(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
信号処理データを受信することが、前記処理プラントに関連する少なくとも一つのフィールドデバイスからの信号処理データを受信することを含む、請求項1に記載の方法。
前記信号処理データは、統計データ、周波数解析データ、自動回帰データ、ウェーブレットデータ、ニューラルネットワークを使って生成されるデータ、およびファジー論理を用いて生成されるデータの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の方法。
信号処理データを受信することが、フィールドデバイスに設けられた少なくとも一つの信号処理データ収集ブロックによって生成された信号処理データを受信することを含む、請求項1に記載の方法。
信号処理データを受信することが、処理コントローラ、データ履歴、およびワークステーションの少なくとも一つに設けられる少なくとも一つの信号処理データ収集ブロックによって生成された信号処理データを受信することを含む、請求項1に記載の方法。
Foundation Fieldbusプロトコル、HARTプロトコル、PROFIBUSプロトコル、WORLDFIPプロトコル、Device−Netプロトコル、AS−Interfaceプロトコル、およびCANプロトコルの少なくとも一つに追従するフィールドデバイスによって生成されたデータを受信することを含む、請求項1に記載の方法。
信号処理データを受信することが、ワイヤードネットワークとワイヤレスネットワークの少なくとも一つを介して信号処理データを受信することを含む、請求項1に記載の方法。
信号処理データを受信することが、ワイヤード接続、ワイヤレス接続、および断続接続の少なくとも一つを介して、信号処理データを受信することを含む、請求項1に記載の方法。
前記ルールエンジンへ信号処理データを提供することが、前記信号処理データの少なくともいくつかのデータに少なくとも一つのブールのルールを適用すべく構成されたルールエンジンへ信号処理データを提供することを含む、請求項11に記載の方法。
前記ルールエンジンへ信号処理データを提供することが、前記信号処理データの少なくともいくつかのデータに少なくとも一つのファジー論理ルールを適用すべく構成されたルールエンジンへ信号処理データを提供することを含む、請求項11に記載の方法。
前記解析エンジンへ信号処理データを提供することが、前記信号処理データの少なくともいくつかの中から相関度を求めるべく構成された解析エンジンへ信号処理データを提供することを含む、請求項1に記載の方法。
前記解析エンジンへ信号処理データを提供することが、ニューラルネットワーク、数学的演算エンジン、ファジー論理解析エンジン、パターンマッチングエンジン、および回帰解析エンジンの少なくとも一つへ前記信号処理データを提供することを含む、請求項1に記載の方法。
前記解析エンジンを用いることが、オペレータが、異常状態に関する一つ以上の推奨アクションに促されて、アクションを取るべきかを判断するために、該解析エンジンを用いることを含み、
該方法が、前記オペレータが、前記一つ以上の推奨アクションに促されるようにすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
前記解析エンジンへ構成データを提供することが、処理構成データ、コントロール戦略データ、コントロール出力データ、処理可変データ、履歴データ、シミュレーションデータ、最適化データ、警告、報知、警告/報知管理データ、ドキュメント管理データ、ヘルプ/ガイダンスデータ、回転装置データ、ラボ解析データ、環境調整データの少なくとも一つに更に基づいて、前記処理プラントに関連する少なくとも一つの異常状態を検出すべく前記解析エンジンを構成するために該解析エンジンへ構成データを提供することを含む、請求項1に記載の方法。
前記第4のルーチンは、処理構成データ、コントロール戦略データ、コントロール出力データ、処理可変データ、履歴データ、シミュレーションデータ、最適化データ、警告、報知、警告/報知管理データ、ドキュメント管理データ、ヘルプ/ガイダンスデータ、回転装置データ、ラボ解析データ、環境調整データの少なくとも一つを更に解析して、前記アクションを取るべきかを判断するように、該解析エンジンを実行する、請求項23に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照すると、異常事態防止システムがインプリメントされ得る例示的な処理プラント10は、一つ以上の通信網を介して支援装置と相互接続される多数のコントロール(制御)およびメンテナンスシステムを含む。特に、
図1の処理プラント10は、一つ以上の処理コントロールシステム12および14を含む。処理コントロールシステム12は、PROVOX(プロボックス)やRS3システムなどの従来の処理コントロールシステムであってもよいし、コントローラ12Bおよび入力/出力(I/O)カード12Cに接続されたオペレータインタフェース12Aを含む任意の他のコントロールシステムであってよい。また、該入力/出力(I/O)カード12Cは、アナログおよび(Highway Addressable Remote Transmitter(HART))フィールドデバイス15などの種々のフィールドデバイスに接続されている。分散形処理コントロールシステムであってもよい処理コントロールシステム14は、Ethernet(登録商標)(イーサネット(登録商標))バスなどのバスを介して、一つ以上の分散コントローラ14Bに連結された一つ以上のオペレータインターフェース14Aを含む。該コントローラ14Bは、例えば、Emerson Process Management(エマーソンプロセスマネージメント社、テキサス州、オースティン)によって販売されているDeltaV
TM(商標)や任意の他の所望されるタイプのコントローラであってもよい。コントローラ14Bは、I/Oデバイスを介して、例えば、HARTやFieldbusフィールドデバイスなどの一つ以上のフィールドデバイス16に、または、PROFIBUS(プロフィバス)(登録商標)、WORLDFIP(ワールドフィップ)(登録商標)、Device−Net(デバイスネット)(登録商標)、AS−Interface(インターフェース)およびCAN(キャン)プロトコルのいずれかを使用するフィールドデバイスを含む任意の他のスマートまたはノンスマートフィールドデバイスに、接続される。公知のように、フィールドデバイス16は、コントローラ14Bへ、処理変数だけでなく他のデバイス情報に関連するアナログまたはディジタル情報を提供し得る。オペレータインタフェース14Aは、たとえば、コントロール(制御)オプティマイザ、診療エキスパート、ニューラルネットワーク、チューナなどを含む処理動作をコントロールするために、処理コントロールオペレータが利用可能なツールを格納するとともに実行し得る。
【0020】
また更に、AMSアプリケーションまたは任意の他のデバイスモニタおよび通信アプリケーションを実行するコンピュータなどのメンテナンスシステムは、処理コントロールシステム12および14に、または、これらのシステム内部の個々のデバイスに接続され、メンテナンスおよびモニタ活動を実行する。例えば、メンテナンスコンピュータ18は、(ワイヤレスまたは携帯デバイス・ネットワークを含む)任意の所望される通信回線またはネットワークを介して、コントローラ12Bにおよび/またはデバイス15に接続され、デバイス15と通信したり、場合によっては、該デバイス15上で他のメンテナンス活動を再構築または実行したりする。同様に、AMSアプリケーションなどのメンテナンスアプリケーションは、デバイス16の動作状態に関連するデータ収集を含むメンテナンスおよびモニタ機能を実行するために、分散処理コントロールシステム14に関連する一つ以上のユーザインターフェース14Aでインストールされ、実行され得る。
【0021】
処理プラント10はまた、いくつかの永続的な、あるいは、(装置20に接続されて読み出しを行っては、次に、削除されるようなバス、ワイヤレス通信システムまたは携帯デバイスなどの)一時的な通信リンクを介して、メンテナンスコンピュータ22に接続されたタービンやモータなどのさまざまな回転装置20も含む。メンテナンスコンピュータ22は、例えば、CSI(Emerson Process Management Company(エマーションプロセスマネージメント社))によって提供される公知のモニタおよび診断アプリケーション23、または、回転装置20の状態を診断し、モニタし、最適化するために使用される任意の他の公知のアプリケーションを格納し、実行し得る。通常、メンテナンス担当者は、プラント10内の回転装置20の性能を維持し管理し、回転装置20に関わる問題を判断し、該回転装置20の修理または交換の時期あるいは修理または交換しなければならないかについての判断を行うために、アプリケーション23を使用する。場合によっては、外部の専門家やサービス機関が、装置20に関するデータを一時的に取得または測定し、該装置20に影響を与える問題、性能低下または他の問題点を検出すべく、該装置に対する解析を実行するためにこのデータを使用することもある。これらの場合において、解析を実行するコンピュータは、いかなる通信回線を介してもシステム10の他の部分に接続されることはなく、たとえ、接続されたにせよ、一時的にすぎない。
【0022】
同様に、プラント10に関連する発電および分配装置25を有する発電および分配システム24は、例えば、バスを介して、該プラント10内の発電および分配装置25の動作を実行し管理する他のコンピュータ26に接続されている。コンピュータ26は、発電および分配装置25をコントロールし、維持するために、例えば、リーバート社およびアスコ社や他社によって提供される公知の電源コントロールおよび診断アプリケーション27を実行する。またここでも、多くの場合は、外部の専門家やサービス機関が、装置25に関するデータを一時的に取得または測定し、該装置25に影響を与える問題、性能低下または他の問題点を検出すべく、該装置に対する解析を実行するために、このデータを使用することもある。これらの場合において、解析を実行するコンピュータ(例えば、コンピュータ26)は、いかなる通信回線を介してもシステム10の他の部分に接続されることはなく、たとえ、接続されたにせよ、一時的にすぎない。
【0023】
図1に示されるように、コンピュータシステム30は、異常事態防止システム35の少なくとも一部をインプリメントし、特に、コンピュータシステム30は、統計的収集および処理ブロックを含み得る、構成およびデータ収集アプリケーション38、目視またはインターフェースアプリケーション40と、ルールエンジン開発および実行アプリケーション42を格納し、更に、該処理内のいくつかのデバイス内で生成される統計データを格納する統計処理モニタデータベース43を格納する。概して、構成およびデータ収集アプリケーション38は、フィールドデバイス15、16、コントローラ12B、コントローラ14B、回転デバイス20またはその支援コンピュータ22、発電装置25またはその支援コンピュータ26、および処理プラント10内の任意の他の所望されるデバイスおよび装置内に配置された、多数の統計データ収集および解析ブロック(
図1に示されていない)の各々を構成するとともにこれらと通信し、これによって、異常事態防止を実行するこれらのブロックの各々から統計データ(または、場合によっては、処理可変データ)を収集する。構成およびデータ収集アプリケーション38は、ハードワイヤードバス45を介して、プラント10内のコンピュータやデバイスの各々に通信可能に接続されてもよいし、または、それに替えて、例えば、ワイヤレス接続、OPCを使用する専用接続、データを収集するための携帯デバイスなどに依存するような断続接続などを含む、任意の他の所望される通信接続などを介して、接続されてもよい。同様に、アプリケーション38は、(
図1にインターネット接続46として示される)インターネット、電話接続などのLANや公衆接続を介して、処理プラント10内のフィールドデバイスおよび装置に関するデータを得ることができる。このようなデータは、例えば、第三者のサービスプロバイダによって収集される。また、アプリケーション38は、例えば、イーサネット(登録商標)、Modbus(モドバス)、HTML(HyperText MarkUP Language(ハイパーテキストマーク付け言語)、XML(Extensible MarkUP Language(拡張可能なマーク付け言語)、プロプラエタリ(所有権主張可能)な技術および/またはプロトコルなどを含む、種々の技術および/またはプロトコルを介して、プラント10内のコンピュータおよび/またはデバイスに通信可能に連結され得る。このように、本明細書中では、プラント10のコンピュータおよび/またはデバイスにアプリケーション38を通信可能に連結させるためのOPCを用いた特定の例が記載されているが、当業者は、それぞれ、プラント10内のコンピュータおよび/またはデバイスにアプリケーション38を連結させるための種々の他の方法が使用できることを認識するであろう。一般に、アプリケーション38は、収集されたデータをデータベース43に格納してもよい。
【0024】
統計データ(または処理可変データ)が一旦収集されると、目視(ビューイング)アプリケーション40は、データを処理するため、および/または、さまざまな方法で、(例えば、データベース43に格納されているような)収集または処理された統計データを表示するために使用されてもよく、これによって、メンテナンス担当者などのユーザが、異常事態の有無または予測される今後の異常事態の有無を判断したり、先取りして補正動作を取ったりすることがより容易にできるようにする。ルールエンジン開発および実行アプリケーション42は、処理プラント10内の異常事態の有無を判断したり、将来的な異常事態を予測したりすべく、収集されたデータを解析するために、該アプリケーション42に格納されている一つ以上のルールを使用してもよい。更に、これらのルールエンジン開発および実行アプリケーション42は、オペレータまたは他のユーザが異常事態を検出または予測するためにルールエンジンによってインプリメントされる更なるルールを作成することを可能とする。
【0025】
図2は、統計データ収集が異常事態防止システム35によって実行され得る一つの方法を記載するために、
図1に例示された処理プラント10の部分50を示す。
図2は、異常事態防止システムアプリケーション38、40、42、およびデータベース43とHartおよび、Fieldbusフィールドデバイス内の一つ以上のデータ収集ブロックの間の通信を示すが、異常事態防止システムアプリケーション38、40、および42と
図1に示されるデバイスおよび装置のいずれかを含む処理プラント10内の他のデバイスおよび装置の間に同様の通信が発生し得ることが理解されよう。
【0026】
図2に示される処理プラント10の部分50は、任意の所望される通信やコントローラプロトコルに従う任意の所望されるタイプのI/O(入出力)デバイスであってもよい、I/Oカードまたはデバイス68および70を介して、一つ以上のフィールドデバイス64および66に接続される一つ以上の処理コントローラ60を有する、分散処理コントロールシステム54を含む。フィールドデバイス64は、任意の他の所望される通信プロトコルをも使用することができるが、該フィールドデバイス64は、HARTフィールドデバイスとして示され、フィールドデバイス66は、Fieldbusフィールドデバイスとして示される。更に、フィールドデバイス64および66は、例えば、センサ、バルブ、トランスミッタ、ポジショナなどの任意のタイプのデバイスであり得て、また、これらのフィールドデバイスは、任意の所望されるオープンな、プロプラエタリな他の通信またはプログラミングプロトコルに追従し得て、I/Oデバイス68および70が、フィールドデバイス64および66によって使用される所望のプロトコルと互換性がある必要があることが理解されよう。
【0027】
いずれにしても、構成エンジニア、処理コントロールオペレータ、メンテナンス担当者、プラントマネジャーなどのプラント関係者によってアクセス可能な一つ以上のユーザインターフェースまたはコンピュータ72および74(任意のタイプのパソコン、ワークステーションであってもよい)が、任意の所望されるハードワイヤードまたはワイヤレス通信構造を用いて、および、例えば、イーサネット(登録商標)プロトコルなどの任意の所望されるあるいは好適な通信プロトコルを用いて、インプリメントされ得る通信回線またはバス76を介して、処理コントローラ60に接続される。更に、データベース78は、通信バス76に接続されて、構成情報だけでなく、処理プラント10内の処理コントローラ60およびフィールドデバイス64および66に関連する、オンライン処理可変データ、パラメタデータ、状態データ、および他のデータを収集するとともに格納するデータ履歴として動作する。このように、データベース78は、処理構成モジュールだけでなく、処理コントローラ60およびフィールドデバイス64および66内にダウンロードされ、格納されたときの処理コントロールシステム54のためのコントロール構成情報を含む、現在の構成を格納するための構成データベースとして動作する。同様に、データベース78は、処理プラント10内のフィールド64および66によって収集された統計データまたはフィールドデバイス64および66によって収集された処理変数から求められた統計データを含む、経過的な異常事態防止データを格納することができる。
