【実施例1】
【0025】
図1において本発明に係るコンクリート版1は、連結鉄筋2を介して相互が連結されて路盤3上に敷設されることにより、例えば片側一車線の舗装部5を構築するために用いられるものであり、長期間に亘って耐久性が要求される高速道路や自動車専用道路等の舗装部の構築に用いて好適である。
図1において矢印は、自動車の走行方向を示している。
【0026】
該コンクリート版1はより具体的には、
図2〜7に示すように、プレキャストコンクリート製の、平面視で例えば長方形状を呈する平板体として構成されており、その長辺長さL1(
図4)は例えば4000mmに設定され、その短辺長さL2(
図4)は例えば2000mmに設定され、その厚さL3(
図3)は例えば300mmに設定されている。そして、両長辺側部分6,7には、対向する連結端面9,10で開口し且つ該対向方向Fに延長する、長さの長い長連結孔11と長さの短い短連結孔12が対向状態に設けられている。本実施例においては、該長連結孔11と該短連結孔12の組13が、該連結端面9,10の長さ方向に所要間隔を置いて4組設けられており、一方の長辺側部分6には長連結孔11のみが設けられ、他方の長辺側部分7には短連結孔12のみが設けられている。なお本実施例においては、該連結端面9,10の両側部分に2組づつ設けられている。
【0027】
該長連結孔11は、
図5〜6に示すように、奥側孔部15に、前記連結端面9に向けて拡大する拡大孔部16が連設され、該奥側孔部15の底部17は水平直線状を呈し、該奥側孔部15の奥端側19には、版上面20で開口する縦孔21が連設されている。又、前記短連結孔12は、
図5、
図7に示すように、少なくとも前記連結端面10側の孔部分が、該連結端面10に向けて拡大する拡大孔部23とされている。本実施例においては、奥側孔部22に、前記連結端面10に向けて拡大する拡大孔部23が連設されている。そして、該奥側孔部22の奥端側25には、版上面20で開口する縦孔26が連設されている。以下、該長連結孔11と該短連結孔12についてより具体的に説明する。
【0028】
前記長連結孔11の全長は例えば525mmに設定されており、前記奥側孔部15は、
図5〜6に示すように、底部17は水平直線状を呈するが上面部27は、奥端側19から前記連結端面9側に向けて上方に稍傾斜しており(この傾斜は、通常の抜き勾配である)、全体として円形状の孔部として構成されている。そして、その奥端29の径は例えば60mmに設定されると共にその先端(前記連結端面9側の端)30の径は例えば70mmに設定されている。又、該奥側孔部15の奥端側19に連設されている前記縦孔21は、本実施例においては垂直な円形孔として形成されており、該縦孔21の奥側内周部31は該奥側孔部15の奥端29に連なっている。該縦孔21の径は例えば50mmに設定されている。該縦孔21は本実施例においては、前記連結鉄筋2を後述のように移動させるための押し具32(
図11)を挿入する押し具挿入孔として機能できると共に、後述のようにグラウト等の充填材を充填する(
図18)充填孔として機能できる。
【0029】
そして前記拡大孔部16は、該奥側孔部15の先端30に一連に連なっており、その孔心方向の長さは例えば90mmに設定されている。又該拡大孔部16は、上側部分が欠けた円錐状面として形成され、その上面33は、前記奥側孔部15の上部27の延長線状に存する略水平面を呈しており、その下側内周面35は前記連結端面9に向けて円錐状面に拡大している。そして、該連結端面9での開口端36の形態は、上側の3割程度が水平縁37を呈しその下側部分が円弧縁39を呈しており、該開口端36の該水平縁37の長さは例えば100mmに設定され、前記水平な底部17と該開口端36の下端40との間の距離は例えば30mmに形成されている。又、該拡大孔部16の円錐状下側内周面35の曲率半径は例えば150mmに設定されている。
【0030】
一方、前記短連結孔12の全長は例えば250mmに設定されており、該短連結孔12の前記奥側孔部22は、
図5、
