特許第5666565号(P5666565)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5666565スペースキャリアビークルを形成するスペースマザープローブ及び複数のスペースドータープローブからなるシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666565
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】スペースキャリアビークルを形成するスペースマザープローブ及び複数のスペースドータープローブからなるシステム
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/10 20060101AFI20150122BHJP
   B64G 1/64 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
   B64G1/10
   B64G1/64 B
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-510231(P2012-510231)
(86)(22)【出願日】2010年5月7日
(65)【公表番号】特表2012-526694(P2012-526694A)
(43)【公表日】2012年11月1日
(86)【国際出願番号】EP2010056251
(87)【国際公開番号】WO2010130651
(87)【国際公開日】20101118
【審査請求日】2013年4月26日
(31)【優先権主張番号】0953131
(32)【優先日】2009年5月12日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507142096
【氏名又は名称】アストリウム.ソシエテ.パ.アクシオンス.シンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100123869
【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良隆
(72)【発明者】
【氏名】バレンボア.クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】レーン.ロベール.アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】サンベリー.ザヴィエ
【審査官】 黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05765784(US,A)
【文献】 米国特許第05152482(US,A)
【文献】 米国特許第05605308(US,A)
【文献】 米国特許第05199672(US,A)
【文献】 米国特許第05271582(US,A)
【文献】 米国特許第05350137(US,A)
【文献】 特開2000−185699(JP,A)
【文献】 特開平08−164899(JP,A)
【文献】 特表2006−525191(JP,A)
【文献】 特開2001−055200(JP,A)
【文献】 特開2002−046700(JP,A)
【文献】 米国特許第05178347(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/10
B64G 1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペースキャリアビークル(1)を形成するマザープローブと、前記マザープローブの長手軸(A)に沿って整列した複数のドータープローブ(2a、2b、2c)とを備えるシステムであって、前記複数のドータープローブの前記マザープローブに対するアタッチメントは複数のプローブ支持環状セグメント(5a、5b、5c)によって具体化され、前記複数のプローブ支持環状セグメントの各々がドータープローブを取付けるための環状カラー(3a、3b、3c)を備え、前記複数のドータープローブと前記複数の環状セグメントとを備える複数の基本モジュールを、前記キャリアビークルの前記長手軸に沿って積層するシステム。
【請求項2】
前記プローブ支持環状セグメントの少なくとも幾つかが前記複数のドータープローブを保護するための外側円筒形フード要素(4a、4b)を備える請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
少なくとも1つの円筒形フード要素(4a)は、前方のドータープローブ(2a)を保護するように保持する環状セグメント(5b)の環状カラー(3b)との関係で配向され、前記カラーが後方のドータープローブ(2b)の取付けを確実に行うように配向される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
少なくとも1つの中間にあるプローブ支持環状セグメントは、前記後方のプローブ側に、後方の環状セグメントを取付けるための前記円筒形フード要素の延長部(6)を備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
