特許第5666554号(P5666554)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666554
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】改良されたバイオマス前処理方法
(51)【国際特許分類】
   C08B 16/00 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
   C08B16/00
【請求項の数】26
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2012-502865(P2012-502865)
(86)(22)【出願日】2010年3月31日
(65)【公表番号】特表2012-522099(P2012-522099A)
(43)【公表日】2012年9月20日
(86)【国際出願番号】IB2010051412
(87)【国際公開番号】WO2010113129
(87)【国際公開日】20101007
【審査請求日】2013年3月21日
(31)【優先権主張番号】PCT/IT2009/000125
(32)【優先日】2009年3月31日
(33)【優先権主張国】IT
(31)【優先権主張番号】PCT/IT2009/000129
(32)【優先日】2009年3月31日
(33)【優先権主張国】IT
(31)【優先権主張番号】PCT/IT2009/000130
(32)【優先日】2009年3月31日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512007281
【氏名又は名称】ベータ リニューアブルス エス・ピー・エー
【氏名又は名称原語表記】BETA RENEWABLES S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガーベロ, ミルコ
(72)【発明者】
【氏名】オットネッロ, ピエロ
(72)【発明者】
【氏名】コッティ コメッティーニ, マルコ
(72)【発明者】
【氏名】フェレーロ, シモーヌ
(72)【発明者】
【氏名】トーレ, パオロ
(72)【発明者】
【氏名】チェルチ, フランセスコ
(72)【発明者】
【氏名】ボナンニ, アンドレア
【審査官】 伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/024242(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/009463(WO,A1)
【文献】 米国特許第03212932(US,A)
【文献】 米国特許第04342831(US,A)
【文献】 特開平02−131591(JP,A)
【文献】 特開2006−043504(JP,A)
【文献】 Separation and Purification Technology,2008年,62,pp.1−21
【文献】 J.Agric.Food Chem.,2007年,55(14),pp.5536−5543
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
)リグノセルロースバイオマス原料を、蒸気もしくは液体の水またはそれらの混合物に、100〜210℃の範囲の温度で1分〜24時間浸漬して、乾燥含有物と第1液体とを含有する浸漬バイオマスを創出するステップと、
)第1液体の少なくとも一部分を浸漬バイオマスから分離して、第1液体流れと第1固体流れとを創出するステップであって、第1固体流れが、浸漬バイオマスを含むステップと、
)第1固体流れを水蒸気爆砕して、固体と第2液体とを含む水蒸気爆砕流れを創出するステップと
を含む、リグノセルロースバイオマスを処理する方法。
【請求項2】
水蒸気爆砕流れ中の第2液体の少なくともいくらかが、水蒸気爆砕流れから分離されて第2液体流れを創出する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
浸漬ステップが、140〜210℃の温度範囲で1分〜16時間行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップA)のリグノセルロースバイオマス原料が、
25〜100℃の範囲の温度の水を含む液体中にリグノセルロースバイオマスを1分〜24時間浸漬する低温浸漬ステップを行い、低温浸漬ステップの後に、低温浸漬リグノセルロースバイオマスから液体の少なくとも一部分を分離する分離ステップを行う、ことにより得られるものである、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
リグノセルロースバイオマスを、ステップにおいて、1分〜6時間、1分〜4時間および1分〜3時間からなる群より選択される範囲内の時間浸漬する、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項6】
リグノセルロースバイオマスを、ステップにおいて、1分〜4時間の範囲内の時間浸漬する、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項7】
リグノセルロースバイオマスを、ステップにおいて、1分〜3時間の範囲内の時間浸漬する、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項8】
リグノセルロースバイオマスを、ステップにおいて、1分〜2.5時間の範囲内の時間浸漬する、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項9】
リグノセルロースバイオマスを、ステップにおいて、1分〜2.0時間の範囲内の時間浸漬する、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項10】
第1液体流れの液体の少なくとも一部分を、水蒸気爆砕流れの少なくとも一部分と併合するさらなるステップを含む、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項11】
水蒸気爆砕流れを、少なくとも第3液体で洗浄して第3液体流れを創出する、請求項4から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
第1液体流れを精製して、第1精製液体流れを創出した後に、第1液体流れを、水蒸気爆砕流れの少なくとも一部分と併合する、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
第3液体流れを精製し、次いで、水蒸気爆砕流れの少なくとも一部分と併合する、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
浸漬バイオマスからの液体の分離が、浸漬バイオマスを圧搾することにより行われる、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
第1液体流れの精製が、フラッシングにより行われる、請求項12から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
フラッシングが、フラッシングの前に第1液体流れの圧力を大気圧まで低下させることなく行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
フラッシングが、第1液体を浸漬バイオマスから分離するステップの最後に、第1液体流れの圧力にて行われる、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
第2液体流れが、水蒸気ストリッピングにより精製される、請求項13から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
精製第1液体流れを第2液体流れと併合した後に、第2液体流れが精製される、請求項13から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
第3液体流れが、水蒸気ストリッピングにより精製される、請求項13から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
第1液体流れと第2液体流れと第3液体流れとが、一緒に精製される、請求項13から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
精製が、水蒸気ストリッピングである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
