特許第5666275号(P5666275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666275
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】太陽光集光集熱レシーバ
(51)【国際特許分類】
   F24J 2/24 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
   F24J2/24 C
   F24J2/24 D
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-274809(P2010-274809)
(22)【出願日】2010年12月9日
(65)【公開番号】特開2012-122693(P2012-122693A)
(43)【公開日】2012年6月28日
【審査請求日】2013年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】504005781
【氏名又は名称】株式会社日立プラントメカニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】中邑 健児
(72)【発明者】
【氏名】吉田 純
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−184855(JP,A)
【文献】 特開2004−251612(JP,A)
【文献】 実開昭52−025340(JP,U)
【文献】 実開昭56−163246(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0126499(US,A1)
【文献】 米国特許第04326503(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0050381(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24J 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集熱管の外周に同心状にガラス製の断熱管を配設してなる二重管構造の集光集熱レシーバであって、前記集光集熱レシーバの端部において、集熱管の外周に断熱管の端部にガラス/コバール金属接続部を介して接続した金属製のベローズを配設し、該ベローズの他端薄肉金属製の緩衝部材を接続し、該緩衝部材を、ベローズの内周側に沿って断熱管の端部のガラス/コバール金属接続部の位置まで延出させ、屈曲、折返して、集熱管の端部位置において集熱管の外周面に接続したことを特徴とする太陽光集光集熱レシーバ。
【請求項2】
集熱管と断熱管との間に形成された断熱空間が真空となるように、断熱管、ベローズ、緩衝部材及び集熱管の各接続部を密閉構造としたことを特徴とする請求項1に記載の太陽光集光集熱レシーバ。
【請求項3】
集熱管と断熱管との間に形成された断熱空間中で発生する水素ガスを吸着する水素ゲッターを、断熱空間に配置したことを特徴とする請求項1に記載の太陽光集光集熱レシーバ。
【請求項4】
緩衝部材に、放熱フィンを付設したことを特徴とする請求項1、2に記載の太陽光集光集熱レシーバ。
【請求項5】
集光集熱レシーバの端部に、集光された太陽光を遮るシールド板を配設したことを特徴とする請求項1、2、3に記載の太陽光集光集熱レシーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光集光集熱レシーバに関し、特に、集光機構によって集光された太陽光を受光し、内部を流通する熱媒体にエネルギを伝達するようにした太陽光集光集熱レシーバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、集光機構としての断面が放物線形状をなすトラフ型の反射鏡によって太陽光を集熱管に向けて集光し、太陽光集光集熱レシーバの内部を流通する熱媒体にエネルギを伝達するようにした太陽光集熱装置が提案されており(例えば、特許文献1参照。)、また、太陽光集光集熱レシーバについても、集光された太陽光を受光し、内部を流通する熱媒体にエネルギを伝達する集熱管と、この集熱管の外周を断熱空間を形成して覆う断熱管とからなるものが提案されている(例えば、特許文献2及び3参照。)。
