特許第5666308号(P5666308)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社プライムポリマーの特許一覧

特許5666308発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた発泡成形体
<>
  • 特許5666308-発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた発泡成形体 図000005
  • 特許5666308-発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた発泡成形体 図000006
  • 特許5666308-発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた発泡成形体 図000007
  • 特許5666308-発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた発泡成形体 図000008
  • 特許5666308-発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた発泡成形体 図000009
  • 特許5666308-発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた発泡成形体 図000010
  • 特許5666308-発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた発泡成形体 図000011
  • 特許5666308-発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた発泡成形体 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666308
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた発泡成形体
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/04 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
   C08J9/04 101
   C08J9/04CES
【請求項の数】14
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2010-535815(P2010-535815)
(86)(22)【出願日】2009年10月28日
(86)【国際出願番号】JP2009068506
(87)【国際公開番号】WO2010050509
(87)【国際公開日】20100506
【審査請求日】2012年8月28日
(31)【優先権主張番号】特願2008-282152(P2008-282152)
(32)【優先日】2008年10月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505130112
【氏名又は名称】株式会社プライムポリマー
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】河村 達次
(72)【発明者】
【氏名】平野 幸喜
(72)【発明者】
【氏名】石井 行雄
【審査官】 横島 隆裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−283382(JP,A)
【文献】 特開平11−181178(JP,A)
【文献】 特開2003−268145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00−9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレン:50〜90重量部
(C)ゴム成分:10〜30重量部
(D)無機フィラー:0〜20重量部
(ただし、(AB)、(C)、(D)の合計を100重量部とする)
からなり、
前記(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレンの、常温パラキシレン可溶成分として特定されるプロピレン・エチレン共重合体量が4.5〜31.0重量%であり、残余はプロピレン単独重合体部分および必要に応じて含有されるポリエチレン部分である常温パラキシレン不溶成分であり、
(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレンが、135℃、テトラリン中での極限粘度[η]が13.5〜20.0dl/gのプロピレン重合体成分を0.2〜3.7重量%含む
ことを特徴とする発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項2】
前記(AB)、(C)、(D)に加えて、
(E)高流動性ホモポリプロピレン:5〜20重量部
(ただし、(AB)、(C)、(D)、(E)の合計を100重量部とする)
をさらに含み、
前記(E)高流動性ホモポリプロピレンのASTM D−1238により230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが200〜1000g/10minである、
請求項1に記載の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項3】
前記(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレンが、
(A)インパクトポリプロピレン:45〜87重量部
(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレン:2〜15重量部
(ただし、(A)、(B)、(C)、(D)の合計を100重量部とする)
からなり、
前記(A)インパクトポリプロピレンの、常温パラキシレン可溶成分として特定されるプロピレン・エチレン共重合体量が5〜30重量%であり、残余はプロピレン単独重合体部分および必要に応じて含有されるポリエチレン部分である常温パラキシレン不溶成分であり、
前記(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレンが、
(i)135℃、テトラリン中での極限粘度[η]が13.5〜20.0dl/gのプロピレン単独重合体成分を5〜22重量%含み、
(ii)135℃、テトラリン中での極限粘度[η]が0.5〜3.0dl/gのプロピレン単独重合体成分を78〜95重量%含む
ことを特徴とする請求項1に記載の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A)、(B)、(C)、(D)に加えて、
(E)高流動性ホモポリプロピレン:5〜20重量部
(ただし、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の合計を100重量部とする)
をさらに含み、
前記(E)高流動性ホモポリプロピレンのASTM D−1238により230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが200〜1000g/10minである、
請求項3に記載の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項5】
インパクトポリプロピレン(A)が、
ASTM D−1238により230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが50〜200g/10minであり、
常温パラキシレン可溶成分として特定されるプロピレン・エチレン共重合体の極限粘度[η]が3.5〜10dl/gの範囲であることを特徴とする請求項3または4に記載の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項6】
ゴム成分(C)が、エチレンと、炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体であって、ASTM D−1238により190℃、2.16kg荷重で測定したMFRが1〜50g/10min、かつ、密度が0.86〜0.92g/cm3の範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項7】
ゴム成分(C)が、シングルサイト触媒で製造されたエチレン・α−オレフィン系エラストマーであることを特徴とする請求項6に記載の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項8】
前記発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の、ASTM D−1238により230℃、2.16kg荷重で測定したMFR230が、30〜200g/10minである請求項1〜7のいずれか1項に記載の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項9】
前記発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の、ASTM D−1238により230℃、2.16kg荷重で測定したMFR230と、溶融張力MT180が、下記式(1)〜(3)の関係にある、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
MT180≧5500×(MFR230-2 ・・・(1)
MT180≦30000×(MFR230-2 ・・・(2)
40≦MFR230≦120 ・・・(3)
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を射出発泡成形してなる射出発泡成形体。
【請求項11】
化学発泡剤および/または物理発泡剤を用いて射出発泡成形してなる請求項10に記載の射出発泡成形体。
【請求項12】
前記射出発泡成形において、射出開始時の金型キャビティクリアランス(T0)が1.0〜2.0mmであり、T0と可動型後退後のキャビティの断面の拡開方向長さ(T1)との比(T1/T0)が1.1〜5.0である請求項10または11に記載の射出発泡成形体。
【請求項13】
射出発泡成形体がソリッドスキン層に挟まれて中心に発泡層を配し、成形体表面のソリッドスキン層が片側0.1〜0.5mm、発泡層が2〜4mmであり、発泡層の発泡倍率が2〜6倍である発泡成形品であって、可動型後退方向と平行に切断した成形体断面において、発泡層中心部10〜50%の領域で、「ソリッドスキン層に直角のセル直径/ソリッドスキン層に沿ったセル直径」の比が0.7〜1.4であるセルを70%以上含み、残りの発泡層のセルにおいては、「ソリッドスキン層に直角のセル直径/ソリッドスキン層に沿ったセル直径」の比が0.1〜0.9であるセルを60%以上含む請求項10または11に記載の射出発泡成形体
【請求項14】
自動車内外装用部品であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の射出発泡成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出発泡成形体の製造に好適な発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物、およびそれを用いた射出発泡成形体に関する。詳しくは、本発明は、高分子量成分を含有するポリプロピレン重合体を含む射出発泡成形用のポリプロピレン樹脂組成物およびそれを用いた自動車内外装用部品などに好適な射出発泡成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン樹脂は、成形性、物性バランス、リサイクル特性やコストパフォーマンスなどに優れるため、日用品、住宅分野、家電分野、自動車部品など、種々の産業分野で樹脂材料として広く用いられている。
