(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のスクリーンマスクの交換作業においては、当該スキージの変更が不要な場合であっても、スキージの着脱が必要であった。すなわち、使用直後のスキージには、塗布材料が付着している。従って、スキージに付着した塗布材料がマスク装着エリア内に滴下しやすくなっている。一方、マスク装着エリアには、基板搬送機構や、基板支持機構が臨んでいる。これらの機構に塗布材料が滴下すると、基板が汚れたり、機構の作動に支障を来したりする恐れがある。そのため、従来は、スクリーンマスクの交換が必要な工程では、必ず、スキージを事前に取り外さなければならなかった。ゆえに、段取り作業に手間がかかっていた。また、スキージの汎用性を活かすこともできなかった。
【0005】
また、スキージに付着した塗布材料を長時間放置すると、印刷時に塗布材料の粘度が変化し、品質低下の原因になる。そのため、印刷終了時には、スキージに付着した塗布材料を拭き取る作業が必要になっていた。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、段取り作業やメンテナンス作業を軽減し、スキージの汎用性を活かすことのできるスクリーン印刷装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、基板に塗布材料を印刷するスクリーン印刷装置において、予め設定されたマスク装着エリアに着脱自在に装着されるスクリーンマスクと、前記マスク装着エリアに装着された前記スクリーンマスクの上方に配置され、予め設定された
水平方向をX軸方向とした場合に、このX軸方向と水平に直交するY軸方向に沿うスキージ移動方向に沿って、当該スクリーンマスクに対し相対的に往復移動するスキージと、印刷停止時に前記スキージに摺接して当該スキージに付着した塗布材料を掻き落とす掻取手段とを備え
、前記掻取手段は、アーム部とワイヤ部とを備え、前記ワイヤ部は、前記スキージに対し、前記X軸方向と直交する方向に沿い前記スキージの全幅にわたって当接するように前記アーム部に両端が保持されており、且つ前記スキージに対し、前記X軸方向に沿って移動するものであることを特徴とするスクリーン印刷装置である。この態様では、印刷停止時にスキージに付着している塗布材料を積極的に掻き落とし、清浄することができる。従って、清浄後は、塗布材料がスキージから不随意にマスク装着エリア内に滴下することはない。この結果、スキージを装着させたまま、スクリーンマスクを交換することが可能となる。よって、スクリーンマスクの交換時の着脱作業が飛躍的に簡素化し、段取り作業が容易になる。また、スキージの汎用性を有効に活かすことも可能となる。加えて、生産終了時にスキージに長時間塗布材料が滞留することを防止することも可能となる。そのため、スキージを綺麗な状態に維持し、印刷品質を高く維持することができる。
【0008】
また、上記態様では、スキージに付着した塗布材料をワイヤ部が掻き落とす。通常、塗布材料は、粘性があるので、スキージから塗布材料を掻き落とす際、塗布材料が掻取手段に残留しやすくなる可能性がある。しかしながら、本態様の場合は、ワイヤ部を設けているので、掻取手段に対する塗布材料の接触面積が狭くなる。よって、塗布材料が掻取手段に残留しにくくなる。
【0009】
好ましい態様のスクリーン印刷装置において、前記掻取手段を含む掻取ユニットをさらに備え、前記掻取手段を前記掻取ユニットに対して着脱可能にロックするロック部材と、ロック部材によるロックを手作業で操作するためのノブとをさらに備えている。この態様では、ノブを操作することにより、ロック部材による掻取手段のロックまたはロック解除を手作業で行うことができ、掻取手段の着脱が容易になる。よって、メンテナンス頻度の高い運転状況でも、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0010】
好ましい態様のスクリーン印刷装置において、前記掻取ユニットは、前記掻取手段を加振する加振手段をさらに備えている。この態様では、掻取手段に付着した塗布材料を加振によって振り落とすことができる。よって、掻取手段のメンテナンス性が向上する。
【0011】
好ましい態様のスクリーン印刷装置において、前記掻取ユニットは、他目的のためにスキージの長手方向に沿って往復移動する作動ユニットに付設されている。この態様では、スクリーン印刷装置に一般的に設けられている既設の作動ユニット(例えば、ペースト供給装置や撮像ユニット)を利用して、掻取手段による掻取作業を実行することができる。従って、既設の作動ユニットを汎用化し、部品点数の軽減や、コストの削減に寄与することができる。
【0012】
好ましい態様のスクリーン印刷装置において、前記スクリーンマスクは、前記スキージ移動方向の一端側で作業者が挿抜できるように設けられており、前記掻取手段は、前記スキージ移動方向の他端側にスキージを退避させた位置で前記スキージから塗布材料を掻き落とすものである。この態様では、作業者は、スキージ移動方向の一端側でスクリーンマスクを挿抜することができる。スクリーンの交換時において、スキージは、この作業者と反対側、すなわち、スキージ移動方向の他端側に退避する。そのため、作業者は、スキージからもっとも遠ざかったところでスクリーンマスクの挿抜作業をすることができる。よって、作業者は、スキージに気を取られることなく、簡単にスクリーンマスクの交換作業を実行することができる。スキージ移動方向の一端側は、スキージが往復するときの往動方向下流側(復動方向上流側)であってもよく、往動方向上流側(復動方向下流側)であってもよい。
【0013】
好ましい態様のスクリーン印刷装置において、前記スクリーンマスクの着脱を許容する場所に設置されているとともに、前記掻取手段が掻き落とした塗布材料を回収する受け具をさらに備え、前記掻取手段は、前記受け具の上方で前記スキージから塗布材料を掻き落とすものである。この態様では、掻取手段が掻き落とした塗布材料を受け具に回収することができる。従って、スクリーンマスクの着脱時にスキージに付着した塗布材料が不随意にマスク装着エリア内に滴下することはない。また、回収後の塗布材料の処理も容易になる。しかも、塗布材料の回収は、スクリーンマスクの着脱を許容する場所で実行される。従って、掻取手段が塗布材料を掻き落とす動作と並行して、スクリーンマスクの交換作業を実行することができる。この結果、スキージを装着させたまま、スクリーンマスクを交換することが可能となる。よって、スクリーンマスクの交換時の着脱作業が飛躍的に簡素化し、段取り作業が容易になる。また、スキージの汎用性を有効に活かすことも可能となる。
【0014】
好ましい態様のスクリーン印刷装置において、前記受け具は、前記スクリーンマスクの着脱を許容する場所に着脱自在に固定されている。この態様では、回収後の塗布材料は、受け具を取り外してメンテナンス作業をすることができるので、メンテナンス性も向上する。
【0015】
好ましい態様のスクリーン印刷装置において、前記受け具を取り付ける取付フレームをさらに備え、前記受け具は、磁性体で形成されているとともに、前記取付フレームは、前記受け具をロックする磁石をさらに備えている。この態様では、磁石によって受け具を着脱可能に支持することができ、受け具の取り扱いが容易になる。
【0016】
