【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を含む眼鏡レンズデザインを計算あるいは最適化するための方法、請求項16の特徴を含む眼鏡レンズデザインを計算あるいは最適化するための装置、請求項17の特徴を含むコンピュータプログラムプロダクト、請求項18の特徴を含む記憶媒体、請求項19の特徴を含むプログレッシブ眼鏡レンズを形成するための方法、請求項21の特徴を含むプログレッシブ眼鏡レンズを形成するための装置、請求項22の特徴を含むコンピュータプログラムプロダクト、請求項23の特徴を含む記憶媒体、および、請求項24の特徴を含む眼鏡レンズの使用によって解決される。好ましい実施形態が、従属請求項の主題となっている。
【0007】
本発明の一態様によれば、提案されるプログレッシブ眼鏡レンズのためのデザインを生成あるいは計算するためにコンピュータで実行される方法において、
− 主線を特定するステップと、
− 主線に沿う目標非点収差値A(u=0,y)を特定するステップと、
− 少なくとも1つのベース目標等非点収差線の経路を特定するステップであって、ベース目標等非点収差線の経路が、u
G(y)=f(y)の形式の一次関数によって表される、ステップと、
− 主線上の目標非点収差値A(u=0,y)とベース目標等非点収差線上の目標等非点収差値A(u
G(y),y)との間の補間によって計算されるべきデザインの目標非点収差値A(u,y)の空間分布を計算するステップと、
を備え、ここで、
uが、眼鏡レンズデザインの点(u,y)の主線からの水平距離を示し、
yが、眼鏡レンズデザインの点(u,y)の垂直座標を示し、
u
G(y)が、ベース目標等非点収差線上の点(u
G(y),y)の主線からの水平距離を示す、
方法が提供される。
【0008】
本発明のさらなる態様によれば、提案されるプログレッシブ眼鏡レンズのためのデザインを生成あるいは計算するためにコンピュータで実行される方法において、
− 開始デザインを定めるステップであって、該開始デザインは、
− 主線の仕様と、
− 主線に沿う目標非点収差値A(u=0,y)のための仕様と、
− 少なくとも1つのベース目標等非点収差線の経路のための仕様であって、ベース目標等非点収差線の経路が、u
G(y)=f(y)の形式の一次関数によって表される、仕様と、を備える、ステップと、
− 開始デザインを変換するステップであって、開始デザインを変換するステップは、
− ベース目標等非点収差線の経路を変更することu
G(y)→u’
G(y)と、
− 主線上の目標非点収差値A(u=0,y)と変更されたベース目標等非点収差線上の目標等非点収差値A(u’
G(y),y)との間の補間によって計算されるべきデザインの目標非点収差値A(u,y)の空間分布を計算することと、を含む、ステップと、
を備え、ここで、
uが、眼鏡レンズデザインの点(u,y)の主線からの水平距離を示し、
yが、眼鏡レンズデザインの点(u,y)の垂直座標を示し、
u
G(y)が、ベース目標等非点収差線上の点(u
G(y),y)の主線からの水平距離を示し、
u’
G(y)が、変更されたベース目標等非点収差線上の点(u
G(y),y)の主線からの水平距離を示す、
方法が提供される。
【0009】
プログレッシブ眼鏡レンズの最適化は、通常、プログレッシブ眼鏡レンズの少なくとも1つの収差(特に、非点収差偏差のための目標値)のための所望値または目標値が考慮に入れられる目的関数を最小にすることによって行われる。 目的関数において考慮に入れられる少なくとも1つの収差、特に非点収差偏差は、眼鏡レンズのデザインを特徴付ける。
【0010】
例えば、プログレッシブ眼鏡レンズのデザインベースの最適化は、以下の形式の目的関数を最小にすることにより行われ得る。
【数1】
【0011】
上記式において、
ΔR
i,targetは、i番目の評価点における局所屈折誤差の目標値であり、
ΔR
iは、i番目の評価点における実際の局所屈折誤差であり、
Ast
i,targetは、i番目の評価点における局所非点収差偏差または局所非点収差誤差の目標値であり、
Ast
iは、i番目の評価点における実際の局所非点収差偏差または実際の局所非点収差誤差であり、
g
i,ΔRは、i番目の評価点における屈折誤差の局所重み付けであり、
g
i,Astは、i番目の評価点における非点収差偏差または非点収差誤差の局所重み付けである。
【0012】
屈折誤差は、眼鏡レンズの屈折力と、屈折能測定により決定される屈折力との差を表している。非点収差偏差または非点収差誤差は、眼鏡レンズの非点収差と、屈折能測定によって決定される非点収差との差を表している。好ましくは、これらは、眼鏡レンズの着用位置における値、すなわち、眼鏡レンズ/眼の系を考慮に入れる値である。
【0013】
収差ΔR
iおよびΔR
i,target、並びにAst
iおよびAst
i,targetの空間分布は、ΔR(x,y)およびΔR
target(x,y)、並びにAst(x,y)およびAst
target(x,y)の形式でそれぞれ示すことができる。
【0014】
ここで、座標系は、例えば、(物体側または眼側において)最適化されるべき眼鏡レンズの表面における座標系に関連しており、座標系の原点は、(未加工の円形の)眼鏡レンズの幾何学的中心、または、眼鏡レンズの心取りあるいは取付点と一致していてもよい。垂直(「y」)および水平(「x」)軸は、幾何学的中心または心取りあるいは取付点において、眼鏡レンズのそれぞれの(眼側または物体側)表面に対する接平面内に位置している。垂直方向は、眼鏡レンズの着用位置における垂直方向に関連することが好ましい。この場合、眼鏡レンズは、例えば(例えばDIN 58 208 part 2に定められるような)平均着用位置または個々の着用位置に配置される。眼鏡レンズは個々の着用位置に配置されるのが好ましい。無論、他の適した座標系で収差の空間分布を示すこともできる。特に、y軸(x=0)に関してではなく、主線(主線ではu=0が成り立つ)に関して最適化されるべき表面の座標系によって、すなわち、ΔR(u,y)、ΔR
target(u,y)、Ast(u,y)、および、Ast
target(u,y)の形式によって最適化値を示すことが好ましい。目標値または最適化目標値が主線に関して特定される場合には、考慮に入れられるべき眼鏡レンズの着用位置が変えられるとき、特に瞳孔間距離、角膜頂点間距離、前傾、物体距離モデル等が変えられるときに、変えられた主視線に対して主線を適合させるだけで十分である。その結果、目標値または最適化目標値が自動的に調整される。
【0015】
眼鏡レンズの最適化において目標値として考慮に入れられる、眼鏡レンズにわたる収差の目標値(特に非点収差偏差Ast
i,targetまたはAst
target(x,y)またはAst
target(u,y))、および随意的には収差の局所重み付け(g
i,R、g
i,ΔR)の空間分布は、プログレッシブ眼鏡レンズのデザインを特徴付ける。言い換えれば、眼鏡レンズのデザインは、通常、眼鏡レンズの最適化において目標値として考慮に入れられる1つまたは2つ以上の収差のための目標値(特に非点収差偏差Ast
i,targetまたはAst
target(x,y)またはAst
target(u,y))の分布を備える。
【0016】
ここで、特に、主線、および、眼鏡レンズにわたる非点収差偏差の目標値Ast
i,targetまたはAst
target(x,y)またはAst
target(u,y)の空間分布は、プログレッシブ眼鏡レンズのデザイン定義および最適化において中心的な役割を果たす。例えば、プログレッシブレンズデザインの分類および視野サイズの評価は、非点収差分布に基づいて適切に行なわれる。また、眼鏡レンズデザインは、屈折誤差、倍率誤差、歪み誤差、または、他の収差のための目標値の分布を備えることもできる。ここで、これらの値は、表面値、または、好ましくは着用値、すなわち、眼鏡レンズの着用位置における値であり得る。