【0003】
このように、従来、太陽光集熱装置については、太陽光の集光効率を上げるために、また、太陽光集光集熱レシーバ自体について、種々の提案がなされており、特に、特許文献3には、太陽光集光集熱レシーバについて、内部を流通する熱媒体にエネルギを伝達する金属製の集熱管と、この集熱管の外周を断熱空間を形成して覆うガラス製の断熱管とからなり、集熱管の端部に、断熱管の端部を、集熱管と断熱管の熱膨張(線膨張)の差を吸収する膨張差吸収機構を介して固着するようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第96/29745号
【特許文献2】特開2004−239603号公報
【特許文献3】特開2004−251612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の膨張差吸収機構の場合、以下の課題があった。
(1)集熱管と断熱管の熱膨張の差の吸収をベローズに対して圧縮方向で行うようにしているため、熱膨張の吸収許容値が小さく、ベローズの長さを長くする必要がある。
(2)集熱管と断熱管の空間にベローズを配置する必要があるが、ベローズの山の高さをこの空間に納めるため、集熱管の外径に対して段熱管の内径が大きくならざるを得ない。
(3)1箇所の端部構造部における円周溶接箇所が5箇所もあり、製作上手数を要する。
(4)ベローズの大半の部分が外から見えない場所に設置されるため、日常点検において、ベローズの健全性の目視確認が困難であり、かつ、ベローズの修理、交換作業においては、一部の溶接箇所が完全に内部に隠れてしまうため、リーク検査に手数を要する。
(5)集熱管と断熱管の半径方向の熱膨張の差を吸収するのに限界があり、半径方向の熱膨張によりベローズに半径方向の応力がかかりやすい。
【0006】
本発明は、上記従来の太陽光集光集熱レシーバにおける膨張差吸収機構が有する課題に鑑み、簡易かつコンパクトな構造で、集熱管と断熱管の熱膨張の差を確実に吸収することができるようにした太陽光集光集熱レシーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の太陽光集光集熱レシーバは、集熱管の外周に同心状にガラス製の断熱管を配設してなる二重管構造の集光集熱レシーバであって、前記集光集熱レシーバの端部において、集熱管の外周に断熱管の端部にガラス/コバール金属接続部を介して接続した金属製のベローズを配設し、該ベローズの他端薄肉金属製の緩衝部材を接続し、該緩衝部材を、ベローズの内周側に沿って断熱管の端部のガラス/コバール金属接続部の位置まで延出させ、屈曲、折返して、集熱管の端部位置において集熱管の外周面に接続したことを特徴とする。
【0008】
この場合において、集熱管と断熱管との間に形成された断熱空間が真空となるように、断熱管、ベローズ、緩衝部材及び集熱管の各接続部を密閉構造とすることができる。
【0009】
また、集熱管と断熱管との間に形成された断熱空間中で発生する水素ガスを吸着する水素ゲッターを、断熱空間に配置することができる。
【0010】
また、緩衝部材に、放熱フィンを付設することができる。
【0011】
また、集光集熱レシーバの端部に、集光された太陽光を遮るシールド板を配設することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の太陽光集光集熱レシーバによれば、集光集熱レシーバの端部において、集熱管の外周に断熱管の端部に接続した金属製のベローズを配設し、該ベローズの他端を薄肉金属製の緩衝部材を介して集熱管の外周面に接続することにより、上記従来の太陽光集光集熱レシーバの膨張差吸収機構にあった(1)〜(5)の課題を包括的に解消することができる。特に、集熱管と断熱管の熱膨張の差の吸収をベローズに対して引張り方向で行うようにすることができ、集熱管と断熱管の熱膨張の吸収許容値が大きくなるため、ベローズの長さを短くし、集光集熱レシーバの端部構造を、簡易かつコンパクトな構造とすることができる。
【0013】
そして、ベローズに接続した緩衝部材を、ベローズに沿って断熱管の端部位置まで延出させ、屈曲、折返して、集熱管の端部位置において集熱管の外周面に接続することにより、集熱管と断熱管の半径方向の熱膨張の差を確実に吸収することができる。
【0014】
