(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666593
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】電力需給平準化システムのバッテリ情報出力装置
(51)【国際特許分類】
H02J 3/32 20060101AFI20150122BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20150122BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20150122BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20150122BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20150122BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20150122BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J7/35 K
H02J3/46 D
H02J3/38 G
H02J7/00 P
H01M10/44 P
H01M10/48 301
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-527709(P2012-527709)
(86)(22)【出願日】2011年7月29日
(86)【国際出願番号】JP2011067415
(87)【国際公開番号】WO2012017936
(87)【国際公開日】20120209
【審査請求日】2013年2月1日
(31)【優先権主張番号】特願2010-176161(P2010-176161)
(32)【優先日】2010年8月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005979
【氏名又は名称】三菱商事株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591115475
【氏名又は名称】株式会社三菱総合研究所
(74)【復代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 信夫
(72)【発明者】
【氏名】片庭 誠
(72)【発明者】
【氏名】中井 康博
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 宏之
(72)【発明者】
【氏名】撫中 達司
(72)【発明者】
【氏名】志村 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏
(72)【発明者】
【氏名】入江 寛
(72)【発明者】
【氏名】前島 仁
【審査官】
田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−259696(JP,A)
【文献】
特開2004−298549(JP,A)
【文献】
特開2008−268477(JP,A)
【文献】
特開2010−098793(JP,A)
【文献】
特開2008−276950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/32
H01M 10/44
H01M 10/48
H02J 3/38
H02J 3/46
H02J 7/00
H02J 7/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力事業者から配電線を介して各電力需要者にそれぞれ電力を供給すると共に、該電力事業者から得た電力需給情報に基づき、上記各電力需要者に駐車されて上記配電線に接続されている電気自動車のバッテリに対する充放電指令を電力需給管理手段から上記各電力需要者にそれぞれ出力し、該充放電指令に基づき上記各電力需要者の充放電制御手段により上記各電気自動車のバッテリを充放電制御して電力需給を平準化する電力需給平準化システムにおいて、
上記各電力需要者における上記電気自動車の運用予定に基づき、時刻に関する軸と確保しておきたいバッテリ容量である必要容量を指標とした上記バッテリの全体容量に対する使用許諾容量を表す軸からなる座標系の複数箇所を指定することにより上記配電線への電気自動車の接続以降の複数の時刻、及び各時刻において上記充放電制御により上記電力需給の平準化のために使用可能な上記バッテリの使用許諾容量を入力する入力手段、及び該入力手段により入力された上記時刻毎の使用許諾容量を上記電力需給管理手段に出力する出力手段を、上記電気自動車または該電気自動車が駐車されている上記電力需要者の少なくとも一方に設けたことを特徴とする電力需給平準化システムのバッテリ情報出力装置。
