(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体のナトリウム(Na)アイオノマーおよびマグネシウム(Mg)アイオノマーから選ばれるエチレン系アイオノマー(A)と、ダイマー酸(B)とを含むゴルフボール材料用アイオノマー組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のゴルフボール材料用アイオノマー組成物及びこれを用いたゴルフボールについて詳細に説明する。
【0014】
<ゴルフボール材料用アイオノマー組成物>
本発明のゴルフボール材料用アイオノマー組成物は、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体のナトリウム(Na)アイオノマー、およびエチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体のマグネシウム(Mg)アイオノマーから選ばれるエチレン系アイオノマー(A)と、ダイマー酸(B)とを用いて構成され、必要に応じて、さらに添加剤等の他の成分が含有されてもよい。
【0015】
本発明においては、エチレン系アイオノマーとして、特にNa又はMgで中和されたアイオノマーを用い、これにダイマー酸を用いた構成にすると、亜鉛(Zr)中和アイオノマー等に比べ、曲げ剛性などに代表される機械的特性を大きく損なうことなく、成形時などに求められる流動性が著しく高められる。これにより、成形加工がより容易に行なえ、成形物の強度不足が懸念されることもない。
【0016】
[(A)エチレン系アイオノマー]
本発明のゴルフボール材料用アイオノマー組成物(以下、単に「アイオノマー組成物」ともいう。)は、エチレン系アイオノマーの少なくとも一種を含有する。本発明におけるエチレン系アイオノマーは、エチレン由来の構成単位、及びα,β−不飽和カルボン酸に由来の構成単位を有するエチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体の、酸基の少なくとも一部が、Na(ナトリウム)イオンまたはMg(マグネシウム)により中和された樹脂である。
同じアイオノマーであっても、Zn(亜鉛)などの他の金属イオンで中和されたアイオノマーであると、本発明の目的を達成するには不充分である。
【0017】
エチレン系アイオノマーのベースポリマーとなる前記エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体において、α,β−不飽和カルボン酸から導かれる構成単位の含有割合は1〜35質量%の範囲が好ましく、より好ましくは10〜20質量%の範囲である。また、エチレンから導かれる構成単位の含有割合としては、99〜65質量%の範囲が好ましく、より好ましくは90〜80質量%の範囲である。
【0018】
本発明におけるエチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸の二元共重合体のみならず、任意に他の単量体がランダム共重合された多元共重合体であってもよい。
【0019】
α,β−不飽和カルボン酸から導かれる構成単位の含有割合が1質量%以上であることは、この構成単位を積極的に含むことを意味し、α,β−不飽和カルボン酸の含有により透明性や金属接着性が良好になる。α,β−不飽和カルボン酸から導かれる構成単位の含有割合が35質量%以下であると、実用的な耐熱性を維持できる。
【0020】
前記α,β−不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステルなどが挙げられ、特に、アクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
【0021】
本発明において、エチレン系アイオノマーとしては、入手のしやすさの点から、エチレン・アクリル酸共重合体のNaまたはMgアイオノマー、及びエチレン・メタクリル酸共重合体のNaまたはMgアイオノマーが好ましい。具体的には、エチレン・アクリル酸共重合体のNaアイオノマー、エチレン・メタクリル酸共重合体のNaアイオノマー、エチレン・アクリル酸共重合体のMgアイオノマー、エチレン・メタクリル酸共重合体のMgアイオノマーを特に好ましい例として挙げることができる。
【0022】
本発明におけるアイオノマーが、エチレン及びα,β−不飽和カルボン酸に加えて更に他の単量体が共重合された多元共重合体である場合、共重合されてもよい他の単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル等のα・β−不飽和カルボン酸エステル、一酸化炭素などを例示することができる。
これらの単量体は、エチレン系アイオノマーの全質量に対して、例えば、0質量%超えて30質量%以下、好ましくは0質量%超えて20質量%以下、更に好ましくは、0質量%超えて10質量%以下の範囲で共重合されていてもよい。
【0023】
