特許第5666576号(P5666576)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666576
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】超音波外科用器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/00 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
   A61B17/36 330
【請求項の数】4
【全頁数】58
(21)【出願番号】特願2012-517618(P2012-517618)
(86)(22)【出願日】2010年6月21日
(65)【公表番号】特表2012-531260(P2012-531260A)
(43)【公表日】2012年12月10日
(86)【国際出願番号】US2010039290
(87)【国際公開番号】WO2011005467
(87)【国際公開日】20110113
【審査請求日】2013年5月9日
(31)【優先権主張番号】12/490,906
(32)【優先日】2009年6月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/490,933
(32)【優先日】2009年6月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/490,948
(32)【優先日】2009年6月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/490,922
(32)【優先日】2009年6月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595057890
【氏名又は名称】エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】マダン・アシュバニ・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ビアルザック・ショーン・ディ
(72)【発明者】
【氏名】ハウザー・ケビン・エル
(72)【発明者】
【氏名】ニールド・スコット・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ボーゲル・アーロン・シー
(72)【発明者】
【氏名】ワン・シャン
(72)【発明者】
【氏名】シュテューレン・フォスター・ビー
【審査官】 村上 聡
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0036914(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0063618(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
振動を生成するように構成されたトランスデューサと、
封入体であって、
第1の区画であって、前記トランスデューサは、該第1の区画を有して位置付けられる、第1の区画と、
第2の区画と、
前記第2の区画内に位置付けられる材料であって、前記材料は、前記第2の区画から前記第1の区画の中に流れ込んで、前記トランスデューサを少なくとも部分的に取り囲むように構成される、材料と、を含む、封入体と、を備える外科用器具。
【請求項2】
前記封入体が、前記第1の区画と前記2の区画を分離する側壁を更に備え、前記側壁が、前記材料が前記第1の区画に入ることができるように破断するように構成される、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記材料が、前記第2の区画が破断される前は流体であるように構成され、前記材料が、前記第1の区画に入った後に固まるように構成される、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記封入体が、前記第1の区画と前記第2の区画とを流体連通状態にするために開き、前記材料が前記第1の区画に入ることができるようにするように構成された弁を更に備える、請求項1に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、広くは、超音波外科用器具に関する。中空コア器具及び中実コア器具の両方を含む超音波器具が、多くの医療症状の安全かつ有効な処置のために使用されている。超音波器具、特に中実コアの超音波器具は、超音波周波数で外科用エンドエフェクタに伝達される機械的振動形態のエネルギーを使用して、有機組織を切断及び/又は凝固するのに使用され得るため、有利である。超音波振動は、適切なエンドエフェクタを使用して適切なエネルギーレベルで有機組織に伝達されるときには、組織を切断し、解離し、持ち上げ若しくは焼灼し、又は筋肉組織を骨から引き離すために使用することができる。中実コアテクノロジーを利用する超音波器具は、超音波トランスデューサから導波管を通って外科用エンドエフェクタに伝達され得る超音波エネルギー量に起因して特に有利である。こうした器具は、開腹処置又は内視鏡若しくは腹腔鏡処置のような低侵襲的処置に使用され得、その場合エンドエフェクタは、トロカールを通って手術部位に到達する。
【0002】
そのような器具のエンドエフェクタ(例えば、切断刃)を超音波周波数で始動又は励磁(exciting)させると、隣接組織内に局所的な熱を生じさせる長手方向の振動運動が誘発される。超音波器具の性質ゆえに、超音波によって作動される特定のエンドエフェクタは、例えば、切断及び凝固を含めた多数の機能を果たすように設計することができる。超音波振動は、例えば、トランスデューサを電気で励振することによって、手術用エンドエフェクタに引き起こされる。トランスデューサは、器具ハンドピース内の1つ以上の圧電又は磁気歪素子から構成され得る。トランスデューサによって生じた振動は、トランスデューサから外科用エンドエフェクタまで延在する超音波導波管を介して、外科用エンドエフェクタに伝達される。導波路及びエンドエフェクタは、トランスデューサと同一周波数で共振するように設計される。したがって、エンドエフェクタがトランスデューサに取り付けられると、全システムの周波数はトランスデューサそれ自体と同一の周波数になる。
【0003】
エンドエフェクタの先端における長手方向の超音波振動の振幅dは、共振周波数では次に与えられるように単一シヌソイドとして挙動する。
d=A sin(ωt)
式中、
ωは、周期的振動数fの2π倍に等しい角振動数、及び
Aは、ゼロからピークまでの振幅である。
【0004】
エンドエフェクタ先端の長手方向の振動幅(excursion)は、ピーク間(p−t−p)振幅として定義され、正弦波の振幅のちょうど2倍又は2Aである。多くの場合、エンドエフェクタはブレードを備え、このブレードは、長手方向の振動幅により組織を切断及び/又は凝固することができる。その全開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,283,981号(2001年9月4日発行、発明の名称「METHOD OF BALANCING ASYMMETRIC ULTRASONIC SURGICAL BLADES」)、同第6,309,400号(2001年10月30日発行、発明の名称「CURVED ULTRASONIC BLADE HAVING A TRAPEZOIDAL CROSS SECTION」)、及び同第6,436,115号(2002年8月20日発行、発明の名称「BALANCED ULTRASONIC BLADE INCLUDING A PLURALITY OF BALANCE ASYMMETRIES」)は、様々な超音波外科用器具を開示している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの一般的な態様では、種々の実施形態は、所定の周波数で長手方向軸に沿って振動を生成するように構成されたトランスデューサを備える超音波外科用器具を目的とする。種々の実施形態では、超音波ブレードは、長手方向軸に沿って延びて、トランスデューサに連結される。種々の実施形態では、超音波ブレードは、近位端と遠位端とを有する本体を備え、遠位端は、トランスデューサによって生成される振動によって、長手方向軸に対して可動である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
種々の実施形態の特徴は、添付の特許請求の範囲で詳細に示される。しかしながら、その更なる目的及び利点と共に、組織及び操作方法の両方に関して、本発明の種々の実施形態は、添付図面と共に、以下の説明を参照することにより最良に理解され得る。
図1】超音波外科用器具システムの一実施形態。
図2】超音波器具の接続継手/接合部の一実施形態。
図3】超音波外科用器具のエンドエフェクタ及び導波管、並びに導波管及びエンドエフェクタ内に生じる長手方向のひずみパターン及び長手方向の応力パターンの概略図。
図4】超音波外科用器具のトランスデューサ、並びにトランスデューサ内に生じる長手方向のひずみパターン及び長手方向の応力パターンの概略図。
図5図3に示されるエンドエフェクタ及び導波管、並びに導波管及びエンドエフェクタ内に生じる代表的な長手方向変位パターンの概略図。
図6図4に示されるトランスデューサ、並びにトランスデューサ内に生じる代表的な長手方向変位パターンの概略図。
図7】少なくとも一実施形態による超音波外科用器具のトランスデューサ、並びにトランスデューサ内に生じる代表的な長手方向のひずみパターン及び代表的な長手方向の応力パターンの概略図。
図8】異なる厚さを有する圧電素子を備えるトランスデューサの実施形態。
図9】異なる厚さを有する圧電素子を備えるトランスデューサの第2の実施形態。
図10】異なる厚さを有する圧電素子を備えるトランスデューサの第3の実施形態。
図11】異なる厚さを有する圧電素子を備えるトランスデューサの第4の実施形態。
図12】異なる厚さを有する圧電素子を備えるトランスデューサの第5の実施形態。
図13】異なる厚さを有する圧電素子を備えるトランスデューサの第6の実施形態。
図14図8のトランスデューサ及び図11のトランスデューサによって生成され得る仕事特性の概略図。
図15】異なる直径を有する圧電素子を備えるトランスデューサの実施形態。
図16】異なる直径を有する圧電素子を備えるトランスデューサの第2の実施形態。
図16A】異なる直径を有する圧電素子を備えるトランスデューサの第3の実施形態。
図17】圧電素子と、圧電素子を冷却するように構成された偏向可能なストラップと、を備えるトランスデューサの実施形態。
図18】圧電素子によって生成される振動によって偏向された、図17の偏向可能なストラップ。
図19】圧電素子と、圧電素子を冷却するように構成された偏向可能なストラップと、偏向可能なストラップに取り付けられた複数の塊体と、を備えるトランスデューサの実施形態。
図20】導波管、エンドエフェクタ、外装、及び導波管に取り付けられた可撓性の膜の実施形態。外装は、導波管及びエンドエフェクタが振動するときに、導波管及びエンドエフェクタを取り囲む空気を移動させるように構成される。
図21図20の実施形態の端面図。
図22A】圧電素子の第1の配列を有するトランスデューサの実施形態。
図22B】圧電素子の第2の配列を有する図22Aのトランスデューサ。
図23A】圧電素子の第1の配列を有するトランスデューサの実施形態。
図23B】圧電素子の第2の配列を有する図23Aのトランスデューサ。
図24】導波管に対して移動可能に調整可能なトランスデューサの実施形態。
図25】複数の導波管とエンドエフェクタとを備える超音波外科用器具のキット。
図26】超音波外科用器具の実施形態。
図27】超音波外科用器具のハンドル及び導波管の近位部。ハンドルは可撓性ハウジングを含んでいる。
図28】屈曲状態にある図27のハンドル。
図29】非屈曲状態にある図27のハンドルの端面図。
図30】屈曲状態にある図27のハンドルの端面図。
図31】複数のトランスデューサを備える外科用器具の実施形態。
図32】複数のトランスデューサを備える外科用器具の第2の実施形態。
図33】一体化された導波管及びエンドエフェクタの実施形態。
図34】導波管に直接組み立てられた圧電素子を備えるトランスデューサの実施形態。
図35】圧電素子、及び圧電素子に実装された電極の実施形態。電極は、そこから延びるタブを含んでいる。
図36】複数の、図35の圧電素子を備えるトランスデューサスタック。
図37】圧電素子、及び圧電素子に実装された電極の実施形態。
図38】複数の、図37の圧電素子を備えるトランスデューサスタック。
図39】圧電素子と、圧電素子の中間に位置付けられた電極と、中間電極に動作可能に接続された接続電極と、を備えるトランスデューサスタックの端面図。
図40】その中に複数のノッチを有する複数の圧電素子と、ノッチを通って延びる接続電極と、を備えるトランスデューサスタック。
図41図40のトランスデューサスタックの端面図。
図42】複数の平面を有する複数の圧電素子と、複数の接続電極と、を備えるトランスデューサスタック。
図43図42のトランスデューサスタックの端面図。
図44】圧電素子の適切な整列を確実にするように構成された複数の指標となる特部を有する複数の圧電素子を備えるトランスデューサスタック。
図45図44の圧電素子の指標となる特部が、圧電素子間の不整列をどのように防止することができるかを示す概略図。
図46】トランスデューサスタック、及びトランスデューサスタックを取り囲む封入体の実施形態。
図47】破断状態にある図46の封入体、及びトランスデューサスタックを少なくとも部分的に取り囲む物質。
図48】トランスデューサスタック、及びトランスデューサスタックを取り囲む封入体の第2の実施形態。
【発明を実施するための形態】
【0007】
様々な実施形態を詳細に説明する前に、かかる実施形態はその応用又は利用の際に、添付図面及び説明に例示される部品の構造及び配置の詳細に限定されないことに留意すべきである。例示的な諸実施形態は、他の実施形態、変形形態、及び修正形態に実装され又は組み込まれてもよく、様々な方法で実践又は実施されてよい。例えば、以下に開示する外科用器具は、単に例示のためのものであり、それらの範囲又は応用を限定することを意味しない。更に、特に指示がない限り、本明細書に採用される用語及び表現は、読者の便宜上、例示的な実施形態を説明するために選択されており、これらの範囲を制限するためではない。
【0008】
本願で開示する装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理が総括的に理解されるように、特定の例示的実施形態について、これから説明することにする。これらの実施形態の1つ以上の実施例を添付の図面に示す。当業者であれば、本明細書に具体的に記載し、添付図面に示す装置及び方法は、非限定的な例示的実施形態であり、様々な実施形態の範囲は請求項によってのみ規定されることを理解するであろう。ある例示的実施形態に関連して例示又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされてもよい。かかる変更及び変形は本発明の請求項の範囲内に含まれることが意図される。
【0009】
本明細書に記載の種々の実施形態は、広くは、超音波外科用器具、及び超音波外科用器具と共に使用するためのブレードに関する。超音波外科用器具及びブレードの例は、米国特許第5,322,055号、同第5,954,736号、同第6,309,400号、同第6,278,218号、同第6,283,981号、及び同第6,325,811号に開示されており、当該特許の開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。同一出願人による同時係属中の米国特許出願第11/726,625号、発明の名称「ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENTS」(2007年3月22日出願)もまた、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。以下の同一出願人による、同時に出願された米国特許出願の開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
(1)米国特許出願第______号、発明の名称「ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENTS」、代理人整理番号END6495USNP1/080599、
(2)米国特許出願第______号、発明の名称「ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENTS」、代理人整理番号END6495USNP2/080600、及び
(3)米国特許出願第______号、発明の名称「ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENTS」、代理人整理番号END6495USNP3/080601。
【0010】
種々の実施形態による超音波器具及びブレードは、とりわけ、出血を制御しながら皮質骨及び/又は組織を除去するのが望ましい整形外科的処置において、特に有効である。その切断特性及び凝固特性に起因して、超音波外科用器具のブレードは、一般的な軟組織の切断及び凝固に有用である。ある特定の状況では、種々の実施形態によるブレードは、組織の切断と止血封止又は焼灼を同時に行うのに有用であり得る。ブレードは、真直ぐであっても又は曲がっていてもよく、開腹用途又は腹腔鏡用途のいずれかに有用であり得る。種々の実施形態によるブレードは、脊椎手術、特に骨から筋肉を取り外すための背面からの接近を支援するのに有用であり得る。
【0011】
図1は、超音波システム10の一実施形態を示している。超音波システム10の一実施形態は、超音波トランスデューサ14に連結された超音波信号発生器12と、ハンドピースハウジング16を備えるハンドピースアセンブリ60と、エンドエフェクタ50と、を備える。「ランジュヴァンスタック」として知られている超音波トランスデューサ14は、一般に、変換部18と、第1の共振器又はエンドベル20と、第2の共振器又はフォアベル22と、補助部品と、を含む。種々の実施形態において、超音波トランスデューサ14は、以下により詳細に説明するように、長さが2分の1システム波長の整数倍(nλ/2)であるのが好ましい。音響アセンブリ24は、超音波トランスデューサ14と、マウント26と、速度変換器28と、表面30と、を含むことができる。
【0012】
本明細書では、用語「近位」及び「遠位」は、ハンドピースアセンブリ60を握っている臨床医に準拠して使用されることが理解されよう。したがって、エンドエフェクタ50は、より近位のハンドピースアセンブリ60に対して遠位である。便宜上及び明瞭さのため、「上部」及び「下部」のような空間的用語もまた、本明細書では、ハンドピースアセンブリ60を把持する臨床医に準拠して使用されることが理解される。しかしながら、外科用器具は多くの向き及び配置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び絶対的なものではない。
【0013】
エンドベル20の遠位端は、変換部18の近位端に接続され、フォアベル22の近位端は、変換部18の遠位端に接続される。フォアベル22及びエンドベル20は、変換部18の厚さ、エンドベル20及びフォアベル22を製造するのに使用される材料の密度及び弾性率、並びに超音波トランスデューサ14の共振周波数などの多くの変数により決定される長さを有する。フォアベル22は、速度変換器28の超音波振動の振幅を増幅するため、近位端からその遠位端まで内向きに先細にしてもよく、あるいは、フォアベル22は、増幅を有さなくてもよい。
【0014】
図1を再度参照すると、エンドベル20は、そこから延びるねじ付き部材を含むことができ、このねじ付き部材は、フォアベル22の中のねじ山付き開口とねじ込み可能に係合されるように構成され得る。種々の実施形態では、圧電素子32などの圧電素子は、例えば、エンドベル20とフォアベル22が共に組み立てられると、エンドベル20とフォアベル22との間で圧縮され得る。圧電素子32は、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、チタン酸鉛、及び/又は、例えば任意の好適な圧電性結晶材料などの任意の好適な材料から作られてもよい。
【0015】
種々の実施形態では、以下により詳細に論じるように、トランスデューサ14は、正電極34及び負電極36などの電極を更に備えることができ、この電極は、例えば、1つ以上の圧電素子32の両端に電位を作り出すように構成され得る。正電極34、負電極36、及び圧電素子32のそれぞれは、中心を通る穴を含むことができ、この穴は、エンドベル20のねじ付き部材を受容するように構成され得る。種々の実施形態では、正電極34及び負電極36は、それぞれワイヤ38及び40と電気的に結合され、ワイヤ38及び40は、ケーブル42内に入れられて、超音波システム10の超音波信号発生器12と電気的に接続可能であり得る。
【0016】
種々の実施形態では、音響アセンブリ24の超音波トランスデューサ14は、超音波信号発生器12からの電気信号を機械的エネルギーに変換し、この機械的エネルギーは、超音波トランスデューサ24及びエンドエフェクタ50の超音波周波数における長手方向振動運動を主としてもたらす。好適な発生器は、Ethicon Endo−Surgery,Inc.,(Cincinnati,Ohio)から、モデル番号GEN01として入手可能である。音響アセンブリ24が通電されると、振動運動の定在波が音響アセンブリ24を通して生じる。好適な振動周波数範囲は約20Hz〜120kHzであってもよく、適切な振動周波数範囲は約30kHz〜70kHzであってもよく、動作振動周波数の1つの例は、約55.5kHzあってもよい。
【0017】
音響アセンブリ24に沿った任意の点での振動運動の振幅は、音響アセンブリ24に沿った振動運動が測定される位置によって様々であり得る。振動運動定在波において、最小又はゼロの交差は、一般的に波節(即ち、運動が通常は最小の場所)と呼ばれ、定在波において、最大絶対値(absolute value maximum)又はピークは、一般的に波腹(即ち、運動が通常は最大の場所)と呼ばれる。波腹とその最も近い波節との間の距離は、波長の4分の1(λ/4)である。
【0018】