【請求項2】
上記出力手段は、上記バッテリへの入出力電力の積算値を制限するための積算電力制限値を入力し、該積算電力制限値を上記時刻毎の使用許諾容量と共に上記電力需給管理手段に出力することを特徴とする請求項1記載の電力需給平準化システムのバッテリ情報出力装置。
【請求項3】
上記積算電力制限値を上記バッテリの使用期間に基づき補正する制限値補正手段をさらに備え、
上記出力手段は、上記制限値補正手段により補正後の積算電力制限値を出力することを特徴とする請求項2記載の電力需給平準化システムのバッテリ情報出力装置。
【請求項4】
上記積算電力制限値を上記バッテリの温度に基づき補正する制限値補正手段をさらに備え、
上記出力手段は、上記制限値補正手段により補正後の積算電力制限値を出力することを特徴とする請求項2記載の電力需給平準化システムのバッテリ情報出力装置。
【請求項5】
上記出力手段は、上記バッテリへの入出力電力の最大値を制限するための最大電力制限値を入力し、該最大電力制限値を上記時刻毎の使用許諾容量と共に上記電力需給管理手段に出力することを特徴とする請求項1記載の電力需給平準化システムのバッテリ情報出力装置。
【請求項6】
上記最大電力制限値を上記バッテリの使用期間に基づき補正する制限値補正手段をさらに備え、
上記出力手段は、上記制限値補正手段により補正後の最大電力制限値を出力することを特徴とする請求項5記載の電力需給平準化システムのバッテリ情報出力装置。
【請求項7】
上記最大電力制限値を上記バッテリの温度に基づき補正する制限値補正手段をさらに備え、
上記出力手段は、上記制限値補正手段により補正後の最大電力制限値を出力することを特徴とする請求項5記載の電力需給平準化システムのバッテリ情報出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力会社などの電力事業者から配電線を介して工場、事業所或いは家庭などの各電力需要者にそれぞれ電力を供給すると共に、電力事業者からの電力需給情報に基づき電力需給管理センターから各電力需要者に出力される充放電指令により、各電力需要者に駐車中の電気自動車のバッテリを充放電制御して電力需給を平準化する電力需給平準化システムに係り、詳しくは、各需要者から電気自動車のバッテリ情報を電力需給管理者に出力することにより充放電指令の最適化を図ったバッテリ情報出力装置に関する。なお、本発明における電力事業者は、公益事業体としての電力会社だけでなく、ISO(Independent System Operator)やTSO(Transmission
System Operator)、IESO(Independent Electricity System
Operator)などの系統運用者も含む。
【背景技術】
【0002】
この種の電力需給平準化システムとしては、各電力需要者などに設置した定置型のバッテリを利用したものがあり、このシステムでは、電力需要に比較的余裕がある夜間にバッテリを充電し、昼間の電力需要のピーク時にバッテリを放電することにより電力需給の平準化を図っている。しかしながら、このような定置型バッテリを利用した電力需給平準化システムは、大がかりな設備を要することから低コストでの実施は困難であった。
その対策として、近年では定置型バッテリに代えて電気自動車やハイブリッド電気自動車(以下、電気自動車と総称する)に搭載されたバッテリを利用した電力需給平準化システムが提案されている。この種の電力需給平準化システムは、例えば工場、事業所などへの通勤に使用されている電気自動車が電力需要のピークである昼間に駐車されたままで、そのバッテリ容量を利用する余地が存在する点に着目したものである。
【0003】
そこで、電力需要のピーク時には、電力需給管理センターからの充放電指令に基づき、工場、事業所などに駐車中の電気自動車のバッテリを放電させて電力需要の不足分を補う一方、電力需要に余裕が生じる夕方、或いは帰宅後の夜間にバッテリを充電することにより、定置型バッテリのような高額な初期投資を要することなく電力需給の平準化を目指している。
電力需給管理センターからの充放電指令に基づくバッテリの充放電制御の具体例としては、例えば特許文献1のものが提案されている。当該特許文献1に記載された電力需給平準化システムでは、駐車中の電気自動車のバッテリ残存容量が予め設定された所定値を上回っている場合に、その差分量を放電させて電力需要の平準化のために利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4426504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された電力需給平準化システムによるバッテリの充放電制御は大雑把であり、必ずしも電気自動車のバッテリを有効利用しているとは言い難かった。即ち、特許文献1に記載の技術では、所定値に基づき一義的にバッテリの充放電制御を行った場合、バッテリの過剰放電は防止できるものの、その反面、所定値以下のバッテリ残存容量の領域を電力需要の平準化のために有効利用できない。また、単に所定値を減少側に設定しただけでは、バッテリの過剰放電を引き起こしてしまう。