少なくとも第1の環状セグメントが、前記スペースキャリアビークルに固定され、第2のプローブ支持環状セグメントの円筒形フード要素を取付けるための環状縁部(7)を備える、請求項2〜4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
最後の環状セグメント(5c)が、それ自体が支持する前記プローブを露出させておく、請求項2〜5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記環状カラー(3a、3b、3c)が略テーパ形状であり、前記ドータープローブアタッチメントが前記複数のカラーの内側環状縁部上に嵌合される、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数のドータープローブが前記カラーに重なり合う円錐形後方キャップ(8)を備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数のドータープローブが前記キャリアビークル(1)の前方に配置される、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数のドータープローブの連続的切り離しが、前記複数の環状カラーと前記複数のドータープローブのインターフェースのレベルにあるスラスト機構(14)によって前記複数のドータープローブを前方に押し出すことによって行われる、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも1機のドータープローブの切り離しに続いてその支持環状セグメントの切り離しが行われる、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
少なくとも数個の環状セグメントには前記複数のドータープローブ用熱制御ラジエータ(10)が嵌合されている、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記マザープローブが前記複数のドータープローブの少なくとも幾つかの熱制御を確実に行うように構成された手段からなる、請求項1から12のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペースキャリアビークルを形成するスペースマザープローブ及び複数のスペースドータープローブを備えるシステム、及び前記スペースキャリアビークルを形成する前記スペースマザープローブ上の前記複数のスペースドータープローブのアセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の技術分野は、宇宙分野であって、特に、単一のスペースキャリアビークルから切り離されるべき数個のプローブを運搬するというスペースミッションである。
【0003】
1機のランチャーから数個の人工衛星を切り離すという問題は既知であり、特に、特許文献1〜4は、ランチャーがその長手軸周りに配置された衛星クラスターを備えるアセンブリに関する。
【0004】
前記アセンブリは、多数の人工衛星を素早く切り離すように構成されているが、複数のスペースプローブを切り離すためには方向と前記長手軸周りの角回転の点で前記キャリアビークルの大幅な軌道補正が必要であるため、そのような複数のスペースプローブを切り離すようには構成されていない。
【0005】
特許文献5では、1機のランチャー上の複数の人工衛星のアセンブリを単純化しており、補助装置を支持する放物面形状構造を有する複数の人工衛星を提供するので、前記人工衛星の放物面形状構造によって、分離可能なキャップの下で前記ランチャーの長手軸に沿って前記人工衛星同士が積層可能である。
【0006】
特許文献6では、ドータープローブのクラスターを掛着させたスペースキャリアビークルを記述している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5152482号明細書
【特許文献2】米国特許第5605308号明細書
【特許文献3】米国特許第5199672号明細書
【特許文献4】米国特許第5271582号明細書
【特許文献5】米国特許第5350137号明細書
【特許文献6】米国特許第5765784号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
複数のドータープローブ又は複数の着陸モジュールは、キャリアビークル周りに配置され、従って、それぞれ分離方向が異なり、分離オペレーション中のシステムの対称性においてばらつきを生じる。
【0009】
この場合、各降下モジュールを正しい向きにするために、それぞれの分離前に前記スペースキャリアビークルの姿勢を修正する必要がある。
【0010】
