特許第5666550号(P5666550)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666550
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】デジタルカメラの較正方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 17/00 20060101AFI20150122BHJP
   H04N 9/04 20060101ALI20150122BHJP
   H04N 1/60 20060101ALI20150122BHJP
   H04N 1/46 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
   H04N17/00 K
   H04N9/04 B
   H04N1/40 D
   H04N1/46 Z
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-286395(P2012-286395)
(22)【出願日】2012年12月28日
(62)【分割の表示】特願2009-544094(P2009-544094)の分割
【原出願日】2007年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-118653(P2013-118653A)
(43)【公開日】2013年6月13日
【審査請求日】2013年1月26日
(31)【優先権主張番号】11/647,540
(32)【優先日】2006年12月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512263441
【氏名又は名称】デジタルオプティクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】バターウォース、マーク、メルビン
【審査官】 秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−077955(JP,A)
【文献】 特開平4−037385(JP,A)
【文献】 特開2002−095020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 17/00
H04N 9/04
H04N 1/40
H04N 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルカメラ較正装置であって、
第1の窓および第2の窓を有する不透明な画面と、
前記第1の窓内に配置された光透過媒体と、
前記第2の窓内に配置された色分散媒体と、
前記光透過媒体と前記色分散媒体と第1の窓および第2の窓とを通じて光を発するように配置された光源と、
を有するデジタルカメラ較正装置。
【請求項2】
請求項記載のデジタルカメラ較正装置において、前記不透明な画面は実質的に非反射面を含むものであるデジタルカメラ較正装置。
【請求項3】
請求項記載のデジタルカメラ較正装置において、前記非反射面は黒色塗料を含むものであるデジタルカメラ較正装置。
【請求項4】
請求項記載のデジタルカメラ較正装置において、前記不透明な画面はアルミニウムを含むものであるデジタルカメラ較正装置。
【請求項5】
請求項記載のデジタルカメラ較正装置において、前記光透過媒体は、可変強度の光の透過を容易にするものであるデジタルカメラ較正装置。
【請求項6】
請求項記載のデジタルカメラ較正装置において、前記光透過媒体は、複数の強度の光を含む強度パターン画像を生成するものであるデジタルカメラ較正装置。
【請求項7】
請求項記載のデジタルカメラ較正装置において、前記光は同色であるデジタルカメラ較正装置。
【請求項8】
請求項記載のデジタルカメラ較正装置において、前記光は非分散光であるデジタルカメラ較正装置。
【請求項9】
請求項記載のデジタルカメラ較正装置において、前記光透過媒体は、可変透過率を有する複数の透過部分を含むものであるデジタルカメラ較正装置。
【請求項10】
請求項記載のデジタルカメラ較正装置において、前記複数の透過部分の前記可変透過率は線形的に変化するものであるデジタルカメラ較正装置。
【請求項11】
請求項記載のデジタルカメラ較正装置において、前記複数の透過部分の前記可変透過率は段階的に変化するものであるデジタルカメラ較正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラ較正に関し、より具体的には、デジタル画像キャプチャ装置を色および/または強度について較正する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラモジュールは、現在、種々のホスト装置に組み込まれている。そのようなホスト装置としては、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、コンピュータなどがある。ホスト装置にデジタルカメラモジュールが含まれることに対する消費者需要は、現在も継続して増えている。
【0003】
ホスト装置の製造業者にとって、デジタルカメラモジュールは、ホスト装置のサイズを全体的に大型化せずに組み込めるよう、小型であることが好まれる。また、ホスト装置の製造業者は、カメラモジュールがホスト装置設計に及ぼす影響を最小限に抑えたいと望んでいる。さらに、カメラモジュールおよびホスト装置の製造業者は、ホスト装置にカメラモジュールを組み込んでも画質が損なわれないことを望んでいる。
【0004】
一般に、従来のデジタルカメラモジュールには、レンズアセンブリ、ハウジング、プリント基板(printed circuit board:PCB)、および画像キャプチャ装置(image capture device:ICD)が含まれる。組み立て時にICDはPCBに電気的に連結され、PCBはハウジングの底部に固定される。レンズアセンブリは、ハウジングの反対端に調整可能に取り付けられて、レンズを通過してくる入射光をICDの画像キャプチャ面上に集束させる。PCBには通信路を提供する複数の電気接点が含まれ、ICDで受信された生画像データは前記通信路によりICDからホスト装置へ通信され、そこで処理、表示、および格納される。