前記α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、不飽和カルボン酸の炭素原子数1〜8のアルキルエステル、例えばアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、エタクリル酸アルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、フマル酸アルキルエステル、マレイン酸アルキルエステル、マレイン酸モノアルキルエステル、無水マレイン酸アルキルエステル、イタコン酸アルキルエステル及び無水イタコン酸アルキルエステルが挙げられる。これらのα,β−不飽和カルボン酸エステルから導かれる構成単位を含むと、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体の柔軟性が向上するので好ましい。
【0024】
前記アルキルエステルのアルキル部位としては、炭素原子数1〜12のものを挙げることができ、より具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、セカンダリーブチル、2−エチルヘキシル、イソオクチル等のアルキル基を例示することができる。中でも、アルキル部位の炭素原子数が1〜8のアルキルエステルが好ましい。
前記α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、特に、アクリル酸又はメタクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、ノルマルブチルエステル、イソブチルエステルが好ましい。
【0025】
本発明において、特に好ましいエチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体としては、エチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル共重合体であり、とりわけエチレン・(メタ)アクリル酸・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリル酸ノルマルブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸・メタクリル酸エチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸・メタクリル酸ノルマルブチル共重合体、エチレン・メタアクリル酸イソブチル共重合体が挙げられる。
【0026】
アイオノマーは、理論的には、共重合体中のカルボキシル基の100%以下の範囲でナトリウム(Na)又はマグネシウム(Mg)の金属イオンによって中和される。通常は、80%以下、好ましくは10〜80%を、更には15〜60%をNaまたはMgの金属イオンで中和されたものが好適である。
また、本発明におけるエチレン系アイオノマーは、後述するダイマー酸との組成物になった場合の成形加工性、機械的強度などの観点から、JIS K7210−1999に準拠した190℃、2160g荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.001〜50g/10分であるものが好ましく、特には0.005〜30g/10分のものが好ましい。
【0027】
前記エチレン系アイオノマーのベースポリマーであるエチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体は、各重合成分を高温、高圧下にラジカル共重合することによって得ることができる。
【0028】
前記エチレン系アイオノマー(A)は、α,β−不飽和カルボン酸から導かれる構成単位の含有割合が異なるものや中和度の異なるものを複数併用してもよく、更には金属種の異なるもの、即ちナトリウムとマグネシウムを併用しても構わない。また別には、本発明の目的を損なわない範囲で、亜鉛等のナトリウムとマグネシウム以外の他の金属種のエチレン系アイオノマーと併用しても構わない。
【0029】
[(B)ダイマー酸]
本発明のゴルフボール材料用アイオノマー組成物は、ダイマー酸の少なくとも1種を含有する。ダイマー酸は、不飽和脂肪酸の2分子又はそれ以上の分子が重合反応して得られる多価カルボン酸であって、通常2種類以上の混合物として得られ、混合物として各種の用途に供されている。また、ダイマー酸は、(好ましくは炭素原子数8〜22の)直鎖状又は分岐状の不飽和脂肪酸を二量化することによって得られるものであり、その誘導体も含まれる。
【0030】
ダイマー酸を前記エチレン系アイオノマー(A)とともに含有することにより、アイオノマーの機械的強度を損なわずに、流動性が大幅に向上する。
【0031】
ダイマー酸の誘導体としては、水素添加物などを挙げることができる。具体的には、前記ダイマー酸に水素化、別の表現では水素添加反応(水添ともいう)を付与して、含有される不飽和結合を還元した水添ダイマー酸などが使用できる。
【0032】