【0017】
また、眼鏡レンズデザインは適切な物体距離モデルを備えることができる。例えば、物体モデルは、主線に沿う相互物体距離(reciprocal object distance)として規定される物体距離関数を備えることができる。標準化された物体距離モデルは例えばDIN 58 208 part 2(画像6参照)に示されている。しかしながら、物体距離モデルは、この標準的な物体距離モデルから逸脱することがあり得る。
【0018】
主線は略直線または曲線であると理解され、該主線に沿って遠見部から近見部への眼鏡レンズの屈折力の所望の増大が達成される。主線は、眼鏡レンズ上下に対して、すなわち、略垂直方向に沿ってほぼ中心付けられる。したがって、主線は、目標値の記述のために(物体側または眼側の)最適化されるべき表面の座標系において構成線を構成する。眼鏡レンズの主線の経路は、それが主視線に少なくともほぼ従うように選択される。主線を主視線に適合させるための方法は例えばEP1277079に記載されている。主視線は、2つの眼球の回転中心の距離を二等分する垂直面(いわゆる、単眼面)内に位置する線を見るときにそれぞれの眼鏡レンズ表面を通り抜ける主光線の一連の貫通点であると理解される。眼鏡レンズ表面は物体側表面または眼側表面であってもよい。単眼面内の線の位置は、選択された物体距離モデルによって決定される。
【0019】
プログレッシブ眼鏡レンズデザインは、通常、遠見帯、近見帯、および、中間帯または累進帯を備える。より高い収差が許容される外周帯と比較して良好な結像特性を有する内側帯の画定は、通常、規定される目標等非点収差線によって得られる。眼着用光学素子では、大抵、それに沿う非点収差の大きさが0.5Dに等しい等非点収差線が、この目的を達成するために使用される。この線は、以下で詳しく説明するように、目標仕様のための非点収差モデルの構成のために使用されるのが好ましい。
【0020】
異なるデザインを有する(すなわち、収差のための、特に非点収差のための異なる目標仕様を有する)プログレッシブレンズを形成するため、対応する異なるデザインまたは目標仕様が生成あるいは計算されなければならず、また、その後に最適化が行なわれなければならない。その結果、この出願によって定められる眼鏡レンズデザインを生成あるいは計算することは、眼鏡レンズデザインと関連付けられる個々の収差のための目標仕様または目標値、特に非点収差偏差または目標非点収差のための目標仕様を計算あるいは生成することを含む。
【0021】
本発明によれば、通常の手法とは異なり、預けられた旧来の目標仕様から新たな目標仕様が導出される。したがって、本発明に係る方法を用いると、様々な幅の遠見および/または近見視覚帯および/または低いあるいは高い非点収差勾配を有する個々のプログレッシブレンズデザインを、既知の目標仕様を有する既存のプログレッシブレンズデザイン(以下、開始デザインまたは基本デザインと称される)から直接に生成することができる。全てのデザイン変更が同じ開始デザインから得られるため、移行がスムーズである。したがって、顧客ニーズを最良の想定し得る方法で常に満たすために、任意の数のデザインバリエーションが生成され得る。
【0022】
デザイン変更は、開始デザイン、特に非点収差偏差または目標非点収差値のための目標値の最適化目標仕様の適切な変化によって行なわれる。
【0023】
この目的を達成するために、何よりも最初に、
− 主線または主線の経路の仕様と、
− 主線に沿う目標非点収差値A
target(u=0,y)のための仕様と、
− ベース目標等非点収差線の間の経路のための仕様であって、ベース目標等非点収差線の経路が、u
G(y)=f(y)の形式の一次関数によって表される、仕様と、
を備える開始デザインまたは開始仕様が定められる。
【0024】
また、開始デザインまたは開始仕様は、好ましくは、主線に沿う屈折力経路のための仕様を備えている。開始デザインの更なるパラメータ、例えば
− 眼鏡レンズの外周における最大限に許容できる目標非点収差;および/または、
− 最大目標等非点収差線;および/または、
− 予め決定されあるいは予め決定可能な方向での遠見部および近見部におけるベース目標等非点収差線からの最大目標等非点収差線の距離、
を定めることもできる。
【0025】
開始デザインと関連付けられる目標非点収差値A
target(u,y)の空間分布は、上記仕様に基づいて適切な補間により決定され得る。
【0026】
あるいは、開始デザインまたは開始仕様は、眼鏡レンズの最適化されるべき領域の少なくとも一部にわたる目標非点収差値の空間分布を含むことができる。したがって、主線の経路、主線に沿う目標非点収差値、ベース目標等非点収差線の経路、および、開始デザインと関連付けられる随意的な更なるパラメータが、一意的に決定される。
【0027】
また、開始デザインまたは開始仕様は、例えばその角膜頂点深さによって定められる開始表面を備えることができる。開始表面が特定されると、主線HLの経路およびベース目標等非点収差線I
Gの経路も一意的に特定される。
【0028】
更に、開始デザインに応じて、最大限に許容できるデザイン変更が予め特定あるいは定められ得る。
【0029】
この出願により定められる目標非点収差値Aは、特に、非点収差偏差Ast
targetの目標値、または、眼鏡レンズの非点収差(表面非点収差または着用位置における非点収差)のための目標値であると理解される。
【0030】
特に、非点収差仕様を構成するため、あるいは眼鏡レンズにわたる目標非点収差分布を計算するため、少なくとも1つのベース目標等非点収差線の経路、好ましくは眼鏡レンズの鼻側および側頭側のそれぞれの1つのベース目標等非点収差線が示されている。ベース目標等非点収差線の大きさA
Gを自由に選択することができ、有利な大きさは0.25D〜1.0D、特に0.5Dである。
【0031】
主線およびベース目標等非点収差線は、適切なパラメータ表示によって数学的に特定され得る。例えば、主線HLの経路は、一次関数、好ましくはf
u(y)なる形式の連続的な関数によって表され得る。主線は、関数f
u(y)が特定されるときに定められる。また、ベース目標等非点収差線の経路は、f
G(y)=f(y)の形式の一次関数によって表され、または特定され得る。
【0032】
好ましくは、一次関数f(y)は、少なくとも1回連続的に微分可能な関数である。さらに好ましくは、関数f(y)の一次導関数も、少なくとも1回連続的に微分可能な関数である。
【0033】
主線および目標非点収差値の空間分布は、前述した座標系などの水平軸xと垂直軸yとを有する適切なデカルト座標系、すなわち、例えば眼鏡レンズの最適化されるべき表面内、好ましくは眼鏡レンズの眼側表面内の座標系で表示および計算され得る。該座標系の原点は、例えば、(未加工の円形の)眼鏡レンズの幾何学的中心と一致し、あるいは、眼鏡レンズの心取りまたは取付点と一致する。垂直(「y」)軸および水平(「x」)軸は、幾何学的中心または心取りあるいは取付点において、眼鏡レンズのそれぞれの(眼側または物体側、好ましくは眼側の)最適化されるべき表面に対する接平面内に位置する。垂直方向は、眼鏡レンズの着用位置における垂直方向に関連することが好ましく、この場合、眼鏡レンズは、例えば(例えばDIN 58 208 part 2に規定されるような)平均着用位置または個々の着用位置に配置される。好ましくは、眼鏡レンズは個々の着用位置に配置される。この座標系{x,y}において、主線上の点(x
HL,y)の水平座標x
HLは、形式f
u(y)の関数によって表わすことができる。すなわち、x
HL=f
u(y)となる。