水蒸気ストリッピングの後に、活性炭での処理を行う、請求項18、20および22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
精製流れを濃縮して水を除去する、請求項18、20、22および23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
第1精製流れを第2液体流れと併合した後に、第2液体流れが精製される、請求項18、20、22、23および24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
水蒸気爆砕流れの少なくとも一部分との混合のいずれもが、水蒸気爆砕流れの少なくとも一部分が加水分解された後に行われる、請求項2から24のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
バイオマスの分野において、リグノセルロースバイオマスをエタノールに変換することは、通常行われることである。バイオマスが多糖含有バイオマスであり、これがリグノセルロース性である場合、前処理をしばしば行って、含有リグノセルロース性物質の構造に酵素がより近づきやすくなるようにするが、同時に、酢酸、フルフラールおよびヒドロキシメチルフルフラールのような有害な阻害性副生成物の濃度が、通常高くなり、さらなる加工において問題となる。
【0002】
大まかに言うと、処理が厳しいほど、物質の含有セルロースがより近づきやすくなる。水蒸気爆砕の厳しさは、文献においてRoとして知られ、
Ro=t・e[(T−100)/14.75]
(セ氏で表される温度T、および共通の単位で表される時間t)として表される時間と温度の関数である。この式は、Log(Ro)として、すなわち
Log(Ro)=Ln(t)+[(T−100)/14.75]
としても表される。
【0003】
高いRo値は、フルフラールのような、バイオマスの加水分解および発酵を阻害する望ましくない副生成物の数が多いことと関連すると一般的に考えられる。
【0004】
非特許文献1は、その結論の中で、「水蒸気爆砕に基づく方法は・・・分解生成物の形成が収率を低減させるので、長期の運転において魅力的でない」とさえ主張し、アンモニア繊維爆砕および超臨界流体に基づく処理のような代替法を研究することを勧めている。
【0005】
よって、高Roを有する厳しい方法であって、同時にフルフラールが低い生成物を生成する方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】NREL Report第TP−421−4978号、1992年11月、McMillan J.D.、「Processes for Pretreating Lignocellulosic Biomass: A Review」
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書において、バイオマス原料を、蒸気または液体の水に、100〜210℃、好ましくは140〜210℃の温度範囲で1分〜24時間、好ましくは1分〜16時間、より好ましくは1分〜2.5時間、最も好ましくは1分〜2時間浸漬して、乾燥含有物と第1液体とを含有する浸漬バイオマスを創出するステップと、第1液体の少なくとも一部分を浸漬バイオマスから分離して、第1液体流れと第1固体流れとを創出するステップであって、第1固体流れが、浸漬バイオマスを含むステップと、第1固体流れを水蒸気爆砕して、固体と第2液体とを含む水蒸気爆砕流れを創出するステップと、所望により、第2液体の少なくともいくらかが水蒸気爆砕流れから分離されて、第2液体流れと第2固体流れとを創出するステップとを含む、バイオマスの改良された前処理の方法が開示される。この方法が、第1液体流れの液体の少なくとも一部分を第2固体流れと併合するさらなるステップも含み得ることも開示される。
【0008】
水蒸気爆砕流れを少なくとも第3液体とともに洗浄して第3液体流れを創出した後に、水蒸気爆砕流れを分離ステップに導入する、第3の任意選択のステップも開示される。
【0009】
第1液体流れを精製して第1精製液体流れを創出した後に、第1液体流れを第2固体流れと併合する、さらなる精製ステップが開示される。
【0010】
第2液体流れを精製して第2精製液体流れを創出し、次いで、第2精製液体流れを第2固体流れと併合するさらなるステップが開示される。
【0011】
第3液体流れを精製し、次いで、これを第2固体流れと併合することもさらに開示される。
【0012】
液体を浸漬バイオマスから分離する方法として、圧搾が開示される。
【0013】
第1液体流れを精製するステップとして、フラッシングが開示される。このフラッシングが、フラッシングの前に第1液体流れの圧力を大気圧まで低下させることなく行われることが、さらに開示される。フラッシングが、第1液体を浸漬バイオマスから分離するステップの最後に、第1液体流れの圧力にて行われることが、さらに開示される。
【0014】
組み合わせてまたは別々の任意のそして全ての液体流れの水蒸気ストリッピングが開示される。水蒸気爆砕ステップおよび/または浸漬ステップからの蒸気を用いることも開示される。
【0015】
任意の液体流れを活性炭で精製することも開示される。流れを濃縮して水を除去することも開示される。第2固体流れの少なくとも一部分を加水分解した後に、流れを併合し得ることも開示される。
【0016】
本明細書において、固体と、液体と、組成物の液体および固体中のアラビナンおよびキシランならびにアラビノースおよびキシロースのモノマー、ダイマー、オリゴマーおよびポリマーの量に基づく量のC5と、組成物の液体および固体中のグルカンのモノマー、ダイマー、オリゴマーおよびポリマーを含むグルカン含量に基づく量のC6と、フルフラールとを含む上記の方法からの新規な組成物であって、C6の量に対するC5の量の比率が0.50未満であり、C5とC6の量の合計に対する組成物中に常に存在するフルフラールの量の比率が、0より大きく0.0140未満であるとも表される0〜0.0140であり;0より大きく0.0100未満であるとも表される0〜0.0100であり;0より大きく0.0060未満であるとも表される0〜0.0060であり;0より大きく0.0040未満であるとも表される0〜0.0040であり;0より大きく0.0030未満であるとも表される0〜0.0030であり;0より大きく0.0020未満であるとも表される0〜0.0020であり;0より大きく0.0010未満であるとも表される0〜0.0010;または0より大きく0.0009未満であるとも表される0〜0.0009である組成物も開示される。C6の量に対するC5の量の比率が、0.44未満であることがさらに開示される。
【0017】
固体と、液体と、組成物の液体および固体中のアラビナンおよびキシランならびにアラビノースおよびキシロースのモノマー、ダイマー、オリゴマーおよびポリマーの量に基づく量のC5と、組成物の液体および固体中のグルカンのモノマー、ダイマー、オリゴマーおよびポリマーを含むグルカン含量に基づく量のC6と、フルフラールとを含み、C6の量に対するC5の量の比率が0.50より大きく、C5とC6の量の合計に対するフルフラールの量の比率が、0より大きく0.09未満であるとも表される0〜0.09;0より大きく0.0060未満であるとも表される0〜0.0060;0より大きく0.0050未満であるとも表される0〜0.0050;0〜0.0040;0より大きく0.0030未満であるとも表される0〜0.0030、および0より大きく0.0016未満であるとも表される0〜0.0016の範囲のいずれかである別の新規なバイオマスの組成物が開示される。
【0018】
新規な組成物のいずれかの合計重量に対する固体の量が、3〜85%、3〜65%、3〜20%、11〜99%、14〜99%、16〜99%、19〜99%、21〜99%、24〜99%、26〜99%、29〜99%、31〜99%、36〜99%および41〜99%の範囲のいずれかであることがさらに開示される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】方法の実施形態の模式図である。
図2】方法の第2の実施形態の模式図である。
図3】方法の第3の実施形態の模式図である。
図4】方法の第4の実施形態の模式図である。
図5】方法の第5の実施形態の模式図である。
図6】方法の第6の実施形態の模式図である。
図7】方法の第7の実施形態の模式図である。
図8】方法の第8の実施形態の模式図である。
図9】方法の第9の実施形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本文の全ての場合において、用語「流れ」は、物質も含むことを意味するために用いられる。例えば、第2液体流れは、第2液体を含み、第2精製液体流れは、第2精製液体を含む。流れを併合するとは、流れ中の物質を混合することを意味する。