好ましい態様のスクリーン印刷装置において、前記スキージを上下に駆動する昇降ユニットと、前記昇降ユニットを介して前記スキージを当該スキージ移動方向に沿って往復移動させる走行ユニットと、前記スクリーンマスクの交換時に前記スキージが前記受け具の上方に臨むように前記昇降ユニット並びに前記走行ユニットを制御する制御手段とをさらに備えている。この態様では、制御手段の制御により、スキージを受け具の上方に移動させて、塗布材料の滴下を回避しつつ、スクリーンマスクの交換作業を実行することができる。特に、作業者がスキージ移動方向の一端側でスクリーンマスクを挿抜できるように設けられており、受け具がスキージ移動方向の他端側にスキージを退避させた位置に設けられている場合には、作業者は、スキージを全く意識することなく、スクリーンマスクの交換作業を実行することができる。そのため、作業性が向上する。
【0017】
好ましい態様のスクリーン印刷装置において、前記制御手段は、印刷動作終了後に前記スクリーンマスク内の印刷エリア外にてスキージが摺動し、その後、スキージが前記受け具の上方に移動するように、前記昇降ユニット並びに前記走行ユニットを制御するものである。この態様では、スキージを受け具の上方に移動させるのに先立って、スクリーンマスク内の印刷エリア外に余剰の塗布材料を掻き落とすことができる。従って、スキージの移動中に塗布材料が滴下することを防止できる。
【0018】
好ましい態様のスクリーン印刷装置において、前記スキージは、前記スキージ移動方向に応じてアタック角度が変更される単一の板材であり、前記スキージのアタック角度を変更する角度変更手段をさらに備え、前記制御手段は、前記スクリーンマスクの交換時に前記スキージが垂直ないし垂直付近に傾斜するように前記角度変更手段を制御するものである。この態様では、スクリーンマスクの交換時に前記スキージが受け具の上方に退避した際、スキージから塗布材料が滴下しやすくなり、回収が促進される。また、掻取手段で塗布材料を掻き落とす際も、塗布材料が掻取手段に付着しにくくなる。さらに、掻き落とされた塗布材料が飛び散りにくくなる。
【0019】
好ましい態様のスクリーン印刷装置において、前記スキージは、前記スキージ移動方向に沿って往復する場合の往動時に前記スクリーンマスクと摺接する往動用スキージと、復動時に前記スクリーンマスクと摺接する復動用スキージとによって構成されており、前記掻取手段は、前記往動用スキージと前記復動用スキージの双方に対して摺接する摺接部を有している。この態様では、二つのスキージを一度に清浄することができる。
【0020】
好ましい態様のスクリーン印刷装置において、前記受け具は、使い捨て材料で形成されている。この態様では、受け具を交換することによって、回収された塗布材料を処理することができるので、受け具や塗布材料の取り扱いが容易になる。
好ましい態様において、前記掻取手段は、板金部材であり、前記ワイヤ部は、前記アーム部に形成された開口により形成されている。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、スクリーンマスクの交換時の着脱作業が飛躍的に簡素化し、段取り作業が容易になる。また、スキージの汎用性を有効に活かすことも可能となる。加えて、生産終了時にスキージに長時間塗布材料が滞留することを防止することも可能となる。そのため、スキージを綺麗な状態に維持し、印刷品質を高く維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態において、共通する部材については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るスクリーン印刷装置10の概略構成を示す斜視図である。
図2は、スクリーンマスク1を設置した状態でのスクリーン印刷装置10の平面略図である。加工対象となるプリント基板Wは、スクリーン印刷装置10の左右方向に搬送される。以下の説明では、このときの基板Wの搬送方向に沿う方向をX軸方向とし、スクリーン印刷装置10の前後方向をY軸方向として説明する。
【0025】
図1及び
図2を参照して、スクリーンマスク1は、四隅部の枠2と、枠2に張設されたマスクシート3とを備えている。マスクシート3の略中央部分には、印刷エリア3aが形成されている。印刷エリア3aは、印刷対象となるプリント基板Wに適合する矩形のエリアである。印刷エリア3a内には、対応するプリント基板Wに適合するパターンが形成されている。パターンは、細孔で形成されている。クリームはんだや、導電ペースト等の塗布材料が供給され、圧入されると、塗布材料は、パターンを透過して、プリント基板Wに転写されることになる。なお、以下の説明では、印刷エリア3aの前側のエリアを印刷外前エリア3bと呼称し、印刷エリア3aの後ろ側のエリアを印刷外後エリア3cと呼称する。
【0026】
スクリーンマスク1は、スクリーン印刷装置10に対し、オペレータによって着脱可能に装備される。
【0027】
スクリーン印刷装置10は、基台11を備えている。基台11は、平面視矩形の構造体である。基台11の四隅には、脚部11aが設けられている。
また、基台11の左右には、前後の脚部11a、11a同士を連結する下ビーム11bと、下ビーム11bの上方にて前後の脚部11a、11a同士を連結する上ビーム11cとがそれぞれ設けられている。各下ビーム11bと上ビーム11cとの間には、プリント基板WをX軸方向に沿って搬送する搬送路が形成されている。
【0028】
基台11の上ビーム11cには、スクリーンマスク1を支持するマスク支持機構12が設けられている。マスク支持機構12は、各上ビーム11c、11cの長手方向に沿って、当該上ビーム11c、11cの内側に延設されるマスク受け板12aと、マスク受け板12aの上部(基台11の四隅部)に設けられたクランプユニット12bとを備えている。
【0029】
図3〜
図5に示すように、各マスク受け板12aは、X軸方向に予め設定された間隔を隔てて対向し、同じ高さでY軸方向に沿って水平に延びている。マスク受け板12aは、それぞれスクリーンマスク1の枠2の下面を受けるための部材である。マスク受け板12aの後端部には、スクリーンマスク1の枠2を位置決めする図略のストッパが設けられている。
【0030】
マスク支持機構12のクランプユニット12bは、上ビーム11cに固定されたステー12cと、このステー12cに取り付けられたエアシリンダ12dとを備えている。ステー12cは、基台11の四隅部に配設されている。各ステー12cは、対応するマスク受け板12aとの間で所定の隙間を隔てて当該マスク受け板12aに対し、上下に対向している。そのため、マスク受け板12aとステー12cとの間には、スクリーンマスク1を前後に挿抜する空間が形成される。よって、スクリーンマスク1をスクリーン印刷装置10の前方から挿入し、ストッパで位置決めすることにより、スクリーンマスク1は、基台11によって画定されたマスク装着エリア(
図2のスクリーンマスク1の設置されているエリア)に装着される。各ステー12cに設けられたエアシリンダ12dは、それぞれロッドを下向きに向けて配置されている。エアシリンダ12dは、後述する制御ユニット100によって制御される他、図略操作パネルからの操作によりロッドを伸長させるクランプ状態とロッドを縮長させるクランプ解除状態とに切り換えることが可能になっている。スクリーンマスク1は、これらマスク受け板12aや、クランプユニット12bによって構成される支持機構12により、マスク装着エリアに着脱自在に装着される。
【0031】