【0034】
しかしながら、座標変換(x,y)→(u,y)を行なうこと、および、全ての計算をこの座標系で行なうことが有益であることが分かってきた。この場合、x=u+f
u(y)であり、uは主線からの点(u,y)の距離を示す。この座標系において、主線上の点は座標(u=0,y)を有し、ベース目標等非点収差線の点は座標(u
G(y),y)を有し、また、変更されたベース目標等非点収差線の点は座標(u’
G(y),y)を有する。
【0035】
しかしながら、無論、全ての計算を座標系{x,y}であるいは別の適した座標系で行なうこともできる。
【0036】
第2のステップにおいて、ベース目標等非点収差線が、予め定められた変換
【数2】
に従って変更される。ここで、
【数3】
となっている。
【0037】
言い換えれば、ベース目標等非点収差線I
Gの経路だけが変更され、ベース目標等非点収差線に沿う目標非点収差の一定の大きさA
Gは変更されない。
【0038】
目標非点収差値は、主線と、変更されたベース目標等非点収差線との間で適切に補間される。従って、開始デザインの仕様に基づいて、または開始仕様に基づいて、主線とベース目標等非点収差線との間の目標非点収差値の空間分布が決定され得る。例えば、目標非点収差値は、線形補間、四次補間(quadrangular interpolation)、または、三次補間によって計算され得る。より高次の補間も考えられる。
【0039】
以下、主線の所定の経路およびベース目標等非点収差線の所定の経路に基づく目標非点収差分布または目標非点収差値の典型的な計算または生成について詳しく説明する。
【0040】
前述したように、所定のベース目標等非点収差線の経路は、一次関数u
G(y)によって特定され得る。無論、所定の主線と変更されたベース目標等非点収差線との間の目標非点収差分布は、後述する方法によっても計算され得る。この場合、以下の式において、変更されたベース目標等非点収差線I’
Gの経路を表わす一次関数u’
G(y)は、ベース目標等非点収差線I
Gの経路を表わす一次関数u
G(y)に取って代わる。
【0041】
目標非点収差値を水平断面で補間することができ、その場合、補間は、各水平断面において、主線上の所定の目標非点収差値A(u=0,y)=A
0(y)と、変更されたベース目標等非点収差線上の値A(u’
G(y),y)=A
G=constとの間で行なわれる。
【0042】
uに関して、補間は、直線的に、四次的に(quadrangularly)、あるいは、以下の任意の屈折力関数により行なわれ得る。
【数4】
【0043】
特定の屈折力pの場合、係数b(y)が以下によって直接に決定され得る。
【数5】
この場合、前述したように、u
G(y)は、主線からのベース目標等非点収差線の水平距離である。
【0044】
その結果、補間を以下のように書き表すことができる。
【数6】
【0045】
屈折力pは、一般に可変態様で特定される。pが大きく選択されればされるほど、主線上の非点収差の横方向増大が滑らかになる。累進帯では、非点収差が一般にMinkwitz定理にしたがって直線的に増大し、そのため、この帯域ではpが1に選択されるのが好ましい。近見部の目標非点収差が減少するにつれて、pも同様に増大するのが好ましく、それにより、目標非点収差の水平増大が更に緩慢になる。このことは、近見部の拡張をもたらす。
【0046】
眼鏡レンズの外周(すなわち、ベース目標等非点収差線と眼鏡レンズ周縁との間)では、値A
maxを有する外側の最大目標等非点収差線を更に特定することにより、また、遠見部および近見部においてベース目標等非点収差線からの最大目標等非点収差線の距離を特定することにより、目標非点収差分布を決定することができる。
【0047】
特に、いわゆる平行カーブモデル法により、眼鏡レンズの外周の目標非点収差値を決定あるいは計算することができる。
【0048】
この方法によれば、ベース目標等非点収差線および更なる目標等非点収差線のための平行カーブが、これらはベース目標等非点収差線に略並行となっていてもよいが、眼鏡レンズの外周で構成される。これらの目標等非点収差線の法線距離は、最大値A
maxと、正規曲線に沿うベース目標等非点収差線からの関連する距離とを特定することによって制御される。最大または外側目標等非点収差線の距離は、一定である必要はなく、距離関数a(y)によって特定され得る。a(y)の値が大きくなればなるほど、目標等非点収差線同士が互いに更に離れ、非点収差が更に滑らかに移行する。距離関数a(y)は、遠見部の距離a
Fおよび近見部の距離a
Nが特定され、その後にyにおいて線形補間されるよう、簡単な一次関数であってもよい。
【0049】
眼鏡レンズの外周における任意の点P(u,y)の目標非点収差値は、例えば以下のように計算することができる。
1.その正規曲線が点P(u,y)を通るベース目標等非点収差線上の点P
G(u
G,y
G)を、適切な数値法によって決定する、
2.2つの点P(u,y)およびP
G(u
G,y
G)の距離dを、以下のように計算する
【数7】
3.A
G(d=0)とA
max(a(y
G))との間の補間によって、関連する目標非点収差値A(u,y)=A(d,a(y
G))を計算する。デザインに応じて、この補間は、例えば、線形補間、四次補間(quadrangular)、または、三次補間、または、他の適した補間であってもよい。好ましくは、補間が線形補間である。
【0050】
あるいは、いわゆる円錐台モデル法にしたがって、眼鏡レンズの外周の目標非点収差値を計算することができる。
【0051】
この方法は、遠見帯へ移行するときにベース目標等非点収差線が非常に大きく曲げられ、それにより、ベース目標等非点収差線の正規曲線が距離a(y)内で既に交差する可能性がある場合に特に有益である。この場合、前述した方法によれば、外側目標等非点収差線をこれ以上明確に構成することができない。これは、上記方法が複数の解決策を与えるからである。目標等非点収差線は円錐台の輪郭線としてモデリングされ、円錐台のベース領域が目標等非点収差線によって画定される。円錐台の先端S(u
SP,y
SP)の位置と先端における関連する目標非点収差値A
SPとを特定することにより、以下の方法にしたがって各点P(u,y)が一意的に目標非点収差値と関連付けられる。
1.点P、Sを通過する直線と円錐台の制限カーブとの交点F(u
F,y
F)を決定する、
2.距離を計算する:
【数8】
【数9】
3.目標非点収差値A(u,y)を計算する:
【数10】
【数11】
【0052】
図10は、パラレルカーブモデル法(
図10ではPCモデルと称される)にしたがった、および、円錐台モデル法(
図0ではTCモデルと称される)にしたがった、眼鏡レンズの外周での目標非点収差値の計算を示している。
【0053】
好ましくは、眼鏡レンズの中心帯では、外周における目標非点収差値を計算するために円錐台モデル法が使用され、また、遠見部および近見部においてはパラレルカーブモデル法が使用される。
【0054】
したがって、本発明に係る方法を用いると、眼鏡レンズのデザイナーは、任意のプログレッシブレンズデザインまたは目標非点収差の任意の分布を、高速且つ効率的な方法で生成あるいは変えることができる。特に、本発明に係る方法を用いると、既存のプログレッシブレンズデザイン(開始デザインまたは基本デザイン)のためのデザイン特性を、迅速且つ効率的に変更することができ、かつ、それを顧客ニーズに合わせることができる。また、比較的簡単で高速の計算により、低い、あるいは高い非点収差勾配を伴う更に大きな、あるいは更に小さな視覚帯を有する(例えば、大きいあるいは小さい遠見部、広いあるいは狭い近見部を有する)変形またはデザインを生成することができる。したがって、本質的な利点は、特に個々のプログレッシブ眼鏡レンズにとって適した目標仕様を生成するための前述の付加的な労力を回避できるという点である。更なる利点は、開始デザインのデザイン特性および良好な結像特性を失うことなく、所定の限界範囲内で視覚帯を任意に且つ無限に調整できる可能性である。したがって、顧客ニーズを最良の想定し得る方法で常に満たすために、任意の数のデザイン変形例を生成することができる。