加えて、このタイプの構成では、前記キャリアビークルに関して複雑な構造が必要になるだけでなく、前記キャリアビークル/プローブアセンブリの直径が非常に大きくなる。更に、前記システムの対称性のばらつきによって、切り離しプロセスの進行に従って手順が複雑になるだけでなく、必要な燃料の量と前記ランチャーの質量が増加する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、2回の連続する分離の間に遂行すべきスペースビークルの操作を最小限にしながら姿勢を合わせることによって、且つ2回の連続するミッションに関する再設計作業又は構成が変化した場合の再設計作業を最小限にすることによって、惑星間飛行後にスペースビークル又はマザープローブから数個の降下モジュールを分離可能にするシステムに関する。
【0012】
このような意味で、前記マザープローブによって形成された前記スペースビークルは、それ自体、惑星間飛行するよう構成され、その全宇宙飛行を通して地球とデータ通信するよう構成され、且つ、場合によっては、前記宇宙飛行中に前記複数のドータープローブの温度及びストレージパラメータを調整するように構成されたプローブである。
【0013】
より正確には、本発明は、スペースキャリアビークルを形成するマザープローブと、そのマザープローブの長手軸に沿って整列した複数のドータープローブとを備えるシステムであって、前記複数のドータープローブの前記マザープローブに対するアタッチメントは複数のプローブ支持環状セグメントによって具体化され、前記複数のプローブ支持環状セグメントのそれぞれがドータープローブを取付けるための環状カラーを備えるシステムを提供する。
【0014】
前記マザープローブは、ある惑星から別の惑星へと移動するように構成され且つ前記複数のドータープローブを運搬するよう構成されたスペースプローブである。
【0015】
好適な実施形態によれば、前記複数のプローブ支持環状セグメントのうちの少なくとも幾つかは、前記複数のドータープローブを保護するための外側円筒形フード要素を備え、この構成によって前記複数のドータープローブの熱制御システムの設計が更に容易になる。
【0016】
好ましくは、少なくとも1つの前記円筒形フード要素が、前方のドータープローブを保護するためにその要素を保持する前記プローブ支持環状セグメントの前記環状カラーとの関係で配向され、前記カラーは後方のドータープローブのアタッチメントを確保するように配向される。
【0017】
より正確には、少なくとも1つの中間のプローブ支持環状セグメントが、前記後方のプローブ側に、後方の環状セグメントを取付けるための前記円筒形フード要素の延長部を備える。
【0018】
本発明の前記システムは、更に、第1の環状セグメントが、前記スペースキャリアビークルに固定され、且つ第2のプローブ支持環状セグメントの円筒形フード要素を取付けるための環状縁部を備えるようなものでもよい。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、最後の環状セグメントは、それが支持する前記ドータープローブを露出したままにする。
【0020】
前記複数の環状カラーは、有利には略テーパ形状であり、前記複数のドータープローブのアタッチメントは、前記複数の環状カラーの内側環状縁部に嵌合される。
【0021】
そのような場合、好ましくは前記複数のドータープローブは前記カラーに重なり合う円錐形後方キャップからなる。
【0022】
前記複数のドータープローブは有利には前記キャリアビークルの前方に配置される。
【0023】
本発明によれば、前記複数のドータープローブの連続的切り離しは、前記複数の環状カラーと前記複数のドータープローブのインターフェースにあるスラスト機構よって前記複数のドータープローブを前方に押し出すことによって行われる。
【0024】
少なくとも1機のドータープローブの切り離しに続いてその支持環状セグメントの切り離しが行われる。
【0025】
本発明の具体的な態様によれば、少なくとも数個の前記環状セグメントが前記複数のドータープローブ用の熱制御ラジエータを備える。
【0026】
本発明のその他の特徴及び利点は、本明細書に続いて以下に示す図面を参照する本発明の限定的実施形態の一例を読むことでより良く理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明のシステムを一部断面で示す概略斜視図である。
図2図1の本システムの分解図である。
図3A】1回目の切り離し前の図1の本システムを示す斜視図である。
図3B】1回目の切り離し中の図1の本システムの図である。
図4A】1回目の中間構造の切り離し中の図1の本システムの図である。
図4B】2回目の切り離しに備えて位置決めされた図1の本システムの図である。
図4C】2回目の切り離し中の図1の本システムの図である。
図5A】2回目の中間構造の切り離し中の図1の本システムの図である。
図5B】3回目の切り離しに備えて位置決めされた図1の本システムの図である。
図5C】3回目の切り離し中の図1の本システムの図である。
図6図1の本システムの長手断面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、例えば、スペースプローブ等の宇宙輸送モジュールが、数個のランディングモジュールを研究対象の惑星に向かって運搬するというスペースミッションだけでなく、ある天体の軌道を回るように意図された数個のドータープローブを運搬するスペースミッションにも適用される。
【0029】