図7に示すように、底部41は水平直線状を呈するが上部42は、奥端側25から前記連結端面10側に向けて上方に稍傾斜しており、全体として円形状の孔部として構成されている。そして、その奥端43の径は例えば60mmに形成されると共にその先端(前記連結端面10側の端)45の径は例えば70mmに形成されている。又、該奥側孔部22の奥端側25に連設されている前記縦孔26は本実施例においては垂直な円形孔として形成されており、本実施例においては、前記奥側孔部22の奥端43から前記連結端面10側に稍偏位した状態で設けられており、該奥側孔部22の奥端43は、前記連結鉄筋2の先端部59と当接し得るストッパ部47として機能し得る。該縦孔26の径は例えば50mmに設定されている。該縦孔26は、本実施例においては、後述のようにグラウト等の充填材を充填する際におけるエア抜き孔として機能でき、又、充填の完了を確認するための孔として機能できる。
【0031】
そして前記拡大孔部23は、該奥側孔部22の先端45に一連に連なっており、その孔心方向の長さは例えば90mmに設定されている。又該拡大孔部23は、上側部分が欠けた円錐状面として形成され、その上面50は、前記奥側孔部22の上部42の延長線状に存する略水平面を呈しており、その下側内周面51は前記連結端面10に向けて円錐状面に拡大している。そして、該連結端面10での開口端52の形態は、上側の3割程度が水平縁53を呈しその下側部分が円弧縁55を呈しており、該開口端52の該水平縁53の長さは例えば100mmに設定され、前記水平な底部41と該開口端52の下端56との間の距離は例えば30mmに形成されている。又、該拡大孔部23の円錐状下側内周面51の曲率半径は例えば150mmに設定されている。
【0032】
そして、前記円錐状の下側内周面51は、後述のように連結鉄筋2の移動方向の先端部59をガイドする傾斜ガイド面60であり、前記連結端面10に向けて下方に傾斜し、該傾斜ガイド面60が前記奥側孔部22の水平な底部41に連設されている。本実施例においては、該傾斜ガイド面60が、前記円形状の孔部からなる奥側孔部22の水平な底部41に、上に突の円弧面58(
図5)を介して接続されている。
【0033】
又、本実施例においては
図5、
図7に示すように、前記短連結孔12の上部分に、上方に向けて凹んだ溝状(例えば台形溝状)を呈し、且つ、該短連結孔12の軸線方向に直線状に延長する排気溝61が設けられている。該排気溝61は前記拡大孔部23の上面50においては、その幅方向の中央部位に設けられると共に、前記円形状の孔部としての前記奥側孔部22においては、その上部42に設けられており、前記連結端面10で開口し且つ前記縦孔26に連通した連続状態で設けられている。又、該排気溝61の上面部62は、排気の容易化を図るために、水平乃至前記奥端43に向けて上方に稍傾斜する如く設けられている。
【0034】
又前記連結端面9,10の、前記拡大孔部16,23の上側部分には、本実施例においては
図5〜7に示すように、上方及び両端で開放された目地用欠切凹部63,63が設けられている。該目地用欠切凹部63,63の深さは例えば70mmに設定されると共に、前記対向方向Fで見た幅は例えば3mmに設定されている。
【0035】
本実施例において、前記拡大孔部16,23を、上側部分が欠けた円錐状面に形成して前記上面33,50を水平に形成しているのは、円錐状の下側内周面35,51に連続する円錐状の面として形成した場合の該目地用欠切凹部63,63との干渉を防止し、乃至、該目地用欠切凹部63,63に接近して該目地用欠切凹部63が存する部分の強度低下を防止するためである。勿論、コンクリート版1の厚さが十分に厚い場合は、例えば
図8(A)(B)に示すように、拡大孔部16,23を、完全な円錐状面に形成することもできる。
【0036】
かかる構成を有するコンクリート版1は、本実施例においては例えば
図9に示すような無散水型融雪パネル65に応用されており、コンクリート版1の上面側部分66において、例えば13mm径の耐熱ポリエチレン管からなる放熱管67が、短辺側部分68,68で円弧状に折り返されて蛇行状態で埋設されており、例えば、版下面69の1つのコーナ部において、放熱管の接続用凹部70が設けられている。
【0037】
次に、前記構成を有するコンクリート版1を前記路盤3上に敷設して融雪機能を有する舗装部5を構築する作業工程を説明する。
【0038】
コンクリート版1,1相互を連結するに先立って、