【0028】
処理コントローラ60、I/Oデバイス68および70、フィールドデバイス64および66は、一般に、時には過酷なプラント環境下に配置され、この環境を介して分配されるが、ワークステーション72および74とデータベース78は、オペレータやメンテナンス担当者などがアクセスしやすい、コントロールルーム、メンテナンスルームまたは他のあまり厳しくない環境に配置される。
【0029】
概して、処理コントローラ60は、多数の異なる、個別に実行されるコントロールモジュールまたはブロックを用いて、コントロール戦略を実行する一つ以上のコントローラアプリケーションを格納すると共に実行する。コントロールモジュールは、それぞれ、一般に、機能ブロックと呼ばれるものから構成され得る。ここで、各機能ブロックは、全体的なコントロールルーチンの一部またはサブルーチンであり、処理プラント10内で処理コントロールループをインプリメントするために他の機能ブロックと組み合わされて(リンクと呼ばれる通信を介して)動作する。周知のように、オブジェクト指向プログラミングプロトコル内のオブジェクトであってもよい機能ブロックは、一般に、処理プラント10内でいくつかの物理的機能を実行するために、トランスミッタ、センサ、または他の処理パラメタ測定デバイスに関連する機能などの入力機能と、PID、ファジー論理などのコントロールを実行するコントロールルーチンに関連する機能などのコントロール機能と、または、バルブなどのいくつかのデバイスの動作をコントロールする出力機能とのうちの一つを実行する。当然、モデル予測コントローラ(MPC:model predictive controllers)、オプティマイザなどのハイブリッドおよび他のタイプの複雑な機能ブロックも存在する。FieldbusプロトコルおよびDeltaV
TM(登録商標)システムプロトコルは、オブジェクト指向プログラミングプロトコルにおいて設計されインプリメントされるコントロールモジュールおよび機能ブロックを使用する一方、該コントロールモジュールは、例えば、逐次機能ブロック、ラダー論理などを含む任意の所望されるコントロールプログラミング技術を用いて設計され得ることが理解されよう。但し、該コントロールモジュールは、機能ブロックや任意の他の特定のプログラミング技術を用いての設計に限定されない。
【0030】
図2に示されているように、メンテナンスワークステーション74は、プロセッサ74A、メモリ74B、およびディスプレイデバイス74C を含む。メモリ74Bは、ディスプレイ74C (またはプリンタなどの任意の他のディスプレイデバイス)を介して、ユーザに情報を提供すべく、プロセッサ74A上でアプリケーションがインプリメントされ得るように、
図1で説明された異常事態防止アプリケーション38、40、および42を格納する。
【0031】
更に、
図2に示されるように、フィールドデバイス64および66のいくつか(潜在的には全て)は、データ収集および処理ブロック80および82を含む。一方、
図2に関しては、ブロック80および82が、本説明を行うために、Fieldbus デバイス内の統計データを収集し処理するためのFieldbusデバイスに追加され得るFieldbusデバイス内で統計データを収集し処理する、公知のFoundation Fieldbus機能ブロックである、高度診断ブロック(ADB)として、説明されているが、該処理ブロック80および82は、これらのブロックが、Fieldbusデバイス内に配置されていようがいまいが、あるいは、Fieldbusプロトコルに追従していようがいまいが、デバイスデータを収集し、該データに対する一つ以上の統計測定値またはパラメタを計算したり決定したりする、処理デバイス内に配置される任意の他のタイプのブロックやモジュールであってもよいし、あるいは、これらを含んでいてもよい。
図2のブロック80および82は、デバイス64の一つとデバイス66の一つに配置されているものとして示されているが、これらのブロックあるいは同様のブロックは、任意数のフィールドデバイス64および66に配置されてもよいし、コントローラ60、I/Oデバイス68および70、または
図1に示されるいずれかのデバイスなどの他のデバイス内に配置され得る。更に、該ブロック80および82は、フィールドデバイス64および66の任意のサブセット内にあってもよい。
【0032】
概して、ブロック80および82、またはこれらのブロックのサブエレメントは、それらが配置され、なんらかの理由があってデータ上で統計処理または解析を実行するデバイス内で処理可変データなどのデータを収集する。例えば、バルブと関連しているものとして示される、ブロック80は、該バルブがスタック(膠着)状態にあるかを判断するためにバルブ処理可変データを解析するスタックバルブ検出ルーチンを有し得る。更に、ブロック80は、例えば、収集されたデータの平均値、メジアン値、標準偏差値、平方根(RMS)、変化の割合、範囲値、最小値、最大値などを求めるため、および/または、収集したデータにおいてドリフト(浮漂)、バイアス(偏り)、ノイズ(雑音)、スパイク(過電圧)などの事象を検出するため、バルブ内の処理可変または他のデータを収集し、該収集されたデータ上で一つ以上の統計的計算を実行し得る四つの統計処理モニタ(SPM)ブロックまたはユニットSPM1〜SPM4のセットを含む。生成された特定の統計データもそれが生成される方法もあまり重要ではない。このように、上述された特定のタイプの統計データ以外にそれに代わる異なるタイプの統計データが生成され得る。更に、公知の技術を含む種々の技術が、このようなデータを生成するために使用され得る。本明細書中では、少なくとも一つの処理変数または他の処理パラメタ上で統計処理モニタを実行する機能性を説明するために、用語「統計処理モニタ(SPM)」ブロックが用いられ、該デバイス内またはデータが収集されるデバイス以外において任意の所望されるソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアによって実行され得る。一般に、SPMは、デバイスデータが収集されるデバイス内に配置されるので、SPMが量的に勝り、質的により正確な処理可変データを取得できることが理解されよう。これによって、一般に、SPMブロックは、処理可変データが収集されるデバイス以外に配置されたブロックより、収集された処理可変データに関してより良好な統計計算を求めることが可能である。
【0033】
他の例としては、トランスミッタと関連するものとして示されている
図2のブロック82は、プラント内のラインが閉塞されたかを判断するために、該トランスミッタによって収集される処理可変データを解析する閉塞ライン検出ユニットを有することもある。更に、ブロック82は、例えば、収集されたデータの平均値、メジアン値、標準偏差値などを求めるために、該トランスミッタ内の処理可変データまたは他のデータを収集し、該収集されたデータ上で一つ以上の統計的計算を実行し得る四つの統計処理モニタ(SPM)ブロックまたはユニットSPM1〜SPM4のセットを含む。所望されれば、上記に参照されている米国特許第6,017,143号に記載されているように、ブロック80および82の基底動作が実行またはインプリメントされてもよい。ブロック80および82は、4つのSPMをそれぞれ含むように示されているが、ブロック80および82は、統計データを収集するとともに求めるために、他の任意数のSPMブロックを有することもできる。同様に、ブロック80および82がプラント10 内で特定の状態を検出するための検出ソフトウェアを含むとして図示されているが、このような検出ソフトウェアは有する必要はない。更にまた、本明細書中に説明されているSPMブロックがADBのサブエレメントであるとして図示されているが、そうではなく、デバイス内に配置されるスタンドアローンブロックであってもよい。また更に、本明細書中で説明されているSPMブロックは、公知のFoundation Fieldbus SPMブロックであってもよいが、本明細書中では、用語「統計処理モニタ(SPM)ブロック」は、処理可変データなどのデータを収集し、平均値、標準偏差値などの統計的測定値を求めるために該データ上でいくつかの統計的処理を実行する、任意のタイプのブロックまたはエレメントを言及するために用いられる。これによって、この用語は、これらのエレメントが、機能ブロックや他のタイプのブロック、プログラム、ルーチンまたはエレメントの形態を取っていようといまいと、および、これらのエレメントが、Foundation Fieldbusプロトコル、または、PROFIBUS、WORLDFIP、Device−ネットワーク、AS−Interface、HART、CANなどの他のプロトコルに追従していようがいまいが、この機能を実行するソフトウェア、ファームウェアまたは他のエレメントを網羅するように意図されている。
【0034】
一つの実施の形態において、ADB80および82内の各SPMブロックは、稼動中であってもよいし、休止中であってもよい。稼動中SPMブロックは、処理変数(または他の処理パラメタ)を現在モニタしているブロックであるが、休止中SPMブロックは、処理変数を現在モニタしていないブロックである。概して、SPMブロックは、デフォルト値によって休止中となり、これにより、一般に、各SPMブロックが、処理変数をモニタするためには個別に構成されなければならない。
図3は、デバイスに対する現在SPM構成を記述し変更するために、ユーザ、エンジニアなどに提示され得る、例示的な構成ディスプレイ84を示す。ディスプレイ84において示されるように、この特定のデバイスのためのSPMブロック1、2および3の全てが構成されているが、SPMブロック4は、構成されなかった。構成されたSPMブロックSPMl、SPM2およびSPM3の各々は、(ブロックタグ(Block Tag)によって示されるような)デバイス内の特定のブロック、ブロックタイプ(Block Type)、ブロック内のパラメタインデックス(Parameter Index)(即ち、モニタされているパラメタ)、および該SPMブロックのモニタ機能性を示すユーザコマンド(User Command)に関連している。また更に、各構成されたSPMブロックは、決定された統計パラメタが比較される一組の閾値を含み、これらの閾値は、例えば、平均限界値、(信号において過多の変動値を指定する)高変動限界値、および(信号における過少の変動値を指定する)低ダイナミック値を含む。本来、平均値における変化を検出することは、処理が上下にドリフトしていることを示し、高い変動値を検出することは処理内のエレメントが(大きくなった振動によって生じるノイズなどの)予期しなかったノイズを経験していることを意味し、低い変動を検出することは、処理信号がフィルタリングされつつあること、または、エレメントが、例えば、スタックバルブなどのように予期せぬうちに休止することを意味する。また更に、平均値および標準偏差値などのベースライン値がSPMブロックごとに設定されてもよい。これらのベースライン値は、デバイス内で限界値を満たしているかあるいは超えているかを判断するために使用され得る。モニタリングを開始するためにユーザコマンドを受信したことから、
図3のSPMブロック1および3はともに稼動中である。一方、SPMブロック2は、アイドル(Idle)状態にあるので、休止中である。また、この例において、SPM能力はボックス86によって示されるように、デバイス全体に対してイネーブルであり、ボックス88によって示されるように、5分毎にモニタまたは計算されるように設定される。当然、許可されたユーザは、デバイス内の他の機能ブロックなどの他のブロック、該デバイス内の様々なブロックに関連する他のパラメタをモニタするためだけでなく、他の閾値、ベースライン値などを有するために、該デバイス内のSPMブロックを再構成することができる。
【0035】
図3のディスプレイ84には、いくつかの統計的モニタブロックが示されているが、他のパラメタも同様に、または、他のパラメタも加えて、モニタされてもよい。例えば、
図2に関して説明されるSPMブロックまたはADBは、処理に関連する統計パラメタを計算し、これらの値における変化に基づいて、いくつかの警告を引き出す場合もある。例えば、FieldbusタイプのSPMブロックは、処理変数をモニタし、そのモニタリングに関連する15の異なるパラメタを提供し得る。これらのパラメタは、ブロックタグ、ブロックタイプ、平均値(Mean)、標準偏差値(Standard Deviation)、平均変化値(Mean Change)、標準偏差変化値(Standard Deviation Change)、ベースライン平均値(Baseline Mean)、ベースライン標準偏差値(Baseline Standard Deviation)、高変動限界値(High Variation Limit)、低ダイナミック限界値(Low Dynamics Limit)、平均限界値(Mean Limit)、 状態値(Status)、パラメタインデックス、タイムスタンプ(Time Stamp)、およびユーザコマンドなどを含む。現在、二つの最も有用なパラメタは、平均値と標準偏差値であると考えられる。しかしながら、しばしば有用である他のSPMパラメタは、ベースライン平均値、ベースライン標準偏差値、平均変化値、標準偏差値、および状態値である。もちろん、SPMブロックは、任意の他の所望される統計測定値やパラメタを決定することができるとともに、特定のブロックに関連する他のパラメタをユーザまたは要求アプリケーションへ提供することができる。このように、SPMブロックは本明細書中において説明されているブロックに限定されない。
【0036】
再び
図2を参照すると、フィールドデバイス内のSPMブロック(SPM1乃至SPM4)のパラメタは、バスまたは通信ネットワーク76およびコントローラ60を介して、例えば、ワークステーション74に対しての外部クライアントにとって利用可能とされ得る。その以外またはそれに代わるものとして、ADB80および82内のSPMブロック(SPM1乃至SPM4)によって収集されあるいは生成されるパラメタや他の情報は、例えば、OPCサーバ89を介して、ワークステーション74にとって利用可能とされ得る。この接続は、(一つ以上の携帯デバイスなどの)ワイヤレス接続、ハードワイヤード接続、断続接続、または、任意の所望されるあるいは適切な通信プロトコルを用いた任意の所望される通信接続でもあってもよい。当然、本明細書中に記載されている通信接続のいずれかは、共通または一定のフォーマットにおいて、異なるタイプのデバイスから受信されたデータを統合するために、OPC通信サーバを使用してもよい。
【0037】
また更に、生の処理可変データなどの生データを収集または生成するデバイス以外で、統計処理モニタを実行するために、ホストデバイス、フィールドデバイス以外のデバイス、または、他のフィールドデバイス内に、SPMブロックを配置することが可能である。このように、例えば、
図2のアプリケーション38は、例えば、OPCサーバ89を介して、生の処理可変データを収集するとともにその処理可変データについての平均値、標準偏差値などのいくつかの統計測定値またはパラメタを計算する一つ以上のSPMブロックを含み得る。これらのSPMブロックは、一般に、該データを収集するデバイス内に配置されていないため、これにより、該データに対する通信要件に応じた統計的計算を実行するために十分な処理可変データを収集することが一般には不可能であるが、該SPMブロックは、デバイスに対する統計パラメタを決定する際、または、SPM機能もなく支援もしないデバイス内では処理変数を決定する際に、有用である。更に、技術が進歩するにつれて、経時的に、ネットワークの使用可能な処理量(スループット)が増加し、生データを収集するデバイス内に配置されてなかったSPMブロックは、統計的計算を実行するためにより多くの処理可変データを収集することが可能である。このように、SPMブロックによって生成されると記載された任意の統計的測定値またはパラメタが、ADB80および82内のSPM1乃至SPM4ブロックなどのSPMブロックによって、または、他のフィールドデバイスを含むホストまたは他のデバイス内のSPMブロックにおいて、生成され得ることが以下の記載において理解されよう。
【0038】
処理プラントにおいて統計データ収集ブロックまたはSPMの数が大きくなるので、データをトレンド(傾向付け)し更なるデータ凝集および意思決定のためのエキスパート(専門家)システムへ検出結果を提供するためには、異なるデバイス内のSPMブロックから統計パラメタデータを集める自動機構を有することが役に立つ。実際、現時点では、大規模な処理に対して統計処理データの全てを目視することは非常に面倒であり、冗長である。今のところ、関心がもたれるSPMパラメタの各々を個別にモニタするOPCクライアントを作成しなければならず、これを行うためには、SPM収集に用いられる全てのデバイスを個別に構成しなければならない。上記のように、統計データのこの構成および目視は、非常に手間がかかり、人的エラーが発生しやすくなる。