また、集熱管と断熱管との間に形成された断熱空間が真空となるように、断熱管、ベローズ、緩衝部材及び集熱管の各接続部を密閉構造とすることにより、集熱効率を向上することができる。
【0015】
また、集熱管と断熱管との間に形成された断熱空間中で発生する水素ガスを吸着する水素ゲッターを、断熱空間に配置することにより、熱媒体が高温となることによって断熱空間中で発生する水素ガスを吸着して断熱空間を真空に保ち、断熱空間の断熱性を維持することができる。
【0016】
また、緩衝部材に、放熱フィンを付設することにより、緩衝部材及びベローズの温度上昇を抑えて、集熱管と断熱管の熱膨張の差を低減することができる。
【0017】
また、集光集熱レシーバの端部に、集光された太陽光を遮るシールド板を配設することにより、ベローズ及び緩衝部材の温度上昇を抑えて、集熱管と断熱管の熱膨張の差を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の集光集熱レシーバの第1実施例を示す説明図である。
図2】同集光集熱レシーバを適用した太陽光集熱装置を示す説明図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図3】本発明の集光集熱レシーバの第2実施例を示す説明図である。
図4】本発明の集光集熱レシーバの第3実施例を示す説明図である。
図5】本発明の集光集熱レシーバの第4実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の集光集熱レシーバの実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0020】
図1図2に、本発明の集光集熱レシーバの第1実施例を示す。
この集光集熱レシーバは、集光機構としての断面が放物線形状をなすトラフ型の反射鏡Miによって集光された太陽光を受光し、内部を流通する熱媒体にエネルギを伝達する金属製の集熱管1と、この集熱管1の外周を断熱空間6を形成して覆うガラス製の断熱管2とからなり、集熱管1の両端部に、集熱管1の接続部を突出させた状態で、断熱管2の両端部を固着するようにしている。
【0021】
この場合において、反射鏡Mi及び集熱管1からなる集光集熱レシーバは、基台の支持部Sに、集光集熱レシーバ及び反射鏡Miの中心軸L1が南北軸に沿うように、かつ、集光集熱レシーバ及び反射鏡Miを共通の揺動軸を介して揺動可能に設置するようにする。
そして、集光集熱レシーバ及び反射鏡Miの二等分線L2を含む面の延長方向が常に太陽の方向を指向するように、太陽の動きに従って揺動軸を回動させる太陽追尾機構Mを設けるようにしている。
【0022】
これにより、太陽光Sbが、常に反射鏡Miの二等分線L2を含む面と平行に反射鏡Miに入射し、反射光が、反射鏡Miの焦点の位置に架設された集熱管1の中心軸L1に集光されるようにする。
【0023】
なお、本実施例において、集光機構として、断面が放物線形状をなすトラフ型の反射鏡Miを用いるようにしたが、複数の長尺の平面分割鏡からなるフレネルミラー型の反射鏡のほか、リニアフレネルレンズ等の公知の集光機構を用いることができる。
【0024】
また、集光集熱レシーバは、集光機構としての反射鏡Miによって集光された太陽光を受光し、内部を流通する熱媒体にエネルギを伝達する集熱管1と、この集熱管1の外周を断熱空間6を形成して覆う断熱管2とからなるものを用いるようにしている。
【0025】
より具体的には、集熱管1の表面に太陽光熱吸収膜として、酸化クロムメッキ層を施すようにしている。
太陽光熱吸収膜としての酸化クロムメッキ層は、酸洗いした鋼管からなる集熱管1の表面に酸化クロムメッキ処理を施すことにより、比較的低コストで形成することができる。
なお、太陽光熱吸収膜の材質や形成方法は、これに限定されず、集熱管1の下地処理は酸洗のほか、バフ研磨やエッチングを用いたり、材質としては、酸化クロムのほか、ニッケル系等の材料を用いたり、形成方法としては、メッキ処理のほか、溶射処理、物理蒸着(PVD)、塗装等によって太陽光熱の吸収を高めるために表面を黒色に着色したり、適宜の選択吸収膜を施すようにする等、従来、公知のものを採用することができる。
【0026】
なお、集熱管1には、鋼管の外、ステンレススチール管等の金属管を、また、断熱管2には、コバールガラス管等の硼珪酸ガラス管を好適に用いることができる。
