特許第5666529号(P5666529)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社富士通エフサスの特許一覧

<>
  • 特許5666529-浸水検知システム 図000002
  • 特許5666529-浸水検知システム 図000003
  • 特許5666529-浸水検知システム 図000004
  • 特許5666529-浸水検知システム 図000005
  • 特許5666529-浸水検知システム 図000006
  • 特許5666529-浸水検知システム 図000007
  • 特許5666529-浸水検知システム 図000008
  • 特許5666529-浸水検知システム 図000009
  • 特許5666529-浸水検知システム 図000010
  • 特許5666529-浸水検知システム 図000011
  • 特許5666529-浸水検知システム 図000012
  • 特許5666529-浸水検知システム 図000013
  • 特許5666529-浸水検知システム 図000014
  • 特許5666529-浸水検知システム 図000015
  • 特許5666529-浸水検知システム 図000016
  • 特許5666529-浸水検知システム 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666529
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】浸水検知システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/18 20060101AFI20150122BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20150122BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
   G08B21/18
   G08B25/08 A
   H04Q9/00 311J
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-211277(P2012-211277)
(22)【出願日】2012年9月25日
(65)【公開番号】特開2014-67172(P2014-67172A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2013年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】598057291
【氏名又は名称】株式会社富士通エフサス
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】大宅 悟
(72)【発明者】
【氏名】光宗 徹
(72)【発明者】
【氏名】大木 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】宇田津 貴之
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−117256(JP,A)
【文献】 特開2000−295793(JP,A)
【文献】 特開2000−295792(JP,A)
【文献】 特開2007−183874(JP,A)
【文献】 特開2003−256907(JP,A)
【文献】 特開2010−277209(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0185185(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0103904(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 19/00−21/24
G08B 23/00−31/00
H03J 9/00−9/06
H04Q 9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸水検知装置と、情報収集装置と、管理サーバとを備えた浸水検知システムであって、
前記浸水検知装置は、
電子機器の設置位置よりも高い位置に設置され、かつ、前記電子機器とは異なる電源で駆動し、前記電子機器が浸水したか否かの浸水の判定結果を前記情報収集装置に通知する浸水検知部と、
前記電子機器の設置位置よりも高い位置に設置され、かつ、前記電子機器とは異なる電源で駆動し、前記電子機器に流れている電流値の情報を前記情報収集装置に通知する電流検知部とを有し、
前記情報収集装置は、
前記浸水検知部から通知された浸水の判定結果および前記電検知部から通知された電流値の情報に基づいて、前記電子機器が浸水した時点の電流値の情報を前記管理サーバに送信する送信部を有し、
前記管理サーバは、
前記送信部から前記電子機器が浸水した時点の電流値の情報を受信し、受信した電子機器が浸水した時点の電流値の情報を基にして、前記電子機器について、電流値が0である場合に浸水したのか、電流値が0でない場合に浸水したか否かを判定する判定部を有する
ことを特徴とする浸水検出システム。