ワイヤ38及び40は、超音波信号発生器12から正電極34及び負電極36に電気信号を伝送する。圧電素子32は、例えば、音響アセンブリ24において音響定在波を生成するためのフットスイッチ44に応答して、超音波信号発生器12から供給される電気信号によって通電される。電気信号により、結果的に材料内の大きな圧縮力となる繰り返し小変位の形態で、圧電素子32内に擾乱が生じる。繰り返される小変位は、圧電素子32を連続的方式で電圧勾配の軸に沿って伸縮させ、超音波エネルギーの長手方向の波を生成する。
【0019】
種々の実施形態では、トランスデューサ14によって生成される超音波エネルギーは、音響アセンブリ24を通って、超音波伝達導波管46を介してエンドエフェクタ50に伝達され得る。音響アセンブリ24がエンドエフェクタ50にエネルギーを供給するために、音響アセンブリ24の構成要素は、エンドエフェクタ50に音響的に連結される。例えば、超音波トランスデューサ14の遠位端は、表面30において超音波伝達導波管46の近位端に、スタッド48のようなねじ接続により音響的に連結されてもよい。
【0020】
音響アセンブリ24の構成要素は、いずれかのアセンブリの長さが2分の1波長の整数倍(nλ/2)となるように音響的に調整され得、式中、波長λは、音響アセンブリ24の予め選択された波長、又は動作する長手方向振動駆動周波数fであり、nは、任意の正の整数である。音響アセンブリ24は、音響要素の任意の好適な配列を組み込んでもよいことも想到される。
【0021】
超音波エンドエフェクタ50は、2分の1システム波長の整数倍(nλ/2)と実質的に等しい長さを有することができる。超音波エンドエフェクタ50の遠位端52は、遠位端の最大、又は少なくともほぼ最大の長手方向の振動幅を提供するために、波腹の位置に、又は少なくともその近くに配置されてもよい。トランスデューサアセンブリが通電されるとき、種々の実施形態では、エンドエフェクタ50の遠位端52は、例えば、所定の振動周波数において、およそ10〜500マイクロメートルのピーク対ピークの範囲、及び好ましくは約30〜150マイクロメートルの範囲で動くように構成されてもよい。
【0022】
上記に概略されているように、超音波エンドエフェクタ50は、超音波伝達導波管46に連結されてもよい。種々の実施形態では、図示のような超音波エンドエフェクタ50及び超音波伝送ガイド46は、例えば、Ti6Al4V(アルミニウム及びバナジウムを含むチタン合金)、アルミニウム、ステンレス鋼、及び/又は任意の他の好適な材料など、超音波エネルギーの伝達に適した材料による単一構造物として形成される。あるいは、超音波エンドエフェクタ50は超音波伝達導波管46から分離可能(及び異なる構成物)であってもよく、また例えば、スタッド、溶接、接着剤、迅速接続、又は他の好適な既知の方法により連結されてもよい。超音波伝達導波管46は、例えば、2分の1システム波長の整数倍(λ/2)にほぼ等しい長さを有し得る。例えば、超音波伝送導波路46は、好ましくは、例えば、チタン合金(即ち、Ti6Al4V)又はアルミニウム合金など、超音波エネルギーを効率的に伝搬する材料から構成された中実コア軸から作製されてもよい。
【0023】
種々の実施形態では、図2を参照すると、超音波伝達導波管46は、スタッド48などのねじ接続によって音響アセンブリの表面30に連結されるために、長手方向に突出した取り付け柱54を近位端に含むことができる。超音波伝達導波管46の遠位端は、例えば、好ましくは波腹又はその近くで、内部のねじ込み接続によって、エンドエフェクタ50の近位端に連結されてもよい。エンドエフェクタ50は、例えば、溶接継手などの任意の好適な手段によって超音波伝達導波路46に取り付けられてもよいことが想到される。エンドエフェクタ50は、超音波伝送導波路46から取り外し可能であってよいが、エンドエフェクタ50及び超音波伝送導波路46は、単一の一体部品として形成されてもよいことも想到される。
【0024】
種々の実施形態では、上記に加えて、図2は、超音波器具の接続継手/接合部70の1つの実施形態を示している。接続継手/接合部70は、超音波伝送導波路46の取り付けポスト54と音響アセンブリ24の遠位端にある変速器28の表面30との間に形成されてよい。取り付け柱54の近位端は、その中にねじ込みスタッド48の一部分を受容するための、雌ねじ付きの実質的に円筒状の凹部66を備える。また、速度変成器28の遠位端は、ねじ込みスタッド48の一部分を受容するための、雌ねじ付きの実質的に円筒状の凹部68を備えることができる。凹部66及び68は、実質的に周囲方向かつ長手方向に整列される。
【0025】
図1に例示される実施形態では、超音波伝達導波管46は、複数個の波節の位置又は少なくともその近くに配置される、複数個の安定化シリコーンリング又は弾性支持体56を含む。シリコーンリング56は、望ましくない振動を弱め、かつ導波管46を少なくとも部分的に囲む外装58から超音波エネルギーを隔離することができ、それによって、超音波エネルギーがエンドエフェクタ50の遠位端52まで長手方向に最高効率で流れるのを確実にする。
【0026】
図1に示されるように、外装58は、ハンドピースアセンブリ60の遠位端に連結され得る。外装58は、一般に、アダプタ又はノーズコーン62と、細長い管状部材64と、を含む。管状部材64は、アダプタ62に取り付けられ及び/又はアダプタ62から延び、かつ、内部を通って長手方向に延びる開口部を有する。種々の実施形態では、外装58は、ハウジング16の遠位端の上にねじ付けられてもよく、又はスナップ嵌めされてもよい。少なくとも1つの実施形態では、超音波伝達導波管46は、管状部材64の開口部を通って延在し、シリコーンリング56はこの開口部の側壁と接触して、その中の超音波伝達導波管46を隔離することができる。種々の実施形態では、外装58のアダプタ62は、例えば、Ultem(登録商標)から構成されるのが好ましく、管状部材64は、例えばステンレス鋼から製造される。少なくとも1つの実施形態では、超音波伝達導波管46は、例えば、超音波伝達導波管46を外部接触から隔離するためにこれを取り囲む高分子材料を有してもよい。
【0027】
種々の実施形態では、上述のように、外科用器具は、長手方向の振動を生成するように構成されたトランスデューサと、トランスデューサに動作可能に連結されるエンドエフェクタ及び/又は導波管と、トランスデューサ、導波管、及び/又はエンドエフェクタと動作可能に接続する及び/又はそれらを支持するその他の様々な音響アセンブリの構成要素と、を備えることができる。特定の実施形態では、同様に上述のように、トランスデューサは、エンドエフェクタに伝達され得る振動を生成することができ、この振動は、トランスデューサ、導波管、エンドエフェクタ、及び/又は音響アセンブリの他の様々な構成要素を、共振周波数で又はその近くで駆動することができる。共振状態では、長手方向のひずみパターン、又は長手方向の応力パターンが、例えばトランスデューサ、導波管、及び/又はエンドエフェクタ内で生じ得る。種々の実施形態では、ここで図3及び図4を参照すると、こうした長手方向のひずみパターン、又は長手方向の応力パターンは、トランスデューサ、導波管、及び/又はエンドエフェクタの長さに沿って、正弦曲線手法、又は少なくとも実質的に正弦曲線手法で、長手方向のひずみ、又は長手方向の応力を変化させることができる。少なくとも1つの実施形態では、例えば、長手方向のひずみパターンは、最大ピーク及びゼロ点を有することができ、ひずみ値は、かかるピークとゼロ点との間で非線形的に変化することができる。
【0028】
種々の状況において、上記に加えて、導波管146及び/又はエンドエフェクタ150内の任意の所与の位置における長手方向のひずみ、又は長手方向の応力は、例えば、様々なひずみ状態、又は応力状態の間でパルス付勢され得る。図3及び図4を参照すると、トランスデューサ114の圧電素子132に周期的電圧が供給された場合、例えば、特に、導波管146と、エンドエフェクタ150と、トランスデューサ114とを実質的に備えるシステムを、その共振周波数で又はその近くで振動させた場合、導波管146内のA点における長手方向のひずみを、伸張、つまりプラスのε最大と、圧縮、つまりマイナスのε最大との間でサイクルさせることができる。種々の状況において、圧縮及び伸張の最大長手方向ひずみの絶対値は、等しくてもよく、又は少なくともほぼ等しくてもよい。それに対応して、導波管146内のA点における長手方向の応力を、伸張、つまりプラスのσ最大と、圧縮、つまりマイナスのσ最大との間でサイクルさせることができ、圧縮及び伸張の最大長手方向応力の絶対値は、等しくてもよく、又は少なくともほぼ等しくてもよい。同様に、図4を参照すると、トランスデューサ114内のB点における長手方向のひずみを、伸張ε最大と圧縮ε最大との間でサイクルさせることができ、長手方向の応力を、伸張σ最大と圧縮σ最大との間でサイクルさせることができる。
【0029】
種々の実施形態では、上記に概略されているように、導波管146及び/又はエンドエフェクタ150内の任意の所与の点内の長手方向のひずみ、又は長手方向の応力を、2つの値の間でサイクルさせることができ、これらの値の絶対値は実質的に同一であり得る。そのような実施形態では、ある位置で生じる長手方向のひずみ、又は長手方向の応力の範囲は、ピークピーク値、即ち、それぞれ、εピークピーク又はσピークピークとして評価され得る。少なくとも1つの実施形態では、図示されていないが、トランスデューサ114の圧電素子132に供給される圧力は、この圧力が、ゼロと最大電圧との間で、又は別の方法としては、ゼロと最低電圧との間でサイクルされるように整流され得、その結果、長手方向のひずみプロファイルを、ゼロと最大圧縮ひずみ、又は別の方法としては、ゼロと最大伸張ひずみとの間でサイクルさせることができる。いずれの場合も、図3に示される長手方向の応力パターン及び長手方向のひずみパターンを再度参照すると、応力パターンはひずみパターンと重なるものとして示されている。しかしながら、種々の状況において、導波管146及び/又はエンドエフェクタ150の任意の所与の点内の長手方向の応力及び長手方向のひずみは、同じ大きさを有さない。むしろ、psiで測定した応力の大きさは、例えば、無単位の寸法(in/in unitless dimension)で測定したひずみの大きさよりも大きい、及びおそらく実質的に大きい可能性がある。種々の状況において、応力(σ)及びひずみ(ε)の値は、線形に比例することができ、また次の関係によって関連付けられ得る。
σ=Eε
式中、Eは、導波管146及び/又はエンドエフェクタ150の材料の、例えば、特定の点における弾性率を含む。
【0030】
種々の実施形態では、トランスデューサ116、導波管146及び/又はエンドエフェクタ150内の長手方向のひずみパターン、又は長手方向の応力パターンは、図3及び図4に示されるように、例えば、1つ以上のゼロひずみ点、又は1つ以上のゼロ応力点を含むことができる。図5及び図6も併せて参照すると、トランスデューサ116、導波管146、及びエンドエフェクタ150内のゼロひずみ点及びゼロ応力点は、トランスデューサ116、導波管146、及びエンドエフェクタ150内の振動の定在波の波腹(AN点で表わされている)と一致し得る。読者が想起するように、図5及び図6を参照すると、長手方向振動の定在波の波腹は、最大長手方向振動変位、即ち、振動の定在波の、例えば、δ最大及び/又は−δ最大に対応し得る。トランスデューサ116、導波管146、及びエンドエフェクタ150内の最大ひずみ点及び最大応力点は、振動の定在波の波節(N点で表わされている)と一致し得る。同様に読者が想起するように、図5及び図6を参照すると、長手方向振動の定在波の波節は、振動の定在波の長手方向のゼロ変位点に対応し得る。図3に示されるように、上述の説明を参照すると、A点は波節Nの位置又はその近くにある。図3に同様に示されているように、エンドエフェクタ150の遠位端152は、波腹ANの位置又はその近くに位置付けられ、同様に、導波管146の近位端もまた、波腹ANに位置付けられる。上述のように、エンドエフェクタ150の遠位端152を波腹の位置、又はその近くに位置付けることによって、特定の利点を得ることができ、かかる利点の少なくとも1つは、例えば、波腹の位置で実現される最大長手方向振動変位を十分に利用することを含み得る。その他の特定の利点は、導波管146の近位端を、波腹の位置、又はその近くに位置付けるのを確実にすることによって得ることができ、かかる利点の少なくとも1つは、波腹の位置で実現される長手方向のゼロひずみ点、又は長手方向のゼロ応力点を十分に利用することを含み得る。上記と同様に、導波管146の近位端は、図2に示される接続継手70のような連結部又はユニオンジョイントを含むことができ、この接続継手を波腹の位置、又はその近くに設置することによって、接合部を、存在する場合、振動の定在波によって誘発されるわずかな長手方向の応力又は長手方向のひずみに暴露することができる。
【0031】
上述のように、電圧源、又は電力源は、トランスデューサの圧電素子の1つ以上と動作可能に連結され得、圧電素子のそれぞれに印加される電圧ポテンシャルによって、圧電素子を長手方向に膨張及び収縮、又は振動させることができる。同様に上述のように、電圧ポテンシャルは周期的であり得、種々の実施形態では、電圧ポテンシャルは、例えば、トランスデューサ116、導波管146、及びエンドエフェクタ150を備える構成要素のシステムの共振周波数と同じかほとんど同じ周波数で周期的にサイクルすることができる。しかしながら、種々の実施形態では、トランスデューサ内の特定の圧電素子は、トランスデューサのその他の圧電素子よりも、長手方向振動の定在波に対する寄与が大きい場合がある。より詳細には、長手方向の変位を制御、又は制限することができる長手方向のひずみプロファイルが、トランスデューサ内で生じてもよく、特にシステムが共振周波数で又はその近くで振動する場合に、いくらかの圧電素子は、振動の定在波に寄与することができる。
【0032】
図7を参照すると、トランスデューサ214の他の圧電素子よりも波節Nに近くなるように位置付けられている圧電素子232aは、トランスデューサ214の他の圧電素子よりも大きなひずみ、又は応力にさらされ得る。種々の実施形態では、圧電素子内のひずみは、圧電素子内を流れる又はそこを通って引き込まれ得る電流の量を決定することができる。特定の実施形態では、ひずみと電流とは線形に比例し得るが、他の実施形態では、ひずみと電流とは幾何学的に比例し得る。圧電素子232aは、トランスデューサ214内の波節の最も近くに位置付けられ、その結果大ひずみにさらされるので、この圧電素子232aは、波節からより離れるように位置付けられてより小さいひずみにさらされる他の圧電素子よりも多くの電流を、電源から引き込むことが可能であり得る。より多くの電流が圧電素子232aを通って流れることによって、例えば、圧電素子232aは、波節からより離れるように位置付けられているトランスデューサ214の他の圧電素子よりも大きな長手方向の振動を有し、かつ、トランスデューサ214、及びこれに取り付けられたエンドエフェクタ内の振動の定在波に対するより大きな変位に寄与することができる。特定の実施形態では、圧電素子によって引き込まれる電流と圧電素子の長手方向の変位とは、線形に比例し得るが、他の実施形態では、電流と長手方向の変位とは、幾何学的に比例し得る。
【0033】
一例として、上記に加えて、圧電素子232aは圧電素子232bよりも波節Nに近接し、図7に示されるように、圧電素子232bは、圧電素子232aよりも少ないひずみにさらされ得る。その結果、上記によると、圧電素子232bは、圧電素子232aよりも少ない電流を引き込むことができる。更に、圧電素子が消費する電力は、圧電素子を流れる電流と、圧電素子に印加される電圧ポテンシャルとの積によって定義され得るので、圧電素子232bは、圧電素子232aよりも少ない電力を消費し得る。このような関係は、圧電素子232a及び232bに対する電圧ポテンシャルが、同じか、又は少なくともほぼ同じである実施形態において、特に当てはまる。それに対応して、圧電素子232cは、圧電素子232bよりも少ない電流を引き込み、かつ少ない電力を消費してもよく、また同様に、圧電素子232dは、圧電素子232cよりも少ない電流を引き込み、かつ少ない電力を消費してもよい。
【0034】
上記に加えて、より多くの電流を引き込み、かつより多くの電力を消費する圧電素子は、より大量の仕事を行うことができる。より詳細には、かかる圧電素子は、振動する際に、より大きな長手方向の変位を生成する及び/又はより大きな長手方向力を生じることができ、圧電素子が発生させる仕事は、圧電素子によって生じた力と変位との積に比例し得るので、かかる圧電素子は、より多くの仕事を出力することができる。上記の結果、波節に近くなるように位置付けられた圧電素子は、波節からより離れるように位置付けられた圧電素子よりも多くの仕事を発生させることができる。このことは、トランスデューサの圧電素子が同じ材料で構成され、かつほぼ同一寸法である実施形態において、特に当てはまり得る。しかしながら、種々の実施形態では、大量の電力を消費し、かつ大量の仕事を行う圧電素子は、大量の熱を生じる可能性がある。少なくとも1つの実施形態では、その結果、波節の最も近くに位置付けられた圧電素子は、波節からより離れるように位置付けられた圧電素子よりも多くの熱を発生させる可能性がある。種々の状況において、そのような圧電素子は、それらの周囲の空気の流れを低減させ得る(複数の)圧電素子に隣接して中間に位置付けられ得るので、波節の最もに近くに位置付けられた圧電素子から離散する熱流が抑制される場合がある。ある特定の状況では、大量の熱は、様々な圧電素子の性能に悪影響を与え得る。例えば、大量の熱は、圧電素子の1つ以上の中に焦電気(pyroectricity)を発生させる可能性があり、この焦電気は、圧電素子に印加される電圧ポテンシャルを弱める及び/又は、場合によっては、圧電素子の寿命を短くする可能性がある。
【0035】
種々の実施形態では、上記に加えて、トランスデューサは、いくつかの異なる圧電素子を備えることができ、それら圧電素子は、トランスデューサの圧電素子が実行する仕事を一様にするか、又は少なくともより良好に分配するために選択され得る。特定の実施形態では、波節からより離れるように位置付けられた圧電素子は、波節により近くなるように位置付けられた圧電素子と同じ仕事を発生させてもよい。特定のその他の実施形態では、波節からより離れるように位置付けられた圧電素子は、波節により近くなるように位置付けられた圧電素子と同じ仕事を発生させないかもしれないが、波節からより離れるように位置付けられた圧電素子は、波節により近くなるように位置付けられた圧電素子によって発生された仕事の約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、及び/又は約30%を発生させてもよい。少なくとも1つの実施形態では、異なる圧電素子は、異なるひずみ定数(d33)を有する材料からなることができ、材料のひずみ定数は、材料内で生じるひずみ(ε)を圧電素子が受ける電界(E)で除した割合として表わされ得る。このような実施形態の少なくとも1つでは、図7を再度参照すると、例えば、圧電素子232aは、第1のひずみ定数を有する第1の材料からなることができ、圧電素子232bは、第2のひずみ定数を有する第2の材料からなることができる。種々の実施形態では、第1のひずみ定数は、第2のひずみ定数よりも大きくてもよい。一般に、圧電素子がある量の仕事を発生させるのに必要な電流は、圧電素子のひずみ定数に反比例し得るので、大きなひずみ定数を有する材料を圧電素子に選択することによって、圧電素子が引き込む電流を低減し、それに対応して、圧電素子が生成する熱を低減することができる。それに対応して、低いひずみ定数を有する材料を圧電素子に選択することによって、ある量の仕事を発生させるのに必要な電流を増加させ、ひいては、圧電素子が発生させる熱を増加させることができる。
【0036】
上記に加えて、より高いひずみ定数を有する材料からなる圧電素子を波節の近くで使用し、より低いひずみ定数を有する材料からなる圧電素子を波節からより離れて使用することによって、トランスデューサの圧電素子が発生させる仕事は、バランスが保たれる又は少なくともより一様にバランスが保たれることが可能である。種々の実施形態では、圧電素子232aは、第1のひずみ定数を有する第1の材料からなることができ、圧電素子232bは、第2のひずみ定数を有する第2の材料からなることができ、圧電素子232cは、第3のひずみ定数を有する第3の材料からなることができ、また、圧電素子232dは、第4のひずみ定数を有する第4の材料からなることができ、その場合、少なくとも1つの実施形態では、第1のひずみ定数は第2のひずみ定数よりも大きくてもよく、第2のひずみ定数は第3のひずみ定数よりも大きくてもよく、また、第3のひずみ定数は第4のひずみ定数よりも大きくてもよい。種々の実施形態では、圧電素子のひずみ定数は、例えば、約100e12m/Vと約600e12m/Vとの間、及び/若しくは約150e12m/Vと約500e12m/Vとの間、並びに/又は約150e12m/Vと約350e12m/Vとの間の範囲であり得る。いずれの場合も、図7を再度参照すると、圧電素子の材料の選択により、圧電素子232bは、例えば、圧電素子232aが発生させる仕事と等量の仕事、又は少なくともその大部分を発生させることができ、同様に、圧電素子232cは、例えば、圧電素子232bが発生させる仕事と等量の仕事、又は少なくともその大部分を発生させことができる。同様に、圧電素子232dは、圧電素子232cが発生させる仕事と等量の仕事、又は少なくともその大部分を発生させことができる。
【0037】
種々の実施形態では、上記の結果として、トランスデューサの圧電素子によって生じる熱は、バランスがとられること、又は少なくともより均一にバランスがとられることが可能であるので、熱は、トランスデューサ全体に一様に、又は少なくともより一様に生じる。こうした実施形態は、例えば、望ましくない量の熱が、トランスデューサ内の単一の場所、又は集中化した場所内で生じる及び/又はそこに保持される可能性を、防止する、又は少なくとも低減することができる。ある特定の状況では、上記の結果として、圧電素子232bは、例えば、圧電素子232aによって生じた熱と等量の熱、又は少なくともその大部分を生じることができ、同様に、圧電素子232cは、例えば、圧電素子232bによって生じた熱と等量の熱、又は少なくともその大部分を生じることができる。同様に、圧電素子232dは、圧電素子232cによって生じた熱と等量の熱、又は少なくともその大部分を生じることができる。少なくとも1つのそのような実施形態では、圧電素子によって生じる及び/又は保持される熱は、トランスデューサ214内に均等に分布又は少なくともより均等に分布され得る。種々の実施形態では、例えば、トランスデューサ214から熱をより簡単に散逸することができるように、圧電素子232d内で生じる及び/又は保持される追加の熱は、遠端位部材222及び/又は近端位部材220の中により容易に引き込まれ得る。特定の実施形態では、端位部材220及び222は、圧電素子から離れるように熱を引き込むことが可能なヒートシンクを含むことができ、少なくとも1つの実施形態では、端位部材220及び222は、例えば、金属で構成され得る。そのような実施形態では、圧電素子が過熱する可能性を低減することができる。