【0006】
バッテリが有する全体容量の内、どの程度の容量を電力需要の平準化に利用可能であるか、換言すれば、どの程度のバッテリ残存容量までバッテリを放電可能であるかは、電気自動車の運用状況が密接に関わっている。例えば、間近に電気自動車を走行させる予定がある場合には、バッテリの放電を禁止して高いバッテリ残存容量を確保しなければ電気自動車の運用に支障が生じ、逆に当分は電気自動車を走行させる予定がない場合には、バッテリ残存容量のかなり低い領域までバッテリを放電しても電気自動車の運用に支障は生じない。
【0007】
このような電気自動車の運用状況を全く考慮しない特許文献1の技術では、バッテリの過剰放電防止とバッテリ容量の有効利用との2つの要件を両立できないことは明らかであった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、各電力需要者に駐車されている電気自動車のバッテリを適切に充放電制御することにより、バッテリの過剰な放電に起因する電気自動車の運用への支障を未然に防止した上で、バッテリ容量を電力需給の平準化に最大限に有効利用することができる電力需給平準化システムのバッテリ情報出力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、電力事業者から配電線を介して各電力需要者にそれぞれ電力を供給すると共に、電力事業者から得た電力需給情報に基づき、各電力需要者に駐車されて配電線に接続されている電気自動車のバッテリに対する充放電指令を電力需給管理手段から各電力需要者にそれぞれ出力し、充放電指令に基づき各電力需要者の充放電制御手段により各電気自動車のバッテリを充放電制御して電力需給を平準化する電力需給平準化システムにおいて、各電力需要者における電気自動車の運用予定に基づき、時刻に関する軸と
確保しておきたいバッテリ容量である必要容量を指標としたバッテリの全体容量に対する使用許諾容量を表す軸からなる座標系の複数箇所を指定することにより配電線への電気自動車の接続以降の複数の時刻、及び各時刻において充放電制御により電力需給の平準化のために使用可能なバッテリの使用許諾容量を入力する入力手段、及び入力手段により入力された時刻毎の使用許諾容量を電力需給管理手段に出力する出力手段を、電気自動車または電気自動車が駐車されている電力需要者の少なくとも一方に設けたものである。
【0009】
好ましくは、出力手段が、バッテリへの入出力電力の積算値を制限するための積算電力制限
値を入力し、積算電力制限
値を時刻毎の使用許諾容量と共に電力需給管理手段に出力するものであるのがよい。
また、積算電力制限
値をバッテリの使用期
間に基づき補正する制限値補正手段をさらに備え、出力手段が、制限値補正手段により補正後の積算電力制限
値を出力するものであるのが好ましい。
また、積算電力制限値をバッテリの温度に基づき補正する制限値補正手段をさらに備え、出力手段が、制限値補正手段により補正後の積算電力制限値を出力するものであるのが好ましい。
また、出力手段が、バッテリへの入出力電力の最大値を制限するための最大電力制限値を入力し、最大電力制限値を時刻毎の使用許諾容量と共に電力需給管理手段に出力するものであるのがよい。
また、最大電力制限値をバッテリの使用期間に基づき補正する制限値補正手段をさらに備え、出力手段が、制限値補正手段により補正後の最大電力制限値を出力するものであるのが好ましい。
また、最大電力制限値を上記バッテリの温度に基づき補正する制限値補正手段をさらに備え、出力手段が、制限値補正手段により補正後の最大電力制限値を出力するものであるのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明の電力需給平準化システムのバッテリ情報出力装置によれば、各電力需要者で電気自動車の運用予定に基づき、配電線への電気自動車の接続によりバッテリを電力需給の平準化に利用可能となった以降の複数の時刻、及び各時刻におけるバッテリの使用許諾容量を入力手段に入力し、入力された時刻毎の使用許諾容量を出力手段により電力需給管理手段に出力するようにしたため、電力需給管理手段からの充放電指令に基づき、各電力需要者では電気自動車のバッテリが時刻毎の使用許諾容量の範囲内で充放電制御されることになり、バッテリの過剰な放電に起因する電気自動車の運用への支障を未然に防止した上で、バッテリ容量を電力需給の平準化に最大限に有効利用することができる。