【0039】
該構成およびデータ収集アプリケーション38は、例えば、バルブ、トランスミッタなどのデバイスにおいてSPMブロックを自動的に構成するように、および、処理の動作中に該処理が使用できるSPMデータをこれらのSPMブロックから収集するように、用いられる。
図4は、SPMデータを収集するために処理プラント内でデバイスを構成し、該処理プラント10の動作中にデータを自動的に収集するためにアプリケーション38によって使用され得る例示的な技術を記述するフローチャート90を示す。
図4において、円は、アプリケーション38によって処理プラントにおいて実行されるアクションを示すが、四角形は、該アプリケーション38によって使用されるか、または、生成される、オブジェクトやアイテムを示す。この例は、Fieldbusプロトコルを使用するとともに統計データを収集するFieldbusブロックを有する、特定のタイプのトランスミッタからのSPMデータの収集について説明するが、この技術または同様の技術が、他の通信および機能ブロックプロトコルを用いた他のデバイスから、あるいは、機能ブロックプログラミングパラダイム以外のプログラミングパラダイムを使用するデバイス内の他のデバイスまたはエレメントから、統計データ(または他のパラメタ)を収集するために使用され得ることが理解されよう。
【0040】
いずれにしても、第1のブロック92において、アプリケーション38は、(ADBなどの)統計データ収集ブロックを含む処理プラント内でデバイスのリストを決定するために処理コントロールネットワーク(例えば、処理プラント)の階層をスキャンする。ブロック92は、他のタイプの統計データ収集ブロックを検索してもよいし、ADB内のFieldbusタイプのSPMに加えて、該他のタイプの統計データ収集ブロックを検索してもよいし、また、方法は、Fieldbus ADBによる使用に限定されないし、Fieldbus ADB内のSPMブロックにも限定されないのであるが、説明の便宜上、上記のように、統計データ収集ブロックは、Fieldbus ADB内のSPMブロックの形態を取るものと仮定されている。一つの実施の形態において、(
図2のサーバ89などの)OPCサーバは、アプリケーション38などのクライアントがコントロールおよびデバイス情報にアクセスできるようにするために使用され得る。例えば、OPCオートメーション2.0プロダクトは、OPCサーバのコンテンツをブラウジングするために標準的な方法を提供し、ほとんどのブラウザ方法が、OPC階層を自動的に走査して、ADBを含むデバイスを見つけるために使用され得る。更に、新しいOPCスペックは、データを統合するとともに該データをウェブ環境で使用できるようにするために使用され得るXML定義を含む。
【0041】
図5は、OPCサーバによって作成される例示的なプラント階層94の一部を示し、該OPCサーバによってスキャンされている処理プラントのデバイスおよび他のエレメントを示す。階層94の最上層は、モジュール(Modules)およびIOと呼ばれるノード96および98をそれぞれ含み、モジュールノード96はコントロール戦略情報を含み、IOノード98はハードウェアおよび/またはデバイス情報を含む。
図5の例示的な階層に示されるように、IOノード98は、コントローラ(CTLR)、カード(C)およびポート(P)に関連するサブノードを含み、この例において、ポート(P)は、コントローラネットワークに実際に存在するFieldbusセグメントに関連している。さらに、階層の更に下方では、Fieldbusデバイスがそれぞれのポートの下に列挙されている。
図5の例において、ADBを含む各Fieldbusデバイスは、デバイスの下のTRANSDUCER(トランスデューサ)800またはTRANSDUCER1300という名のノードを含む。(Rosemount (ローズマウント)3051FデバイスにおいてADBはTRANSDUCER800と称されるが、Rosemount3051SにおいてADBはTRANSDUCER1300と称される)。
図5の階層には、このようなTRANSDUCER800と称されるノード100が示されている。ADBノード100は、関心が持たれる診断情報を含む。この特定の場合において、アプリケーション38は、Rosemount3051FデバイスにおいてADBに関連するエレメントのいくつかを示すために、
図5の階層において拡張された、ADBノード100内の統計処理モニタ(SPM)パラメタに関心を持つ。当然、名称「TRANSDUCER800」および「TRANSDUCER1300」は、ある知られている製造業者によって提供される公知の機能ブロックの名称の単純な例である。他のADBブロックまたはSPMブロックは、他の名称を有してもよいし、および/または、名称は、OPCを利用するシステム以外のシステムにおいて異なり得る。他のインプリメンテーション(実装)において、さまざまな名称は、二、三、例を挙げると、今後開発される、および/または、他の製造者によって製造される、および/または、Foundation Fieldbusスペックに記載されているような他のTRANSDUCERブロックのADBブロックまたはSPMブロック、機能ブロックなどに対応する名称であってもよいし、Profibus、HART、CAN、AS−Interface、HTML、XMLなどのプロトコルにおける任意のエレメントなどの任意の他のスマート通信プロトコル(例えば、ディジタルプロトコル)におけるブロックまたは他のソフトウェアエレメントであってもよい。
【0042】
ADB、従って、該ADB内のSPMブロックを発見するために、ブロック92(
図4)は、プラント内の全てのADBを含むデバイスを探すためにOPC階層94を自動的に走査または検索する。当然、ブロック92は、該ブロック92がADBを含むデバイスを最良の方法で見つけるために予めプログラミングされ得る。本明細書中に記載の方法は、DELTA V
TM OPCツリーに基づいているが、該方法の改良は、他のOPCサービスだけでなく、他のタイプの目視ツールによって生成されるプラント階層に対して行われてもよい。
【0043】
階層またはツリー94を検索するとき、一般に、スピードと堅牢性(ロバストネス)の間にトレード−オフ(二律背反)がある。特に、階層94を検索することが、一般に、ADBを有するデバイスの全てを見つける時にもADBを有するデバイスのみを見つける時にも100%信頼できる方法ではない。一般に、ADBを有するデバイスを見つける方法が正確であればあるほど、該方法の進行が遅くなる。例えば、別の製造者が、3051Fトランスミッタ内のADBブロックと同じ名称を有するブロックを含むOPCツリー94に出現するデバイスを有すれば、該階層を検索することは、このデバイスを、ADBを有するものとして、偽に検出することになる。逆に、ブロック92が、実際のADBを含むノードだけを探し出すことを確実にするために、過剰な量のサブノートを検索してこの問題を回避しようとすれば、該方法の速度は低下する。
【0044】
いずれにしろ、一つの実施の形態において、ブロック92は、いくつかのデバイスにおいてADBと関連すると分かっている名称を有する各ノードを探し出すために、階層またはツリー94内のすべてのノードを検出し得る。大規模な処理プラントにおけるような場合においては、かなり長い検索時間が掛かるが、処理プラントにおいて、ADBの各々、従って、SPMの各々を探し出すためには、これが、最も正確な方法である。一方、TRANSDUCER800またはTRANSDUCER1300などの公知の統計モニタブロックに関連する名称、あるいは、公知の統計モニタブロックを表示するためにいくつかのデバイスの製造者によって使用されることが分かっている任意の他の特定の名称を含むノードに到達するかあるいは該ノードを見つけるまで、ブロック92は、階層の下層へと検索し得る。このようなノードが見つかった場合、次に、該ノードに関連付けられる親ノードが、ADBを有するデバイスとして検出され得る。該方法は、特定のOPC階層またはツリー内の全てのノードを検出するほど堅牢ではないが、処理は速い。とはいっても、他の製造者が、TRANSDUCER800と名付けられたOPCノードを有するデバイスを作製する場合、この方法でも、ADBを有するものとして他のデバイスを偽に検出する。
【0045】
あるいは、ブロック92は、ADBと一意的に関連付けられ、または、ADBを表していることが分かっているデバイス内で更なるアイテムに対して、知られているADBに関連する名称を有することを該ブロック92が発見する各ノード下で検索し得る。このように、ADBを特定するために少なくとも一つの製造者によって使用されることが分かっている名称を有するノードを探し出した後、ブロック92は、アイテム「Characteristic/BLOCK TAG.STRING(特徴/ブロックタグ.ストリング」が、値「ADVANCED DIAGNOSTICS(高度診断)」を有するかを判断するためにサブノードを検出する。この例において、「Characteristic/BLOCK TAG.STRING」アイテムは、ADBを有するデバイスに対してのみ、「ADVANCED DIAGNOSTICS」の値を有する。この方法は、ADBを有するデバイスのみを探し出す際に非常に堅牢であるが、OPCサーバを介してデバイスから値を読み出すことを必要とするので、OPC階層をブラウジングするより相当に長い時間を要する。従って、この方法は、正確ではあるが、いくつかの状況に対しては非常に低速である。
【0046】
速度とロバストネスの間でミドルグラウンド(中間位置)を提供するOPCツリー94を検索するために、
図4のブロック92によってインプリメントされ得る他の方法は、ADBに共通して関連する名称を有するサブノードに対して、ADBに関連することが共通して分かっている名称を有するノード下で、OPC階層を検索することを含む。例えば、この方法は、OPCツリー94(
図5)のトップからスタートし、IOノード98を検索し得る。次に、方法は、IOノード98下で全てのサブノードを再帰的に検索し得る。TRANSDUCER800またはTRANSDUCER1300と名付けられたサブノード(またはADBなどの統計モニタブロックに関連付けられることが分かっているいくつかの他の名称)が見つかった場合、次に、該方法は、このノードが、SPM
ACTIVE(アクティブ)と名づけられたサブノードまたは具体的に統計モニタブロックと関連する任意の他のサブノードを有するか否かをチェックする。例えば、TRANSDUCER800ノード下でSPM
ACTIVEが見つけられた場合、次に、ブロック92は、TRANSDUCER800ノードの親ノードを、ADBを含むデバイスとして、検出する。
【0047】
当然のことながら、ブロック92は、ADBを有する(従って、SPMを有する)デバイスを検索するために、これらの技術のいずれか、これらの技術の任意の組合せ、または任意の他の所望される技術を使用することができる。例えば、一つのインプリメンテーションは、少なくとも一つの製造者のデバイスによってインプリメントされると分かっている少なくとも全てのADBを識別しようとするが、処理プラント内の全てのADBを識別することが可能である場合もあれば、不可能な場合もある。他の例としては、いくつかの異なる製造者のデバイスによってインプリメントされることが分かっている全てのADBを識別しようとする試みもある。更に、このスキャンステップは、OPC階層を用いて実行されるものとして、即ち、OPCサーバによって生成されるものとして、記載されているが、この方法は、コントローラ、処理プラント内で構成階層を格納するデータ履歴、デバイス階層を格納するワークステーションなどの他のデバイスによって生成される階層上で用いたり、使用されたりする。このように、他のインプリメンテーションは、OPCサーバおよび/またはOPC階層を使用する必要はないが、公知の、または、今後開発される、コンピュータデバイス、通信プロトコル、および階層プロトコルを含む、多種多様の他のコンピュータデバイス、通信プロトコル、および階層プロトコルを使用することもできる。他のインプリメンテーションは、例えば、ウェブサーバ、XML、および/または、プロプラエタリ演算装置、およびプロトコルを使用し得る。
【0048】
ADBを含むデバイスを探し出したり検索したりする処理において、ブロック92は、
図4のボックス108によって示されるように、ADB、SPMブロック、または他のタイプのデータ収集ブロックを有するものとして、検出されたデバイスのリストを格納してもよい。所望されれば、ボックス108に挙げられているデバイスがそれらの階層に応じたツリービューディスプレイで表示されてもよい。このような階層的なディスプレイ110の例は、
図6に示されている。お分かりのように、
図6のビューにおいて表示された階層110は、コントロールディスプレイ内の全てのデバイスが一般にADBを含むとは限らないが、コントローラによって生成されるコントロールネットワークディスプレイ下で表示される階層のサブセットである。事実、
図6のビュー110は、ADBを含むデバイスのみを含むコントローラ階層を実際にコピーしたものである。お分かりのように、
図6のディスプレイは、(CTLR−002EC6と名付けられたコントローラの入力/出力デバイスIO1のカードCOlのポートPOlに接続された)デバイスPT−101およびPT−102と、(CTLR−002EC6と名付けられたコントローラの入力/出力デバイスIO1のカードC01のポートP02に接続された)デバイスPT−103、FT−201およびFT−202がそれぞれADBを有することを示す。
【0049】
デバイスからSPMパラメタのいずれかを読み出すため、このパラメタのOPCアイテムIDを知ることが一般的に必要とされる。一般的には、即ち、Fieldbus SPMブロックの場合、SPMパラメタに対するOPCアイテムのIDは、アイテム指定子が続くDevice(デバイス)IDを含む。DeviceIDを探し出すために、ADBを含むと判断されたデバイスノードごとに、サブノードSPM
ACTIVEを見つけることもある。次に、ブロック92は、リーフ(葉)「CV」に対してOPCアイテムIDを得ることもある。例えば、OPCアイテムIDは、「DEVICE:0011513051022201100534-030003969/800/SPM ACTIVE.CV.」である。次に、DeviceIDは、OPCアイテムIDからサフィックス(接尾部)“SPM ACTIVE.CV”を引いたものである。従って、この例では、「DEVICE:0011513051022201100534-030003969/800/」である。当然ながら、これは、OPCシステムにおいてDeviceIDを決定する一つの方法にすぎず、他の技術を代わりに使ってもよい。
【0050】
いずれにせよ、ブロック92がADBを有するデバイスを決定するために階層をスキャンした後、アプリケーション38は、これらのデバイスの各々に対して、Device Tag(デバイスタグ)、Device ID、Device Location(デバイス位置)を知っているし、または、容易に決定することができる。ADBを有する五つのデバイスを含む単純なシステムに対するこのデータの例が以下の表に示されている。
【0052】
再び
図4を参照すると、ブロック114は、ボックス108に格納されたデバイスのどのデバイスが統計処理モニタを実行するようにすでに構成されているかを判断し得る。この機能を実行するために、ブロック114は、該ボックス108に格納されたデバイスの各々に対してOPCサーバから、値SPM_ACTIVE.CVを読み出してもよい。例えば、上記のテーブル内のトランスミッタPT−101については、ブロック114が、OPCアイテムDEVICE:0011513051022201100534-0300O3969/800/SPM ACTIVE.CV.を読み出し得る。このOPCアイテムは、0または255の値を取ることもできる。FieldbusSPMブロックの場合、値がゼロの場合、SPMブロックは、このデバイスに対してディセーブルであり、値が255である場合、SPMブロックは、このブロックに対してイネーブルである。SPMがデバイスごとにイネーブルであるかをチェックする場合、ブロック114は全てのデバイスを二つのカテゴリ、即ち、SPMがすでに構成されているデバイスとSPMがまだ構成されていないデバイスへ分割することができる。デバイスのこれらのカテゴリまたはリストは、
図4のボックス116とボックス118によって示される。
【0053】
ブロック114が、SPMがボックス108に挙げられたデバイスの各々においてイネーブルであるか否かを決定した後、ブロック120は、SPMがイネーブルであるデバイス、即ち、ボックス116に列挙または格納されたデバイスの各々の内部のSPMブロックの各々に対して状態をチェックすることができる。基本的に、ブロック120は、SPMがイネーブルであるデバイス内の各SPMブロックが現時点で処理変数をモニタするように構成されているか否かを判断し、そうである場合、どの処理変数がモニタされているかを判断するために、このステップを実行する。この例において、SPMブロックの状態を読み出すことによってSPMブロックが現時点で処理変数をモニタしているか否かを判断することが可能である。FieldbusSPMブロックにおいて、OPCサーバからのSPM[n]STATUS.CVアイテムを読み出すことによって、状態がチェックされ得る。このように、例えば、上の表のデバイスPT−101のSPMブロック1に対する状態を読み出すために、ブロック120は、OPCアイテムID DEVICE:00115130510222011005340300O3969/800/SPM1 STATUS.CV.を読み出してもよい。