図10に示すように、前記長連結孔11に、丸軸状を呈する直線状の前記連結鉄筋2をその全長に亘って収容しておく。該連結鉄筋2は周面が平滑な断面円形の丸棒状に形成されることや、丸棒状の異形鉄筋等として構成され得る。
図10においては、周面が平滑な丸棒状を呈する連結鉄筋2を用いる場合が示されている。
【0039】
本実施例においては、該連結鉄筋2の径は38mmに設定されると共にその長さは500mmに設定されている。従って該連結鉄筋2は、全長が525mmに設定されている前記長連結孔11内にその全長に亘って収容できる。この収容の際、
図10に示すように、連結鉄筋2の先端部59を前記連結端面9と面一状態にしておく。このようにすれば、該長連結孔11の奥端側19において、25mm程度の余裕空間72が生ずるため、例えば
図11〜12に矢印で示すように、前記縦孔21の上端開口76から例えば蛇腹状の樹脂管としての押し具32を挿入してその先端部73で該連結鉄筋2の奥側の端部46を前記短連結孔12の奥端側25に向けて押すことができる。又、該連結鉄筋2の長さを500mmに設定すると共に、前記拡大孔部23の長さを90mmに設定しているため、該連結鉄筋2を短連結孔12の奥端側25に向けて移動させる際に、該連結鉄筋2を前記長連結孔11の奥側孔部15の水平直線状の底部17で水平状態に支持させて安定状態で水平移動させることができる。
【0040】
このようにして連結鉄筋2を長連結孔11内に収容して後、
図11に示すように、該長連結孔11と前記短連結孔12とを連通させて前記連結端面9,10相互を当接させる。この当接は、該連結端面9,10相互を直接的に当接させてもよいのであるが、本実施例においては、該長連結孔11と該短連結孔12との連通部分を周方向に取り囲む例えば円環状のゴム質等のパッキン材(図示せず)を介在させて当接させる。該パッキン材は、例えば、幅が5mm程度で厚さが2〜3mm程度のものであり、前記短連結孔12の開口端(拡大孔部23の開口端)52を取り囲むように前記連結端面10に貼着される。
【0041】
このように連結端面9,10相互を当接させる際、
図11に示すように、前記長連結孔11の開口端36と前記短連結孔12の開口端(拡大孔部23の開口端)52とが完全に合致する場合もあるが、施工誤差によって3〜5mm程度位置ずれする場合がある。
図14においては、施工誤差によって、前記短連結孔12の開口端52が前記長連結孔11の開口端36よりも5mm程度下側に位置して段差75が生じた場合を示している。
【0042】
前記のようにして連結端面9,10相互を当接させて前記長連結孔11と前記短連結孔12とを連通させた後、
図15に示すように該長連結孔11側の縦孔21の上端開口76から、蛇腹状棒としての前記押し具32を挿入し、前記余裕空間72において、該押し具32の先端部73で前記連結鉄筋2の奥側の端部46を前記短連結孔12の奥端側25に向けて押圧する。連結鉄筋2は、該押し具32で押されて前記奥端側25に向けて移動する。この移動は、該連結鉄筋2が、前記長連結孔11の前記奥側孔部15の水平直線状の底部17で水平状態に支持された状態で行われる。該連結鉄筋2が移動することにより、その移動方向の先端部59が、
図15に示すように、円錐状面からなる前記傾斜ガイド面60に当たる。その後も押されることにより、該連結鉄筋2は、その先端部59が該傾斜ガイド面60に案内されつつ水平状態で移動し、最後は、上に突の前記円弧面58に円滑に案内されて、
図16に示すように、短連結孔12の前記奥側孔部22の水平な底部41に載った状態となり、該連結鉄筋2は、矢印で示すように、該短連結孔12に更に押し込まれていく。
【0043】
この移動について、
図11〜12、
図14に基づいてより詳しく説明する。前記両拡大孔部16,23の連設された状態の長さは、本実施例においては180mmとなるが、前記連結鉄筋2の長さは500mmに設定されていることから、その重心位置はその長さ方向の中央部位に存する。その結果、連結鉄筋2が移動する際に、その移動方向で見た先側部分が該連設された拡大孔部16,23で落ち込む恐れがない。それ故、該連結鉄筋2を短連結孔12の奥端側25に向けて移動させる際に、該連結鉄筋2を前記長連結孔11の奥側孔部15の水平直線状の底部17で水平状態に支持させて安定状態で水平移動させることができるのである。