【0055】
さらに、本発明のアプローチによれば、目標仕様を生成するための係数が、更なるパラメータに基づいて、眼鏡レンズの最適化の直前にのみ適合され得る。従って、基本または開始デザインから、適切な用途デザインを迅速に導くことができる。本発明に係る方法を用いると、異なるデザイン変形例が迅速且つ効率的に生成され、かつ互いに対して検査され得るため、従来の、屈折力が最適化されたあるいは個々のプログレッシブ眼鏡レンズを開発して生成するための労力を著しく減らすことができる。
【0056】
本発明による方法は、データベースによって制御される計算プロセスに特に適している。
【0057】
本発明に係る方法は、
− ドライバーのための、大きい、広い遠見部を有するプログレッシブレンズ、
− 大きい遠見部、低い加入度数、および、小さい勾配を有するスポーツ用プログレッシブレンズ(活動的な行動のためのレンズ)、
− 広い近見部と40cmの主作業焦点とを有するレンズ、
− 様々なコンピュータ職場用レンズ、並びに、近見レンズおよびルームレンズ、
などの異なる分野の用途に適合する個々のデザインを生成するのに特に適するとともに、生成されたデザインに基づいて個々の眼鏡レンズを形成するのに特に適する。
【0058】
ベース目標等非点収差線u
G(y)=f(y)は、異なる帯域へ分けられ得る。好ましくは、ベース目標等非点収差線は、2つの垂直座標y
F,y
Nを特定することにより、3つの帯域(遠見帯、累進帯、および、近見帯)へ分けられる。
【0059】
累進帯(すなわち、y
N≦y≦y
Fのとき)では、例えば、主線に沿う所定の屈折力経路が、伴うMinkwitz定理にしたがって、あるいは、例えば開始デザインに含まれる所定の開始表面から、ベース目標等非点収差線の経路が直接に特定され、あるいは計算され得る。特に、Minkwitz定理によれば、非点収差の横方向での増大が、主線に沿う屈折力の増大によって決定され得る。従って、境界線の点の主線からの水平距離、または、ベース等非点収差線のu座標が決定され得る。
【0060】
遠見部および/または近見部において、ベース目標等非点収差線の連続または経路は、独立に特定することができ、あるいは自由に且つ無限に(特定の所定の限界内で)変更することができ、したがって、デザイン仕様を作ることができる。
【0061】
好ましくは、ベース目標等非点収差線は、累進帯(すなわち、y
N≦y≦y
Fのとき)では変換されない。したがって、導出された個々のデザインは、屈折力経路の特性と、それに関連する開始デザインの累進チャンネルの最小幅と、を維持する。
【0062】
さらに好ましくは、開始デザインは、遠見部および/または近見部または遠見帯および/または近見帯における更なる目標等非点収差線の経路のための仕様を更に備えている。この場合、更なる目標等非点収差線の経路は、u
Z(y)=f
Z(y)の形式の一次関数によって表される。開始デザインの変換は、開始デザインの更なる目標等非点収差線の経路を変更することをさらに含んでおり、この場合、主線上の目標非点収差値と、変更されたベース目標等非点収差線上の目標非点収差値との間の補間は、
− 主線上の目標非点収差値A(u=0,y)と、変更された更なる目標等非点収差線上の目標非点収差値A(u’
Z(y),y)との間の補間と、
− 変更された更なる目標等非点収差線上の目標非点収差値A(u’
Z(y),y)と、変更されたベース目標等非点収差線上の目標非点収差値A(u’
G(y),y)との間の補間と、
を含み、ここで、
u
Z(y)が、開始デザインの更なる目標等非点収差線上の点(u
Z(y),y)の、主線からの水平距離を示し、
u’
Z(y)が、変更された更なる目標等非点収差線上の点(u’
Z(y),y)の、主線からの水平距離を示している。
【0063】
好ましくは、一次関数f
Z(y)は、少なくとも1回連続的に微分可能となっている。
【0064】
開始デザインの更なる目標等非点収差線の経路は、予め定められた変換
【数12】
に従うことができ、この場合、A(u
Z(y),y)=A(u’
Z,y)A
Z=constとなっている。
【0065】
特に遠見部において、補間は、更なる第2の目標等非点収差線(例えば、I
Z=0.25またはA
Z=0.25D)によってより精密に制御され得る。この場合、補間は、最初は、主線と第2の更なる目標等非点収差線との間で行なわれ、その後、第2の更なる目標等非点収差線とベース目標等非点収差線との間で行なわれる。更なる第2の目標等非点収差線は、ベース目標等非点収差線との類推によって特定および計算あるいは変更され得る。主線上の目標非点収差値A(u=0,y)と、変更された更なる目標等非点収差線上の目標非点収差値A(u’
Z(y),y)との間の補間は、主線上の目標非点収差値A(u=0,y)と変更されたベース目標等非点収差線上の目標非点収差値A(u’
G(y),y)との間の補間の類推によって行なわれる。
【0066】
好ましくは、ベース目標等非点収差線は、予め決定された、あるいは予め決定可能な第1の制御点
【数13】
を通る。ベース目標等非点収差線の経路を変更することは、
− 予め決定された、あるいは予め決定可能なカーブに沿って第1の制御点をシフトさせるステップ
【数14】
と、
− 変更されたベース目標等非点収差線を、それがシフトされた第1の制御点
【数15】
を通るよう計算するステップと、
を備えている。
【0067】
それに沿って第1の制御点がシフトされる予め決定されあるいは予め決定可能なカーブu→y、K:u→k(u)は、任意のカーブであることが可能である。好ましくは、当該カーブは直線からなっている。
【0068】
さらに、ベース目標等非点収差線は、予め決定された、あるいは予め決定可能な第2の制御点
【数16】
を通ることができ、この場合、ベース目標等非点収差線の経路を変更することは、
− 予め決定された、あるいは予め決定可能なカーブに沿って第2の制御点をシフトさせるステップ
【数17】
と、
− 変更されたベース目標等非点収差線を、それがシフトされた第2の制御点
【数18】
を通るよう計算するステップと、
をさらに備えている。
【0069】
同様に、それに沿って第2の制御点がシフトされる予め決定されあるいは予め決定可能なカーブは、任意のカーブであることが可能である。好ましくは、当該カーブは直線からなっている。
【0070】
また、ベース目標等非点収差線が更なる制御点を通過することもできる。更なる制御点は、対応する予め決定されあるいは予め決定可能なカーブに沿ってシフトされ得る。この場合、変更されたベース目標等非点収差線は、それがシフトされた制御点を通過するように計算される。
【0071】
更に好ましくは、ベース目標等非点収差線および変更されたベース目標等非点収差線は、予め決定されあるいは予め決定可能な少なくとも1つの枢支点または固定点
【数19】
を通ることができ、この場合、枢支点または固定点では、条件
【数20】
【数21】
が満たされる。
【0072】
第1の制御点、および随意的には更なる制御点は、例えば眼鏡着用者の個々の選好に基づいて、または自動的には収集された個々の顧客データ、例えば顧客選好、個々の選好の重み付け、使用の重点、フレーム特徴および/またはその他のパラメータに基づいて、自由にシフトされ得る。好ましくは、それぞれの制御点の最大限に許容できる外側への(すなわち、主線へ向かう)および/または内側への(すなわち、眼鏡レンズまたは眼鏡レンズ縁の外周へ向かう)シフトが特定され得る。