このようなプローブは、1個以上の人工衛星を軌道に乗せるように機能し且つその動作時間が打ち上げ後数分又は最大でもほんの数時間に限られる単純なランチャーとは異なる。
【0030】
図1及び図2は本発明のシステムの全体を示している。
【0031】
本システムは、ソーラーパネル11と、電子ガイド及び通信システムと、スペースマザープローブを数ヶ月又は数年の宇宙飛行の間使用可能状態に維持するように構成された調整システムとを備える前記スペースマザープローブによって構成されるスペースキャリアビークル1を備える。
【0032】
そのスペースキャリアビークルをガイドするため、前記マザープローブは複数の姿勢及び推進調節ノズル12を更に備える。
【0033】
前記マザープローブ上には複数のドータープローブ2a、2b、2cが配置され、本発明によれば、複数のドータープローブ2a、2b、2cはキャリアビークルを構成する前記マザープローブの長手軸Aに沿って整列する。
【0034】
アセンブリを単純且つコンパクトにする観点から、前記マザープローブによって形成されるキャリアビークルへの前記複数のドータープローブの取付けは、複数のプローブ支持環状セグメント5a、5b、5cによって行われ、そのプローブ支持環状セグメントの各々はプローブを取付けるための環状カラー3a、3b、3cを備える。
【0035】
本発明のシステムは、上記のように設計されるので、前記アセンブリの重心が前記各プローブの整列軸に近接し、それによって連続するプローブ切り離しプロセスの間の前記アセンブリの姿勢という障害を減少する。
【0036】
更に、プローブ同士の質量が異なる場合であっても、前記アセンブリがバランスを取るのが容易であることは変わらない。
【0037】
プローブを推進すべき速度のおおまかな目標は、約11.5km/秒に相当し、それは、人工衛星へ与えられる速度よりもかなり大きい。例えば、地球から400kmの低い軌道の人工衛星の場合、その速度は、約7.5km/秒である。
【0038】
エネルギーは速度の二乗に応じて変化するので、プローブは人工衛星に比べてはるかに質量の影響を受けやすい。
【0039】
図2は、前記軸Aに沿って本システムを分解したものを示し、前記キャリアビークル1側の前方ドータープローブから後方ドータープローブの方向へ前記キャリアビークルから離れる方向に一直線上に積層した状態の前記複数のドータープローブが見られる。分かりやすいように、前記キャリアビークルの前方とは、前記複数のドータープローブの切り離し中に前記軌道の前方に見られる部分を指すものとする。
【0040】
従って、本発明の原理は、前記複数のドータープローブと前記複数の環状セグメントとを備える複数の基本モジュールを前記マザープローブによって構成されるキャリアビークルの軸に沿って積層することである。
【0041】
前記複数のドータープローブは、特に、観察対象の惑星に設置されることを目的とする降下モジュールでもよいが、前記マザープローブは前記惑星の周りを回る軌道に留まるものとする。
【0042】
前記複数のドータープローブは、前記キャリアビークル1の前方に配置され、ほぼ一定の方向に次々に連続して切り離されるが、前方プローブ又はモジュールを分離する前に、後方プローブの前記運搬構造体から中間分離される。
【0043】
前記ビークルの正面は、前記ドータープローブの切り離し段階の当該ビークルの向きによって決まる。
【0044】
図3A乃至図5Cは、前記キャリアモジュールを構成する前記マザープローブから全ての前記ドーターブローブを続けて分離させる流れを示す。
【0045】
本発明は、前記キャリアビークルの姿勢の変化が最小限である連続的分離の流れを予測することによって、前記一連の分離を行うのに必要な推進剤を減少することが出来る。
【0046】
特に、前記複数のドータープローブの切り離しに対応する段階中に目標とする前記スペースキャリアビークルの向きが密接に関係していることは変わらず、前記スペースキャリアビークルのほんの僅かな軌道修正が必要である。
【0047】
図3Aは、第1のプローブの切り離しを可能にする軌道Tに対する本システムの位置に対応する。
【0048】
前記ノズル12によって、本システムは、前記軌道Tに対するその重心回りに配向され、前記プローブの切り離し推進中に、前記プローブを所望の姿勢で所望の軌道、例えば前記プローブが配置されるべき天体の大気圏に突入するための軌道上に配置させる。
【0049】
前記プローブ2cの切り離し構成において、前記プローブの対称軸Aが前記軌道と形成する角度を値α1で示す。
【0050】
図3Bは、前記プローブ2cの切り離し中の本システムを示す。
【0051】
前記プローブを切り離すと、本システムは、そのまま継続して第2のプローブの切り離しに備える。
【0052】
そのために、図4Aにおいて、第2のプローブ2bを露出させるように、第1のプローブを取付けるためのカラー3cを備える環状セグメント5cが切り離される。
【0053】
図4Bでは、前記ビークルが、選択した軌道に沿って前記第2のプローブを切り離せるように必要な姿勢補正を行い、前記プローブの前記軸Aと前記軌道Tが成す角をα2で示し、図4Cにおいて、前記第2のプローブの切り離しが開始される。
【0054】