【0038】
様々な代替の実施形態では、より低いひずみ定数を有する材料からなる圧電素子を波節の近くで、また、より高いひずみ定数を有する材料からなる圧電素子を波節から離れて使用するのが望ましい場合がある。種々の実施形態では、圧電素子232aは、第1のひずみ定数を有する第1の材料からなることができ、圧電素子232bは、第2のひずみ定数を有する第2の材料からなることができ、圧電素子232cは、第3のひずみ定数を有する第3の材料からなることができ、また、圧電素子232dは、第4のひずみ定数を有する第4の材料からなることができ、その場合、少なくとも1つの実施形態では、第1のひずみ定数は第2のひずみ定数より小さくてもよく、第2のひずみ定数は第3のひずみ定数より小さくてもよく、また第3のひずみ定数は第4のひずみ定数より小さくてもよい。
【0039】
特定の実施形態では、上記に加えて、トランスデューサの圧電素子によって生じる熱は、異なる誘電散逸又は減衰特性を有する材料を使用することによってバランスがとられること、又は少なくともより均一にバランスがとられることが可能である。種々の状況において、材料の誘電散逸は、散逸系における振動モードの電力損失率の測定値として表され得る。別の言い方をすると、ある特定の状況では、材料の誘電散逸は、振動している圧電素子、及び/又はトランスデューサ内で生じ得るエネルギー散逸又は損失を表すことができ、そのような散逸、又は損失は、発熱を生じさせることができる。いずれの場合も、種々の実施形態では、より高い及び/又はより低い散逸性又は減衰性を有する様々な材料を使用することができ、例えば、より低い散逸性又は減衰性を有する材料は、より少ない熱を生じ得る。少なくとも1つの実施形態では、より低い散逸性を有する材料からなる圧電素子は、波節により近くなるように配置され得る一方で、より高い散逸性を有する材料からなる圧電素子は、波節からより離れて配置され得る。種々の実施形態では、トランスデューサの圧電材料の誘電散逸率は、例えば、約0.002〜約0.01の間で様々であり得る。
【0040】
特定の実施形態では、上記に加えて、トランスデューサの圧電素子が生じる仕事は、異なる誘電率を有する材料を使用することによってバランスがとられること、又は少なくともより均一にバランスがとられることが可能である。種々の実施形態では、低い誘電率を有する材料からなる圧電素子は、高い誘電率を有する圧電素子よりも多くの仕事を発生させることが可能であり得る。少なくとも1つの実施形態では、その結果、圧電素子232aは、第1の誘電率を有する第1の材料からなることができ、圧電素子232bは、第2の誘電率を有する第2の材料からなることができ、圧電素子232cは、第3の誘電率を有する第3の材料からなることができ、また、圧電素子232dは、第4の誘電率を有する第4の材料からなることができ、その場合、少なくとも1つの実施形態では、第1の誘電率は第2の誘電率よりも高くてもよく、第2の誘電率は第3の誘電率よりも高くてもよく、また第3の誘電率は第4の誘電率よりも高くてもよい。種々の実施形態では、上記に加えて、圧電材料の比誘電率は、例えば、約900〜約1200で様々であり得、材料の比誘電率(εr)は、誘電率定数(ε)で除した材料の静的誘電率(ε)として定義され得る。いずれの場合も、図7を再度参照すると、圧電素子の材料の選択により、圧電素子232bは、例えば、圧電素子232aが発生させる仕事と等量の仕事、又は少なくともその大部分を発生させることができ、同様に、圧電素子232cは、例えば、圧電素子232bが発生させる仕事と等量の仕事、又は少なくともその大部分を発生させることができる。同様に、圧電素子232dは、圧電素子232cが発生させる仕事と等量の仕事、又は少なくともその大部分を発生させることができる。
【0041】
特定の実施形態では、上記に加えて、トランスデューサの圧電素子が生じる仕事は、異なる電圧感度を有する材料を使用することによってバランスがとられること、又は少なくともより均一にバランスがとられることが可能である。種々の実施形態では、高い電圧感度を有する材料からなる圧電素子は、低い電圧感度を有する圧電素子よりも多くの仕事を発生させることが可能であり得る。少なくとも1つの実施形態では、その結果、圧電素子232aは、第1の電圧感度を有する第1の材料からなることができ、圧電素子232bは、第2の電圧感度を有する第2の材料からなることができ、圧電素子232cは、第3の電圧感度を有する第3の材料からなることができ、また、圧電素子232dは、第4の電圧感度を有する第4の材料からなることができ、その場合、少なくとも1つの実施形態では、第1の電圧感度は第2の電圧感度よりも低くてもよく、第2の電圧感度は第3の電圧感度よりも低くてもよく、また、第3の電圧感度は第4の電圧感度よりも低くてもよい。種々の実施形態では、圧電材料の電圧感度は、電圧ポテンシャルに対する材料の反応、又は形状の変化として定義され得、高い電圧感度を有する圧電材料は、低い電圧で材料内により大きな変位を生じることができる。いずれの場合も、図7を再度参照すると、圧電素子の材料の選択により、圧電素子232bは、例えば、圧電素子232aが発生させる仕事と等量の仕事、又は少なくともその大部分を発生させることができ、同様に、圧電素子232cは、例えば、圧電素子232bが発生させる仕事と等量の仕事、又は少なくともその大部分を発生させることができる。同様に、圧電素子232dは、圧電素子232cが発生させる仕事と等量の仕事、又は少なくともその大部分を発生させることができる。
【0042】
上述のように、図7を再度参照すると、波節により近くなるように位置付けられたトランスデューサの圧電素子は、波節からより離れるように位置付けられたトランスデューサの圧電素子よりも多くの熱を生じる及び/又は保持することができる。また、上述したように、圧電素子によって生成及び/又は保持される熱が、トランスデューサにわたって均一化される、又は少なくともより良好に均一化されるように、圧電素子の材料を選択することができる。しかしながら、種々の状況において、発熱及び/又は保温は、波節に近い圧電素子内に集中化されてもよい。種々の実施形態では、以下により詳細に論じるように、トランスデューサの圧電素子は、異なるキュリー温度(Currie temperature)(T)を有する様々な材料で構成され得る。圧電材料のキュリー温度は、その温度以上では偏波特性及び圧電特性が失われ得る温度として説明され得る。種々の状況において、その結果、圧電材料の温度は、それらのキュリー温度を超えないことが望ましい場合がある。
【0043】
種々の実施形態では、特に、トランスデューサスタックの中心、又は波節の位置の圧電素子232aと、トランスデューサスタックの両端、又は波腹の位置の圧電素子232dとの間のトランスデューサに、大きな温度勾配がある実施形態では、波節により近くなるように位置付けられた圧電素子は、波節からより離れるように位置付けられた圧電素子のキュリー温度よりも高いキュリー温度を有する材料で構成され得る。少なくとも1つの実施形態では、圧電素子232aは、第1のキュリー温度を有する第1の材料からなることができ、圧電素子232bは、第2のキュリー温度を有する第2の材料からなることができ、圧電素子232cは、第3のキュリー温度を有する第3の材料からなることができ、また、圧電素子232dは、第4のキュリー温度を有する第4の材料からなることができ、その場合、少なくとも1つの実施形態では、第1のキュリー温度は第2のキュリー温度よりも高くてもよく、第2のキュリー温度は第3のキュリー温度よりも高くてもよく、また、第3のキュリー温度は第4のキュリー温度よりも高くてもよい。少なくとも1つのそのような実施形態では、例えば、圧電素子232a及び/又は232bは、例えば、(K,Na)NbOで構成され得、これは、一般にニオブ酸ナトリウムカリウム又は「KNN」と呼ばれ、約410℃のキュリー温度を有する。上記に加えて、圧電素子232a及び/又は232bは、例えば、一般に「BTO」と呼ばれ、かつ約280℃のキュリー温度を有するBi4Ti3O12、及び/若しくは、一般に「BNBK」と呼ばれ、かつ約675℃のキュリー温度を有する(Bi,Na)TiO−(Bi,K)TiO−(Ba,Sr)TiO、並びに/又は任意の好適な高いTcを有する無鉛の圧電材料で構成され得る。上記に加えて、例えば、圧電素子232c及び/又は232dは、一般にチタン酸バリウムと呼ばれ、かつ約110℃のキュリー温度を有するBaTiO3、及び/又は例えば任意の好適な低いTcを有する無鉛の圧電材料で、構成され得る。少なくとも1つの実施形態では、例えば、圧電素子232aはBNBK(T=675℃)で構成され得、圧電素子232bはKNN(T=410℃)からなることができ、圧電素子232cはBTO(T=280℃)からなることができ、また、圧電素子232dはチタン酸バリウム(T=110℃)からなってもよい。このような構成は種々の状況において有用であり得るが、トランスデューサスタック内の圧電素子のそれぞれは、本明細書で言及される材料のいずれかの1種以上で構成され得る。
【0044】
種々の実施形態では、上記に加えて、第1のキュリー温度を有する第1の圧電素子232aは、第1の電流を引き込むことができ、第2のキュリー温度第2の圧電素子232bは、第2の電流を引き込むことができ、その場合、第1の電流の振幅は第2の電流よりも大きくてもよい。より高い第1のキュリー温度により、第1の、又はより高い電流は、第1の圧電素子232aを有害に過熱する可能性がなく、同様に、第2の、又はより低い電流は、第2の圧電素子232bを有害に過熱する可能性がない。少なくとも1つのそのような実施形態では、第3の圧電素子232cは、第2の電流よりも小さい第3の電流を引き込むことができ、更に、第4の圧電素子232dは、第3の電流よりも小さい第4の電流を引き込むことができる。
【0045】
種々の実施形態では、ここで図8図13を参照すると、厚さの異なる圧電素子を使用して、トランスデューサの圧電素子が発生させる仕事、及びこれらによって引き込まれる電流を分配することができる。図8を参照すると、トランスデューサ314aは、例えば、第1の厚さを有する4個の圧電素子332と、第2の厚さを有する4個の圧電素子333を備えることができ、例えば、第2の厚さは第1の厚さよりも厚い。そのような実施形態では、圧電素子332及び333は、圧電素子が発生させる仕事が、図14に示されるような仕事特性を生じるように配置され得る。図8及び図14を参照すると、厚い方の圧電素子333は、薄い方の圧電素子332よりも波節Nに近くなるように位置付けられ、この場合、圧電素子332及び333の配置、及びトランスデューサ内で生じる長手方向の応力プロファイルε(l)により、圧電素子が発生させる仕事は、圧電素子にわたって均等に分配され得ない。実際に、図14を参照すると、トランスデューサが発生させる仕事は、波節Nに近接して位置付けられた厚い圧電素子333に大きく集中し得る。それに対応して、トランスデューサ314のより薄い方の圧電素子332は、波節Nから離れて波腹AN近くに位置付けられ、その結果、より少ない長手方向のひずみにさらされるので、圧電素子333よりもはるかに少ない仕事を発生させ得る。
【0046】
種々の実施形態では、ここで図9図10図12、及び図13にそれぞれ示されているトランスデューサ314b、314c、314e、及び314fを参照すると、圧電素子332及び333は、異なる配置でスタックされ得、この異なる配置は、異なる仕事特性を生成することができる。種々の実施形態では、上記に加えて、圧電素子によって生成された仕事特性が、トランスデューサにわたって均一化されるように、又は、例えば、少なくともトランスデューサ314aによって生成された仕事特性よりも平坦な仕事特性に近づくように、トランスデューサの圧電素子を配置することができる。少なくとも1つの実施形態では、ここで図11を参照すると、トランスデューサ314dは、上記と同様に、例えば、4個の圧電素子332と4個の圧電素子333とを備えることができる。そのような実施形態では、トランスデューサ314dの圧電素子332及び333は、圧電素子より発生させる仕事が、図14に示されるような仕事特性を生じ得るように配置され得る。より詳細には、図11及び図14を参照すると、トランスデューサ314dの薄い方の圧電素子332は、厚い方の圧電素子333よりも波節Nに近くなるように位置付けられており、圧電素子332及び333のこの配置により、トランスデューサ314dの圧電素子が発生させる仕事は、圧電素子にわたってより均等に分布され得る。比較として、トランスデューサ314aが発生させることができる、波節N付近に集中している仕事の大きい集中、又はピークは、トランスデューサ314dが発生させることができる、波節N付近に集中している仕事のあまり顕著でない集中よりも、著しく大きくてもよい。更に、比較として、トランスデューサ314dのトランスデューサスタックの両端に位置付けられた厚い方の圧電素子333は、トランスデューサ314aのトランスデューサスタックの両端に位置付けられた薄い方の圧電素子332よりも多くの仕事を発生させ、それによって、トランスデューサ314dの仕事特性を更に均一化させることができる。
【0047】
図14に示される仕事特性は、種々のトランスデューサの実際の仕事特性を表し得るが、かかる仕事特性は、証明及び考察の目的で提供されている。種々のその他の仕事特性が可能であり得る。図14を参照すると、読者には明らかであろうが、横軸には数字1〜8が印されており、これらは、例えば、トランスデューサ314a及び314dの代表的な実施形態の8個の圧電素子を表している。より詳細には、数字の1は、第1の、又は最も近位の圧電素子を表すことができ、数字の2は、第2の、又は2番目に最も近位の圧電素子を表すことができ、以下同様である。更に読者には明らかであろうが、縦軸にはパーセンテージ値が印されている。かかるパーセンテージ値は、トランスデューサによって引き込まれる総電流と比較した場合の、特定の圧電素子が引き込むことができる電流を表す。例えば、トランスデューサ314aの第1の圧電素子は、トランスデューサ314aによって引き込まれる総電流の約10.5%を引き込むことができ、トランスデューサ314dの第1の圧電素子は、トランスデューサ314dによって引き込まれる総電流の約11.5%を引き込むことができる。種々の実施形態では、上記を鑑みて、トランスデューサ314aの各圧電素子によって引き込まれる電流のパーセンテージを合計すると、結果は100%になるべきである。同様に、トランスデューサ314dの圧電素子によって引き込まれる電流のパーセンテージを合計すると、これも100%になるべきである。
【0048】
種々の実施形態では、上記に概略されているように、トランスデューサ内の振動の定在波により生じる長手方向のひずみプロファイルは、正弦曲線であり得、長手方向のひずみは、第1の値と第2の値との間で非線形に又は幾何学的に変化し得る。特定の実施形態では、図8を再度参照すると、例えば、トランスデューサ314a内のひずみプロファイルε(l)は、振動の定在波の2つの波腹ANの間に延びる半正弦波によって表わされ得るが、任意の好適な数の波腹がトランスデューサ内に位置し得る他の実施形態が想定される。あるいは、トランスデューサ内に位置する波腹が存在しない実施形態が想定される。いずれの場合も、これも同様に上で概説されているように、ひずみプロファイルε(l)の最大長手方向のひずみは、振動の定在波の波節Nの位置で生じ得、トランスデューサ314aの圧電素子333及び333のように波節の最も近くに位置付けられている圧電素子は、例えば、最も大きな長手方向のひずみにさらされ得る。例えば、図8を参照すると、圧電素子333及び333は、波節Nのすぐ左側、又は波節Nに対して近位に位置付けられており、素子333は長手方向のひずみεにさらされ、素子333は長手方向のひずみεにさらされ、ひずみεは、ε最大よりも小さく、ひずみεはひずみεよりも小さい。この例の目的上、長手方向のひずみεは、圧電素子333全体の平均ひずみを表すことができ、長手方向のひずみεは、圧電素子333全体の平均ひずみを表すことができる。それに対応して、図8を参照すると、長手方向のひずみε及び長手方向のひずみεは、それぞれ、圧電素子333及び333の中心で生じるものとして図示されている。いずれの場合も、上記に加えて、ひずみε及びひずみεにより、圧電素子333及び333は、圧電素子333及び333に対して近接して位置付けられた圧電素子332及び332より大量の仕事に寄与することが可能となり得、圧電素子332及び332は、それぞれ、長手方向のひずみε及び長手方向のひずみεを受ける。上記と同様に、ひずみε及びεは、例えば、圧電素子332及び332全体が受ける平均長手方向ひずみを表すことができる。
【0049】
上記に加えて、図8を再度参照すると、長手方向のひずみεは長手方向のひずみεよりも小さく、更に、長手方向のひずみεはひずみεよりも小さく、かつひずみεよりも有意に小さい。このような関係は、ひずみプロファイルε(l)の正弦的な性質、又は形状に起因する。このような形状により、より詳細には、トランスデューサ内で誘発される長手方向のひずみは、波節Nに対して幾何学的に、又は非線形に減少し得、その結果、トランスデューサ内のひずみプロファイルは、波節Nからより離れた位置、及び/又は波腹ANにより近い位置において、より大きな長手方向のひずみの変化を受け得る。その結果、波節Nから離れるように位置付けられた圧電素子は、有意に小さい長手方向のひずみにさらされてもよく、大量の仕事を発生させる能力が小さくなってもよい。トランスデューサの圧電素子の仕事分配のバランスをより良好にとるために、図11を再度参照すると、圧電素子は、圧電素子全体が受ける平均長手方向ひずみの差異が減少し得るように配置され得る。少なくとも1つの比較例では、図8及び図11を参照すると、波節Nと、トランスデューサ314dの圧電素子333の中心との距離Bl1が、波節Nと、トランスデューサ314aの圧電素子332の中心との距離Al1よりも小さくなるように、トランスデューサ314dの圧電素子を配置することができる。距離Bl1が距離Al1より短いという事実により、トランスデューサ314dの圧電素子333内で受ける平均長手方向ひずみ、及びこの圧電素子が発生させる仕事は、トランスデューサ314aの圧電素子332内で受ける平均長手方向ひずみ、及びこの圧電素子が発生させる仕事よりも大きくてもよい。トランスデューサ314dの圧電素子333が提供することができる仕事が増加するので、例えば、トランスデューサ314dの圧電素子333及び圧電素子332が発生させる仕事の差異は、トランスデューサ314aの圧電素子332及び圧電素子333が発生させる仕事の差異よりも小さくなり得る。
【0050】
上記に加えて、図8及び図11を再度参照すると、波節Nと、トランスデューサ314dの圧電素子333の中心との距離Bl2は、波節Nと、トランスデューサ314aの圧電素子332の中心との距離Al2よりも小さい。距離Bl2が距離Al2よりも短いという事実により、上記と同様に、トランスデューサ314dの圧電素子333内で受ける平均ひずみ、及びこの圧電素子が発生させる仕事は、トランスデューサ314aの圧電素子332内で受ける平均ひずみ、及びこの圧電素子が発生させる仕事よりも大きくてもよい。トランスデューサ314dの圧電素子333が提供することができる仕事が増加するので、上記と同様に、例えば、トランスデューサ314dの圧電素子333及び圧電素子332が発生させる仕事の差異は、トランスデューサ314aの圧電素子332及び圧電素子333が発生させる仕事の差異よりも小さくなり得る。同様に、第3の圧電素子に関しては、距離Bl3は距離Al3よりも短くてもよく、第4の圧電素子、即ち、波節Nの最も近くに位置付けられた素子に関しては、距離Bl4は距離Al4よりも短くてもよい。図8及び図11に示されるように、トランスデューサ314a及び314dの他の圧電素子、即ち、トランスデューサ314aの素子333、333、332、及び332、及びトランスデューサ314dの素子332、332、333、及び333は、対応的に、又は鏡像的に配置され得、波節N及び第2の、又は反対側の波腹ANに関しては、先述の考察がこれらの素子に対して適応可能である。いずれの場合も、図14を再度参照すると、各素子がさらされる平均ひずみが同一、又は同一に近くなるように圧電素子を配置することによって、圧電素子がトランスデューサ全体に発生させる仕事を、均一化、又は少なくともより均一化することができる。
【0051】
種々の実施形態では、上記に加えて、より大きな平均長手方向ひずみにさらされる圧電素子は、特に、より厚い圧電素子、即ち、長手方向に厚い圧電素子において、長手方向振動のより大きな振幅を発生させることができる。種々の状況において、圧電素子の長手方向のひずみは、元の、又はエネルギー付与されていない(unenergized)厚さ(t)で除した圧電素子の厚さの変化(Δt)として定義され得、圧電素子内の長手方向のひずみが、共振トランスデューサ内で生じるひずみ場によって決定される場合、厚い圧電素子の使用は、(Δt/t)の相対比率が維持されるように、圧電素子内でより大きな長手方向の変位が生じることを必要とする。別の言い方をすれば、所定の長手方向のひずみ値に対して、より大きな(t)はより大きなΔtを決定付けることができ、それに対応して、より小さな(t)はより小さなΔtを決定付けることができる。上記に概略されているように、図11を再度参照すると、トランスデューサ314dの厚い方の圧電素子333は、圧電素子332よりも波節Nから遠く離れるように位置付けられており、厚い方の素子333は、薄い方の素子332よりも小さな平均ひずみにさらされ得るが、圧電素子333の厚さは、小さい平均ひずみを補償することができ、依然として十分な長手方向の変位、又は振動を提供することができ、かつ、トランスデューサ314dによって生成される仕事特性が均一化される、又は少なくとも均一化に近くなるように、十分な量の仕事を発生させることができる。図示されていないが、様々な圧電素子をトランスデューサ内で使用することができ、圧電素子は、様々な異なる厚さを有することができ、また、特定の実施形態では、トランスデューサは、3種類以上の異なる厚さを有する圧電素子を備えることができる。特定の実施形態では、同様に図示されていないが、トランスデューサは圧電素子を備えることができ、例えば、最も厚い圧電素子は、トランスデューサスタックの両端に位置付けられ、最も薄い圧電素子は、スタックの中間に位置付けられ、また、中間厚さを有する圧電素子は、これらの圧電素子の厚さがスタックの中間に向かって減少する方向に整列されるように、それらの間に配置される。