さらに、時刻に関する軸と
確保しておきたいバッテリ容量である必要容量を指標としたバッテリの全体容量に対する使用許諾容量を表す軸からなる座標系の複数箇所を指定して入力を行うものであるので、理解しやすく入力も容易で利便性を一層向上できる。
【0011】
また、バッテリへの入出力電力の積算値を所定未満に制限する積算電力制限
値を出力手段が入力して電力需給管理手段に出力することにより、電力需給管理手段側では、時刻毎の使用許諾容量のみならず積算電力制限
値を反映して充放電指令を設定でき、この充放電指令に基づき各電力需要者では、積算電力制限値による制限で頻繁なバッテリへの充放電が防止さ
れ、これによりバッテリの劣化を未然に回避することができる。
【0012】
また、充放電に起因するバッテリ劣化に影響を及ぼすバッテリ使用期間やバッテリ温度に基づき積算電力制限
値を補正することにより、バッテリ使用期間やバッテリ温度に関わらずバッテリ入出力電力の積算値の制
限を常に適切に実行でき、より確実にバッテリの劣化を回避することができる。
また、バッテリへの入出力電力の最大値を所定未満に制限する最大電力制限値を出力手段が入力して電力需給管理手段に出力することにより、電力需給管理手段側では、時刻毎の使用許諾容量のみならず最大電力制限値を反映して充放電指令を設定でき、この充放電指令に基づき各電力需要者では、最大電力制限値による制限で急激なバッテリへの充放電が防止され、これによりバッテリの劣化を未然に回避することができる。
また、充放電に起因するバッテリ劣化に影響を及ぼすバッテリ使用期間やバッテリ温度に基づき最大電力制限値を補正することにより、バッテリ使用期間やバッテリ温度に関わらずバッテリ入出力電力の最大値の制限を常に適切に実行でき、より確実にバッテリの劣化を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態のバッテリ情報出力装置が適用された電力需給平準化システムを示す全体構成図である。
【
図2】時刻毎のバッテリの使用許諾容量の入力例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明を具体化した電力需給平準化システムのバッテリ情報出力装置の第1実施形態を説明する。
図1は本実施形態のバッテリ情報出力装置が適用された電力需給平準化システムを示す全体構成図である。
全体として電力需給平準化システム(所謂スマートグリッドに相当し、以下スマートグリッドともいう)は、電力会社などの電力事業者1、工場、事業所或いは家庭などの複数の電力需要者2(スマートグリッドを構成するグリッドに相当)、及びスマートグリッド内の電力需給を管理して平準化を図る電力需給管理センター3(電力需給管理手段)から構成されている。
【0015】
各電力需要者2は配電線4を介して電力事業者1に接続されており、図示しない発電所で発電された電力が電力事業者1から各電力需要者2に配電線4を経て供給される。また、電力需要者2がソーラーパネルや風力発電などの発電設備を備えている場合、これらの発電設備で発電されて電力需要者2内で消費しきれなかった余剰電力が生じると、その余剰電力は配電線4から電力事業者1を介して他の電力需要者2に供給されるようになっている。
図1では電力需要者2の一例として一般的な家庭を示しているが、この場合には、電力事業者1からの電力が家庭内の電力線6を経てAC−DC双方向変換器であるパワーコントローラ5(以下、PCSと略す)や家庭内に設置されたテレビや冷蔵庫などの電気負荷7に供給される。
【0016】
なお、この例では屋根にソーラーパネル8が設置されており、このソーラーパネル8により発電された電力もPCS5を介して電気負荷7に供給されて補助的に利用される。
電力需要者2の所定位置、例えば家庭の場合には家屋外壁などの所定位置に接続ポート9が備えられ、この接続ポート9を介して電力需要者2に駐車された電気自動車10との間でバッテリ充電のための電力、及び後述するバッテリ情報の入出力が行われる。
【0017】
より具体的には、家庭のPCS5は電力線11及び信号線12を介して接続ポート9に接続される一方、家庭内の電力需給を管理するエネルギーマネージメントシステム13(以下、EMSと略す)に対しても信号線14を介して接続されている。
この接続ポート9には、電気自動車10からの電力線15及び信号線16(実際には車両外では1本に集約されている)が任意に接続可能となっており、車両内において電力線15はバッテリ17に接続され、信号線16は、車両を走行させるためのモータ制御、走行中のバッテリ17の残存容量の管理、エアコンディショナの制御、運転席に設けられたナビゲーション装置の制御などを統合的に行うECU18(電子制御ユニット)に接続されている。