ここで、断熱管2の材料には、耐熱性を有する硼珪酸ガラスを用いるようにしているが、その成分として、酸化バリウムを1%程度含有するものを用いることができる。
【0027】
また、断熱空間6は、通常、集熱管1と断熱管2の間を真空にすることにより、断熱を行うようにする。
【0028】
また、集熱管1の内部を流通する熱媒体には、数百℃、例えば、400℃程度の温度まで加熱されて熱媒体として機能を発揮する水、熱媒油、溶融塩等の熱媒体を用いることができる。
【0029】
ところで、本実施例において、集光集熱レシーバは、金属製の集熱管1の外周にガラス製の断熱管2を配設し、この断熱管2の端部にガラス/コバール金属接続部3を介して金属製のベローズ4を配設し、このベローズ4の他端を薄肉金属製の緩衝部材5を介して集熱管1の外周面に接続するようにしている。
なお、ベローズ4及び緩衝部材5は、鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の任意の金属でもって構成することができる。
また、ベローズ4は、溶接タイプ、成形タイプを選択して使用することができる。
これにより、上記従来の膨張差吸収機構にあった(1)〜(5)の課題を包括的に解消することができ、特に、集熱管1と断熱管2の熱膨張の差の吸収をベローズ4に対して引張り方向で行うようにすることができ、集熱管1と断熱管2の熱膨張の吸収許容値が大きくなるため、ベローズ4の長さを短くし、集光集熱レシーバの端部構造を、簡易かつコンパクトな構造とすることができる。
【0030】
この場合、集熱管1と断熱管2との間に形成された断熱空間6が真空となるように、断熱管2、ガラス/コバール金属接続部3、ベローズ4、緩衝部材5及び集熱管1の各接続部を密閉構造とするようにしている。
これにより、集熱効率を向上することができる。
【0031】
また、ベローズ4に接続した緩衝部材5は、ベローズ4の内周側に沿って断熱管2の端部位置、具体的には、ガラス/コバール金属接続部3の位置まで延出させ、当該位置で、内周側に屈曲、折返すことによって、特に、ばね性を高めるようにし、さらに、集熱管1の端部位置まで延出させて、当該位置において集熱管1の外周面に接続するようにしている。
これにより、集熱管1と断熱管2の軸方向の熱膨張の差に加えて、半径方向の熱膨張の差を確実に吸収することができる。
【0032】
また、本実施例の集光集熱レシーバの場合、溶接箇所を、ガラス/コバール金属接続部3とベローズ4との間の溶接箇所71、ベローズ4と緩衝部材5との間の溶接箇所72、緩衝部材5と集熱管1との間の溶接箇所73の合計3箇所とすることができる。
なお、実際の組立てに当たっては、断熱管2、ガラス/コバール金属接続部3、ベローズ4及び緩衝部材5を、予め工場等で溶接等によって一体化しておき、これに集熱管1を通して緩衝部材5と集熱管1との間の溶接箇所73を溶接することにより製作することができる。
【0033】
また、集光集熱レシーバの端部に、反射鏡Miによって集光された太陽光Sbを遮るシールド板8を配設するようにしている。
シールド板8は、集熱管1の露出している端部に接続したり、基台の支持部Sに設けることができるが、後述の第4実施例に示すように、集熱管1の熱膨張によって集熱管1とシールド板8の位置関係がずれることによって集熱効率が低下しないように、集熱管1の露出している端部に接続することが望ましい。
なお、シールド板8は、鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の任意の金属でもって構成することができる。
これにより、ガラス/コバール金属接続部3、ベローズ4及び緩衝部材5の温度上昇を抑えて、集熱管1と断熱管2の熱膨張の差を低減することができる。
【実施例2】
【0034】
図3に、本発明の集光集熱レシーバの第2実施例を示す。
この集光集熱レシーバは、熱媒体が高温、例えば、200℃以上となることによって、集熱管1と断熱管2との間に形成された断熱空間6中で発生する水素ガスを吸着する水素ゲッター9を、断熱空間6、特に限定されるものではないが、例えば、緩衝部材5に配置するようにしたものである。
これにより、熱媒体が高温となることによって断熱空間6中で発生する水素ガスを吸着して断熱空間6を真空に保ち、断熱空間6の断熱性を維持することができる。
なお、本実施例のその他の構成及び作用は、上記第1実施例のものと同様である。
【実施例3】
【0035】
