(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666479
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】光学差込接続のためのコネクタ部
(51)【国際特許分類】
G02B 6/38 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
G02B6/38
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-548680(P2011-548680)
(86)(22)【出願日】2010年2月4日
(65)【公表番号】特表2012-517033(P2012-517033A)
(43)【公表日】2012年7月26日
(86)【国際出願番号】EP2010051332
(87)【国際公開番号】WO2010089336
(87)【国際公開日】20100812
【審査請求日】2012年12月20日
(31)【優先権主張番号】00164/09
(32)【優先日】2009年2月5日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】509079466
【氏名又は名称】ダイアモンド・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】DIAMOND SA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウボルディ,ハリー
(72)【発明者】
【氏名】ファンティーニ,ディオニージ
【審査官】
奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−531020(JP,A)
【文献】
特開2002−082257(JP,A)
【文献】
特開2005−250294(JP,A)
【文献】
特開平07−056068(JP,A)
【文献】
特表2005−531045(JP,A)
【文献】
特開2000−347068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24− 6/255
G02B 6/36− 6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学差込接続のためのプラグ部(1)であって、プラグ部は、光導波路スタブ(21)がその中に保持されるプラグピン(2)を有し、前記光導波路スタブは長手中央軸(3)に沿って延在し、さらにブッシュ状のピンホルダ(4)を有し、該ピンホルダは、プラグピンがその中に固定された態様で保持されるピン受け部分(5)と、光導波路受け部分(6)とを含み、光導波路ケーブル(7)または光導波路の端部は、引張応力に抵抗する態様で、光導波路ケーブル(7)または光導波路の前記端部と前記プラグピンとの間のいかなる相対的な動きをも防止するように、光導波路受け部分(6)に固定することができ、光導波路受け部分(6)は、互いに接続することができる少なくとも2つのケーシング部(8,8′)を有し、少なくとも1つのケーシング部(8,8′)は、当該ケーシング部が開位置と閉位置との間を所定の旋回角度で旋回することができるようなやり方で、ヒンジ(9,9′)を用いてピン受け部分(5)上に固定されているかまたは固定することができ、前記光導波路受け部分は、その閉じた状態において、前記プラグピンに対して非可動であり、かつ、前記プラグ部の長手中央軸の方向に非可動であり、前記光導波路スタブは、ケーブル側の光導波路端部(23)に溶接することができ、溶接されることが意図される光導波路スタブ(21)の端部(22)は前記ケーシング部(8,8′)の領域に配置され、前記ケーシング部(8,8′)の少なくとも一方は、前記少なくとも2つのケーシング部(8,8′)を接続するために、少なくとも1つの接着層(25,25′)を有することを特徴とする、プラグ部。
【請求項2】
接着層(25,25′)は、いずれもケーシング部(8,8′)の一方の接触面(11,11′)上に配設され、前記接触面は、隣接するケーシング部(8,8′)に対向して位置することを特徴とする、請求項1に記載のプラグ部。
【請求項3】
接着層(25,25′)は、プラグ部(1)の処理前に保護膜(26,26′)によって被覆されることを特徴とする、請求項1または2に記載のプラグ部。
【請求項4】
2つのケーシング部が互いに押付けられ接着接合されるときに、2つのケーシング部の間または2つの接着層の間に配置されている溶接された光導波路が接着層によって完全に包囲されるように、接着層(25,25′)は弾性であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のプラグ部。
【請求項5】
接着層(25,25′)は、80μmから300μmの間、特に100μmから200μmの間の厚さを有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のプラグ部。