X軸方向において、基台11の両側には、図略の基板搬送コンベアが設置される。基板搬送コンベアは、一方が基台11内にプリント基板Wを搬入する搬入コンベアを構成し、他方が基台11からプリント基板Wを搬出する搬出コンベアを構成する。基台11内には、印刷ステージ20が設置される。印刷ステージ20は、搬入コンベアから基板Wを受け取り、予め設定された手順で、基板Wをマスクシート3の下面にリフトする。また、印刷工程が終了した後、基板Wをマスクシート3の下面から下ろし、搬出コンベアに受け渡す。
【0032】
図5を参照して、印刷ステージ20は、4軸ユニット21と、4軸ユニット21の上部に配置される基板支持ユニット22とを備えている。
【0033】
4軸ユニット21は、移動方向の異なる複数のテーブル機構を階層的に備えている。これらのテーブル機構の組み合わせにより、4軸ユニット21は、搬入コンベアにより搬入されたプリント基板Wを水平に維持しつつ、X軸、Y軸、Z軸およびR軸(Z軸回りの回転)方向に変位可能に支持する。4軸ユニット21の各テーブル機構は、モータ類を備えている。各テーブル機構のモータ類は、後述する制御ユニット100により制御される。この制御ユニット100の制御により、4軸ユニット21は、図
4の左側に配置されているカメラユニット26に対し、支持しているプリント基板Wを撮像可能に供する位置に移動可能に構成されている。
【0034】
基板支持ユニット22は、プリント基板Wの下面を受ける複数の支持ピン23と、支持ピン23に支持されたプリント基板Wをクランプするクランプユニット24とを備えている。支持ピン23は、4軸ユニット21に対して昇降可能に取り付けられている。クランプユニット24は、4軸ユニット21に固定される固定部24aと、固定部24aに対してY軸方向に移動することのできる可動部24bとから構成されている。この固定部24aと可動部24bとには、その上端部に対となってプリント基板WをX軸方向に沿って搬入搬出するコンベアベルトがそれぞれ取り付けられている。可動部24bは、プリント基板WのY軸方向寸法に対応して位置調整される。搬入コンベアからクランプユニット24のコンベアベルト上にプリント基板Wが搬入されると、基板支持ユニット22の各支持ピン23が突出してプリント基板Wをその下側(裏面側)から支持すると共に、クランプユニット24によりプリント基板WをY軸方向からクランプする。これにより、プリント基板Wが基板支持ユニット22に対して位置決め状態で固定されるようになっている。そして、4軸ユニット21の昇降機能により、基板支持ユニット22に担持されたプリント基板Wは、マスク支持機構12の両マスク受け板12a、12a間にプリント基板Wを上昇し、スクリーンマスク1のマスクシート3の下面にプリント基板Wを重装する重装位置と、重装位置よりも下側に降下して、基板搬入コンベアまたは基板搬出コンベアにプリント基板Wを供する搬出入位置との間で昇降することができるようになっている。
【0035】
印刷ステージ20には、図略のマスクカメラが設けられている。マスクカメラは、後述するマスク支持機構に支持されたスクリーンマスク1下面の複数のフィデューシャルマーク(図示せず)を撮像してスクリーンマスク1の位置や種類等を識別するための撮像ユニットである。マスクカメラは、印刷ステージ20上に、X軸方向に移動可能に設けられている。また、印刷ステージ20の4軸ユニット21がY軸方向に移動自在であることにより、マスクカメラは、X方向、Y方向に離間した複数のフィデューシャルマーク等を撮像し、それらの位置を認識することが可能になっている。
【0036】
なお、印刷ステージ20のさらなる構成、作用効果等については、例えば、本件出願人が先に提案している特願2009−27310号(特開2010−179628号)に詳細に開示されているので、残余の説明については省略する。
【0037】
次に、
図1〜
図2、
図11を参照して、基台11の後端部分には、X軸方向に延びるビーム13が設けられている。ビーム13は、基台11の上ビーム11cの後端上部に横架されている。ビーム13の側部には、一対のレール14が上下に並んで固定されている。レール14には、カメラユニット26のスライダ26a(
図4参照)が連結されている。また、ビーム13には、ボールねじ機構28が設けられている。ボールねじ機構28は、レール14、14間に配置されて、X軸方向に延びるボールねじ28aと、ボールねじ28aを駆動するモータ28bと、ボールねじ28aに螺合するナット28c(
図4参照)とを備えている。ナット28cは、カメラユニット26に固定されている。よって、カメラユニット26は、レール14に規定される範囲内で、X軸方向に往復移動することができる。カメラユニット26は、基板カメラ27を備えている。基板カメラ27は、プリント基板Wの複数のフィデューシャルマーク等を撮像するための撮像ユニットである。なお、印刷ステージ20の4軸ユニット21がY軸方向に移動自在であることにより、基板カメラ27は、X方向、Y方向に離間した複数のフィデューシャルマーク等を撮像し、それらの位置を認識することが可能になっている。
【0038】
図2〜
図5を参照して、カメラユニット26の前方には、走行ユニット30が配置されている。走行ユニット30は、塗布材料を供給する供給ユニット40と、供給された塗布材料をマスクシート3上でローリングし、パターン内に圧入する印刷ヘッド60とを備えている。
【0039】
走行ユニット30を装備するため、基台11の左右の上ビーム11c上には、それぞれY軸フレーム11eが立設されている。Y軸フレーム11eは、Y軸方向に沿って延びる構造体である。各Y軸フレーム11eの上部には、それぞれレール11fが平行に固定されている。各レール11fの上には、走行ユニット30のスライダ31がそれぞれ二つ一組になって取り付けられている。
【0040】
走行ユニット30の各スライダ31は、レール11fに設定されるストローク範囲内において、前後に移動可能になっている。各スライダ31は、筐体32を担持している。筐体32は、左右にそれぞれ設けられた脚部35と、脚部35、35間をX軸方向に沿って連結するビーム36とを一体に備えた構造体である。脚部35は、対応するスライダ31に固定されるフット部35aと、フット部35aから立設するレグ部35bとをそれぞれ一体に有している。
【0041】
基板搬送方向において、下流側のフット部35aには、ボールねじ機構37が連結されている。ボールねじ機構37は、基板搬送方向において、下流側のY軸フレーム11eに対し、Y軸方向に沿って回転自在に取り付けられたボールねじ37aと、ボールねじ37aを駆動するモータ37bと、ボールねじ37aに螺合するナットを含むスライダ37cとを備えている。モータ37bは、双方向にボールねじ37aを回転させるものである。また、スライダ37cは、上記レグ部35bに固定されている。そして、制御ユニットの制御により、モータ37bが作動すると、その回転方向に応じて、スライダ37cは、前後に移動する。この移動方向
の力が筐体32に伝達され、筐体32は、レール11fに沿って往復移動することができるようになっている。
【0042】
次に、筐体32の各レグ部35b、35b間には、補強板35cが設けられている。補強板35cは、各脚部35の側部とビーム36の下面とに固定されており、筐体32を補強している。補強板35cの前面には、X軸方向に沿って延びるガイドレール38が固定されている。ガイドレール38には、スライダ39を介して供給ユニット40が支持されている。この供給ユニット40は、筐体32に装着されている図略のボールねじ機構により、X軸方向に沿って往復可能に構成されている。
【0043】
次に、
図3〜