【0073】
それに沿ってそれぞれの制御点をシフトさせることができるカーブの方向、特に直線の方向は、任意の方向であり得る。好ましくは、それに沿ってそれぞれの制御点が移動するあるいは移動できる直線は、正規曲線と一致する。
【0074】
シフトされた1つの制御点または複数の制御点の位置に関連するデータから、並びに、随意的には累進帯におけるベース目標等非点収差線の経路に関連するデータに基づいて、変更されたベース目標等非点収差線のパラメータ、従って変更されたベース目標等非点収差線の経路が、一意的に決定され得る。ベース目標等非点収差線の中央帯(すなわち累進帯)が、屈折力の主線に沿う経路から、ベース目標等非点収差線の適切なパラメータ表現を用いることにより導かれるので、一般に、ベース目標等非点収差線の経路を対応して変更する上で、または、変更されたベース目標等非点収差線の経路を一意的に決定する上で、遠見部および/または近見部各々における1つまたは2つの制御点で十分である。
【0075】
従って、例えば個々の顧客選好、眼鏡レンズの使用範囲(スポーツ、読書など)および/またはその他の個々の顧客のパラメータに応じて視覚帯のサイズを変更することが可能であり、また、簡易かつ十分な方法によって視覚帯のサイズを着用のそれぞれの個々の状況に合わせることができる。
【0076】
例えば、近見部が広げられるべきである場合、近見部における制御点がさらに外側にシフトされ得る。その逆もまた可能である。非常にバランスのとれた眼鏡レンズデザインが生成されるべきである場合、制御点がわずかに内側にシフトされ得る。例えば、大きな、広い遠見部を有するスポーツデザインが、逆正接表現を有するバランスのとれた開始デザインから生成される場合、近見部の幅が低減され、そして遠見部の距離が最大限に拡大される。加えて、例えば大きなフレームのための視野の制限における横方向フィールド(lateral field)を有さないよう、逆正接表現から別の表現、例えば多項式表現へ切り替えることも可能である。
【0077】
最大限に許容可能なデザイン変化は、開始デザインに基づいて予め定められ得る。
【0078】
以下において、制御点をシフトするための手順が、近見部の制御点を参照して詳細に説明される。
【0079】
この例において、近見部の制御点
【数22】
は、以下の直線に沿って外側へ(すなわち外周へ向かって)、または内側へ(すなわち主線に向かって)シフトされる。
【数23】
【数24】
ここで、
【数25】
は、直線の外側方向ベクトルを示し、これに沿って近見部の制御点が移動しあるいは移動でき、
【数26】
は、直線の内側方向ベクトルを示し、これに沿って近見部の制御点が移動しあるいは移動でき、
tは、方向ベクトル
【数27】
による直線に沿ったシフトを示す。
【0080】
当然のことではあるが、制御点をその他のカーブに沿って対応するようシフトさせることも可能である。
【0081】
ここで、シフトt、すなわち視野サイズを制限することができ、その場合、t
aが、最大限に許容できる外側偏差を示し、t
iが、最大限に許容できる内側偏差を示す。このとき、例えば近見部における最大視野サイズは、直線
【数28】
に沿って制御点
【数29】
が十分外側に(すなわち、外周へ向けて)シフトされることを意味する。それに応じて、例えば近見部における最小視野サイズは、直線
【数30】
に沿って制御点
【数31】
が十分内側に(すなわち、主線へ向けて)シフトされることを意味する。
【0082】
個々のデザインの制御点の位置が特定されている場合、ベース目標等非点収差線は、それが変換またはシフトされた1つまたは複数の制御点を通るよう変更される。制御点、従ってベース目標等非点収差線の経路が変更された後、上述のような補間によって、非点収差分布のための目標使用が決定または計算される。
【0083】
ベース目標等非点収差線は、多くの適切な一次元の、好ましくは少なくとも1回連続的に微分可能な関数f(y)によって表わすことができる。驚くべきことに、関数f(y)を適切な方法で少数の可変パラメータによって既に表わすことが可能であり、それにより、開始デザインの計算および変換がかなり簡略化されて加速されることが分かった。
【0084】
好ましくは、近見部または近見帯におけるベース目標等非点収差線の経路は、パラメータまたは係数a
n、b
n、c
n、d
nを伴う以下の関数によって表わされ、あるいは特定される。
【数32】
【0085】
好ましくは、遠見部では、ベース目標等非点収差線の経路が、パラメータまたは係数a
f、b
f、c
fを伴う以下のn次多項式によって表わされ、あるいは特定され得る(以下では、手短に、多項式表示とも称される)。
【数33】
【0086】
このタイプの関数は、特にハードデザインを表す上で適している。
【0087】
あるいは、遠見部では、ベース目標等非点収差線の経路が、パラメータまたは係数a、b、c、dを伴う以下の関数によって表わされ、あるいは特定され得る(以下では、手短に、逆正接表示とも称される)。
【数34】
そのような関数は、ソフトデザインを表わすのに特に適している。
【0088】
以下においては、近見部におけるベース目標等非点収差線の変更が、例示的に詳細に説明される。
【0089】
先に説明したように、近見帯におけるベース目標等非点収差線は、例えばパラメータまたは係数a
n、b
n、c
n、d
nを伴う以下の形式の関数によって表わされ得る。
【数35】
【0090】
この関数の一次導関数は、
【数36】
である。
【0091】
ベース目標等非点収差線は、近見部における第1の予め決定されあるいは予め決定可能な制御点
【数37】
を通過する。この点は、上述のようにシフトされる
【数38】
。
【0092】
従って、変更されたベース目標等非点収差線は、以下の形式を有している。
【数39】
【0093】
パラメータまたは係数a
n=a’
nは、適切な方法で決定または定められ得る。
【0094】
好ましくは、(近見帯の境界上の)垂直座標y
Nと(遠見帯の境界上の)垂直座標y
Fとの間で延びる累進帯におけるベース目標等非点収差線の経路が変更されず、それにより、この帯域(すなわち、y
Nとy
Fとの間)で、開始デザインのベース目標等非点収差線と、導出された個々のデザインのベース目標等非点収差線とが一致することができる。点(u,y=y
N)は、枢支点または固定点を構成する。
【0095】
開始デザインのベース目標等非点収差線の経路は予め決定されているので、主線からのベース目標等非点収差線の距離u、y=y
Nでの一次導関数によって決定される、累進帯における開始デザインのベース目標等非点収差線の経路のデータに基づいて、計算され得る。
【0096】
このデータと、シフトされた制御点の座標のデータ(すなわち、点
【数40】
におけるu’
G)とに基づいて、一次方程式の以下の系を解くことにより、変更されたベース目標等非点収差線の残りのパラメータ、すなわち近見帯における変更されたベース目標等非点収差線の経路が、一意的に計算され得る。
【数41】
【数42】
【数43】
【0097】
ハードデザインの遠見部におけるベース目標等非点収差線の経路は、通常、制御点を特定して操作することによっても変更され得る。特に、遠見部におけるベース目標等非点収差線は、パラメータまたは係数a
f、b
f、c
fを伴う以下の関数によって表わされ得る。
【数44】
【0098】
この関数の一次導関数は、
【数45】
である。
【0099】
ベース目標等非点収差線は、第1の予め決定されあるいは予め決定可能な制御点
【数46】
を遠見部において通過する。この点は、前述したようにシフトされる
【数47】
。点(u,y=y
F)は、枢支点または固定点を構成する。
【0100】