【0005】
ICDは、フォトサイトと呼ばれる光感受性ダイオードの大型アレイを含んだ小型のシリコンチップで形成されることが多い。シャッターが作動されると、各フォトサイトは、電荷を蓄積することにより入射光の強度または輝度を記録する(光量が多いほど電荷も多い)。ICDは種々の電荷を示す生画像データをホスト装置に送信し、当該ホスト装置において当該データは処理されて、例えば書式付き画像データ(JPEG、TIFF、PNGなど)や表示可能な画像データ(画像ビットマップなど)に変換され、例えばLCD画面で利用者に表示される。
【0006】
これらのフォトサイトでは、フィルターを使って種々の色および陰影に対応する光強度を測定する。通常、各フォトサイトには、3つの原色フィルター、例えば赤フィルター、緑フィルター、および青フィルターのうち1つが含まれる。各フィルターは、指定された色の光波のみを通過させ、光感受性ダイオードに接触させる。これにより、赤フィルターは赤い光のみを通過させ、緑フィルターは緑色の光のみを通過させ、青フィルターは青い光のみを通過させる。3つの隣接しあうフォトサイトから3原色の強度を蓄積すると、画素を正確に着色する上で十分なデータが得られる。例えば、赤フィルターおよび緑フィルターが最低限の電荷を蓄積し、青フィルターがピーク電荷を蓄積した場合、キャプチャされる色は必ず青になる。これにより、その画像画素は青として表示される。
【0007】
組み立て後、カメラモジュールは、通常、色フィルターを通じて既知の光強度で較正される。先行技術の方法の1つに、カラーチャート(マクベスのカラーチャートなど)を撮影(撮像)し、その画像データを色補正工程にかけるというものがある。記録された強度は、既知の色強度に対応するよう補正される。前記色補正は1回の露光で行えるため、この工程は比較的迅速に実施できる。
【0008】
一般的なカラーチャートは、有色色素から作製される。残念なことに、色素にない色の場合は、一般的なカラーチャートを使った較正では低水準の較正しかえられない。従来どおりに較正されたカメラモジュールでは、カラーチャートに提供されていない自然色を測定することが難しい。
【0009】
一部のカメラモジュール製造業者は、モノクロメータと呼ばれる装置を使ってカメラモジュールを較正する。モノクロメーターは、プリズムを通じて光を送出し、所定の色を出力する。次に、その所定の色が撮像される。次いで、特定色の既知の強度でカメラモジュールが較正される。この工程が、推定24色以上の色について繰り返される。モノクロメーターは、自然色の較正を容易にするが、欠点もある。このような装置は比較的高価である。また較正する色ごとに1枚ずつ、合わせて複数の画像を得なければならない。これにより製造のスループットが低下し、製品化に要する時間が長引いて、全体的な製造コストが増大する。
【0010】
画質を向上させ、製品化に要する時間を短縮し、および/または効果的な品質管理を提供するための、デジタルカメラモジュールを較正するシステムおよび方法が必要とされている。
先行技術文献
特許文献
特許文献1 米国特許第5,410,153号明細書
特許文献2 米国特許出願公開第2004/0212685号明細書
特許文献3 米国特許出願公開第2004/0264542号明細書
特許文献4 米国特許出願公開第2006/0274188号明細書
特許文献5 米国特許第4,692,883号明細書
特許文献6 米国特許第4,898,467号明細書
特許文献7 特開第2003−214951号公報
特許文献8 米国特許第4,991,007号明細書
特許文献9 米国特許第5,748,230号明細書
特許文献10 米国特許第4,660,975号明細書
(特許文献11) 米国特許第4,575,124号明細書
(特許文献12) 米国特許第4,692,883号明細書
(特許文献13) 米国特許第5,142,359号明細書
(特許文献14) 米国特許第5,760,829号明細書
(特許文献15) 米国特許第7,724,301号明細書
(特許文献16) 米国特許出願公開第2004/0218087号明細書
(特許文献17) 米国特許出願公開第2004/0239782号明細書
(特許文献18) 米国特許出願公開第2004/0252225号明細書
(特許文献19) 米国特許出願公開第2006/0221227号明細書
(特許文献20) 米国特許出願公開第2007/0052814号明細書
(特許文献21) 米国特許出願公開第2008/0002960号明細書
(特許文献22) 米国特許出願公開第2008/0143856号明細書
(特許文献23) 米国特許出願公開第2008/0204574号明細書
(特許文献24) 米国特許出願公開第2008/0218610号明細書
(特許文献25) 米国特許出願公開第2008/0252756号明細書
(特許文献26) 米国特許出願公開第2008/0297628号明細書
(特許文献27) 米国特許出願公開第2009/0213250号明細書
(特許文献28) 米国特許出願公開第2009/0297026号明細書
(特許文献29) 米国特許出願公開第2010/0033617号明細書
(特許文献30) 国際公開第02/097507号
(特許文献31) 国際公開第98/07281号
(特許文献32) 欧州特許出願公開第0656731号明細書
(特許文献33) 特開2000−102042号公報
(特許文献34) 特開2002−077955号公報
(特許文献35) 特開2002−095020号公報
(特許文献36) 特開2003―214951号公報
(特許文献37) 特開平04―500593号公報
(特許文献38) 韓国特許第10−0461006号公報
(特許文献39) 韓国特許第10−0513789号公報
(非特許文献)
非特許文献1 Bayesian color correction method for non−colorimetric digital image sensors,Zhang,X.and Brainard,D.H.,November 2004,Proceedings of the 12th IS&T/SID Color Imaging Conference,Scottsdale,AZ,308−314.