【0044】
又、両拡大孔部16,23を連設させる際に、平面視で位置ずれした場合は、前記のように、連結鉄筋の径が38mmで前記奥側孔部15,22の径が60mmに設定されていることから、該連結鉄筋2の先側部分を長連結孔11から短連結孔12に向けて無理なく移動させることができる。
【0045】
そして
図13、
図17に示すように、該連結鉄筋2の先端部59が前記奥側孔部22の奥側の端部(前記ストッパ部47)46に突き当たったことを押し具32を介して感知できれば、連結鉄筋2の所要の挿入が完了したと確認できる。
【0046】
これにより、前記連結鉄筋2が、該長連結孔11と該短連結孔12に夫々250mmの長さ分、挿入された状態となる。
【0047】
このようにして連結鉄筋2が、該長連結孔11と該短連結孔12とに股がるように水平状態に挿入された状態で、
図18に矢印で示すように、前記長連結孔11の縦孔21から、例えばグラウトとしての充填材77が充填される。この充填の際、前記短連結孔12に設けられている前記直線状の排気溝61を経て前記縦孔26からエアが順次円滑に排気されるため、充填材の充填を円滑に行うことができる。そして前記縦孔26から充填材が溢れたことを以て、該長連結孔11と該短連結孔12への充填が完了したことを知ることができる。このようにして充填材77を充填する際、本実施例においては前記パッキン材を介在させて連結端面9,10相互を当接させているため、充填材77の充填をより確実に行うことができる。
【0048】
図18は、充填が完了した状態を示す断面図であり、連通した前記拡大孔部16,23が存する、コンクリート版1,1相互の連結部分79で、前記連結鉄筋2がその全周に亘って硬化充填材80で健全に被覆された状態となされ、硬化充填材80と連結鉄筋2とが密接に一体化している。本実施例においては、
図18〜19に示すように、前記連結部分79において、連結鉄筋2の下側に30mm程度の厚さの充填材被覆部82aが形成されており、該連結鉄筋2の上側に32mm程度の厚さの充填材被覆部82bが形成されている。又、該連結鉄筋2の左右側においては40mm程度の厚さの充填材被覆部82c,82cが形成されている。
【0049】
このようにしてコンクリート版1,1相互を連結して後、前記目地用欠切凹部63,63の合致によって形成された目地溝83に防水性弾性目地材85が充填され、連結部分79への雨水の進入が極力防止されている。このようにして本発明によるときは、前記連結部分79において、連結鉄筋2がその全周に亘って所要厚さで硬化充填材80で被覆された状態となるのであり、特許文献1におけるような充填材の薄層部が形成されることがない。又、特許文献2におけるように連結部分の一方側において薄層部が形成されることもない。従って本発明によるときは、従来のように、硬化充填材が薄層部から破壊されると言った現象が生じない。
【0050】
このようにして構築されたコンクリート版の敷設層86の上部87に、
図18に一点鎖線で示すようにアスファルト層89を設けることによって舗装部5を構築できる。なお、アスファルト層89が設けられないで該敷設層86そのものが舗装部5とされることもある。このように構築された舗装部5にあっては、応力が集中しやすいコンクリート版1,2の連結部分79において、硬化充填材80と連結鉄筋2とが密接に一体化していて連結鉄筋2の荷重伝達能力が高められている。かかることから、該舗装部5を大型トラックが走行する等に伴う重交通荷重は、接合された一方のコンクリート版から他方のコンクリート版に効果的に伝達されることになり、これによって荷重分散が図られることになる。
【実施例2】
【0051】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0052】
(1)
図20は、本発明に係るコンクリート版1の他の実施例を示すものであり、前記排気溝61が、前記長連結孔11の上部分に、前記連結端面9で開口し且つ前記縦孔2に連通した、該長連結孔11の軸線方向に直線状に延長した状態で設けられている。そして、該排気溝61の上面部27は、排気の容易化を図るために、水平乃至前記奥端29に向けて上方に傾斜する如く設けられている。このように構成した場合は、