【0021】
本方法は、原料流れ中の原料に対して作用する。原料流れは、乾燥含有物と水を有するバイオマスを含む。通常、水は自由水ではないが、バイオマス自体に吸収された水である。このバイオマスは、その乾燥含量(水でない)に従ってしばしば表される。20%の乾燥含量バイオマスは、80%の水と20%の水でないもの、またはそうでなければ固体含有物を有するバイオマスに相当する。バイオマスおよび水との用語は、バイオマスの乾燥含有物+吸収された水と自由水と加えられ得る水である。例えば、20%乾燥含量の100kgのバイオマスについて、バイオマス+水の量は100kgである。20%乾燥含量の100kgのバイオマス+10kgの水について、バイオマス+水の量は110kgである。
【0022】
記載される方法は、バイオマスの原料流れと水を利用できると考えられ、ここで、原料流れの水に対する乾物含量は、好ましくは20〜80%または21〜80%、好ましくは25〜70%または26〜70%、より好ましくは25〜60%または26〜60%、さらにより好ましくは25〜50%または26〜50%または25〜40%または26%〜40%、および最も好ましくは25〜35%または26〜35%または26〜34%または31%〜49%である。
【0023】
処理の後に、組成物の全重量に対する固体の量は、3〜85%、3〜85%、3〜65%、3〜20%、11〜99%、14〜99%、16〜99%、19〜99%、21〜99%、24〜99%、26〜99%、29〜99%、31〜99%、36〜99%および41〜99%の範囲のいずれかであり得る。
【0024】
これは、代わりに、最小乾燥含量として、すなわち原料流れ中の水に対する乾燥含有物の重量パーセントとして表すことができる。これは、少なくとも20重量パーセント乾物含量、好ましくは少なくとも25重量パーセント乾物含量、より好ましくは少なくとも30重量パーセント乾物含量、および最も好ましくは少なくとも40重量パーセント乾物含量に相当する。これらの含量の上限は定義により100%であるが、実際は、これらの含量について、これらを範囲で表すならば、80重量パーセントが上限である。
【0025】
よって、本発明に適する範囲は、3%、15%、20%、21%、25%、26%、30%、31%、35%、36%、40%、50%、60%および80%より大きく、各下限について上限が100%または90%の乾燥含量を有するバイオマスである。
【0026】
バイオマスの繊維および粒子のサイズの分布は、0〜150mm、好ましくは5〜125mm、より好ましくは10〜100mm、さらにより好ましくは15〜30から90mmまたは20〜80mm、および最も好ましくは26〜70mmの範囲を含み得る。
【0027】
繊維および粒子のサイズの好ましい分布は、好ましい間隔内で変化するバイオマスの少なくとも20%(w/w)と定義される。
【0028】
植物バイオマスは、好ましい原料である。デンプン以外に、植物バイオマスの主要な3つの構成成分は、セルロース、ヘミセルロースおよびリグニンであり、これらは、包括的な用語でリグノセルロースと一般的によばれる。包括的な用語としての多糖含有バイオマスは、デンプンおよびリグノセルロースバイオマスの両方を含む。よって、いくつかのタイプの原料は、植物バイオマス、多糖含有バイオマスおよびリグノセルロースバイオマスであり得る。典型的なリグノセルロースバイオマスは、セルロースを、乾燥バイオマスの全量の少なくとも5重量パーセントの量で、乾燥バイオマスの全量の少なくとも10重量%および20重量%で含有する。リグノセルロースバイオマスは、デンプンを、好ましくは50重量%未満、さらにより好ましくは45、35および15重量パーセント未満で含有してもよい。
【0029】
バイオマスが多糖含有バイオマスであり、これがリグノセルロース性である場合、前処理をしばしば行って、含有リグノセルロースの構造に酵素がより近づきやすくなり、同時に、酢酸、フルフラールおよびヒドロキシメチルフルフラールのような有害な阻害性副生成物の濃度が実質的に低いままであることを確実にする。
【0030】
本発明による多糖含有リグノセルロースバイオマスは、例えばデンプンならびに精製デンプン、セルロースおよびヘミセルロースの形態の重合糖を含む任意の物質を含む。
【0031】
本発明による加水分解および前処理のためのセルロース性バイオマスおよび多糖リグノセルロースバイオマスの適切なタイプは、禾本に由来するバイオマス、より具体的には農作物:例えばデンプン、例えば粒を含むデンプンおよび精製デンプン;トウモロコシの茎と葉、バガス、例えばコメ、コムギ、ライムギ、オーツ麦、オオムギ、ナタネ、モロコシからのわら;軟木、例えばパイナス・シルベストリス(Pinus sylvestris)、パイナス・ラジアタ(Pinus radiate);堅木、例えばサリックス種(Salix spp.)、ユーカリプタス種(Eucalyptus spp.);塊茎、例えばビート、ジャガイモ;例えばコメ、コムギ、ライムギ、オーツ麦、オオムギ、ナタネ、モロコシおよびトウモロコシからの穀類;同様の乾物含量を有する廃紙、バイオガス加工からの繊維画分、堆肥、アブラヤシ加工からの残渣、自治体の固形廃棄物などを含み得る。
【0032】
リグノセルロースバイオマス原料は、好ましくは、通常、禾本とよばれる科からである。正式名称は、顕花植物のユリ綱(Liliopsida)(単子葉植物)の中のイネ科(PoaceaeまたはGramineae)として知られる科である。この科の植物は、通常、禾本、またはその他のイネ科型植物とそれらを区別するために真正禾本(true grasses)とよばれる。竹も含まれる。約600の属、およびおよそ9,000〜10,000以上の種の禾本が存在する(Kew Index of World Grass Species)。
【0033】
イネ科は、世界中で成長する主要食物穀粒および穀類作物、芝生および飼草ならびに竹を含む。イネ科は、通常、稈とよばれる中空の茎を有し、これは、そこから葉が生じる稈に沿った節とよばれる点でところどころが詰まって(中実)いる。禾本の葉は、通常、互生、対生(1つの平面で)または希にらせん状であり、平行脈である。それぞれの葉は、ある距離で茎を抱え込む下部葉鞘と、葉縁が通常は全縁の葉身とに分化する。多くの禾本の葉の葉身は、シリカ植物化石で堅くなっており、これが、草食動物を遠ざける助けとなる。いくつかの禾本(例えばソードグラス)において、これは、禾本の葉身の縁を、ヒトの皮膚を切断するのに十分な程度に鋭くする。葉舌とよばれる膜状付属体または毛のふさは、葉鞘と葉身との間の接合部にあり、水または昆虫が葉鞘に浸透するのを防ぐ。
【0034】
禾本の葉身は、葉身の基部で成長するのであって、伸長した茎の先端からでない。この低い成長点は、草食動物に応答して進化したものであり、植物に著しい損傷を与えることなく、規則的に禾本を草食するかまたは刈ることが可能になる。
【0035】
イネ科の花は、特徴的には小穂に配置され、各小穂は、1または複数の小花を有する(小穂は、円錐花序または穂状花序にさらに分類される)。小穂は、基部の頴とよばれる2つ(または時により少ない)の包葉と、それに続く1または複数の小花とからなる。小花は、外頴(外側のもの)と内頴(内側)とよばれる2つの包葉で囲まれた花からなる。花は、通常、雌雄同花(雌雄同株であるトウモロコシは例外である)であり、受粉は、ほとんど常に風媒である。花被は、鱗被とよばれる2つの芽鱗に変形し、これらが伸縮して外頴および内頴を広げる。これらは、通常、変形萼片と解釈される。この複雑な構造は、コムギ(トリチカム・エスチバム(Triticum aestivum))の穂状花序を描いた左側の画像で見ることができる。
【0036】
イネ科の果実は、種皮が果皮と融合した、すなわち分けることができない(トウモロコシの穀粒のように)頴果である。
【0037】
禾本には、3つの全般的な成長習性の分類、すなわち束型(群生ともいう)、葡萄枝型および根茎型が存在する。
【0038】
禾本の成果は、部分的にその形態および成長プロセスに、そして部分的にその生理的多様性にある。ほとんどの禾本は、炭素固定のためにC3およびC4光合成経路を用いる2つの生理的な群に分けられる。C4禾本は、専門化された葉のクランツ構造と連結された光合成経路を有し、この構造が、特に暑い気候および低い二酸化炭素の雰囲気にそれらを適合させる。
【0039】