変更されたベース目標等非点収差線は、以下の形式を有している。
【数48】
【0101】
通常は、多項式の屈折力nが特定され、あるいは適切に定められる。
【0102】
変更されたベース目標等非点収差線のパラメータまたは係数は、例えば以下の方程式の系を解くことにより一意的に決定される。この場合、累進帯では、ベース目標等非点収差線の経路が不変のままである。
【数49】
【数50】
【数51】
【0103】
パラメータまたは係数a、b、c、dを伴う以下の形式の関数
【数52】
によって表わされるソフトデザインの遠見部に関しては、変更されたベース目標等非点収差線の経路を一意的に決定する上で、遠見部または遠見帯における通常2つの予め決定された制御点
【数53】
および
【数54】
で十分である。2つの制御点は、前述したようにシフトされる。
【数55】
【数56】
【0104】
変更されたベース目標等非点収差線のパラメータまたは係数a’、b’、c’、d’、したがって遠見部におけるそれらの経路は、以下の方程式の系を解くことにより一意的に決定され得る。
【数57】
【数58】
【数59】
【数60】
この場合、座標y=y
F上の点は、枢支点または固定点である。
【0105】
ベース目標等非点収差線の経路は、各眼鏡着用者の個々の要求に対する視覚帯(例えば遠見帯および/または近見帯)の最適な適合を達成するために、眼鏡レンズのデザイナーによって例えば直接的または手動で、または眼鏡着用者の個々のデータに基づいて自動的に適切に変更され得る。好ましくは、上述のように、ベース目標等非点収差線の経路は、少なくとも1つの制御点の位置を変更することによって変更される。この場合、少なくとも1つの制御点の位置は、眼鏡着用者の個々のデータに基づいて変更される。
【0106】
ベース目標等非点収差線の経路または制御点の位置を変更するときに考慮に入れられる、眼鏡着用者の個々のデータは、好ましくは、
− 遠見帯および近見帯の重み付け、および/または、
− 眼鏡レンズの用途の重点、および/または、
− フレームおよび心取りデータ
に関連するデータを含んでいる。
【0107】
特に、ベース目標等非点収差線の経路または少なくとも1つの制御点の位置は、眼鏡着用者の個々の選考およびニーズ、例えば遠見帯および/または近見帯のサイズに対する選好、視覚帯(遠見帯、近見帯、および中間帯または累進帯)の重み付け、使用の重点および/またはフレームおよび心取りデータ、特に鉛直方向におけるレンズサイズおよび中心高さ、フレーム形状などに基づいて自動的に変換され得る。
【0108】
個々のデザインの制御点の位置が特定されている場合、ベース目標等非点収差線の経路が、それがシフトされた1つまたは複数の制御点を通るよう変更される。
【0109】
変更されたベース等非点収差線または少なくとも1つの制御点の位置を決定または計算する場合に考慮される眼鏡着用者の個々のデータは、以下のデータまたはデータのセットのうちの1つまたは2つ以上を更に含むことができる。
− 眼鏡レンズの主要な用途(例えば、運転、コンピュータ職場、読書、工芸など)に関連するデータ;および/または、
− 今までに着用された眼鏡レンズに関連する個々のデータ、特に、以前の眼鏡レンズが単一視、遠近両用、または、プログレッシブ眼鏡レンズであるかどうかに関する、今までに着用された眼鏡レンズに関連する個々のデータ、デザイン(ハード/ソフト)、累進長、タイプ(個別、定型)、材料(プラスチック/ケイ酸塩)、屈折率、基準点の位置、以前の眼鏡レンズの加入度数、および/または、以前の眼鏡レンズの屈折データと比べた屈折データの変化、に関連するデータ、および/または、
− 今までに着用した眼鏡に対する個々の望ましい改良、特に、より大きな遠見帯、より大きな中間帯、より大きな近見帯、読書時のより小さな下転、または低減された揺動運動、に関連するデータ、および/または、
− 環境的影響に関連するデータ(周囲の輝度など)、および/または、
− 屈折データまたは屈折力のパラメータ、特に、球面度数、円柱度数、円柱軸、加入度数;および/または、
− 眼鏡着用者の個々のパラメータ、および、眼鏡着用者の眼の前方における眼鏡レンズまたは眼鏡の個々の着用位置。個々のパラメータは、特に、瞳孔間距離、角膜頂点間距離(CVD)、前傾(FI)、顔形角(FFA)等を含む;および/または、
− 遠見および近見の主視野方向に関連するデータ、
− 潜在的に存在する個々の例外的な頭部および身体の姿勢に関連するデータ、および/または、
− 生理学的パラメータ、特に眼鏡着用者の1または複数の眼の個々の生理学的パラメータ、特に、矯正視力、立体視の閾値;および/または、
− 個々の物体距離、特に読書(近見作業)時の作動距離、遠見時の作動距離に関連するデータ;および/または、
− 屈折能測定における物体距離に関連するデータ:遠見および近見。
【0110】
また、眼鏡レンズ着用者の個々のデータは、更なる個々のパラメータを備えることができる。
【0111】
好ましくは、方法は、眼鏡着用者の個々のパラメータを得るステップをさらに備えている。
【0112】
眼鏡着用者の個々のデータ、すなわち、眼鏡着用者の個々のパラメータおよび/または個々のニーズは、例えばRodenstock GmbH社による「Consulting FreeSign」などのコンサルティングツールを用いてかなり詳細に得ることができる。顧客は、想定し得る個々のデザイン提案またはデザイン実現を直接に実演されることが好ましい。今までのところ、対応するフレキシブルレンズデザインにおける視覚帯に関する個々の顧客ニーズの実現は、十分に解決されてこなかった。通常、Rodenstock GmbH社による「Impression Sport extracurved」などの特別なデザインを使用しなければならなかった。しかしながら、これらの特別なデザインは、全ての近見距離およびベースカーブを網羅していない。本発明を用いると、目標仕様を目標にされた方法で変更することにより個々の視覚帯を強調できる。例えば、近見帯の横方向の拡張を行なうことができ、これは、−顧客の要求プロファイル(高い重み付けダイナミクスまたは遠見部)に応じて−遠見帯および/または近見帯における目標等非点収差線の勾配の増大または遠見帯の減少と組み合わされてもよい。
【0113】
好ましくは、開始デザインの変換は、遠見および/または近見基準点の可変調整可能な(個々の)垂直位置に応じて、補間によって計算される目標非点収差値の変換(例えば、垂直方向における伸長または圧縮)を更に含んでいる。変換は、計算されるべき眼鏡レンズデザインが遠見および/または近見基準点の必要とされる垂直位置を示すように行なわれる。そのような変換は、特許出願PCT/EP2008/000585に記載されている。
【0114】
ここでは、眼鏡レンズデザインは、遠見および/または近見部屈折力に関する眼鏡着用者のための処方値または眼鏡着用者のために必要とされる値(例えば屈折能測定によって決定される)がそれぞれの基準点で実現されるときの、遠見および/または近見基準点の所定の空間位置を示す。つまり、デザインと関連付けられる収差(特に、非点収差偏差および屈折誤差)が、遠見および/または近見基準点で可能な限り小さくなる(好ましくは、ほぼゼロ)ようになっている。
【0115】
したがって、また、開始デザインのデザイン特性を維持しつつ、遠見および近見のための基準点(遠見基準点および近見基準点)の任意の位置と、主視覚帯と、を有するプログレッシブレンズデザインが導出され最適化され得る。このため、遠見B
Fおよび近見B
Nのための基準点の望ましい個々の位置を単に定めれば十分である。累進面の累進帯の垂直位置および長さは、個々のユーザ状況に自動的に適合される。ここで、最適化において、遠見B
Fおよび近見B
Nのための基準点の任意の位置を考慮に入れることができる。
【0116】