非特許文献2 Understanding How Image Sensors Work,Obtained March 23,2006,www.shortcourses.com/how/sensors/sensors.htm.
(非特許文献3) PCT Application No.: PCT/US2007/026360, ISR and Written Opinion dated April 3, 2008.
非特許文献4 PCT Application No.: PCT/US2007/026360, IPRP dated June 30, 2009.
非特許文献5 EP Application No. 07 863 264.3, European Search Report dated November 30, 2010.
非特許文献6 EP Application No. 07 863 264.3, Office Action dated February 1, 2011.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態によれば、本発明はデジタルカメラを較正する方法を提供し、この方法は、光を提供する工程と、前記光を複数の異なる光波長を含む色分散画像に分散させる工程と、前記色分散画像のテスト画像をキャプチャする工程と、前記テスト画像から、前記異なる光波長のうちの少なくとも2つに対応した強度値を取得する工程と、前記強度値を期待強度値と比較する工程と、前記比較に基づいて色補正データを生成する工程とを有する。
【0012】
前記光を提供する工程にはタングステン光線を提供する工程を含めることができる。前記光を分散させる工程には試験装置を通じて当該光を分散させる工程を含めることができる。前記試験装置には光透過媒体を含めることができる。前記試験装置には色分散媒体を含めることができる。前記色分散媒体には可変バンドパスフィルターを含めることができる。前記色分散媒体には半透明な表面を含めることができる。前記試験装置には窓を少なくとも1つ伴った不透明なプレートを含めることができる。前記不透明なプレートにはアルミニウムを含めることができる。前記不透明なプレートには非反射面を含めることができる。前記方法は、さらに、光学素子を使用して前記色分散画像を画像キャプチャ装置上に集光する工程を有する。前記光学素子には赤外線フィルターを含めることができる。前記強度値を取得する工程には2つより多くの異なる光波長に対応する強度値を取得する工程を含めることができる。前記強度値のうち少なくとも1つは、赤外波長に対応するものであってよい。前記方法は、さらに、光透過媒体を透過する非分散光の複数の強度を含む強度パターン画像に対応する少なくとも2つの異なる値を取得する工程を有する。前記非分散光は、光源からの光を含むものであってよい。
【0013】
別の実施形態によれば、本発明はデジタルカメラ較正装置を提供し、このデジタルカメラ較正装置は、窓を伴った不透明な画面と、前記窓内に配置された色分散装置と、前記光分散装置および前記窓を通じて光を発するよう配置された光源とを有する。
【0014】
前記デジタルカメラ較正装置は、さらに、第2の窓と、前記第2の透明な窓内に配置された光透過媒体とを有することができる。前記色分散媒体には、可変バンドパスフィルターを含めることができる。前記色分散媒体は、白色光を少なくとも可視スペクトル光へと分散させることができる。前記不透明な画面には、実質的に非反射の面を含めることができる。前記非反射の面には、黒色塗料を含めることができる。前記不透明な画面には、アルミニウムを含めることができる。
【0015】
さらに別の実施形態によれば、本発明は、画像キャプチャ装置を較正する方法を提供し、この方法は、光を提供する工程と、前記光を少なくとも2つの異なる色成分へと分散させる工程と、前記色成分のうちの第1の色成分を画像キャプチャ装置の第1の画素グループに集光する工程と、前記色成分のうちの第2の色成分を前記画像キャプチャ装置の第2の画素グループに集光する工程と、前記第1の画素グループおよび前記第2の画素グループから強度値を取得する工程と、前記強度値を使用して色補正データを生成する工程とを有する。前記方法は、さらに、前記強度値を期待強度値と比較する工程を有することができる。
【0016】
さらに別の実施形態によれば、本発明はデジタルカメラ較正装置を提供し、このデジタルカメラ較正装置は、窓を伴った不透明な画面と、前記窓内に配置された光透過媒体と、前記光透過媒体および前記窓を通じて光を発するよう配置された光源とを有する。
【0017】
別の実施形態によれば、本発明はデジタルカメラを較正する方法を提供し、この方法は、光を提供する工程と、光透過媒体に前記光を透過させて強度パターン画像を生成する工程と、前記強度パターン画像のテスト画像をキャプチャする工程と、前記テスト画像に対応した強度値を取得する工程と、前記強度値を期待強度値と比較する工程と、前記比較に基づいて強度補正データを生成する工程とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明は、以下の図面を参照して説明しており、これらの図面において同様な参照番号は同様な同様な要素を示している。