C3禾本は「寒冷期禾本」とよばれ、C4植物は「温暖期禾本」とみなされる。禾本は、一年生または多年生のいずれかであり得る。一年生の寒冷期の例は、コムギ、ライムギ、一年生ブルーグラス(一年生メドウグラス、ポア・アニュア(Poa annua)およびオーツ麦)である。多年生の寒冷期の例は、オーチャードグラス(カモガヤ、ダクティリス・グロメラータ(Dactylis glomerata))、ウシノケグサ(フェストゥーカ種(Festuca spp))、ケンタッキーブルーグラスおよびペレニアルライグラス(ロリウム・ペレンネ(Lolium perenne))である。一年生温暖期の例は、トウモロコシ、スーダングラスおよびパールミレットである。多年生温暖期の例は、ビッグブルーステム、インディアングラス、バミューダグラスおよびスイッチグラスである。
【0040】
禾本科のある分類は、12の亜科を認定している。これらは、1)2つの属(アノモクロア(Anomochloa)、ストレプトケタ(Streptochaeta))を含む広葉禾本の小さい系統であるアノモクロオイデ(anomochlooideae);2)ファルス(Pharus)およびレプタスピス(Leptaspis)を含む3つの属を含む小さい系統であるファロイデ(Pharoideae);3)アフリカの属であるプエリア(Puelia)を含む小さい系統であるプエリオイデ(Puelioideae);4)コムギ、オオムギ、オーツ麦、スズメノチャヒキ(ブロナス(Bronnus))およびリードグラス(カラマグロスティス(Calamagrostis))を含むプーイデ(Pooideae);5)竹を含むバンブソイデ(Bambusoideae);6)コメおよびワイルドライスを含むエールハルトイデ(Ehrhartoideae);7)ジャイアントリードおよびコモンリードを含むアルンディノイデ(Arundinoideae)、8)パニコイデ(Panicoideae)に時に含まれる11の属の小さい亜科であるセントテコイデ(Centothecoideae);9)カゼクサ(エラグロスティス(Eragrostis)、およそ350種、テフを含む)、ドロップシード(スポロボラス(Sporobolus)、160あまりの種)、シコクビエ(Eleusine coracana(L.)Gaertn.)およびミューレンベルギアリンドハイメリ(ミューレンベルギア(Muhlenbergia)、およそ175種)を含むクロリドイデ(Chloridoideae);10)パニックグラス、トウモロコシ、モロコシ、サトウキビ、ほとんどのキビ、フォニオおよびウシクサを含むパニコイデ、11)ミクライロイデ(Micrairoideae);12)約500種の禾本の属であり、両半球の温度領域の原産であるポア(Poa)とともにパンパスグラスを含むダントニオディエ(Danthoniodieae)である。
【0041】
食用の種子のために成長させる農芸禾本は、穀類とよばれる。3つの一般的な穀類は、コメ、コムギおよびトウモロコシ(maize)(トウモロコシ(corn))である。全ての作物のうちで、70%が禾本である。
【0042】
サトウキビは、砂糖製造の主要な供給源である。禾本は、建設のために用いられる。竹で作製された足場は、鋼鉄足場を破壊し得る台風の力の風に耐えることができる。より大きい竹およびアルンド・ドナックス(Arundo donax)は、丈夫な稈を有し、これは材木と同様の様式で用いることができ、禾本の根は、芝土の家の芝土を安定化する。アルンドは、木管楽器のリードを作製するために用いられ、竹は、多数の器具のために用いられる。
【0043】
よって、好ましいリグノセルロースバイオマスは、禾本からなる群より選択される。言い換えると、好ましいリグノセルロースバイオマスは、イネ科に属する植物からなる群より選択される。
【0044】
多糖含有バイオマスがリグノセルロース性である場合、物質は、小片に切断してよく、ここで、バイオマスの20%(w/w)が、前処理の前に好ましくは26〜70mmの範囲である。前処理された物質は、方法に入る前に20%を超える乾物含量を有することが好ましい。バイオマスから炭水化物を遊離させる他に、前処理の方法は、バイオマスを消毒し、部分的に溶解し、同時に、リグニン画分から塩化カリウムを洗い流す。
【0045】
バイオマスは、バイオマスの加水分解から得ることができる水溶性化学種に加水分解可能ないくつかの化合物を含有する。例えば、セルロースは、グルコース、セロビオースおよび高級グルコースポリマーに加水分解でき、ダイマーおよびオリゴマーを含む。セルロースは、炭水化物分解性セルラーゼによりグルコースに加水分解される。セルロース分解系の一般的な理解は、セルラーゼを3つのクラス、すなわちセルロース鎖の末端からセロビオース単位を切り出すエキソ−1,4−β−D−グルカナーゼまたはセロビオヒドロラーゼ(CBH)(EC3.2.1.91)、セルロース鎖の内部のβ−1,4−グルコース結合を無作為に加水分解するエンド−1,4−β−D−グルカナーゼ(EG)(EC3.2.1.4)、セロビオースをグルコースに加水分解し、セロオリゴ糖からグルコース単位を切り出す1,4−β−D−グルコシダーゼ(EC3.2.1.21)に分ける。よって、バイオマスがセルロースを含有するならば、グルコースが、バイオマスの加水分解から得ることができる加水分解された水溶性化学種である。
【0046】
同様の分析により、ヘミセルロースの加水分解生成物は、もちろんバイオマスがヘミセルロースを含有すると仮定して、バイオマスの加水分解から得ることができる水溶性化学種である。ヘミセルロースは、キシラン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、グルコマンナンおよびキシログルカンを含む。ヘミセルロース中の異なる糖は、ヘミセルラーゼにより遊離される。ヘミセルロース分解系は、ヘミセルロースの不均質な性質のために、セルロース分解系よりも複雑である。この系は、なかでも、キシラン鎖の内部の結合を加水分解するエンド−1,4−β−D−キシラナーゼ(EC3.2.1.8)、非還元末端からキシロオリゴ糖を攻撃してキシロースを遊離させる1,4−β−D−キシロシダーゼ(EC3.2.1.37)、内部の結合を切断するエンド−1,4−β−D−マンナナーゼ(EC3.2.1.78)、マンノオリゴ糖をマンノースに切断する1,4−β−D−マンノシダーゼ(EC3.2.1.25)を含み得る。側鎖は、α−D−ガラクトシダーゼ(EC3.2.1.22)、α−L−アラビノフラノシダーゼ(EC3.2.1.55)、α−D−グルクロニダーゼ(EC3.2.1.139)、シンナモイルエステラーゼ(EC3.1.1.−)、アセチルキシランエステラーゼ(EC3.1.1.6)およびフルロイルエステラーゼ(EC3.1.1.73)のようないくつかの酵素により除去される。
【0047】
図1を参照して、方法の第1ステップは、バイオマス原料流れ1を、流れ2と表示する蒸気形態の水、すなわち水蒸気、液体形態の水、または水蒸気および液体が一緒のもののうちのいずれかなどの物質中に浸漬して、生成物3を生成することである。生成物3は、第1液体を含有する浸漬バイオマスであり、第1液体は、通常、液体もしくは蒸気の形態またはいくらかの混合物での水である。
【0048】
この浸漬は、水蒸気もしくは液体もしくは水蒸気と水の混合物であり得る水、またはより一般的には、高温および高圧での水に物質を曝露する任意の数の技術により行うことができる。温度は、以下の範囲の1つである:145〜165℃、120〜210℃、140〜210℃、150〜200℃、155〜185℃、160〜180℃。時間は、24時間まででそれ未満、または16時間未満、または12時間未満、または9時間未満、または6時間未満のように長くなり得るが、曝露の時間は、好ましくは、1分〜6時間、1分〜4時間、1分〜3時間、1分〜2.5時間、より好ましくは5分〜1.5時間、5分〜1時間、15分〜1時間の範囲で非常に短い。
【0049】
水蒸気を用いる場合、これは、好ましくは飽和されているが、過熱することができる。浸漬ステップは、撹拌しながらもしくは撹拌しないバッチまたは連続式であり得る。別の実施形態を図9に示し、これは、高温浸漬の前に低温浸漬を有する。低温浸漬の温度は、25〜90℃の範囲である。時間は、24時間まででそれ未満、または16時間未満、または12時間未満、または9時間未満、または6時間未満のように長くなり得るが、曝露の時間は、好ましくは、1分〜6時間、1分〜4時間、1分〜3時間、1分〜2.5時間、より好ましくは5分〜1.5時間、5分〜1時間、15分〜1時間の範囲で非常に短い。
【0050】
この低温浸漬は、図9に示し、31はバイオマス原料であり、32は水または液体であり、33は低温浸漬バイオマスである。34は液体であり、低温浸漬バイオマスから分離された第4液体流れであり得、1は、低温浸漬後のバイオマス原料である。
【0051】
いずれの浸漬ステップも、方法におけるその後のより高い性能を達成するために、その他の化合物、例えばHSO、NHの添加も含み得る。
【0052】