【請求項2】
前記電子機器の異なる位置に複数の浸水センサーがそれぞれ設置され、前記浸水検知部は、前記複数の浸水センサー毎に浸水センサーまで浸水したか否かを判定し、浸水センサー毎の浸水の判定結果を前記情報収集装置に通知することを特徴とする請求項1に記載の浸水検知システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸水検知装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
台風などの影響により大きな水害が発生すると、水害発生地域のオフィスや工場に設置されている電子機器が浸水してしまう場合がある。電子機器が浸水してしまうと、外観に大きな損傷がなくても、電子部品のショートや、金属の腐食が原因となり、電子機器が正常に動作しなくなる。このため、保守作業員は、浸水した全ての電子機器を交換することとなる。
【0003】
従来、電子機器の浸水を検出する各種の従来技術が存在する。例えば、浸水センサーから電子機器までの体積から、筐体に浸水した水が電子機器に到達するまでの時間を計算して外部に通知する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−198095号公報
【特許文献2】特開2005−94526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、電子機器が通電中に浸水したか否かを検出することができないという問題があった。
【0006】
規模の大きな水害で、多数の電子機器が浸水した場合に、浸水した全ての電子機器を一度に交換すると、交換対象となる電子機器の数が多くなり、予備の電子機器が不足する場合がある。ここで、浸水した電子機器を交換することは大前提ではあるものの、電子機器が通電中に浸水したか否かによって対応を変えることができる。
【0007】
例えば、通電中に電子機器が浸水した場合には、電子機器はほぼ全損であり交換が必須となる。これに対して、電源断の状態で電子機器が浸水した場合には、保守対象として品質の面からは交換必須であるが、乾燥させた後に、係る電子機器を暫定的に動作させることができる場合がある。
【0008】
このため、多数の電子機器が浸水した場合には、通電中に浸水した電子機器を優先的に交換し、通電中に浸水しなかった電子機器を暫定的に稼働させる措置をとることで、一時的な予備の電子機器の不足を補うことが可能である。しかし、上記の従来技術では、浸水したことは判断できても、通電中に浸水したのか否かを区別することができない。
【0009】
更に、現状では、保守作業員が現場に出動し、浸水した電子機器を乾燥した後、電子機器が動作するか否かを確認しているため、保守作業員の作業時間が長時間になっている。特に、交通の便が悪い地域に設置されたATM(Automated Teller Machine)等の大型の電子機器に対して浸水による保守作業を行う場合には、保守作業員が出動して修理、交換するための作業時間が長くなり作業員にかかる負担も大きい。
【0010】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、電子機器が通電中に浸水したか否かを検出することができる水検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
開示の浸水検知装置は、浸水検知部と、電流検知部とを有する。浸水検知部は、電子機器の設置位置よりも高い位置に設置され、かつ、電子機器とは異なる電源で駆動し、電子機器が浸水したか否かの浸水の判定結果を情報収集装置に通知する。電流検知部は、電子機器の設置位置よりも高い位置に設置され、かつ、電子機器とは異なる電源で駆動し、電子機器に電流が流れているか否かの電流の判定結果を情報収集装置に通知する。
【発明の効果】
【0012】
開示の浸水検知装置によれば、電子機器が通電中に浸水したか否かを検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施例に係る浸水検知システムの構成を示す図である。
図2図2は、ATM、浸水検出装置、情報収集装置の各構成を示す図である。
図3図3は、送信部が生成する通知メールのデータ構造の一例を示す図である。
図4図4は、本実施例に係る管理サーバの構成を示す機能ブロック図である。
図5図5は、支店テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図6図6は、ATM管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図7図7は、SDB情報テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図8図8は、障害状況テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図9図9は、電源障害が発生した旨の情報の一例を示す図である。
図10図10は、通電中に浸水した旨の情報の一例を示す図である。
図11図11は、通電していない間に浸水した旨の情報の一例を示す図である。
図12図12は、集計結果の一例を示す図である。