図1図1は、本発明の一実施形態に従ってデジタルカメラを較正するシステムを例示したブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係るカメラ制御部の詳細を例示したブロック図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る画像キャプチャ装置を例示した図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る試験装置を例示した図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る、前記試験装置からの色分散画像および強度パターン画像を例示したものである。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る、画像キャプチャ装置によりキャプチャされた色分散画像および強度パターン画像を例示したものである。
図7図7は、前記試験装置からの色分散画像および強度画像として画像キャプチャ装置でキャプチャされた応答値を例示したグラフである。
図8図8は、本発明の一実施形態に係る、理想的な強度パターン値に対する強度パターン値を例示したグラフである。
図9図9は、本発明の一実施形態に従ってデジタルカメラを較正する方法を例示したフローチャートである。
図10図10は、本発明の一実施形態に従ってデジタルカメラを較正する別の方法を例示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態は、光分散装置および光透過媒体を使ってデジタルカメラを較正することにより、先行技術に伴う問題を克服する。以下の説明では、本発明の種々の実施形態が完全に理解されるよう具体的な詳細事項を記載する。当業者であれば、これらの具体的な詳細事項がなくとも、他の実施形態が可能であることが理解できるであろう。本発明の説明を不要に曖昧にしないよう、周知の実施形態の詳細(材料の選択、組み立て、レンズの焦点合わせ操作など)および周知の構成要素は省略する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に従って色分散媒体からの色分散画像と、光透過媒体からの強度パターン画像とをキャプチャすることにより、デジタルカメラを較正するシステム100を例示したものである。図示したように、このシステム100は、光源102と、色/強度試験装置104と、光学素子106と、撮像装置108と、当該撮像装置108に連結されたカメラ制御部110とを含む。光源102(タングステン光など)は、試験装置104の背面に露出される白色光112を提供する。試験装置104は、白色光112を所定範囲(300〜700ナノメートルなど)の色分散画像114に分散させて可視スペクトルの少なくとも一部を提供する。二者択一的および/または付加的に、試験装置104は、可能性として同色または全色の光強度のパターンを含む、グレースケールなどの強度パターン画像114を少なくとも1つ送信する。カメラの光学素子106は、色分散画像および強度パターン画像114を画像キャプチャ装置108上に集束させて、当該画像キャプチャ装置108が前記色分散画像および前記強度パターン画像のテスト画像をキャプチャできるようにする。当業者に周知のように、画像キャプチャ装置108は、カメラ制御部110により制御することができる。
【0021】
一部の実施形態では、デジタルカメラ較正に必要な色および強度の情報をすべて1回の露光で収集することができる。また、色分散画像のスペクトルは、他の品質管理工程用に赤外および/または他の波長を含むようにも構成可能である。例えば、前記画像キャプチャ装置が所定の閾値を超えて赤外光をキャプチャした場合は、赤外線フィルターに欠陥のあることが考えられる。このような品質管理は、前記色/強度較正に使用する露光でキャプチャされたデータを使って実施できる。色/強度情報の収集に続くデータ操作工程(行列関数やルックアップテーブルなど)は、当業者に公知である。例えば特定の実施形態において、光源の色強度値は、決定されたのち、事実上白色光を正規化するため、色分散画像および/または強度パターン画像から減算される。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態に係るカメラ制御部110の詳細を例示したブロック図である。カメラ制御部110には、色/強度補正データ202と、画像処理ルーチン204と、処理ユニット206と、構成アルゴリズム208と、利用者入出力(I/O)210と、較正インターフェース212とが含まれ、これらはすべて通信チャネル214を通じて通信可能である。