【0018】
なお、以下に述べるように電気自動車10のバッテリ17はスマートグリッド内の電力需給の平準化に利用されるため、例えば家庭では帰宅後に、工場、事業所では出勤後に、バッテリ充電が不要な場合であっても速やかに接続ポート9に接続することが推奨されている。
図示しないがECU18は、入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタなどにより構成されている。ECU18の入力側には、ナビゲーション装置のタッチパネル式ディスプレイ19などが接続され、運転者がディスプレイ19により任意に情報を入力可能となっている。
【0019】
各電力需要者2のEMS13は、例えば電話回線などの信号線20を介して上記した電力需給管理センター3に接続されている。EMS13は接続ポート9及びPCS5を介して電気自動車10のECU18からバッテリ情報を入力し、そのバッテリ情報を電力需給管理センター3に出力する。
また、電力需給管理センター3は電話回線などの信号線21を介して電力事業者1に接続され、電力事業者1はスマートグリッド内の電力需給(各電力需要者2への電力需給)の過不足を表す電力需給情報を電力需給管理センター3に出力する。
【0020】
これにより電力需給管理センター3では、各電力需要者2での電気自動車10の駐車の有無、及び駐車時にはそのバッテリ情報を把握できると共に、現在の電力需給情報に基づきスマートグリッド内の電力需給の過不足を把握できる。
このため、電力需給に過不足が生じて平準化を要するときには、各電力需要者2のEMS13に対して充放電指令を出力し、この充放電指令に基づき各電力需要者2のEMS13がPCS5をAC−DC変換器として機能させ、駐車中の電気自動車10のバッテリ17を充放電制御して電力需給の平準化を図るようになっている(充放電制御手段)。
【0021】
このように電力需給の平準化を行う際には、各電力需要者2のEMS13により駐車中の電気自動車10のバッテリ17が充放電制御されるが、[発明が解決しようとする課題]で説明したように、バッテリ17の充放電制御が不適切であると、バッテリ17の過剰放電に起因して電気自動車10の運用に支障をきたしたり、逆に放電を過剰に抑制することでバッテリ容量を有効利用できなかったりする不具合が生じる。
そこで、本実施形態では、各電力需要者2において駐車中の電気自動車10の今後の運用予定に基づき、電気自動車10のバッテリ17が有する全体容量の内、どの程度の容量を電力需要の平準化に利用してもよいかを使用許諾容量として予め時刻毎に運転者に入力させ、この時刻毎の使用許諾容量の範囲内でバッテリ17を充放電制御することにより上記不具合の解消を図っており、以下、当該処理について詳述する。
【0022】
図2はある電力需要者2に駐車された電気自動車10に対する時刻毎のバッテリ17の使用許諾容量の入力例を示すグラフである。図中の縦軸は0から全体容量Cmaxまでのバッテリ容量を示し、図中の横軸は、電気自動車10が電力需要者2の接続ポート9に接続された時点を起点の0とした時刻を示している。
時刻毎のバッテリ17の使用許諾容量の入力は、確保しておきたいバッテリ容量である必要容量(全体容量Cmax−使用許諾容量)を指標として行われる。図の入力例では、時刻t1以前では電気自動車10を使用する予定が全くなく、時刻t2で使用開始の予定であるが、予定変更により時刻t1〜t2までの期間内で電気自動車10の使用開始を早める可能性がある場合を示している。
このため、使用予定がない時刻t1以前では最低限のバッテリ容量を確保すべくC1が入力され、予定変更のときに使用開始する可能性がある時刻t1〜t2の期間ではバッテリ容量を次第に増加させ、ほぼ確実に使用開始する時刻t2以降では、走行可能なバッテリ容量としてC2(走行予定の距離などを考慮して決定)が入力されている。
【0023】
従って、各時刻において全体容量Cmaxから必要容量C1,C2を減算した図中にハッチングで示す領域が使用許諾容量として設定されることになり、例えば時刻t2の時点ではCmax−C2が使用許諾容量となる。そして、この時刻毎の使用許諾容量の範囲内で充放電制御を行えば、バッテリ17を過剰に放電させることなく、且つバッテリ容量を電力需給の平準化のために最大限に利用可能なことが判る。
言うまでもないが、
図2は使用許諾容量の入力例の一つに過ぎず、電気自動車10の運用状況に応じて種々の特性のグラフが設定される。また、上記した例では、次回の使用開始時までの使用許諾容量を入力したが、これに限ることはなく、例えば次々回の使用開始時までの使用許諾容量を入力するようにしてもよいし、1ヶ月の期間中の電気自動車10の運用予定に基づき、1ヶ月後までの使用許諾容量を入力するようにしてもよい。
【0024】