図21に示すように、連結鉄筋2が、該長連結孔11と該短連結孔12とに股がるように水平状態に挿入された状態で、前記短連結孔12の縦孔26から、例えばグラウトとしての充填材77が充填される。この充填の際、前記長連結孔11に設けられている前記排気溝61を経て前記縦孔21からエアが順次円滑に排気されるため、充填材の充填を円滑に行うことができる。そして前記縦孔21から充填材が溢れたことを以て、該長連結孔11と該短連結孔12への充填が完了したことを知ることができる。
【0053】
(2)
図22〜
図25は、本発明に係るコンクリート版1のその他の実施例を示すものであり、前記長連結孔11と前記短連結孔12の組合わせの構成が異なる。これらの各図においては共に、長連結孔11と短連結孔12とを連通させて前記連結端面9,10相互が当接されると共に、該長連結孔11と該短連結孔12とに股がるように直線状の前記連結鉄筋2が水平状態に挿入されている。
【0054】
これらに共通する構成は前記したところと略同様であり、
図22(A)に代表させて説明すれば、該長連結孔11と該短連結孔12は、対向する連結端面9,10で開口し且つ該対向方向に延長する、長さの異なる連結孔である。そして該長連結孔11は、奥側孔部15に、前記連結端面9に向けて拡大する拡大孔部16が連設され、該長連結孔11の奥側孔部の底部17は水平直線状を呈し、該長連結孔11と該短連結孔12の奥端側には、版上面20で開口する縦孔21,26が連設されている。又、前記短連結孔12は、少なくとも前記連結端面10側の孔部分が、該連結端面10に向けて拡大する拡大孔部23とされている。そして、前記長連結孔11の長さは、少なくとも、前記連結鉄筋2を全長に亘って収容できる長さに設定されると共に、該連結鉄筋2は該長連結孔11の前記奥側孔部15の水平な底部17で水平状態に支持される如くなされている。又、前記短連結孔12の前記拡大孔部23は、前記長連結孔11に挿入された状態にある前記連結鉄筋2が前記短連結孔12の奥端側25に向けて水平に移動せしめられる際に該連結鉄筋2の移動方向の先端部59をガイドする、前記連結端面10に向けて下方に傾斜する傾斜ガイド面60を有している。
【0055】
そして、前記長連結孔11と前記短連結孔12とに股がるように直線状の連結鉄筋2が水平状態に挿入された状態で、前記縦孔21から充填材が充填されることにより、連通した前記拡大孔部16,23が存する部分で前記連結鉄筋2がその全周に亘って充填材で充填される如くなされている。
【0056】
特に
図22の各コンクリート版1にあっては、前記長連結孔11と前記短連結孔12の上部27,42が水平状態に形成されており、短連結孔12にあっては、前記連結端面10側の孔部分のみが拡大孔部23とされており、それに連なる奥側孔部22は拡大されていない。又、連通した前記拡大孔部16,23の下側部分78,78(拡大孔部23にあっては傾斜ガイド面60でもある)は、
図22(A)にあっては、共に、上に突の円弧状面として形成されており、
図22(B)にあっては、共に、直線状面として形成され、
図22(C)(D)にあっては、上に突の円弧状面と直線状面の組み合わせとして構成されている。
【0057】
又、
図23の各コンクリート版1における前記短連結孔12は、前記連結端面10側の孔部分のみが、全周に亘って拡大した拡大孔部23として形成され、該拡大孔部23に、底部41が水平である奥側孔部22が連設されている。そして、短連結孔12の拡大孔部23の前記傾斜ガイド面60は、上に突の円弧状面又は直線状傾斜面として構成されている。
【0058】
そして、該長連結孔11及び前記短連結孔12の奥側孔部15,22は、上部27,42が水平である孔部として形成されている。
【0059】
又、
図24に示す各コンクリート版1は、長連結孔11と短連結孔12の上部27,42が、連結端面9,10に向けて上方に傾斜しており、その他の構成は
図22における場合と同様である。
【0060】
又、
図25に示すコンクリート版1は、前記短連結孔12の前記傾斜ガイド面60が、該短連結孔12の奥端側25から前記連結端面10に向けて下方に一様に傾斜する直線状傾斜面として形成されており、該短連結孔12の上部42は、水平又は連結端面10に向けて上方に傾斜状態に設けられている。そしてこれらにおいて、前記と同様にして、長連結孔11や短連結孔12に排気溝61を設けることもできる。