【0052】
上記に加えて、図8図13を参照すると、トランスデューサの圧電素子は、同じか、又は少なくともほぼ同じ幅、高さ、及び/又は直径を有することができる。特定のその他の実施形態では、ここで図15を参照すると、トランスデューサ414などのトランスデューサは、例えば、異なる幅、高さ、及び/又は直径を有する圧電素子を備えることができる。より詳細には、少なくとも1つの実施形態では、トランスデューサ414は、第1の直径を有する第1の圧電素子432aと、第2の直径を有する第2の圧電素子432bと、第3の直径を有する第3の圧電素子432cと、第4の直径を有する第4の圧電素子432dと、を備えることができる。そのような実施形態では、第1、第2、第3、及び/又は第4の圧電素子は、それらの異なる直径により、異なる静電容量を有することができる。より詳細には、上述のように、素子にわたって電圧、又は電気の電位を生じさせるために、各圧電素子は、圧電素子の対向する両側に設置される電極を備えることができ、電極の表面積と、圧電素子の潜在的な静電容量との間の正比例する関係により、より大きな直径を有する圧電素子は、より大きな表面積を有する電極を備えることができるので、より大きな圧電素子内により大きな静電容量を生じさせることができる。種々の状況において、電極の表面積と圧電素子の静電容量との間の正比例する関係は、線形、又は少なくとも実質的に線形であり得るが、幾何的関係を有する実施形態が想到される。更に、圧電素子の静電容量と、圧電素子を流れる電流との間の正比例する関係により、より大きな静電容量を有するより大きな圧電素子は、より多くの電流を引き込むことができるので、より大量の仕事を行うことができる。種々の状況において、静電容量と、圧電素子を流れる電流との間の正比例する関係は、線形、又は少なくとも実質的に線形であり得るが、幾何的関係を有する実施形態が想到される。ある特定の状況では、圧電素子の静電容量は、次に示される関係によって表わすことができる。
【数1】
式中、Kは、圧電素子材料の誘電率を表し、εは、空気の誘電率を表し、Aは、電極の表面積を表し、tは、電極間の圧電素子の厚さを表す。
【0053】
図15を再度参照すると、トランスデューサ414の圧電素子432aの直径は、その厚さにわたって一定、又は少なくとも実質的に一定であり得る。同様に、圧電素子432b、432c、及び/又は432dの直径は、その厚さにわたって一定、又は少なくとも実質的に一定であり得る。少なくとも1つの実施形態では、このような圧電素子は、圧電素子の対向する両側に配置される第1及び第2の電極を備えることができ、この対向する両側は、同じか、又は少なくともほぼ同じ直径を有する。様々な代替の実施形態では、トランスデューサの1つ以上の圧電素子の直径は、その厚さにわたって一定でなくてもよい。少なくとも1つのそのような実施形態では、ここで図16を参照すると、トランスデューサ514は、例えば、第1の直径531と第2の直径535とを含むことができる圧電素子532aを備えることができ、第2の直径535は第1の直径531よりも大きくてもよい。図16に示されるように、圧電素子532aの直径は、より大きな第2の直径535とより小さな第1の直径531との間で減少することができる。種々の実施形態では、圧電素子532aの直径は、線形的に、又は少なくとも実質的に線形的に減少し得るが、例えば、非線形又は幾何学的減少などのその他の直径の変化が想到される。
【0054】
上記に加えて、第1及び第2の電極は、圧電素子532aの両側に取り付けることができ、第1の電極は、第1の直径531と同じ直径、又は少なくとも実質的に同じ直径を有することができ、第2の電極は、第2の直径535と同じ直径、又は少なくとも実質的に同じ直径を有することができる。第1及び第2の電極の異なる直径及び/又は面積Aにより、種々の実施形態では、圧電素子532aの静電容量Cは、圧電素子532aが発生させる仕事が所望の仕事特性と一致するようなものであり得る。特定の実施形態では、トランスデューサ514は、圧電素子532b、532c、及び/又は532dを更に備えることができ、これら圧電素子の直径はまた、第1の直径と第2の直径との間で減少し得る。少なくとも1つの実施形態では、図16を参照すると、トランスデューサ514の圧電素子の直径は、圧電素子532dの最大直径と圧電素子532aの最小直径との間で、一定の割合、又は少なくとも実質的に一定の割合で減少し得る。種々の実施形態では、図16Aを参照すると、トランスデューサ2714の圧電素子の直径は、圧電素子2732dの最小直径と圧電素子2732aの最大直径との間で、一定の割合、又は少なくとも実質的に一定の割合で減少し得る。図示されていないが、圧電素子の直径が非線形的に増加及び/若しくは減少する、並びに/又は任意の他の好適なプロファイルを有する、その他の実施形態が想定される。いずれの場合も、上記と同様に、圧電素子532a、532b、532c、及び/又は532dのより大きな直径及びより小さな直径は、圧電素子の静電容量Cが所望の仕事特性をもたらすように配置され得る。より詳細には、上記に概略されているように、より小さな直径と関連付けられた小さな電極と比べて、より大きな電極は、圧電素子のより大きな直径と関連付けることができ、その場合、より大きな電極は波腹ANに近くなるように位置付けることができ、その結果、仕事特性にわたってより均一な分配をもたらすことができる。種々の他の実施形態では、図16Aを参照すると、圧電素子2732a、2732b、2732c、及び2732dの最大直径は、ひずみプロファイル内のより大きなひずみ値を活用するために、波節に近くなるように位置付けられ得る。
【0055】
種々の実施形態では、上記に概略されているように、トランスデューサの圧電素子は熱を生じることができ、ある状況では、過度の熱は圧電素子の性能に影響を与え得る。特定の実施形態では、トランスデューサはポンプを備えることができる。図17及び図18を参照すると、トランスデューサ614は、1つ以上のストラップ、又はリボン617を備えることができ、これは、やはり上記に概略されているようにトランスデューサ614が作動すると、トランスデューサ614の1つ以上の圧電素子632の周囲に空気をポンピングするように構成され得る。少なくとも1つのそのような実施形態では、圧電素子632は、エンドベル620とフォアベル622との中間に位置付けることができ、図17に図示されていないが、エンドベル620及びフォアベル622は、圧電素子632をそれらの間に捕捉する及び/又は圧縮するように共に固着され得る。ある特定の状況では、1つ以上のストラップ617は、エンドベル620及びフォアベル622に取り付けることができ、少なくとも1つの実施形態では、ストラップ617は、エンドベル620及びフォアベル622がボルトで一体とされた後にエンドベル620及びフォアベル622に取り付けることができる。少なくとも1つの実施形態では、トランスデューサ614は4つのストラップ617を備えることができ、これらストラップは、溶接及び/又はその他の方法でエンドベル620及びフォアベル622に好適に固着され得、その場合、これらストラップ617は、トランスデューサの外辺部の周りに等間隔、又は少なくとも実質的に等間隔に位置付けられ得る。ストラップ617は、矩形でありかつ一定の厚さを有するものとして図示されているが、ストラップ617は、任意の好適な形状及び/又は一定でない厚さを有することができる。種々の実施形態では、図17を参照すると、以下により詳細に記載されるようにストラップ617が偏向した場合に、ストラップ617が圧電素子632と接触しないように、ストラップ617と圧電素子632との間に隙間637が画定され得る。
【0056】
種々の状況において、図18を参照すると、圧電素子632によって生成される振動は、ストラップ617を振動させ、かつ偏向させることができる。ストラップ617の偏向は、例えば、ストラップ617を取り囲む空気(例えば、ストラップ617と圧電素子632との中間に位置する空気)を移動させることができ、かつ、圧電素子の上に空気を流動させることができる。種々の状況において、圧電素子632の上を流動する空気は、少なくとも最初は、圧電素子632よりも冷たくてもよいので、この空気は、圧電素子632からの熱を吸収することができる。特定の実施形態では、トランスデューサ614は、外科用器具のハンドルの中に位置付けることができ、このハンドルは、温められた空気をハンドルから排出させ、かつ、冷たい空気をハンドルに入れて、圧電素子632を更に冷却させることができる1つ以上の換気口を含むことができる。特定の実施形態では、冷たい空気を圧電素子の周囲に移動させるのを助けるため及び/又は加熱された空気をハンドルの外に移動させるために、1つ以上のファンブレードを有するファンを、ハンドルの中に位置付けることができる。種々の実施形態では、図18を再度参照すると、ストラップ617は、1つ以上の方向に振動する又は偏向するように構成され得る。少なくとも1つの実施形態では、ストラップ617が、圧電素子上に空気を半径方向、又は少なくとも実質的に半径方向にポンピングするように、ストラップ617は、長手方向軸699に対して直角な方向に偏向するように構成され得る。特定の実施形態では、ストラップ617は、長手方向軸699に対して垂直、平行、及び/又は斜めの方向に偏向するように構成され得る。特定の実施形態では、ストラップ617は、圧電素子の幾何学的状態及び表面状態に応じて、圧電素子632の上の空気の層流、及び/又は空気の乱流を引き起こすように構成され得る。種々の実施形態では、ストラップ617は、例えば、銅又は黄銅などの金属で構成することができ、その場合、ストラップ617は、エンドベル620とフォアベル622との間で熱を伝導するように構成され得る。少なくとも1つのそのような実施形態では、熱は、トランスデューサ614の一方の末端部から他方の末端部まで流れることができ、その結果、トランスデューサ614内に蓄えられた熱は、トランスデューサ614全体に均一に、又は少なくとも実質的に均一に拡散され得る。
【0057】
種々の実施形態では、上記に概略されているように、トランスデューサ614の圧電素子626は長手方向の振動を生じることができ、この振動は、ストラップ、又はリボン617を振動させ、かつ偏向させることができる。ある特定の状況では、圧電素子626は、例えば、長手方向軸699に対して直角又は垂直な振動を生じることができ、例えば、この振動はストラップ617を振動させ、かつ偏向させることができる。そのような状況では、ストラップ617のかなり大きな偏向が生じ得る。しかしながら、特定の実施形態では、ストラップ617は、所望の空気流を生じさせるのに十分な量だけ偏向しなくてもよい。少なくとも1つの実施形態では、ここで図19を参照すると、ストラップ717内に偏心、又は不均衡を引き起こすように構成され得る1つ以上のおもり、又は塊体739を、1つ以上のストラップ717に取り付けることができる。そのような不均衡により、トランスデューサ714の圧電素子732によって生成される振動は、少なくとも初期には増幅して、ストラップ717内により大きな偏向を作り出すことができる。別の言い方をすれば、塊体739は、ストラップ717の偏向を「キックオフする(kick-off)」ことができる。種々の状況において、塊体の追加重量は、トランスデューサ714が作動されている期間を通して、ストラップ717のより大きな偏向を引き起こすことができる。少なくとも1つの実施形態では、塊体739は、ストラップ717を剛性化しない、又は少なくとも実質的に剛性化しない質点を含む、又は少なくとも質点に近似することができる。いずれの場合も、各ストラップ717は、それ自体に取り付けられた1つ以上の塊体を含むことができ、又は、特定のその他の実施形態では、いくつかのストラップ717は、それ自体に取り付けられた1つ以上の塊体を含むことができ、いくつかのストラップ717は、それ自体に取り付けられたストラップをまったく有さなくてもよい。特定の実施形態では、塊体739は、ストラップ717に溶接され得、種々の実施形態では、塊体739は、ストラップ717に接着及び/又は固着され得る。
【0058】
種々の実施形態では、上記に概略されているように、超音波外科用器具は、外科用器具のトランスデューサに電流を供給するように構成されたケーブルを備えることができる。特定の実施形態では、ケーブルは、外科用器具のトランスデューサ、及び/又はその中にトランスデューサが配置されるハンドピースから熱を奪うように構成され得る。少なくとも1つの実施形態では、ケーブルは、いくつかの層を含むことができる。例えば、少なくとも1つのそのような実施形態では、ケーブルは、内部コアと、外部コアと、内部コアと外部コアとの間に位置付けられる第1の絶縁層と、外部コアを取り囲む第2の絶縁層と、第2の絶縁層を取り囲む熱伝導性材料と、外側絶縁層と、を含むことができる。内部コア及び外部コアは、トランスデューサへ及びトランスデューサから電流を流すように構成され得、第1及び第2の絶縁層は、そこから電流が漏れるのを防止するように構成され得る。熱伝導性材料は、トランスデューサ、及び/又はハンドピースから熱を取り去り、かつ外科用器具から外にその熱を伝えるように構成され得る。ある特定の状況では、導電材料はヒートシンクとして機能することができ、少なくとも1つの実施形態では、導電材料はアルミニウムで構成され得る。いずれの場合も、外側絶縁層は、使用中に外科医が、例えば、熱い導電材料に触れないように保護するように構成され得る。
【0059】
種々の実施形態では、上述のように、超音波器具のトランスデューサによって生成される振動は、例えば、導波管46などの導波管、及びエンドエフェクタ50などのエンドエフェクタに伝達され得る。そのような振動により、特に導波管及びエンドエフェクタが共振状態で駆動されているときには、導波管及びエンドエフェクタは、特に振動の定在波の波節において、熱を生じ、かつ蓄積してもよい。ある状況では、このような局所的な発熱は有用であり得る。しかしながら、種々の状況において、熱が1箇所以上の場所に局所化、又は少なくとも局所化しないように、導波管及び/又はエンドエフェクタ内で生じた熱を分配するのが望ましい場合がある。種々の実施形態では、図20及び図21を参照すると、外科用器具は、例えば、導波管846と、エンドエフェクタ850と、外装(例えば841)と、を備えることができ、この外装は、導波管846及びエンドエフェクタ850の一部分を取り囲む、又は少なくとも部分的に取り囲むように構成され得る。特定の実施形態では、外科用器具は、導波管及び/又はエンドエフェクタに沿って空気を移動させるように構成されたポンプを備えることができる。少なくとも1つの実施形態では、外科用器具は、外装841と導波管846との間、及び/又は外装841とエンドエフェクタ850との間に延在する、1つ以上の膜、又はダイヤフラムを更に含み得る。少なくとも1つのそのような実施形態では、外科用器具は、外装841及び導波管846に取り付けられる膜843を含むことができ、導波管846が振動にさらされるとき、上記に概略されているように、膜843は、導波管846及び/又はエンドエフェクタ850に沿って空気を移動又はポンピングすることができる。より詳細には、少なくとも1つの実施形態では、膜843の中心部分845は、導波管846に固定され得、その結果、例えば、導波管846が長手方向の振動にさらされると、膜843の中心部分845は長手方向の振動幅を受けるが、膜の外側部分847は外装841に固定され得るので、静止、又は少なくとも実質的に静止した状態を維持することができる。
【0060】
中心部分845の長手方向の振動幅により、外装841と導波管846との中間に位置付けられた空気は、例えば、導波管846に沿って長手方向に移動することができ、その結果空気は、例えば、導波管846によって生じ、かつその中に蓄積された熱を吸収することができる。特定の実施形態では、膜は、導波管846及びエンドエフェクタ850の表面にわたって、層流及び/又は空気の乱流を発生させることができる。種々の実施形態では、波腹の位置で生じる導波管846の長手方向のより大きな変位を利用して、膜843の大きな変位及び空気のより多くの流れを生成することができるように、1つ以上の膜843を、振動の定在波の波腹の位置に位置付けることができる。少なくとも1つのそのような実施形態では、膜は、導波管及びエンドエフェクタ内で生じる各波腹の位置に位置付けられ得る。種々の実施形態では、膜は、波腹の位置にのみ設置されてもよいが、他の実施形態では、例えば、いくつかの膜が、波腹を囲む領域に位置付けられてもよい。いずれの場合も、膜は、1つ以上の開口、スロット、穿孔、及び/又は開口部849を更に含むことができ、これらは、例えば、膜843に空気を貫流させることができるように構成され得る。例えば、種々の実施形態では、膜は、例えば、1個以上の開口、4個以上の開口、及び/又は10個以上の開口といった、任意の好適な数の開口を含むことができる。少なくとも1つの実施形態では、例えば、1つの膜843の開口は、隣接する膜843の開口と位置合わせされ得る。種々の実施形態では、膜843の外側部分847は、外装841に接着され得る、及び/又は他の方法で好適に取り付けることができ、膜843の内側部分845は、導波管846に接着することができる、及び/又は他の方法で好適に取り付けることができる。特定の実施形態では、内側部分845は穴を含むことができ、この穴により、膜843が導波管846上を摺動する及びその上に位置付けられ得る。種々の実施形態では、膜843は、例えば、高分子材料からなることができ、材料は、膜の少なくとも一部分が長手方向に移動するのを可能にするのに十分なだけ薄くてもよいと同時に、その繰り返し動作に耐えるのに十分なだけ厚くてもよい。
【0061】
種々の状況において、上記に概略されているように、波節に近くなるように位置付けられたトランスデューサの圧電素子は、波節から離れるように位置付けられた圧電素子よりも大量の仕事を行うことを要求される場合があり、また、高温にさらされる場合がある。そのような状況では、波節に最も近い圧電素子は、一定量の仕事を行うその能力を、波節から離れるように位置付けられた圧電素子よりも速い速度で劣化させる、及び失う可能性がある。そのような劣化が過去に起こった場合には、トランスデューサは廃棄されていた。本明細書に記載の種々の実施形態では、トランスデューサの圧電素子を再構成することができるように、使用後にトランスデューサを分解することができる。少なくとも1つの実施形態では、図22Aを参照すると、トランスデューサ914は、圧電素子932a、932b、932c、及び932dを備えることができ、少なくとも図22Aに示される配置では、圧電素子932aは波節Nの最も近くに位置付けられ、圧電素子932dは波腹ANの最も近くに位置付けられる。トランスデューサ914の使用後、圧電素子932aは圧電素子932b、932c、及び932dよりも劣化している可能性があり得る。特定の実施形態では、その結果、図22Bに示されているように、圧電素子932aを、トランスデューサスタックの両末端部に移し変えることができ、圧電素子932b、932c、及び932dを内方へ移動させることができる。その後、そのような実施形態では、圧電素子932bは、圧電素子932aが行ったであろうものより多くの仕事を行うことができる。再度トランスデューサ914が使用された後、トランスデューサ914を分解することができるので、圧電素子932bをスタックの両末端部に、又は波節から最も遠くなるように移し変えることができ、また、圧電素子932c、及び932dを内方へ、又は波節のより近くに移動させることができる。圧電素子を入れ替えるこの特定のシーケンスは有用であり得るが、任意の他の好適なシーケンスを用いてもよい。
【0062】
種々の実施形態では、上記に加えて、2回以上使用された、又は異なるデューティサイクルを受けたいくつかの圧電素子を利用して、トランスデューサを組み立てることができる。少なくとも1つの実施形態では、図23Aを参照すると、トランスデューサ1014は、例えば、第1の量のデューティサイクルを受けた第1の圧電素子1032a、存在する場合、第2の量のデューティサイクルを受けた第2の圧電素子1032b、第3の量のデューティサイクルを受けた第3の圧電素子1032c、及び第4の量のデューティサイクルを受けた第4の圧電素子1032dを使用して組み立てることができる。少なくとも1つのそのような実施形態では、第1の量のデューティサイクルは、ゼロ、又は第2の量のデューティサイクル未満であり得、第2の量のデューティサイクルは、第3の量のデューティサイクル未満であり得、第3の量のデューティサイクルは、第4の量のデューティサイクル未満であり得る。ある特定の状況では、その結果、第4の圧電素子1032dは、第3の圧電素子1032cよりも劣化している、又は仕事を発生させる能力が少ない可能性があり、第3の圧電素子1032cは、第2の圧電素子1032bよりも劣化している可能性があり、また、第2の圧電素子1032bは、第1の圧電素子1032aよりも劣化している可能性がある。そのような実施形態では、あまり劣化していない圧電素子が、長手方向振動の定在波に対してより効率的に寄与することができ、かつより大量の仕事を生じることができるように、デューティサイクルの低い圧電素子は、波節に近くなるように位置付けられ得る。別の言い方をすれば、上記に加えて、トランスデューサによって生成される最も大きな長手方向の変位、又は振動は、定在波の波節の位置又はその近くに位置付けられた圧電素子によって生じ、波節の位置又はその近くに位置付けられたあまり劣化していない圧電素子は、それらの位置をより良好に活用することができる。
【0063】
例えば上述に従って組み立てられたトランスデューサ(例えばトランスデューサ1014)が使用された後、トランスデューサの圧電素子のそれぞれ、即ち、素子1032a、1032b、1032c、及び1032dは、追加のデューティサイクルを受けていることになり、かつ更に劣化していている可能性がある。少なくとも1つの実施形態では、その結果、この時点で最も高いデューティサイクルを受けた圧電素子1032dは、トランスデューサスタックから除去され得る。他の残っている圧電素子、即ち、素子1032a、1023b、及び1032cは、波節から離れて位置付けられるように、トランスデューサスタック内で外方にシフトされる、又は再配置され得る。少なくとも1つのそのような実施形態では、ここで図23Bを参照すると、例えば、素子1032eなどの新しい圧電素子が、波節の位置又はその近くに位置付けられ得る。種々の実施形態では、例えば、圧電素子1032eはデューティサイクルを受けていなくてもよく、又は圧電素子1032aよりも低いデューティサイクルを受けていてもよい。いずれの場合も、トランスデューサを再組み立てして再度使用することができる。その後、トランスデューサを再度分解して、新しい、又は少なくともあまり使用されていない圧電素子をスタックに挿入することができる。新しい、又は少なくともあまり使用されていない素子のトランスデューサスタックへの挿入は、典型的には、トランスデューサスタックからの対応する数の圧電素子の除去と照応してもよいが、トランスデューサスタックに新しい素子を加え、それによって、スタック内の圧電素子の総数を増やすことができる実施形態が想定される。更に、複数対の新しい、又は少なくともあまり使用されていない圧電素子を、所与の時間にトランスデューサ内で交換することができるが、所与の時間に圧電素子を1個だけ、又は3個以上の圧電素子を交換する実施形態が想定される。