図5を参照して、供給ユニット40は、ユニットフレーム41と、ユニットフレーム41の正面に着脱自在に取り付けられる吐出アダプタ42と、吐出アダプタ42に装着される容器43と、容器43を駆動する駆動ユニット44とを備えている。
【0044】
ユニットフレーム41は、ガイドレール38のスライダ39に取り付けられている。そのため、供給ユニット40は、全体として、X軸方向に沿って往復移動することができる。
【0045】
吐出アダプタ42は、上向きに配置される環状のピストンを備えている。ピストン内には、塗布材料の流路が上下に形成されている。流路の下流端には、シャッタ45が形成されており、容器43から流出した塗布材料がこのシャッタ45の開放時に下方に吐出されるようになっている。
【0046】
容器43は、吐出アダプタ42のピストンに適合する有底のシリンダである。容器43は、納品時に塗布材料が充填されている。この容器43の開口に吐出アダプタ42のピストンを挿入させることにより、容器43は、吐出アダプタ42と相対的に変位可能に連結される。また、ピストンの外周には、Oリングが設けられている。Oリングは、容器43と吐出アダプタ42のピストンの相対変位を許容しつつ、両者間の液密性を確保する。また、容器43が吐出アダプタ42に連結されることにより、容器43の塗布材料は、吐出アダプタ42から供給される。容器43と吐出アダプタ42の連結体は、スクリーン印刷装置10の正面側から、ユニットフレーム41に対し、着脱することが可能となっている。
【0047】
駆動ユニット44は、ボールねじ機構やこのボールねじ機構で上下に駆動される加圧部材を備えており、加圧部材によって、容器43を下方に加圧し、容器43の塗布材料を吐出アダプタ42に供給させるためのものである。
【0048】
なお、供給ユニット40のさらなる構成、作用効果等については、例えば、上掲特願2009−27310号(特開2010−179628号)に詳細に開示されているので、残余の説明については省略する。
【0049】
次に、走行ユニット30には、昇降ユニット50を介して、印刷ヘッド60が取り付けられている。印刷ヘッド60は、供給ユニット40の後ろ側に配置されている。印刷ヘッド60は、走行ユニット30によって、筐体32とともに、Y軸方向に沿って往復移動する。以下の説明では、前方から後方に向かって移動するときを仮に往動とし、逆を復動とする。本実施形態においては、走行ユニット30が往復する方向がスキージ移動方向の一例である。
【0050】
図6及び
図7を参照して、印刷ヘッド60は、アルミ等から構成されるメインフレーム61を有している。メインフレーム61は、走行ユニット30の筐体32に設けられた図略のガイドレールによって、Z軸方向にガイドされている。また、昇降ユニット50は、メインフレーム61を介して印刷ヘッド60を上下に昇降させるボールねじ機構51を備えている。ボールねじ機構51は、Z軸方向に沿って当該Z軸回りに回転可能に支持されるボールねじ51aと、ボールねじ51aを駆動するモータユニット51bと、ボールねじ51aに螺合するナット51cとを備えている。ナット51cは、メインフレーム61に取り付けられている。ボールねじ51aの頂部には、入力用のプーリ51dが固定されている。また、モータユニット51bは、プーリ51dに動力を伝達可能に図略のタイミングベルト等で連結されている。よって、印刷ヘッド60は、メインフレーム61を介し、昇降ユニット50によって上下に昇降される。この結果、印刷ヘッド60は、昇降ユニット50によって、
図6(A)に示すようにスクリーンマスク1のマスクシート3上にスキージ91を当接させる降下位置と、
図6(B)に示すようにスクリーンマスク1の上方に浮揚する上昇位置との間で変位することが可能となっている。
【0051】
次に、印刷ヘッド60について、詳述する。
【0052】
印刷ヘッド60のメインフレーム61の下側には、スライド支柱62を介して支持板63がZ軸方向に変位可能に連結されている。この支持板63とメインフレーム61との間には、ロードセル等の圧力センサ64が配置されている。
【0053】
支持板63の下部(下面)には、一対の軸受65が設けられている。各軸受65は、Y軸方向に対向している。軸受65は、Y軸方向に延びる第1支持軸66を回転自在に支持している。第1支持軸66には、サブフレーム67が固定されている。これによりサブフレーム67は、Y軸回りに揺動自在に支持されている。
【0054】
サブフレーム67には、ユニット組付部70と、このユニット組付部70を駆動する駆動機構80とが搭載されている。
【0055】
図7を参照して、ユニット組付部70は、組付板71と、組付板71の長手方向途中部分に突設された一対の連結突起72と、各連結突起72に固定される第2支持軸73とを備えている。
【0056】
組付板71は、X軸方向に細長い長方形の板状部材である。連結突起72は、サブフレーム67を挟んでX軸方向に対向している。第2支持軸73は、連結突起72に固定されている一方、ベアリング等を介して回転可能にサブフレーム67に連結されている。従って、ユニット組付部70は、サブフレーム67に対してX軸回りに揺動自在に支持されている。
【0057】
駆動機構80は、ギヤボックス81と、サーボモータ82とを含んでいる。ギヤボックス81は、サブフレーム67の一端側(
図7の左側)に固定されている。また、ギヤボックス81の一端側には、一対の連結突起72の一端側が配置されている。第2支持軸73のうちその一端は、このギヤボックス81を貫通して一端側の連結突起72に固定されている。
【0058】
第2支持軸73の内、ギヤボックス81内に挿入されている部分には、伝動ギヤ(図示省略)が固定されている。この伝動ギヤには、ギヤボックス81内に支持されたアイドルギヤ(図示省略)が噛合している。サブフレーム67の後側には、駆動源としてのサーボモータ82が固定されている。サーボモータ82は、側面部分に対向し、X軸方向において、ギヤボックス81と反対側に延びている。サーボモータ82の出力ギヤは、ギヤボックス81内に挿入されているとともに、上記アイドルギヤと噛合している。これによりサーボモータ82が作動すると、その回転力が各ギヤを介して第2支持軸73に伝達される。その結果、ユニット組付部70が第2支持軸73回りに回転駆動されるように構成されている。これらサーボモータ82、上記各ギヤおよび第2支持軸73等により、ユニット組付部70の上記駆動機構80が構成されている。
【0059】
ユニット組付部70には、スキージユニット90が着脱自在に組付けられている。スキージユニット90は、スキージ91と、スキージ91を保持するスキージホルダ92とを備えている。
【0060】
スキージ91は、X軸方向に細長い板状部材である。適度な弾力性を持たせるため、スキージ91の材質は、ウレタンゴム、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリエステル等の高分子材料から好適に選択される(図示の実施形態においては、ウレタンゴムを採用している)。スキージ91の一方の面は、はんだを掻き取るための平らな作業面91aを形成している。また、スキージ91の他方の面は、スキージホルダ61に固定される取付面になっている。
【0061】