【0003】
近年、自動車部品は燃費向上や地球温暖化ガス削減のため軽量化が強く要請されており、特に内装部品においては発泡成形体の使用が増加している。しかしながら自動車内外装用部品には、さらなる軽量化と機械的特性の維持あるいは向上が求められている。このため、より発泡倍率が高く、しかも機械的特性に優れた射出発泡成形体の出現が求められている。
【0004】
この発明における射出発泡成形は、金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出により充填する射出段階と、その後に金型可動側をわずかに後退させ(コアバック)、キャビティを開くことによって発泡を促す発泡段階とを有する成形法である。
【0005】
ここで、溶融樹脂の薄肉射出成形性を向上させるためには樹脂の流動性(メルトフローレート:MFR)を高めることが有用であり、また、発泡性を向上させるためには溶融張力(メルトテンション:MT)を高めることが有用であることが知られている。
【0006】
つまり、自動車内外装用部品などの比較的大型の発泡成形体を製造する場合、キャビティ厚を予め厚く設定した場合には、使用樹脂量が多くなり軽量化の要求に応えることができないため、薄いキャビティに溶融樹脂を充填させることが望まれ、充填時の樹脂のMFRが高いことが望まれる。一方、発泡成形体の剛性を充分なものとするためには安定した高発泡体を得ることが必要であり、発泡時のMTが高いことが望まれる。
【0007】
しかしながら、通常ポリオレフィン樹脂のMFRを高くするとMTが低くなり、MTを高くするとMFRが低くなるという傾向を有するため、射出発泡成形においても、樹脂の流動性(MFR)を優先した場合には、薄いキャビティへの射出充填はできるものの、樹脂の溶融張力(MT)が不充分で、発泡過程において発泡セルが破断してしまい、所望の発泡倍率や射出発泡体の性能を得ることができないという問題があった。
【0008】
このような状況において、本願出願人は、特定のMFR、極限粘度、せん断応力を有するポリオレフィン樹脂(特許文献1参照)、溶出温度による溶出成分量が特定範囲内であるプロピレン系樹脂組成物(特許文献2参照)が射出発泡成形に好適であることを見出し、これらを提案している。また本願出願人は、溶融張力が高く、粘弾性特性に優れ、発泡成形体の原料として好適なポリプロピレン系樹脂として、1段目に超高分子量のプロピレン系重合体成分を製造して得られるプロピレン系多段重合体を提案している。(特許文献3参照)
しかしながら、さらなる軽量化に対応した射出発泡成形体を得るためには、さらに射出発泡成形に適し、流動性および溶融張力がともに高く、射出段階では薄いキャビティに充填可能で、かつ発泡段階では安定した発泡セルを形成可能な樹脂特性を有し、さらに射出発泡成形体として外観や製品剛性、衝撃強度に優れるようなポリプロピレン系樹脂組成物およびその発泡成形体が強く望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3918267号公報
【特許文献2】特開2008−163320号公報
【特許文献3】WO2005/097842号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、射出発泡成形に適し、流動性と溶融張力のバランスに優れ、高倍率の発泡成形を達成でき、軽量でかつ外観や機械強度に優れる発泡成形体を製造できる発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた発泡成形体を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記の課題の解決について検討した結果、高分子量成分を含有する特定のインパクトポリプロピレン、もしくは、インパクトポリプロピレンと高分子量成分含有ホモポリプロピレンの混合物に、ゴム成分と、必要に応じて無機フィラーを配合したポリプロピレン系樹脂組成物において、流動性と溶融張力のバランスに優れ、高倍率の発泡成形を達成でき、軽量でかつ外観や機械強度に優れる発泡成形体を製造できることを見出し、本発明に到達した。
【0012】
すなわち、本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、
(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレン:50〜90重量部
(C)ゴム成分:10〜30重量部
(D)無機フィラー:0〜20重量部
(ただし、(AB)、(C)、(D)の合計を100重量部とする)
からなり、
前記(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレンの、常温パラキシレン可溶成分として特定されるプロピレン・エチレン共重合体量が4.5〜31.0重量%であり、
(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレンが、135℃、テトラリン中での極限粘度[η]が13.5〜20.0dl/gのプロピレン重合体成分を0.2〜3.7重量%含む
ことを特徴としている。
【0013】
さらに、本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、前記(AB)、(C)、(D)に加えて、
(E)高流動性ホモポリプロピレン:5〜20重量部
(ただし、(AB)、(C)、(D)、(E)の合計を100重量部とする)
をさらに含み、
前記(E)高流動性ホモポリプロピレンのASTM D−1238により230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが200〜1000g/10minである
ことを特徴としている。
【0014】
また、前記発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、その構成要素(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレンが、
(A)インパクトポリプロピレン:45〜87重量部
(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレン:2〜15重量部
(ただし、(A)、(B)、(C)、(D)の合計を100重量部とする)
からなり、
前記(A)インパクトポリプロピレンの、常温パラキシレン可溶成分として特定されるプロピレン・エチレン共重合体量が5〜30重量%であり、前記(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレンが、
(i)135℃、テトラリン中での極限粘度[η]が13.5〜20dl/gのプロピレン単独重合体成分を5〜22重量%含み、
(ii)135℃、テトラリン中での極限粘度[η]が0.5〜3.0dl/gのプロピレン単独重合体成分を78〜95重量%含む
ことを特徴としている。
【0015】
さらに、本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、前記(A)、(B)、(C)、(D)に加えて、
(E)高流動性ホモポリプロピレン:5〜20重量部
(ただし、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の合計を100重量部とする)
をさらに含み、
前記(E)高流動性ホモポリプロピレンのASTM D−1238により230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが200〜1000g/10minである
ことを特徴としている。
【0016】
このような本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物では、
(A)インパクトポリプロピレンが、
ASTM D−1238により230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが50〜200g/10minであり、
常温パラキシレン可溶成分として特定されるプロピレン・エチレン共重合体の極限粘度[η]が3.5〜10dl/gの範囲であることが好ましい。
【0017】
本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物では、
(C)ゴム成分が、エチレンと、炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体であって、ASTM D−1238により190℃、2.16kg荷重で測定したMFRが1〜50g/10min、かつ、密度が0.86〜0.92g/cm3の範囲であることが好ましく、
(C)ゴム成分が、シングルサイト触媒で製造されたエチレン・α−オレフィン系エラストマーであることがより好ましい。
【0018】
本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物のASTM D−1238により230℃、2.16kg荷重で測定したMFR230は、30〜200g/10minであり、MFR230と、溶融張力MT180が、下記式(1)〜(3)の関係にあることが好ましい。
【0019】
MT180≧5500×(MFR230-2 ・・・(1)
MT180≦30000×(MFR230-2 ・・・(2)
40≦MFR230≦120 ・・・(3)
本発明の射出発泡成形体は、上記本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を射出発泡成形してなることを特徴としている。
【0020】
このような本発明の射出発泡成形体では、化学発泡剤および/または物理発泡剤を用いて射出発泡成形してなることが好ましい。
【0021】
本発明の射出発泡成形体は、射出開始時の金型キャビティクリアランス(T0)が1.0〜2.0mmであり、T0と可動型後退後のキャビティの断面の拡開方向長さ(T1)との比(T1/T0)が1.1〜5.0であることが好ましい。
【0022】
さらに、本発明の射出発泡成形体は、ソリッドスキン層に挟まれて中心に発泡層を配し、成形体表面のソリッドスキン層が片側0.1〜0.5mm、発泡層が2〜4mmであり、発泡層の発泡倍率が2〜6倍である発泡成形品であって、可動型後退方向と平行に切断した成形体断面において、発泡層中心部10〜50%の領域で、「ソリッドスキン層に直角のセル直径/ソリッドスキン層に沿ったセル直径」の比が0.7〜1.4であるセルを70%以上含み、残りの発泡層のセルにおいては、「ソリッドスキン層に直角のセル直径/ソリッドスキン層に沿ったセル直径」の比が0.1〜0.9であるセルを60%以上含むことが好ましい。
【0023】
本発明の射出発泡成形体は、自動車内外装部品であることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、薄く大型のキャビティへの射出充填も可能な流動性と、セル成形性に優れた溶融張力をバランスよく有し、射出発泡成形に好適であり、軽量で機械的強度に優れた発泡成形体を製造し得る発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を提供することができる。また本発明によれば、軽量で外観に優れ、セル形状が均質で、機械的強度に優れた射出発泡成形体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、射出成形金型の型締状態にある時の模式図を示す。
図2図2は、射出成形金型のコアバック状態にある時の模式図を示す。
図3図3は、実施例における成形性評価のための板厚測定位置を示す。
図4図4は、実施例における平面性評価のための板厚測定位置を示す。