色/強度補正データ202には、色/強度較正情報が含まれ、これにより画像キャプチャ装置108により生成された色値および強度値(色補正行列)の補正が容易になる。画像処理ルーチン204には、画像キャプチャ装置108によりキャプチャされた画像の処理を容易にするルーチンが含まれる。処理ユニット206には、前記データおよび前記ルーチンを処理するCPUが含まれる。構成アルゴリズム208には、構成設定に基づいて前記色/強度データを生成するルーチンが含まれる。利用者I/O 210は、利用者とカメラ制御部110との通信を容易にする。I/O装置の例としては、キーパッド、ディスプレイ(LCDディスプレイなど)、スピーカーなどがある。較正インターフェース212には、製造業者がカメラ制御部110に色/強度補正データをロードできるようにするルーチンが含まれる。
【0023】
図3は、本発明の一実施形態に係る撮像装置108の像面300を例示したものである。像面300には、フォトサイト302のアレイが含まれる。各フォトサイト302には、青フィルターフォトサイト304、緑フィルターフォトサイト306、または赤フィルターフォトサイト308のうち1つが含まれる。フォトサイト304、306、308は、それぞれ指定された色の光だけを通過させる。入射光への露光時、フォトサイト304、306、308の各々は、それに対応した色の光強度値を記録する。次に、それらの値は処理および表示される。撮像装置108により異なるが、通常は、緑のフォトサイトが赤または青のフォトサイトより2倍多く、これは、ヒトの目が緑色の光に対し他の色より2倍敏感なためである。従来、フィルターはベイヤー配列と呼ばれるパターンに配置されており、具体的には1行が赤、緑、赤、緑(以後同様)、そして次の行が青、緑、青緑(以後同様)となる。ただし、他の特定の色や、色フィルターフォトサイト304、306、308の幾何学的レイアウトを使用してもよい。その一例として、撮像装置108はCMYKタイプであってもよい。
【0024】
図4は、本発明の一実施形態に係る試験装置104の詳細を例示したブロック図である。試験装置104には、不透明なプレート400と、非反射層402と、光分散媒体404と、光透過媒体406とが含まれる。不透明なプレート400は、例えばアルミニウムを有する。不透明なプレート400の正面は、例えば黒色塗料の非反射層402で実質的に覆われている。光分散媒体404からの画像および光透過媒体406からの画像を色・強度較正用にキャプチャする際、非反射層402は、所望の画像と干渉するおそれのあるランダム光をすべて吸収する。
【0025】
不透明なプレート400および非反射層402には、窓408および窓410が含まれ、これらの窓に光分散媒体404および光透過媒体406がそれぞれ着座する。光分散媒体404は可変バンドパスフィルターなどであってよく、その背面から入射光を受け、色分散画像へと光を分散させる。一実施形態において、この色分散画像の高さは数画素分である。光透過媒体406は写真フィルムタイプのグレースケール媒体であってよく、様々な光強度を通過させて強度パターン画像を生成する。一実施形態において、この強度パターン画像は数画素分ある。光分散媒体404および光透過媒体406については、図5を参照し以下でさらに説明する。
【0026】
図5は、本発明の一実施形態に従って、裏から光を当てた試験装置104で生成された色分散画像および強度パターン画像を例示したものである。光分散媒体404は、その背面から白色光を受け、種々の波長の入射光を異なる角度で曲げることにより、受光面と反対側の面(画像がキャプチャされる側の面)から色分散画像を提供する。図示したように、光分散媒体404は、紫(V)〜赤外(IR)の範囲の色を発する。なお、光分散媒体404を通じて分散された光の色分布距離(v、vi、i、ib、b...など)は、縮尺どおりではない。周知のように、スペクトルに沿った色の変化は連続的なもので、図示したように明確に区別できるものではない。例えば、純粋な黄色が純粋な赤色に隣接するわけではない。その間には多くの色がある(オレンジ色など)。光透過媒体406は、可能性として灰色など同じ色の様々な光強度を通過させて、強度パターン画像を生成する。図示したように、そのような光強度は、場合に応じて0%応答(不透明)から100%応答(透明)まで異なる。光透過媒体406に沿った応答の変化は、不透明なプレート400上への配置方法に依存して線形または段階的に増減するよう構成できる。
【0027】