図5Aによると、第3のプローブ2aを露出させるため、前記第2のプローブを取付けるための前記カラーを備える環状セグメント5bが切り離される。
【0055】
図5Bに示す軌道に対する前記モジュール新たな位置合わせに続いて、この最後のプローブが図5Cに示すように切り離される。
【0056】
本発明の原理により、予測された軌道上に前記複数のドータープローブを切り離すための操作はほとんど必要なく、前記モジュールをピッチングによって自身の軌道に向けることは、実際、ある天体上に数個のプローブを配置するために行う唯一のオペレーションである。
【0057】
更に、全ての前記プローブを単一軸上に存在させる本発明の本システムの対称公転構成によって、天体/地球を巡航中の熱制御制約に従う全体姿勢の管理が単純化される。
【0058】
前記図面、特に図2に示すように、前記プローブ支持環状セグメントの少なくとも幾つかは、前記プローブを保護するための外側円筒形フード要素4a、4bを備える。
【0059】
これらの円筒形フード要素4a、4bは、環状セグメント5b、5cの環状カラー3b、3cに関連して配向され、それによって前方のプローブ2a、2bを保護するように前記カラーを保持し、前記カラーは後方のプローブ2b、2cを確実に取付けるように配向される。
【0060】
前記複数の円筒形フード要素は、太陽光線を遮断し、太陽光線の強度を減少する。これによって、前記複数のフード内の前記複数のプローブが保護され、前記複数のプローブの熱制御の必要性を減少する。
【0061】
一方、本例によれば、最後の環状セグメント5cは、それ自体が保持している前記プローブを露出したままにし、そのプローブは場合により必要に応じて特定のフード又は従来の積層断熱によって保護される。
【0062】
従って、本発明によれば、前記モジュールの最も遠いプローブを除く前記複数のプローブは、構造体の内部に存在し、宇宙空間に直接露出していない。
【0063】
その結果、前記複数のプローブの放射熱環境はより良く制御され、前記複数のプローブの個々の熱制御が単純化される。
【0064】
前記熱制御は、特に、航行中は前記マザープローブに委ねてもよく、前記複数のドータープローブは切り離されるまで不作動状態を維持する。
【0065】
これを達成するため、ソーラーパネルを備える前記マザープローブは、少なくとも幾つかの前記ドータープローブの熱制御を確実に行うように構成された手段を備え、更に、前記複数のドータープローブのバッテリーを常に充電又は再充電するための手段を備えていてもよい。
【0066】
前記複数のフードに保護された前記複数のプローブに関して、前記熱制御が複数のラジエータ10の設置を必要とする場合、これらのラジエータは前記複数の構造体上に、例えば、図3Aのフード5b上に示すような前記複数の円筒形フードの外壁上に設置可能であり、従って、前記複数のプローブが大気圏に突入する際の耐熱の妨げにはならない。
【0067】
前記フード以外に、少なくとも1つの中間にあるプローブ支持環状セグメントは、前記後方のプローブの領域に、後方の環状セグメントを取付けるための前記円筒形フード要素の延長部6を備える。
【0068】
前記延長部6は、前記カラーに対する後方のフードの結合領域を前方部分から分離することが出来、セグメントの切り離しの際、前記前方セグメントが前記カラーを損傷する危険が無い。
【0069】
同様に、モジュール1と前記第2の環状セグメントの第1のフード4aの結合部を構成するために、第1の環状セグメントは、スペースキャリアビークルに固定され、前記円筒形フード要素4aを取付けるための環状縁部7を備える。
【0070】
環状カラー3a、3b、3cは略テーパ形状であり、前記ドータープローブアタッチメントは前記複数のカラーの内側環状縁部に嵌合し、前記複数のプローブは、本例によれば、前記カラーに積層する円錐形後方キャップ8を備える。
【0071】
図6の断面図は、特にカラー3b及び3cが複数のプローブシールド13の形状に対応しており、本システムのコンパクト性をよく表わしている。
【0072】
当該断面図は、前記フードを保持する前記環状セグメントを切り離すためのスラスト機構9とともに、前記複数のプローブを押し出すための、前記複数の環状カラーと前記複数のプローブのインターフェースレベルにあるスラスト機構14も示している。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の本システムは長期の航行に対応しており、前記複数のドータープローブが前記マザープローブによって運搬される。
【符号の説明】
【0074】
1 (スペース)キャリアビークル
2a、2b、2c ドータープローブ
3a、3b、3c 環状カラー
4a、4b (外側)円筒形フード要素
5a、5b、5c (プローブ支持)環状セグメント
6 延長部
7 環状縁部
8 円錐形後方キャップ
9 スラスト機構
10 (ドータープローブ用)熱制御ラジエータ
11 ソーラーパネル
12 (姿勢及び推進調節)ノズル
13 プローブシールド
14 スラスト機構
T 軌道
A マザープローブの長手軸(対称軸)
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6