ダイマー酸は、例えば、3−オクテン酸、10−ウンデセン酸、オレイン酸、リノール酸、エライジン酸、パルミトレイン酸、リノレン酸、あるいはこれらの2種以上の混合物等を、あるいは工業的に入手可能なこれら不飽和カルボン酸の混合物であるトール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、パーム油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸などを原料としたものであってもよい。ダイマー酸としては、モノマー酸やトリマー酸を少量含有するものであってもよい。
【0033】
従来から、ダイマー酸は通常、モンモリロナイト系白土を触媒として用い、トール油脂肪酸などの不飽和脂肪酸を高温下で二量化して製造することができる。
【0034】
ダイマー酸の例として、下記構造式(1)で表される鎖状ダイマー酸が挙げられる。
【0036】
前記構造式(1)で表される鎖状ダイマー酸のほかに、下記構造式(2)又は(3)で表される環状ダイマー酸を含む混合物などが得られる。
【0039】
工業的に入手可能なダイマー酸としては、例えば、ハリダイマー200、300(ハリマ化成(株)製)、ツノダイム205、395(築野食品工業(株)製)、エンポール1026、1028、1061、1062(コグニス(株)製)、水素化ダイマー酸として例えば、Dimer acid hydrogenated(ALDRICH社製)、エンポール1008、1012(コグニス(株)製)などが挙げられる。
【0040】
これらのダイマー酸の中で、水素化ダイマー酸は、実質的に不飽和結合を有していない。このため、不飽和結合の存在に基づく熱や光に対する不安定性は小さいと予想される。したがって、極めて高い熱や光強度の強い環境下では、アイオノマー組成物に対する劣化や変色の可能性がより小さくなると期待できる。ここで、「実質的に不飽和結合を有しない」とする判断基準の一例として、ヨウ素価がある。ヨウ素価は、分子中における不飽和結合の量が前記の悪影響を起こしても実用上無視できる点で、50以下、好ましくは30以下、特に好ましくは15以下の値が好ましい。
【0041】
本発明において、アイオノマー及びダイマー酸の合計量100質量部に対するダイマー酸の含有比率は、0.1〜50質量部の範囲が好ましい。ダイマー酸の含有比率が0.1質量部以上であることは、ダイマー酸を積極的に含むことを示し、アイオノマーの流動性が向上する。また、ダイマー酸の含有比率が50質量部以下であると、アイオノマーの流動性を高めながら、ブリードアウト(滲み出し)の発生を抑えることができる。ブリードアウト(滲み出し)の発生を回避しながら、アイオノマーの流動性を高める観点から、ダイマー酸の含有比率は、1〜40質量部の範囲がより好ましい。中でも、アイオノマー及びダイマー酸の合計量100質量部に対するダイマー酸の含有比率としては、1〜30質量部の範囲がより好ましく、1〜25質量部の範囲がさらに好ましい。ダイマー酸の含有比率を30質量部以下に抑えることで、ブリードアウト(滲み出し)の発生がより効果的に防止されると共に、透明で流動性に優れたアイオノマーを得ることができる。同様の理由から、ダイマー酸の含有比率は、さらに1〜20質量部の範囲が好ましく、特に1〜15質量部の範囲が好ましい。
更には、ダイマー酸の含有比率の下限値は、曲げ剛性の向上効果が大きい点で、2質量%、特には5質量%が望ましい。
【0042】
[他の成分]
本発明のアイオノマー組成物には、更に、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、熱安定剤、滑剤、ブロッキング防止剤、可塑剤、粘着剤、無機充填剤、ガラス繊維、カーボン繊維などの強化繊維、顔料、染料、難燃剤、難燃助剤、発泡剤、発泡助剤などを含有してもよい。また、帯電防止剤を配合することもできる。
【0043】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2−カルボキシベンゾフェノン、及び2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系;2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジt−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、及び2−(2’−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系;フェニルサリチレート及びp−オクチルフェニルサリチレートなどのサリチル酸エステル系のものが挙げられる。
前記光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系のものが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、各種ヒンダードフェノール系やホスファイト系のものが挙げられる。
【0044】
<ゴルフボール>
本発明に係るゴルフボールは、上述したゴルフボール材料用アイオノマー組成物をゴルフボールの表皮材、中間層、コア材のいずれか、又は全てを構成する材料として保有する。