図6は、本発明の一実施形態に従って像面300の一部600によりキャプチャされたテスト色分散画像602およびテスト強度パターン画像604を示したものである。像面300は、そのテスト色/強度較正値をキャプチャする。すなわち、前記色分散画像602は、前記像面300の前記一部600の行に沿って各色に関する強度値を含むことができる。前記テスト強度パターン画像604には、各画素に関する強度値(隣接しあうフォトサイトの所定のセット)を含めて、グレースケール強度値などの一般的な強度値を生成することができる。光分散媒体404から発せられる実際の色分散画像と、光透過媒体406から発せられる実際の強度パターン画像とがわかると、前記テスト色分散画像602および前記テスト強度パターン画像604を評価し、当該デジタルカメラを較正することができる。
【0028】
図7は、前記試験装置104からの色分散画像および強度画像として画像キャプチャ装置108でキャプチャされた応答値を例示したグラフ700である。グラフ700には、光源102からの光に対する強度応答パーセンテージを表す縦軸702が含まれる。示したように、軸702の強度応答は、0%〜100%応答の範囲である。さらに、グラフ700には、光分散媒体404に沿った位置および光透過媒体406に沿った位置を表す横軸704が含まれる。
【0029】
グラフ700には、青の応答曲線706と、緑の応答曲線708と、赤の応答曲線710と、強度の応答曲線712とが含まれる。曲線706、708、および710は、青フィルターフォトサイト304と、緑フィルターフォトサイト306と、赤フィルターフォトサイト308とについてそれぞれキャプチャされた色強度応答データを表している。応答曲線712は、光透過媒体306に沿った種々の光出力強度に対応するデータを表している。所与の光源の最大強度は、理想的に透過率100%の光透過媒体406を通じて得られる場合の1.0に等しい。このため、光透過媒体406の透過率50%の部分を通過した応答を測定した場合の応答は0.5に等しくなる。一度そのようなデータがキャプチャされると、当業者に公知の方法を使って色補正行列を計算することができる。そのような方法の1つは、Xuemei ZhangおよびDavid H.Brainardの「Bayesian Color Correction Method for Non−Colorimetric Digital Image Sensors」(非比色デジタル画像センサのためのベイズ色補正方法)Color Imaging Conference 2004:308−314に開示されている。
【0030】
図8は、理想的な強度値800に対する強度曲線712を例示したグラフである。上記のとおり、応答曲線712は、光透過媒体406から提供され画像キャプチャ装置108でキャプチャされた強度パターン画像に対応するデータを表している。強度パターン画像に対応したデータがキャプチャされる場合、その値は、当技術分野で知られているように、理想的な強度値800に対し操作される(ルックアップテーブルなどにより)。
【0031】
図9は、本発明の一実施形態に従ってデジタルカメラを較正する方法を例示したフローチャート900である。工程902では、光線が提供される。工程904では、その光線が、複数の異なる波長を含む光分散画像へと分散される。工程906では、前記光分散画像のテスト画像がキャプチャされる。次に、工程908では、前記テスト画像の少なくとも2つの異なる波長に対応した強度値が記録される。次いで工程910で、記録された強度値が期待される強度記録値と比較される。工程912では、色および/または強度補正データが生成される。
【0032】
図10は、本発明の一実施形態に従ってデジタルカメラを較正する別の方法を例示したフローチャート1000である。工程1002では、光線が提供される。工程1004では、前記光線が少なくとも2つの異なる色成分へ分散される。工程1006では、そのうちの第1の色成分が、画像キャプチャ装置の第1の画素グループに集光される。工程1008では、他方の第2の色成分が、画像キャプチャ装置の第2の画素グループに集光される。工程1010では、前記第1の画素グループおよび前記第2の画素グループからの強度値が記録される。工程1012では、その前記強度値を使って、色および/または強度補正データを生成する。
【0033】
色および強度の較正は、前記色分散媒体404だけを使って実施されることが理解されるであろう。例えば、所定の強度パターンの白色光を、この色分散媒体404を通じて送出することができる。それに対し二者択一的または付加的に、前記白色光がその長さ全体にわたり安定した強度値を有するようにしてもよい。別の実施形態では、光透過媒体406を色分散媒体404と直列に配置できる。また別の実施形態では、試験装置104に光透過媒体406を含めない。
【0034】
上述した特徴の多くは、本発明の範囲を逸脱しない範囲で、置換、変更(修正)、または省略できる。以上に示した特定の実施形態に対するこれらの変更(修正)形態等は、当業者が特に上記の開示を考慮すれば、明確に理解されるであろう。
図1
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図10