図5図5は、実施例1で得た射出発泡成形体の断面を示す写真である。(評価A)
図6図6は、比較例1で得た射出発泡成形体の断面を示す写真である。(評価C)
図7図7は、比較例4で得た射出発泡成形体の断面を示す写真である。(評価B)
図8図8は、実施例および比較例の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の溶融張力(MT180)とメルトフローレート(MFR230)の関係を示すプロット図である。図8中、以下の記号を使って示す。
【0026】
▲:実施例1〜9、比較例6,7:高分子量成分含有ホモポリプロピレンB−1添加系
■:比較例2〜4:高分子量成分含有ホモポリプロピレンB−2添加系
×:比較例1,5,8:高分子量成分含有ホモポリプロピレン無添加系
◆:比較例9〜11:市販発泡用ポリプロピレン
●:比較例12〜15:市販一般ポリプロピレン
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0028】
発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物
本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、少なくとも、(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレンおよび(C)ゴム成分を含み、必要に応じて(D)無機フィラーを含有する。また、(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレンは、(A)インパクトポリプロピレン、(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレンに置き換えても本発明において同等の効果を有する。
【0029】
本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、さらに、(E)高流動性ホモポリプロピレンを含んでいてもよい。
【0030】
以下、各構成成分について詳説する。
【0031】
(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレン
本発明で用いる(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレンは、常温パラキシレン可溶成分として特定されるプロピレン・エチレン共重合体量が4.5〜31.0重量%、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは6〜28重量%である。
【0032】
また、(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレンは、135℃、テトラリン中での極限粘度[η]が13.5〜20.0dl/gのプロピレン重合体成分を0.2〜3.7重量%、好ましくは0.5〜3.5重量%、さらに好ましくは1.0〜3.0重量%含む。
【0033】
(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレン中において、プロピレン単独重合体部分および必要に応じて含有されるポリエチレン部分は常温パラキシレンに不溶性であり、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分は常温パラキシレンに可溶性である。(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレン中の常温パラキシレン可溶成分の含有量が上記範囲であると、剛性と耐衝撃性とのバランスに優れるため好ましい。
【0034】
また、(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレンに含まれる、極限粘度[η]が上記範囲にあるプロピレン重合体成分(以下、プロピレン重合体成分(X)と呼ぶ)を特定量含有することにより、高溶融張力化を達成し、粘弾性特性が調整されたポリプロピレン系樹脂組成物が得られるため好ましい。
【0035】
特に、プロピレン重合体成分(X)の極限粘度[η]は、13.5〜20.0dl/g、好ましくは14〜19dl/g、より好ましくは15〜18dl/gである。プロピレン重合体成分(X)の極限粘度[η]が13.5dl/g未満である場合や、(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレン中のプロピレン重合体成分(X)の重量分率が0.2重量%未満である場合には、溶融張力が不充分であり、得られる発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の発泡性能が不充分となることがある。また、(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレン中のプロピレン重合体成分(X)の極限粘度[η]が20dl/gを超える場合や、重量分率が3.7重量%を超えると、得られる発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の射出成形性が不良となる場合がある。
【0036】
本発明にかかる、(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレンの、ASTM D−1238により230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)は、通常40〜190g/10min、好ましくは50〜170g/10min、より好ましくは60〜150g/10minである。
【0037】
(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレン中の、常温パラキシレン可溶成分として特定されるプロピレン・エチレン共重合体の極限粘度[η]は通常3.5〜10dl/g、好ましくは3.5〜8dl/gの範囲である。また、(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレン中の、常温パラキシレン可溶成分として特定されるプロピレン・エチレン共重合体の含量は、4.5〜31.0重量%、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは8〜27重量%程度である。さらに、プロピレン・エチレン共重合体中のエチレン含量は、好ましくは20〜45重量%、より好ましくは25〜40重量%である。
【0038】
(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレン中の常温パラキシレン不溶成分に含まれるプロピレン単独重合体部分は、立体規則性に優れることが好ましく、たとえば、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が、好ましくは95.0%以上、より好ましくは97.0%以上である。プロピレン単独重合体部分が、このように高いアイソタクチックペンタッド分率を有していると、樹脂の結晶性が高く、剛性の高い発泡成形体を製造することができる。
【0039】
なお、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)は、13C−NMRを使用して測定される値であって、ポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖の存在割合を示しており、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。具体的には、13C−NMRスペクトルで観測されるメチル炭素領域の全吸収ピーク中に占めるmmmmピークの分率として算出される値である。
【0040】
本発明で用いる(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレン中には、分岐状オレフィン重合体が通常0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下の割合で含有されていてもよい。分岐状オレフィン重合体は、(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレンの核剤として作用するため、プロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率を高め、成形性を向上させることができる。そのような分岐状オレフィン重合体としては、3−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテンなどの分岐状オレフィンの単独重合体またはそれを含む共重合体を使用することができる。これらの中では、3−メチル−1−ブテンが好ましい。
【0041】
本発明で用いる(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレンは、その製造方法を特に限定するものではないが、たとえば、オレフィンの立体規則性重合触媒の存在下に、第1段階としてプロピレンの単独重合を行い、第2段階としてプロピレンとエチレンとの共重合を行い、必要に応じて第3段階としてエチレンの単独重合を行うプロセスを採用することにより製造することができる。重合触媒としては、チーグラー・ナッタ系触媒やメタロセン系触媒等を使用することができ、その一例として、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分、有機アルミニウム化合物、および電子供与体からなる触媒系を挙げることができる。
【0042】
(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレンは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を用いる場合には、その合計である(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレンが上記範囲を満たすことが好ましい。
【0043】
(A)インパクトポリプロピレン
本発明で用いる(A)インパクトポリプロピレンは、常温パラキシレン可溶成分として特定されるプロピレン・エチレン共重合体量が好ましくは5〜30重量%、より好ましくは8〜27重量%である。(A)インパクトポリプロピレン中において、プロピレン単独重合体部分および必要に応じて含有されるポリエチレン部分は常温パラキシレンに不溶性であり、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分は常温パラキシレンに可溶性である。(A)インパクトポリプロピレン中の常温パラキシレン可溶成分の含有量が上記範囲であると、剛性と耐衝撃性とのバランスに優れるため好ましい。
【0044】
本発明では、(A)インパクトポリプロピレンの、ASTM D−1238により230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が、好ましくは50〜200g/10min、より好ましくは55〜150g/10minである。
【0045】
(A)インパクトポリプロピレン中の、常温パラキシレン可溶成分として特定されるプロピレン・エチレン共重合体は、好ましくは極限粘度[η]が通常3.5〜10dl/g、より好ましくは3.5〜8dl/gの範囲であることが望ましい。また、インパクトポリプロピレン(A)中の、常温パラキシレン可溶成分として特定されるプロピレン・エチレン共重合体の含量は、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは8〜27重量%程度であり、また、プロピレン・エチレン共重合体中のエチレン含量は、好ましくは20〜45重量%、より好ましくは25〜40重量%程度であるのが望ましい。