【請求項6】
接着層(25,25′)は、100μmから200μmの間の厚さを有することを特徴とする、請求項5に記載のプラグ部(1)。
【請求項7】
接着層(25,25′)は、125μmから150μmの間の厚さを有することを特徴とする、請求項6に記載のプラグ部(1)。
【請求項8】
接着層(25,25′)は、両面接着テープからなることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のプラグ部。
【請求項9】
両面接着テープは、アクリルポリマーからなる接着剤を含むことを特徴とする、請求項8に記載のプラグ部。
【請求項10】
光導波路受け部分(6)は、ピン受け部分(5)への接続のための上部(12)と2つのケーシング部(8,8′)とを有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載のプラグ部。
【請求項11】
少なくとも1つのケーシング部(8,8′)は、ケーシング部が開位置と閉位置との間を特定の旋回角度で旋回することができるように、ヒンジ(9,9′)を用いて上部(12)に締結されることを特徴とする、請求項10に記載のプラグ部。
【請求項12】
ピン受け部分(5)および光導波路受け部分(6)のケーシング部(8,8′)は、一体的に形成されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載のプラグ部。
【請求項13】
ピンホルダ(4)は、長手中央軸(3)に沿って組立てることができる2つのシェル部からなり、少なくとも1つのケーシング部(8,8′)は、ケーシング部が開位置と閉位置との間を特定の旋回角度で旋回することができるように、ヒンジ(9,9′)を用いてシェル部に締結されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載のプラグ部。
【請求項14】
ピンホルダ(4)は、少なくとも部分的にプラスチック材料からなり、ヒンジ(9,9′)はフィルムヒンジであることを特徴とする、請求項11から13のいずれか1項に記載のプラグ部。
【請求項15】
ケーシング部(8,8′)は、正確な嵌合によって前記ケーシング部を結合するために、一方を他方の内部に係合させる位置決め手段を有することを特徴とする、請求項1から14のいずれか1項に記載のプラグ部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に係る光学差込接続のためのプラグ部に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなプラグ部は工場であらかじめ組立てられ、実際の光導波路ケーブルへの接続は、現場条件下での溶接によってプラグ部上に直接なされる。あらかじめ組立てる目的は、プラグピンにおける光導波路の困難な中心合わせおよび固定、ならびに複雑な研磨処理を、好適な工場条件下で行なうことができるようにすることである。
【0003】
プラグ部はたとえば、先行技術文献WO96/31795A1およびEP864888A1から知られている。溶接電極を取付けるためには、この場合、特別な開口部または切欠きが設けられる。これらのプラグ部の1つの欠点は、溶接点自体への接近が困難であり、溶接処理の観察もより困難になる点にある。
【0004】
プラグ部は、WO2004/001472A1からも知られており、これによれば、2つのケーシング部がプラグ部の長手中央軸から旋回することができ、その結果、溶接の目的で、あらかじめ組立てられた光導波路スタブの端部に最適に接近することができる。溶接処理後、2つのケーシング部には接着剤が与えられ、それらの初期位置に戻るように旋回され、接着剤で接合される。ジャーナルおよびジャーナル開口部により、処理中の正確な位置決めが確実となる。2つのケーシング部は、第1に、それらが光導波路のケーシングをぴったりと取囲み、第2に、光導波路の溶接点を力をかけずに包囲するように設計される。このプラグ部は比較的複雑な構成を有し、正確に製造される必要がある。加えて、2つのケーシング部または光導波路は、現場条件下で接着剤が与えられることが意図されており、よく訓練された人員が必要とされる。
【0005】
WO2009/011799A1は、ねじれ防止スリーブを有する実質的に従来の差込コネクタについて記載している。ねじれ防止スリーブは、プラグから遠い端部にカラーを有する。このカラーは、対応して形成された継目保護手段への確実な接続に使用される。継目保護手段は、2つの個別のケーシング部からなる。2つのケーシング部の各々は、いずれも、その内部に1つのクッション状要素を有し、前記クッション状要素は、継目保護手段が閉じられると、継合わせられたファイバを囲む。これらのクッション状要素は、いずれも、両面式の緩衝された接着テープによって形成することができる。このような外側の継目保護手段により、プラグインターフェースと固定されていないケーブルとの間の距離が長くなり、第2に、特に引張荷重の場合に長さの伸びを示すべきではないねじれ防止スリーブに対して特別な要求が必要となる。