図13図13は、本実施例に係る情報収集装置の処理手順を示すフローチャートである。
図14図14は、管理サーバの処理手順を示すフローチャート(1)である。
図15図15は、管理サーバの処理手順を示すフローチャート(2)である。
図16図16は、その他の実施例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本願の開示する水検知システムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0015】
本実施例に係る浸水検知システムの構成の一例について説明する。図1は、本実施例に係る浸水検知システムの構成を示す図である。図1に示すように、この浸水検知システムは、ATM(Automated Teller Machine)20、浸水検知装置100、情報収集装置200、管理サーバ300を有する。情報収集装置200および管理サーバ300は、ネットワーク50を介して相互に接続される。
【0016】
このうち、ATM20、浸水検知装置100、情報収集装置200は、銀行の支店に設置されている。例えば、ATM20、浸水検知装置100、情報収集装置200は、エフサス銀行第1支店10に設置されている。図1に示す例では、エフサス銀行第1支店10のみを示すが、このシステムは、その他のATM、浸水検知装置、情報収集装置を有していても良い。
【0017】
ATM20は、銀行や郵便局などに設置される現金自動預け払い機である。本実施例では一例として、ATMを用いて説明を行うが、設置型の電子機器であれば、どのような電子機器であっても良い。
【0018】
浸水検知装置100は、ATM20が浸水したか否かの浸水の判定結果を情報収集装置200に通知する。また、浸水検知装置100は、ATM20に電流が流れているか否かの電流の判定結果を情報収集装置200に通知する。
【0019】
浸水検知装置100は、ATM20の設置位置よりも高い位置に設置されているものとする。このように、浸水検知装置100を設置することで、ATM20よりも浸水被害を受けにくくし、ATM20よりも浸水被害を受ける時間が遅くなり、ATM20の浸水被害時の通電状態を検出することが可能となる。
【0020】
情報収集装置200は、浸水検知装置100から、浸水の判定結果および電流の判定結果を取得し、取得した浸水の判定結果および電流の判定結果を管理サーバ300に送信する装置である。
【0021】
管理サーバ300は、情報収集装置200から浸水の判定結果および電流の判定結果を受信し、受信した浸水の判定結果および電流の判定結果を基にして、ATM20が通電中に浸水したか否かを判定する装置である。
【0022】
次に、図1に示した、ATM20、浸水検出装置100、情報収集装置200の構成の一例について説明する。図2は、ATM、浸水検出装置、情報収集装置の各構成を示す図である。
【0023】
図2において、ATM用電源30aは、ATM20に電力を供給する電源装置である。ATM用電源30aとATM20とは電線31によって接続される。また、電線31には、電力を測定するためのコード40bが接続されている。コード40bは、電流検知部103に接続される。
【0024】
UPS用電源30bは、浸水検知装置100および情報収集装置200に電力を供給する電源装置である。浸水検知装置100とUPS用電源30bとは電線32によって接続される。情報収集装置200とUPS用電源30bとは電線33によって接続される。例えば、UPS用電源30bの設置位置は、少なくとも、ATM用電源30aよりも高い位置に設置されているものとする。
【0025】
ATM20は、電源部21と制御部22を有する。電源部21は、ATM用電源30aから電力の供給を受け、係る電力により、制御部22に電力を供給する装置である。例えば、電源部21の底面には、浸水コードセンサー40aが設置されている。浸水コードセンサー40aは、水を検知したか否かの情報を浸水検知部102に出力する浸水センサーである。
【0026】
制御部22は、電源部21からの電力供給を受けて、現金自動預け払いに関する各種の処理を実行する処理部である。ATM20のその他の機能は、従来のATMと同様であるため、その他の説明は省略する。
【0027】
浸水検知装置100は、無停電電源部101と、浸水検知部102と、電流検知部103とを有する。無停電電源部101は、UPS用電源30bから電力の供給受け、係る電力により、浸水検知部102および電流検知部103に電力を供給するUPS(Uninterruptible Power Supply)である。無停電電源部101は、UPS用電源30bから電力供給が途絶えても、一定時間、浸水検知部102および電流検知部103に電力を供給する。
【0028】
浸水検知部102は、浸水コードセンサー40aに接続され、ATM20が浸水したか否かを判定し、浸水の判定結果を情報収集装置200に通知する処理部である。浸水検知部102は、浸水コードセンサー40aから水を検知した旨の情報を取得している間、デジタル値「1」を情報収集装置200に出力する。一方、浸水検知部102は、浸水コードセンサー40aから水を検知していない旨の情報を取得している間、デジタル値「0」を情報収集装置200に出力する。
【0029】