【0054】
概して、状態の値は0から255に及ぶ8-ビット数である。この状態は、オンまたはオフされ得る8つの異なるビットの組合せである。これらのビットは、以下の通りであるInactive(休止)(1)、Learning(学習)(2)、Verifying(確認)(4)、No Detections(非検出)(8)、Mean Change(平均変化値)(16)、High Variation(高偏差値)(32)、Low Dynamics(低ダイナミックス)(64)およびNot Licensed(許可されない)(128)。許可はされたが、構成されなかった全てのSPMブロックは、休止状態(State of Inactive)にある。SPMブロックの状態が、休止または無許可である場合、有用な情報を生成していないのでこのブロック120がモニタされないと判断してよい。しかしながら、状態(Status)が他の可能性のいずれかである場合、このブロック120は、SPMブロックをモニタし得る。
【0055】
同様に、ブロック122は、SPMがイネーブルでない各デバイス(即ち、ボックス118に挙げられたデバイス)を自動的に構成し、これによって、これらのデバイス内の少なくとも一つのSPMブロックが、処理変数を検出またはモニタすることを可能とし、これによって、その処理変数に対する統計データを作成し得る。Rosemount3051Fおよび3051Sのトランスミッタを用いた場合などのように多くの場合、デバイスは、SPMがまだ構成されていないプラントから出荷されるため、ユーザは一般に各デバイスにおいてSPMを手動により構成することが要求される。ADBを有する数百あるいは数千のデバイスを抱えるプラントにおいて、これは非常に冗長な工程である。この手動による構成を緩和するために、デバイスごとに少なくとも一つのSPMブロックを自動的に構成する。この構成を実行するため、ブロック122は、デバイス内でモニタされる特定の処理変数の表示を決定するかまたは格納することができる。この変数は、主要処理入力、PIDブロック出力、または、Fieldbusデバイスにおいて使用可能な任意の数の他の機能ブロック変数(入力または出力)であってもよい。どの変数をモニタされるかについての表示は、構成処理中に設定されてもよいし、状況に応じてユーザによって指定されてもよいし、または、一般的にルーチン38のオペレーションの前にユーザによって指定されてもよい。
【0056】
処理変数のいずれもモニタされ得るが、統計目的のためにモニタされる論理変数は、デバイスの主要アナログ入力である。Rosemount3051Fおよび3051Sのトランスミッタの場合、この変数は、測定された圧力または流量(例えば、差圧)である。このように、ブロック122は、デバイスの主要アナログ入力または出力をモニタするために、デバイスのADBにおいてSPMブロックの一つを自動的に構成するために構成されてもよい。所望されれば、デバイスのSPMブロックを手動的に構成することもできる。あるいは、ブロック122は、各タイプのデバイスごとにモニタされる処理変数のリストを格納してもよいし、ある状況が与えられた場合に、どの処理変数をモニタするかを選択または決定するためにこのリストを使用することもできる。ブロック122は、一つの処理変数をモニタするために、デバイス内で単一のSPMブロックを構成するものとして本明細書中で記載されているが、ブロック122は特定のデバイス内で一つ以上のSPMブロックを構成することができ、これによって、このデバイスに関連する一つ以上の処理変数をモニタすることができる。
【0057】
更に、DeltaV OPCサーバによって、(充分な管理権限を付与された)ユーザは、デバイス内のいくつかのアイテムに値を書き込むことができる。このように、OPCサーバにおいて適切なアイテムに値を書き込むことによってデバイス内でSPMパラメタを変更することが可能である。これによって、ブロック122は、一続きの値をOPCサーバに書き込むことによって主要処理変数に対するSPMをモニタするためにデバイスを自動的に構成し得る。ある具体的な例において、OPCサーバへ書き込まれた値が以下の表に示される。
【0059】
ここで、表2で示されているように、[DeviceID]は、DeviceIDに置き換えられる。デバイスPT−101については、第1のOPCアイテムへ書き込まれる値は、DEVICE:0011513051022201100534-030003969/800/SPM MONITORING CYCLE.CV.である。これらのアイテムを全てOPCサーバに書き込んだ後、デバイスは、SPM1ブロック内の主要圧力変数をモニタするように構成される。言うまでもなく、これは、Fieldbusフィールドデバイス内で特定の種類のSPMブロックへ書き込む一つの例にすぎない。従って、他のタイプのSPMブロックへ書き込む他の方法もそれのほかにまたはそれに替えて使用できることも理解されよう。この場合、書き込みコマンドはこれらのSPMブロックによって使用される通信プロトコルによって決定される。
【0060】
いずれにせよ、
図4のブロック120および122のオペレーションは、ADBを有するデバイス内でモニタされるSPMブロックのセットまたはリストを作成する。このリストは、
図4のボックス124内に格納または関連するものとして、示されている。更に、
図4のボックス126は、モニタされるSPMブロックの各々についてアプリケーション38がモニタする一組のSPMパラメタを指定する。SPMパラメタ126のリストは、アプリケーション38の動作の前またはその最中にユーザによって指定あるいは選択されてもよいし、あるいは、構成処理中にモニタされる異なるSPMブロックに対して個別に選択あるいは指定されてもよい。以下の表は、Fieldbus SPMブロックごとにOPCサーバから読み出され得るSPMパラメタの全てを示す。
【0062】
しかしながら、モニタされているSPMブロック毎にこれらのパラメタの全てをモニタする必要はない。実際、過剰な量のアイテムがモニタされている場合は、OPCサーバがオーバーロードされる可能性がある。従って、アプリケーション38はモニタされるSPMパラメタのセットをユーザが選択することが可能である機構を提供し得る。この選択を可能とするスクリーンの例が
図7に示され、ユーザは、ボックス124によって識別されるSPMブロックの各々に対してユーザがモニタしたいSPMパラメタをチェックすることができる。
【0063】
ブロック128は、該処理の動作中にアプリケーション38によってモニタされるSPM OPCアイテムのセットを構築するため、(ボックス126によって識別される)モニタされるSPMパラメタのリストと(ボックス124によって識別される)モニタされるSPMブロックのリストを使用する。ブロック128は、ボックス130によって示されるように、モニタ処理の今後のステップで使用するためにこのOPCアイテムのセットを格納してもよい。概して、ブロック128は、(ボックス124によって示される)モニタされるSPMブロックごとに、(ボックス126によって示される)モニタされるSPMパラメタに対するSPM OPCアイテムを作成する。即ち、モニタされる一組のSPMブロックと、このようなブロックごとにモニタされる一組のSPMパラメタが付与されると、ブロック128は、モニタされるSPMブロックとモニタされるSPMパラメタの全ての可能性のある組み合わせに対して、OPCアイテムとしてモニタされる一組のOPCアイテムを構築する。このように、例えば、モニタされる10個のSPMブロックと、SPMブロックに対してモニタされる5個のパラメタがある場合、ブロック128は、合計50個のOPCアイテムを作成する。この例において、OPCアイテムIDは、上記の表からのデバイスIDとOPCサフィックスとの組み合わせである。例えば、デバイスPT−101においてSPM1のための平均値を読み出すために、OPCアイテムIDは、DEVICE:0011513051022201100534030003969/800/SPM1MEAN.CV.となる。
【0064】
OPCアイテムの全てがボックス130内で識別され格納された後、ブロック132および134は、処理の動作中の変化に対してSPMパラメタをモニタする。SPMパラメタのいくつかは、SPMブロックの構成に応じて5分乃至60分おきに変化し得るが、他のSPMパラメタはSPMブロックが構成された時のみ、変化し得る。これによって、ブロック132は、SPMパラメタをモニタする処理が開始された時に(ボックス130のOPCアイテムによって指定された)SPMパラメタの全ての現在値を最初に読み出すこともある。一つの実施の形態において、ブロック132は、OPCアイテムIDのそれぞれの読み出しを要求するSyncRead機能を用いて、この読み出しを実行し得る。
図4のボックス136によって示されるように、SPMパラメタの各々を読み出すことによって一組のSPMデータポイントが生成される。
【0065】
SPMパラメタの最初の読み出しの後、ブロック134は、SPMパラメタにおける変化を待機してもよい。即ち、第1のセットのSPMデータポイントを得るためにモニタされているSPMパラメタの各々の初期値がOPCサーバから読み出された後、ブロック134は、モニタされているSPMパラメタのいずれかにおける変化を示す更なるデータを受信または取得する。SPMブロックの構成に応じて、平均値および標準偏差値のパラメタも5分乃至60分ごとに変化する。にもかかわらず、SPMパラメタのいずれかが変化するとき、OPCサーバは、DataChange(データ変更)事象を上昇させ、この事象は、OPCクライアント、例えば、アプリケーション38によってキャプチャ(捕捉)される。あるいは、ブロック134は、新しいデータポイント(ボックス136)を得るためにモニタされているSPMパラメタの各々を周期的または所定時間にポーリングしたり(聞いて回ったり)読み出したりする。このように、SPMパラメタデータは、たとえ変化しない場合でも読み出される。当然、ブロック134は、処理動作中は連続動作することができ、ユーザが目視するために、以下に詳細に記載されているルールエンジンによって使用されるように、または、任意の他の目的のために、新しいSPMパラメタを受け取り、このSPMパラメタデータをデータベース内に格納する。当然、所望されれば、
図4のルーチン90は、SPMブロックが、異常事態防止システム35(
図1)の他のエレメントへ統計測定値やパラメタを提供することを可能とするために、SPMブロックやホストデバイス内で他の統計データ収集ブロックを検出し構成することもできる。
【0066】
実際、ボックス136のSPMデータポイントのいずれかが読み出された後は常に、ブロック138は、傾向付けや他の目視目的のためにこれらのデータポイントを今後も参照できるように、これらのデータポイントを(
図1および
図2のデータベース43などの)ローカルデータベース内に格納あるいは保存することができる。更に、ブロック140は、処理プラント内の異常事態を検出あるいは予測するなどの任意の目的のために任意の所望されるまたは有用なフォーマットにおいてSPMデータをユーザへ提供するために、使用され得る。所望されれば、ブロック140は、
図1および
図2に示された目視アプリケーション40によってインプリメントされ得る。
【0067】
概して、(
図4のブロック140によってインプリメントされ得る)目視アプリケーション40は、例えば、ユーザが一瞥により最新のSPMデータを目視できるように、任意の所望されるまたは有用なフォーマットにおいて、ユーザへSPMパラメタデータを表示することもできる。例えば、目視アプリケーション40は、従来のエクスプローラタイプのディスプレイを用いてSPMデータを表示してもよい。このようなディスプレイの例は、
図8に示されており、
図6のエクスプローラ階層110がディスプレイスクリーンの左側に設けられ、(
図7に示されるスクリーンによって指定されるように)モニタされているSPMパラメタがモニタされているSPMブロックごとにディスプレイ115の右側に描写されている。データが特定のデバイスと関連付けられるのを見つけたり目視したりすることを容易にするために、該SPMデータはディスプレイ部分115でデバイスによって類別(カテゴライズ)されている。当然、ユーザは、それらのアイテムやノードに関連するSPMデータを目視するために階層110におけるアイテムやノードのいずれかを選択し得る。更に、所望されれば、目視アプリケーション40は、SPMブロックエレメントと該SPMブロックエレメントに対してモニタされているSPMパラメタを含む、
図9のエクスプローラディスプレイのようなエクスプローラディスプレイを提供し得る。このように、
図9の例示的な階層141において、SPM1と名づけられたSPMブロック142が3051−Flow(フロー)と名づけられたデバイスに配置されているのが示されている。SPM1ブロック142の下のエレメント143は、モニタされ、ユーザが目視するために使用できるSPMパラメタを示す。この場合、これらのパラメタは、平均値、平均変化値、標準偏差値、標準偏差変化値、標準偏差値によって除算された平均値、および該平均値によって除算された標準偏差値を含む。
【0068】
所望されれば、目視アプリケーション40は、フィールドデバイス内で、またはこれらのブロックが配置されるホストや他のデバイス内で、ユーザが、一つ以上のSPMブロックを加算したり再構成したりすることを許可または可能とする。
図10は、スクリーンディスプレイ144を示し、この場合、ウィンドウ145によって示されるように、ユーザが新しいデバイスを加え、更には、この新しいデバイス内でSPMブロックを追加したり構成したりすることを可能とする。ここで、SPMブロックは、SPM1と名付けられ、(スクリーン144の左側の階層にデバイス3051
LEVELとして示された)FT3051−COLD1のデバイスタグに関連付けられ、AI1と名付けられたアナログ入力機能ブロックの出力(OUT)パラメタまたは変数に関連している(該パラメタまたは変数で演算する)。この場合、目視アプリケーション40は、ユーザが、関心が持たれる(即ち、モニタされる)SPMパラメタだけでなく、SPMブロックに対する平均値、平均変化値、標準偏差変化値などのベースラインおよび閾値を指定することを可能とする。
【0069】
また更に、目視アプリケーション40は、SPMブロック(または他のモニタブロック)からの直接のデータ、または、例えば、アプリケーション40によって該SPMブロックから生成されるデータ、のいくつかの種類のビューを得るために、ユーザが、階層を介して、ナビゲートすることを可能とする。例えば、
図11は、スクリーンの左側にプラント階層147と、スクリーン146の右側のビュー148において該階層内のデバイスと関連する一つ以上のSPMまたは他のブロックと、を描くスクリーンディスプレイ146を示す。SPMブロックの一つ(この場合、3051S−1デバイスのSPM1)を選択する際、ユーザは、SPM1ブロックから、データを目視するための方法を選択するためにプルダウンまたはポップアップウィンドウ149を使用し得る。
図11において、ユーザは、Trend plot(トレンド座標)を目視することを選択し、更なるポップアップまたはプルダウンウィンドウが、ユーザが、トレンド座標に表示するために特定のSPMパラメタデータ(またはこれらの組み合わせ)を指定することを可能とする。この場合、トレンドされる可能性のあるタイプのデータのいくつかが、SPMブロックの一つ以上からのデータの組合せとして、決定され得ること、そして、これらの組合せは、ホスト(例えば、アプリケーション40において)、または、この生データにアクセスを有するフィールドデバイスまたは他のデバイスにおいて計算され得ることが理解されよう。
【0070】
図12は、ユーザがポップアップウィンドウ149においてデータを直接目視すること(View Data)を選択した際のスクリーン146を示す。ここでは、もちろん、更なるポップアップウィンドウにおけるデータの選択は異なることもあり、ホストデバイス内で生成されたデータ(標準偏差値によって除算された平均値などの)に対してオプションを提供せずに、SPMブロックによって収集または生成された生データを指定し得る。アプリケーション40がSPMブロックからデータを得ることもあり、いくつかの場合においては、SPMブロックから収集された生統計データからそのデータを生成し得ることも当然理解されよう。また更に、他のタイプのビューまたはオプションが、ヒストグラム座標などの(SPMブロックからのデータまたはSPMブロックからのデータから生成されるデータのいずれかの)データを目視するために提供され得る。また、ユーザは、SPMデータを削除したり、新しいデータ収集サイクルをスタートしたりなどのような他の機能を実行するために、スクリーン146およびポップアップウィンドウ149を使用してもよい。
