形成することで、配線が形成された製品形成部5と、成形エリア12との剛性のバランスがとられるので、配線基板1の厚み方向に生じる反りを抑制することができる。また、正方形状等の四角形状のドットからなる第1のベタパターン16を配置することで、第1のベタパターン16の各ドット間の隙間を小さくし、成形エリア12の剛性を向上できる。
【0030】
さらに、実施例の配線基板1では、図2及び図3に示すように、枠部10のクランプエリアに、例えば略正方形状で、第1のベタパターン16のドットよりも大きなサイズ、例えば1mm×1mm程度以上のサイズのドットからなる第2のベタパターン17が、0.05mmの間隔をあけてマトリックス状に配置されている。このように、配線基板1のクランプエリア13に第1のベタパターン16のドットよりも大きいドットからなる第2のベタパターン17が配置されたことで、成形エリアのモールド時にクランプされる配線基板の外周端部における剛性を更に向上することができる。
【0031】
このため、モールド工程で配線基板1のクランプエリア13をクランプする際に、ゲートエリア14で生じる配線基板1の歪みを低減することができる。また、第2のベタパターン17に関しても、第1のベタパターン16と同様に、配線基板1の一面側の第2のベタパターン17と他面側の第2のベタパターン17は、第2のベタパターン17を構成するドットの隙間の位置が表裏面で可能な限り重ならないように、互いにドットの位置をズラして配置されている。
【0032】
また、図3において図示を省略しているが、図2に示すように、成形エリア12とクランプエリア13に形成された第1及び第2のベタパターン16、17上には、絶縁膜19、例えばソルダーレジスト膜が形成されている。なお、ゲートエリア14の部分は、モールド(成形)後に配線基板1から図6(c)に示すカル部34の除去を容易に行えるように剥離性を確保するために、絶縁膜が除去されている。
【0033】
なお、本実施例では、配線基板1の搬送性時の機械的強度を十分に確保することも考慮し、配線基板1の外周部の全てのクランプエリア13に第2のベタパターン17を形成するように構成された。しかし、モールド工程において、配線基板1のゲートエリア14の部分に生じる歪みを低減することだけを目的とする場合には、ゲートエリア14を有するクランプエリア13が配置された、配線基板1の外周部の一辺のみに第2のベタパターン17を配置するように構成されても良い。
【0034】
以上のように構成された配線基板1を用いた半導体装置の製造方法について説明する。図4は、BGA(Ball Grid Array)型の半導体装置の組立フローを示す断面図である。図5は、本実施例の配線基板1を用いた半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。図6は、本実施例の配線基板1を用いた半導体装置の製造方法におけるモールド工程を示す断面図である。図7は、本実施例の配線基板1を用いたモールド工程を説明するための断面図である。
【0035】
まず、図5(a)に示すように、配線基板1は、ダイボンディング工程に移行され、各製品形成部5に半導体チップ11が載置される。
【0036】
半導体チップ11は、例えばSi基板の一面に論理回路や記憶回路等が形成され、周辺近傍位置には複数の電極パッド(図示せず)が形成されている。また、電極パッドを除く半導体チップ11の一面には、パッシベーション膜(図示せず)が形成され、回路形成面が保護されている。
【0037】
そして、ダイボンディング工程では、図示しないダイボンディング装置を用いて、配線基板1の一面側の各製品形成部5の略中央部に、それぞれ半導体チップ11の他面(電極パッドが形成された面の反対の面)が、絶縁性を有する接着材、あるいはDAF(Die Attached Film)等を介して接着固定される。全ての製品形成部5に半導体チップ11が載置された配線基板1は、ワイヤボンディング工程に移行される。
【0038】
ワイヤボンディング工程では、図5(b)に示すように、半導体チップ11の一面に形成された電極パッドと、それに対応する製品形成部5の接続パッド7とを、導電性を有するワイヤ20によって結線する。ワイヤ20は、例えばAuまたはCu等によって形成されており、図示しないワイヤボンディング装置を用いて、溶融されて一端にボールが形成されたワイヤ20が半導体チップ11の電極パッド上に超音波熱圧着することで接続される。その後、ワイヤ20は、所定のループ形状を描くように延ばされ、ワイヤ20の他端を、電極パッドに対応する接続パッド7上に超音波熱圧着することで接続される。全ての製品形成部5へのワイヤ20の接続が完了した配線基板1は、図5(b)に示すように構成されてモールド工程に移行される。
【0039】
次に、本実施例の半導体装置の製造方法におけるモールド工程について説明する。
【0040】
図6(a)は、本実施例におけるモールド工程で用いられる成形金型としての成形装置(トランスファモールド装置)の概略構成を示す断面図である。
【0041】
図6(a)に示すように、成形装置は、一対の上金型21aと下金型21bからなる成形金型21を有している。上金型21aには、封止樹脂材が充填されるキャビティ22が形成されており、下金型21bには配線基板1が載置される凹部23が形成されている。また、上金型21aには、キャビティ22に連通して、ゲート24、ポット25が形成されると共に、ゲート24側の端部に対向する端部にエアベント26が形成されている。