電流検知部103は、コード40bを介して、電線31を流れる電流値をモニタリングすることで、ATM20に電流が流れているか否かの電流の判定結果を情報収集装置200に通知する処理部である。電流検知部103は、電流値が「0A」になった場合に、電流値が「0A」になった旨の情報を、情報収集装置200に通知する。一方、電流検知部103は、電流値が「0A」よりも大きい場合には、電流値が「0A」ではない旨の情報を、情報収集装置200に通知する。
【0030】
電流検知部103は、無線通信を利用して、電流の判定結果を情報収集装置200に送信しても良い。また、電流検知部103は、所定時間毎に電流値を読み取り、電流の判定結果を、情報収集装置200に送信しても良い。
【0031】
なお、無停電電源部101、浸水検知部102、電流検知部103の設置位置は、少なくとも、ATM10の電源部21よりも高い位置であれば良い。
【0032】
情報収集装置200は、通信部201、I/O変換部202、受信部203、制御部204を有する。情報収集装置200は、UPS用電源30bから電力の供給を受けて駆動する。
【0033】
通信部201は、ネットワーク50を介して、管理サーバ300とデータ通信を行う処理部である。後述する制御部204は、通信部201を利用して、管理サーバ300とデータをやり取りする。例えば、通信部201は、通信装置に対応する。
【0034】
I/O変換部202は、浸水検知部102から取得するデジタル値が「0」から「1」に変化した場合に、デジタル値が「1」になった旨の情報(SNMPトラップ)を、制御部204に出力する。一方、I/O変換部202は、浸水検知部102から取得するデジタル値が「1」から「0」に変化した場合に、デジタル値が「0」になった旨の情報(SNMPトラップ)を、制御部204に出力する。
【0035】
受信部203は、電流の判定結果を電流検知部103から受信し、受信した電流の判定結果の情報を内部メモリに順次蓄積する。この電流の判定結果には、電流値が「0A」となった旨の情報、または、電流値が「0A」となっていない旨の情報が含まれる。例えば、受信部203は、無線通信によって、電流検知部103から電流の判定結果の情報を取得する。
【0036】
制御部204は、送信部204aを有する。制御部204は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積装置に対応する。また、制御部204は、例えば、CPUやMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路に対応する。
【0037】
送信部204aは、浸水検知装置100から通知された浸水の判定結果および電流の判定結果を、管理サーバ300に送信する処理部である。例えば、送信部204は、浸水検知部102から出力されるデジタル値が「0」から「1」に変化した場合に、通知メールを生成し、通知メールを管理サーバ300に送信する。
【0038】
図3は、送信部が生成する通知メールのデータ構造の一例を示す図である。図3に示すように、この通知メールには、送信先メールアドレス、送信元メールアドレス、文言情報、電流値情報が含まれる。送信先メールアドレスには、例えば、管理サーバ300のメールアドレスが格納される。送信元メールアドレスには、情報収集装置200のメールアドレスが格納される。文言情報には、各種の文言が格納される。電流値情報には、ATM20に流れる電流値の情報が格納される。なお、送信部は、ATMを一意に識別するATMシリアル番号や、情報収集装置200を識別するSDBシリアル番号を、通知メールに含ませても良い。
【0039】
送信部204aが通知メールを生成する場合の処理の一例について説明する。送信部204aは、I/O変換部202からデジタル値が「0」から「1」に変化した場合に、通知メールの文言情報に「浸水しました」なる文言を格納する。また、送信部204aは、受信部203にアクセスし、最新の電流値の情報を取得し、取得した電流値の情報を通知メールの電流値情報に格納する。
【0040】
送信部204aは、最新の電流値の情報を参照し、電流値が「0A」である場合には、通知メールの文言情報に「0Aになりました」なる文言を格納する。
【0041】
送信部204aは、通知メールの送信先メールアドレスに、管理サーバ300のメールアドレスを格納し、送信元メールアドレスに、情報収集装置200のメールアドレスを格納し、通知メールを管理サーバ300に送信する。
【0042】
ところで、送信部204aは、デジタル値が「0」から「1」に変化しない場合であっても、所定の時間間隔で通知メールを管理サーバ300に送信しても良い。この場合には、例えば、送信部204aは、受信部203にアクセスし、最新の電流値の情報を取得し、取得した電流値の情報を通知メールの電流値情報に格納する。また、送信部204aは、最新の電流値の情報を参照し、電流値が「0A」である場合には、通知メールの文言情報に「0Aになりました」なる文言を格納する。通知メールの送信先メールアドレスおよび送信元メールアドレスに格納される情報、ATMシリアル番号に格納される情報は、上記の説明と同様である。
【0043】