【0071】
図13は、アプリケーション40によって生成され得る、例示的なトレンドグラフ150を示し、該グラフは、SPM平均値(Mean)対時間を示す。このディスプレイにおいて、ユーザは、過去と未来のデータをレビューし、データの始まりまたは終わりを見るため、該データ内の限界値を検索するために、制御ボタン152を使用してもよい。いずれにせよ、
図13のトレンドウィンドウなどのようなトレンドウィンドウは、ユーザに、任意のSPMパラメタに対してのビヘイビア(振る舞い)の履歴を目視させる。処理に応じて、異なる処理変数のトレンドに基づいて、異常の状態を特徴付けることが可能である。しかしながら、統計処理データに対してユーザができることには本質的に制限はなく、ユーザが、処理プラント内の現在または今後の異常事態を検出する以外の目的のために、このデータを使用できることも理解されよう。またさらに、ユーザは、収集された統計データを任意のフォーマットまたはビューにおいて目視することができ、これによって、このデータを読み出し、理解し、処理プラント内の事象を検出するとともに予測するために使用することが容易になる。
【0072】
ざっと見たとき、
図13のグラフは、時間あたり処理変数の通常のグラフのように見える。しかしながら、このグラフは、純粋な時間あたりの処理可変データの座標ではなく、むしろ、ある一定の間隔をおいて計算される処理変数の平均値の座標であることに注目されたい。処理変数平均値対時間を作図するためにDCS履歴を使用することも可能であるが、ここで異なるのは、処理変数の平均値が一般に元来このデータをまさに収集しているデバイスにおいて計算されていること、また、データの収集速度が極めて速いという点にある。従って、データ履歴によって作成される座標における範囲では、
図13のグラフには測定ノイズが存在しないことが確信される。更に、統計測定値、例えば、平均値は、一般により多くの収集データに基づいているため、より正確である。
【0073】
同様に、アプリケーション40は、時間あたりの任意の他のSPMパラメタ(例えば、標準平均値、平均変化値、標準偏差値など)のみならず、SPMパラメタ(例えば、平均値によって除算された標準偏差値など)の任意の数学的な組合せを作図し得る。また、アプリケーション40は、ユーザが異なる統計データ間の比較をより簡単にするために、同じグラフまたはページにこれらの座標のいずれかを任意の組合せを配置してもよい。
図14は、同じタイムフレームあたりの処理変数の異なる統計測定値のグラフのセットを示し、全てのグラフは、同じディスプレイスクリーンで同時に、同じまたは異なるディスプレイスクリーンで逐次に、ユーザに提供され得る。
図14において、左上のグラフ156は、時間あたりの標準偏差値(Standard Deviation)を作図し、右上のグラフ158は、時間あたりの標準偏差値で除算された平均値(Mean/Std.Dev.)を作図し、左下のグラフ160は、同じ縮尺における時間あたりの(異なるSPMブロックからの)三つの異なる平均値を作図し、右下のグラフ162は、同じ縮尺における時間あたりの(異なるSPMブロックからの)三つの標準偏差値を作図する。当然、目視アプリケーション40は、モニタされたSPMパラメタのいずれか、または、これらのSPMパラメタの時間あたりの任意の数学的な組合せをグラフ上に提供してもよいし、ユーザが処理プラント内で発生していることを理解するのを助けるために、時間あたりの任意の数の異なるSPMパラメタ(または該SPMパラメタの数学的組合せ)を同一グラフ上に提供してもよい。
【0074】
統計処理コントロールは、ある処理変数が許容可能な限界値を外れているか否かを判断するために処理コントロール業界においてしばしば使用される。一般に、アプリケーション38によって収集されたSPMデータに基づいて計算され得る上方管理限界値(UCL)および下方管理限界値(LCL)と上方指定限界値(USL)および下方指定限界値(LSL)の両方がある。管理限界値は、ある例では、UCL=μ+3σ、およびLCL=μ−3σの式で表され、ここで、μとσは、それぞれ、ベースライン平均値とベースライン標準偏差値である。更に、指定限界値は、
(式1)
【数1】
(式2)
【数2】
で表され、
式中、Δμは、パーセントで表されるユーザ指定平均値である。もちろん、目視アプリケーション40は、これらの値を直接計算することもできるし、ユーザにこれらの値を入力させることもできる。
【0075】
以上のことから、目視アプリケーション40は、ベースライン平均値と管理限界値に対して平均値の分散を作図し、プラントの稼動中に平均限界値に到達したときまたはこれを超過した時の可視化(ビジュアリゼーション)を提供し得る。この結果は、
図15のグラフ166に類似して見える本質的にはヒストグラムグラフである。お分かりのように、上方および下方管理限界値は、それぞれ、ライン167および168によって示され、上方および下方指定限界値は、それぞれ、ライン169および170によって示される。更に、平均点(即ち、各値における平均点の数)がライン172で作図され、ベースライン平均点は、ヒストグラム座標174を用いて作図される。グラフ166に示されるように、該処理が制御下にある場合、全てのデータが限界値内にあるということになる。異常事態が発生している場合は、データのいくつかが管理限界値または指定限界値167乃至170のいずれかを越える(範囲を外れる)。また、グラフ166は、処理測定値の平均値(およびベースライン平均値)を作図するが処理測定値そのものは作図しないので、該グラフ166は、標準のヒストグラム座標とは異なる。
【0076】
所望されれば、目視アプリケーション40は、上記に示されたような管理限界値と指定限界値を、時間あたりの平均値、標準偏差値、または、(メジアン値などの)任意の他の所望される統計測定値の座標に追加することもできる。限界値が平均値対時間座標に追加されたときに得られる座標はX−チャートと呼ばれる。統計平均値に対するX−チャート178の例は、
図16に示され、この図において、平均値(Mean)対時間はライン180で示され、上方および下方の管理限界値はライン181と182によってそれぞれ示され、上方および下方の指定限界値はライン183および184によってそれぞれ示される。
【0077】
この場合、目視アプリケーション40は、実際の処理変数を作図しないが、ある一定の時間間隔で平均値を作図しているので、上方および下方の管理限界値の計算を調整することが望ましい。測定値のノイズが削減されるので、該処理変数の値を作図する標準Xチャートにおいて見られる同一変動が存在することはない。上方および下方の管理限界値に対して行われ得る一つの可能性のある調整としては、各平均値を計算するために使用されるデータポイントの数の平方根によって、3σ部分を除算することである。この形式によれば、上方および下方の管理限界値は、以下のように計算され得る。即ち、
(式3)
【数3】
(式4)
【数4】
式中、N=(モニタ周期)
*(60)
*(秒あたりのサンプル(抜き取り)値)
【0078】
ここで、モニタ周期は、平均値と標準偏差値が計算される分数である。15分のデフォルト(省略時値)が使用され得る。他の抜取り速度も使用可能であるが、秒あたりのサンプル値は測定値を取るデバイスの抜取り率に基づき、例えば、Rosemount3051Fトランスミッタは10秒、Rosemount3051Sトランスミッタは22秒である。
【0079】
更に、アプリケーション40は、時間あたりの標準偏差値が管理限界値および指定限界値によって作図されているS−チャートを作成し得る。この場合、上方および下方の管理限界値および上方および下方の指定限界値は、以下のように定義される。
(式5)
【数5】
(式6)
【数6】
(式7)
【数7】
(式8)
【数8】
【0080】
Δ
HVは、パーセントで表されるユーザ定義の高変動限界値であり、Δ
LDは、ユーザ定義の低ダイナミック限界値である(Δ
LDは0より小さい)。
【0081】
S−チャート190の例を
図17に示す。ここで、時間あたりの標準偏差値はライン192で示され、上方および下方の管理限界値はライン193と194でそれぞれ示され、上方および下方の指定限界値はライン195と196でそれぞれ示される。
図17の例において、処理変数の標準偏差値(STD.Dev.)は、上方および下方の管理限界値を何度もクロスオーバーし、上方の指定限界値を数回クロスオーバーし、これによって、異常事態の現在または将来の発生可能性の有無を潜在的に表している。
【0082】
またさらに、アプリケーション40は、収集されたデータから他の統計測定値または値を決定することができる。例えば、アプリケーション40は、
(式9)
【数9】
として、任意の統計変数を含み得る変数xに対して分散指数または測定値を計算することができる。
【0083】
アプリケーション40は、以下の式
(式10)
【数10】
によって、能力指数または測定値を計算することができ、および
(式11)
【数11】
として、(統計変数を含み得る)二つの変数間の相関係数を計算することができる。
【0084】
他の例において、二つの変数間の相関係数は、以下の式
(式12)
【数12】
によって計算され得る。
【0085】
もちろん、目視アプリケーション40は、処理プラント内で一つ以上の異常事態を判断するために、該システム内で所望されるあるいは必要とされるところの(統計変数だけでなく処理変数を含む)任意の変数(あるいは複数の変数)に対して他の計算を実行することもできる。このように、例えば、アプリケーション40やその中のいくつかのルーチンが、異常事態検出および防止を実行するために、収集されたデータ上で、基本的なコンポーネント解析、回帰解析、ニューラルネットワーク解析、または任意の他の単一または複数の変数解析を実行し得る。
【0086】
概して、
図13、
図14、
図16および
図17のグラフは、時間当たりの一つ以上のSPMパラメタを作図することを基本としている。しかしながら、目視アプリケーション40は、時間とは無関係に、一つ以上のSPM変数間の相関を表したり図示したりするグラフも提供できる。一つの例において、目視アプリケーション40は、一つのSPMパラメタを他のパラメタに対して作図する分布図を作成し得る。目視アプリケーション40またはユーザは、二つのSPMパラメタ(または二つのSPMパラメタのいくつかの組合せ)がいかに良好に相関し得るかを表す相関係数を求めることができる。
図18は、互いに対して二つのSPM平均パラメタを作図する分布
図200を示す。ここで、一般に、二つの平均値が(一つの平均値が増加すると他の平均値も上がる傾向にある)分布点の基本的な直線性によって比例的に相関することが分かる。一般的な分布領域をかなり外れたポイントは該プラント内の潜在的な問題を示唆する。
【0087】
当然、目視アプリケーション40は、
図18のような2次元分布図を提供することに限定されない。実際、目視アプリケーション40は、互いに対して三つ以上のSPMパラメタを作図する3次元以上の分布図を提供し得る。例えば、
図19は、互いに対して、三つのSPMパラメタ、特に、互いに対する三つの処理変数の平均値の関係を作図する3次元分布
図210を示す。
【0088】
図20は、四つのSPMパラメタ間の相関を示す4次元の分布図マトリックス220を示す。実際、分布図マトリックス220は、16個の分布図の各々が四つのSPMパラメタの一つ対該四つのSPMパラメタの他の一つを作図する、16個の異なる2次元の分布図を含む。ここで、ユーザは、処理プラント内で、現在時点での異常事態の検出しようとする際、または、異常事態の今後の発生を予測しようとする際、異なるSPMパラメタ間の相関または関係を素早く目視することができる。
【0089】
また、
図18乃至
図20の分布図は、これらの分布図が一つ以上の処理変数の平均値は作図するが、処理可変データポイントそのものは作図しないという点で他の公知の分布座標とは異なる。従って、処理変数に一般に存在しているノイズが減少し、これによって、データのより円滑で理解しやすい描画が得られる。更に、アプリケーション40は、平均値の作図のみに限定されず、標準偏差値、メジアン値などの他の統計変数値間の関係を作図することができる。またさらに、アプリケーション40は、平均値、標準偏差値などの互いに異なるタイプの統計変数だけでなく、一つの処理変数に対する平均値対他の処理変数に対する平均値によって除算される標準偏差値などの統計変数の組合せを作図することもできる。例としては、アプリケーション40は、平均値、標準偏差値、平均変化値、標準偏差変化値、または、処理変数をモニタする任意のSPMブロックに対するこれらのSPM変数の任意の数学的な組合せを作図することができる。
【0090】
所望されれば、上記にほぼ示されているように、目視アプリケーション40は、任意の標準または公知の相関計算を用いて、任意のペアのSPMパラメタに対する相関係数を計算してもよいし、求めてもよい。相関係数が1(または−1)に近似している時、二つのSPMパラメタ間に強い線形相関(または弱い線形相関)がある。一組の二つ以上のSPM変数に対しては、相関マトリックスが決定され、該相関マトリック内の各エレメントが、異なるセットのSPMパラメタの二つのパラメタ間の相関係数を定義する。
図21は、処理プラントのカスケード(翼列)ループ内の少なくとも9つのセンサ測定値の平均値に対する相関係数を有する例示的な相関マトリックス230の一部を示す。
【0091】
図21の相関マトリックス230から、どのSPMパラメタが互いに最強の相関を有するかが決定され得る。明らかに、
図21のような数字のマトリックスは、あまり見やすくはない。しかしながら、アプリケーション40は、
図22に示される棒図表240のような3次元の棒図表としてこのマトリックスを表示することができる。この3次元の棒図表240では、どこに最強の相関があるかが視覚的に非常に明確である。当然、アプリケーション40は、全ての座標が最強の相関がどこにあるかを示すワイヤフレーム(針金細工)座標、等高線座標などの他の図形的な方法において、相関マトリックスを表示することができる。
【0092】
図23のスクリーンディスプレイ241に示されるような一つの例において、目視アプリケーション40は、所望される処理状態の一組の相関点と現在または所望されたものではない処理状態における一組の相関点との差を示す相関座標を提供する。このように、
図23のスクリーン241は、所望される処理状態に対する相関点(Xマーク)を示す第1の相関座標と現在の処理状態に対する同じセットの相関点を示す第2の相関座標との一組242を含み、これによって、所望される処理状態と処理プラントの異常事態の存在を示すかもしれない現在の処理状態のパラメタ間の相関の偏差値を示す。ここで、Xマークの各相関点は、同一SPMブロックか異なるSPMブロックのいずれかの少なくとも二つの異なるSPMパラメタの相関値である。もちろん、
図23に示されるように、ベースライン平均値μおよびベースライン標準偏差値σは、片方または両方の処理状態に対して作図され得る。
【0093】
同様に、
図24を示すスクリーン243に示されているように、目視アプリケーション40は、カラー符号化された相関マトリックスを作成し得て、特定の相関点の値がその大きさによって一組の異なるカラーの一つにおいて図示される。このような相関座標は、ユーザが、異なるSPMパラメタ間で相関を目視し、これによって、処理プラント内の異常事態を検出したり、今後の発生を予測したりすることを容易にする。また、他のタイプのSPMパラメタ(平均値だけではない)、SPMパラメタの数学的組合せのみならず、異なるタイプのSPMパラメタに対して、相関マトリックスが求められ、グラフ化されることが理解されよう。
【0094】
また更に、アプリケーション40は、上記に示されたもの以外に、または、それに代わるものとして、SPMデータの他のビューを提供することができる。例として、アプリケーション40は、X軸に沿った時間あたりのY軸およびZ軸に沿ったSPMブロックの平均値および標準偏差値の3次元トレンド座標、X軸およびY軸に沿った平均値および標準偏差値とZ軸に沿った各々の量を作図する3次元ヒストグラム座標、および平均値および標準偏差値のいずれかまたは両方が上方および下方の管理限界値および/または指定限界値を含んでいる、X軸に沿った時間あたりのY軸およびZ軸に沿ったSPMブロックの平均値および標準偏差値の3次元トレンド座標の形態において、可視化グラフやチャートを提供し得る。いうまでもなく、SPMデータを可視化するためのほぼ無制限の方法もあり、本開示は上記の特定の方法に限定されない。
【0095】
図25は、ユーザがSPMパラメタなどの異なる変数の座標、または測定データおよび予測データなどの関連変数またはデータの座標を比較することを可能とするために目視アプリケーション40によって生成され得る座標スクリーン244を示す。この場合、座標スクリーン244のセクション245は、ユーザが、スクリーンの座標セクション246上で表示されるデータの特定座標を選択することを可能とし得る。例えば、ユーザは、全て同一グラフ上で、残差データ、(モデルによって生成されるデータなどの)予測データ等の(同一画面上の階層ビューで選択されたデバイスに対する)測定データの座標を目視することを選択し得る。ユーザはまた、座標内のドリフト検知を実行すること、および/または、座標セクション246上の測定閾値を示すことを選択してもよい。