【0042】
ワイヤボンディングの完了した配線基板1は、図6(b)に示すように、下金型21aの凹部23内に載置される。そして、配線基板1は、成形金型21を型締することで、クランプエリア13が上金型21aと下金型21bとの間に挟まれて保持される。続いて、図7に示すように、成形金型21のゲート24から封止樹脂材30が供給されることで、封止樹脂材30によって、配線基板1の製品形成エリア6と成形エリア12とに跨って覆われた封止部28やランナー部29が形成される。
【0043】
本実施例では、配線基板1の成形エリア12に設けられた第1のベタパターン16よりも大きなドットからなる第2のベタパターン17が、クランプエリア13に設けられたことで、クランプエリア13の剛性が向上されている。また、配線基板1の両面において、第1のベタパターン16のドットの位置が互いにずれていることによって、成形エリア12の剛性が更に向上されている。また同様に、配線基板1の両面において、第2のベタパターン17のドットの位置が互いにずれていることによって、クランプエリア13の剛性が更に向上されている。
【0044】
また、本実施例では、MAP方式が用いられているので、キャビティ22は、複数の製品形成部5を一括で覆う大きさに形成されている。また、本実施例において、キャビティは2つに分割されて配置されている。そして、下金型21bのポット25にタブレット(レジンタブレット)31が供給され、タブレット31が加熱溶融される。
【0045】
そして、図6(c)に示すように、溶融された封止樹脂材をプランジャー32によってゲート24からキャビティ22内に注入する。キャビティ22内に封止樹脂材を充填した後、所定の温度、例えば180℃で加熱処理することで、封止樹脂材が硬化され、封止部28が形成される。
【0046】
その後、成形金型21から、配線基板1を取り出し、所定の温度、例えば240℃でリフローすることで封止部28が完全に硬化される。
【0047】
このようにして、図4(a)及び(b)に示すような、配線基板1の製品形成部5に封止部28が形成された半導体装置の中間構造体が形成される。また、図5(c)に示すように、中間構造体の封止部28に連結されたゲート部33とランナー部29及びカル部34を形成する封止樹脂材が除去される。
【0048】
次に、配線基板1は、ボールマウント工程に移行され、図5(d)に示すように、配線基板1の他面に格子状に配置された複数のランド8上に、導電性を有する半田ボール36を設けることで、外部端子となるバンプ電極が形成される。
【0049】
ボールマウント工程では、配線基板1上のランド8の配置に合わせて複数の吸着孔が形成された図示しない吸着機構を用いて、例えば半田等からなる半田ボール36を吸着孔に保持し、保持された半田ボール36を、フラックスを介して配線基板1の全てのランド8に一括搭載する。そして、全ての製品形成部5への半田ボール36の搭載後、配線基板1をリフローすることでバンプ電極(外部端子)が形成される。
【0050】
最後に、半田ボール36の搭載された配線基板1は基板ダイシング工程に移行される。
【0051】
図5(e)に示すように、配線基板1をダイシングライン38(図5(d)参照)で切断し、製品形成部5毎に分離する。基板ダイシング工程は、配線基板1の封止部28側をダイシングテープ39に接着層を介して接着し、ダイシングテープ39によって配線基板1を支持する。その後、配線基板1を、図示しないダイシング装置のダイシングブレードによって縦横にダイシングライン38に沿って切断して製品形成部5毎に切断分離する。切断分離後、ダイシングテープ39から製品形成部5をピックアップすることで、半導体装置が得られる。
【0052】
上述したように、本実施例の配線基板1は、半導体チップ11が実装される複数の製品形成部5が配置された製品形成エリア6と、製品形成エリア6の外周側に設けられ製品形成部5に実装された半導体チップ11を覆う封止部28が形成される成形エリア12と、成形エリア12の外周側に設けられ封止部28を形成するための成形金型21によって保持されるクランプエリア13と、製品形成エリア6に設けられ半導体チップ11と電気的に接続される配線と、成形エリア12に設けられ複数のドットが配列されてなる第1のベタパターン16と、クランプエリア13に設けられ第1のベタパターン16のドットよりも大きい複数のドットが配列されてなる第2のベタパターン17と、を備える。
【0053】
このように、配線基板1は、成形エリア12に設けられた第1のベタパターン16よりも大きなドットからなる第2のベタパターン17が、クランプエリア13に設けられることによって、配線基板1のクランプエリア13の剛性を向上することが可能になる。このため、封止部28を形成するモールド工程で配線基板1の厚み方向に歪みが生じることを防ぐことができる。
【0054】
また、本実施例において、クランプエリア13は、成形金型21が有するゲート24に対応するゲートエリア14を有している。また、第2のベタパターン17は、ゲートエリア14に隣接する位置に設けられている。これによって、配線基板1のゲートエリア14に生じるクランプ時の歪みを防ぐことができる。