【0045】
本発明に係るゴルフボールは、糸巻きボールであってもソリッドボールであってもよい。ソリッドボールとしては、ワンピースボール、ツーピースボールの他、3ピース、4ピースなどのマルチピースボールであってもよい。本発明に係るゴルフボールを製造する方法は、特に限定されず、常法に従い、射出成形や加圧成形などの方法を適宜採用することができる。
【0046】
本発明に係るゴルフボール材料用アイオノマー組成物は、表皮材のほかにも、中間層、コア材などの全てに適用可能である。その際、本発明に係るゴルフボール材料用アイオノマー組成物は、流動性が高く、ブリードアウトも抑えられているため、成形時にブリードアウト物が引き起こす発煙現象が防止される。さらに、表皮材の薄肉化に伴なうキャビティー容積の小さい成形でも、低い背圧で偏りなく均一に成形することが可能である。また、金型汚染を抑えることができるので、長時間に亘る連続成形が可能である。
【0047】
本発明に係るゴルフボール材料用アイオノマー組成物は、アイオノマー本来の物性を保持しているため、反発弾性や剛性、耐摩耗性などの機械的特性に優れている。このようなアイオノマー組成物を表皮材、中間層、コア材のいずれか又は全てを構成する材料とするゴルフボールは、剛性、反発性、耐久性に優れることが期待される。
【実施例】
【0048】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0049】
以下に示す材料を用意した。
[アイオノマー]
・アイオノマー1:
エチレン・メタクリル酸共重合体(メタクリル酸由来の構成単位=15質量%)の亜鉛アイオノマー(中和度:59%、MFR(JIS K7210-1999に準拠(190℃、2160g荷重)):0.9g/10分)
・アイオノマー2:
エチレン・メタクリル酸共重合体(メタクリル酸由来の構成単位=15質量%)のナトリウムアイオノマー(中和度:54%、MFR(JIS K7210-1999に準拠(190℃、2160g荷重)):0.9g/10分)
・アイオノマー3:
エチレン・メタクリル酸共重合体(メタクリル酸由来の構成単位=15質量%)のマグネシウムアイオノマー(中和度:54%、MFR(JIS K7210-1999に準拠(190℃、2160g荷重)):0.7g/10分)
【0050】
[ダイマー酸]
・ダイマー酸1:
Dimer acid hydrogenated(ALDRICH社製、平均分子量Mn:〜570、モノマー酸含有量:0.1質量%未満、トリマー酸含有量:0.1質量%未満、ヨウ素値:10未満、密度0.95g/ml(25℃)、酸価(acid number):194〜198mg KOH/g)
【0051】
(実験例1〜3)
用意したアイオノマー1〜3のそれぞれに、アイオノマー100質量部に対して下記表1に示す量となるようにダイマー酸1を配合し、ラボプラストミル混練機(ツインスクリュー;東洋精機社製)にて、180℃、回転数50min
−1で10分間混合した。
混合して得られたアイオノマー組成物について、以下の評価を行なった。評価結果は、下記の表1及び
図1〜
図3に示す。
【0052】
(評価)
<1.流動性>
混合後、メルトフローレート(MFR)を測定し、流動性の指標とした。このとき、MFRは、JIS K7210−1999に準拠した方法により190℃、荷重2160gにて測定した。測定結果を下記表1に示す。MFRは、ダイマー酸を配合しない系の測定値を100に規格化し、各配合量でのMFRをこれに対する相対比で示した。
【0053】
<2.曲げ剛性率>
次に、得られた混合物を、加熱プレス(160℃)にてシート状にプレス成形し、150mm×150mm×2mmのプレスシート(サンプルシート)を得た。このサンプルシートを用い、曲げ剛性率(オルゼン式に準拠)を測定した。オルゼン式の曲げ剛性率は、JIS K7106に準拠した方法で測定した。測定結果を下記表1に示す。曲げ剛性率は、ダイマー酸を配合しない系の測定値を100に規格化し、各配合量での曲げ剛性率をこれに対する相対比で示した。
【0054】
【表1】
【0055】
前記表1及び
図1〜
図3に示すように、ダイマー酸をNa中和またはMg中和されたエチレン系アイオノマーと共に含有する本発明では、従来の組成に比べ、高い曲げ剛性率を達成しながら、良好な流動性を確保することができた。また、ダイマー酸のブリードアウトも認められなかった。
特に本発明では、
図2〜
図3に示すように、亜鉛中和のアイオノマーを用いた場合(
図1の実験例1参照)に比べ、ダイマー酸の混合による流動性の改善効果が大きく、ダイマー酸の添加比率が2質量%以上、更には5質量%以上になるとその効果はより顕著であり、
図1に示す実験例1のように曲げ剛性を大きく損なうこともなかった。
【0056】
上記実施例では、エチレン系アイオノマー(A)として前記アイオノマー2,3を、ダイマー酸(B)としてDimer acid hydrogenatedを用いた場合を中心に説明したが、これ以外の既述のエチレン系アイオノマー、ダイマー酸を用いた場合にも同様の結果が得られる。