第1液体を含む生成物3は、次いで、分離ステップに移り、ここで第1液体は、浸漬バイオマスから分離される。液体は、液体の少なくとも一部分、好ましくは経済的な時間枠内で可能な限り多くの液体が分離されるように、完全には分離されない。この分離ステップからの液体は、図1において5と表示する第1液体を含む第1液体流れとして知られる。第1液体は、通常は水および原料の可溶性化学種である浸漬に用いられた液体である。表1〜16に示すように、これらの水溶性化学種は、グルカン、キシラン、ガラクタン、アラビナン、グルコオリゴマー、キシロオリゴマー、ガラクトオリゴマーおよびアラビノオリゴマーである。4と表示する固体バイオマスは、全てではないがほとんどの固体を含有するので、第1固体流れとよばれる。
【0053】
液体の分離は、ここでもまた、既知の技術およびまだ発明されていないおそらくはいくつかのものにより行うことができる。好ましい装置は、圧搾機である。なぜなら、圧搾機は、高圧の下で液体を生成し、このことは、後に記載するように有用であるからである。
【0054】
第1固体流れ4を、次いで、水蒸気爆砕して、水蒸気爆砕流れ6を創出する。水蒸気爆砕は、バイオマス分野において公知の技術であり、今日および将来利用可能な系のいずれも、このステップのために適切であると考えられる。水蒸気爆砕の厳しさは、文献においてRoとして知られ、時間および温度の関数であり、
Ro=t・e[(T−100)/14.75]
(セ氏で表される温度T、および共通の単位で表される時間t)として表される。
【0055】
この式は、Log(Ro)として、すなわち
Log(Ro)=Ln(t)+[(T−100)/14.75]
としても表される。
【0056】
操作条件として以下に開示されるように、このプロセスは、高いRoの下で固体組成物を生成し、その低いフルフラール含量において新規である。データに示すように、フルフラールは、バイオマス中に天然に存在する化合物でない。フルフラールは、バイオマスを高温に曝露したときに作製される。
【0057】
Log(Ro)は、好ましくは、2.8〜5.3、3〜5.3、3〜5.0および3〜4.3の範囲にある。
【0058】
水蒸気爆砕流れは、所望により、少なくとも水で洗浄してよく、その他の添加物も用いてよい。将来、別の液体を用い得ることが考えられるので、水は絶対的に必須であるとは考えられない。現時点で、水は好ましい液体であり、水を用いる場合、これは第3液体と考えられる。任意選択の洗浄からの廃液は、第3液体流れ8である。本明細書に添付される図面に示されるが、この洗浄ステップは必須であるとは考えられず、任意選択である。
【0059】
洗浄された爆砕バイオマスを含む洗浄済み水蒸気爆砕流れは、7と表示する。洗浄された爆砕流れは、次いで、洗浄された爆砕物質中の液体の少なくとも一部分を除去するように加工される。この分離ステップも、任意選択である。少なくとも一部分が除去されるとの用語は、可能な限り多くの液体を除去することが望ましいが(圧搾)、100%の除去が可能であるとは考えられないことを確認する。いずれにしても、水の100%の除去は望ましくない。なぜなら、水は、後続の加水分解反応に必要であるからである。このステップについての好ましいプロセスは、ここでもまた圧搾であるが、その他の既知の技術およびまだ発明されていないものは、適切であると考えられる。このプロセスから分離される固体は、第2固体流れ10中にある。流れ9が記載され、これは第2液体流れである。
【0060】
図7の実施形態は、任意選択の洗浄および水蒸気爆砕物質からの液体の分離を含まない方法を示す。
【0061】
第1液体流れの液体は、次いで、第2固体流れの固体と併合されて、流れ20を形成する。
【0062】
この方法の生成物は、以下の改良の1または任意の組合せが達成されるので、非常に独特であることがわかる:
A)バイオマス中の阻害物質および次のステップ(例えば酵素加水分解、発酵、最終生成物分離)への望ましくない生成物と種々の物質のレベルが、他の方法よりも非常に低い;
B)全体的なヘミセルロース可溶化収率が、他の方法よりも高い;
C)バイオマスの分解が、他の方法に比べて改善される。
【0063】
この方法の新規な組成物は、それらのC5、C6およびフルフラールの量に基づいて特徴づけることができる。希釈効果を回避するために、C5/C6の比率およびC5+C6に対するフルフラール(フルフラールが存在する)の表現は、新しい組成物を特徴づけるために十分である。
【0064】
組成物中の全C5は、組成物中のアラビナンとキシランの合計であり、これは、組成物の液体および固体中のアラビノースおよびキシロースのモノマー、ダイマー、オリゴマーおよびポリマーを含む。組成物中の全C6は、グルカン含量であり、これは、液体および固体中のモノマー、ダイマー、オリゴマーおよびポリマーを含む。
【0065】
文献において知られるように、典型的な水蒸気爆砕バイオマスは、C6に対するC5の比率が0.55より大きくて、[C5+C6]に対するフルフラールの比率×10000が少なくとも50である。表13および14からの実験的流れに示すように、本明細書に記載される方法は、0より大きいフルフラール含量(これは常に存在する)を有するが、(C5+C6)に対するフルフラールの比率×10000が60未満の水蒸気爆砕生成物を生成できる。よって、C6に対するC5の比率が0.45〜0.54の範囲であり、[C5+C6]に対するフルフラールの比率×10000が0〜60、またはより好ましくは0〜50、またはより好ましくは0〜30である組成物が意図される。表13および14において、生成物においてC5が低く、このこともフルフラール含量を低減させることがその他の新規な特徴であることも注目される。
【0066】
表13および14からわかるように、水蒸気爆砕からのこれらの組成物は、フルフラールを常に有し、C6に対するC5の比率が0.45未満であり、C5+C6に対するフルフラールの比率×10000が40未満であるか、またはより好ましくはC6に対するC5の比率が0.45未満であり、C5+C6に対するフルフラールの比率×10000が15未満であるか、またはより好ましくはC6に対するC5の比率が0.45未満であり、C5+C6に対するフルフラールの比率×10000が10未満であるか、またはより好ましくはC6に対するC5の比率が0.40未満であり、C5+C6に対するフルフラールの比率×10000が40未満であるか、またはさらにより好ましくはC6に対するC5の比率が0.40未満であり、C5+C6に対するフルフラールの比率×10000が9未満であり、C6に対するC5の比率が0.35未満であり、C5+C6に対するフルフラールの比率×10000が10未満であるか、またはさらにより好ましくはC6に対するC5の比率が0.30未満であり、C5+C6に対するフルフラールの比率×10000が7未満であることを特徴とすることができる。
【0067】
これもまた表13および14に示されるように、液体流れの組成は独特であり、常にフルフラールを有し、C6に対するC5の比率が4.0より大きく、C5+C6に対するフルフラールの比率×10000が80未満であるか、またはより好ましくはC6に対するC5の比率が4.0より大きく、C5+C6に対するフルフラールの比率×10000が60未満であるか、またはさらにより好ましくはC6に対するC5の比率が4.0より大きく、C5+C6に対するフルフラールの比率×10000が30未満であるか、またはC6に対するC5の比率が3.0より大きく、C5+C6に対するフルフラールの比率×10000が160未満のより広い範囲であると表すことができる。
【0068】
フルフラールを常に有し、C6に対するC5の比率が1.0より大きく、C5+C6に対するフルフラールの比率×10000が800未満であるか、またはより好ましくはC6に対するC5の比率が1.0より大きく、C5+C6に対するフルフラールの比率×10000が700未満であるか、またはさらにより好ましくはC6に対するC5の比率が1.0より大きく、C5+C6に対するフルフラールの比率×10000が400未満であるか、またはC6に対するC5の比率が1.0より大きく、C5+C6に対するフルフラールの比率×10000が300未満のより狭い広い範囲である液体流れの組成物も意図される。
【0069】
この方法のさらなる前進である図2は、第1液体流れを精製して、酢酸、ギ酸、レブリン酸、フルフラール、5−HMF、フェノール性化合物のような阻害物質およびより一般的には、前のステップで形成され得る任意の望ましくない生成物をさらにより除去することである。これらの化合物のいくつかは、フラッシングにより除去可能であり、これは、圧搾の後の流れの温度および圧力を利用するために好ましい方法である。
【0070】