【0055】
また、本実施例において、第1のベタパターン16は、マトリックス状に配列された複数のドットを有している。第1のベタパターン16は、配線基板1の一面側の成形エリア12と、配線基板1の他面側の、成形エリア12に対応する領域にそれぞれ設けられている。そして、配線基板1の一面側の第1のベタパターン16と、配線基板1の他面側の第1のベタパターン16は、ドットの位置が、マトリックス状に直交する2つの配列方向に対してそれぞれ互いにずれている。これによって、配線基板1の成形エリア12の剛性を更に向上することができる。
【0056】
また、本実施例において、第2のベタパターン17は、マトリックス状に配列された複数のドットを有している。第2のベタパターン17は、配線基板1の一面側のクランプエリア13と、配線基板1の他面側のクランプエリア13にそれぞれ設けられている。そして、配線基板1の一面側の第2のベタパターン17と、配線基板1の他面側の第2のベタパターン17は、ドットの位置が、マトリックス状に直交する2つの配列方向に対してそれぞれ互いにずれている。これによって、配線基板1のクランプエリア13の剛性を更に向上することができる。
【0057】
また、本実施例において、第1のベタパターン16及び第2のベタパターン17は、絶縁材料(絶縁膜)によって覆われていることによって、剛性の更なる向上が図られている。
【0058】
また、本実施例において、第2のベタパターン17は、配線基板1の外周部の、ゲートエリア14を除く全周に亘って設けられることによって、配線基板1の外周部全体の剛性を向上することができる。
【0059】
また、本実施例において、第1のベタパターン16及び第2のベタパターン17は、配線と同一の材料で形成されることによって、配線パターンの形成時に容易に形成することができる。
【0060】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0061】
本実施例では、略四角形状のドットがマトリックス状に配置されたベタパターンを用いる場合について説明したが、四角形状のドットの短辺が1mm以上のサイズであれば、例えば円形状等の他の形状のドットからなるベタパターンが配置される構成であっても良い。
【0062】
また、本実施例では、1つの製品形成部5に1つの半導体チップ11が搭載された半導体装置の製造方法に用いた場合について説明したが、1つの製品形成部に複数の半導体チップが積層されて搭載されたMCP(Multi Chip Package)型の半導体装置の製造方法に適用されても良い。
【0063】
さらに、本実施例では、2つの製品形成エリア6の間にも、第2のベタパターン17が配置された構成について説明したが、配線基板1の外周部のクランプエリア13にのみ、第2のベタパターン17が配置されるように構成されても良い。
【0064】
また、本発明は、以下の態様の配線基板を含んでいる。
【0065】
本発明に係る配線基板は、半導体チップが実装される複数の製品形成部が配置された製品形成エリアと、製品形成エリアの外周に亘って設けられ製品形成部に実装された半導体チップを覆う封止部が形成される成形エリアと、成形エリアの外周に亘って設けられ封止部を形成するための成形金型によって保持されるクランプエリアと、クランプエリアに設けられ成形金型が有するゲートに対応するゲートエリアと、製品形成エリアに設けられ半導体チップと電気的に接続される配線と、成形エリアに設けられ複数のドットがマトリックス状に配列されてなる第1のベタパターンと、クランプエリアのゲートエリアに隣接する位置に設けられ第1のベタパターンのドットよりも大きい複数のドットがマトリックス状に配列されてなる第2のベタパターンと、を備える。
【0066】
また、本発明に係る配線基板において、第1のベタパターンは、マトリックス状に配列された複数のドットを有する。また、第1のベタパターンは、配線基板の一面側の成形エリアと、配線基板の他面側の、成形エリアに対応する領域にそれぞれ設けられる。そして、配線基板の一面側の第1のベタパターンと、配線基板の他面側の第1のベタパターンは、一方の第1のベタパターンにおいて互いに隣接する4つのドットの中心点が形成する四角形の中心に、他方の第1のベタパターンの1つのドットの中心点が位置するように、ドットの位置が互いにずれている。
【0067】
また、本発明に係る配線基板において、第2のベタパターンは、マトリックス状に配列された複数のドットを有する。第2のベタパターンは、配線基板の一面側のクランプエリアと、配線基板の他面側のクランプエリアにそれぞれ設けられている。そして、配線基板の一面側の第2のベタパターンと、配線基板の他面側の第2のベタパターンは、一方の第2のベタパターンにおいて互いに隣接する4つのドットの中心点が形成する四角形の中心に、他方の第2のベタパターンの1つのドットの中心点が位置するように、ドットの位置が互いにずれている。
【符号の説明】
【0068】
1 配線基板
5 製品形成部
6 製品形成エリア
11 半導体チップ
12 成形エリア
13 クランプエリア
14 ゲートエリア
16 第1のベタパターン
17 第2のベタパターン
21 成形金型
24 ゲート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8