スキージホルダ92は、スキージ91と同様に、X軸方向に細長い部材である。スキージホルダ92には、一対のボルト93が取り付けられている。ボルト93は、スキージホルダ92をユニット組付部70に重ね合わせたときに、ユニット組付部70の組付板71に形成される案内溝71aに挿通される。各ボルト93には、ナット部材94が螺合する。ナット部材94は、スキージホルダ92との間で、ユニット組付部70を締め付ける。これにより、スキージホルダ92は、ユニット組付部70に対して固定されている。スキージホルダ92の両側には、横漏れ防止板95が回動可能に取り付けられている。横漏れ防止板95は、不図示の捩りばねの作用によりスキージホルダ92と相対的に捩れることができるようになっている。よって、横漏れ防止板95の中心線は、スキージ91の作業面91aと直交する位置となるように、スキージホルダ92に保持される。
【0062】
以上のような印刷ヘッド60は、上述したように、メインフレーム61が昇降ユニット50を介して走行ユニット30に連結されている。そのため、印刷ヘッド60のスキージ91は、スクリーンマスク1に対して相対的に往動または復動し、印刷処理を施す。印刷ヘッド60が往動して印刷する場合を「往路印刷」といい、逆を「復路印刷」という。「往路印刷」では、スキージ91を往動し、印刷外前エリア3bに滞留しているペースト溜SPを印刷外後エリア3cまで移動させて塗布材料をローリングし、印刷エリア3aに塗布材料を練り込んで、印刷動作を実行する。また、「復路印刷」では、印刷外後エリア3cから印刷外前エリア3bに向う復路方向、つまり
後側から
前側に向かうY軸方向に印刷ヘッド
60を移動させることで印刷外後エリア3cに滞留しているペースト溜SPを印刷外前エリア3bまで移動させて実行する印刷動作を意味する。
【0063】
駆動機構80のサーボモータ82は、スキージの印刷動作時の方向に応じて、所定量、ユニット組付部70を回動し、スキージ91のアタック角度を調整する。これにより、往動印刷のときは、往動方向下流側に、復動印刷のときは、復動方向下流側に、スキージ91が前屈みの姿勢に維持される。この結果、スキージ91は、予め設定された鋭角のアタック角度に調整される。図示の実施形態では、駆動機構80がスキージのアタック角度を変更する角度変更手段を構成している。
【0064】
上述した各部のユニットを制御するため、スクリーン印刷装置10は、制御ユニット100を備えている。この制御ユニット100は、マイクロプロセッサ、メモリ、その他の電子機器で構成されており、印刷工程を含む種々のプログラムを実行するプログラム実行部、プログラムに供されるデータ処理部を論理的に構成している。制御ユニット100は、予め記憶されている印刷プログラムにしたがって印刷装置各部を制御して印刷処理を繰り返して行う。また、制御ユニット100は、印刷ステージ20に組み込まれた各種モータやエアシリンダなどのアクチュエータを制御して、プリント基板Wの搬入および搬出、スクリーンマスク1に対するプリント基板Wの位置決めなどを行う。また、制御ユニット100は、供給ユニット40を制御してスクリーンマスク1への塗布材料を供給させる。さらに、制御ユニット100は、スキージ91の動作を制御する。制御ユニット100は、表示/操作ユニットを備えている。表示/操作ユニットは、印刷プログラムの進行状況やエラーメッセージなどを表示したり、作業者が制御ユニット100に対して各種データや指令などの情報を入力するインターフェースの機能を果たすユニットである。また、各部の動作を正確に制御するため、スクリーン印刷装置10には、種々のセンサ類が接続されている。各センサ類は、図略のインターフェースを介して、制御ユニット100に接続されている。
【0065】
次に、印刷動作について説明する。印刷動作においては、まず、段取り工程が実行される。段取り工程においては、搬入コンベアのY軸方向間隔、印刷ステージ20の固定部24aと可動部24bのY軸方向間隔、並びに搬出コンベアのY軸方向間隔がプリント基板Wの幅に合わせて調整される。また、新たなスクリーンマスク1がオペレータによりセットされた後に、クランプユニット12bによりスクリーンマスク1の枠2が基台11に固定配置される。また、所望のスキージ91が組み付けられたスキージホルダ92が、ユニット組付部70に組み付けられる。さらに、スクリーンマスク1の表面には、供給ユニット40から塗布材料が供給されてマスクシート3の表面上に、X軸に沿う塗布材料のペースト溜SPが形成される。
【0066】
段取り工程の後、印刷工程が実行される。印刷工程においては、制御ユニットが予め記憶されている印刷プログラムにしたがってスクリーン印刷装置10の各部を制御し、往路印刷と復路印刷とを交互に切り替えて実行する。
【0067】
この印刷処理の後に、印刷ステージ20の基板支持ユニット22は、プリント基板Wを降下し、再び搬入コンベアと搬出コンベア間にプリント基板Wを位置決めする。そして、上記バックアップおよび基板クランプ動作と逆の動作で印刷済のプリント基板Wをスクリーン印刷装置10から搬出される。
【0068】
以上の動作を一サイクルとして、スクリーン印刷装置10は、予め設定された枚数のプリント基板Wごとに上述した印刷動作を繰り返す。
【0069】
全ての印刷動作が終了した場合、または、別の品番のプリント基板Wを印刷するために、スクリーンマスク1の交換が必要な場合、本第1実施形態では、走行ユニット30並びに昇降ユニット50の機能を利用し、予め設定されたタイミングでスキージ91のしごき動作をするようにしている。
【0070】
図2並びに
図8を参照して、より詳細に説明すると、印刷ヘッド60のスキージ91は、例えば、復動印刷を終了した後、
図8(A)に示す終了位置から上方に浮揚し、
図8(B)に示すように、塗布材料のペースト溜SPを跨いで、
図8(C)に示す、さらに前方の印刷外前エリア3bで降下する。次いで、スキージ91は、スクリーンマスク1のマスクシート3に着地した状態で、復動する。この復動動作により、スキージ91に付着している余剰の塗布材料は、印刷外前エリア3bで除去される。なお、必要に応じて、復動下流端の位置からさらに
図8(D)に示すように上昇し、第2支持軸73(
図7参照)回りに回転してアタック角度を変更し、
図8(E)に示すように、往動してさらなる掻取動作を実行してもよい。この掻取動作により、スキージ91に付着している余剰の塗布材料がマスクシート3の印刷外前エリア3bに掻き落とされる。その結果、スキージ91から塗布材料が滴下するおそれがなくなる。なお、第1実施形態では、スキージ91からの塗布材料の滴下をより確実に防止するため、さらなる対策が講じられている。以下、この点について説明する。
【0071】
まず、
図9〜
図10を参照して、基台11の上ビーム11cには、取付フレーム110が設けられている。取付フレーム110には、受け具120が保持されている。
【0072】
図10を参照して、上記取付フレーム110は、X軸方向に沿って延びるフレーム本体111を備えている。フレーム本体111は、平面視長方形の板金部材である。フレーム本体111の全長は、スクリーンマスク1の枠2よりも所定長さ長く設定されている。フレーム本体111の前部は、矩形に切りかかれている。この矩形の切欠部分は、スクリーンマスク1の枠2よりも長くなっている。フレーム本体111は、マスク装着エリアに装着されたスクリーンマスク1よりも幾分後ろ側で、当該スクリーンマスク1の上方に臨む位置に配置されている。受け具120は、このフレーム本体111の上面に着脱自在に保持されている。そのため、スクリーンマスク1は、取付フレーム110、受け具120に拘わらず、前後に挿抜自在になっている。
【0073】