【0064】
様々な代替の実施形態では、上記に加えて、トランスデューサ内のより高いデューティサイクルを有する圧電素子は、波節の位置又はその近くに位置付けられ得、より低いデューティサイクルを有する圧電素子は、波節から離れるように位置付けられ得る。特定の実施形態では、より低いデューティサイクルを有する圧電素子は、波腹近くなるように位置付けられ得、このような圧電素子は、圧電素子が発生させる仕事を均一化する、又は少なくともより良好に均一化することが可能である。より詳細には、詳細に上述されたように、振動の定在波の波腹に近くなるように位置付けられた圧電素子は、小さい応力及びひずみを受け得るので、電流を引き込む及び仕事を発生させる能力が低い可能性があり、波腹の近くに位置付けられる新しい、又はあまり劣化していない圧電素子を有することによって、かかる圧電素子は、小さい応力及びひずみを補償して、古い、又はより劣化した圧電素子が提供するであろう仕事よりも大きな量の仕事を発生させることが可能であり得る。同様に、古い、又はより劣化した圧電素子を、波節に近くなるように使用することによって、かかる素子は、新しい、又はあまり劣化していない圧電素子が提供するであろう仕事特性よりも平坦な仕事特性を発生させることができる。種々の実施形態では、本明細書で概説されるような様々な状況で有益であり得る平坦な仕事特性を発生させることができる。
【0065】
より詳細に上述されたように、超音波器具は、トランスデューサと、導波管と、エンドエフェクタと、を備えることができ、トランスデューサは、振動を生成するように構成され得、この振動は、トランスデューサと、導波管と、エンドエフェクタと、を備えるシステム、又はアセンンブリを共振周波数で振動させる。また、上述したように、このようなアセンブリの共振周波数は、例えば、様々な取り付け部材又は連結部材の影響を受け得る。いずれの場合も、アセンブリは、例えば、約55,000kHzなどの特定の共振周波数を有するように設計され得る。しかしながら、様々な製造公差により、各アセンブリは、わずかに異なる共振周波数を有する可能性があり、その結果、各アセンブリの共振周波数を検出するために、これらを試験してもよい。アセンブリの固有周波数の調整が必要であると判定されたときは、導波管及び/又はエンドエフェクタの長さを調整するために、それらの末端部を研磨し、その結果、アセンブリの共振周波数を調整してもよい。このような組み立て工程は、その意図された目的のためには有用であり得るが、この工程は、多大な時間を必要とする場合がある及び/又はアセンブリの適切な調節可能性をもたらさない場合がある。例えば、導波管から過剰な長さが研磨された場合には、例えば、その導波管は、典型的には廃棄されなければならず、新しい導波管を使用して調整工程を繰り返さなければならない。
【0066】
種々の実施形態では、ここで図24を参照すると、超音波器具は、トランスデューサ1114と、導波管1146と、エンドエフェクタ1150と、を備えることができ、これらは一体化して、共振周波数を有するアセンブリを構成することができ、トランスデューサ1114を導波管1146に対して調整することができるように、導波管1146をトランスデューサ1114に取り付けることができる。より詳細には、少なくとも1つの実施形態では、トランスデューサ1114は、ねじ山付き開口1115を含むことができ、導波管1146及びエンドエフェクタ1150を軸1199に沿って移動させるために、導波管1146をトランスデューサ1114に対して回転させることができるように、この開口1115は、導波管1146のねじ山付き末端部1151をねじ込み可能に受容するように構成され得る。例えば、エンドエフェクタ1150の遠位端1152を、トランスデューサ1114に対して遠位側に、又はトランスデューサ1114から離れて移動させるために、導波管1146は時計方向に回転され得る。それに対応して、エンドエフェクタ1150の遠位端1152を、トランスデューサ1114に対して近位側に、又はトランスデューサ1114に向けて移動させるために、導波管1146は反時計方向に回転され得る。特定の実施形態では、ねじ山付き開口1115は、エンドベル1120の近位端とフォアベル1122の遠位端との間に延在し得る。種々の状況において、上記の結果として、アセンブリの共振周波数が所望の共振周波数と一致するようにこれをチューニングするために、トランスデューサ1114とエンドエフェクタ1150の遠位先端1152との間の長さ「L」を調整することができる。少なくとも1つの実施形態では、エンドエフェクタ1150の遠位先端1152が、定在波の波腹の位置、又はその近くに位置付けられるように、及び/又は圧電素子1132のトランスデューサスタックの中心が、長手方向振動の定在波の波節の位置、又はその近くに位置付けられるように、長さ「L」を調整することができる。
【0067】
いずれの場合も、例えば、導波管1146、エンドエフェクタ1150、及びトランスデューサ1114が、互いに対して好適に位置付けられた時点で、導波管1146をトランスデューサ1114に移動不能に固定することができる。少なくとも1つの実施形態では、導波管1146をエンドベル1120及び/又はフォアベル1122に溶接することができる。特定の実施形態では、図示されていないが、アセンブリは連結装置を更に備えることができ、この連結装置は、導波管1146をトランスデューサ1114に動作可能かつ解放可能に連結するように構成され得る。少なくとも1つのそのような実施形態では、アセンブリは、1つ以上の圧縮カラーを更に備えることができ、この圧縮カラーは、エンドベル1120及び/又はフォアベル1122を導波管1146に対して圧縮して、それらの間に摩擦嵌めを形成するために、エンドベル1120及び/又はフォアベル1122上にねじ係合され得る。そのような実施形態では、圧縮カラーは、エンドベル1120及び/又はフォアベル1122から分離され得、そうして、導波管1146及びトランスデューサ1114の相対位置を再度調整することが可能となる。種々の実施形態では、図示されていないが、超音波アセンブリは、トランスデューサ及び導波管、並びに/又はエンドエフェクタを備えることができ、導波管の少なくとも一部は、トランスデューサ内の穴の中にプレス嵌めされ得る。少なくとも1つのそのような実施形態では、外科用器具の通常の動作の過程において導波管がトランスデューサに対して非可動であり得るとしても、トランスデューサの穴の中の導波管の位置を、導波管に加えられる十分な軸力で調整することができる。
【0068】
種々の実施形態では、同様に図示されていないが、超音波器具は、開口を有するトランスデューサ、及びこれに加えて、開口に挿入されるように構成された導波管、又はエンドエフェクタを備えることができ、例えば、導波管とトランスデューサの開口の側壁との間には、熱による締まり嵌めが形成され得る。より詳細には、少なくとも1つのそのような実施形態では、トランスデューサと導波管が同じ温度、又は少なくともほぼ同じ温度の場合、導波管をトランスデューサの開口に挿入することができないように、トランスデューサの開口及び導波管を構成することができるが、導波管をトランスデューサの開口に挿入することができるようにするために、開口が膨張するようにトランスデューサを加熱することができ、及び/又は導波管が収縮するように導波管を冷却することがでる。このような温度差のため、トランスデューサに対する導波管の位置を調整することができるように、導波管とトランスデューサの開口の側壁との間には、十分な隙間が存在し得る。トランスデューサが十分に冷却された後、及び/又は導波管が十分に温められた後、導波管とトランスデューサの開口の側壁との間には、締まり嵌めが存在してもよい。このような締まり嵌めは、熱による締まり嵌めと呼ばれることがある。いずれの場合も、導波管の位置の再調整が必要であると判定されたときは、導波管がトランスデューサに対して再度移動できるようにするために、再度、トランスデューサを加熱することができる及び/又は導波管を冷却することができる。
【0069】
種々の実施形態では、トランスデューサ、導波管、及び/又はエンドエフェクタを備えるアセンブリの長さと塊体は、アセンブリの共振周波数を決定づけることができる。種々の状況において、アセンブリの長さは、アセンブリの共振周波数が、電流源又は電流源がトランスデューサに供給可能な周波数の範囲内となるように選択され得る。特定の実施形態では、所与のトランスデューサ、導波管、及び/又はエンドエフェクタを共に使用することが必要であってもよく、異なる長さの導波管又は異なるエンドエフェクタが必要な場合には、全部ひっくるめて異なる外科用器具が必要であってもよい。様々な代替の実施形態では、図25を参照すると、外科用器具が様々な長さを有する及び/又は様々な用途を有するように適合できるよう、外科用器具キットは、トランスデューサ、並びにトランスデューサに組み立てることができる2つ以上の導波管及び/又は2つ以上のエンドエフェクタを備えるハンドピースを含むことができる。より詳細には、少なくとも1つの実施形態では、キットは、トランスデューサ1214と、一体化された第1の導波管1246a及び第1のエンドエフェクタ1250aと、一体化された第2の導波管1246b及び第2のエンドエフェクタ1250bと、を含むことができ、少なくとも1つのそのような実施形態では、例えば、外科医は、外科用器具が異なる長さを有し得るように、一体化された第1の導波管1246a及び第1のエンドエフェクタ1250a、並びに/又は一体化された第2の導波管1246b及び第2のエンドエフェクタ1250bを、トランスデューサ1214に選択的に組み立てることができる。種々の実施形態では、一体化された第1の導波管1246a及びエンドエフェクタ1250aの長さ及び塊体は、これらがトランスデューサ1214の取り付けられた場合、電圧源及び/又は電流源が第1の共振周波数でトランスデューサ1214に動力を供給することができるようなものであり得、同様に、一体化された第2の導波管1246b及びエンドエフェクタ1250bの長さ及び塊体は、これらがトランスデューサ1214に取り付けられた場合、電圧源及び/又は電流源が第2の異なる共振周波数でトランスデューサ1214に動力を供給することができるようなものであり得る。特定の実施形態では、第1及び第2共振周波数は、同じか、又は少なくともほぼ同じであり得る。種々の実施形態では、トランスデューサ1214は、ねじ山付き開口1268を含むことができ、導波管1246a及び1246bは、それぞれ、ねじ山付き開口1268にねじ込み可能に挿入され得るねじ山付きスタッド1248を含むことができる。特定の実施形態では、一体化された導波管1246a及びエンドエフェクタ1250aは、アセンブリの共振周波数で、振動の定在波の波長の2分の1の整数倍、即ち、(nλ)/2である第1の長さを含むことができる。同様に、少なくとも1つの実施形態では、一体化された導波管1246b及びエンドエフェクタ1250bは、アセンブリの共振周波数で、振動の定在波の波長の2分の1の整数倍、即ち、(mλ)/2である第2の長さを含むことができ、式中、例えば、mはn未満であり得る。種々の実施形態では、導波管及びエンドエフェクタの長さは、アセンブリの先端部1252a及び1252b、並びに/又はねじ山付きスタッド1248が、振動の定在波の波腹又はその近くに位置付けられるように構成され得る。
【0070】
種々の実施形態では、上記に加えて、超音波器具は、トランスデューサと、導波管と、エンドエフェクタと、を備えてもよく、超音波器具は、トランスデューサを少なくとも部分的に取り囲むハウジングと、導波管及び/又はエンドエフェクタを少なくとも部分的に取り囲む外装と、を更に備えてもよい。少なくとも1つの実施形態では、図26を参照すると、超音波外科用器具1310は、トランスデューサ1314と、トランスデューサ1314を包囲するハウジング1316と、導波管1346と、導波管1346を包囲する外装1341と、エンドエフェクタ1350と、を備えることができる。特定の実施形態では、外科用器具1310は、1つ以上の安定化支持体1356を更に含むことができ、安定化支持体1356は、導波管1346及び/又はエンドエフェクタ1350を外装1341内に支持するように構成され得る。少なくとも1つのそのような実施形態では、外装1341は、ハンドル部分を構成することができ、及び/又は外科医が外科用器具1310を正確に操作すること、特にエンドエフェクタ1350の遠位端1352を正確に操作することができるように、外科医によって把持されるように又は握られるように構成され得る。少なくとも1つの実施形態では、外装1341の外表面の少なくとも一部は、粗面化された及び/又は非平滑化された表面を含むことができる。特定の実施形態では、外装1341の外表面は、円形、又は少なくとも実質的に円形の断面を含むことができ、その直径は、約5ミリメートル、約10ミリメートル、約15ミリメートル、及び/又は約4ミリメートル〜約16ミリメートルである。
【0071】
いずれの場合も、支持体1356は、外装1341と導波管1346との間で力を伝達するのに十分なだけ剛性であり得、尚かつ、導波管1346と外装1341との間の相対運動を可能にするだけ十分に柔軟であり得る。特定の実施形態では、支持体1356は、例えば、導波管1346と外装1341との間で伝達される振動を弱めることもできる。種々の実施形態では、支持体1356は、長手方向振動の定在波の波節の位置又はその近くに位置付けることができるが、支持体1356は、任意の好適な位置に位置付けることができる。例えば、振動の長手方向定在波の波節の位置又はその近くに位置付けられた支持体1356は、小さい変位を受けてもよく、したがって、小さな振動が外装1341に伝達されてもよい。いずれの場合も、トランスデューサハウジング1316は、外装1341に取り付けることができ、種々の実施形態では、ハウジング1316は、外装1341に接着、固着、及び/又はその他の方法で好適に固定され得る。種々の実施形態では、ハウジング1316は、ハウジング1316がトランスデューサ1314と直接接触しないように外装1341に取り付けることができる。少なくとも1つのそのような実施形態では、トランスデューサ1314及びハウジング1316は、互いに対して移動、又は浮遊可能である。少なくとも1つの実施形態では、図26を参照すると、外科用器具1310は、例えば、ハウジング1316と外装1341との中間に位置付けられる、支持体1353などの1つ以上の弾性支持体を更に含むことができ、支持体1353は、外装1341とハウジング1316との間で伝達される振動を弱めるように構成され得る。特定の実施形態では、支持体1353は、外装1341とハウジング1316との間で圧縮されるOリングを含むことができる。そのような構成により、少なくとも1つの実施形態では、トランスデューサハウジング1316と外装1341との間の連結は、外科用器具1310の長さに沿った任意の好適な位置で生じることができ、そのような位置が長手方向振動の定在波の波節及び/又は波腹の位置であるかどうかは、ほとんどあるいはまったく関係ない。
【0072】
種々の実施形態では、上記に加えて、例えば、トランスデューサハウジング1316などのトランスデューサハウジングは、剛性、又は少なくとも実質的に剛性の材料(例えば、プラスチック)で構成され得る。特定の実施形態では、トランスデューサハウジングがその中に位置付けられたトランスデューサと接触しない、又は少なくとも実質的に接触しない第1の構成と、トランスデューサハウジングがトランスデューサと接触する第2の位置との間で、トランスデューサハウジングが偏向すること、又は弾性的に変形することができるように、トランスデューサハウジングは十分に可撓性であり得る。少なくとも1つの実施形態では、ここで図27図30を参照すると、超音波外科用器具は、トランスデューサ1414と、トランスデューサ1414を少なくとも部分的に取り囲むトランスデューサハウジング1416と、トランスデューサ1414と動作可能に連結され得る導波管1446と、を備えることができる。上記と同様に、図27図30には示されていないが、外科用器具は、導波管1446を少なくとも部分的に取り囲む外装を更に含むことができ、例えば、ハウジング1416の少なくとも一部は、外装に取り付けることができる。特定の実施形態では、図28を参照すると、外科医、又はその他の臨床医は、把持力を加えるためにハウジング1416を把持して、ハウジング1416がトランスデューサ1414の少なくとも一部(例えば、つかみ部)と係合するように、ハウジング1416をトランスデューサ1414に向けて内向きに偏向させることができる。そのような状況では、外科医又は臨床医は、導波管1446をトランスデューサ1414に実装する間、ハウジング1416を介してトランスデューサ1414を適切な位置に保持することができる。より詳細には、少なくとも1つの実施形態では、トランスデューサ1414は、例えば、1つ以上の平面、又は少なくとも実質的な平面1421を有する遠位端、又はつかみ部1422を含むことができ、外科医又は臨床医は、上記に概略されているように導波管1446の近位端をトランスデューサにねじ込み可能に挿入している間、この遠位端、又はつかみ部1422を容易に握ることができる。そのような状況では、図28を参照すると、外科医若しくは臨床医は、導波管1446とトランスデューサ1414とが共に好適に固定されるまで、トランスデューサ1414を第1の方向に回転させること、又はトルクを与えること、及び/又は導波管1446を第2の方向、若しくは逆方向に回転させること、又はトルクを与えることが可能である。他の種々の実施形態では、例えば、トランスデューサは把持可能な特徴部を含んでもよく、この特徴部により、外科医が導波管をトランスデューサの中に軸方向、又は長手方向に挿入するのが可能となる。いずれの場合も、少なくとも1つの実施形態では、つかみ部1422は、例えば、長手方向振動の定在波の波腹に位置し得る。
【0073】
種々の実施形態では、導波管がトランスデューサに取り付けられた時点で、外科医又は臨床医はハウジング1416を解放することができ、その結果、ハウジング1416は十分に膨張して、トランスデューサ1414ともはや接触しない。種々の実施形態では、ハウジング1416は、その元の形状に戻るように、十分に弾力的であり得る。上記により、特定の実施形態では、トランスデューサハウジングはトランスデューサと接触しない場合があり、その結果、使用中にトランスデューサによって形成される振動の定在波を妨げない、又はこれに影響を与えない場合がある。外科医又は臨床医が、導波管1446をトランスデューサ1414から分離しようとする場合には、外科医又は臨床医はハウジング1416を再度握って、導波管及びトランスデューサを反対方向に回転させること、又はトルクを与えることができる。種々の実施形態では、図示されていないが、ハンドルの一部は、1つ以上の内向きに延びるインターロック特徴部を含むことができ、このインターロック特徴部は、ハンドルがトランスデューサに向けて内向きに圧縮されると、トランスデューサ上の対応するインターロック特徴部と係合するように構成され得る。このような実施形態は、例えば、導波管又はエンドエフェクタがトランスデューサに実装されたときに、トランスデューサを適切な位置に保持するのを容易にすることができる、固定された構成(keyed arrangement)を提供することができる。図示されていないが、本明細書に概説したように、可撓性ハウジングは少なくとも1箇所でトランスデューサに取り付けられるが、導波管又はエンドエフェクタをトランスデューサに接続するために、可撓性ハウジングが内方に可撓性である様々な代替の実施形態が想定される。
【0074】
種々の実施形態では、上記に概略されているように、例えば、超音波外科用器具のトランスデューサによって生成される電力、及び/又はトランスデューサによって生成される振動の大きさは、トランスデューサの圧電素子全体に加えられる電圧ポテンシャルと比例し得る。圧電素子に加えられる電圧を増加させることで、トランスデューサの出力を増加させることが可能であるが、上記に概略されているように、そのような電力の増加により、温度の望ましくない上昇が起こる可能性がある。特定の実施形態では、ここで図31を参照すると、外科用器具は、導波管1546と、エンドエフェクタ1550と、第1のトランスデューサ1514aと、第2のトランスデューサ1514bと、を備えることができ、導波管1546は第1のトランスデューサ1514aに取り付けることができ、第1のトランスデューサ1514aは第2のトランスデューサ1514bに取り付けることができる。少なくとも1つの実施形態では、上記と同様に、例えば、トランスデューサ1514a及びトランスデューサ1514bの一方は、開口1568などのねじ山付き開口を含むことができ、例えば、トランスデューサ1514a及びトランスデューサ1514bの他方は、ポスト1548などのねじ山付きポストを含むことができ、ねじ山付きポスト1548及びねじ山付き開口1568は、第1のトランスデューサ1514aと第2のトランスデューサ1514bを共にしっかりと固着するように構成され得る。
【0075】
種々の実施形態では、上記に加えて、例えば、第2のトランスデューサ1514bを第1のトランスデューサ1514aに選択的に取り付けることにより、超音波器具の出力を増加可能させることができる。少なくとも1つの実施形態では、ハンドルと、第1のトランスデューサと、第2のトランスデューサと、導波管及び/又はエンドエフェクタと、を含むキットを、外科医に提供することができ、外科用器具が第1の出力、又は低出力を有することを外科医が所望の場合、外科医、又はその他の臨床医は、第1のトランスデューサ1514aをハンドルに挿入し、第2のトランスデューサ1514bを器具に組み立てずに、第1のトランスデューサ1514aを導波管及び/又はエンドエフェクタに組み立てることができる。特定の実施形態では、外科医又は他の臨床医がキットを受け取ったときに、第1のトランスデューサ1514aはすでにハンドルに挿入されていてもよく、また、すでに導波管及び/又はエンドエフェクタに動作可能に係合されていてもよい。いずれの場合も、外科用器具が第2の出力、又は高出力を有する必要があることを外科医が所望の場合、外科医は、第1のトランスデューサ1514a、導波管、及び/又はエンドエフェクタに第2のトランスデューサ1514bを選択的に取り付けることができる。上記と同様に、特定の実施形態では、外科医又は他の臨床医がキットを受け取ったときに、第2のトランスデューサ1514bは、すでに第1のトランスデューサ1514aに組み立て済みであってもよい。