【0006】
以下の文章において、光導波路という用語は、光ファイバ自体を意味するものと理解され、光導波路ケーブルという用語は、1つ以上の追加的なプラスチックシースと、たとえばアラミド繊維の形態の任意の歪除去手段とを有する1つ以上の光導波路を意味するものと理解される。
【0007】
以下の文章において、プラグ部は、光導波路または光導波路ケーブルを受けるためのプラグピンと締結要素とを含むプラグの一部を意味するものと理解される。光導波路または光導波路ケーブルが備え付けられると、このようなプラグ部をプラグハウジングに導入することができ、その結果、たとえば、標準化された差込コネクタが形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明の目的は、先行技術の欠点を克服することである。特に、溶接するためにファイバスタブに容易に接近可能にし、現場条件下で容易に嵌合させることができるプラグ部を提供することがその意図である。ここでの意図は、プラグ部のあらかじめの組立ておよび最終的な組立ての両方を、速く、かつ複雑な補助手段なしに行なうことができるようにすることである。最終的に、溶接点は、機械的な荷重および汚染、ならびに最終的な組立て後の環境の影響から最適な様式で保護されることが意図される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1の特徴を有するプラグ部によって実現される。さらなる実施例は、従属特許請求項に示される。
【0010】
光学差込接続のための発明に係るプラグ部は、プラグピンとブッシュ状のピンホルダとを有し、ピンホルダはピン受け部分と光導波路受け部分とを含む。ピンホルダのピン受け部分はプラグピンを受け、光導波路ケーブルまたは光導波路の端部は、引張応力に抵抗する態様で光導波路受け部分上に固定することができる。光導波路受け部分は、互いに接続することができる少なくとも2つのケーシング部を有し、少なくとも1つのケーシング部は、当該ケーシング部が開位置と閉位置との間を所定の旋回角度で旋回することができるようなやり方で、ヒンジを用いてピン受け部分上に固定されているかまたは固定することができる。光導波路スタブはプラグピン内に保持され、上記光導波路スタブは長手中央軸に沿って延在し、光導波路ケーブルまたは光導波路の端部に溶接することができる。この場合、溶接されることが意図される光導波路スタブの端部はケーシング部の領域に配置される。ケーシング部の少なくとも一方は、少なくとも2つのケーシング部を接続するために、好ましくは工場で付けられる少なくとも1つの接着層を有する。ケーシング部を接続するための接着層がすでに設けられていることにより、現場条件下での嵌合処理が大幅に容易となる。加えて、組立工はいずれかの別個の接着剤を運搬する必要はなく、正確な測定を現場で行うことは必要ではない。同様に、不適当な取扱いの結果として高感度のプラグおよびツール部が接着剤で汚染されることが回避される。
【0011】
接着層は、いずれもケーシング部の一方の接触面上に配設されることが有利であり、上記接触面は、隣接するケーシング部に対向して位置する。したがって、ケーシング部を互いに容易に接続することができ、光導波路が両側において取囲まれる。
【0012】
接着層は、プラグ部の処理前に保護膜によって被覆することができる。その結果、プラグ部の取扱いが簡略化され、ケーシング部は不適当な態様で互いに付着することがなく、接着層が汚染および乾燥から保護される。保護膜が少なくとも一点において接着層から突出していれば、保護膜を把持し取除くことがより容易に可能である。
【0013】
2つのケーシング部が互いに押付けられ接着剤で接合されるときに、2つのケーシング部の間または2つの接着層の間に配置されている溶接された光導波路が接着層によって完全に包囲されるように、接着層は弾性であることが有利である。同時に、溶接された光導波路は、たとえば湿気といった環境の影響からしたがって保護される。加えて、接着層の弾性により、光導波路の溶接点への不必要な応力が回避される。
【0014】
接着層が80μmから300μmの間、特に100μmから200μmの間、好ましくは125μmから150μmの間の厚さを有し、接着層が対応する弾性を有していれば、光導波路に対応するケーシング部の溝を省くことも可能である。
【0015】
接着層は、両面接着テープからなることができる。これにより、プラグ部のあらかじめの組立てが容易となる。なぜなら、保護膜が標準としてこのようにすでに設けられているためである。
【0016】
接着テープは、基板材料および両側の接着剤からなることもできる。代替的に、接着剤のみからなる接着テープも想定できる。好ましくは、接着剤は光ファイバに好適な物質、たとえばアクリルポリマーである。
【0017】
光導波路受け部分は、ピン受け部分への接続のための上部と2つのケーシング部とを有することができる。上部は、たとえば、ピン受け部分と相互作用するスナップ動作閉鎖部を有することができる。光導波路受け部分とピン受け部分とが互いから分離されていることにより、特性が異なる様々な材料を使用することができる。分離は、2つの部品の製造に関しても利点を有する。