次に、図1に示した管理サーバ300の構成について説明する。図4は、本実施例に係る管理サーバの構成を示す機能ブロック図である。図4に示すように、管理サーバ300は、通信部301、入力部302、表示部303、記憶部304、制御部305を有する。
【0044】
通信部301は、ネットワーク50を介して、情報収集装置200あるいは他の情報収集装置との間でデータ通信を行う処理部である。後述する制御部305は、通信部301を介して、情報収集装置200あるいは他の情報収集装置との間でデータをやり取りする。通知部301は、通信装置に対応する。
【0045】
入力部302は、管理サーバ300に各種の情報を入力する入力装置である。例えば、入力部302は、キーボードやマウス、タッチパネル等に対応する。表示部303は、制御部305から出力される各種の情報を表示する表示装置である。表示部303は、例えば、ディスプレイやタッチパネルに対応する。
【0046】
記憶部304は、支店テーブル304a、ATM管理テーブル304b、SDB情報テーブル304c、障害状況テーブル304dを記憶する記憶部である。記憶部304は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子などの記憶装置に対応する。
【0047】
支店テーブル304aは、各銀行の支店に関する各種の情報を保持するテーブルである。図5は、支店テーブルのデータ構造の一例を示す図である。図5に示すように、この支店テーブル304aは、支店番号、支店名、住所、ATM営業開始時間、ATM営業終了時間を対応付ける。このうち、支店番号は、支店を一意に識別する情報である。ATM営業開始時間は、ATMによるサービスを開始する時間である。ATM営業終了時間は、ATMによるサービスを終了する時間である。
【0048】
ATM管理テーブル304bは、ATMに関する各種の情報を保持するテーブルである。図6は、ATM管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。図6に示すように、このATM管理テーブル304bは、ATMシリアル番号、機種番号、機種名、F型、支店番号を対応付ける。ATMシリアル番号は、ATMを一意に識別する情報である。機種番号は、ATMの機種を一意に識別する情報である。機種名は、機種の名称である。F型は、メーカの型番である。支店番号は、該当するATMが設置される支店を一意に識別する情報である。
【0049】
SDB情報テーブル304cは、情報収集装置200に関する各種の情報を保持するテーブルである。図7は、SDB情報テーブルのデータ構造の一例を示す図である。図7に示すように、このSDB情報テーブル304cは、ホスト名、登録メールアドレス、支店番号、機種番号、SDBシリアル番号、ATMシリアル番号、電源ONを対応付ける。ホスト名は、情報収集装置の名称である。SDBシリアル番号は、情報収集装置を一意に識別する情報である。電源ONは、ATMに電流が流れているか否かを示す情報である。電源ONの値が「1」の場合には、ATMに電流が流れていることを示す。電源ONの値が「0」の場合には、ATMに電流が流れていないことを示す。機種番号およびATMシリアル番号に関する説明は、上記のものと同様である。
【0050】
障害状況テーブル304dは、ATMの障害状況に関する情報を保持するテーブルである。図8は、障害状況テーブルのデータ構造の一例を示す図である。図8に示すように、障害状況テーブル304dは、項、ホスト名、SDBシリアル番号、支店番号、機種番号、F型、ATMシリアル番号、電源ON、浸水、通知時間を対応付ける。項は、各レコードを識別する情報である。浸水は、ATMが浸水したか否かを示す情報である。例えば、浸水が「1」の場合には、ATMが浸水したことを示す。浸水が「0」の場合には、ATMが浸水していないことを示す。通知時間は、通知メールを受信した時間である。その他の項目は、上述したものと同様である。
【0051】
図8において、例えば、電源ONが「1」となり、かつ、浸水が「1」となる場合には、該当するATMが通電中に浸水したことを示す。これに対して、電源ONが「0」となり、かつ、浸水が「1」となる場合には、該当するATMは浸水したが、通電していなかったことを示す。
【0052】
制御部305は、判定部305aおよび集計部305bを有する。制御部305は、例えば、ASICや、FPGAなどの集積装置に対応する。また、制御部305は、例えば、CPUやMPU等の電子回路に対応する。
【0053】
判定部305aは、情報収集装置200から通知メールを受信し、ATM20が通電中に浸水したか否かを判定する処理部である。以下において、判定部305aの処理を具体的に説明する。
【0054】
判定部305aは、通知メールの送信元アドレスと、SDB情報テーブル304cとを比較して、ATMシリアル番号を特定する。例えば、通知メールの送信元アドレスが「sdb−1001@xxxx.jp」の場合には、図7より、ATMシリアル番号は「1001」となる。
【0055】
また、判定部305aは、通知メールの電流値情報を基にして、SDB情報テーブル304cの電源ONの項目の値を更新する。判定部305aは、電流値情報に電流が「0A」である旨の情報が含まれる場合には、電源ONの項目を「0」に更新する。判定部305aは、電流値情報に電流が「0A」ではない旨の情報が含まれる場合には、電源ONの項目を「1」に更新する。