【0076】
種々の実施形態では、上記に加えて、外科用器具のキットは、3つ以上のトランスデューサを含むことができる。例えば、少なくとも1つの実施形態では、キットは、例えば、第1の量の電力を供給するように構成された第1のトランスデューサと、第2の量の電力を供給するように構成された第2のトランスデューサと、第3の量の電力を供給するように構成された第3のトランスデューサと、を含んでもよい。特定の実施形態では、キットは、4つ以上のトランスデューサを含んでもよく、いくつかの実施形態では、キットの中のトランスデューサのいくつかは、同じか、又は少なくともほぼ同じ量の電力を供給するように構成され得る。いずれの場合も、外科医又は他の臨床医は、外科用器具に供給されることになる所望の量の電力に到達するように、提供されたトランスデューサから選択することができる。少なくとも1つのそのような実施形態では、導波管に電力を供給するために、3つ以上のトランスデューサを共に組み立てることができる。種々の実施形態では、図31を再度参照すると、トランスデューサは、直列配置で互いに固定され得、外科用器具の供給可能な総電力は、各トランスデューサの供給可能な電力を合計することによって求めることができる。
【0077】
種々の実施形態では、上記に加えて、外科用器具の導波管及び/又はエンドエフェクタに動作可能に連結された2つ以上のトランスデューサを備える超音波外科用器具は、互いに重なり合う、又は少なくとも実質的に重なり合う振動の定在波をトランスデューサが生成するように、構成され得る。少なくとも1つの実施形態では、外科用器具は、導波管内に振動の第1の定在波を生成する第1のトランスデューサと、導波管内に振動の第2の定在波を生成する第2のトランスデューサと、を備えることができ、振動の第1及び第2の定在波の波節及び波腹は、互いに一致、又は少なくともほぼ一致し得る。少なくとも1つのそのような実施形態では、定在波によって生成される変位が、互いの上に重なり合って相加効果を有するように、振動の第1及び第2の定在波は、相互に補完することができる。
【0078】
特定の実施形態では、ここで図32を参照すると、2つ以上のトランスデューサを、超音波外科用器具の導波管及び/又はエンドエフェクタに並列配置で取り付けることができる。より詳細には、少なくとも1つの実施形態では、超音波外科用器具は、導波管1646と、エンドエフェクタ1650と、第1のトランスデューサ1614aと、第2のトランスデューサ1614bと、を備えることができ、トランスデューサ1614a及び1614bは共に、導波管1646の共通の実装部分に取り付けることができる。特定の実施形態では、上記と同様に、トランスデューサ及び導波管は、協働するねじ山付き開口とポストとを含むことができ、これらは、トランスデューサを導波管に固定するために使用され得る。更に上記と同様に、トランスデューサ1614a及び1614bによって生成される長手方向振動の定在波は、定在波によって生成される変位が互いの上に重なり合って、相加効果を有するように、相互に補完することができる。種々の実施形態では、図示されていないが、超音波外科用器具は、導波管及び/又はエンドエフェクタと、並列及び直列配置の両方で動作可能に係合され得るトランスデューサを備えることができる。例えば、第1及び第2のトランスデューサは、導波管に互いに並列に直接取り付けることができ、例えば、第3のトランスデューサは、第1のトランスデューサと直列になるように第1のトランスデューサに取り付けることができ、第4のトランスデューサは、第2のトランスデューサと直列になるように第2のトランスデューサに取り付けることができる。
【0079】
種々の実施形態では、上記に加えて、第1及び第2のトランスデューサの圧電スタックのそれぞれの中心が、振動の定在波の波節の位置、又はその近くに位置付けられるように、外科用器具の第1及び第2のトランスデューサを構成することができる。他の種々の実施形態では、第1のトランスデューサの圧電スタックの中心が、波節の位置、又はその近くに位置付けられ、かつ第2のトランスデューサの圧電スタックが、波腹に近くなるように位置付けられるように、外科用器具の第1及び第2のトランスデューサを構成することができる。そのような実施形態では、上記に加えて、第1の圧電スタックは、第2の圧電スタックよりも多くの仕事を提供することが可能であり、また多くの熱を生じてもよい。少なくとも1つのそのような実施形態では、その結果、第1のトランスデューサ内の圧電素子は、第2のトランスデューサ内の圧電素子と異なることがある。より詳細には、第1のトランスデューサの圧電素子、即ち、波節に近くなるように位置付けられたトランスデューサは、例えば、第2のトランスデューサの圧電素子の材料よりも高いひずみ定数を有する材料(又は複数の材料)で構成され得る。種々の実施形態では、第1のトランスデューサの圧電素子は、第2のトランスデューサの圧電素子の材料よりも高いキュリー温度を有する材料で構成され得る。特定の実施形態では、第1のトランスデューサの圧電素子は、第2のトランスデューサの圧電素子よりも多い、又は少ない数のデューティサイクルを受けた圧電素子を含むことができる。
【0080】
種々の実施形態では、超音波外科用器具は、導波管及び/又はエンドエフェクタと、第1のトランスデューサと、第2のトランスデューサと、を備えることができ、第1及び第2のトランスデューサは、上記に概略されているように、導波管及び/又はエンドエフェクタに動作可能に係合され得る。少なくとも1つの実施形態では、第1のトランスデューサ及び第2のトランスデューサは、それぞれ選択的に作動可能であり得る。少なくとも1つのそのような実施形態では、外科用器具はハンドルを備え、このハンドルは、その中に配置された第1及び第2のトランスデューサを選択的に作動させるように構成され得る、1つ以上のスイッチを備えることができる。例えば、スイッチは、第1のトランスデューサを作動させるために、オフ位置から第1の位置へ、第2のトランスデューサを作動させるために第2の位置へ、及び/又は第1のトランスデューサ及び第2のトランスデューサを作動させるために第3の位置へ移動され得る。特定のその他の実施形態では、ハンドルは、第1のトランスデューサを選択的に作動させるように構成された第1のスイッチと、更に、第2のトランスデューサを選択的に作動させるように構成された第2のスイッチと、を備えることができる。そのような実施形態では、外科医は、導波管及び/又はエンドエフェクタに供給される電力を選択することができる。様々な代替の実施形態では、外科用器具は、選択的に作動させることができる3つ以上のトランスデューサを備えることができる。
【0081】
種々の実施形態では、上記に概略されているように、トランスデューサは、フォアベルと、エンドベルと、フォアベルとエンドベルとの間で圧縮された、又はクランプされた1つ以上の圧電素子と、を備えることができる。多くの場合、フォアベル及び/又はエンドベルは、圧電素子を互いに整列させるために、圧電素子の開口内に位置付けられるように構成されたシャフトを有することができる。トランスデューサが組み立てられた時点で、種々の実施形態では、導波管及び/又はエンドエフェクタは、トランスデューサに動作可能に取り付けることができる。本明細書に記載の種々の他の実施形態では、超音波外科用器具は、導波管と、エンドエフェクタと、導波管及び/又はエンドエフェクタに直接実装され得る1つ以上の圧電素子と、を備えることができる。少なくとも1つの実施形態では、図33を参照すると、外科用器具は、エンドエフェクタ1750と、一体化された位置合わせポスト、又はシャフト1722と、を備えることができ、その中に開口を有する圧電素子は、圧電素子がショルダー部1746と当接するまでポスト1722に沿って摺動可能であるように、ポスト1722と位置合わせされ得る。種々の実施形態では、ここで図34を参照すると、超音波外科用器具は、エンドエフェクタ1850と、導波管1846と、圧電素子1832と、を備えることができ、素子1832は、導波管1846に接してスタックされるまで、シャフト1822に沿って摺動可能である。その後、端位部材1820などの端位部材を、例えば、位置合わせシャフト1822と係合させて、端位部材1820と導波管1846との間に圧電素子1832を固定するために使用することができる。少なくとも1つのそのような実施形態では、位置合わせシャフト1822はねじ山付き末端部を含むことができ、更には、端位部材1820はねじ山付き開口を含むことができ、ねじ山付き開口は、位置合わせシャフト1822のねじ山付き末端部をねじ込み可能に受容するように構成され得る。
【0082】
種々の実施形態では、上記に概略されているように、圧電素子を収縮及び膨張させ、かつ振動を生じさせるために、トランスデューサの圧電素子に電圧ポテンシャルが加えられてもよい。これも同様に上で概説されているように、例えば、そのような電圧ポテンシャルを、2つの値の間、例えば、最小値と最大値との間でサイクルさせてもよい。種々の実施形態では、電圧ポテンシャルが圧電素子に影響を及ぼすことができるように、圧電素子を分極処理することができる。より詳細には、各圧電素子内に正味の電気双極子又は磁気双極子が生じるように、圧電素子に分極処理工程を行うことができ、電圧ポテンシャルは、磁気双極子と相互に作用して、圧電素子を振動させることができる。分極処理工程の間、圧電材料内にドメインを整列させ、かつ圧電素子内に正味の磁気双極子を作り出すために、圧電材料に大きな電場を印加することができるように、圧電素子の対向する両側に電極を印加することができる。少なくとも1つの実施形態では、電極は、電極の上にスクリーン印刷されてもよく、その場合、1つ以上のステンシルが、圧電素子の両面と位置合わせすることができ、また、導電性インクが圧電素子に選択的に適用されるように、導電性インクを有するローラーを、ステンシル全域に転がすことができる。特定の実施形態では、圧電素子の表面にメッシュ材料を適用することができ、その場合、導電性インクは、圧力を受けて、ステンシルのマスキング部分で覆われていないメッシュ材料、又は不織布材料を通過させることができる。
【0083】
種々の実施形態では、上記に概略されているように、圧電素子を分極処理するのに使用された電極は、第2の組の電極をトランスデューサスタックの様々な圧電素子の中間に位置付けることができるように、圧電素子から研削、及び/又は別の方法で除去されてもよく、第2の組の電極は、外科用器具の操作中に用いられる電圧ポテンシャルを生じることができる。他の種々の実施形態では、第2の組の電極は、物理蒸着法(PVD)を用いて圧電素子に適用され得、その場合、導電材料が圧電素子に堆積することができるように、例えば、金属などのある種の導電材料を、低圧環境下で蒸発させることができる。特定の実施形態では、導電材料が圧電素子上に選択的に堆積され得るように、ステンシル、又はマスクを圧電素子の表面上に設置することができる。
【0084】
種々の実施形態では、圧電素子を分極処理するのに使用された電極は、使用中に圧電素子に電圧ポテンシャルを印加するために使用することもできる。少なくとも1つの実施形態では、電極は、圧電素子の上にパッドプリントされ得る。少なくとも1つのそのような実施形態では、導電性インクは、印刷版の上に置くこと、又は注ぎ込むことができ、例えば、インクの表面は、空気にさらされた後に粘着性になり得る。その後、インクの粘着性部分が転送パッド(transfer pad)に付着するように、転送パッドをインクの上に押し付けることができ、転送パッドを圧電素子の上に位置付けることができ、また、インクが圧電素子に付着するように、転送パッドを圧電素子の上に押し付けることができる。そのような実施形態では、印刷版は、様々なレリーフ又は輪郭を有することができ、このレリーフ又は輪郭は、導電性インクを収容することができ、かつそれに対応して、圧電素子上の導電性インクが適用されることになるそれぞれの領域を画定することができる印刷版の領域を画定することができる。種々の実施形態では、導電性インクは、例えば、流体、銀、及び/又はカーボンを含むことができる。
【0085】
種々の実施形態では、上記に加えて、1つ以上の電極を、圧電素子に接着させることができる。少なくとも1つの実施形態では、ここで図35を参照すると、例えば、トランスデューサは、1つ以上の圧電素子1932を備えることができ、各圧電素子1932は、コア、又はディスク1931と、正電極1934と、負電極1936と、を含むことができる。少なくとも1つのそのような実施形態では、正電極1934及び/又は負電極1936は、導電接着剤を使用してコア1931に接着され得る。その結果、使用の際、上記に概略されているように、正電極と負電極との間に電圧ポテンシャルが生成され得るように、電圧源は、正電極1934及び負電極1936に動作可能に連結され得る。トランスデューサスタック1914(図36)などのトランスデューサスタックの中に圧電素子1932が組み立てられる場合、例えば、圧電素子1932を、それらの正電極及び/又は負電極が互いに整列するように配置することができる。例えば、圧電素子1932aの負電極1936は、圧電素子1932bの負電極1936と接して位置付けることができ、同様に、例えば、圧電素子1932bの正電極1934は、圧電素子1932cの正電極1934と接して位置付けることができる。隣接する負電極1936の間の接触により、及び/又は隣接する正電極1934の間の接触により、負電極1934又は正電極1936の一方の分極は、隣接する電極を分極させることができる。
【0086】
種々の実施形態では、上記に加えて、各電極は、圧電素子のコア1931に接着される本体と、電極本体及び/又はコア1931から外方に延びるように構成され得るタブ、又は部分1935と、を含むことができる。少なくとも1つのそのような実施形態では、圧電素子のコア1931は、外側輪郭を含むことができ、タブ、又は部分1935は、コア1931の外側輪郭に対して外方に延びることができる。特定の実施形態では、隣接する圧電素子1932のタブ1935は、互いに接続され得る。少なくとも1つのそのような実施形態では、例えば、隣接する負電極1936、又は隣接する正電極1934が互いに電気的通信状態となり、同じ、又は少なくとも実質的に類似した電圧ポテンシャルを有することができるように、隣接する圧電素子1932のタブ1935を、導電性クリップ、結合装置、及び/又は接続電極を使用して結合することができる。少なくとも1つの実施形態では、例えば、クリップ1933は、隣接するタブ1935を接続することができ、少なくとも1つの実施形態では、クリップ1933は、開放形態から閉鎖形態へとクリップを付勢することができるバネを含むことができる。特定の実施形態では、以下により詳細に更に記載されるように、例えば、様々な圧電素子のコア1931は、位置合わせ特徴部を含むことができ、この位置合わせ特徴部は、隣接する圧電素子が一方向に、又は限定された数の方向に、互いに組み付けることができるのを確実にするように構成され得る。少なくとも1つのそのような実施形態では、圧電素子の位置合わせ特徴部が互いに整列又は少なくとも実質的に整列するときに、電極のタブ1935が互いに整列又は少なくとも実質的に整列するように、位置合わせ特徴部を構成することができる。
【0087】
種々の実施形態では、ここで図37及び図38を参照すると、トランスデューサスタック2014は、例えば、素子2032などの複数の圧電素子を備えるように構成され得、各素子2032は、負電極2034と正電極2036とを備えることができる。特定の実施形態では、トランスデューサスタック2014は、複数の負電極2034に動作可能に接続され得る1つ以上の第1の接続電極2033a、及び更には、複数の正電極2036に動作可能に接続され得る1つ以上の第2の接続電極2033bを更に備えることができる。より詳細には、少なくとも1つの実施形態では、負電極2034のそれぞれを、同じか、又は少なくともほぼ同じ電圧ポテンシャルで分極するために、第1の接続電極2033aは、負電極2034に関連付けられたタブ2035に接続され得、及び更に、正電極2036のそれぞれを、同じか、又は少なくともほぼ同じ電圧ポテンシャルで分極するために、第2の接続電極2033bは、正電極2036に関連付けられたタブ2035に接続され得る。種々の実施形態では、接続電極は、例えば、黄銅又は銅のストリップ又は材料を含むことができ、第1の接続電極2033aは、負電極2034に溶接又は半田付けされ得、また同様に、第2の接続電極2033bは、正電極2036に溶接又は半田付けされ得る。いくつかの実施形態では、接続電極は、絶縁ワイヤ、及び/又は任意の他の好適な導線を含むことができる。特定の実施形態では、図示されていないが、例えば、接続電極は、タブ2035と動作可能に係合され得る1つ以上のクリップ又はクランプ要素を含んでもよい。いずれの場合も、上記に加えて、第1の接続電極2033aは、電池2029、及び/又は任意の他の好適な電源の負端子と動作可能に結合され得、第2の接続電極2033bは、電池2029の正端子に動作可能に結合され得る。
【0088】
種々の実施形態では、図39を参照すると、トランスデューサスタック2114の接続電極2133は、圧電素子2132の外径(OD)、又は外側輪郭に対して半径方向外向きに位置付けることができる。種々の状況において、圧電素子2132の外径(OD)、又は外側輪郭と、トランスデューサハウジング2116との間には、接続電極2133を収容するために、様々な径方向の隙間が存在し得る。しかしながら、そのような隙間は、圧電素子の電力容量の損失を意味し得る。より詳細には、上述のように、例えば、より大きな直径を有する圧電素子は、より大量の仕事を発生させる能力を有し、上記の隙間は、圧電素子の直径、又は寸法の損失を意味し得るので、隙間は、圧電素子の電力容量を低減させる可能性がある。しかしながら、ある特定の状況では、特に圧電素子が長手方向の収縮を受ける場合に、圧電素子2132の半径方向の膨張、又はポアソン膨張を収容するために、圧電素子2132とトランスデューサハウジング2116との間に若干の隙間があるのが望ましい場合がある。
【0089】
種々の実施形態では、ここで図40及び図41を参照すると、トランスデューサスタック2214は、複数の圧電素子2232と、圧電素子2232の中間に位置付けられる正の分極性電極2236及び/又は負の分極性電極2234と、負電極2234を動作可能に接続する及び/又は正電極2236を動作可能に接続する1つ以上の接続電極2213と、を備えることができる。少なくとも1つの実施形態では、図41を参照すると、各圧電素子2232は、外径、又は外側輪郭と、その中の1つ以上の溝、ノッチ、又はスロット2239と、を含み、ノッチ2239は、その中に接続電極2213を位置付けるように構成され得る。より詳細には、少なくとも1つの実施形態では、例えば、各ノッチ2239は、接続電極2213とノッチ2239の側壁との間に隙間嵌めが存在するように接続電極2213を受容するように、寸法設定又は構成され得る。少なくとも1つのそのような実施形態では、例えば、各ノッチ2239は、接続電極2213の幅「W」よりも広い幅と、接続電極2213の高さ「L」よりも深い深さと、を有することができる。少なくとも1つの実施形態では、幅Wは約2mmであってよく、高さLは約0.6mmであってよい。種々の実施形態では、接続電極2213及びノッチ2239は、接続電極2213が圧電素子2232の外側輪郭の上方、又は外方に延びないように構成され得る。いずれの場合も、図41を参照すると、例えば、ノッチ2239により、圧電素子2232の最大外径(OD=2r+2L)、又は外側輪郭は、圧電素子2132の最大外径(OD=2r)、又は外側輪郭よりも大きくてもよく、その結果、圧電素子2232は、圧電素子2132よりも大きな出力を生じることが可能である。特定の実施形態では、圧電素子2232の直径(OD=2r+2L)は、例えば、約8mm、約10mm、約12mm、約14mm、及び/又は約16mmの直径を有することができ、特定の実施形態では、そのような圧電素子は、例えば、圧電素子2132と比べて、約13%〜約53%の出力増加をもたらすことが可能である。
【0090】
種々の実施形態では、上記に加えて、例えば、トランスデューサスタック2214の接続電極2213は、1つ以上の負の分極性電極2234及び/又は1つ以上の正の分極性電極2236と電源とを、動作可能に接続することができる。例えば、図40を参照すると、例えば、接続電極2213は、第1の正電極2236及び第2の正電極2236と電池の正端子を接続することができ、その場合、接続電極2213は、第1の正電極2236と第2の正電極2236との中間に位置付けられた負電極2234にまたがり、かつこれに動作可能に係合されないブリッジを含むことができる。トランスデューサスタックの反対側では、例えば、接続電極2213は、第2の正電極2236と第3の正電極2236を動作可能に接続することができ、その場合、上記と同様に、接続電極2213は、第2の正電極2236と第3の正電極2236との中間に位置付けられた別の負電極2234にまたがり、かつこれに動作可能に係合されないブリッジを含むことができる。種々の実施形態では、トランスデューサスタック2214内の全ての正電極2236を、互いに及び電源の正端子と動作可能に接続するために、このようなパターンを繰り返すことができる。図41から分かるように、圧電素子2232は、上記の接続電極の配列を収容するために、その両側にノッチ2239を含むことができるが、他の配列も可能である。上記と同様に、例えば、接続電極は、第1の負電極2234及び第2の負電極2234と電池の負端子を接続するように構成され得、その場合、接続電極2213は、第1の負電極2234と第2の負電極2234との中間に位置付けられた正電極2236にまたがり、かつこれに動作可能に係合されないブリッジを含むことができる。トランスデューサスタックの反対側では、例えば、別の接続電極2213は、第2の負電極2234と第3の負電極2234を動作可能に接続することができ、その場合、上記と同様に、接続電極2213は、第2の負電極2234と第3の負電極2234との中間に位置付けられた別の正電極2236にまたがり、かつこれに動作可能に係合されないブリッジを含むことができる。
【0091】