フレーム本体111の両端部分には、それぞれ前方に延びる一対のアーム112、112が一体に設けられている。アーム112、112は、マスク装着エリアに装着されたスクリーンマスク1の後端側から側部に延びている。各アーム112、112は、概ね矩形の板部114によってフレーム本体111の両端部に固定されている。また、フレーム本体111には、壁部113が立設されている。壁部113、板部114は、受け具120を支持する構造体である。さらに、フレーム本体111の両端部には、受け具120を位置決めする突起115がそれぞれ設けられている。
【0074】
受け具120は、これら壁部113と、板部114の突起115とに位置決めされた状態で、マスク装着エリアに装着されたスクリーンマスク1の枠2上に臨む位置に保持される。図示の例において、受け具120は、磁性を有するステンレススチールで構成されているとともに、壁部113と板部114の適所には、磁石116が取り付けられている。従って、受け具120は、磁石116の磁力によって、定位置にロックされる。
【0075】
受け具120は、平面視長方形に形成された底板121と、底板121の外周縁から立設する壁部122、123を一体に有している。壁部122、123のうち、底板121の前端側は、スキージ91等の干渉を避けるために、低く設定されている。
【0076】
第1実施形態では、所要のタイミングで
図8に示した
しごき動作が実行された後、スキージ91は、水平方向に対して75°に傾斜した姿勢に変位され、
図9に示すように受け具120の上部に臨む位置に移動される。
【0077】
次に、第1実施形態では、スキージ91をより確実に洗浄するために、掻取ユニット140が設けられている。
【0078】
図9、
図11、及び
図12を参照して、第1実施形態において、掻取ユニット140は、カメラユニット26に付設されている。具体的には、掻取ユニット140は、カメラユニット26の基板カメラ27の側部に取り付けられたエアシリンダ141と、このエアシリンダ141のロッド142によってY軸方向に沿って駆動される取付部材143と、取付部材143に着脱自在に取り付けられる掻取金具144と、掻取金具144を取付部材に対し着脱可能にクランプするスタッドねじ145とを備えている。エアシリンダ141は、例えば、カメラユニット26のステー26bに取り付けられており、ロッド142をY軸方向に沿わせている。ロッド142は、例えば、上下一対の部材である。各ロッド142は、略板片状の取付部材143を担持している。取付部材143は、上下に延びる直方体に形成されている。
【0079】
掻取金具144は、取付部材143の取付面(前面)に接合する接合部144aと、接合部144aの幅方向(X軸方向)一端側からY軸方向に沿って延びるアーム部144bと、
アーム部144bに開口を設けることにより、当該アーム部144bの先端側(接合部144aの反対側)に形成されるワイヤ部144cと、アーム部144bの上端縁に延設された補強部144dとを一体に有する板金部材である。
【0080】
接合部144aは、一端側から他端側に向かって開く一対のスリットが形成されている。スリットは、取付部材143に形成された上下一対のねじ孔に対応している。このねじ孔には、ロック部材としてのスタッドねじ145のねじ部が螺合している。スタッドねじ145は、ねじ部よりも大径のノブ145aを有しており、このノブ145aを把持して作業者が工具を使わずにねじ部を取付部材143のねじ孔に螺合/螺脱させることができるようになっている。取付時において、接合部144aは、スタッドねじ145との間で取付部材143に挟圧される。よって、接合部144aは、取付部材143に対し、着脱自在に保持される。なお、図示の実施形態において、ノブ145aには、工具での操作を可能にするための溝が頂部に形成されている。
【0081】
アーム部144bは、全体として台形型の板材であり、その先端側(Y軸方向前方)のワイヤ部144cは、スキージ91の傾斜角度に対応して、例えば、水平面に対し75°に傾斜している。ワイヤ部144cは、アーム部144bに形成された開口により、細い線状を呈している。このワイヤ部144cは、作動時に、スキージ91の作業面91aの全幅に沿って当接し、スキージ91に対し、X軸方向に沿って往復移動する。この動作により、ワイヤ部144cは、スキージ91の作業面91aに残留している塗布材料を強制的に下方の受け具120内に掻き落とす。この際、ワイヤ部144cが細い線状を呈しているので、ワイヤ部144cが掻き落とした塗布材料は、ワイヤ部144cを伝って下方に滴下しやすくなる。そのため、ワイヤ部144cに塗布材料が固着しにくくなる。
【0082】
掻取ユニット140のエアシリンダ141は、制御ユニット100の制御により、受け具120の上方に臨む掻取位置にて、前後に微動(加振動作)することができるようになっている。この加振動作により、ワイヤ部144cに付着した塗布材料は、受け具120内に強制的に振り落とされる。
【0083】
上述した構成では、制御ユニット100は、例えば、ロット生産ごとにスキージ91のしごき動作を実行する。このしごき動作では、
図8(A)〜(E)で説明したように、スクリーンマスク1のマスクシート3に設定される印刷外前エリア3bまたは印刷外後エリア3cで、スキージ91に付着している塗布材料がしごき落とされる。その後、制御ユニット100は、印刷ヘッド60を移動し、スキージ91を受け具120の上方に臨ませる。この受け具120の上方では、掻取ユニット140の掻取金具144が臨んでいる。制御ユニット100は、必要に応じて、カメラユニット26を駆動するボールねじ機構28のモータ28bを作動させる。これにより、掻取金具144のワイヤ部144cがスキージ91の作業面91aに当接した状態で、スキージ91に対し、相対的にX軸方向に摺動することができる。この摺動動作により、スキージ91の作業面91aに残留している塗布材料が確実に掻き落とされる。掻き落とされた塗布材料は、受け具120内に確実に捕集される。よって、塗布材料が飛散して、スクリーン印刷装置10内を汚す恐れはない。
【0084】
別の態様において、印刷動作が終了した後、しごき動作(
図8)を省略して、直ちにスキージ91を受け具120の上方に移動し、掻取動作を実行してもよい。
【0085】
オペレータは、スキージ91が受け具120に移動した時点で、スクリーンマスク1の交換作業を実行することができる。この場合、スキージ91の清浄作業と平行してスクリーンマスク1の交換作業が実行されるので、段取り時間を格段に短縮することができる。
【0086】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について、
図14及び
図15を参照しながら説明する。
【0087】
各図に示すように、第2実施形態では、掻取ユニット140が供給ユニット40に取り付けられている。第2実施形態に係る供給ユニット40の吐出アダプタ42には、ステー46が付設されており、このステー46に掻取ユニット140のエアシリンダ141が取り付けられている。エアシリンダ141のロッド142は、前方から後方に向かって、スキージ90に臨んでいる。供給ユニット40と印刷ヘッド60とは、走行ユニット30に取り付けられているため、両者は、Y軸方向においては、一体的に移動する。そのため、スキージ91と掻取ユニット140の掻取金具144(のワイヤ部144c)との対向間隔は、スキージ91の回動動作に支障を来さない間隔に設定されている。これとともに、掻取ユニット140のエアシリンダ141のロッド142は、掻取金具144がスキージ91の回動動作を許容する退避位置(