例えば、第1液体流れ(温度:185℃、飽和液体相)を、従来の条件を用いて大気圧までフラッシュさせた。0.1グラムのフルフラール、2グラムの酢酸、0.1グラムのギ酸および82グラムの水を含む100グラムの供給流れをフラッシュさせると、0.045グラのフルフラール、0.024グラムの酢酸、0.06グラムのギ酸および14.7グラムの水が除去された。このことは、45%のフルフラール、12%の酢酸、6%のギ酸および17%の水が、いずれのさらなる操作コストも要さず、糖類のいずれの損失もなく除去されたことを意味する。
【0071】
フラッシュステップの別の利点は、精製液体流れ11中の糖類が濃縮されることである。
【0072】
フラッシュプロセスにおいて、分離における圧搾からの圧力を、物質をフラッシュタンクへ移し、揮発性物質を除去するまで維持することが好ましい。第1液体流れの精製は、ここでもまた、いずれのその他の既知の技術(例えば水蒸気ストリッピング)およびまだ発明されていないおそらくはいくつかのものにより行うことができる。この第1精製物質は、第1精製物質流れ11中で見出すことができ、次いで、第2固体流れ10と併合される。
【0073】
まださらなる洗練が図3に示され、これは、任意選択の洗浄廃液である第3液体流れ8を第2精製液体流れ12に精製し、次いで、これを第2固体流れ10と併合する。揮発性物質の性質により、いずれのその他の方法または既知の技術およびまだ発明されていないおそらくはいくつかのものを利用することができるが、従来の方法または従来のものでない方法を用いる水蒸気ストリッピングが、好ましいアプローチであると考えられる。
【0074】
可能であれば、その組成に基づいて、水蒸気爆砕からの水蒸気を用いて、水蒸気ストリッピングを行うことが好ましい。
【0075】
同様に、図3を参照して、第2液体流れ9を精製して第2精製液体流れ13中の第2精製液体を創出し、これを第2固体流れ10中の物質と併合することができる。ここでもまた、既知の属性に鑑みて、水蒸気ストリッピングが好ましい解決法であると考えられる。
【0076】
水蒸気ストリッピングは一般的であるので、この方法の好ましい実施形態は、第2および第3液体流れを同じユニットにおいて水蒸気ストリッピングすると考えられる。第1精製液体流れについても、一般的にフラッシングの後に、水蒸気ストリッピングが好ましいとも考えられる。よって、別の実施形態は、液体流れが同じユニットで精製され、好ましくは水蒸気ストリッピングされて精製流れ14を生成し、これが次いで第2固体流れ10と併合される図4である。
【0077】
可能であれば、その組成に基づいて、水蒸気爆砕からの水蒸気を、いずれの水蒸気ストリッピングを行うために用いてもよい。
【0078】
例えば、水蒸気爆砕により生成される全ての水蒸気を利用して行われる精製ステップが、第1液体流れ5の大気中フラッシュステップと、得られる液体の後続の水蒸気ストリッピングステップとからなる図2に示す方法において、第1液体流れ5に含まれる30%の水、80%の酢酸、85%のフルフラールおよび65%のギ酸が除去される。
【0079】
原料およびバイオマスの種類に依存してさらなる精製が必要とされる場合には、精製流れ14を、活性炭、活性炭素、モレキュラーシーブまたはメンブレンのような別のプロセス図5を用いてさらに精製して、流れ15を生成できる。精製流れは、水含量が高いことが予測されるので、加水分解反応物を濃縮して水を除去することが望ましいと考えられ、よって、濃縮ステップが、好ましい実施形態である図6について有用であると考えられる。水濃縮ステップは、煮沸、結晶化のような既知の技術のいずれか1つであり得る。濃縮ステップ中に、揮発性阻害物質がいくらか除去される。濃縮ステップの後に、流れ16を流れ10中の物質と併合する。
【0080】
以下のデータにおいて示すように、この方法の種々のステップが、加水分解反応の効率を増加させた。
【0081】
考察
前処理の優位性は、実施例5〜6に示す結果を対照実施例1、2、3および4と比較することにより理解できる。
【0082】
前処理におけるキシラン画分から生じる阻害物質の量は、連続水蒸気爆砕法において生じるものよりもかなり低い。
【0083】
アルンドを用いて、原材料中に存在する1.3%のキシランだけが前処理により阻害物質化合物に分解される(実施例5)が、水蒸気爆砕法においては、19.3%(実施例1)および63.8%(実施例2)が阻害物質化合物に分解される。
【0084】
同様の挙動が、アルンドを用いるグルカン分解について観察される。原材料中に存在する0.1%のグルカンだけが、前処理を用いて阻害物質化合物に分解される(実施例5)が、水蒸気爆砕法においては、1.9%(実施例1)および4.5%(実施例2)が阻害物質化合物に分解される。
【0085】
モロコシを用いて、原材料中に存在する0.97%のキシランだけが前処理により阻害物質化合物に分解される(実施例6)が、水蒸気爆砕においては、61.7%(実施例3)および94.9%(実施例4)が阻害物質化合物に分解される。
【0086】
同様の挙動が、アルンドを用いるグルカン分解について観察される。原材料中に存在する0.1%のグルカンだけが前処理により阻害物質化合物に分解される(実施例6)が、水蒸気爆砕法においては、8.0%(実施例3)および9.5%(実施例4)が阻害物質化合物に分解される。
【0087】
発酵性糖(可溶化キシランおよびグルカンの合計)の可溶化の全体の収率は、前処理の別の利点である。
【0088】
91.2%の発酵性糖(可溶化キシランおよびグルカンの合計)の点での全体の収率が、前処理を用いる酵素加水分解の後にモロコシを用いて得られ(実施例5)、これは、従来の水蒸気爆砕を用いて得られる値からは著しくより高い(実施例1において65.9%および実施例2において69.0%)。
【0089】
91.3%の発酵性糖(可溶化キシランおよびグルカンの合計)の点での全体の収率が、前処理を用いる酵素加水分解の後にアルンドを用いて得られ(実施例6)、これは、従来の水蒸気爆砕を用いて得られる値からは著しくより高い(実施例3において56.0%および実施例4において50.6%)。
【0090】
実験のまとめ
アルンドおよびモロコシを、異なる前処理法に供した。従来の連続水蒸気爆砕を、浸漬プロセスと後続の水蒸気爆砕プロセスとからなる前処理と比較した。
【0091】
前処理において、浸漬プロセスから生じる液体画分を、唯一の流れとして再循環する。
【0092】
浸漬プロセスにおいて、ヘミセルロース画分の大部分の可溶化が生じる。より穏やかな操作条件により、この方法において生じる阻害物質の量は低い。
【0093】
浸漬物質を、次いで、液体画分(約62%)を除去するために圧搾プロセスに供する。
【0094】
固体画分を、次いで、水蒸気爆砕処理に供し、ここでは、残存ヘミセルロースの可溶化と、セルロース画分の分解が生じる。
【0095】
浸漬プロセスで生じる液体画分を、洗練プロセスに供し、次いで、水蒸気爆砕物質に再循環する。
【0096】
前処理により、前処理区画を離れる流れ中の阻害物質がより少なく、従来の水蒸気爆砕前処理と比較した場合に結果的に発酵性糖の損失がより低く、前処理された物質への酵素の近づきやすさが増加する。
【0097】
従来の水蒸気爆砕および前処理からの前処理された物質を、酵素の近づきやすさを評価するために酵素加水分解に供した。
【0098】
方法全体の収率を、前処理方法に入る原材料の組成から出発して、プロセス物質収支ならびにグルカンおよびキシランについての酵素加水分解収率を考慮して算出した。
【実施例1】
【0099】
アルンドは、以下の組成を有する:37.5%グルカン、19.3%キシラン、5.8%アセチル基、22.6%クラソンリグニン、6.3%灰分、8.5%抽出物。
【0100】
アルンドを、200℃にて6分間の連続水蒸気爆砕(Stake Tech反応器)に供した。この前処理は、70.6%のキシランおよび8.6%のグルカンの可溶化を導く。19.3%のキシランが、阻害物質化合物(フルフラールおよびその他の分解生成物)に分解され、1.9%のグルカンが、阻害物質化合物(HMFおよびギ酸)に分解された。
【0101】
組成を溶剤、可溶性固体、不溶性固体にまとめることができる前処理された物質のある量を、実験室発酵槽に加える。溶剤(水、緩衝剤、抗菌溶液)および触媒溶液をこの物質に加え、全固体含量を7.5%にする。触媒溶液は、前処理されたアルンドについてグルカン1gあたり60FPUおよびキシラン1gあたり109FXUの活性を有すると算出される。
【0102】
酵素加水分解に入る流れの組成を、表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】
酵素加水分解の後に、プロセスの液体および固体画分を、グルカンおよびキシランの可溶化の収率を計るために分析した。酵素加水分解プロセスにおいて、グルカン可溶化収率は71%であり、キシラン可溶化収率は84%であった。