同様に、開始デザインの他の目標仕様(例えば、屈折誤差、倍率などにおける目標仕様)が適切に変換あるいは変えられ得る。
【0117】
同様に、開始デザインは、眼鏡レンズの主線に沿う物体距離関数のための仕様を更に含むことができる。個々のデザインを計算するための方法は、開始デザインの物体距離関数の適切な変換を更に含むことが好ましい。物体距離関数の変換の変換係数は、個々の眼鏡レンズデザインの遠見および/または近見基準点における眼鏡レンズの屈折力が開始デザインの遠見および/または近見基準点における眼鏡レンズの屈折力に対応するよう、ニュートン反復によって決定される。物体距離関数の適切な変換は、前述した特許出願PCT/EP2008/000585に記載されている。
【0118】
更に好ましくは、開始デザインの変換は、関数h=h(S’(y’),l
D/l)を用いて、あるいは関数h=h(l
D/l)を用いて、目標非点収差値にスケーリングファクタl/l
Dを乗じることを更に含むことができる。この場合、lは、個々の眼鏡レンズデザインの累進長を示し、l
Dは、開始デザインの累進長を示す。好ましくは、h(l
D/l)=a・(l
D/l)+bであり、a、bは一定である。
【0119】
また、開始デザインの変換は、目標非点収差値(補間によって決定される開始目標非点収差値または目標非点収差値)とスケーリングファクタSとの乗算を更に含むことができる。この場合、
【数61】
となっている。
ここで、tは、一般に、計算されるべき眼鏡レンズまたは眼鏡レンズデザインの加入度数Addおよび/または遠見屈折力Fおよび/または所定のベース加入度数Add
Bの関数t=t(Add,F,Add
B)であるファクタを示し、Add=Add
Bに関してt=1が成り立つ。最も簡単なケースでは、t=1である。
【0120】
例えば、開始デザインは、ベース加入度数Add
Bのための開始目標非点収差分布を含むことができる。最初に、この開始目標非点収差分布をリスケーリングして、加入度数Addのための目標非点収差分布を得ることができる。この場合、Addは、計算されるべき眼鏡レンズまたは眼鏡レンズデザインの加入度である。その後、ベース目標等非点収差線の経路を前述したように変えることができ、また、ベース目標等非点収差線の新たな経路に適合される変更された目標非点収差分布を補間によって決定することができる。
【0121】
スケーリングファクタsを乗じることによるベース加入度数Add
Bを伴う所定の目標非点収差分布の変換は、特許出願DE102008105189.0に記載されている。
【0122】
本発明に係る方法は、従来のプログレッシブ眼鏡レンズおよび屈折力が最適化されたプログレッシブ眼鏡レンズのためのデザインまたはデザイン変形例を生成すること、および、個別に最適化されたプログレッシブ眼鏡レンズのためのデザインまたはデザイン変形例を生成することの両方に適する。
【0123】
プログレッシブ眼鏡レンズのためのデザインを生成あるいは計算するための本発明に係る方法を用いると、既に幾つかのパラメータを伴うバランスのとれた開始デザイン(例えば、汎用デザイン、近見デザインなど)から、任意の数のデザインを得ることができる。この場合、移行が滑らかである。好ましい実施形態において、開始デザインから得られる全てのデザインは、主線に沿う屈折力経路の同一特性を好ましく維持し、したがって更には、累進チャンネルにおける最小幅も好ましく維持する。その結果、全ての屈折力範囲にわたって新たなデザインを生成する必要なく、視野サイズと勾配経路とのほぼ全ての考えられる組み合わせを後で生成することができる。本発明に係る手続きを用いると、ベースデザインまたは開始デザインを直接に変更する必要がなく、更なるパラメータに基づいて最適化の直前に目標仕様を形成するための係数を適合させるだけで済むため、それにより、適切な用途デザインを迅速に得ることができる。特に、本発明に係る方法は、データベースにより制御される計算プロセスに特に適している。本発明に係る方法を用いると、異なるデザイン変形例が迅速且つ効率的に生成され、かつ互いに対して検査され得るため、従来の、屈折力が最適化されたあるいは個々のプログレッシブ眼鏡レンズを開発して形成するための労力を著しく減らすことができる。
【0124】
また、眼鏡着用者の近見および/または遠見基準点の自由に規定できる位置に対する適合、したがって異なる累進長に対する適合を行なうことができる。特に、既存の最適化仕様または既存の開始デザインを、任意に伸長および圧縮することができ、したがって、個々の着用状況、特に個別に決定された累進長に適合させることができる。ここでは、異なるデザイン(例えば、異なる累進長を有する異なる開始デザイン)の目標仕様の補間が必要とされない。したがって、既存の開始デザインから、異なる(更に長いあるいは更に短い)累進帯または累進長を有する変形を更に迅速且つ効率的に形成することができる。
【0125】
また、物体距離関数の更なる自動的な適合、したがって、目標屈折力経路の自動適合を行なうこともできる。
【0126】
計算された眼鏡レンズデザインは、物体側または好ましくは眼側のプログレッシブ面を有するプログレッシブ眼鏡レンズのための眼鏡レンズデザインであってもよい。反対側の面は、単純な球面または回転対称な非球面になり得ることが好ましい。また、前述した方法を使用して、二重プログレッシブ眼鏡レンズのためのデザインを計算あるいは生成することもできる。
【0127】
更に、本発明によれば、プログレッシブ眼鏡レンズのデザインを生成あるいは計算するための好ましい方法を実行するよう適合されたデザイン計算手段を備える、プログレッシブ眼鏡レンズのデザインを生成あるいは計算するための装置が提供される。
【0128】
一態様によれば、プログレッシブ眼鏡レンズのデザインを生成あるいは計算するための装置は、
− 目標仕様取得手段であって、
− 主線と、
− 主線に沿う目標非点収差値A(u=0,y)のための仕様と、
− 少なくとも1つのベース目標等非点収差線の経路のための仕様であって、ベース目標等非点収差線の経路が、u
G(y)=f(y)の形式からなる一次関数によって表される、仕様と、を取得するよう適合された目標仕様取得手段と、
− 主線上の目標非点収差値A(u=0,y)とベース目標等非点収差線上の目標非点収差値A(u
G(y),y)との間の補間によって計算されるべきデザインの目標非点収差値の空間分布を計算するよう適合された計算手段と、を備え、
ここで、
uは、眼鏡レンズデザインの点(u,y)の主線からの水平距離を示し、
yは、眼鏡レンズデザインの点(u,y)の垂直座標を示し、
u
G(y)は、ベース目標等非点収差線上の点(u
G(y),y)の主線からの水平距離を示している。
【0129】
さらなる態様によれば、プログレッシブ眼鏡レンズのデザインを生成あるいは計算するための装置は、予め定められた開始デザインの変換を実施するよう適合されたデザイン変換手段を備えており、
開始デザインは、
− 主線の仕様と、
− 主線に沿う目標非点収差値A(u=0,y)のための仕様と、
− 少なくとも1つのベース目標等非点収差線の経路のための仕様であって、ベース目標等非点収差線の経路が、u
G(y)=f(y)の形式の一次関数によって表される、仕様と、を含み、
デザイン変換手段は、
− ベース目標等非点収差線の経路の変更u
G(y)→u’
G(y)を実施するよう適合された計算手段と、
− 主線上の目標非点収差値A(u=0,y)と変更されたベース目標等非点収差線上の目標非点収差値A(u
G’(y),y)との間の補間によって計算されるべきデザインの目標非点収差値A(u,y)の計算を実施するよう適合された計算手段と、を含み、
ここで、
uは、眼鏡レンズデザインの点(u,y)の主線からの水平距離を示し、
yは、眼鏡レンズデザインの点(u,y)の垂直座標を示し、