図14に示す位置)と掻取金具144がスキージ91の作業面91aに接合する摺接位置(
図15に示す位置)との間で変位することができるように設定されている。
【0088】
残余の点については、第1実施形態と同様である。
【0089】
第2実施形態においても、所要のタイミングで掻取ユニット140によるスキージ91の清浄動作を実行することができる。
【0090】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
【0091】
第3実施形態では、印刷ヘッド160として、2本のスキージ91A、91Bを有するダブルスキージタイプのものが採用されている。
【0092】
ダブルスキージタイプの印刷ヘッド160は、往動印刷に用いられる往動ユニット160Aと、復動印刷に用いられる復動ユニット160Bとが同一のメインフレーム161に取り付けられたものである。各ユニット160A、160Bは、昇降ユニット162A、162Bを有しており、スキージ組付部163A、163Bを上下に昇降可能に構成されている。各スキージ組付部163A、163Bは、それぞれ対応する移動方向に適合したアタック角度でスキージ91A、91Bを担持している。そして、往動印刷を実行する際には、往動ユニット160Aのスキージ91Aが降下され、復動ユニット160Bのスキージ91Bが浮揚されて、走行ユニットが往動する。また、復動印刷を実行する際には、往動ユニット160Aのスキージ91Aが浮揚され、復動ユニット160Bのスキージ91Bが降下されて、走行ユニットが復動する。
【0093】
制御ユニット100は、印刷動作に応じて、往動ユニット160Aと復動ユニット160Bとを選択的に制御する。また、これと同時に、所要のスキージクリーニング動作時に、両ユニット160A、160Bのスキージ91A、91Bを何れも上昇/降下させて、掻取ユニット240に供することができる。
【0094】
第3実施形態の掻取ユニット240は、ダブルスキージタイプの印刷ヘッド160に対応する掻取金具241を備えている。この掻取金具241は、往動用のスキージ91Aの角度に応じて傾斜する往動用ワイヤ部241aと、復動用のスキージ91Bの角度に応じて傾斜する復動用ワイヤ部241bとを備えている。往動用ワイヤ部241aと復動用ワイヤ部241bとは、左右対称形に配置されており、往動ユニット160Aのスキージ91Aと復動ユニット160Bのスキージ91Bとが同じ高さの場合、両スキージ91A、91Bに対して同時に摺接可能な諸元に設定されている。
【0095】
この結果、
図16に示すように、往動ユニット160Aのスキージ91Aと復動ユニット160Bのスキージ91Bとを同じ高さに揃えて一旦、掻取金具241の上方に臨ませ、その後、両ユニット160A、160Bのスキージ91A、91Bを降下させることにより、
図17に示すように、両スキージ91A、91Bは、それぞれ対応するワイヤ部241a、241bに摺接する。この状態で、掻取ユニット240をX軸方向に駆動すると、掻取金具241は、両スキージ91A、91Bに対し、相対的に移動するので、両スキージ91A、91Bの作業面91a、91aに付着した塗布材料は、ワイヤ部241a、241bによって強制的に掻き落とされ、受け具120内に捕集される。
【0096】
掻取ユニット240は、第1実施形態と同様に、カメラユニットに取り付けられていてもよく、或いは、第2実施形態と同様に、供給ユニットに取り付けられていてもよい。
【0097】
図16並びに
図17に示すように、第3実施形態においても、受け具120が設けられている。第3実施形態に係る受け具120は、印刷ヘッド160がダブルスキージタイプであることを反映して、往動ユニット160A並びに復動ユニット160Bの双方が一度に下方に臨む諸元(特にY軸方向の寸法)に設定されている。これにより、受け具120は、両スキージ91A、91Bの作業面91a、91aに付着した塗布材料がワイヤ部241a、241bによって強制的に掻き落とされた際、確実に捕集することができる。
【0098】
また、第3実施形態では、制御ユニットのプログラムにより、両スキージ91A、91Bをスクリーンマスク1のしごき動作を実行することが可能になっている。
【0099】
図18を参照して、より詳細に説明すると、例えば、復動印刷を実行している場合、復動ユニット160Bのスキージ91Bは、復動印刷の終了後に
図18(A)に示す終了位置から上方に浮揚する。次いで、印刷ヘッド160が全体として復動し、
図18(B)に示すように、塗布材料のペースト溜SPを跨ぐ。次いで、
図18(C)に示す、さらに前方の印刷外前エリア3bで復動ユニット160Bのスキージ91Bが降下する。その後、復動ユニット160Bのスキージ91Bは、スクリーンマスク1のマスクシート3に着地した状態で、復動する。この復動動作により、復動ユニット160Bのスキージ91Bに付着している余剰の塗布材料は、印刷外前エリア3bで除去される。なお、必要に応じて、
図18(D)に示すように、復動下流端の位置から復動ユニット160Bのスキージ91Bを浮揚させる一方、往動ユニット160Aのスキージ91Aを降下させ、
図18(E)に示すように、往動してさらなる
しごき動作を実行してもよい。この
しごき動作により、往動ユニット160Aのスキージ91Aに付着している余剰の塗布材料もマスクシート3の印刷外前エリア3bに掻き落とされる。その結果、両スキージ91A、91Bから塗布材料が滴下するおそれがなくなる。
【0100】
以上説明したように、本発明に係る各実施形態では、印刷停止時にスキージ91、91A、91Bに付着している塗布材料を積極的に掻き落とし、清浄することができる。従って、清浄後は、塗布材料がスキージ91、91A、91Bから不随意にマスク装着エリア内に滴下することはない。この結果、スキージ91、91A、91Bを装着させたまま、スクリーンマスク1を交換することが可能となる。よって、スクリーンマスク1の交換時の着脱作業が飛躍的に簡素化し、段取り作業が容易になる。また、スキージ91、91A、91Bの汎用性を有効に活かすことも可能となる。加えて、生産終了時にスキージ91、91A、91Bに長時間塗布材料が滞留することを防止することも可能となる。そのため、スキージ91、91A、91Bを綺麗な状態に維持し、印刷品質を高く維持することができる。
【0101】
また、各実施形態では、掻取金具144、241は、スキージ91、91A、91Bに摺接するワイヤ部144c、241a、241bを含んでいる。スキージ91、91A、91Bに付着した塗布材料は、ワイヤ部144cが掻き落とす。通常、塗布材料は、粘性があるので、スキージ91、91A、91Bから塗布材料を掻き落とす際、塗布材料が掻取金具144、241に残留しやすくなる可能性がある。しかしながら、各実施形態では、ワイヤ部144c、241a、241bを設けているので、掻取金具144、241に対する塗布材料の接触面積が狭くなる。よって、塗布材料が掻取金具144、241に残留しにくくなる。掻き落とされた塗布材料は、受け具120に回収される。従って、スクリーン印刷装置10を綺麗な状態に維持し、段取り換えの作業性を向上することができる。
【0102】