種々の実施形態では、ここで図42及び図43を参照すると、トランスデューサスタック2314は、複数の圧電素子2332と、圧電素子2332の中間に位置付けられた正電極2336及び/又は負電極2334と、負電極2334を動作可能に接続する及び/又は正電極2336を動作可能に接続する1つ以上の接続電極2313と、を備えることができる。少なくとも1つの実施形態では、圧電素子2332は、1つ以上の平面2339を含むことができ、平面2339は、接続電極2313を収容し、その上、圧電素子2332の平均直径を、圧電素子2132の平均直径と比べて増大させるように構成され得る。より詳細には、図43を参照すると、各圧電素子2332の様々な円形部分、即ち、平らな部分2339の中間の部分の直径は、圧電素子の外径(OD=2r+2L)が、接続電極2313によって画定される直径と同じ距離、又は少なくともほぼ同じ距離であるように増大され得る。少なくとも1つのそのような実施形態では、そのような中間部分は、各圧電素子2332の全体寸法、又は面積を増大させることができ、ひいては、圧電素子が発生させる仕事量を増大させることができる。特定の実施形態では、上記と同様に、例えば、圧電素子2332の様々な部分は、約8mm、約10mm、約12mm、約14mm、及び/又は約16mmの直径を有することができ、特定の実施形態では、そのような圧電素子は、例えば、圧電素子2132と比べて、約11%〜約42%の出力増加をもたらすことが可能である。種々の実施形態では、例えば、平らな部分2339は、圧電素子に機械加工され得る。
【0092】
種々の実施形態では、上記に概略されているように、圧電素子内に正味の双極子を確立することができるように、トランスデューサの圧電素子に分極処理工程を行うことができる。少なくとも1つの実施形態では、このような正味の双極子は、正電荷(+)と、負電荷(−)と、負電荷と正電荷との間で画定される正味の双極子モーメントベクトルと、を含むことができる。特定の実施形態では、ここで図44及び図45を参照すると、圧電素子2432などの圧電素子の正電荷(+)は、例えば、圧電素子の片側に位置付けることができ、負電荷(−)は、圧電素子の反対側に位置付けることができる。少なくとも1つのそのような実施形態では、各圧電素子2432は、正味の双極子モーメントベクトルの方向を示すことができる1つ以上のしるしを含むことができる。例えば、圧電素子2432は、その側面に形成された矢印2433を含むことができ、矢印2433は、正電荷に向かう方向であり、かつ負電荷から離れる方向を指し示すことができる。少なくとも1つの実施形態では、例えば、矢印2433は、圧電素子の側面に研削、圧入、及び/又はエッチングされ得るが、他の実施形態では、例えば、矢印2433は、圧電素子が製造されるときに圧電素子と共に一体に形成され得る。種々の実施形態では、矢印2433は、圧電素子の側面から延出すること及び/又は側面に置かれることができる。特定の実施形態では、矢印2433は、圧電素子に塗布及び/又はその他の方法で好適に適用され得る。いずれの場合も、少なくとも1つのしるしを有する圧電素子により、トランスデューサを組み立てる人が、圧電素子の極性を容易に見分け、その結果、それらの極が互いに適切に整列するように圧電素子を迅速かつ容易に配列することが可能となる。種々の実施形態では、第1の素子の双極子モーメントベクトルを、第2の素子の双極子モーメントベクトルと整列させるために、第1の圧電素子のしるしを、第2の圧電素子のしるしと位置合わせすることができる。
【0093】
上記に加えて、又は上記の代わりに、圧電素子は、隣接する圧電素子が互いに適切に整列していることを確実にするように構成され得る、指標となる1つ以上の特徴部を含むことができる。例えば、図44及び図45を再度参照すると、圧電素子2432は、1つ以上の凹部、又は溝2437と、1つ以上の突出部2439と、を含むことができ、突出部2439は、圧電素子2432が互いに適切に整列すると凹部2437内に装着されるように配置され得る。より詳細には、少なくとも1つの実施形態では、素子の片側の正電荷(+)が隣接する素子の正電荷と整列し及び/又は素子の反対側の負電荷(−)が隣接する素子の負電荷と整列するように、圧電素子が共通軸2499に沿って整列し、かつ圧電素子2432の極性が整列するときにのみ、突出部2439は凹部2437内に配置され得る。指標となる特部が好適に整列(図45参照)しないと、圧電素子2432を互いに適切に配置することができず、また、トランスデューサを組み立てる人、又は機械は、不整列を迅速に検出することが可能であり得る。種々の実施形態では、例えば、圧電素子が対で組み立てられるように、及び圧電素子の外方に面する面が、平坦で互いに平行であるか、又は少なくとも実質的に平坦で互いに実質的に平行であるように、素子2432などの様々な圧電素子を構成することができ、図44を参照すると、素子の負電荷をこの平面に隣接させることができ、また、平面と負電荷が互いに位置合わせされた状態で、圧電素子の様々な嵌合対を、互いの上部にスタックすることができる。少なくとも1つのそのような実施形態では、圧電素子の正味の双極子モーメントベクトルは、圧電素子の外方に面する平面に対して、垂直、又は少なくとも実質的に垂直であり得る。
【0094】
種々の状況において、上記に概略されているように、トランスデューサの圧電素子は、何がしかの理由で、超音波外科用器具のエンドエフェクタを振動させるのに十分な振動を生じる能力を失う、又は少なくとも部分的に失う場合がある。トランスデューサが耐用年数を超えると、トランスデューサは、多くの場合廃棄される。種々の状況において、そのようなトランスデューの圧電素子は、例えば、鉛及び/又はその他の特定の材料で少なくとも部分的に構成されてもよい。本明細書に記載の種々の実施形態では、トランスデューサ、及び/又は外科用器具は、トランスデューサを廃棄するのが望ましい場合に、トランスデューサの圧電素子を封入又は収容するための手段を含んでもよい。種々の実施形態では、図46を参照すると、トランスデューサアセンブリ2514などのトランスデューサアセンブリは、例えば、エンドベル2520と、フォアベル2522と、エンドベル2520とフォアベル2522との中間に位置付けられた1つ以上の圧電素子2532と、例えば、トランスデューサスタック2518を少なくとも部分的に封入するように構成された封入体と、を備えることができる。少なくとも1つの実施形態では、導波管及び/又はエンドエフェクタが、トランスデューサスタック2518に動作可能に係合され得るように、封入体は、フォアベル2522の一部分だけが封入体を通って延びるように圧電素子スタック2518全体を囲んでもよい。
【0095】
種々の実施形態では、上記に加えて、トランスデューサアセンブリ2514は、第1の区画2563と第2の区画2565とを有し得る封入体2561を備えることができ、その場合、トランスデューサスタック2518は第1の区画2563内に位置付けることができ、物質2567は第2の区画2565内に位置付けることができる。トランスデューサアセンブリ2514を廃棄する前、少なくとも1つの実施形態では、図47に示されるように、第2の区画2565を破断させることができ、その結果、物質2567は、第2の区画2565から第1の区画2563の中に流れ込んで、トランスデューサスタック2518を少なくとも部分的に取り囲むことができる。少なくとも1つのそのような実施形態では、図46を参照すると、側壁2569は、第1の区画2563と第2の区画2565を分離するように構成され得、その場合、側壁2569は、少なくとも1つの位置を破断させるように構成され得る。種々の実施形態では、例えば、側壁2569は、例えば、側壁2569が破断する可能性が最も高くてもよい位置を決定することができる、1つ以上の刻み目、又は脆弱な部分を含むことができる。特定の実施形態では、人が手で封入体2561を押しつぶして、第1の区画2563と第2の区画1265を分離している側壁2569を破裂させることができるように、封入体2561を構成することができる。種々の実施形態では、物質2567がその後に封入体2561から流出すること、又は少なくとも実質的に流出することができないように、封入体2561を構成することができる。少なくとも1つのそのような実施形態では、封入体2561と、封入体2561から延出するフォアベル2522の一部との間へと物質2567が流れること又は少なくとも実質的に流れることができないように、封入体2561をフォアベル2522に封止させること又は少なくとも実質的に封止させることができる。
【0096】
種々の実施形態では、ここで図48を参照すると、トランスデューサアセンブリ2614は、少なくとも1つの弁を備える封入体2661を含むことができ、この弁は、第の区画2665を第の区画2663と流体連通状態にするように開くことができる。より詳細には、少なくとも1つの実施形態では、封入体2661は、側壁2669と、例えば、物質2667を第の区画2665から第の区画2663の中に流すことができるように選択的に開くことが可能な、1つ以上の弁2671と、を含むことができる。少なくとも1つのそのような実施形態では、特に、物質2667が流体である実施形態では、封入体2661が圧縮されたときに材料2667内で生じる十分な流圧にさらされると、弁2671がぽんと開くように、弁2671を構成することができる。種々の実施形態では、物質2667は、第の区画2665内に位置付けられているとき、及び最初にトランスデューサスタック2618を取り囲んでいるときに、流体であってもよい。しかしながら、特定の実施形態では、物質2667は、第1の区画266に入った後に固まるように構成され得る。少なくとも1つのそのような実施形態では、第の区画2665は気密であることができ、例えば、物質2667が第の区画2663に入ると、物質2667は空気にさらされ、これにより物質2667を固めることができる。いずれの場合も、物質が流体のままであるか固まるかに関わらず、かかる物質が封入体から流出する可能性を更に低減するために、物質は、特定の物質をトランスデューサスタック内に封入、又は少なくとも部分的に封入することができる。
【0097】
本明細書に記載されている装置は、1回の使用の後に廃棄されるように設計することができ、又はこれらは複数回使用するように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、デバイスは少なくとも1回の使用後、再使用のために再調整され得る。再調整は、装置の解体工程、これに続く洗浄工程、又は特定部品の交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組み合わせを含むことができる。特に、装置は解体することができ、装置の任意の数の部品又は構成要素は、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外すことができる。特定の構成要素の洗浄及び/又は交換の際に、装置は、機能の再調整時に、又は外科手術直前に手術チームにより、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者は、装置の再調整に、解体、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術が使用できることを理解するであろう。このような技術の使用、及びその結果として得られる再調整された装置は、全て、本出願の範囲内にある。
【0098】
好ましくは、本明細書に記載されている様々な実施形態は、手術の前に処理される。まず新品又は使用済みの器具を入手し、必要に応じてクリーニングを行う。次に、器具を滅菌することができる。滅菌法の1つでは、この器具をプラスチック又はTYVEKバッグ等の閉鎖かつ密閉された容器に入れる。次いで容器及び器具を、γ線、X線又は高エネルギー電子等の容器を貫通することができる放射線野の中に配置する。この放射線によって器具上及び容器内の細菌が殺菌される。滅菌された器具は、その後、無菌容器内で保管することができる。密封容器は、それが医療施設内で開封されるまで、器具を無菌に保つ。滅菌又はβ線若しくはγ線、エチレンオキシド、及び/又は蒸気を含め、当業者に既知の任意の数の方法によって実施することができる。
【0099】
種々の実施形態では、超音波外科用器具は、導波管及び/又はエンドエフェクタがすでに外科用器具のトランスデューサに動作可能に連結された状態で、外科医に供給され得る。少なくとも1つのそのような実施形態では、外科医、又はその他の臨床医は、超音波外科用器具を滅菌包装から取り出し、上記に概略されているように超音波器具を発生器に差し込んで、外科的処置中に超音波器具を使用することができる。このようなシステムは、外科医、又はその他の臨床医が、導波管及び/又はエンドエフェクタを超音波外科用器具に組み立てる必要性を排除することができる。超音波外科用器具の使用後、外科医、又はその他の臨床医は、超音波器具を密封可能な包装に入れることができ、この包装を殺菌施設に運ぶことができる。殺菌施設では、超音波器具を消毒することができ、あらゆる使用済みの部品を廃棄及び交換することができる一方で、再利用可能な部品を殺菌して、再度使用することが可能である。その後、超音波器具は、再組み立てされ、試験され、無菌包装に入れられ、及び/又は包装に入れられた後に殺菌され得る。いったん殺菌されると、再加工された超音波外科用器具を再度使用することができる。
【0100】
種々の実施形態が本明細書で記載されてきたが、これらの実施形態に多くの改変及び変形が実施され得る。例えば、異なる方式のエンドエフェクタを使用することができる。また、特定のコンポーネントについて材料を開示した部分では、他の材料を使用することもできる。以上の説明及び以下の特許請求の範囲は、このような改変及び変形を全て網羅するものである。
【0101】
全体又は部分において、本明細書に参照により組み込まれると称されるいずれの特許公報又は他の開示物も、組み込まれた事物が現行の定義、記載、又は本開示に記載されている他の開示物と矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれる。このように及び必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載されている開示は、参照により本明細書に組み込んだ任意の矛盾する事物に取って代わるものとする。本明細書に参照により組み込まれるといわれるが本明細書に記載した既存の定義、記述、又は他の開示資料と矛盾する、任意の資料又はその一部は、組み込まれる資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込むものとする。
【0102】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
振動を生成するように構成されたトランスデューサと、
封入体であって、
第1の区画であって、前記トランスデューサは、該第1の区画を有して位置付けられる、第1の区画と、
第2の区画と、
前記第2の区画内に位置付けられる材料であって、前記材料は、前記第2の区画から前記第1の区画の中に分配されて、前記トランスデューサを少なくとも部分的に取り囲むように構成される、材料と、を含む、封入体と、を備える外科用器具。
(2) 前記封入体が、前記第1の区画と前記2の区画を分離する側壁を更に備え、前記側壁が、前記材料が前記第1の区画に入ることができるように破断するように構成される、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記材料が、前記第2の区画が破断される前は流体であるように構成され、前記材料が、前記第1の区画に入った後に固まるように構成される、実施態様2に記載の外科用器具。
(4) 前記封入体が、前記第1の区画と前記第2の区画とを流体連通状態にするために開き、前記材料が前記第1の区画に入ることができるようにするように構成された弁を更に備える、実施態様1に記載の外科用器具。
(5) 外科用器具のトランスデューサであって、
第1の端位部材と、
第2の端位部材と、
前記第1の端位部材と前記第2の端位部材の中間に位置付けられた少なくとも1つの圧電素子であって、前記少なくとも1つの圧電素子は、振動を生成するように構成される、圧電素子と、
前記第1の端位部材及び前記第2の端位部材に取り付けられる可撓性ストラップを含むポンプであって、前記可撓性ストラップは、前記少なくとも1つの圧電素子によって生成される前記振動によって可動である、ポンプと、を備える外科用器具のトランスデューサ。
(6) 前記可撓性ストラップが、前記第1の端位部材と前記第2の端位部材との間に熱を伝導するように構成された金属ストリップを含む、実施態様5に記載のトランスデューサ。
(7) 空隙が、前記可撓性ストラップと前記少なくとも1つの圧電素子との間に画定される、実施態様5に記載のトランスデューサ。
(8) 前記第1の端位部材、前記第2の端位部材、及び前記少なくとも1つの圧電素子が、長手方向軸に沿って位置付けられ、前記可撓性ストラップが、前記長手方向軸に対して直角な方向に偏向するように構成される、実施態様5に記載のトランスデューサ。
(9) 前記可撓性ストラップに取り付けられる塊体を更に含み、前記塊体が、前記第1の端位部材と前記第2の端位部材との中間に位置付けられる、実施態様5に記載のトランスデューサ。
(10) 外科用器具において、
振動を生成するように構成されたトランスデューサと、
前記トランスデューサに動作可能に連結されるエンドエフェクタと、
開口を含む外装であって、前記エンドエフェクタの少なくとも一部は、前記開口を通って延在するように構成され、前記エンドエフェクタと前記外装との間に隙間が画定される、外装と、
前記隙間内に位置付けられる膜を含むポンプであって、前記膜は、前記外装及び前記エンドエフェクタに取り付けられ、前記エンドエフェクタは、前記トランスデューサによって生成される前記振動によって、前記外装に対して移動されるように構成され、前記エンドエフェクタは、前記膜を動かして前記隙間内の空気を移動させるように構成される、ポンプと、を備える外科用器具。
【0103】
(11) 前記トランスデューサが、前記トランスデューサ及び前記エンドエフェクタ内に振動の定在波を生成するように構成され、前記定在波が、最小変位を有する少なくとも1つの波節と、最大変位を有する少なくとも1つの波腹とを含み、前記膜が、波腹の位置で前記エンドエフェクタに取り付けられる、実施態様10に記載の外科用器具。
(12) 前記膜が、第1の波腹の位置で前記エンドエフェクタに取り付けられる第1の膜を含み、前記外科用器具が、第2の波腹の位置で前記エンドエフェクタに取り付けられる第2の膜を更に含む、実施態様11に記載の外科用器具。
(13) 前記膜が、内部を通って空気が流れるように構成された少なくとも1つの開口を更に含む、実施態様10に記載の外科用器具。
(14) 前記膜が、前記エンドエフェクタの表面上に乱気流を作り出すように構成される、実施態様10に記載の外科用器具。
(15) 外科用器具において、
振動を生成するように構成されたトランスデューサであって、
第1のキュリー温度を有する第1の材料で構成される第1の圧電素子と、
第2のキュリー温度を有する第2の材料で構成される第2の圧電素子であって、前記第1のキュリー温度は前記第2のキュリー温度よりも高い、第2の圧電素子と、を備える、トランスデューサと、
前記トランスデューサに動作可能に連結されるエンドエフェクタと、を備え、前記トランスデューサが、前記トランスデューサ及び前記エンドエフェクタ内に振動の定在波を生成するように構成され、前記定在波が波節と波腹とを含み、前記第1の圧電素子が、前記第2の圧電素子よりも前記波節に近くなるように位置付けられる、外科用器具。
(16) 前記波節が、前記トランスデューサ及び前記エンドエフェクタの少なくとも一方中に、最大応力が生成される点を含み、前記波腹が、前記トランスデューサ及び前記エンドエフェクタの少なくとも一方中に、最小応力が生成される点を含む、実施態様15に記載の外科用器具。
(17) 前記第1の圧電素子が、前記波節に位置付けられる、実施態様15に記載の外科用器具。
(18) 前記トランスデューサが、前記第1の圧電素子及び前記第2の圧電素子に電圧ポテンシャルを印加するように構成された電源と動作可能に係合可能であり、前記第1の圧電素子が第1の電流を引き込むように構成され、前記第2の圧電素子が第2の電流を引き込むように構成され、前記第1の電流が前記第2の電流よりも大きい、実施態様15に記載の外科用器具。
(19) 前記第1の電流が、前記第1のキュリー温度よりも低い第1の動作温度まで前記第1の圧電素子を加熱するように構成され、前記第2の電流が、前記第2のキュリー温度よりも低い第2の動作温度まで前記第2の圧電素子を加熱するように構成される、実施態様18に記載の外科用器具。
(20) 外科用器具のトランスデューサであって、
第1の分極性電極と、
第1の圧電素子であって、
第1の外側輪郭と、
前記第1の外側輪郭の中の第1のノッチと、を含む、第1の圧電素子と、
第2の圧電素子であって、
第2の外側輪郭と、
前記第2の外側輪郭の中の第2のノッチと、を含む、第2の圧電素子と、
前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子との中間に位置付けられた第2の分極性電極と、
第3の分極性電極と、
前記第1の分極性電極及び前記第3の分極性電極を電源に動作可能に接続するように構成された第1の接続電極であって、前記第1の接続電極は、前記第1のノッチ内に位置付けられる、第1の接続電極と、
前記第2の分極性電極を前記電源に動作可能に接続するように構成された第2の接続電極であって、前記第2の接続電極は、前記第2のノッチ内に位置付けられる、第2の接続電極と、を備える外科用器具のトランスデューサ。
【0104】
(21) 前記第1の接続電極が、前記第1の圧電素子の前記第1の外側輪郭の上方に延びないように、前記第1のノッチ内に置かれ、前記第2の接続電極が、前記第2の圧電素子の前記第2の外側輪郭の上方に延びないように、前記第2のノッチ内に置かれる、実施態様20に記載のトランスデューサ。
(22) 前記第1の圧電素子及び前記第2の圧電素子が、長手方向軸に沿って位置付けられ、前記第1のノッチ及び前記第2のノッチが、前記長手方向軸の対向する両側に位置付けられる、実施態様20に記載のトランスデューサ。
(23) 前記第1の外側輪郭が円形輪郭を含み、前記第1のノッチが、前記円形輪郭内に平面を含む、実施態様20に記載のトランスデューサ。
(24) 前記第1のノッチが、前記第1の外側輪郭内に溝を含む、実施態様20に記載のトランスデューサ。
(25) 外科用器具のトランスデューサであって、
第1の圧電素子であって、
第1の本体と、
第1の双極子モーメントベクトルを画定する第1の正味の双極子極性と、
前記第1の双極子モーメントベクトルの方向を示す第1のしるしと、を含む、第1の圧電素子と、
第2の圧電素子であって、
第2の本体と、
第2の双極子モーメントベクトルを画定する第2の正味の双極子極性と、
前記第2の双極子モーメントベクトルの方向を示す第2のしるしと、を含む、第2の圧電素子と、を備え、前記第1のしるしが、前記第2のしるしと位置合わせされて、前記第1の双極子モーメントベクトルと前記第2の双極子モーメントベクトルを整列するように構成される、外科用器具のトランスデューサ。