【0056】
続いて、判定部305aは、通知メールの文言情報に「浸水しました」なる文言が含まれるか否かを判定する。
【0057】
文言情報に「浸水しました」なる文言が含まれない場合の、判定部305aの処理について説明する。判定部305aは、文言情報に、「0Aになりました」なる文言が含まれるか否かを判定する。判定部305aは、文言情報に「0Aになりました」なる文言が含まれない場合には、処理を終了する。
【0058】
これに対して、判定部305aは、文言情報に「0Aになりました」なる文言が含まれる場合には、支店テーブル304a、ATM管理テーブル304bを参照し、通知メールの受信時刻が、該当するATMを設置する支店の営業時間内であるか否かを判定する。
【0059】
例えば、該当するATMシリアル番号が「1001」の場合には、図6のATM管理テーブル304bより、支店番号は「10」となる。そして、図5の支店管理テーブル304aより、支店番号「10」のATMの営業時間は「8時30分」〜「17時30分」となる。このため、通知メールを受信した時刻が、「8時30分」〜「17時30分」に含まれれば、支店の営業時間内であると判定する。
【0060】
判定部305aは、支店の営業時間外であると判定した場合には、障害状況テーブル304dに、通知メールの送信元となる情報収集装置の情報が含まれているか否かを判定する。判定部305aは、通知メールの送信元となる情報収集装置の情報が含まれている場合には、障害状況確認処理を実行する。
【0061】
判定部305aが実行する障害状況確認処理について説明する。例えば、判定部305aは、障害状況テーブル304dと、通知メールの送信元となる情報収集装置のSDBシリアル番号とを比較して、浸水の項目を参照し、ATMが浸水しているか否かを判定する。そして、判定部305aは、判定結果を表示部303に表示する。
【0062】
これに対して、判定部305aは、支店の営業時間内であると判定した場合には、障害状況テーブル304dにレコードを追加し、電源ONの項目を「0」に設定し、浸水の項目を「0」に設定する。また、判定部305aは、SDB情報テーブル304cの該当するレコードについて、電源ONの項目を「0」に設定する。そして、判定部305aは、電源障害が発生した旨の情報を表示部303に表示する。
【0063】
図9は、電源障害が発生した旨の情報の一例を示す図である。図9に示すように、例えば、電源障害が発生した旨の情報には、電源障害が発生した旨の情報以外に、支店名、ATMシリアル番号、機種名、F型等を含んでいても良い。
【0064】
次に、文言情報に「浸水しました」なる文言が含まれる場合の、判定部305aの処理について説明する。判定部305aは、障害状況テーブル304dにレコードを追加し、浸水の項目を「1」に設定する。そして、判定部305aは、SDB情報テーブルの電源ONの項目が「1」であるか否かを判定する。
【0065】
判定部305aは、SDB情報テーブルの電源ONの項目が「1」である場合には、通知メールによって特定される支店のATMが通電中に浸水したと判定する。判定部305aは、通電中に浸水した旨の情報を表示部303に表示する。
【0066】
図10は、通電中に浸水した旨の情報の一例を示す図である。図10に示すように、例えば、通電中に浸水した旨の情報には、通電中に浸水した旨の情報以外に、支店名、ATMシリアル番号、機種名、F型等を含んでいても良い。
【0067】
これに対して、判定部305aは、SDB情報テーブルの電源ONの項目が「0」である場合には、通知メールによって特定される支店のATMが通電していない間に浸水したと判定する。判定部305aは、通電していない間に浸水した旨の情報を表示部303に表示する。
【0068】
図11は、通電していない間に浸水した旨の情報の一例を示す図である。図11に示すように、例えば、通電していない間に浸水した旨の情報には、通電していない間に浸水した旨の情報以外に、支店名、ATMシリアル番号、機種名、F型等を含んでいても良い。
【0069】
集計部305bは、障害状況テーブル304dを基にして、通電中に浸水したATMの台数と、通電していない間に浸水したATMの台数を集計する処理部である。集計部305bは、支店毎に集計を行っても良いし、ATMの機種番号毎に集計を行っても良い。集計部305bは、集計結果を表示部303に表示する。
【0070】
集計部305bは、障害状況テーブル304dの電源ONの項目が「1」となり、浸水の項目が「1」となるレコードは、通電中に浸水したものであると判定する。これに対して、集計部305bは、障害状況テーブル304dの電源ONの項目が「0」となり、浸水の項目が「1」となるレコードは、通電していない間に浸水したものであると判定する。図12は、集計結果の一例を示す図である。図12に示す例では、支店毎に集計を行った結果と、ATMの機種番号毎に集計を行った結果を示している。
【0071】
次に、本実施例に係る情報収集装置200の処理手順の一例について説明する。図13は、本実施例に係る情報収集装置の処理手順を示すフローチャートである。図13に示すように、情報収集装置200は、浸水検知部102からのデジタル値が「0」から「1」に変化したか否かを判定する(ステップS101)。