図25の例において、ユーザは、測定された処理状態と予測された処理状態の間のドリフトやミスアライメントを目視するために予測データと並列の(SPMデータまたは生の処理可変データであり得る)測定データの座標を目視することを選択している。当然、アプリケーション40は、ユーザが、他の関係を目視すべく、同時作図するために、他の変数およびデータ(SPMデータと処理可変データの両方)を選択することを可能とする。
【0096】
他の例としては、目視アプリケーション40は、同一グラフ上の異なる二つの(またはそれ以上の)SPMパラメタを生成して、SPMパラメタの一つの該SPMパラメタのその他に対する予測されるかあるいは予測できない行動を目視することを可能とする。
図26は、(バルブ関連の)ライン252と(トランスミッタ関連の)ライン254によって作図されるグラフ250を示す。この例において、ユーザまたは技術者は、二つのSPMパラメタの通常の開きに次いで該二つのSPMパラメタの近づきが縦のライン255および256によって示されるような特定限界値に変換されることを予測する。しかしながら、限界値へ変換される前に、これら二つの変数間に縦のライン257および258によって示されるような開きが発生した後は、ユーザや技術者は、問題が既に発生してしまったこと、または、異常事態が今後発生し得ることを知ることになる。
【0097】
SPMパラメタの相関は、プラント、プラントの一部、設備の一部などの全体的な安全性についてのいくつかの表示ができることが確信される。プラント(またはプラントの一部または設備の一部など)が通常の稼動状態にあるとき、他の変数と高い相関関係をもつ変数がいくつかある場合がある。経時的に、これらの相関値のいくつかが変化する可能性がある。相関値のいくつかの変化によってプラントが以前と同じ性能ではもはや稼動しないことを示す。従って、以下に記載されているいくつかの例は、一つ以上の相関値が経時的にどのようにして変化するかを可視化するための方法を提供する。
【0098】
相関値の変化を経時的に目視するために、該相関値は異なる時間差で計算され得る。等式11または等式12などの式が全体的な使用可能範囲からデータの相関値を生成するために使用され得る。更に、データは、特定長さのセグメント(例えば、30分、1時間、6時間、1日、7日、特定数のサンプルなど)へ分割され得て、次に、一つ以上の相関値がセグメントごとに計算され得る。このように、相関値が一つのセグメントから次のセグメントへ変化する場合、これは経時的な相関値の変化であると考えられる。他の例としては、相関値は、データのスライディングウィンドウに基づいて生成され、該スライディングウィンドウは、特定の長さ(例えば、30分、1時間、6時間、1日、7日、特定数のサンプルなど)を有する。
【0099】
図27は、経時的な単一の相関値の例示的な座標(座標)260を示す。
図28は、経時的な複数の相関値の例示的な座標262を示す。
図28に示されるように、同一グラフに作図される相関値が大きくなるにつれて、座標がより込み入ってくる。このように、複数の相関値と関連するデータを可視化するための更なる例示的な方法が以下に示される。
【0100】
一つの例において、相関値における変化が作図される。例えば、初期値、先行値、ベースライン値、「ノーマル(正常)」値、予測値、などからの相関値の変化が作図され得る。この例において、該変化は相対的変化(例えば、パーセント)または絶対的変化のいずれかとして表されてもよい。
【0101】
所与の相対値に対するベースライン値は、一般に、相関値の基本となるデータを生成するために必要とされる処理可変データの量を基にした基本となるデータの量で計算すべきである。例えば、平均値は、短ければ、5分区切り、長ければ、丸一日を区切りとしたデータのセグメントに基づいて生成され得る。少なくとも30個の平均値のデータポイントを用いた平均値のデータからの相関値は、統計的に信頼できるサンプルを提供できると現在のところでは考えられている。(いくつかのインプリメンテーションにおいて、30個未満の平均値のデータポイントでも統計的に信頼できる相関値を提供できることもあれば、30個より多い平均値のデータポイントが要求される場合もあることが理解されよう)。この場合、平均値のデータポイントは5分間隔で評価される場合、相関ウィンドウはほぼ3時間以上となる。
【0102】
いくつかのインプリメンテーションにおいて、平均値データを生成することには、最初の平均値が保存される前の訓練(トレーニング)期間を含まれる。これらのインプリメンテーションにおいて、平均値を生成するためのアルゴリズムには、該処理のためのベースライン平均値を求めるようとすることが含まれる。ベースライン平均値の存在は、二つの連続するブロックのデータの平均値および標準偏差値が互いのある許容範囲内にあることを確認することによって判断され得る。これは、ベースライン平均値が該処理が安定した状態にある時に得られるものであり、該処理が過渡期にあるものではないことを確実とするのを補助することができる。ベースライン平均値が求められた後、アルゴリズムは計算を開始し、他のアルゴリズムや処理によって使用され得る平均値を提供する。これらの平均値は相関値を計算する為に使用され得る。このように、第1の平均値が該アルゴリズムによって計算されるときに該処理が安定した状態にあり、その正常な稼動状態にあるといえる。
【0103】
一つの例において、ベースライン値の平均値が求められた後で計算された第1の相関値は、ベースライン相関値として選択される。上記のように、第1の相関値が計算される時、多くの場合、該処理は安定した状態であり、その正常な稼動状態にあるという。
【0104】
しかしながら、いくつかの場合、第1の相関値を常に「ノーマル(正常)」値として使用しようとする場合、問題が発生し得る。例えば、該処理は、たとえ正常な稼動状態にあっても、相関係数が一つの相関ブロックから次の相関ブロックにかけて不規則になる可能性もある。これは二つの変数があるがままで非常に低い相関値を有する場合に特にあてはまることである。また、平均値を生成するSPMブロックのモニタ周期が高すぎる周期あるいは低すぎる周期で構成される場合、あるいは、該平均値を生成するためのアルゴリズムがトレーニングされたときに該処理が正常な状態になかった場合、第1の相関値は基準値の良好な推定値にはならない。
【0105】
従って、いくつかの状況において、第1の相関値とは異なる相関値をベースライン相関値として使用することが有用である。更に、ベースライン相関値が選択されないこと、あるいは、例えば、相関値が相対的に小さいかおよび/または不規則である時にベースライン相関値がいくつかの絶対値(例えば、0)として選択されることが判断される。
【0106】
第1の相関値をベースライン値として使用するべきかを判断するためのいくつかの例示的な方法が以下に記載されている。一つの例において、第1の相関値と一つ以上の引き続く相関値の間の差が、該第1の相関値が引き続く相関値と一貫性を有するか判断するために生成され得る。第1の相関値が引き続く相関値とある一定の度合いで異なる場合、第1の相関値はベースライン値として使用してはならないことになる。一つの特定の例において、第1の相関値は第2の相関値と比較される。該第1の相関値がある一定の度合未満(例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%など)で第2の相関値とは異なる場合、第1の相関値は、ベースライン相関値として選択され得る。その差が指定された度合より大きい場合、第1の相関値はベースライン相関値として選択されない。多くの他の方法が、第1の相関値がベースライン値として使用すべきかを判断するために使用され得る。
【0107】
一つの例において、ベースライン値は、複数の生成された相関値(例えば、相関値を平均した値や中間相関値を取った値など)に基づいて生成され得る。他の例において、ベースライン値は、他の同様の処理から一つ以上の生成された相関値、シミュレーション、モデルなどに基づいて、生成され得る。
【0108】
初期値、先行値、ベースライン値、「ノーマル(正常)」値、予測値などが相関値ごとに求められると、相関変化アレイが計算され得る。この相関変化アレイは、各相関値と対応する初期値、ベースライン値、「正常」値、予測値などとの間の差を含む。
【0109】
この差は相対変化値(例えば、パーセント)または絶対変化値として表現され得る。相対値を計算するための一般的な方法が0(ゼロ)と1の間の相関値を生成するので、絶対変化値は、0と1の間であってもよい。しかしながら、パーセントの変化値が使用される場合、ベースライン相関値が0に近似している場合は特にパーセント変化値は潜在的に大きくなる可能性がある。しかしながら、絶対変化値を用いるより、パーセント変化値を使用することは有用でありおよび/または好ましいとされる状況も存在し得る。
【0110】
図29は、相関値およびベースライン値対時間の例示的な座標264である。この座標264は、ユーザが、経時的な相関値とベースライン値の間の差を調べることを可能とする。しかしながら、より多くの相関値とベースライン値が座標264に追加された場合、座標は雑然としてくる。
【0111】
図30は、対応するベースライン値からの相関差マトリックスの例示的なディスプレイ266を示す。この例において、ベースライン値を有さないと判断された相関値に対して、マトリックスセルは空白のままであった。あるいは、これらのマトリックスセルには、対応する相対値がベースライン値を有していないと判断されたことについての表示が記入される。
【0112】
図31は、相関値の対応するベースライン値との差のマトリックスを示す例示的なディスプレイ268である。ディスプレイ268において、相関差の値は、色分けされた四角形として描かれ、ここで、四角形のカラーは、差の程度を示す。例えば、絶対値の差が0.2未満の場合、四角形に第1のカラーが付与される。絶対値の差が0.4より大きい場合、四角形には第2のカラーが付与される。絶対値の差が0.2と0.4の間の場合、四角形には第3のカラーが付与される。
【0113】
図30および
図31のディスプレイ266と268は、時間の瞬間または時間の区分(セグメント)にわたる相関差の値を表示する。他の例において、ユーザに複数の時間の瞬間や期間あたりの相関差の値を表示させるために、ディスプレイが変更され得る。ユーザに種々の期間やセグメントにおける差を目視させるために、例えば、ユーザインターフェース機構(例えば、スクロールバー、矢印ボタンなど)が提供され得る。例えば、
図31のディスプレイ268は、異なる瞬時や期間あたりの相関差の値を表示するためのナビゲーションバー269を含む。更に、ディスプレイ266および268は、これらの差がいくつかの時間の瞬間やセグメントにわたっていかにして変化するかを示すために該ディスプレイを「アニメーション化」するためのユーザ−インターフェース機構を含んでいてもよい。同じく、ディスプレイ264は、ユーザに異なる期間を目視させるために同様のユーザ−インターフェース機構を設けてもよい。
【0114】
更に、複数の相関差の値を表す値を生成するために複数の相関差の値が組み合わされる。この値は対時間として作図される。該複数の相関差の値はさまざまな方法で組み合わされてよい。例えば、一組の相関差の値はベクトルとして考えられ、該ベクトルのノルム(基準)は相関値における差を表すことができる。ベクトルのノルムを計算するための三つの等式が以下に提供される。該ノルムは、これらの等式のいずれかあるいは異なる等式によって計算され得る。
(式13)
【数13】
(式14)
【数14】
(式15)
【数15】
【0115】
ここで、ΔCiはi番目の相関差の値であり、Nは相関差の値の数である。所望されれば、式13の1/Nと式14の1/√Nは省略されてよい。更に、他の式が使用されてもよい。
【0116】
図32は、2−ノルム(2−Norm)(式14)値対時間の例示的な座標270を示す。該2−ノルム値は複数の相関差の値と対応する。
図33は、特定の時間または時間区分あたりの複数の相関差の値に対する相関差マトリックス273と該複数の相関差の値の2−ノルム値対時間の座標274を含む例示的なディスプレイ272である。ディスプレイ272は、異なる時間の瞬間やセグメントあたりの相関マトリックス273および/または座標274をユーザに見させるためにユーザインターフェース機構(例えば、スクロールバー、矢印ボタンなど)を含んでいてもよい。例えば、ディスプレイ272は、ナビゲーションバー275を含む。更に、座標274は、相関差マトリックス273に対応する座標274上で時間の瞬間またはセグメントを示すインジケータを含むことができる。また、ディスプレイ272は、マトリックス273における相関差がいくつかの時間の瞬間やセグメントにわたって、いかにして変化するかを示すために該マトリックス273を「アニメーション化」するためのユーザ−インターフェース機構を含んでいてもよい。
【0117】
前述のように、相関値は二つの変数間の線形相関の度合の測定値を示すこともある。相関値は線形回帰が一組のデータ上で行われた時に相関値が求められ得る。一般に、線形回帰は、データのセットへの最適(ベストフィット)ラインを決定する。このラインの傾きおよび/またはこのラインの経時的な傾きにおける変化は、処理プラント、処理、設備の一部をモニタする際、および/または、異常事態を検出する際に有用である。二組のデータXおよびYが与えられたとき、最適ラインの傾きは以下の等式によって計算される。
【0118】
(式16)
【数16】
式中、xiはXのデータセットのi番目のサンプルであり、yiはYのデータセットのi番目のサンプルであり、
【数17】
はXのデータセットのサンプルの平均値であり、
【数18】
はYのデータセットのサンプルの平均値であり、NはデータセットXおよびYの各々におけるサンプルの数である。
【0119】
相関値と対応する傾きはそれらを極座標で作図することによって可視化され得る。特に、相関値の絶対値は半径に対応し、角度は以下のように求められる。
θ=tan−1m (式17)
式中、mは、式16や他の式によって求められる傾きであり、逆正接関数の範囲は、
【数19】
である。このように、この方法を用いることによって、極座標の平面の1/2だけが相関点を含む。任意に、極座標平面の全体を使用するために、以下の等式を使用することもできる。
θ=2・tan
-1m (式18)
この場合、座標に示される角度はラインの正確な傾きを示さない。しかしながら、ユーザがこの座標が視覚的により惹きつけると判断すれば、これは望ましいトレードオフとなる。
図34は、相関値と最適ラインの傾きに対応する角度がいかにして極座標グラフ276に作図されるかについての例を示す図である。
【0120】
図35は、相関値と極座標を用いて作図される角度の例示的なディスプレイ278を示す。このディスプレイ278において、中心は、0に近似する相関値を示すが、それ以外の部分は1に近似する相関値を示す。このように、外環に示されるポイントは最高の相関値を有するポイントであり、中心円に示されるポイントは最低の相関値を有するポイントである。これらの環は、さまざまなレベルの相関値を示すのを補助するために色分けされてもよい。ディスプレイ278は、異なる時間の瞬間または時間の区分に対して座標をユーザが見ることができるように、ユーザインターフェース機構(例えば、スクロールバー、ボタンなど)を含み得る。例えば、ディスプレイ278は、ナビゲーションバー279を含む。
【0121】
他の例において、相関値とベースライン値の差は極座標で作図されてもよい。この例において、相関変化値の大きさが相関値とそのベースライン値の間の差の絶対値として計算され、角度は、例えば、式18を用いて計算される、単なる相関値の角度である。このように、ベースライン値に近似する相関値は、座標の中心に配置される相関変化値を生じやすい。相関値がそのベースライン値から大きく変化した場合、該座標の中心から離間されて配置される相関変化値を生じやすい。
図36は、極座標を用いて作図される相関変化値の例示的なディスプレイ280である。ディスプレイ280の環は、相関値とそのベースライン値の間の異なるレベルの大きさの差を示し、カラー符号化されてもよい。この例示的なディスプレイ280において、中心環は、0.2未満の相関差を示す。中間環は、0.4未満0.2以上の相関差を示す。外環は0.6未満0.4以上の相関差を示す。異なるインプリメンテーションにおいては、異なる数の環と異なる半径が使用され得る。ディスプレイ280は、ユーザが異なる時間の瞬間または時間区分に従った座標をみることができるように、ユーザインターフェース機構(例えば、スクロールバー、ボタンなど)を含んでいてもよい。例えば、ディスプレイ280は、ナビゲーションバー281を含む。
【0122】
いくつかの例において
図35および
図36におけるような極座標は、一つの座標における複数の時間の瞬間や区分に従って相関値または相関差の値を作図できる。例えば、ユーザが相関値や相関差値が経時的にいかにして変化するかを見るのを補助するために、異なる時間の瞬間または時間の区分あたりの相関値または相関差は、(任意に矢印を有する)ラインによって共に接続され得る。
【0123】
図35および