【0018】
加えて、少なくとも1つのケーシング部は、ヒンジを用いて上部に締結される。ヒンジは、ケーシング部が開位置と閉位置との間を特定の旋回角度で旋回することができるように設計されることが有利である。その結果、溶接処理を行うために、ケーシング部を、プラグ部の長手中央軸と平行な初期位置から、溶接処理に意図される光導波路スタブの端部から離れ、開位置へと旋回させることができる。溶接に意図される光導波路スタブの端部はしたがって固定されておらず、溶接のために容易に接近可能である。
【0019】
ピン受け部分と、ケーシング部を有する光導波路受け部分とは、一体的に形成される。たとえば、プラグピンはピン受け部分に鋳造され得る。圧入、または接着剤での接合による組込みといった他の種類の締結が同様に想定できる。現場でのプラグ部の取扱いがこのように簡略化され、さらなる個別の部品が必要ではないため、製造がより安価になる。
【0020】
しかし、ピンホルダは、長手中央軸に沿って組立てることができる2つのシェル部からなることもできる。この場合、ケーシング部が開位置と閉位置との間を特定の旋回角度で旋回することができるように、少なくとも1つのケーシング部がヒンジを用いて1つのシェル部のピン受け部分に締結されれば同様に有利である。この場合、2つのシェル部は各々一体的に形成され、その結果、ほんのわずかな個別の部品のみが設けられる。
【0021】
ピンホルダは、少なくとも部分的にプラスチック材料、特にポリフェニレンオキシド(PPO)からなることが有利である。ヒンジがフィルムヒンジであればさらに有利である。
【0022】
ケーシング部は、正確な嵌合によって上記ケーシング部を結合するために、一方を他方の内部に係合させる位置決め手段を有することができる。このような位置決め手段は、たとえば、突出するボルトもしくは凹部の形態を有するか、または単純なジャーナル/ジャーナル開口部の組合せである。これらの位置決め手段により、ケーシング部が、正確な位置で簡単かつ信頼性の高い態様で組立てられることが確実となる。
【0023】
発明は、図を参照して以下により詳細に説明される。図は、例示的な実施例を例示するにすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】光導波路スタブの嵌合前のピン受け部分を示す図である。
【
図3】光導波路スタブが嵌合された状態の、
図2に示されるピン受け部分を示す図である。
【
図4】光導波路受け部分への接続前の、
図3に示されるピン受け部分を示す図である。
【
図5】
図1に示される組立てられたプラグ部を示す図である。
【
図6】溶接動作中の、
図5に示されるプラグ部を示す図である。
【
図7】保護膜の剥離中の、
図6に示されるプラグ部を示す図である。
【
図8】完全に組立てられたプラグ部を示す図である。
【
図9】
図8に示されるプラグ部の断面を示す図である。
【
図10】プラグハウジングへの挿入前の、
図8に示されるプラグ部を示す図である。
【
図11】完全に組立てられたプラグの断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、長手中央軸3上に配置された、発明に係るプラグ部1の分解図を示す。プラグ部1は、プラグピン2およびピンホルダ4からなり、ピンホルダ4は、ピン受け部分5および光導波路受け部分6を含む。光導波路受け部分6は2つのケーシング部8,8′を有し、それらのケーシング部は、いずれも、フィルムヒンジの形態の1つのヒンジ9,9′によって上部12に接続される。上部12は、光導波路受け部分6をピン受け部分5に接続するために使用され、実質的にブッシュの形態である。この接続のために、光導波路受け部分6およびピン受け部分5は、単純なスナップオン接続を可能とするロック手段(図示せず)を有する。上部12はタブ13を有し、タブ13は、ピン受け部分5の対応する溝形状の回転防止手段36内に嵌合し、ピン受け部分5に対する光導波路受け部分6の回転を不可能にする。2つのケーシング部8,8′は、いずれも1つの接着層25,25′を受けるための接触面11,11′をそれぞれ有する。この場合、2つの接着層25,25′は一方側において保護膜26,26′で保護される。2つのケーシング部8,8′が閉じられている際の正確な位置決めを簡略化するために、上記ケーシング部は、上記ケーシング部のケーブル側端部において、突出するボルトまたは凹部の形態の位置決め手段を有する。
【0026】
図2は、光導波路スタブ21の嵌合前のピン受け部分5を示す。この場合、プラグピン2は、ピン受け部分5にすでに嵌合されている。上記プラグピンは、圧入されるか、接着結合によって組込まれるか、または直接その周囲に射出成形されたピン受け部分5によって封入され得る。他の種類の締結が同様に想定できる。ピン受け部分は、上記ピン受け部分の長手軸と平行な溝形状の回転防止手段36を有し、上記回転防止手段は、第1に、光導波路受け部分(図示せず)のタブを受けるために使用され、第2に、プラグハウジング内での位置合わせされた組込みを確実にする。ピン受け部分5は貫通孔を有し、その結果、光導波路スタブ21の光導波路を、プラグピン2から遠い側からピン受け部分5を経由してプラグピン2内に押込むことができる。加えて、この孔はプラグピン2から遠い側で拡張され、その結果、光導波路に加えて、光導波路スタブ21の第1のプラスチックシースも受けることができる。