【0072】
情報収集装置200は、デジタル値が「0」から「1」に変化していない場合に(ステップS101,No)、ステップS103に移行する。
【0073】
一方、情報収集装置200は、デジタル値が「0」から「1」に変化した場合には(ステップS101,Yes)、通知メールの文言情報に「浸水しました」を格納する(ステップS102)。
【0074】
情報収集装置200は、ATMが通電中か否かを判定する(ステップS103)。情報収集装置200は、ATMが通電中の場合には(ステップS103,Yes)、ステップS105に移行する。
【0075】
一方、情報収集装置200は、ATMが通電中ではない場合には(ステップS103,No)、通知メールの文言情報に「0Aになりました」を格納し(ステップS104)、ステップS105に移行する。
【0076】
情報収集装置200は、通知メールの電流値情報に電流値の情報を格納する(ステップS105)。情報収集装置200は、通知メールの送信元メールアドレスに自身の登録メールアドレスを格納する(ステップS106)。情報収集装置200は、管理サーバ300に、通知メールを送信する(ステップS107)。
【0077】
なお、図13に示した処理は一例である。情報収集装置200は、所定の時間間隔で、通知メールを送信する処理を行っても良いし、デジタル値が「1」から「0」に変化したことを契機にして、通知メールを送信する処理を行っても良い。通知メールに格納する各情報は、上述した送信部204aの説明に従うものとする。
【0078】
次に、本実施例に係る管理サーバ300の処理手順の一例について説明する。図14図15は、管理サーバの処理手順を示すフローチャートである。図14に示すように、管理サーバ300は、情報収集装置200から通知メールを受信し(ステップS201)、通知メールの送信元を基にして、対象となるATMを判定する(ステップS202)。
【0079】
管理サーバ300は、通知メールに所定の文言が含まれるか否かを判定する(ステップS203)。管理サーバ300は、通知メールに所定の文言が含まれない場合には(ステップS203,No)、処理を終了する。
【0080】
一方、管理サーバ300は、通知メールに所定の文言が含まれている場合には(ステップS203,Yes)、通知メールの文言が「浸水しました」であるか否かを判定する(ステップS204)。管理サーバ300は、通知メールの文言が「浸水しました」である場合には(ステップS204,Yes)、図15のステップS212に移行する。
【0081】
一方、管理サーバ300は、通知メールの文言が「浸水しました」でない場合には(ステップS204,No)、通知メールの文言が「0Aになりました」であるか否かを判定する(ステップS205)。管理サーバ300は、通知メールの文言が「0Aになりました」ではない場合には(ステップS205,No)、処理を終了する。
【0082】
一方、管理サーバ300は、通知メールの文言が「0Aになりました」である場合には(ステップS205,Yes)、ATMが設置される支店の営業時間内であるか否かを判定する(ステップS206)。管理サーバ300は、ATMが設置される支店の営業時間内である場合には(ステップS206,Yes)、障害状況テーブル304dにレコードを追加し、電源ONの項目を「0」に設定する(ステップS207)。
【0083】
管理サーバ300は、SDB情報テーブル304cの該当するレコードについて、電源ONの項目を「0」に設定する(ステップS208)。管理サーバ300は、電源障害が発生した旨の情報を出力する(ステップS209)。ステップS209において、管理サーバ300は、例えば、図9に示した情報を、表示部303に表示させる。
【0084】
一方、管理サーバ300は、ステップS206において、ATMが設置される支店の営業時間外である場合には(ステップS206,No)、障害状況テーブル304dに通知メールの送信元となる情報収集装置の情報が含まれるか否かを判定する(ステップS210)。管理サーバ300は、障害状況テーブル304dに通知メールの送信元となる情報収集装置の情報が含まれない場合には(ステップS210,No)、処理を終了する。一方、管理サーバ300は、障害状況テーブル304dに通知メールの送信元となる情報収集装置の情報が含まれる場合には(ステップS210,Yes)、障害状況確認処理を実行する(ステップS211)。ステップS211において、管理サーバ300は、例えば、障害状況テーブル304dと、通知メールの送信元となる情報収集装置のSDBシリアル番号とを比較して、浸水の項目を参照し、ATMが浸水しているか否かを判定する。そして、管理サーバ300は、判定結果を表示部303に表示する。
【0085】
続いて、図15の説明に移行する。管理サーバ300は、障害状況テーブル304dにレコードを追加し、浸水の項目を「1」に設定する(ステップS212)。管理サーバ300は、SDB情報テーブル304cの電源ONの項目が「1」であるか否かを判定する(ステップS213)。
【0086】
管理サーバ300は、SDB管理テーブル304cの電源ONの項目が「1」である場合には(ステップS213,Yes)、通電中に浸水した旨の情報を表示し(ステップS214)、ステップS216に移行する。ステップS214において、管理サーバ300は、図10に示した情報を、表示部303に表示させる。