【0061】
(3) 前記長連結孔11を構成する拡大孔部23の下側部分23aは、前記のように円錐面状に構成することの他、例えば
図26に示すように凹部として構成することもできる。
【0062】
(4) 前記各実施例においては、前記縦孔21,26を垂直孔として記載しているが、例えば
図27に示すように、樹脂製のエルボ89を埋設することによって湾曲状態に構成されることがある。又は、
図28に示すように、かかるエルボを使用しないで湾曲状態に構成されることもある。
【0063】
(5) 前記縦孔21や前記縦孔26から充填材を充填する際に、エアの排気に支障がない場合は、前記排気溝61を省略してもよい。
【0064】
(6) 前記拡大孔部16,23の孔心方向の長さは、前記長連結孔11に挿入された状態にある前記連結鉄筋2を前記短連結孔12の奥端側25向けて水平に移動させるに支障のないように設定される。そのためには、該連結鉄筋2の重心位置を考慮して、該連結鉄筋2が、連設された拡大孔部16,23部分を移動する際に、該連結鉄筋2の移動方向の先側部分が、連設された拡大孔部16,23が存する部分に落ち込むとがないように設定される。
【0065】
(7) 前記連結鉄筋2の長さや直径、前記拡大孔部16,23の孔心方向の長さ、前記硬化充填材80の被覆厚さは、該連結鉄筋2による荷重伝達能力が有効に発揮されるように設定されるものである。例えば、該連結鉄筋2の直径は22〜38mmに、その長さは400〜1000mmに、前記拡大孔部23の孔心方向の長さは80〜250mmに、連結鉄筋2の下側の硬化充填材80の被覆厚さは10〜50mmに、連結鉄筋2の上側の硬化充填材80の被覆厚さは10〜100mmに設定することができる。特に、長連結孔11の奥側孔部15を円形状孔部として構成する場合は、その径を連結鉄筋2の径よりも10〜50mm程度大きく設定するのがよい。
【0066】
(8) 前記連結鉄筋2の移動方向の先端部59をガイドし得る前記傾斜ガイド面60は、前記したような円錐状面として構成されることの他、連結鉄筋2の移動方向の先端部59をガイドして該連結鉄筋2を短連結孔12の奥端側25に向けて水平に移動させることができる限り、フラットな傾斜面等として構成することも可能である。
【0067】
(9) 前記短連結孔12を、奥側孔部22に拡大孔部23を連設して構成する場合、該奥側孔部22や、前記長連結孔11を構成する奥側孔部15は、横断面が円形状に構成されることの他、楕円形等の非円形状に構成されることもある。
【0068】
(10)前記各実施例においては、前記短連結孔12の奥端29をストッパ部47として機能させて、連結鉄筋2を前記長連結孔11と前記短連結孔12とに股がるように挿入状態としているが、該ストッパ部47は、該短連結孔12に設けられた突部として構成してもよい。
【0069】
(11)
図1には、両長辺側部分6,7に加えて、両短辺側部分90,91をも前記と同様の要領により連結鉄筋2を用いて連結した場合が示されている。該連結鉄筋2の長さは、例えば1000mmに設定される。
【0070】
(12)前記長連結孔11に収容された状態にある前記連結鉄筋2を、前記短連結孔12の奥端側25に向けて水平に移動させる移動手段は、前記のような蛇腹状の樹脂管の他、連結鉄筋2を押して移動させることができる剛性を具え且つ屈曲可能である、鉄線や縒り線等の各種の押し具を用いて行うことができる。その他、短連結孔12に連設されている縦孔21に通した紐材の先端に設けた磁石を前記連結鉄筋の先端面に磁気吸着させ、該紐材を引っ張ることによって該連結鉄筋2を短連結孔12の奥端側25に向けて移動させる等の手段を採用することもできる。
【0071】
(13)前記実施例においては、前記連結端面9,10に目地用欠切凹部63,63が設けられているが、該目地用欠切凹部63,63は省略されることもある。
【0072】
(14)本発明に係るコンクリート版は、前記した無散水融雪板以外の一般の舗装用コンクリート版として応用されることもある。
【0073】
(15)本発明に係るコンクリート版は、主として、大型車が高頻度で走行する長期耐久性を要求される舗装部の構築に用いられるが、駐車場等のその他の舗装部を構築するために用いられることもある。