図36のディスプレイなどのディスプレイは、ユーザが処理の安全性をモニタするのを補助するために他のディスプレイと組み合わされてもよい。例えば、
図23は、極座標を組み込むディスプレイ241を示す。
【0124】
図11乃至
図36に対して上述された統計データ(例えば、平均値、標準偏差値、平均変化値、標準偏差変化値、相関値、相関変化値、ベースライン値など)は、フィールドデバイス、I/Oデバイス、処理コントローラ、ワークステーション、サーバ、データ履歴などの処理プラント内の種々のデバイスによって生成され得る。例えば、平均値が、フィールドデバイスにおいて生成され得るし、該平均値の相関値がワークステーションにおいて生成され得る。他の例としては、平均値とこの平均値の相関値がフィールドデバイスにおいて生成され得る。
【0125】
目視アプリケーション40は、ユーザまたは技術者に、該ユーザまたは技術者が処理プラント内の異常事態の存在または予測される今後の存在について手動的に検出させることができるように上記に説明されたビューのいくつかまたはすべてを提供できる一方、ルールエンジン開発および実行アプリケーション42がSPMデータに基づく異常事態を自動的に検出するために使用される。
図1および
図2のルールエンジン開発および実行アプリケーション42の一つの可能性のある実施の形態が
図37に詳細に示されている。
図37に示されているように、ルールエンジン開発および実行アプリケーション42は、任意のタイプのルールベースのエキスパートエンジンであってもよいルールエンジン290と、該ルールエンジンによってアクセス可能な(
図2のメモリ74B内におけるような)データベース内に格納され得る一組のルール292と、を含む。ルールエンジン290は、例えば、
図1および
図2のデータベース43、
図2の通信サーバ89、データ履歴などからの(ブロック294において示される)統計処理モニタデータを収集するか、あるいは、モニタする。いうまでもなく、このSPMデータは、SPMデータと処理可変データの両方を含む、上述されたデータ、あるいは、例えば、アプリケーション38だけでなく、処理プラント内で生成された任意の他のデータによって、得られたデータのいずれを含み得る。即ち、ルールエンジン290は、SPMデータと、例えば、処理構成データ、コントロール戦略データ、コントロール出力データ、処理可変データ、履歴データ、シミュレーションデータ、最適化データ、警告、報知、警告/報知管理データ、ドキュメント管理データ、補助/案内データ、回転設備データ、ラボ解析データ、業界仕様データ、環境規制データなどを含むさまざまな他のタイプのデータを受信し得る。
【0126】
該ルールエンジン290は、ブロック296によって示されるように、ルール292に少なくとも一つに応じて、警告または報知をユーザへ送信すべきであることを示す状態が存在するかを判断するために、SPMおよび他のデータへルール292を適用する。もちろん、ルールが問題発生を示した場合に、所望されれば、ルールエンジン290は、報知の提供や設定以外に、他のアクションをとってもよい。このようなアクションには、例えば、休止処置、より多くの処理用部品の手配、処理のコントロールを変更するためのコントロールパラメタの変更などが含まれる。
【0127】
更に、ルール開発アプリケーションまたはルーチン298は、ユーザが、統計データパターンおよびこれらの相関値に基づいて、一つ以上のエキスパートシステムルールを開発(例えば、ルール292の一つとして使用)して、これによって、公知のプラント、ユニット、デバイス、コントロールループなどの異常事態を検出することを可能とする。このように、エキスパートエンジン290によって使用されるルール292の少なくともいくつは前もって設定されたり、構成されたりしてもよいが、ルール開発アプリケーション298は、ユーザが経験に基づいて、モニタされている処理プラント内で他のルールを作成することも可能とする。例えば、ユーザがSPMの異常な状態または事象のある組合せが処理において発生する問題を示すことを分かっている場合、ユーザは、この状態を検出する為の適切なルールを作成するために、そして、所望されれば、この状態の検出された存在に基づいて、報知や警告を生成するために、あるいは他のアクションを取るために、ルール開発アプリケーション298を使用することができる。
【0128】
当然、処理プラントの稼動中、SPMデータ(および任意のほかの必要とされるデータ
)を受信するように構成された、ルールエンジン290は、どのルールが合致するかを判断するためにルール292を適用する。該ルール292の一つ以上に基づいて該処理における問題が検出された場合、プラントのオペレータヘ警告が表示され、あるいは他の適切な担当者へ送信される。いうまでもなく、所望されれば、プラント内の種々の異常事態を検出するための種々のルールおよび処理動作がエキスパートシステム・ランタイム・エンジン290の部分を担うこともでき、これによって、進行する異常事態を検出するためのパターン、データとSPMパラメタの相関値を検索することもできる。
【0129】
更に、ルールエンジン290によって使用され得るデータのいくつかは、SPMデータが生成され得るデバイス内で検出され得るSPM状態である。この場合、ルールエンジン290は、クライアントシステムであってもよいし、例えば、OPCサーバを介してデバイスからのSPMパラメタと状態を読み出すクライアントシステムの一部であってもよい。上述したように、これらのSPMパラメタは、平均および標準偏差の値対時間を作図するなどのような今後の使用に向けてのデータベースへ格納されてもよい。いずれの場合においても、処理変数の平均値または標準偏差値が、ユーザ指定量より多く、変化する場合は、SPMブロックそれ自体が、平均変化値、高変動値または低ダイナミック値などの異常事態を検知し得る。次に、これらの異常事態は、これらのフィールドデバイスによって収集される全ての統計モニタデータと共に、クライアントシステム、例えば、ルールエンジン290へ伝達され得る。
【0130】
さて、プラントエンジニアまたは他のユーザが、処理変数のいくつかの組合せがなんらかの方法で変化した時、報知が出され、即ち、何らかのアクションを取る必要があることが分かった場合、エンジニアは、その状態のセットが発生すると、該ルールのアプリケーションが報知を出すことをわかっている事態を検出するためのルールを定義するために、ルール定義ルーチン298を使用することができる。一つの例において、ルール定義アプリケーション298は、ユーザが、ルールデータベース292において格納される一つ以上のIF−THENまたはブール(Boolean)タイプのルールを作成することを可能とする構成スクリーンを作成することもできる。一つの可能性のあるこの種のユーザオブジェクト構成スクリーン300の例が
図38に示されている。特に、構成スクリーン300は、作成されているルールに対してユーザが名称を定義することを可能にする名称セクション302、IF−THENタイプのルールに対してユーザがIF状態を定義することを可能とする状態セクション304、および“IF”状態が真であると分かったときに取られる“THEN”アクションを定義することを可能にするアクションセクション306を含む。
【0131】
図38の特定の例において、作成されているルールは、「ボイラー1チェック」と名付けられる。更に、
図38に示されるように、状態セクション304は、各々が(状態記述において使用されるSPMデータを提供するSPMブロックが配置されている)デバイス310の表示を含む、一組の分離した状態記述、(SPMデータを提供するデバイス内で特定のSPMブロックを定義する)SPMブロック名312、(SPMブロックによって提供されているデータのタイプを定義する)SPMデータタイプ314、(SPMデータに対する数学的比較演算を定義する)比較記述316、および(該比較記述316を用いて受信されたSPMデータが比較される対象である閾値または値を定義する)値セクション318を含む。さらにまた、ボックス320は、状態記述の各セットの間で用いて、“IF”状態の全体を定義するために状態記述が論理的に組み合わされる方法を定義するように、ユーザがAND演算子やOR演算子などのブール論理演算子を選択したり定義したりすることを可能とする。
図38では、選択される可能性のあるものとしてANDおよびORのブールの演算子のみが図示されているが、ユーザがより複雑なルールを打ちたてることができるように、任意の他のブール演算子(または他の所望のタイプの演算子)も提供することができる。さらにまた、一組のチェックボックス322および324は、状態記述のグループ化を定義するために使用され得る。例えば、チェックボックス322(前カッコの前)の選択は、一組のカッコ内で定義される新しいセットの状態記述の始まりを示す一方、チェックボックス324(後カッコの前)の選択は、一組のカッコ内の一組の状態記述の終わりを示す。お分かりのように、一組のカッコ内の状態記述は、異なるセットのカッコ内で状態記述(または状態記述のグループ)が組み合わされる前にそれらの間でブール演算子を用いて組み合わされる。
【0132】
このように、
図38の例において、(1)(PT−101デバイスのSPMブロック1によって測定された)平均値が102以下であり、且つ(AND)(PT−102デバイスのSPMブロック3によって測定された)標準偏差値が1.234以上である場合、又は(OR)(2)FT−201のデバイスのSPMブロック2の状態パラメタが平均変化値に等しく、且つ(AND)FT−201デバイスのSPMブロック4の状態パラメタが平均変化値に等しい場合、アクションセクション306で定義されるアクションが適用される。
【0133】
図38に示されるように、アクションセクション306はユーザ指定警告名セクション330、重大度定義セクション332および記述セクション334を含む。警告名セクション330は、状態セクション304が真である場合に生成される警告に関連するあるいはこれに付与される名称を定義し、重大度定義セクション332は、(故障、メンテナンス、通信または他のタイプの警告などの)警告の重大度を定義し、記述セクション334は、該警告のユーザまたは目視者(ビューワ)に提供され得る警告に関連する記述を提供する。もちろん、
図38のアクションセクション306は、生成される警告を定義する一方、該アクションセクション306が、該プラント内でデバイス、装置などの稼動の停止、該プラント内のコントロールの設定の切替えや変更、該プラント内でコントローラへ新しい設定ポイントまたは制御条件を提供することなどの他の取るべきアクションをその他にまたはそれに替えて定義することができる。
【0134】
図37のルールデータベースに一組のルールが作成され格納された後、エキスパートエンジン開発および実行システム42が、処理プラントの稼動中に該処理プラント内のSPMブロックによって返されたデータや異常状態に基づいて処理の異常を自動的に検出するために使用される。もちろん、システム42は、ルールデータベース292内のルールに基づいて処理プラント内の異常状態を検出するために処理プラントの稼動中に連続的にあるいは定期的に動作または実行してもよいことが理解されよう。
【0135】
所望されれば、システム42は、ユーザに、
図37のルールエンジン290の現時点の構成および状態についての情報をもたらす目視スクリーンを提供する。このようなディスプレイの例が
図39に示されている。特に、
図39のディスプレイ340は、(本来
図6および
図8に関して記載されている)検出されたADB階層110だけでなく
図8に関して記載されているSPMデータ115のサマリ(要約)を含む。更に、図
39を示すスクリーン340は、ルールエンジン290に対して定義されている、および該ルールエンジン290によってインプリメントされている、ルールについての情報を一覧にすると共に要約するルール要約セクション342を含む。
図39の例において、少なくとも三つのルールが定義されている。ルール要約セクション342は、これら三つのルールのそれぞれによって使用されるデバイスへの情報だけでなくこれら三つのルールのそれぞれによって生成される警告のタイプまたは重大度を提供する。
図39に示されるように、警告要約セクション344は、このようにして定義されたルールに基づいてルールエンジン290によって設定されたり送信されたりした任意の警告の表示を提供する。
図39の例において、二つの警告は、システム2故障警告およびボイラー要整備警告を含む二つの警告が現時点で設定されている。これらの警告は、要約セクション342において具体的に図示されていないルールに基づいて
図37のルールエンジン290によって生成されているが、そのように所望されれば、該警告は、要約セクション342で下へスクロールすることによってアクセスされ得る。
【0136】
お分かりのように、主要ツリーブラウザ110と利用可能なSPMブロックのサマリ115が
図4に関して記載されている方法によって提供され得る。同様に、ルール要約セクション342における各ルールは、ユーザが
図38と同様の構成スクリーンを用いて作成され得る。また、SPMブロックの状態(Status)における状態のいずれかが定義されたルールのいずれかに合致している場合、これらの警告が表示される。いうまでもなく、知られている異常について予め定義されたルールを使用することもできるし、必要があれば、新しい状態に対して既存のルールを変更したり、まったく新しいルールを作成することもできる。
【0137】
図40および
図41はルール作成または定義スクリーンの他の例を示す。例えば、ルール定義スクリーン350は、各々がテストされる変数またはSPMパラメタを指定する第1のエレメント352を有する一組の状態記述351を提供する「シンプル」タイプのブールのルール定義子と、(任意の数学的演算またはテストであってもよい)テストまたは
比較状態354、および任意の処理変数またはSPMパラメタであってもよい更なるエレメント356を含む。これらのエレメントの各々は、所望に応じて、手動的に記入されてもよいし、プルダウンメニューから選択されてもよい。同じく、
図38を示すスクリーンと同様に、ブール演算子は、各状態記述351を組み合わせるために指定されてもよいし、結果セクション360は、定義されたIF記述(ステートメント)が真である場合に、警告の一部としてユーザへ提供される警告名、重大度およびメッセージを指定するために使用され得る。
【0138】
図41は、さまざまなボタン374の選択によって組み立てられ得る「IF」セクション372を含む、より「高度な(アドバンスド)」タイプのルール定義子370を示す。ボタン374は、セクション372においてより複雑なIF記述を作成する際に使用される、(ADBパラメタ、SPMパラメタ、処理変数(PV)状態、パラメタ等の)タイプまたは特定のパラメタ、ブール演算子、数字および数学的に同等の記述を含み、あるいは、これらをユーザが指定することを可能にする。警告名定義セクション、重大度定義セクション、およびメッセージセクションを含むセクション376は、該ルールによって生成される警告または報知を定義するために使用され得る。もちろん、アプリケーション40は、現行のまたは予測される異常事態を検出するためにルールエンジン290によってインプリメントされるルールを定義する任意の他の方法を提供することができる。
【0139】
また更に、
図38、
図40、および
図41を示すスクリーンは、IF−THENタイプのブールのルールを定義することを可能とするために使用され得るが、他のタイプのルールをこれ以外にまたは代替的に定義されてもよい。例えば、
図38、
図40、および
図41を示すスクリーンが変更されてもよいし、あるいは、スプレッドシートタイプのルール(例えば、マイクロソフト社からのエクセル(商標)のスプレッドシートソフトウェアによって提供されるものと同様のルール)、ファジー論理ルール、パラメタ間の数学的な関係の定義、相関値の生成、パラメタのフィルタ(例えば、低域パスフィルタ、広域パスフィルタ、帯域パスフィルタ、有限インパルス応答(FIR)フィルタ、無限インパルス応答(IIR)などを可能とするために提供され得る。
【0140】
動作中、
図37のルールエンジン290は、SPMブロックの状態をルールデータベース292内の定義されたルールと合致させるために、多数の異なる方法を使用することができる。ルールデータベース292内のルールがあまり複雑ではない場合、エンジン290は適切な論理ハンドラによって単純にプログラムされる。しかしながら、これらのルールのいくつかが非常に複雑な場合、すでに開発されているエキスパートシステムを使用することも有利である。
【0141】
お分かりのように、モニタ処理がスタートすると、すべてのルールが任意の適切なインターフェースを介してルールエンジン29
0へ送られる。その後、
図4のブロック132または134によって検出されるように、SPMの状態が変化する度に、これらの状態がルールエンジン29
0へ送られる。インターバルごとに、ルールエンジン29
0は、これらのルールのいずれかの状態が合致するかを判断する。これらのルールのどれかが満たされると、ルールエンジン290は主要アプリケーションへそのことを通知し、これによって、警告はユーザに表示され、合致した特定のルールのアクション記述に基づいて、いくつかの他のアクションを取ることができる。