【0087】
一方、管理サーバ300は、SDB管理テーブル304cの電源ONの項目が「0」である場合には(ステップS213,No)、通電していない間に浸水した旨の情報を表示し(ステップS215)、ステップS216に移行する。ステップS215において、管理サーバ300は、図11に示した情報を、表示部303に表示させる。
【0088】
そして、管理サーバ300は、集計処理を実行する(ステップS216)。ステップS216において、管理サーバ300は、例えば、通電中に浸水したATMの台数と、通電していない間に浸水したATMの台数を集計する。そして、管理サーバ300は、図12に示した情報を、表示部303に表示させる。
【0089】
次に、本実施例に係る浸水検知システムの効果について説明する。浸水検知システムでは、浸水検知装置100が、ATM20が浸水したか否かの浸水の判定結果を情報収集装置200に通知し、ATM20に電流が流れているか否かの電流の判定結果を情報収集装置200に通知する。そして、情報収集装置200は、浸水の判定結果と電流の判定結果を含む通知メールを管理サーバ300に送信する。このため、浸水検知システムによれば、電子機器が通電中に浸水したか否かを検出することができる。
【0090】
また、浸水検知装置100は、ATM20とは異なる電源で駆動し、ATM20の設置位置よりも高い位置に設置されているため、ATM20より浸水被害を受けにくくし、またはATM20よりも浸水被害を受ける時間を遅くすることで、電子機器の浸水被害時の電子機器の通電状態を検出することができる。
【0091】
また、浸水検知システムによれは、保守作業員が管理サーバ300を利用することで、例えば、遠隔地にある電子機器を直接見にいかなくても、電子機器が何台、どのような状態で浸水被害にあっているかを把握することができる。例えば、被害にあった地域の電子機器の対処法を迅速に判断することができる。すなわち、保守作業員は、被害がないのか、暫定的に可動させることが可能であるのか、交換必須であるのかといったことを判断することができる。
【0092】
ところで、本実施例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部あるいは一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0093】
さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部がCPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0094】
また、上述した浸水検知システムの実施例は一例である。以下では、浸水検知システムのその他の実施例について説明する。図16は、その他の実施例を説明するための図である。図16に示すように、浸水検知装置100は、浸水センサーの設置位置が異なる複数の浸水コードセンサー40a,40cに接続されている。例えば、浸水コードセンサー40aは、電源部21の底面の位置の水を検出する。浸水コードセンサー40cは、制御部22の底面の位置の水を検知する。
【0095】
浸水検知部102は、浸水コードセンサー40cが水を検知した場合に、第1のデジタル値「1」を、情報収集装置200に出力し、浸水コードセンサー40cが水を検知していない場合に、第1のデジタル値「0」を、情報収集装置200に出力する。
【0096】
また、浸水検知部102は、浸水コードセンサー40bが水を検知した場合に、第2のデジタル値「1」を、情報収集装置200に出力し、浸水コードセンサー40bが水を検知していない場合に、第2のデジタル値「0」を、情報収集装置200に出力する。
【0097】
情報収集装置200は、第1、第2のデジタル値の情報と、電流の判定結果の情報を含む通知メールを、管理サーバ300に送信する。そして、管理サーバ200は、通知メールを基にして、ATMに含まれる部品毎に、通電中に浸水したか否かを判定し、判定結果を表示部303に出力する。
【0098】
例えば、管理サーバ200は、第1のデジタル値が「1」となり、電流が流れている場合には、電源部21が、通電中に浸水したと判定する。また、管理サーバ200は、第1のデジタル値が「0」となり、電流が流れていない場合には、電源部21が通電していない間に浸水したと判定する。
【0099】
管理サーバ200は、第2のデジタル値が「1」となり、電流が流れている場合には、制御部22が、通電中に浸水したと判定する。また、管理サーバ200は、第2のデジタル値が「0」となり、電流が流れていない場合には、制御部22が通電していない間に浸水したと判定する。
【0100】
上記のような処理を実行することで、保守作業員は、電子機器に含まれる部品毎に、交換が必須か、暫定的駆動することが可能であるか否かを判定することができる。
【符号の説明】
【0101】
10 エフサス銀行第1支店
20 ATM
100 浸水検知装置
200 情報収集装置
300 管理サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16