【0105】
方法全体の収率を、前処理方法に入る原材料の組成から出発して、プロセス物質収支ならびにグルカンおよびキシランについての酵素加水分解収率を考慮して算出した。
【0106】
プロセス可溶化収率は、グルカンについて69.3%と算出され、プロセス可溶化収率は、キシランについて59.3%と算出された。原材料中に存在するグルカンおよびキシランの合計に対する全体の可溶化収率は、この方法において65.9%と算出された。アルンドについての全体の収率は、表2にある。
【0107】
【表2】
【実施例2】
【0108】
アルンドは、以下の組成を有する:37.5%グルカン、19.3%キシラン、5.8%アセチル基、22.6%クラソンリグニン、6.3%灰分、8.5%抽出物。
【0109】
アルンドを、215℃にて6分間の連続水蒸気爆砕(Stake Tech反応器)に供した。この前処理は、90.8%のキシランおよび7.1%のグルカンの可溶化を導く。63.8%のキシランが、阻害物質化合物(フルフラールおよびその他の分解生成物)に分解され、4.5%のグルカンが、阻害物質化合物(HMFおよびギ酸)に分解された。
【0110】
組成を溶剤、可溶性固体、不溶性固体にまとめることができる前処理された物質のある量を、実験室発酵槽に加える。溶剤(水、緩衝剤、抗菌溶液)および触媒溶液をこの物質に加え、全固体含量を7.5%にする。触媒溶液は、前処理されたアルンドについてグルカン1gあたり60FPUおよびキシラン1gあたり248FXUの活性を有すると算出される。
【0111】
酵素加水分解に入る流れの組成を、表3に示す。
【0112】
【表3】
【0113】
酵素加水分解の後に、プロセスの液体および固体画分を、グルカンおよびキシランの可溶化の収率を計るために分析した。酵素加水分解プロセスにおいて、グルカン可溶化収率は82%であり、キシラン可溶化収率は99%であった。
【0114】
方法全体の収率を、前処理方法に入る原材料の組成から出発して、プロセス物質収支ならびにグルカンおよびキシランについての酵素加水分解収率を考慮して算出した。
【0115】
プロセス可溶化収率は、グルカンについて87.8%と算出され、プロセス可溶化収率は、キシランについて35%と算出された。原材料中に存在するグルカンおよびキシランの合計に対する全体の可溶化収率は、この方法において69.0%と算出される。
【0116】
アルンドについての全体の収率は、表4にある。
【0117】
【表4】
【実施例3】
【0118】
ファイバーソルガムは、以下の組成を有する:35.8%グルカン、20.0%キシラン、5.61%アセチル基、17.3%クラソンリグニン、6.4%灰分、14.8%抽出物。
【0119】
裁断したモロコシを、200℃にて6分間の連続水蒸気爆砕(Stake Tech反応器)に供した。この前処理は、86.6%のキシランおよび25.5%のグルカンの可溶化を導く。61.7%のキシランが、阻害物質化合物(フルフラールおよびその他の分解生成物)に分解され、8.0%のグルカンが、阻害物質化合物(HMFおよびギ酸)に分解された。
【0120】
組成を溶剤、可溶性固体、不溶性固体にまとめることができる前処理された物質のある量を、実験室発酵槽に加える。溶剤(水、緩衝剤、抗菌溶液)および触媒溶液をこの物質に加え、全固体含量を7.5%にする。触媒溶液は、前処理されたモロコシについてグルカン1gあたり60FPUおよびキシラン1gあたり220FXUの活性を有すると算出される。
【0121】
酵素加水分解に入る流れの組成を、表5に示す。
【0122】
【表5】
【0123】
酵素加水分解の後に、プロセスの液体および固体画分を、グルカンおよびキシランの可溶化の収率を計るために分析した。酵素加水分解プロセスにおいて、グルカン可溶化収率は77%であり、キシラン可溶化収率は85%であった。
【0124】
方法全体の収率を、前処理方法に入る原材料の組成(表1)から出発して、プロセス物質収支ならびにグルカンおよびキシランについての酵素加水分解収率を考慮して算出した。
【0125】
プロセス可溶化収率は、グルカンについて70.8%と算出され、プロセス可溶化収率は、キシランについて32.1%と算出された。原材料中に存在するグルカンおよびキシランの合計に対する全体の可溶化収率は、この方法において56.0%と算出される。
【0126】
モロコシについての全体の収率は、表6にある。
【0127】
【表6】
【実施例4】
【0128】
ファイバーソルガムは、以下の組成を有する:35.8%グルカン、20.0%キシラン、5.61%アセチル基、17.3%クラソンリグニン、6.4%灰分、14.8%抽出物。
【0129】
裁断したモロコシを、207℃にて6分間の連続水蒸気爆砕(Stake Tech反応器)に供した。この前処理は、94.9%のキシランおよび23.4%のグルカンの可溶化を導く。86.3%のキシランが、阻害物質化合物(フルフラールおよびその他の分解生成物)に分解され、9.5%のグルカンが、阻害物質化合物(HMFおよびギ酸)に分解された。
【0130】
組成を溶剤、可溶性固体、不溶性固体にまとめることができる前処理された物質のある量を、実験室発酵槽に加える。溶剤(水、緩衝剤、抗菌溶液)および触媒溶液をこの物質に加え、全固体含量を7.5%にする。触媒溶液は、前処理されたモロコシについてグルカン1gあたり60FPUおよびキシラン1gあたり248FXUの活性を有すると算出される。
【0131】
酵素加水分解に入る流れの組成を、表7に示す。
【0132】
【表7】
【0133】
酵素加水分解の後に、プロセスの液体および固体画分を、グルカンおよびキシランの可溶化の収率を計るために分析した。酵素加水分解プロセスにおいて、グルカン可溶化収率は79%であり、キシラン可溶化収率は99%であった。
【0134】
方法全体の収率を、前処理方法に入る原材料の組成から出発して、プロセス物質収支ならびにグルカンおよびキシランについての酵素加水分解収率を考慮して算出した。
【0135】
プロセス可溶化収率は、グルカンについて71.5%と算出され、プロセス可溶化収率は、キシランについて13.4%と算出された。原材料中に存在するグルカンおよびキシランの合計に対する全体の可溶化収率は、この方法において50.60%と算出される。
【0136】
モロコシについての全体の収率は、表8にある。
【0137】
【表8】
【実施例5】
【0138】
アルンドは、以下の組成を有する:37.5%グルカン、19.3%キシラン、5.8%アセチル基、22.6%クラソンリグニン、6.3%灰分、8.5%抽出物。
【0139】
アルンドを、160℃にて100分間のバッチ浸漬プロセスに供し、ここで、原材料の最初の可溶化が生じた。固体相および液体相がこのプロセスで生じた。固体相を、200℃にて8分間のバッチ水蒸気爆砕前処理に供した。浸漬プロセスで生じた液体相を、次いで、水蒸気爆砕物質に再循環した。
【0140】
この前処理は、81.2%のキシランおよび3.7%のグルカンの可溶化を導く。1.3%のキシランが、阻害物質化合物(フルフラールおよびその他の分解生成物)に分解され、0.1%のグルカンが、阻害物質化合物(HMFおよびギ酸)に分解された。
【0141】
組成を溶剤、可溶性固体、不溶性固体にまとめることができる前処理された物質のある量を、実験室発酵槽に加える。溶剤(水、緩衝剤、抗菌溶液)および触媒溶液をこの物質に加え、全固体含量を7.5%にする。触媒溶液は、前処理されたアルンドについてグルカン1gあたり34FPUおよびキシラン1gあたり68FXUの活性を有すると算出される。
【0142】
酵素加水分解に入る流れの組成を、表9に示す。
【0143】
【表9】
【0144】
方法全体の収率を、前処理方法に入る原材料の組成(表1)から出発して、プロセス物質収支ならびにグルカンおよびキシランについての酵素加水分解収率を考慮して算出した。
【0145】
プロセス可溶化収率は、グルカンについて87.4%と算出され、プロセス可溶化収率は、キシランについて97.5%と算出された。原材料中に存在するグルカンおよびキシランの合計に対する全体の可溶化収率は、この方法において91.2%と算出される。
【0146】
アルンドについての全体の収率は、表10にある。
【0147】
【表10】
【実施例6】
【0148】
ファイバーソルガムは、以下の組成を有する:35.8%グルカン、20.0%キシラン、5.61%アセチル基、17.3%クラソンリグニン、6.4%灰分、14.8%抽出物。
【0149】
ファイバーソルガムを、180℃にて25分間のバッチ浸漬プロセスに供し、ここで、原材料の最初の可溶化が生じた。固体相および液体相がこのプロセスで生じた。固体相を、200℃にて8分間のバッチ水蒸気爆砕前処理に供した。浸漬プロセスで生じた液体相を、次いで、水蒸気爆砕物質に再循環した。