(26) 前記第1のしるしが、前記第1の圧電素子の前記第1の本体と一体に形成される、実施態様25に記載のトランスデューサ。
(27) 前記第1の本体が、第1の表面と第2の表面とを含み、前記第1の双極子ベクトルが、前記第1の表面及び前記第2の表面に対して実質的に垂直である、実施態様25に記載のトランスデューサ。
(28) 前記第1の正味の双極子極性が正電荷と負電荷とを含み、前記第1の双極子モーメントベクトルが、前記負電荷から前記正電荷までを指し示し、前記第2の正味の双極子極性が正電荷と負電荷とを含み、前記第2の双極子モーメントベクトルが、前記負電荷から前記正電荷までを指し示す、実施態様25に記載のトランスデューサ。
(29) 前記第1の正味の双極子極性が正電荷と負電荷とを含み、前記第2の正味の双極子極性が正電荷と負電荷とを含み、前記第1の本体及び前記第2の本体が、前記第1及び第2の正味の双極子の前記正電荷及び前記負電荷が所定の配列で配置されないと、前記第1のしるしが前記第2のしるしと整列され得ないように構成される、実施態様25に記載のトランスデューサ。
(30) 外科用器具において、
振動を生成するように構成されたトランスデューサであって、
第1の圧電素子であって、前記第1の圧電素子は第1の量のデューティサイクルにさらされている、第1の圧電素子と、
第2の圧電素子であって、前記第2の圧電素子は第2の量のデューティサイクルにさらされており、前記第2の量のデューティサイクルは前記第1の量のデューティサイクルよりも高い、第2の圧電素子と、を含む、トランスデューサと、
前記トランスデューサに動作可能に連結されるエンドエフェクタと、を備え、前記トランスデューサが、前記トランスデューサ及び前記エンドエフェクタ内に振動の定在波を生成するように構成され、前記定在波が波節と波腹とを含み、前記第1の圧電素子が、前記第2の圧電素子よりも前記波節に近くなるように位置付けられる、外科用器具。
【0105】
(31) 前記波節が、前記トランスデューサ及び前記エンドエフェクタの少なくとも一方中に、最大応力が生成される点を含み、前記波腹が、前記トランスデューサ及び前記エンドエフェクタの少なくとも一方中に、最小応力が生成される点を含む、実施態様30に記載の外科用器具。
(32) 前記第1の圧電素子が、前記波節に位置付けられる、実施態様30に記載の外科用器具。
(33) 前記トランスデューサが、前記第1の圧電素子に電圧ポテンシャルを印加し、前記第2の圧電素子に電圧ポテンシャルを印加するように構成された電源と動作可能に係合可能であり、前記第1の圧電素子が第1の電流を引き込むように構成され、前記第2の圧電素子が第2の電流を引き込むように構成され、前記第1の電流が前記第2の電流よりも大きい、実施態様30に記載の外科用器具。
(34) 前記トランスデューサが第3の圧電素子を更に備え、前記第3の圧電素子が第3の量のデューティサイクルにさらされており、前記第3の量のデューティサイクルが前記第2の量のデューティサイクルよりも高い、実施態様30に記載の外科用器具。
(35) 外科用器具において、
振動を生成するように構成されたトランスデューサであって、
第1の厚さを有する第1の圧電素子と、
第2の厚さを有する第2の圧電素子であって、前記第2の厚さは前記第1の厚さよりも厚い、第2の圧電素子と、を備える、トランスデューサと、
前記トランスデューサに動作可能に連結されるエンドエフェクタと、を備え、前記トランスデューサが、前記トランスデューサ及び前記エンドエフェクタ内に振動の定在波を生成するように構成され、前記定在波が波節と波腹とを含み、前記第1の圧電素子が、前記第2の圧電素子よりも前記波節に近くなるように位置付けられる、外科用器具。
(36) 前記波節が、前記トランスデューサ及び前記エンドエフェクタの少なくとも一方中に、最大応力が生成される点を含み、前記波腹が、前記トランスデューサ及び前記エンドエフェクタの少なくとも一方中に、最小応力が生成される点を含む、実施態様35に記載の外科用器具。
(37) 前記第1の圧電素子が、前記波節に位置付けられる、実施態様35に記載の外科用器具。
(38) 前記トランスデューサが、前記第1の圧電素子に電圧ポテンシャルを印加し、前記第2の圧電素子に電圧ポテンシャルを印加するように構成された電源と動作可能に係合可能であり、前記第1の圧電素子が第1の電流を引き込むように構成され、前記第2の圧電素子が第2の電流を引き込むように構成され、前記第1の電流の大きさが前記第2の電流の大きさと実質的に同じである、実施態様35に記載の外科用器具。
(39) 外科用器具のトランスデューサを組み立てる方法であって、前記トランスデューサは、波節と波腹とを有する振動の定在波を生成するように構成され、前記方法は、
第1の材料特性を有する第1の圧電素子を選択する工程であって、前記第1の圧電素子は、電圧ポテンシャルが印加されると第1の電流を引き込むように構成される、工程と、
第2の材料特性を有する第2の圧電素子を選択する工程であって、前記第2の圧電素子は、電圧ポテンシャルが印加されると第2の電流を引き込むように構成される、工程と、
前記第1の電流の大きさと前記第2の電流の大きさとの間の差異が最小であるように、前記第1の圧電素子及び前記第2の圧電素子を、前記波節に対して配置する工程と、を含む、外科用器具のトランスデューサを組み立てる方法。
(40) 前記第1の材料特性が、前記第1の圧電素子の第1の厚さであり、前記第2の材料特性が、前記第2の圧電素子の第2の厚さであり、前記第2の厚さが前記第1の厚さよりも厚い、実施態様39に記載の方法。
【0106】
(41) 前記第1の材料特性が第1の誘電率であり、前記第2の材料特性が第2の誘電率であり、前記第1の誘電率が前記第2の誘電率よりも大きい、実施態様39に記載の方法。
(42) 前記第1の材料特性が第1の電圧感度であり、前記第2の材料特性が第2の電圧感度であり、前記第2の電圧感度が前記第1の電圧感度よりも高い、実施態様39に記載の方法。
(43) 外科用器具において、
振動を生成するように構成されたトランスデューサであって、
第1のひずみ定数を有する第1の材料で構成される第1の圧電素子と、
第2のひずみ定数を有する第2の材料で構成される第2の圧電素子であって、前記第2のひずみ定数は前記第1のひずみ定数よりも大きい、第2の圧電素子と、を備える、トランスデューサと、
前記トランスデューサに動作可能に連結されるエンドエフェクタと、を備え、前記トランスデューサが、前記トランスデューサ及び前記エンドエフェクタ内に振動の定在波を生成するように構成され、前記定在波が波節と波腹とを含み、前記第1の圧電素子が、前記第1の圧電素子よりも前記波節に近くなるように位置付けられる、外科用器具。
(44) 前記波節が、前記トランスデューサ及び前記エンドエフェクタの少なくとも一方中に、最大応力が生成される点を含み、前記波腹が、前記トランスデューサ及び前記エンドエフェクタの少なくとも一方中に、最小応力が生成される点を含む、実施態様43に記載の外科用器具。
(45) 前記第1の圧電素子が、前記波節に位置付けられる、実施態様43に記載の外科用器具。
(46) 前記トランスデューサが、前記第1の圧電素子に電圧ポテンシャルを印加し、前記第2の圧電素子に電圧ポテンシャルを印加するように構成された電源と動作可能に係合可能であり、前記第1の圧電素子が第1の電流を引き込むように構成され、前記第2の圧電素子が第2の電流を引き込むように構成され、前記第1の電流の大きさが前記第2の電流の大きさと実質的に等しい、実施態様43に記載の外科用器具。
(47) 前記トランスデューサが第3の圧電素子を更に備え、前記第3の圧電素子が、第3のひずみ定数を有する第3の材料から構成され、前記第3のひずみ定数が前記第2のひずみ定数よりも大きく、前記第2の圧電素子が、前記第3の圧電素子よりも前記波節に近い、実施態様43に記載の外科用器具。
(48) 外科用器具のトランスデューサであって、
第1の外側輪郭を含む第1の圧電素子と、
第2の外側輪郭を含む第2の圧電素子と、
前記第1の外側輪郭に対して外方に延びる第1のタブを含む第1の分極性電極であって、前記第1の分極性電極は前記第1の圧電素子と電気的通信状態である、第1の分極性電極と、
前記第2の外側輪郭に対して外方に延びる第2のタブを含む第2の分極性電極であって、前記第2の分極性電極は前記第2の圧電素子と電気的通信状態である、第2の分極性電極と、
前記第1のタブ及び前記第2のタブと動作可能に係合し、これらを電気的に接続するように構成される接続電極と、を備える、外科用器具のトランスデューサ。
(49) 前記第1の分極性電極が、前記第1の圧電素子に取り付けられる、実施態様48に記載のトランスデューサ。
(50) 前記第1の分極性電極が、前記第1の圧電素子に接着される、実施態様49に記載のトランスデューサ。
【0107】
(51) 前記第2の分極性電極が前記第2の圧電素子に取り付けられ、前記第1の圧電素子が第1の位置合わせ特徴部を含み、前記第2の圧電素子が第2の位置合わせ特徴部を含み、前記第1の位置合わせ特徴部及び前記第2の位置合わせ特徴部が、前記第1の圧電素子が前記第2の圧電素子に組み付けられるときに、前記第1のタブが前記第2のタブと位置合わせされるように構成され、前記第1の位置合わせ特徴部及び前記第2の位置合わせ特徴部が、前記第1の位置合わせ特徴部が前記第2の位置合わせ特徴部と位置合わせされないと、前記第1の圧電素子が前記第2の圧電素子に組み付けられることができないように構成される、実施態様49に記載のトランスデューサ。
(52) 前記接続電極が、開放位置と閉鎖位置との間で可動であるクリップを含み、前記クリップがその閉鎖位置に付勢されるように構成され、前記クリップの少なくとも一部が導電性材料で構成される、実施態様48に記載のトランスデューサ。
(53) 外科用器具のトランスデューサであって、
第1の外側輪郭を含む第1の圧電素子と、
第2の外側輪郭を含む第2の圧電素子と、
前記第1の外側輪郭に対して外方に延びる第1の部分を含む第1の分極性電極であって、前記第1の分極性電極は前記第1の圧電素子と電気的通信状態である、第1の分極性電極と、
前記第2の外側輪郭に対して外方に延びる第2の部分を含む第2の分極性電極であって、前記第2の分極性電極は前記第2の圧電素子と電気的通信状態である、第2の分極性電極と、
前記第1の部分及び前記第2の部分と動作可能に係合し、これらを電気的に接続するように構成される接続電極と、を備える、外科用器具のトランスデューサ。
(54) 前記第1の分極性電極が、前記第1の圧電素子に取り付けられる、実施態様53に記載のトランスデューサ。
(55) 前記第1の分極性電極が前記第1の圧電素子に接着される、実施態様54に記載のトランスデューサ。
(56) 前記第2の分極性電極が前記第2の圧電素子に取り付けられ、前記第1の圧電素子が第1の位置合わせ特徴部を含み、前記第2の圧電素子が第2の位置合わせ特徴部を含み、前記第1の位置合わせ特徴部及び前記第2の位置合わせ特徴部が、前記第1の圧電素子が前記第2の圧電素子に組み付けられるときに、前記第1の部分が前記第2の部分と位置合わせされるように構成され、前記第1の位置合わせ特徴部及び前記第2の位置合わせ特徴部が、前記第1の位置合わせ特徴部が前記第2の位置合わせ特徴部と位置合わせされないと、前記第1の圧電素子が前記第2の圧電素子に組み付けられることができないように構成される、実施態様54に記載のトランスデューサ。
(57) 前記接続電極が、開放位置と閉鎖位置との間で可動であるクリップを含み、前記クリップがその閉鎖位置に付勢されるように構成され、前記クリップの少なくとも一部が導電性材料で構成される、実施態様48に記載のトランスデューサ。
(58) 外科用器具のトランスデューサであって、
第1の圧電素子と、
第2の圧電素子と、
前記第1の圧電素子と電気的通信状態にある第1の分極性電極であって、前記第1の分極性電極は、前記第1の圧電素子の少なくとも一部に適用される導電性インクを含む、第1の分極性電極と、
前記第2の圧電素子と電気的通信状態にある第2の分極性電極と、を備える、外科用器具のトランスデューサ。
(59) 前記第2の分極性電極が、前記第2の圧電素子の少なくとも一部に適用される導電性インクを含む、実施態様58に記載のトランスデューサ。
(60) 前記第1の圧電素子が第1の位置合わせ特徴部を含み、前記第2の圧電素子が第2の位置合わせ特徴部を含み、前記第1の位置合わせ特徴部及び前記第2の位置合わせ特徴部が、前記第1の圧電素子が前記第2の圧電素子に組み付けられるときに、前記第1の導電性電極が前記第2の導電性電極と整列するように構成され、前記第1の位置合わせ特徴部及び前記第2の位置合わせ特徴部が、前記第1の位置合わせ特徴部が前記第2の位置合わせ特徴部と位置合わせされないと、前記第1の圧電素子が前記第2の圧電素子に組み付けられることができないように構成される、実施態様59に記載のトランスデューサ。
【0108】
(61) 前記導電性インクが、銀及び炭素の少なくとも一方で構成される、実施態様58に記載のトランスデューサ。
(62) 外科用器具において、
ハンドルと、
振動を生成するように構成されたトランスデューサであって、
少なくとも1つの圧電素子と、
つかみ部と、
エンドエフェクタに動作可能に連結されるように構成された実装部分と、を備える、トランスデューサと、を備え、前記トランスデューサが、前記トランスデューサ及び前記エンドエフェクタ内に振動の定在波を生成するように構成され、前記定在波が波節と波腹とを含み、前記ハンドルが、前記つかみ部から分離される第1の構成、及び前記つかみ部と係合される第2の構成で配置されるように構成され、前記ハンドルが、前記ハンドルが前記第2の構成にあり、前記エンドエフェクタが前記トランスデューサの前記実装部分に取り付けられているときに、前記つかみ部を適切な位置に保持するように構成される、外科用器具。
(63) 前記ハンドルが、前記第1の構成と前記第2の構成との間で屈曲されるように構成された可撓性部分を含む、実施態様62に記載の外科用器具。
(64) 前記つかみ部が、そこに適用されるトルクを受けるように構成される、実施態様62に記載の外科用器具。
(65) 前記ハンドルが、前記第1の構成と前記第2の構成との間で可動である、実施態様62に記載の外科用器具。
(66) 前記ハンドルが、前記つかみ部と係合するように構成されたインターロック特徴部を含む、実施態様62に記載の外科用器具。
(67) 前記つかみ部が、前記波腹に位置付けられる、実施態様62に記載の外科用器具。
(68) 前記エンドエフェクタを更に備える、実施態様62に記載の外科用器具。
(69) 外科用器具において、
振動を生成するように構成されたトランスデューサであって、
少なくとも1つの圧電素子と、
前記少なくとも1つの圧電素子を少なくとも部分的に取り囲むトランスデューサハウジングと、を備える、トランスデューサと、
前記トランスデューサに取り付けられるエンドエフェクタであって、前記トランスデューサは、前記トランスデューサ及び前記エンドエフェクタ内に振動の定在波を生成するように構成され、前記定在波は波節と波腹とを含む、エンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタを少なくとも部分的に取り囲むエンドエフェクタハウジングであって、前記エンドエフェクタハウジングは、前記波節の位置で前記エンドエフェクタに取り付けられ、前記トランスデューサハウジングは、前記エンドエフェクタハウジングに取り付けられる、エンドエフェクタハウジングと、を備える、外科用器具。
(70) 前記トランスデューサハウジングと前記エンドエフェクタハウジングの中間に位置付けられた減衰部材を更に備える、実施態様69に記載の外科用器具。
【0109】
(71) 前記定在波が、1つより多くの波節を有し、前記トランスデューサの少なくとも一部が、前記波節に位置付けられる、実施態様69に記載の外科用器具。
(72) 前記エンドエフェクタハウジングがハンドル部分を含む、実施態様69に記載の外科用器具。
(73) 外科用器具において、
振動を生成するように構成されたトランスデューサであって、
少なくとも1つの圧電素子と、
少なくとも部分的にねじ山付きの開口と、を備える、トランスデューサと、
エンドエフェクタと、を備え、前記エンドエフェクタが、前記開口にねじ込み可能に挿入されて、前記エンドエフェクタを前記トランスデューサに実装するように構成された少なくとも部分的にねじ付きの部分を含み、前記トランスデューサが、前記トランスデューサ及び前記エンドエフェクタ内に振動の定在波を生成するように構成され、前記定在波が波節と波腹とを含む、外科用器具。
(74) 前記トランスデューサの位置が、前記定在波をチューニングするために、前記エンドエフェクタに対して調整可能である、実施態様73に記載の外科用器具。
(75) 前記エンドエフェクタが遠位先端を含み、前記トランスデューサが、前記定在波の波腹が前記遠位先端に位置するように、前記エンドエフェクタに対して可動である、実施態様74に記載の外科用器具。
(76) 前記トランスデューサが、近位実装部分と遠位実装部分とを含み、前記少なくとも1つの圧電素子が、前記近位実装部分と前記遠位実装部分との中間に固定され、前記開口が、少なくとも前記遠位実装部分を通って延在する、実施態様73に記載の外科用器具。
(77) 外科用器具において、
振動を生成するように構成されたトランスデューサであって、
少なくとも1つの圧電素子と、
開口と、を備える、トランスデューサと、
エンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタの少なくとも一部は、前記開口に挿入され、前記エンドエフェクタを前記トランスデューサに実装するように構成され、前記トランスデューサは、前記トランスデューサ及び前記エンドエフェクタ内に振動の定在波を生成するように構成され、前記定在波は波節と波腹とを含む、エンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタに対して前記トランスデューサを移動させ、前記定在波をチューニングするための調整手段と、を備える外科用器具。
(78) 前記調整手段が、ねじ手段、プレス嵌め手段、及び熱による締まり嵌め手段のうちの少なくとも1つを含む、実施態様77に記載の外科用器具。
(79) 前記エンドエフェクタが遠位先端を含み、前記トランスデューサが、前記定在波の波腹が前記遠位先端に位置するように、前記エンドエフェクタに対して可動である、実施態様77に記載の外科用器具。
(80) 外科用器具アセンブリであって、
遠位エンドエフェクタと、近位端と、前記近位端と前記遠位エンドエフェクタとの中間に位置付けられるストップフランジとを含む細長いシャフトと、
前記エンドエフェクタ内に振動の定在波を生成するように構成された少なくとも1つの圧電素子であって、前記定在波は波節と波腹とを含み、前記少なくとも1つの圧電素子は開口を含み、前記細長いシャフトは前記開口の中に受容されるように構成され、前記圧電素子は、前記ストップフランジと当接するまで前記シャフトに沿って摺動されるように構成される、圧電素子と、
前記ストップフランジに対して前記圧電素子を圧縮するように構成された端位部材と、を含む外科用器具アセンブリ。
【0110】
(81) 前記遠位エンドエフェクタ、前記近位端、及び前記ストップフランジが一体に形成される、実施態様80に記載の外科用器具アセンブリ。
(82) エンドエフェクタと共に使用するための外科用器具において、
ハンドルと、
振動を生成するように構成された第1のトランスデューサであって、前記第1のトランスデューサは少なくとも1つの圧電素子を備え、前記第1のトランスデューサは、前記第1のトランスデューサ及び前記エンドエフェクタ内で振動の定在波を生成するように構成され、前記定在波は波節と波腹とを含む、第1のトランスデューサと、
実装部分であって、前記第1のトランスデューサ及び前記エンドエフェクタは、前記実装部分と動作可能に係合可能である、実装部分と、
振動を生成するように構成された第2のトランスデューサであって、前記第2のトランスデューサは、前記実装部分と動作可能に係合可能であり、前記第2のトランスデューサは少なくとも1つの圧電素子を備え、前記第2のトランスデューサは、前記第2のトランスデューサ及び前記エンドエフェクタ内で、波節と波腹とを含む振動の定在波を生成するように構成される、第2のトランスデューサと、を備える、エンドエフェクタと共に使用するための外科用器具。
(83) 前記ハンドルが、
前記第1のトランスデューサを受容するように構成された第1の開口と、
前記第2のトランスデューサを受容するように構成された第2の開口と、を含む、実施態様82に記載の外科用器具。
(84) 前記第1のトランスデューサ及び前記第2のトランスデューサが、選択的に作動可能である、実施態様82に記載の外科用器具。
(85) エンドエフェクタと共に使用するための外科用器具において、
ハンドルと、
振動を生成するように構成された第1のトランスデューサであって、
少なくとも1つの圧電素子であって、前記第1のトランスデューサは、前記第1のトランスデューサ及び前記エンドエフェクタ内で振動の第1の定在波を生成するように構成され、前記第1の定在波は波節と波腹とを含む、圧電素子と、
前記エンドエフェクタに動作可能に接続されるように構成された遠位実装部分と、
近位実装部分と、を備える、第1のトランスデューサと、
振動を生成するように構成された第2のトランスデューサであって、前記第2のトランスデューサは、前記第1のトランスデューサと選択的に係合可能であり、
少なくとも1つの圧電素子であって、前記第2のトランスデューサは、前記第2のトランスデューサ、前記第1のトランスデューサ、及び前記エンドエフェクタ内で振動の第2の定在波を生成するように構成され、前記第2の定在波は波節と波腹とを含む、圧電素子と、
前記第1のトランスデューサの前記近位実装部分に動作可能に係合可能な第2の実装部分と、を備える、第2のトランスデューサと、を備える、エンドエフェクタと共に使用するための外科用器具。
(86) 前記第2の定在波が、前記第1の定在波の上に重ね合わされるように構成される、実施態様85に記載の外科用器具。
(87) 前記第1のトランスデューサ及び前記第2のトランスデューサが、選択的に作動可能である、実施態様85に記載の外科用器具。
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
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図23A
図23B
図24
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図26
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