図4に、本発明の集光集熱レシーバの第3実施例を示す。
この集光集熱レシーバは、緩衝部材5から半径方向に向けて、放熱フィン10を付設するようにしたものである。
なお、放熱フィン10は、緩衝部材5と一体成形することが好ましく、鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の任意の金属でもって構成することができる。
これにより、緩衝部材5、さらには、ガラス/コバール金属接続部3及びベローズ4の温度上昇を抑えて、集熱管1と断熱管2の熱膨張の差を低減することができる。
なお、本実施例のその他の構成及び作用は、上記第1及び第2実施例のものと同様である。
【実施例4】
【0036】
図5に、本発明の集光集熱レシーバの第4実施例を示す。
この集光集熱レシーバは、集光集熱レシーバの端部に、反射鏡Miによって集光された太陽光Sbを遮るシールド板8を集熱管1の露出している端部にスリーブ状の固定部材81を介して接続するようにしている。
なお、シールド板8には、必要に応じて、雨水や洗浄水がたまるのを防止するための水抜き孔82を形成することができる。
これにより、集熱管1の熱膨張によって集熱管1とシールド板8の位置関係がずれることによって集熱効率が低下することを防止することができる。
また、シールド板8と固定部材81とを接続する延設部83によって、集光集熱レシーバの端部を側方からも覆うことによって、ガラス/コバール金属接続部3、ベローズ4及び緩衝部材5の温度上昇をより確実に抑えて、集熱管1と断熱管2の熱膨張の差を低減することができるとともに、シールド板8の熱を集熱管1へアースすることができる。
なお、本実施例のその他の構成及び作用は、上記第1及び第2実施例のものと同様である。
【0037】
上記第1〜第4実施例の集光集熱レシーバによれば、従来の太陽光集光集熱レシーバの膨張差吸収機構にあった(1)〜(5)の課題に対応した、以下の作用効果を奏することを期待できる。
(1)ベローズ4の動作方向は、集熱管1とガラス製の断熱管2との熱膨張の差による軸方向の引張り方向となり、例えば、溶接構造の汎用のベローズをそのまま使用することができる。
(2)ベローズ4が断熱管2の内側に入り込んでいないため、断熱管2を小径のもので構成することができ、集光集熱レシーバをコンパクトに構成することができる。
(3)屈曲、折返すことによってばね性を高めた緩衝部材5を採用することにより、集熱管1への溶接箇所73を含めても、溶接箇所は3箇所にすることができ、構造を簡易化することができる。これにより、製作工数を飛躍的に低減可能となり、さらに、溶接箇所が減ることによりリークポテンシャルの数を減らすことができる。
(4)ベローズ4や、すべての溶接箇所71、72、73は、断熱管2の外側に露出しているため、リーク試験等の検査保守が容易である。
(5)屈曲、折返すことによってばね性を高めた緩衝部材5を採用することにより、半径方向のベローズのような機能を併せ持ち、これにより半径方向の熱膨張に対してベローズ4に負荷応力を与えない。さらに、緩衝部材5は、薄肉金属製のものからなるため、集熱管からの熱伝導距離を十分に確保できる上に、伝熱断面積が小さいため、集熱管1からガラス製の断熱管2への伝導伝熱を小さくし、ガラス/コバール金属接続部3の温度を安全な値にすることができる。また、緩衝部材5は、ガラス/コバール金属接続部3を隠す位置まで延出するようにしているため、集熱管1の外表面からの高温輻射伝熱を緩和するシールド板の役割も果たすことができる。
【0038】
以上、本発明の集光集熱レシーバについて、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の集光集熱レシーバは、簡易かつコンパクトな構造で、集熱管と断熱管の熱膨張の差を確実に吸収することができることから、例えば、集光集熱レシーバを流通する熱媒体が高温になり、集熱管と断熱管の熱膨張の差が大きくなる集光集熱レシーバの用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 集熱管
2 断熱管
3 ガラス/コバール金属接続部
4 ベローズ
5 緩衝部材
6 断熱空間
71〜73 溶接箇所
8 シールド板
81 シールド板の固定部材
82 シールド板の水抜き孔
83 シールド板の延設部
9 水素ゲッター
10 放熱フィン
図1
図2
図3
図4
図5