【0027】
図3は、光導波路スタブ21が嵌合された状態の、
図2に示されるピン受け部分5を示す。光導波路スタブ21は、接着結合によってピン受け部分5およびプラグピン2に組込まれる。加えて、光導波路スタブ21は正確な長さにすでに短縮されており、溶接されることが意図される光導波路スタブ21の端部22がピン受け部分5から突出する。
【0028】
図4は、光導波路受け部分6への接続前の、
図3に示されるピン受け部分5を示す。光導波路受け部分6のケーシング部8,8′は、両面接着テープの形態の接着層25,25′と、対応する保護膜26,26′とが備え付けられる。接着層25,25′は、その寸法に関して接触面11,11′(
図1参照)に対応する。保護膜26,26′はL字形であり、横方向に接着層と重なり合う。したがって、非最適な環境条件下でも保護膜26,26′を容易に把持することができ、接着層25,25′を問題なく露出させることができる。
【0029】
図5は、
図1および
図4に示される組立てられたプラグ部1を示す。光導波路受け部分は、その上部12がピン受け部分5の上にある状態で設置され、ロック手段によって留められる。上部12のタブ13は、ピン受け部分5の溝形状の回転防止手段36内に配置される。光導波路スタブ21は、上部12の孔から突出し、その結果、溶接される端部22は、光導波路受け部分の2つのケーシング部8,8′の領域に位置することになる。
【0030】
図6は、溶接動作中の、
図5に示されるプラグ部1を示す。光導波路ケーブル7から絶縁材が剥離された光導波路端部23は、溶接されることが意図される光導波路スタブ21の端部22まで導かれ、そこに溶接される。この場合の2つの矢印L,L′は、光導波路の2つの端部22,23を溶接するためのアークを表わす。2つのヒンジ9,9′は、光導波路受け部分の2つのケーシング部8,8′が例示された開位置に旋回することを可能にし、その結果、溶接されることが意図される光導波路スタブ21の端部22または光導波路ケーブル7の光導波路端部23が、溶接動作のためにあらゆる面から自由に接近可能となる。
【0031】
図7は、溶接動作後、保護膜26の剥離中の、
図6に示されるプラグ部1を示す。光導波路ケーブル7はプラグ部1に接続され、光導波路の2つの端部22,23は互いに溶接される。2つのケーシング部8,8′がそれらの閉位置に旋回される前に、2つの接着層25,25′が露出するように各ケーシング部8,8′から保護膜26,26′を剥離する必要がある。
【0032】
図8は、完全に組立てられたプラグ部1を示す。2つのケーシング部8,8′はそれらの閉位置にあり、2つの接着層25,25′によって互いに保持されている。2つのヒンジ9,9′は伸ばされている。光導波路ケーブル7、ピンホルダ4およびプラグピン2は一つのユニットを形成する。
【0033】
図9は、
図8に示される完全に組立てられたプラグ部1の断面を示す。互いに溶接された、光導波路ケーブル7の端部22,23と光導波路スタブ21とが2つのケーシング部8,8′の間に埋設され、接着層25,25′によって完全に取囲まれ、したがって固定される。同様に、光導波路ケーブル7の第1のプラスチックケーシングも2つの接着層26,26′によって取囲まれ、その結果、光導波路または溶接点に第1の歪除去手段が設けられる。
【0034】
図10は、対応するプラグハウジング14への挿入前の、
図8に示されるプラグ部1を示す。プラグ部1は、この場合、そのプラグピン2を先頭にしてプラグハウジング14に差込まれ、そこでプラグ部1が締まる。光導波路ケーブル7の過度な曲げ荷重から保護するために、プラグハウジング14の後端にねじれ防止スリーブ39が設けられる。
【0035】
図11は、完全に組立てられたプラグの断面を示す。プラグ部1は、この場合、プラグハウジング14内に挿入される。プラグ部1をプラグハウジング14内に確実に保持するために、掛止めキャップ37が使用される。掛止めキャップ37のフィンガーは、この場合、プラグ部1のピン受け部分5の外周溝内に係合する。掛止めキャップ37と、したがってプラグ部1とが、ばね38の力に逆らってプラグハウジング14内で移動可能に取付けられる。この場合、ばね38は圧着ネック34上に支持され、圧着ネック34はその後端においてプラグハウジングの境界を定める。ねじれ防止手段39は圧着ネック34上に設置され、光導波路ケーブル7の過度な曲げ荷重を防止する。
【0036】
光導波路ケーブルが、アラミド繊維等の形態の歪除去手段、およびさらなるシースも有する場合、従来の態様で圧着スリーブによって、歪除去手段を圧着ネック34に固く接続することができる。ねじれ防止手段は、このような場合、圧着スリーブ上に係合するように対応して成形される。