【0046】
(A)インパクトポリプロピレン中の常温パラキシレン不溶成分に含まれるプロピレン単独重合体部分は、立体規則性に優れることが好ましく、たとえば、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が、好ましくは95.0%以上、より好ましくは97.0%以上であることが望ましい。プロピレン単独重合体部分が、このように高いアイソタクチックペンタッド分率を有していると、樹脂の結晶性が高く、剛性の高い発泡成形体を製造することができる。
【0047】
なお、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)は、13C−NMRを使用して測定される値であって、ポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖の存在割合を示しており、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。具体的には、13C−NMRスペクトルで観測されるメチル炭素領域の全吸収ピーク中に占めるmmmmピークの分率として算出される値である。
【0048】
本発明で用いる(A)インパクトポリプロピレン中には、分岐状オレフィン重合体が0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下の割合で含有されていてもよい。分岐状オレフィン重合体は、(A)インパクトポリプロピレンの核剤として作用するため、プロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率を高め、成形性を向上させることができる。そのような分岐状オレフィン重合体としては、3−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテンなどの分岐状オレフィンの単独重合体またはそれを含む共重合体を使用することができる。これらの中では、3−メチル−1−ブテンが好ましい。
【0049】
本発明で用いる(A)インパクトポリプロピレンは、その製造方法を特に限定するものではないが、たとえば、オレフィンの立体規則性重合触媒の存在下に、第1段階としてプロピレンの単独重合を行い、第2段階としてプロピレンとエチレンとの共重合を行い、必要に応じて第3段階としてエチレンの単独重合を行うプロセスを採用することにより製造することができる。重合触媒としては、チーグラー・ナッタ系触媒やメタロセン系触媒等を使用することができ、その一例として、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分、有機アルミニウム化合物、および電子供与体からなる触媒系を挙げることができる。
【0050】
(A)インパクトポリプロピレンは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を用いる場合には、その合計である(A)インパクトポリプロピレンが上記範囲を満たすことが好ましい。
【0051】
(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレン
本発明で用いる(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレンは、
(i)135℃、テトラリン中での極限粘度[η]が13.5〜20dl/g超のプロピレン単独重合体成分(以下(i)成分)を好ましくは5〜22重量%、より好ましくは8〜20重量%含み、
(ii)135℃、テトラリン中での極限粘度[η]が0.5〜3.0dl/gのプロピレン単独重合体成分(以下(ii)成分)を好ましくは78〜95重量%、より好ましくは80〜92重量%含む。
【0052】
(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレンは、(i)成分、即ち、超高分子量プロピレン系重合体成分を特定量含有することにより、高溶融張力化を達成し、粘弾性特性が調整された直鎖状のプロピレン系重合体である。
【0053】
(i)成分の極限粘度は、好ましくは14.5〜20dl/g、より好ましくは15.5〜18dl/gである。また、(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレン中における(i)成分の重量分率は、さらに好ましくは10〜20重量%である。
【0054】
(i)成分の極限粘度が13.5dl/g未満である場合や、(i)成分の重量分率が5重量%未満である場合には、溶融張力が不充分であり、得られる発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の発泡性能が不充分となることがある。また、(i)成分の重量分率が22重量%を超えると、得られる発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の射出成形性が不良となる場合がある。
【0055】
(ii)成分の極限粘度は、好ましくは0.5〜3.0dl/g、より好ましくは0.5〜2.0dl/g、特に好ましくは0.5〜1.5dl/gである。また、(ii)成分の重量分率は、好ましくは80〜92重量%、より好ましくは80〜90重量%である。
【0056】
(ii)成分の極限粘度が0.5dl/g未満の場合や、(B)中における(ii)成分の重量分率が95重量%を超える場合には、得られる発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の溶融張力が不充分となり、発泡成形が困難になる場合がある。また、(ii)成分の重量分率が80重量%未満では、得られる発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の射出成形性が不良となる場合がある。
【0057】
本発明に係る(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレンは、230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが、好ましくは7g/10min以下、より好ましくは、5g/10min以下である。7g/10minを超えると、得られる発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の溶融張力を向上させる効果が低く、高発泡時に均質な発泡体の成形が困難となる場合がある。
【0058】
本発明に係る(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレンは、その製造方法を特に限定するものではないが、たとえば、下記成分(a)および(b)、または下記成分(a)、(b)および(c)からなるオレフィン重合用触媒を用い、2段階以上の重合工程で、プロピレンを重合させて製造することができる。
(a)四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元して得られる三塩化チタンをエーテル化合物および電子受容体で処理して得られる固体触媒成分、
(b)有機アルミニウム化合物、
(c)環状エステル化合物。
【0059】
前記固体触媒成分(a)において、四塩化チタンを還元する有機アルミニウム化合物としては、たとえば、(イ)アルキルアルミニウムジハライド、具体的には、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、およびn−プロピルアルミニウムジクロライド、(ロ)アルキルアルミニウムセスキハライド、具体的には、エチルアルミニウムセスキクロライド、(ハ)ジアルキルアルミニウムハライド、具体的には、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジ−n−プロピルアルミニウムクロライド、およびジエチルアルミニウムブロマイド、(ニ)トリアルキルアルミニウム、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、およびトリイソブチルアルミニウム、(ホ)ジアルキルアルミニウムハイドライド、具体的には、ジエチルアルミニウムハイドライド等を挙げることができる。ここで、「アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、ブチル等の低級アルキルである。また、「ハライド」は、クロライドまたはブロマイドであり、特に前者が普通である。
【0060】
三塩化チタンを得るための、有機アルミニウム化合物による還元反応は、−60〜60℃、好ましくは−30〜30℃の温度範囲で行うことが普通である。上記温度範囲未満の場合には、還元反応に長時間が必要であり、また、上記温度超過の場合には、部分的に過還元が生じるので好ましくない。還元反応は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンおよびデカン等の不活性炭化水素溶媒中で行うのが好ましい。
【0061】
さらに、四塩化チタンの有機アルミニウム化合物による還元反応によって得られた三塩化チタンに対し、さらにエーテル処理および電子受容体処理を施すことが好ましい。
【0062】
前記三塩化チタンのエーテル処理で好ましく用いられるエーテル化合物としては、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジネオペンチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジ−n−オクチルエーテル、ジ−2−エチルヘキシルエーテル、メチル−n−ブチルエーテルおよびエチルイソブチルエーテル等の各炭化水素残基が炭素数2〜8の鎖状炭化水素であるエーテル化合物が挙げられ、これらの中でも特にジ−n−ブチルエーテルを用いることが好適である。
【0063】
三塩化チタンの処理で用いられる電子受容体としては、周期律表第III族〜第IV族および第VIII族の元素のハロゲン化合物が好ましく、具体的には、四塩化チタン、四塩化ケイ素、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、五塩化アンチモン、三塩化ガリウム、三塩化鉄、二塩化テルル、四塩化スズ、三塩化リン、五塩化リン、四塩化バナジウムおよび四塩化ジルコニウム等を挙げることができる。固体触媒成分(a)を調製する際に、三塩化チタンのエーテル化合物および電子受容体による処理は、両処理剤の混合物を用いて行ってもよく、また、一方による処理後に、他方による処理を行ってもよい。これらのうちでは、後者が好ましく、エーテル処理後に電子受容体処理を行うことがさらに好ましい。
【0064】
エーテル化合物および電子受容体による処理の前に、三塩化チタンを炭化水素で洗浄することが一般に望ましい。前記三塩化チタンのエーテル処理は、該三塩化チタンと前記エーテル化合物を接触させることによって行われる。また、エーテル化合物による三塩化チタンの処理は、希釈剤の存在下で両者を接触させることによって行うのが有利である。このような希釈剤には、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ベンゼンおよびトルエン等の不活性炭化水素化合物を使用することが好適である。エーテル処理における処理温度は、0〜100℃であることが好ましい。処理時間については特に制限されないが、通常20分〜5時間の範囲で行われる。
【0065】
エーテル化合物の使用量は、三塩化チタン1mol当たり、一般に0.05〜3.0mol、好ましくは0.5〜1.5molの範囲である。エーテル化合物の使用量が上記範囲未満の場合は、生成重合体の立体規則性を充分に向上させることができなくなるので好ましくない。また、上記範囲超過の場合は、生成重合体の立体規則性を充分向上させることができるが、収率が低下してしまうので好ましくない。尚、有機アルミニウム化合物やエーテル化合物で処理した三塩化チタンは、厳密に言えば、三塩化チタンを主成分とする組成物である。
【0066】
本発明に係る(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレンの調製においては、このような固体触媒成分(a)として、Solvay型三塩化チタンを好適に用いることができる。
【0067】
有機アルミニウム化合物(b)としては、上記と同様の化合物が挙げられる。
【0068】
環状エステル化合物(c)としては、たとえば、γ−ラクトン、δ−ラクトン、ε−ラクトン等が挙げられる。このうち、好ましくは、ε−ラクトンである。
【0069】
本発明に係る(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレンの製造に用いるオレフィン重合用触媒は、上記(a)〜(c)成分を混合することにより調製できる。
【0070】
(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレンの製造においては、2段階以上の重合工程のうち、1段階目に、水素不存在下で、プロピレンを重合させることが好ましい。ここで、「水素不存在下」とは、実質的に水素不存在下という意味であり、水素が全く存在しない場合だけではなく、水素が極微量存在する場合(たとえば、10molppm程度)も含まれる。すなわち、135℃テトラリン中で測定した、1段階目のプロピレン系重合体またはプロピレン系共重合体の極限粘度が10dl/g以下にならない程度であれば、微量の水素が存在してもよい。
【0071】
このような水素不存在下でプロピレンの重合を行うことにより、(i)成分である超高分子量プロピレン系重合体を製造することができる。(i)成分の製造条件としては、水素不存在下で、原料モノマーを重合温度として、好ましくは20〜80℃、より好ましくは40〜70℃、重合圧力として、一般に常圧〜1.47MPa、好ましくは0.39〜1.18MPaの条件下でスラリー重合して製造することが好ましい。
【0072】
また、(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレンの製造においては、低分子量成分である(ii)成分を、2段階目以降に製造することが好ましい。(ii)成分の製造条件としては、上記オレフィン重合用触媒を使用すること以外は特に制限されないが、原料モノマーを、重合温度として、好ましくは20〜80℃、より好ましくは60〜70℃、重合圧力として、一般に常圧〜1.47MPa、好ましくは0.19〜1.18MPa、分子量調節剤としての水素が存在する条件下で重合して製造することが好ましい。
【0073】
上記の条件下、反応時間等を適宜調整することにより、1段目の重合工程で、135℃、テトラリン中での極限粘度[η]が13.5〜20dl/g超のプロピレン重合体成分を5〜22重量%生成させ、2段目の重合工程で、135℃、テトラリン中での極限粘度[η]が0.5〜3.0dl/gのプロピレン重合体成分を78〜95重量%生成させることが好ましい。
【0074】
このような(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレンの製造では、本重合を行う前に、予備重合を行ってもよい。予備重合を行うと、パウダーモルフォロジーを良好に維持できる。予備重合は、一般的に、重合温度として、好ましくは0〜80℃、より好ましくは10〜60℃、重合量として、固体触媒成分1g当たり、好ましくは0.001〜100g、より好ましくは0.1〜10gのプロピレンを重合させることが好ましい。
【0075】
本発明で用いる(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレンを製造する方法としては、国際公開第2005/097842号パンフレットに記載の方法を採用することができる。
【0076】
(C)ゴム成分
本発明で用いる(C)ゴム成分としては、前記(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレン、または、前記(A)インパクトポリプロピレンおよび(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレン、との相溶性に優れるゴム成分を制限なく用いることができるが、本発明では、(C)ゴム成分として、エチレンと、炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体を用いるのが好ましい。エチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどの炭素数3〜10のα−オレフィンが挙げられ、これらの1種または2種以上が用いられる。これらのα−オレフィンのうちでは、1−ブテンおよび1−オクテンが特に好ましい。
【0077】
本発明で用いる(C)ゴム成分の、ASTM D−1238により190℃、2.16kg荷重で測定したMFRは、好ましくは1〜50g/10min、より好ましくは10〜40g/10minであり、密度は好ましくは0.86〜0.92g/cm3の範囲である。
【0078】
このような(C)ゴム成分としては、メタロセン触媒などのシングルサイト触媒で製造されたエチレン・α−オレフィン系エラストマーであることが好ましい。メタロセン触媒などのシングルサイト触媒で製造されたエチレン・α−オレフィン系エラストマーは、その重量平均分子量と数平均分子量の比(分子量分布:Mw/Mn)ならびにエチレン・α−オレフィンの共重合組成分布が狭いため、組成物として均一で安定した流動特性(レオロジー)や分散形態(モルフォロジー)が得られる点で優れている。
【0079】
なお、本願で用いることができるシングルサイト触媒で製造されたエチレン・α‐オレフィン系エラストマーの具体例としては、The Dow Chemical Company製、ENGAGE8407や三井化学社製A−35070S等々が挙げられるが、エラストマー成分はこれに限定されることはない。
【0080】
(C)ゴム成分は、1種単独であっても、2種以上組み合わせて用いられてもよいが、ゴム成分全体として、上記MFRおよび密度を満たすことが好ましい。
【0081】
(D)無機フィラー
本発明で用いることのできる(D)無機フィラーとしては、特に制限されないが、たとえば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、ガラス繊維、炭酸マグネシウム、マイカ、カオリン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタンホワイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムを例示することができる。これらは単独で使用することもできるし、または2種以上を混合して用いることもできる。これらの内では、タルクの使用が最も好ましい。
【0082】
(D)無機フィラーの形状は、特に限定されるものではないが、レーザー法で測定された平均粒子径が通常0.5〜20μm、好ましくは1.0〜15μmであるものが好適に用いられる。
【0083】
(E)高流動性ホモポリプロピレン
本発明で用いることのできる(E)高流動性ホモポリプロピレンは、ASTM D−1238により230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが好ましくは200〜1000g/10min、より好ましくは、220〜800g/10min、さらに好ましくは240〜700g/10minである。(E)高流動性ホモポリプロピレンのMFRが上記範囲内であると、得られる発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRを向上させることができ、ついては、流動性をより向上させることができるため好ましい。
【0084】
その他の成分
本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、その目的を損なわない範囲で、必要に応じて各種添加剤を含有してもよい。添加剤としては、核剤、酸化防止剤、塩酸吸収剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、架橋剤、過酸化物などの流れ性改良剤、ウェルド強度改良剤、天然油、合成油、ワックス等を挙げることができる。
【0085】
発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物
本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の組成は、(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレン、(C)ゴム成分および(D)無機フィラーの合計を100重量部とした場合に、(AB)成分:50〜90重量部、(C)成分:10〜30重量部、(D)成分:0〜20重量部の範囲であり、好ましくは、(AB)成分:48〜87重量部、(C)成分:10〜25重量部、(D)成分:1〜20重量部の範囲であり、
より好ましくは、(AB)成分:45〜85重量部、(C)成分:10〜20重量部、(D)成分:3〜18重量部の範囲である。
【0086】
また、(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレンを(A)インパクトポリプロピレンと(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレンに置き換えた場合の、本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の組成は、(A)インパクトポリプロピレン、(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレン、(C)ゴム成分および(D)無機フィラーの合計を100重量部とした場合に、(A)成分:45〜87重量部、(B)成分:2〜15重量部、(C)成分:10〜30重量部、(D)成分:0〜20重量部の範囲であり、
好ましくは、(A)成分:47〜86重量部、(B)成分:3〜12重量部、(C)成分:10〜25重量部、(D)成分:1〜20重量部の範囲であり、
より好ましくは、(A)成分:52〜82重量部、(B)成分:3〜10重量部、(C)成分:10〜20重量部、(D)成分:3〜18重量部の範囲である。
【0087】
本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、発泡剤を含有しない状態で、ASTM D−1238(230℃、荷重2.16kg)で測定したメルトフローレート(MFR230)が通常30〜200g/10min、好ましくは40〜120g/10min、特に好ましくは50〜100g/10minであると、射出発泡成形に好適であるため望ましく、このような範囲であると成形性に優れ、薄型キャビティを用いた射出発泡成形にも好適に使用できるため望ましい。
【0088】
本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、発泡剤を添加して発泡成形する用途に好適に用いることができ、特に射出発泡成形用途に好適に用いることができる。発泡剤の種類ならびに添加量は、樹脂組成物の組成および発泡成形体の要求物性に応じて、発泡剤からの発生ガス量および望ましい発泡倍率などを考慮して選択される。
【0089】
本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、発泡剤を含有しない状態において、ASTM D−1238(230℃、荷重2.16kg)で測定したメルトフローレート(MFR230)と、180℃でφ2.095mm、長さ8mmのキャピラリから、押出し速度15mm/min、巻取り速度15m/minでストランドを引き取ったときの荷重(g)として測定した溶融張力(MT180)が、下記式(1)〜(3)の関係を満たすことが好ましい。
【0090】
MT180≧5500×(MFR230-2 ・・・(1)
MT180≦30000×(MFR230-2 ・・・(2)
40≦MFR230≦120 ・・・(3)
上記式(1)〜(3)の関係は、後記する実施例と比較例の関係から見出されたものであり(図8)、当該関係を満たす発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、特に本発明における(AB)高分子量成分含有インパクトポリプロピレン中の前述したプロピレン重合体成分(X)の極限粘度[η]もしくは、(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレンの極限粘度[η]が、それぞれ特定の範囲内にある場合に満たされることが認められる。
【0091】
上記式(1)は、好ましくは式(4)、より好ましくは式(5)で表される。
【0092】
MT180≧6000×(MFR230-2 ・・・(4)
MT180≧6500×(MFR230-2 ・・・(5)
また、上記式(2)は、好ましくは式(6)、より好ましくは式(7)で表される。
【0093】
MT180≦28000×(MFR230-2 ・・・(6)
MT180≦25000×(MFR230-2 ・・・(7)
さらに、上記式(3)は、好ましくは式(8)、より好ましくは式(9)で表される。
【0094】
42≦MFR230≦110 ・・・(8)
45≦MFR230≦100 ・・・(9)
発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物が、上記式(1)〜(3)の関係を満たす場合、流動性と溶融張力のバランスが高度に保たれたポリプロピレン樹脂組成物となるため、射出段階では薄いキャビティに充填可能で、かつ発泡段階では安定した発泡セルを高倍率で形成可能な樹脂特性を有する。したがって、当該要件を満たす本願発明にかかる発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、特に射出発泡成形用の樹脂組成物として好適に用いることができる。
【0095】
射出発泡成形体の製造方法
本発明の射出発泡成形体の製造方法では、上述した発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物と、発泡剤とを用いて発泡成形体を製造する。
【0096】
本発明の射出発泡成形体の製造方法で用いられる発泡剤は、特に制限はなく、化学発泡剤であっても物理発泡剤であってもよく、溶剤型発泡剤であっても、分解型発泡剤であっても、また気体状の物理発泡材、およびそれらを組み合わせたものであってもよい。
【0097】
溶剤型発泡剤は、射出成形機のシリンダー部分から一般に注入して溶融原料樹脂に吸収ないし溶解させ、その後射出成形金型中で蒸発して発泡剤として機能する物質である。プロパン、ブタン、ネオペンタン、ヘプタン、イソヘキサン、ヘキサン、イソヘプタン、ヘプタン等の低沸点脂肪族炭化水素や、フロンガスで代表される低沸点のフッ素含有炭化水素等が使用できる。
【0098】
分解型発泡剤は、原料樹脂組成物に予め配合されてから射出成形機へと供給され、射出成形機のシリンダー温度条件下で発泡剤が分解して炭酸ガス、窒素ガス等の気体を発生する化合物である。それは、無機系の発泡剤であっても有機系の発泡剤であってもよく、また気体の発生を促すクエン酸のような有機酸やクエン酸ナトリウムのような有機酸金属塩等を発泡助剤として併用添加してもよい。
【0099】
分解型発泡剤の具体例としては、次の化合物を挙げることができる。
(1)無機系発泡剤:重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム
(2)有機系発泡剤:(a)N−ニトロソ化合物:N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン;(b)アゾ化合物:アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート;(c)スルフォニルヒドラジド化合物:ベンゼンスルフォニルヒドラジド、トルエンスルフォニルヒドラジド、p,p’−
オキシビス(ベンゼンスルフェニルヒドラジド)、ジフェニルスルフォン−3,3’−
ジスルフォニルヒドラジド;(d)アジド化合物:カルシウムアジド、4,4’−ジフェニルジスルフォニルアジド、p−トルエンスルフォニルアジド
気体状の発泡剤としては、通常の物理発泡剤であれば特に問題なく、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、アスタチンなどの不活性ガスが挙げられる。これらの中で、蒸気にする必要が無く、安価で、環境汚染、火災の危険性が極めて少ない二酸化炭素、窒素、アルゴンがもっとも優れている。また、気体状発泡剤は、超臨界状態で用いてもよい。
【0100】
これらの発泡剤は、それ単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。そして、発泡剤は、樹脂組成物に予め配合しておくこともできるし、射出成形する際にシリンダーの途中から注入することもできる。
【0101】
これらの発泡剤の中でも、重炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩または炭酸水素塩が好ましく、その際有機カルボン酸を発泡助剤として併用することが望ましい。炭酸塩または炭酸水素塩と有機カルボン酸との配合比は、炭酸塩または炭酸水素塩が30〜65重量部、有機カルボン酸が35〜70重量部の範囲が好ましい。ここで、両者の合計量が100重量部になる。なお、発泡剤および発泡助剤の使用に当たって、それらを含むマスターバッチを予め作っておき、それを残余の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物に配合する処方をとってもよい。
【0102】
発泡剤の添加量は、製造する発泡成形体の要求性状に応じて、発泡剤からの発生ガス量および望ましい発泡倍率等を考慮して選択されるが、発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.4〜5.0重量部、より好ましくは0.7〜3.0重量部の範囲である。発泡剤の添加量がこのような範囲であると、気泡径が揃い、かつ気泡が均一分散した発泡成形体を得ることができる。
【0103】
本発明の射出発泡成形体の製造方法では、上述した発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物に発泡剤を添加し、射出成形機にて可塑化混練して可塑化樹脂組成物とし、これを射出発泡成形する。ポリプロピレン系樹脂組成物への発泡剤の添加は、射出成形機への供給前に行ってもよく、ポリプロピレン系樹脂組成物を溶融混練している射出成形機中に発泡剤を供給することにより行ってもよい。
【0104】
射出発泡成形は、可塑化樹脂組成物を射出成形機から金型のキャビティへ射出充填し、その後キャビティの容積を増大させて可塑化樹脂組成物を発泡させて発泡成形体を製造することにより行う。
【0105】
射出発泡成形に用いる成形金型は、固定型と可動型とから構成され、これらは可塑化樹脂組成物の射出充填時には型締状態にあることが好ましい。また、キャビティの容積は、可動型を後退(コアバック)させてキャビティを拡開させることにより増大させることができ、特に射出充填後、適度な時間を置いて増大させることが好ましい。以下、図1図2を用いて固定型と可動型からなるキャビティ構造について説明する。
【0106】
可動型2の初期位置(図1)は、固定型1と可動型2とが最も接近した型締め状態にある時の位置であって、1回の成形に使用する発泡性樹脂組成物の溶融体が未発泡の状態で充填される容積とほぼ同等な容積になる場所であって、製品形状に近いキャビティが形成されている。本発明では、固定型1と可動型2の間に形成されるキャビティ3の射出開始時の拡開方向長さ、すなわち射出開始時の金型のキャビティクリアランス(T0)が、好ましくは1.0〜2.0mm、より好ましくは1.0〜1.8mm、さらに好ましくは1.0〜1.5mmの範囲が望ましい。キャビティクリアランス(T0)が1.0mm未満では射出充填するキャビティが狭く、可塑化樹脂組成物の粘度上昇や固化等によりキャビティへ可塑化樹脂組成物を充分に供給、充填できない場合がある。また、充分に充填するために高圧で射出充填すると金型により樹脂が急冷され、コアバックしても充分に発泡せず、発泡不良となるとともに、射出充填圧の高圧化によるバリの発生を押さえるため設備コストが高くなる。
【0107】
金型キャビティへの可塑化樹脂組成物の射出時間は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.7〜5.0s、より好ましくは0.7〜4.0s程度であるのが望ましく、射出完了後に好ましくは0〜3s、より好ましくは0.5〜3sの遅延時間を設け、その後に、キャビティを構成する可動型を好ましくは1〜50mm/s、より好ましくは1〜20mm/sで後退(コアバック)させて、キャビティ容積を拡大することが望ましい(図2)。この遅延時間を設けることによって、スキン層の厚さを制御することができ、遅延時間を長くするとスキン層を厚くすることができ、その結果剛性等の機械的物性を高めることができる。ここで、キャビティ容積の拡大率は、通常1.1〜4.0倍、好ましくは1.5〜3.0倍、より好ましくは2.0〜2.5倍であることが望ましい。
【0108】
また、T0と可動型2後退後のキャビティ3の断面の拡開方向長さ(T1)との比(T1/T0)は1.1〜5.0、好ましくは1.5〜4.0である。T1/T0が1.1未満の場合、未発泡の成形体と同じであり、所望の剛性を得ることができない。
【0109】
コアバック時のコア移動速度は、成形体の厚み、樹脂の種類、発泡剤の種類、金型温度、樹脂温度により異なるが、たとえば、二酸化炭素を物理発泡剤として用い、通常のポリプロピレンを用いた場合、0.5〜30mm/s程度が好ましい。コア移動速度が遅過ぎるとコアバックの途中で樹脂が固化し、充分な発泡倍率が得られず、速すぎるとセルの発生・成長がコアの移動に追随せず、セルが破壊し外観が良好な成形体が得られない。
【0110】
射出する樹脂の温度および金型温度は、成形体の厚み、樹脂の種類、発泡剤の種類・添加量などにより異なるが、ポリプロピレン系樹脂の成形に通常用いられる温度で充分であり、製品厚みが薄いもの、発泡倍率が高いものを得る場合は、通常の金型温度より高めに設定すると良い。具体的には、たとえば、射出する樹脂の温度は、170〜250℃、好ましくは180〜220℃である。また固定型および可動型の金型温度は、10〜100℃、好ましくは30〜80℃である。また金型内圧力は5〜50MPa、好ましくは10〜30MPaである。射出圧力は、通常、10〜250MPa、好ましくは12〜200MPaである。
【0111】
本発明のように、キャビティに一度に樹脂組成物を充填した後、発泡させることにより、金型と接する部分の樹脂が内部の樹脂に比べて早く固化して成形品表面に未発泡のソリッドスキン層が形成し、中心に発泡層を有する射出発泡成形体が得られる。当該射出発泡成形体は、成形品表面に未発泡のソリッドスキン層を有するため、固い製品形状を得、維持することができ、高剛性の成形体を得ることができる。また、成形体内部の発泡層のセル形状、セル密度、発泡倍率に多少の分布が発生しても、スキン層の平滑性と剛性により外観が良好な成形体が得られる。このソリッドスキン層の厚みは特に限定されないが、好ましくは0.1〜0.5mm、より好ましくは0.3〜0.5mmが望ましい。また、中心発泡層の厚みは、好ましくは2〜4mm、より好ましくは1.8〜3.5mmであり、上記厚みのスキン層を形成するためのコアバックのタイミングは、樹脂の種類、発泡剤の種類、金型温度、樹脂温度により異なるが、通常のポリプロピレンを用いた場合には、射出充填完了後から0〜3s程度が好ましく、0.5〜3s程度がより好ましい。射出充填完了後からコアバックまでの時間が、短すぎると充分な厚みのスキン層が生成せず、長すぎると樹脂の固化が進行して、コアバックしても充分な発泡倍率が得られない。
【0112】
発泡倍率は、樹脂温度、射出速度、射出充填終了からコアバック開始までの待ち時間、コアバック量、コアバック速度、コアバック終了後の冷却時間などによって適宜制御することができ、1.5〜3.0倍が好ましい。また、コアバックは、数段階に分けて行うことも可能であり、それによりセル構造や端部形状を制御した成形体が得られる。また、発泡層に限定した発泡倍率は、2〜6倍が好ましく、3〜5倍がより好ましい。
【0113】
また、本発明では、通常の射出成形で用いられるホットランナやシャットオフノズル、バルブゲートなどを利用することもできる。バルブゲートやホットランナは、ランナなど廃樹脂の発生を押さえるだけでなく、発泡成形用プロピレン系樹脂組成物が金型内からキャビティに漏れ出すことにより次サイクルの発泡成形体の不良発生を防止する効果がある。
【0114】
発泡終了後はそのまま冷却して発泡成形体を取り出すこともできるし、僅かに型締めすることにより成形体と金型の接触状態を制御して冷却を促進することで成形サイクルを短縮しつつ、凹みやセル形状の良好な成形品を得ることもできる。
【0115】
本発明の製造方法では、たとえば、厚みが1.2〜5.0mm程度の射出発泡成形体を好適に得ることができる。この射出発泡成形体が独立気泡を有する場合、その平均セル径は、0.01〜1.0mm程度であるが、成形体形状や用途によっては、数mmのセル径であっても、そのセルの一部が連通したものが一部存在してもよい。さらに、上記製造方法で得られる本発明の射出発泡成形体は、可動型後退方向と平行に切断した成形体断面において、発泡層中心部10〜50%の領域で、「ソリッドスキン層に直角のセル直径/ソリッドスキン層に沿ったセル直径」の比が0.7〜1.4であるセルを70%以上含み、残りの発泡層のセルにおいては、「ソリッドスキン層に直角のセル直径/ソリッドスキン層に沿ったセル直径」の比が0.1〜0.9であるセルを60%以上含む。このように、スキン層に沿ってセルが多く存在すると発泡層内のふく射・対流による熱伝導を抑制することが出来るため、成形体の表裏両面間の熱伝導率を低くした成形体とすることができる。
また、発泡倍率が高くなると、複数のセルは共に会合し連通化し、成形体の内部は中空状態になるが、この空洞中に樹脂の支柱が形成されるため、成形体は、高度に軽量化され、強固な剛性を有する。
【0116】
このような発泡成形体は、自動車内外装用部品、ダンボールなどの代替え品、電器製品、建材等の各種用途に好適に用いることができ、特に自動車内装用部品および自動車外装用部品の用途に好適に用いることができる。
【実施例】
【0117】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0118】
[射出発泡成形方法]
以下の実施例および比較例において、射出発泡成形は以下の条件により行った。
・射出成形機 : 宇部興産機械(株)製、MD350S−III型(型締め力350t)
・金型
キャビティサイズ :縦400mm、横200mm、厚さ1.2mm
ゲート:キャビティ中央1点ダイレクトゲート
射出温度 :210℃
金型表面温度 :45℃
射出時間 :1.0s (射出開始から溶融樹脂を射出し終わるまでの時間)
・発泡成形条件
発泡工程終了後の成形型クリアランス:3.0mm
コアバック速度:20mm/s
樹脂充填後の発泡開始遅延時間:0〜1s
射出時金型キャビティクリアランス(L0):1.2mm
[測定、評価方法]
実施例および比較例において、樹脂組成物あるいは得られた成形体の各特性は、以下の方法により測定あるいは評価した。
【0119】
・(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレンの特性
(B)高分子量成分含有ホモポリプロピレン中の(i)成分(135℃、テトラリン中での極限粘度[η]が13.5〜20dl/gのプロピレン単独重合体成分)および(ii)成分(135℃、テトラリン中での極限粘度[η]が0.5〜3.0dl/gのプロピレン単独重合体成分)の重量分率は、重合時に連続的に供給するプロピレンの流量計積算値を用いた物質収支から求めた。また、(B)および(i)成分の極限粘度[η]の測定は、135℃のテトラリン中で行い、(ii)成分の極限粘度[η]2は、下記式により計算した値とした。
【0120】
[η]2=([η]total×100−[η]1×W1)/W2
[η]total:プロピレン重合体全体の極限粘度
[η]1:(i)の極限粘度
1:(i)の重量分率(重量%)
2:(ii)の重量分率(重量%)
なお、[η]の測定は、(株)離合社のVMR−053型自動粘度計を用い、テトラリン溶媒中135℃において測定した。
【0121】
・溶融張力(MT)
溶融張力は、溶融張力測定用アタッチメントを付けたキャピログラフ(東洋精機製 キャピログラフ1B)を使用し、180℃でφ2.095mm、長さ8mmのキャピラリから、押出し速度15mm/min、巻取り速度15m/minでストランドを引き取ったときの荷重(g)を溶融張力(MT180)とした。
【0122】
・流動性(メルトフローレート:MFR)
ASTM D−1238法に基づき、230℃、荷重2.16kgの条件、または、190℃、荷重2.16kgの条件((C)ゴム成分の場合)で測定した。
【0123】
発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRは、発泡剤を含有しない状態で、ASTM D−1238法(230℃、荷重2.16kg)により測定した。
【0124】
ここで、190℃で測定したMFRを、MFR190とし、230℃で測定したMFRをMFR230とした。
【0125】
・(C)ゴム成分の密度
ゴム成分の密度は、ISO−1183(JIS K7112)に準じて測定した。
【0126】
・発泡倍率の定義
発泡前の板厚をt0、発泡後の成形体の板厚tとするとき、板厚比t/t0を発泡倍率とした。
【0127】
・発泡成形体の特性
(1)発泡倍率達成度
2.5倍の発泡倍率が達成したか否かについて、以下の基準で評価した。
A:発泡前の板厚t0=1.2mmのとき、発泡後の成形体の板厚t=3.0mm以上となり、2.5倍の発泡倍率を達成した場合
C:発泡前の板厚t0=1.2mmのとき、発泡後の成形体の板厚t=3.0mm未満となり、2.5倍の発泡倍率が未達成の場合
(2)セル形状
成形品の断面を以下の基準で評価した。
A:破泡の無い独立気泡
B:わずかに破泡による連続気泡あり
C:破泡による連続気泡で発泡層に亀裂あり
(3)平面性
成形体の平面性は成形体を対角線上に切断し、ゲート部から端部の間を4等分したときの分割点3箇所(図4の板厚測定位置参照)の板厚比較を実施して評価した。
A:成形体全面の板厚誤差が±0.2mm未満
B:成形体全面の板厚誤差が±0.2mm以上0.3mm未満
C:成形体全面の板厚誤差が±0.3mm以上
(4)成形性安定性
射出成形による1.2mmの薄肉成形性と射出圧力による成形機への負荷、およびゲートと端部の中間部分における発泡成形体の厚み(図3の板厚測定位置参照)の繰返し安定性により成形性を比較した。
A:成形品にショートショットが発生せず、成形時の射出圧力が射出成形機の最大射出圧力(250MPa)以下、および成形体厚みの繰返し誤差が±0.2mm以下
B:成形品にショートショットが発生せず、成形時の射出圧力が射出成形機の最大射出圧力(250MPa)以下、もしくは成形体厚みの繰返し誤差が±0.2mmを超え0.3mm以下
C:成形品にショートショットが発生、もしくは成形時の射出圧力が射出成形機の最大射出圧力(250MPa)を超える、もしくは成形体厚みの繰返し誤差±0.3mmを超える
[実施例1]
(成分A)MFR230=110g/10min、常温パラキシレン不溶部分(Xinsol)のMFR230=240g/10min、プロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率=97.5%、常温パラキシレン可溶部分(Xsol)=12重量%で、常温パラキシレン可溶部分(Xsol)の[η]=4.0dl/gである、チーグラー・ナッタ系触媒を用いて重合したプロピレン・エチレンブロック共重合体:66重量部、
(成分B−1)高分子量ホモポリプロピレン(135℃、テトラリン中での極限粘度[η]1=16dl/gの成分量19重量%、極限粘度[η]2が0.57dl/gの成分量81重量%、[η]total=3.5dl/g):3重量部、
(成分C−1)シングルサイト触媒で製造された、密度=0.87g/cm3、MFR190=35g/10minの低分子量エチレン・1−ブテン共重合体(EBR)(三井化学社製A−35070S):17重量部、および、
(成分D)微粉末タルク(平均粒径:4.1μm):14重量部を混合し、造粒して発泡成形用樹脂組成物を得た。
【0128】
ここで、前記成分(B−1)は、国際公開第2005/097842号パンフレットに記載の実施例3に記載の重合方法に準拠して、Solvay型三塩化チタン触媒(東ソー・ファインケム社製)をジエチルアルミニウムクロライドと共に用いてプロピレンで予備重合した予備重合触媒を用い、水素非存在下でのプロピレン重合工程と、水素存在下でのプロピレン重合工程とによる二段階の重合で調製したものである。
【0129】
得られた射出発泡用樹脂組成物に、重炭酸ナトリウム・クエン酸ナトリウム系の無機発泡剤を発泡剤濃度が30重量%となるように低密度ポリエチレンに練りこんだ発泡剤マスターバッチ(永和化成工業(株)製ポリスレンEE25C)を、樹脂組成物100重量部に対して6重量部(発泡剤成分としての濃度が1.8重量%となるように)ドライブレンドした後、前記の条件で射出成形し、発泡成形体を得た。この発泡成形体の物性を評価し、その結果を表1に示した。また、得られた発泡成形体の断面写真を図5に示す。
【0130】
[実施例2]
実施例1において、成分(A)の使用量を64重量部、成分(B−1)の使用量を5重量部としたことの他は、実施例1と同様にして発泡成形用樹脂組成物を製造した。次いで、これを用いたことの他は実施例1と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0131】
[実施例3]
実施例1において、成分(A)の使用量を62重量部、成分(B−1)の使用量を7重量部としたことの他は、実施例1と同様にして発泡成形用樹脂組成物を製造した。次いで、これを用いたことの他は実施例1と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0132】
[実施例4]
実施例1において、成分(A)の使用量を60重量部、成分(B−1)の使用量を9重量部としたことの他は、実施例1と同様にして発泡成形用樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物を用い、発泡剤マスターバッチの使用量を樹脂組成物100重量部に対して9重量部としたことの他は実施例1と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0133】
[実施例5]
実施例1において、成分(A)の使用量を61重量部、成分(B−1)の使用量を5重量部とし、成分(C−1)に代えて成分(C−2):シングルサイト触媒で製造されたMFR190=30g/10min、密度=0.87g/cm3のエチレン・オクテン共重合体(EOR)(The Dow Chemical Company製、ENGAGE8407)20重量部を使用したことの他は、実施例1と同様にして発泡成形用樹脂組成物を製造した。次いで、これを用いたことの他は実施例1と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0134】
[実施例6]
実施例5において、成分(A)の使用量を74重量部、成分(D)の使用量を1重量部としたことの他は、実施例5と同様にして発泡成形用樹脂組成物を製造した。次いで、これを用いたことの他は実施例1と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0135】
[実施例7]
実施例6において、成分(A)の使用量を75重量部とし、成分(D)を用いなかったことの他は、実施例6と同様にして発泡成形用樹脂組成物を製造した。次いで、これを用いたことの他は実施例1と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0136】
[実施例8]
実施例1において、成分(A)の使用量を59重量部、成分(B−1)の使用量を4重量部とし、成分(E)の使用量を6重量部としたことの他は、実施例1と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0137】
[実施例9]
実施例8において、成分(A)の使用量を58重量部、成分(D)の使用量を4重量部とし、成分(E)の使用量を17重量部としたことの他は、実施例8と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0138】
[比較例1]
実施例1において、成分(A)の使用量を69重量部とし、成分(B−1)を用いなかったことの他は、実施例1と同様にして発泡成形用樹脂組成物を製造した。次いで、これを用いたことの他は実施例1と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表2に示す。また、得られた発泡成形体の断面写真を図6に示す。
【0139】
[比較例2]
実施例1において、成分(A)の使用量を66重量部とし、成分(B−1)に代えて成分(B−2):(135℃、テトラリン中での極限粘度[η]1=8.1dl/gの成分量が22重量%、極限粘度[η]2=1.0dl/gの成分量が78重量%、[η]total=2.6dl/g)を用いたことの他は、実施例1と同様にして発泡成形用樹脂組成物を製造した。次いで、これを用いたことの他は実施例1と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0140】
[比較例3]
比較例2において、成分(A)の使用量を64重量部とし、成分(B−2)の使用量を5重量部としたことの他は、比較例2と同様にして発泡成形用樹脂組成物を製造した。次いで、これを用いたことの他は実施例1と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0141】
[比較例4]
比較例2において、成分(A)の使用量を60重量部とし、成分(B−2)の使用量を9重量部としたことの他は、比較例2と同様にして発泡成形用樹脂組成物を製造した。次いで、これを用いたことの他は実施例1と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表2に示す。また、得られた発泡成形体の断面写真を図7に示す。
【0142】
[比較例5]
実施例7において、成分(A)の使用量を80重量部とし、成分(B−1)を用いなかったことの他は、実施例7と同様にして発泡成形用樹脂組成物を製造した。次いで、これを用いたことの他は実施例1と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0143】
[比較例6]
実施例1において、成分(A)の使用量を68重量部、成分(B−1)の使用量を1重量部としたことの他は、実施例1と同様にして発泡成形用樹脂組成物を製造した。次いで、これを用いたことの他は実施例1と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0144】
[比較例7]
実施例1において、成分(A)の使用量を49重量部、成分(B−1)の使用量を20重量部としたことの他は、実施例1と同様にして発泡成形用樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物を用い、発泡剤マスターバッチの使用量を樹脂組成物100重量部に対して9重量部としたことの他は実施例1と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0145】
[比較例8]
比較例1において、成分(A)の使用量を70重量部、成分(C−1)の使用量を16重量部としたことの他は、比較例1と同様にして発泡成形用樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物を用い、比較例1と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0146】
[比較例9]
使用する材料を、MFR=71の射出発泡用インパクトポリプロピレン((株)プライムポリマー製、TD026S)とし、比較例8と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0147】
[比較例10]
使用する材料を、MFR=65の射出発泡用インパクトポリプロピレン((株)プライムポリマー製、FX200S)とし、比較例8と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0148】
[比較例11]
使用する材料を、MFR=44の射出発泡用インパクトポリプロピレン((株)プライムポリマー製、FX800)とし、比較例8と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0149】
[比較例12]
使用する材料を、MFR=30のインパクトポリプロピレン((株)プライムポリマー製、J830HV)とし、比較例8と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0150】
[比較例13]
使用する材料を、MFR=40のインパクトポリプロピレン((株)プライムポリマー製、J708UG)とし、比較例8と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0151】
[比較例14]
使用する材料を、MFR=57のインパクトポリプロピレン((株)プライムポリマー製、J709QG)とし、比較例8と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0152】
[比較例15]
使用する材料を、MFR=60のインパクトポリプロピレン((株)プライムポリマー製、J6083HP)とし、比較例8と同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0153】
上記実施例と比較例は以下のような大別ができる。
実施例1〜9、比較例6および7:高分子量成分含有ホモポリプロピレンB−1添加系
比較例2〜4:高分子量成分含有ホモポリプロピレンB−2添加系
比較例1,5,8:高分子量成分含有ホモポリプロピレン無添加系
比較例9〜11:市販発泡用ポリプロピレン
比較例12〜15:市販一般ポリプロピレン
[実施例10]
(成分AB)MFR230=110g/10min、常温パラキシレン不溶部分(Xinsol)のMFR230=240g/10minで、常温パラキシレン不溶部分(Xinsol)中に極限粘度[η]=16dl/gの成分を1.9重量%含み、常温パラキシレン可溶部分(Xsol)=11重量%で、常温パラキシレン可溶部分(Xsol)の[η]=4.5dl/g、であるプロピレン・エチレンブロック共重合体:69重量部、
(成分C−1)シングルサイト触媒で製造された、密度=0.87g/cm3、MFR190=35g/10minの低分子量エチレン・1−ブテン共重合体(EBR)(三井化学社製A−35070S):17重量部、および、
(成分D)微粉末タルク(平均粒径:4.1μm):14重量部を混合し、造粒して発泡成形用樹脂組成物にし、実施例1と同様に成形、評価を行った。結果を表3に示す。
【0154】
ここで、前記成分(AB)は、以下のように重合し製造したものを使用した。
(1)予備重合
内容積5リットルの撹拌機付きの三つ口フラスコを十分に乾燥し窒素ガスで置換した後、脱水処理したヘプタンを4リットル、ジエチルアルミニウムクロライド140グラムを加え市販のSolvay型三塩化チタン触媒(東ソー・ファインケム社製)20gを加えた。内温を20℃に保持し、撹拌しながらプロピレンを連続的に導入した。80分後、撹拌を停止し、固体触媒1g当たり0.8gのプロピレンが重合した予備重合触媒成分を得た。
(2)プロピレン/エチレンブロック共重合
(i)プロピレン重合
内容積10リットルの撹拌機付きステンレス製オートクレーブを十分乾燥し窒素ガスで置換した後、脱水処理したヘプタン6リットルを加えた。続いて、1.3ミリモルのε‐カプロラクトンをトルエン溶液として加えた。
【0155】
次に、系内の窒素をプロピレンで置換し撹拌しながらプロピレンを導入して、内温40℃、全圧0.78MPa‐Gに系内が安定した後、上記予備重合触媒成分を固体触媒換算で0.75グラム含んだヘプタンスラリー50ミリリットルを加えて重合開始とした。プロピレンを10分間連続的に供給した時のプロピレン流量積算値から求めた重合体生成量は50gであり、その少量をサンプリングして分析した結果、極限粘度は16.2dl/gであった。その後、内温を30℃以下にまで降温し撹拌を弱め、脱圧を行った。
【0156】
続いて、内温を60℃として水素を0.25MPa‐G加えて撹拌しながらプロピレンを導入した。全圧0.78MPa‐Gでプロピレンを連続的に供給しながら60℃で3.5時間重合を行った。その後、内温を30℃以下にまで降温し撹拌を弱め、脱圧を行った。
【0157】
この時、重合体の一部をサンプリングして分析した結果、極限粘度は0.98dl/g、MFRは240g/10minであった。
【0158】
(ii)プロピレン/エチレン共重合
次に、内温を57℃として水素を0.01MPa‐G加えて撹拌しながらエチレン/プロピレン混合ガス(エチレン/プロピレンモル比:0.7/1.0)を導入した。全圧0.60MPa‐Gに到達した時点で共重合開始としプロピレン/エチレン混合ガスを連続的に供給した。重合開始1時間経たところで50ミリリットルのメタノールを添加し降温、脱圧した。内容物を全量フィルター付きろ過槽へ移し1−ブタノール100ミリリットルを加え、60℃で1時間撹拌した後に固液分離した。さらに、60℃のヘプタン6リットルで固体部を2回洗浄し、真空乾燥してプロピレン重合体3.0kgを得た。
【0159】
【表1】
【0160】
【表2】
【0161】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明の発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、発泡成形、特に射出発泡成形に好適に用いることができる。本発明の射出発泡成形体は、自動車内外装用部品、ダンボールなどの代替え品、電器製品、建材等の各種用途に好適に用いることができ、特に自動車内装用部品および自動車外装用部品の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0163】
1 固定型
2 可動型
3 キャビティ
4 バルブゲート
5 射出成形機ノズル
6 溶融樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8