u
G(y)は、ベース目標等非点収差線上の点(u
G(y),y)の主線からの水平距離を示し、
u
G’(y)は、変更されたベース目標等非点収差線上の点(u
G’(y),y)の主線からの水平距離を示している。
【0130】
また、プログレッシブ眼鏡レンズのデザインを生成あるいは計算するための装置は、好ましくは、眼鏡着用者の個々のデータを得るよう適合された取得手段を備えている。
【0131】
開始デザイン、または、(主線の仕様、主線に沿う目標非点収差値の仕様、少なくとも1つのベース目標等非点収差線の経路の仕様、および随意的にその他のパラメータを含む)開始仕様は、永久的にあるいは一時的にメモリに記憶され得る。デザイン計算および/またはデザイン変換手段、特に、ベース目標等非点収差線の経路を変更するための計算手段、および/または、目標非点収差分布および/またはその空間分布を生成あるいは計算するための計算手段を備えることができるデザイン計算および/またはデザイン変換手段は、対応して構成されるあるいはプログラムされる従来のコンピュータ、専用ハードウェア、および/または、コンピュータネットワークまたはコンピュータシステムによって実施され得る。
デザイン計算および/またはデザイン変換手段、および、特にベース目標等非点収差線の経路を変更するための計算手段、および/または、目標非点収差分布および/またはその空間分布を生成あるいは計算するための計算手段は、適切なインタフェースによってメモリと信号通信することができ、特にメモリ内に記憶されたデータを読み出しおよび/または変更することができる。制御点変化手段は、ユーザが制御点の位置を変えることができるようにするインタラクティブグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を更に備えることができる。
【0132】
本発明によれば、コンピュータプログラムプロダクト、すなわち、装置クレームのカテゴリーに記載されるコンピュータプログラム、および、コンピュータプログラムが記憶されて成る記憶媒体が提供され、コンピュータプログラムは、コンピュータにロードされて実行されるときに、上述のようにプログレッシブ眼鏡レンズのデザインを生成あるいは計算するための本発明に係る好ましい方法を実行するよう適合されている。
【0133】
本発明によれば、プログレッシブ眼鏡レンズを形成するための方法であって、
− デザインを生成あるいは計算するための好ましい方法にしたがって眼鏡レンズのためのデザインを計算することと、
− 計算された眼鏡レンズデザインに基づいて眼鏡レンズを計算あるいは最適化することと、
を含む方法がさらに提案される。
【0134】
形成方法は、
− 計算されたあるいは最適化された眼鏡レンズの表面データを与えることと、
− 与えられた眼鏡レンズの表面データにしたがって眼鏡レンズを製造することと、
をさらに備えている。
【0135】
製造または生産は、数値制御されるCNCにより、鋳造方法により、2つの方法の組み合わせにより、あるいは、他の適した方法にしたがって行なうことができる。
【0136】
好ましくは、眼鏡レンズの計算または最適化は、眼鏡着用者の個々のデータを考慮してさらに実施される。
【0137】
本発明によれば、プログレッシブ眼鏡レンズを形成するための装置であって、
− デザインを生成あるいは計算するための本発明による好ましい方法にしたがって眼鏡レンズのためのデザインを計算するよう適合されたデザイン計算と、
− 計算されたデザインに基づいて眼鏡レンズの計算または最適化を実施するよう適合された最適化または計算手段と、
を備える装置がさらに提案される。
【0138】
一態様によれば、デザイン計算手段は、
− 開始仕様取得手段であって、
− 主線の仕様と、
− 主線に沿う目標非点収差値A(u=0,y)のための仕様と、
− 少なくとも1つのベース目標等非点収差線の経路のための仕様であって、ベース目標等非点収差線の経路が、u
G(y)=f(y)の形式の一次関数によって表される、仕様と、を取得するよう適合された開始仕様取得手段と、
− 主線上の目標非点収差値A(u=0,y)とベース目標等非点収差線上の目標非点収差値A(u
G(y),y)との間の補間によって計算されるべきデザインの目標非点収差値の空間分布を計算するよう適合された計算手段と、
を備えている。
【0139】
さらなる態様によれば、デザイン計算手段は、
− ベース目標等非点収差線の経路の変更u
G(y)→u’
G(y)を実施するよう適合された計算手段と、
− 主線上の目標非点収差値A(u=0,y)と変更されたベース目標等非点収差線上の目標非点収差値A(u
G’(y),y)との間の補間によって計算されるべきデザインの目標非点収差値A(u,y)の計算を実施するよう適合された計算手段と、
を備えている。
【0140】
最適化または計算手段、並びにデザイン計算および/またはデザイン変換手段は、適切に構成されたあるいはプログラムされたコンピュータ、専用のハードウェアおよび/またはコンピュータネットワークまたはコンピュータシステム等によって実施され得る。同じコンピュータまたは同じコンピュータシステムを、例えば眼鏡レンズのためのデザインの計算および計算されたデザインに基づく眼鏡レンズの計算または最適化の両方を行なうように構成あるいはプログラムすることができる。しかしながら、デザインの計算および眼鏡レンズの計算を、計算されたデザインに基づき、別個の計算ユニットで、例えば別個のコンピュータまたはコンピュータシステムで行なうこともできる。
【0141】
また、プログレッシブ眼鏡レンズを形成するための装置は、眼鏡レンズを仕上げるための機械加工手段を備えることが好ましい。機械加工手段は、決定された最適化仕様にしたがってブランクを直接に機械加工するための例えばCNC制御機を備えることができる。仕上げられた眼鏡レンズは、簡単な球面または回転対称な非球面と、本発明にしたがって計算された個々のデザイン仕様および眼鏡着用者の個々のパラメータに基づいて最適化されるプログレッシブ面とを有することが好ましい。球面または回転対称な非球面は、眼鏡レンズの前面(すなわち、物体側面)であることが好ましい。無論、計算されたデザインに基づいて最適化された表面を、眼鏡レンズの前面として設けることもできる。また、眼鏡レンズの両方の面をプログレッシブ面にすることもできる。
【0142】
好ましくは、プログレッシブ眼鏡レンズを形成するための装置は、眼鏡着用者の個々のデータを得るための取得手段を更に備えている。特に、個々のデータは、眼鏡着用者において個々に必要とされる眼鏡レンズの個々の屈折力に関するデータを含んでいる。
【0143】
本発明によれば、コンピュータプログラムプロダクト(すなわち、装置クレームのカテゴリーに記載されるコンピュータプログラム)、および、コンピュータプログラムが記憶されて成る記憶媒体が提供され、コンピュータプログラムは、コンピュータにロードされて実行されるときに、プログレッシブ眼鏡レンズを計算あるいは最適化するための好ましい方法を実行するよう適合されており、該方法は、以下のステップ、すなわち、
− プログレッシブ眼鏡レンズのデザインを生成あるいは計算するための本発明による好ましい方法にしたがって眼鏡レンズを計算するステップと、
− 計算された眼鏡レンズデザインに基づいて眼鏡レンズを計算あるいは最適化するステップと、
を含む。
【0144】
眼鏡着用者の視覚障害を補正するための、特定の眼鏡着用者の眼の前方の眼鏡レンズの眼鏡着用者の所定の平均着用位置または個々の着用位置での、好ましい製造方法にしたがって製造される眼鏡レンズの使用、がさらに提案される。
【0145】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を一例として説明する。