【0142】
図42は、処理プラントの一部と報知ディスプレイ382からなる例示的なスクリーンディスプレイ380を示す。ルールエンジン290は、一つ以上の適切なルールが満たされた場合に該報知ディスプレイ382が表示されるようにする。該報知ディスプレイ382は、示唆された補正アクション、プラント手順へのリンク、性能および/または品質データを目視するためのリンクなどを含んでもよい。スクリーンディスプレイ380は、該報知に関連付けられるデバイス、ループ、測定値などをあらわすためにディスプレイの部分の周辺にハイライト383を含む。例えば、ルールエンジン290は、該エンジン290に報知ディスプレイ382とハイライト383を表示させる目視アプリケーション40へデータを送信してもよい。
【0143】
図43は、警告および/または報知情報を含む、処理プラントの一部である他の例示的なスクリーンディスプレイ384を示す。特に、座標385は、該警告/報知に関連する種々の統計パラメタを表示する。スクリーンディスプレイ384は、報知に関連する情報を表示する情報ウィンドウ386および387を含んでもよい。情報ウィンドウ386および387は、例えば、カラー符号化を介して異なるレベルの重要性を示す。ルールエンジン290は、一つ以上の適切なルールが満たされた場合は、ウィンドウ385、386および387を表示させる。例えば、ルールエンジン290は、該エンジンが、ウィンドウ385、386および387を表示させる目視アプリケーション40へデータを送信してもよい。
【0144】
図44は、警告/報知情報を含む、処理プラントの一部であるまた他の例示的なスクリーンディスプレイ390を示す。
図45は、警告および/または報知情報を含む、処理プラントの一部である、更に他の例示的なスクリーンディスプレイ395を示す。
【0145】
ルールエンジン29
0が上記に説明されたが、他のタイプの解析エンジンを、それ以外に、または、それに代わるものとして、使用することができる。使用され得る解析エンジンのタイプの他の例としては、数学的演算エンジン(例えば、Wolfram Research(ウルフラムリサーチ)のMathematicaR(マセマティカ(登録商標))、ファジー論理解析エンジン、パターンマッチングエンジン、ニューラルネットワーク、回帰解析エンジンなどを含む。
【0146】
上記のデータ収集技術、可視化技術およびルールエンジン技術は、
図1のプラント構成におけるSPMデータを収集し、目視し、処理するために使用され得るが、他の構成においても使用され得る。例えば、これらの技術は、プラント階層を獲得し、所与のプラントにおいてデバイスを発見し、ADBおよびSPMデータの能力を有するデバイスを見分けるためにソフトウェアが種々のサーバ(例えば、OPCサーバ、ウェブサーバなど)にアクセスを有するPCベース環境(例えば、DeltaV、AMS、およびオベーション)において使用され得る。他には、OPCサーバで組み立てられ、フィールドデバイスに直接アクセスする、Rosemount3420のような、フィールドハード化デバイスにおいて直接使用される。この場合、デバイスそれ自体が、データコレクションおよびルールエンジンアプリケーションを格納し、ユーザワークステーションなどの個別のプラットフォームを必要とせずに、これらのアプリケーションを実行することができる。更に、さまざまのケースにおいて、本明細書中に記載されている可視化アプリケーションまたはコンポーネントは、ユーザが目視するために収集されたSPMデータ、警告などを得るためにスタンドアローンデバイスに接続され得る、携帯デバイス、パーソナルアシスタントなどの他のデバイスにおいて実行またはインプリメントされ得る。
【0147】
同様に、データ収集および目視アプリケーションは遠隔目視デバイスを介してフィールドデバイスまたは他のデバイスにアクセスしてもよい。このように、このソフトウエアは、例えば、Emerson Process Managementによって提供されるアセットポータルとAMSウェブ(Asset Portal and AMSweb)などのウェブサーバに常駐、あるいは、これらを介して、アクセス可能となる。また、
図2において、OPCサーバは、SPMブロックを含むフィールドデバイスから分離しているものとして示されているが、OPCサーバまたは他のサーバがフィールドデバイス自体の一つ以上に配置されてもよい。同様に、異常事態防止システムのデータ収集アプリケーション38およびルールエンジン42は、例えば、ADBまたはSPMブロックを有するデバイス内で、SPMデータを生成する、ADBおよび/またはSPMブロックと同じデバイス内に配置されてもよい。この場合、異常事態防止システム35は、OPCインターフェース(OPCインターフェースをいまだに使用している場合もあるが)を必要とせずに、統計的なデータ収集ブロックと同じデバイスにおいて動作したり、実行されたりする。所望されれば、アプリケーション38および42によって生成されるSPMデータまたは警告、報知などは、コントローラ接続を介して、ワイヤレスに、携帯デバイスを介して、などの、フィールドデバイスから一般的にアクセスされるようなやり方でアクセスされ得る。
【0148】
図46は、SPMブロックおよび異常事態防止機能を支援するために、分散コントローラ、ホストまたは他のかなり以前から使用されている従来のユーザインターフェースの使用を必要としない処理プラントにおいて異常事態防止をインプリメントする他の方法を示す。
図46のシステム400において、異常事態防止アプリケーション35および/またはアプリケーション38乃至42が、ホストワークステーションまたはパーソナルコンピュータ以外のデバイスにおいて格納され得る。
図46の例示的なシステム400は、例えば、Rosemount3420デバイスであってもよいインターフェースデバイス410に接続された(Fieldbusフィールドデバイスとして図示されているが他のタイプのデバイスであってもよい)一組のフィールドデバイス405を含む。この場合、パーソナルコンピュータではないインターフェースデバイス410は、上記の異常事態防止システム35の機能のいくつかまたは全てを含むこともある。特に、インターフェースデバイス410は、フィールドデバイス405(種々の異なるタイプのフィールドデバイスであってよい)から分配されたデータを受信し編成するためにブラウザ412を含むこともある。所望されれば、ブラウザまたは通信デバイス412は、OPCブラウザを含むこともある。データ収集アプリケーション38(またはその一部)は、SPMブロックを有する任意のフィールドデバイスに対して、上記のように、SPMデータを含むフィールドデバイス405からデータを収集するために、インターフェースデバイス410のプロセッサ内に格納され、実行される。更に、インターフェースデバイス410は、(SPMブロックや機能性を含まないフィールドデバイスなどの)フィールドデバイスの一つ以上から処理可変データを直接収集し、上記のように、SPMパラメタを生成するために、一つ以上のSPMブロック414を含んでいてもよい。このように、インターフェースデバイス410に格納され、実行されるSPMブロック414は、フィールドデバイス405のいくつかの内部においてSPMブロックの欠落を補償することが可能であり、SPMブロックやSPM機能をそれら自体が支援しないフィールドデバイスに対して、SPMデータを提供するために使用され得る。
【0149】
更に、ルールエンジンアプリケーション42(または、
図37のルールエンジン290などのルールエンジンの一部)がインターフェースデバイス410によって格納され、実行されてもよいし、データベース43も、同様に、インターフェースデバイス410内に配置されてもよい。インターフェースデバイス410は、ユーザが目視するためのデバイスに対して、SPMデータや、警告、データ座標などのSPMデータから展開されたデータなどを提供するために、2回線、3回線、4回線などの接続などのハード接続を介して、ホストワークステーション430などの他のデバイスと通信し得る。更に、
図46に示されるように、インターフェースデバイス410は、一つ以上のワイヤレス通信接続を介して、ウェブブラウザ440、および電話、パーソナルデータアシスタント(PDA)、ラップトップコンピュータなどの携帯コンピュータデータデバイス450に接続され得る。この例において、目視アプリケーション40の一つ以上がウェブブラウザ440または携帯演算デバイス450のホストアプリケーション430などの他のデバイスにおいて格納され実行され、これらのアプリケーションは、上記のいずれかのような、任意の方法で処理および目視するための所望されるデータを得るために、インターフェースデバイス410と通信することもできる。所望されれば、デバイス430、440および450は、インターフェースデバイス410によってインプリメントされるルールをユーザが生成することを可能とする為に、
図37のルール定義アプリケーション298を含み得る。同様に、
図46に示されるように、インターフェースデバイス410からのデータは、ウェブブラウザ460によってホスト430から間接的にアクセスされてもよいし、任意の所望されるウェブ接続を介して、他のユーザへ提供されてもよい。当然のことながら、インターフェースデバイス410は、ウェブサーバを含むこともできるし、OPC、Modbus、イーサネット(登録商標)、HTML、XMLなどの任意の他のプロトコルを用いたデバイス430、440、450および460などの任意の他のデバイスと通信することもできる。
【0150】
図47は、
図46のそれと類似したものでもよいしあるいは同一であってもよいインーフェースデバイス410が、(熱交換器515を構成する)一組のフィールドデバイス510と処理コントロールシステム520の間で接続されている、更なる処理プラント構成500を示す。ここで、
図46のデバイス410のアプリケーションと機能性の全てを含み得るインターフェースデバイス410が、ホスト530へ目視するためのデータを提供し得て、ルールエンジンによって生成された警告または報知をコントローラシステム520へ提供し得る。コントロールシステム520は、例えば、オペレータワークステーション540におけるコントロールオペレータによって、これらの警告または報知を目視用の他のコントローラタイプの警告および報知と一体化させることもできる。いうまでもなく、所望されれば、ホストワークステーション530は、任意の所望される方法データにおいて、本明細書中で説明されている任意のものを含む、インターフェースデバイス410において収集され、該インターフェースデバイス410によって提供されるデータを目視するために、任意の所望される目視アプリケーションを含み得る。同様に、このデータは、ウェブブラウザ550を介して他のユーザによって目視するために使用可能とされ得る。このように、お分かりのように、異常事態防止システム35に関連しているものとして本明細書中に説明されている種々のアプリケーションは、異なるデバイスに分配されてもよいし、全てがユーザインターフェースを有するデバイスにおいて操作される必要もない。代わりに、(SPMデータなどの)データが、インターフェースデバイス410におけるような一つのデバイスにおいて収集され処理され、完全に異なるデバイスにおいて目視するために送信されてもよい。同様に、ルールは、ホスト、ウェブブラウザ、PDAなどのユーザインターフェースデバイスにおいて作成され、ルールエンジンにおけるインプリメンテーションのために、インターフェースデバイス410のような異なるデバイスへ送信されてもよい。
【0151】
図1および
図2の例において、異常事態防止システム35に関連するアプリケーション38、40、42は、同一のワークステーションまたはコンピュータ上で格納されるものとして図示されているが、これらのアプリケーションのいくつか、または、他のエンティティが、処理プラント10内またはこれに関連した他のワークステーションまたはコンピュータにおいて格納され実行され得る。さらに、異常事態防止システム35内のアプリケーションが分割されて、二つ以上のコンピュータやマシン上で実行されてもよいし、ワイヤード、ワイヤレス、および/または、断続通信接続を介して、互いに連結して、動作するように構成されてもよい。また、本明細書中に記載の異常事態防止システム35は、アプリケーション38、40、および42のいずれかまたは全てを含んでもよいし、必ずしも含まなくてもよいが、本明細書中に記載のADBまたはSPMブロックを含んでもよい。また、本明細書中に記載の例としては、FieldbusSPMブロックの形態でSPMブロックを使用しているが、本明細書中で使用されている用語「SPMブロック」は、これらのブロックまたはルーチンが公知のFieldbusプロトコルに合致するものであろうとなかろうと、処理データまたは変数を収集すると共に何らかの統計演算またはモニタリングを実行する任意の他のタイプの統計処理モニタブロック、ルーチンなどを言及しこれらを含むように意図されている。
【0152】
更に、上記説明は、統計データを計算するADBブロックおよびSPMブロックのようなブロックに述べられているが、他のタイプの信号処理データを生成する他のタイプの信号処理データ収集ブロックが使用されてもよい。例えば、周波数解析データ(例えば、処理変数のフーリエ変換や他の変換に基づいて生成されるデータ)、自動回帰データ、ウェーブレットデータ、ニューラルネットワークを用いて生成されるデータ、ファジー論理を用いて生成されるデータなど、を生成する信号処理データ収集ブロックが異常事態防止システムにおいて使用され得る。このように、本明細書中において使用されている用語「信号処理データ収集ブロック」は、処理データまたは変数を収集し、統計データの生成、処理データの(例えば、フーリエ変換、離散型フーリエ変換、高速フーリエ変換、短期フーリエ変換、Z−変換、ヒルベルト変換、ラドン変換、ウィグナー分布、ウェーブレット変換などの)数学的変換、変換された処理データからの情報の抽出、フィルタリング、ファジー論理を用いた処理データからの情報の抽出、ニューラルネットワーク、自動回帰技術などの信号処理演算やモニタリングを実行する、任意のタイプのモニタリングブロック、ソフトウェアルーチン、ハードウェアなどを言及すると共にこれらを含むように意図されている。
【0153】
また、信号処理プラント内の信号データ収集ブロックから信号処理データが集められ、解析される例が説明されてきたが、複数の処理プラントのコンテクスト(状況)において同様の技術が使用可能であることが理解されよう。例えば、複数の処理プラントからの信号処理データが集められ、このデータは、解析エンジンおよび/または目視アプリケーションに提供され得る。
【0154】
特定の通信プロトコルおよび技術を用いた例について説明されてきたが、公知のプロトコルおよび技術を含む、信号データ収集ブロックからの構成データおよび信号処理データにアクセスするためのさまざまな他のプロトコルおよび技術が使用され得る。例えば、信号データ収集ブロックを識別および/または構成し、信号処理データなどを収集するために、OPC以外の他のプロトコルおよび技術を使用することができる。他の技術には、例えば、インターネットプロトコル、イーサネット(登録商標)、XML、プロプラエタリ・プロトコルなどを使用することを含んでもよいし、他のインプリメンテーションは、ウェブサーバ、および/または、処理コントローラ、I/O(出入力)デバイス、ワークステーション、フィールドデバイスなどのプロプラエタリ演算デバイスが使用し得る。同様に、プロプラエタリ・データを含む他のタイプの階層データが使用され得る。
【0155】
本明細書中に記載の異常事態防止システムとアプリケーションが異常事態防止システムと関連するものとして好ましくはソフトウェアにおいてインプリメントされているが、これらはハードウェア、ファームウェアなどにおいてインプリメントされ得て、該処理コントロールシステムに関連する任意の他のプロセッサによってインプリメントされ得る。このように、本明細書中に記載のエレメントは、標準多目的CPU内で、または、所望に応じたASIC(特定用途向けIC)や他のハード回線デバイスなどの専用設計のハードウェアやファームウェア上でインプリメントされ得る。ソフトウェアにおいてインプリメントされるとき、ソフトウェアルーチンは、磁気ディスク、(DVDなどの)レーザディスク、他の格納媒体などの任意のコンピュータ可読媒体、コンピュータやプロセッサのRAM(ランダムアクセスメモリ)やROM(リードオンリーメモリ)、任意のデータベースなどに格納され得る。同様に、このソフトウェアは、例えば、コンピュータ可読ディスクや他の運搬可能なコンピュータ格納機構上で、あるいは、電話回線、インターネットなどの通信チャネルなどを介して、即ち、任意の公知のまたは所望される分配方法を介して、ユーザや処理プラントへ分配され得る(運搬可能な格納媒体を介してこのようなソフトウェアを提供することと同じ、あるいは、互換性があると見なされる)。
【0156】
このように、本開示は、特定の実施例について説明されているが、これは単に例示することを目的するものであり、本発明を限定するものではない。従って、本開示内容の精神および範囲を逸脱しない限りにおいてあらゆる変更、追加、および削除が行われてよいことが当業者に明確であろう。