【0150】
この前処理は、63.6%のキシランおよび6.3%のグルカンの可溶化を導く。0.97%のキシランが、阻害物質化合物(フルフラールおよびその他の分解生成物)に分解され、0.1%のグルカンが、阻害物質化合物(HMFおよびギ酸)に分解された。
【0151】
組成を溶剤、可溶性固体、不溶性固体にまとめることができる前処理された物質のある量を、実験室発酵槽に加える。溶剤(水、緩衝剤、抗菌溶液)および触媒溶液をこの物質に加え、全固体含量を7.5%にする。触媒溶液は、前処理されたモロコシについてグルカン1gあたり34FPUおよびキシラン1gあたり59FXUの活性を有すると算出される。
【0152】
酵素加水分解に入る流れの組成を、表11に報告する。
【0153】
【表11】
【0154】
方法全体の収率を、前処理方法に入る原材料の組成(表1)から出発して、プロセス物質収支ならびにグルカンおよびキシランについての酵素加水分解収率を考慮して算出した。
【0155】
プロセス可溶化収率は、グルカンについて87.8%と算出され、プロセス可溶化収率は、キシランについて97.8%と算出された。原材料中に存在するグルカンおよびキシランの合計に対する全体の可溶化収率は、この方法において91.3%と算出される。
【0156】
モロコシについての全体の収率は、表12にある。
【0157】
【表12】
【0158】
表13および14は、供給の流れの分析を示し、これらは、図1に記載する方法の種々の段階を通して、表に記載される条件下で、本明細書中の装置を用いて採取された。
【0159】
【表13】
【0160】
【表14】
【0161】
以下の2つの系列の実験15および16は、それぞれコムギのわらおよびアルンドについての連続プロセスで行われた。いくつかの組成物はフルフラールを含まず、これは、水蒸気爆砕の後の蒸気の流れの中にフルフラールを保持する過剰量の水蒸気により引き起こされたと考えられる。
【0162】
【表15A】
【表15B】
【表15C】
【表15D】
【表15E】
【0163】
【表16A】
【表16B】
【表16C】
【表16D】
【0164】
酵素加水分解手順
この手順は、最大酵素負荷に基づく所与の前処理の効率を測定するために用いる。
【0165】
この手順は、可能な最大程度の消化能力を決定するための、天然または前処理したリグノセルロースバイオマスからグルコースおよびキシロースへのセルロースおよびヘミセルロースの酵素による糖化を記載する(商業的に入手可能かまたは社内で製造したセルラーゼ調製物の飽和レベルおよび1週間までの加水分解期間を用いる)。
【0166】
前処理されたバイオマス−摩砕、水もしくは水蒸気、強酸もしくは希酸または強アルカリもしくは希アルカリでの化学処理、あるいはその他の物理的または化学的な方法に供して、物質の含有セルロースに酵素作用がより近づきやすくなるようにしたバイオマス。
【0167】
セルラーゼ酵素−3つ全ての共動のセルロース分解活性、すなわちエンド−1,4−β−D−グルカナーゼ、エキソ−1,4−β−グルコシダーゼまたはβ−D−グルコシダーゼ活性を示す酵素調製物(これらの活性は、異なるセルラーゼ調製物中で異なる程度で提示される)。
【0168】
前処理された物質を、3リットル発酵槽(Infors HT、Labfors3)中での酵素加水分解(EH)のために用いた。EHを、7.5%固体濃度にて、商業的な酵素溶液を用いて行った。温度およびpHは45℃および5.0に維持し、撹拌機は400rpmに維持した。
【0169】
組成を溶剤、可溶性固体、不溶性固体にまとめることができる前処理された物質のある量を、実験室発酵槽に加える。溶剤(水、緩衝剤、抗菌溶液)および触媒溶液をこの物質に加え、全固体含量を7.5%にする。触媒溶液は、セルロース1gあたりのFPUで表して34の活性を有すると算出される。
【0170】
触媒組成は、以下の表に示す。
【0171】
【表17】
【0172】
pHは、緩衝液または塩基もしくは酸の溶液を加えることにより所望の値に維持する。
【0173】
液体画分の一定量を、異なる時間に採取し、糖(グルコース、キシロースおよびセロビオース)含量について分析する。反応の最後の固体相を回収する。固体相の一定量を3倍容量の水で50℃にて3回洗浄する。洗浄の間に、固体に吸着した全ての可溶性画分が除去される。洗浄した固体を、次いで、湿気および72%のHSOを用いる定量酸加水分解に供し、その後、標準的な方法(NREL)に供してその組成を定量する。
【0174】
試薬
7.1試薬
アジ化ナトリウム(蒸留水中に20mg/ml)
既知の活性のセルラーゼ酵素複合体、FPU/mL。
既知の活性の既知のキシラナーゼ酵素、FXU/mL
【0175】
分析による決定
原材料を、湿気および抽出物決定に供し、72%のHSOを用いる定量酸加水分解とその後の標準的な方法(NREL/TP−510−42618、NREL/TP−510−42619、NREL/TP−510−42622)に供した。加水分解後の固体残渣をろ過により回収して、クラソンリグニンとみなした。加水分解物を、単糖類(セルロースに由来するグルコース;ヘミセルロースに由来するキシロースおよびアラビノース)および酢酸(アセチル基に由来)についてHPLCにより分析した。クロマトグラフィーによる決定を、イオン交換樹脂Biorad Aminex HPX−87Aカラムを備えるDionex P680A_LPGを、以下の条件下で用いて行った:移動相、0.05mol/Lの硫酸;流速0.6ml/分;およびカラム温度65℃。
【0176】
試料の水分含量を、105℃にて一定重量までオーブン乾燥することにより決定した。
【0177】
前処理の後に、固体残渣をろ過により回収し、水で洗浄し、風乾し、収率決定のために秤量した。前処理からの固体残渣の一定量を、流れの洗浄された固体画分に用いる原材料分析についてと同じ方法を用いて組成についてアッセイした。
【0178】
試料の不溶性固体含量を、以下の標準的な方法により決定した(NREL/TP−510−42627)。
【0179】
浸漬から出た液体相および水蒸気爆砕物質に付随する液体相の一定量を、一定重量までオーブン乾燥して、不揮発性固体の含量を決定した(NREL/TP−510−42621)。
【0180】
液を、単糖、フルフラール、ヒドロキシメチルフルフラールおよび酢酸の直接HPLC決定のために用いた。液の一定量を、4%(w/w)のHSOを121℃にて60分間用いる定量酸加水分解に供した後に、HPLC分析した(NREL/TP−510−42623)。グルコオリゴ糖、アラビノオリゴ糖、キシロオリゴ糖の濃度を、液の加水分解後にHPLCにより分析して、グルコース、キシロースおよびアラビノースの濃度の増加から算出した(NREL法)。
【0181】
NREL分析法
バイオマス中の構造炭水化物およびリグニンの決定
Laboratory Analytical Procedure(LAP)発行日:2008年4月25日
Technical Report NREL/TP−510−42618 2008年4月改訂
【0182】
バイオマス中の抽出物の決定
Laboratory Analytical Procedure(LAP)発行日:2005年7月17日
Technical Report NREL/TP−510−42619 2008年1月
【0183】
組成分析のための試料の調製
Laboratory Analytical Procedure(LAP)発行日:2005年9月28日
Technical Report NREL/TP−510−42620 2008年1月
【0184】
バイオマス中の全固体および液体プロセス試料中の全可溶化固体の決定
Laboratory Analytical Procedure(LAP)発行日:2008年3月31日
Technical Report NREL/TP−510−42621 2008年3月改訂
【0185】
バイオマス中の灰分の決定
Laboratory Analytical Procedure(LAP)発行日:2005年7月17日
Technical Report NREL/TP−510−42622 2008年1月
【0186】
液体画分プロセス試料中の糖類、副生成物および分解生成物の決定
Laboratory Analytical Procedure(LAP)発行日:2006年12月8日
Technical Report NREL/TP−510−42623 2008年1月
【0187】
前処理されたバイオマス物質中の不溶性固体の決定
Laboratory Analytical Procedure(LAP)発行日:2008年3月21日
NREL/TP−510−42627 2008年3月
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9