また、各実施形態では、掻取金具144、241を含む掻取ユニット240をさらに備え、掻取金具144、241を掻取ユニット240に対して着脱可能にロックするロック部材としてのスタッドねじ145を備えている。スタッドねじ145は、当該スタッドねじ145によるロックを手作業で操作するためのノブ145aを備えている。このため各実施形態では、ノブ145aを操作することにより、スタッドねじ145による掻取金具144、241のロックまたはロック解除を手作業で行うことができ、掻取金具144、241の着脱が容易になる。よって、メンテナンス頻度の高い運転状況でも、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0103】
また、各実施形態では、掻取ユニット240は、掻取金具144、241を加振する加振手段としてのエアシリンダ141をさらに備えている。このため各実施形態では、掻取金具144、241に付着した塗布材料を加振によって振り落とすことができる。よって、掻取金具144、241のメンテナンス性が向上する。
【0104】
また、各実施形態では、掻取ユニット240は、他目的のためにスキージ91、91A、91Bの長手方向に沿って往復移動する既設の作動ユニット(撮像ユニット26または供給ユニット40)に付設されている。このため各実施形態では、スクリーン印刷装置10に一般的に設けられている既設の作動ユニットを利用して、掻取金具144、241による掻取作業を実行することができる。従って、既設の作動ユニットを汎用化し、部品点数の軽減や、コストの削減に寄与することができる。
【0105】
また、各実施形態では、スクリーンマスク1は、Y軸方向の前側(一端側)で作業者が挿抜できるように設けられており、掻取金具144、241は、Y軸方向の後ろ側(他端側)にスキージ91、91A、91Bを退避させる位置でスキージ91、91A、91Bから塗布材料を掻き落とすものである。このため各実施形態では、作業者は、Y軸方向の前側でスクリーンマスク1を挿抜することができる。スクリーンの交換時において、スキージ91、91A、91Bは、この作業者と反対側、すなわち、Y軸方向の後ろ側に退避する。そのため、作業者は、スキージ91、91A、91Bからもっとも遠ざかったところでスクリーンマスク1の挿抜作業をすることができる。よって、作業者は、スキージ91、91A、91Bに気を取られることなく、簡単にスクリーンマスク1の交換作業を実行することができる。
【0106】
また、各実施形態では、スクリーンマスク1の着脱を許容する場所に設置されているとともに、掻取金具144、241が掻き落とした塗布材料を回収する受け具120をさらに備え、掻取金具144、241は、受け具120の上方で印刷停止時のスキージ91、91A、91Bから塗布材料を掻き落とすものである。このため各実施形態では、掻取金具144、241が掻き落とした塗布材料を受け具120に回収することができる。従って、スクリーンマスク1の着脱時にスキージ91、91A、91Bに付着した塗布材料が不随意にマスク装着エリア内に滴下することはない。また、回収後の塗布材料の処理も容易になる。しかも、塗布材料の回収は、スクリーンマスク1の着脱を許容する場所で実行される。従って、掻取金具144、241が塗布材料を掻き落とす動作と並行して、スクリーンマスク1の交換作業を実行することができる。この結果、スキージ91、91A、91Bを装着させたまま、スクリーンマスク1を交換することが可能となる。よって、スクリーンマスク1の交換時の着脱作業が飛躍的に簡素化し、段取り作業が容易になる。また、スキージ91、91A、91Bの汎用性を有効に活かすことも可能となる。
【0107】
また、各実施形態では、受け具120は、スクリーンマスク1の着脱を許容する場所に着脱自在に固定されている。このため各実施形態では、回収後の塗布材料は、受け具120を取り外してメンテナンス作業をすることができるので、メンテナンス性も向上する。
【0108】
また、各実施形態では、受け具120を取り付ける取付フレーム110をさらに備え、受け具120は、磁性体で形成されているとともに、取付フレーム110は、受け具120を回収エリアにロックする磁石116をさらに備えている。このため各実施形態では、磁石116によって受け具120を着脱可能に支持することができ、受け具120の取り扱いが容易になる。
【0109】
また、各実施形態では、スキージ91、91A、91Bを上下に駆動する昇降ユニット50と、昇降ユニット50を介してスキージ91、91A、91Bを当該Y軸方向に沿って往復移動させる走行ユニット30と、スクリーンマスク1の交換時にスキージ91、91A、91Bが受け具120の上方に臨むように昇降ユニット50並びに走行ユニット30を制御する制御ユニット100とをさらに備えている。このため各実施形態では、制御ユニット100の制御により、スキージ91、91A、91Bを受け具120の上方に移動させて、塗布材料の滴下を回避しつつ、スクリーンマスク1の交換作業を実行することができる。特に、作業者がY軸方向の一端側でスクリーンマスク1を挿抜できるように設けられており、受け具120がY軸方向の他端側にスキージ91、91A、91Bを退避させる位置に設けられている場合には、作業者は、スキージ91、91A、91Bを全く意識することなく、スクリーンマスク1の交換作業を実行することができる。そのため、作業性が向上する。
【0110】
また、各実施形態では、制御ユニット100は、印刷動作終了後にスクリーンマスク1内の印刷エリア外にてスキージ91、91A、91Bが摺動し、その後、スキージ91、91A、91Bが受け具120の上方に移動するように、昇降ユニット50並びに走行ユニット30を制御する。このため各実施形態では、スキージ91、91A、91Bを受け具120の上方に移動させるのに先立って、スクリーンマスク1内の印刷エリア外に余剰の塗布材料を掻き落とすことができる。従って、スキージ91、91A、91Bの移動中に塗布材料が滴下することを防止できる。
【0111】
また、第1、第2実施形態では、スキージ91は、Y軸方向に応じてアタック角度が変更される単一の板材であり、スキージ91のアタック角度を変更する角度変更手段としてのギヤボックス81、サーボモータ82、第2支持軸73等をさらに備え、制御ユニット100は、スクリーンマスク1の交換時にスキージ91が垂直ないし垂直付近(例えば、75°)に傾斜するように角度変更手段を制御するものである。このため各実施形態では、スクリーンマスク1の交換時にスキージ91が受け具120の上方に退避した際、スキージ91から塗布材料が滴下しやすくなり、回収が促進される。また、掻取金具144で塗布材料を掻き落とす際も、塗布材料が掻取金具144に付着しにくくなる。さらに、掻き落とされた塗布材料が飛び散りにくくなる。
【0112】
また、第3実施形態では、スキージ91A、91Bは、Y軸方向に沿って往復する場合の往動時にスクリーンマスク1と摺接する往動用スキージ91Aと、復動時にスクリーンマスク1と摺接する復動用スキージ91Bとによって構成されており、掻取金具241は、往動用スキージ91Aと復動用スキージ91Bの双方に対して摺接する摺接部としてのワイヤ部241a、241bを有している。このため各実施形態では、二つのスキージ91A、91Bを一度に清浄することができる。
【0113】
上述した各実施形態において、受け具120は、使い捨て材料で形成されてもよい。使い捨て材料としては、紙、プラスチックが好適である。その場合には、受け具120を交換することによって、回収された塗布材料を処理することができるので、受け具120や塗布材料の取り扱いが容易になる。
【0114】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることはいうまでもない。