【課題を解決するための手段】
【0015】
本目的は、驚くことに、(A)陽性基を含有する少なくとも1種の水分散性有機結合剤を含む、陰極電着塗料の提供を通じて実現され、前記陰極電着塗料は、陰極電着塗料の固形分に基づいて0.005質量%〜0.5質量%の、(B)1以上の酸素含有配位子を有する四価の有機チタン、ジルコニウムまたはハフニウム錯体と混合されたものである。
【0016】
本発明の陰極電着塗料は、電着材料の固形分に基づいて0.005質量%〜0.5質量%、好ましくは0.025質量%〜0.25質量%、より好ましくは0.05質量%〜0.15質量%の、1以上の酸素含有配位子を有する四価の有機チタン、ジルコニウムまたはハフニウム錯体と混合される。
【0017】
陰極電着材料の固形分に基づいて0.005質量%未満の、1以上の酸素含有配位子を有する四価の有機チタン、ジルコニウムまたはハフニウム錯体を使用する場合、本発明のクレーター防止効果は弱すぎる。
【0018】
陰極電着材料の固形分に基づいて0.5質量%超の、1以上の酸素含有配位子を有する四価の有機チタン、ジルコニウムまたはハフニウム錯体を使用する場合、錯体を混合物に均質に組み込むことに関連する困難さと、望ましくないほど高い費用に加えて、膜表面の性質に有害な作用、例えば例として粗さの増加も起こる可能性がある。
【0019】
好ましくは、少なくとも1つの酸素含有配位子は、アルカノラートまたはエノラート、より詳しくはジケトンから誘導されるエノラートである。特に好ましいのは、この酸素含有配位子は二座配位子または多座配位子である。さらにより好ましくは、この配位子はβ−ジケトンから誘導されるエノラートである。非常に特に好ましいのは、この配位子はアセチルアセトナートである。
【0020】
使用される非常に特に好ましい金属錯体(B)は、ジルコニウムアセチルアセトナート、ハフニウムアセチルアセトナートまたはチタンアセチルアセトナートである。
【0021】
金属錯体(B)は、好ましくはジルコニウム錯体またはハフニウム錯体である。非常に多数の対応するジルコニウム錯体を容易に得ることができる。対応するハフニウム錯体は、その特に高い安定性で注目に値する。
【0022】
金属錯体(B)は、さらに少なくとも1種の適した錫含有架橋触媒と混合された陰極電着材料中で使用されることが好ましい。陰極電着材料は、好ましくはジアルキル錫オキシド、より好ましくはジオクチル錫オキシド、さらにより好ましくはジブチル錫オキシドと混合されている。錫含有架橋触媒は、好ましくは通例かつ公知の割合で、一般に、陰極電着材料の固形分に基づいて0.1質量%〜10質量%、好ましくは0.3質量%〜5質量%、より好ましくは0.5質量%〜3質量%の割合で陰極電着材料に添加されている。触媒の割合が少なすぎると、不完全な架橋を引き起こす可能性があり、割合が高すぎると多くの費用がかかり、不十分な結合剤溶解度とともに、ペーストの粉砕性を損なう。
【0023】
本発明の陰極電着材料の固形分含有量は、いずれの場合も本発明の陰極電着材料全体に基づいて好ましくは12質量%〜25質量%、より好ましくは15質量%〜22質量%、より特に好ましくは18質量%〜20質量%である。固形分は、180℃にて30分間乾燥した後の不揮発性物質の質量分率として測定される。
【0024】
本発明の陰極電着材料のpHは、好ましくは4.8〜6.5、より好ましくは5.2〜6.2、より特に好ましくは5.5〜6.0である。公知であり、一般にその目的のために使用される方法を用いて(例えば例として電位差測定法などにより)pHを決定することができる。
【0025】
本発明の陰極電着材料の導電率は、好ましくは0.8〜2.5mS/cm、より好ましくは1.1〜2.3mS/cm、より特に好ましくは1.3〜1.9mS/cmである。公知であり、一般にその目的のために使用される方法を用いて導電率を決定することができる。
【0026】
本発明の陰極電着材料は、陰極電着材料の固形分に基づいて、好ましくは60質量%〜95質量%、より好ましくは75質量%〜90質量%、より特に好ましくは80質量%〜85質量%の、陽性基を含有する少なくとも1種の水分散性有機結合剤(A)を含む。1種類または複数種類の結合剤(A)の選択は原則としていかなる制限も受けない、そのため、原則として陽性基を含有するあらゆる水分散性有機結合剤が適している。
【0027】
好ましくは、少なくとも1種の結合剤(A)は、第一級、第二級、第三級または第四級アミノおよび/またはアンモニウム基を含む。
【0028】
結合剤(A)として、特に好ましいのは、アミン変性エポキシ樹脂を使用することである。
【0029】
適したアミン変性エポキシ樹脂の例は、変性もしくは未変性ポリエポキシドの第一級もしくは第二級アミンの付加物である(例えば、欧州特許第1171530A1号、8頁10行〜9頁2行、および米国特許第5236564号、1頁44行〜3頁49行に記載されている)。
【0030】
適したポリエポキシドの例は、ポリフェノールおよびエピハロヒドリン、より詳しくは、エピクロロヒドリンから得ることのできるポリグリシジルエーテルである。好ましいポリフェノールは、より詳しくは、ビスフェノールAおよびビスフェノールFである。さらに適したポリフェノールは、例えば、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチルフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、およびフェノールノボラック樹脂である。さらに適したポリエポキシドは、例えば例としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセロール、および2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンなどの多価アルコールのポリグリシジルエーテルである。また、例えば例としてシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、および2,6−ナフタレンジカルボン酸などの、ポリカルボン酸のポリグリシジルエステルを使用してもよい。さらに適しているのは、オレフィン性不飽和脂肪族化合物をエポキシ化することにより得られる、ヒダントインエポキシド、エポキシ化ポリブタジエン、およびポリエポキシド化合物である。
【0031】
変性ポリエポキシドは、一部の反応性基が変性剤化合物と反応したポリエポキシドである。変性剤化合物の例としては、以下のものが挙げられる:
a)カルボキシル基を含有する化合物、例えば飽和もしくは不飽和モノカルボン酸(例えば、安息香酸、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸)、様々な鎖長の脂肪族、脂環式および/または芳香族ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸または二量体脂肪酸)、ヒドロキシアルキルカルボン酸(例えば、乳酸、ジメチロールプロピオン酸)、およびまたカルボキシル含有ポリエステルなど、あるいは
b)アミノ基を含有する化合物、例えば第二級アミノ基を有するジエチルアミンまたはエチルヘキシルアミンもしくはジアミンなど、例えば、N,N’−ジアルキルアルキレンジアミン類、例えばジメチルエチレンジアミンなど、N,N’−ジアルキルポリオキシアルキレンアミン類、例えばN,N’−ジメチルポリオキシプロピレンジアミンなど、シアノアルキル化アルキレンジアミン類、例えばN,N’−ビス(シアノエチル)エチレンジアミンなど、シアノアルキル化ポリオキシアルキレンアミン類、例えばN,N’−ビス(シアノエチル)ポリオキシプロピレンジアミン、ポリアミノアミド類、例えばVersamide、例として、より詳しくはジアミンのアミノ末端反応生成物(例えば、ヘキサメチレンジアミン)、ポリカルボン酸、より詳しくは二量体脂肪酸、およびモノカルボン酸、より詳しくは脂肪酸、あるいは、1モルのジアミノヘキサンと2モルのモノグリシジルエーテルもしくはモノグリシジルエステルの反応生成物、特にバーサチック酸などのα分枝脂肪酸のグリシジルエステルなど、あるいは、
c)ヒドロキシル基を含有する化合物、例えばネオペンチルグリコール、ビスエトキシル化ネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート、ジメチルヒダントイン−N,N’−ジエタノール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2、5−ジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,1−イソプロピリデンビス(p−フェノキシ)−2−プロパノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトールなど、またはアミノアルコール、例えばトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンまたはヒドロキシル含有アルキルケチミン、例えばアミノメチルプロパン−1,3−ジオールメチルイソブチルケチミンまたはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンシクロヘキサノンケチミンなど、およびまた、様々な官能価および分子量のポリグリコールエーテル、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、およびポリカプロラクタムポリオール、あるいは
d)ナトリウムメトキシドの存在下でエポキシ樹脂の水酸基とエステル交換する飽和もしくは不飽和脂肪酸メチルエステル。
【0032】
ポリエポキシドを含む付加物を形成するのに適した第一級および/または第二級アミンは、例として、モノおよびジアルキルアミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルブチルアミンなどである。同様に適しているものは、アルカノールアミン、例えば例としてメチルエタノールアミン、ジエタノールアミンなどである。さらに適しているものは、ジアルキルアミノアルキルアミン、例えば例としてジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミンなどである。大抵の場合、低分子量アミンが使用されるが、それよりも分子量の大きいモノアミンを用いることも可能である。また、アミンはその他の基も同様に含んでもよいが、これらの基はアミンとエポキシド基の反応を妨害するべきでなく、また反応混合物のゲル化を引き起こすべきでない。ポリエポキシドを含む付加物を形成するためには、第二級アミンを使用することが好ましい。
【0033】
電着に必要とされる電荷は、水溶性の酸(例えば、ホウ酸、ギ酸、乳酸、酢酸)によるプロトン化により生成することができる。
【0034】
陽性基を導入するためのもう一つの可能性は、エポキシド基とアミン塩の反応である。
【0035】
アミン変性エポキシ樹脂は、外部架橋する合成樹脂として使用してもよく、自己架橋する合成樹脂として使用してもよい。自己架橋する合成樹脂は、例として、アミン変性エポキシ樹脂の化学修飾により、例として、アミン変性エポキシ樹脂と、部分ブロック化ポリイソシアネート(平均して1分子あたり1つの遊離イソシアネート基を有し、そのブロック化イソシアネート基は高温下でのみ非ブロック化される)を反応させることにより、得ることができる。
【0036】
結合剤として、外部架橋するアミン変性エポキシ樹脂を適した架橋剤と組み合わせて使用することが好ましい。適した架橋剤の例は、フェノール樹脂、多官能性マンニッヒ塩基、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、およびブロック化ポリイソシアネートである。ブロック化ポリイソシアネートは、結合剤中の架橋剤として使用されることが好ましい。
【0037】
本発明の陰極電着材料は、電着材料の固形分に基づいて、好ましくは18質量%〜28質量%、より好ましくは22質量%〜27質量%、より一層特に好ましくは24質量%〜26質量%の少なくとも1つのブロック化(ポリ)イソシアネートを架橋剤として含む。
【0038】
使用することのできるブロック化ポリイソシアネートは、イソシアネート基が化合物と反応したポリイソシアネートであり、そのため、ヒドロキシル基およびアミン基に関して、形成されたブロック化ポリイソシアネートは室温で安定しているが、高温下で、一般に約90℃〜約300℃の範囲で反応する。ブロック化ポリイソシアネートの調製において、架橋に適した望ましい有機ポリイソシアネートを使用することが可能である。約3〜36個、より特に約8〜約15個の炭素原子を含有するイソシアネートが好ましい。適したジイソシアネートの例は、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレン2,4−ジイソシアネート、トリレン2,6−ジイソシアネート、および1−イソシアナトメチル−5−イソシアナト−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンである。より高いイソシアネート官能価を有するポリイソシアネートも使用してもよい。そのような例は、三量化ヘキサメチレンジイソシアネートおよび三量化イソホロンジイソシアネートである。ポリイソシアネートの混合物もさらに使用することができる。本発明の状況において架橋剤として適している有機ポリイソシアネートはまた、例えば、ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールを含むポリオールから誘導されるプレポリマーであってもよい。
【0039】
ポリイソシアネートをブロック化するために、あらゆる所望の適した脂肪族、脂環式または芳香族アルキルモノアルコールを使用することが可能である。そのような例は、脂肪族アルコール、例えばメチル、エチル、クロロエチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、3,5,5−トリメチルヘキシル、デシル、およびラウリルアルコールなど;シクロ脂肪族アルコール、例えばシクロペンタノールおよびシクロヘキサノールなど;ならびに芳香族アルキルアルコール、例えばフェニルカルビノールおよびメチルフェニルカルビノールである。
【0040】
その他の適したブロック化剤は、ヒドロキシルアミン、例えばエタノールアミンなど、オキシム、例えばメチルエチルケトンオキシム、アセトンオキシム、およびシクロヘキサノンオキシムなど、またはアミン、例えばジブチルアミンおよびジイソプロピルアミンである。上記の部分ブロック化ポリイソシアネートの調製のために、述べられたポリイソシアネートおよびブロック化剤を所与の適切な割合で使用することもできる。
【0041】
非常に特に好ましいのは、
i)1)ホスフィンおよび/またはホスフィン塩を触媒として添加して、a)ジエポキシド化合物またはジエポキシド化合物の混合物およびb)モノフェノール、ジフェノールまたはモノフェノールとジフェノールの混合物から調製できる前駆体と
2)1以上の有機アミンを、60〜130℃に低下させた添加温度で反応させて、エポキシド−アミン付加物を得ること、
ii)続いてまたは同時に、成分a)およびb)の反応において形成されていた第二級ヒドロキシル基を、段階i)で調製したエポキシド−アミン付加物のエポキシド基と110〜150℃の温度で反応させること、
iii)1種類の架橋剤または様々な架橋剤の混合物を150℃より低い温度で添加すること、
iv)中和させること、ならびに
v)段階i)〜iv)で得た混合物を水中に分散させること、
により得られる、水性結合剤分散体中に存在する少なくとも1種の結合剤(A)を使用することである。
【0042】
この結合剤分散体は、欧州特許第0691797B1号に記載されている。
【0043】
本発明の陰極電着材料は、さらなる添加剤、例えば、例として、架橋剤、顔料、可塑剤、充填剤、および湿潤剤などを含んでもよい。より詳しくは、本発明の陰極電着材料は、1以上の架橋剤および/または1以上の顔料を含んでもよい。
【0044】
本発明の陰極電着材料は、電着材料の固形分に基づいて、好ましくは5質量%〜40質量%、より好ましくは10質量%〜25質量%、より好ましくは15質量%〜20質量%の少なくとも1種の顔料を含む。
【0045】
適した顔料の例は、例として、白色顔料、例えば二酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、およびケイ酸マグネシウムなど、または黒色顔料、例えばカーボンブラックなど、あるいは有色顔料である。有色顔料としては、例として、無機有色顔料、例えば酸化鉄または酸化クロムなど、および有機有色顔料、例えばアゾ顔料、トリフェニルメタン顔料、インジゴイド顔料、金属錯体顔料、イソインドリノン、アントラキノン、ペリレンおよびペリノン顔料、ジオキサジン顔料、キノフタロン、ジケトピロロピロールまたはピラゾロキナゾロン顔料などが例として挙げられる。
【0046】
本発明は本発明の陰極電着塗料を調製するための方法をさらに提供する。本発明の陰極電着塗料は、i)陽性基を含有する少なくとも1種の水分散性有機結合剤(A)を水溶液中に分散させて、水性結合剤分散体を得ること、ii)水性結合剤分散体と(B)陰極電着塗料の固形分に基づいて0.005質量%〜0.5質量%の、1以上の酸素含有配位子を有する四価の有機チタン、ジルコニウムまたはハフニウム錯体を混合すること、およびiii)所望であれば、さらなる添加剤を導入すること、により調製することができる。段階i)〜iii)の順序は必須ではない。本発明の方法は、上記の本発明の電着材料の実施形態のいずれかを調製するために使用してもよい。
【0047】
顔料は、好ましくは顔料ペーストの形態で攪拌しながら水性結合剤分散体に組み込まれる。顔料ペーストの調製は、一般知識であり、例として欧州特許第0505445B1号に記載されている。
【0048】
本発明は、本発明の陰極電着塗料の使用をさらに提供する。本発明の陰極電着塗料は、陰極電着塗装によって導電性の基材を塗装するために使用することができる。本発明の陰極電着塗料は、好ましくは金属基材、例えば例として鋼、アルミニウム、銅、それらの合金などの基材を塗装するため;より好ましくはリン酸化金属基材を塗装するため;さらにより好ましくはリン酸化鋼を塗装するため;ならびに、非常に特に好ましくは、自動車の車体またはその部品を塗装するために使用される。
【0049】
適した金属基材の例は、鋼、アルミニウム、銅、様々な金属の合金などの基材である。鋼基材を使用することが好ましい。特に好ましいものは、リン酸化金属基材、より詳しくはリン酸化鋼の基材を使用することである。リン酸化金属基材は、適切な化学的前処理によってリン酸塩を含有する無機転化皮膜(inorganic conversion coats)を与えられた金属基材である。特に好ましいこのような基材は、自動車の車体またはその部品である。
【0050】
したがって、本発明は、本発明の陰極電着塗料で塗装された基材、より詳しくは金属基材、例えば例として鋼、アルミニウム、銅、それらの合金などの基材など、好ましくはリン酸化金属の基材、より詳しくはリン酸化鋼の基材をさらに提供する。本発明の陰極電着塗料で塗装された自動車の車体またはその部品が非常に特に好ましい。
【0051】
したがって、本発明は、本発明の陰極電着塗料で塗装された金属基材を製造するための方法をさらに提供する。好ましくは、金属基材は最初にリン酸化され、その後に本発明の陰極電着塗料を用いる陰極電着塗装方法で塗装される。
【0052】
リン酸化は、公知の慣行法により行ってもよい。例えば、リン酸鉄処理またはトリカチオンリン酸亜鉛処理を用いてもよい。金属基材、より詳しくは鋼基材は、リン酸亜鉛化されることが好ましい。
【0053】
電着浴の温度は、一般に15〜40℃の間、好ましくは25〜35℃の間であるべきである。印加電圧は広い範囲内で変動してもよく、例として50〜500ボルトの間であってもよい。しかし、一般に250〜400ボルトの間の電圧で作動する。付着の後、被塗物をすすぐと焼き付けされる状態である。付着した塗料膜は、一般に130〜220℃の温度で8〜60分間にわたって、好ましくは150〜180℃で12〜30分間にわたって焼き付けられる。
【0054】
本発明は以下の実施例において説明される。明示的に別に記述されない限り、部および百分率への言及は全て重量による。