実際の運転者による入力は、例えばナビゲーションのタッチパネル式ディスプレイ19を使用して行われる(入力手段)。具体的には、
図2と同様の空欄のグラフ(縦軸及び横軸のみ)をディスプレイ19に表示させ、運転者が電気自動車10の使用開始予定などの時刻と各時刻における必要容量との交点を逐次タッチすることによりt1,C1点やt2,C2点を確定し、それらの交点を自動的に結ぶことによりグラフが作成される。但し、時刻毎の使用許諾容量の入力はこの例に限ることはなく、例えば時刻t1,t2及び必要容量C1,C2をキー入力するようにしてもよい。
以上のようにして設定された時刻毎の使用許諾容量はECU18から接続ポート9及びPCS5を経てEMS13に入力され、さらにEMS13から電力需給管理センター3に出力される(出力手段)。電力需給管理センター3では、電力需給の平準化のために各電力需要者2のEMS13に充放電指令を出力する際に、対応する電力需要者2から入力された時刻毎の使用許諾容量に基づき充放電指令を設定する。これにより各電力需要者2では、電気自動車10のバッテリ17が時刻毎の使用許諾容量の範囲内で充放電制御されることになる。
【0025】
図2では破線でバッテリ17の充放電状況を示しており、例えばスマートグリッド内の電力需給が過剰な場合には各電力需要者2でバッテリ17を充電側に制御して過剰電力をバッテリ17に充電し、スマートグリッド内の電力需給が不足する場合にはバッテリ17を放電側に制御して電力不足分を補うが、これらの充放電制御は常に使用許諾容量の範囲内で実行される。
例えば、図中の時刻t1〜t2間に示すように、放電中にバッテリ容量が使用許諾容量の下限から逸脱する(必要容量を下回る)場合には、バッテリ容量は使用許諾容量の下限に抑制される。なお、
図2では、電気自動車10の使用開始が予定時刻t2に対してt2’まで遅延しており、このような走行開始予定のズレは往々にして発生することであるが、時刻t2以降は走行可能なバッテリ容量C2が確保され続けるため、何ら問題なく車両走行を開始できる。
【0026】
以上説明したように本実施形態の電力需給平準化システムのバッテリ情報出力装置では、各電力需要者2に駐車されている電気自動車10の運用予定に基づき、搭載されているバッテリ17を電力需給の平準化のために使用可能な使用許諾容量を時刻毎に運転者に入力させ、入力された時刻毎の使用許諾容量を電力需給管理センター3に出力するようにしている。
従って、電力需給管理センター3側では各電力需要者2から入力された時刻毎の使用許諾容量に基づき、それぞれの電気自動車10のバッテリ17が常に使用許諾容量の範囲内で充放電制御されるように各電力需要者2に対する充放電指令を設定でき、この充放電指令に基づき各電力需要者2でバッテリ17の充放電が行われる。結果として、バッテリ17の過剰な放電に起因する電気自動車10の運用への支障を未然に防止した上で、バッテリ容量を電力需給の平準化に最大限に有効利用することができる。
なお、電力需要者2が工場、事業所等である場合、複数の電気自動車が1つの電力需要者に接続されることになるが、この場合は各電気自動車毎に上記の制御が行われることになる。
【0027】
[第2実施形態]
次に、本発明を別の電力需給平準化システムのバッテリ情報出力装置に具体化した第2実施形態を説明する。
本実施形態のバッテリ情報出力装置は、第1実施形態で説明したものと基本的な構成は同一であり、相違点はバッテリ17の劣化を抑制する対策を講じたことにある。即ち、第1実施形態で述べたように電力需給の平準化のためにバッテリ17は車両走行以外にも充放電を行うことになるため、充放電に伴うバッテリ劣化を極力抑制する必要がある。そこで、本実施形態では、バッテリ17を充放電制御する際に、バッテリ劣化の要因となる頻繁な充放電、及び急激な充放電を防止しており、以下にその構成を説明する。
【0028】
まず、
図1に示すように、ECU18の入力側には、バッテリ17に設けられた温度センサ31が接続され、温度センサ31により検出されたバッテリ温度が入力されるようになっている。
また、ECU18の記憶装置内には、未使用且つ通常の使用温度域でのバッテリ特性を前提として、充放電制御時においてバッテリ17への入出力電力の積算値を制限するための積算電力制限値、及びバッテリ17への入出力電力の最大値を制限するための最大電力制限値が記憶されている。
バッテリ17への入出力電力の積算値とは、充電側及び放電側に変動する入出力電力の絶対値を積算して求めた値であり、積算値が大であるほど充放電が頻繁に行われたと見なせる。また、バッテリ17への入出力電力の最大値とは、単位時間当たりの入出力電力の変化量として求めた値であり、最大値が大であるほど充放電が急激に行われたと見なせる。
【0029】
積算電力制限値及び最大電力制限値は、バッテリ17を急激に劣化させない上限付近の値として設定されたバッテリ固有の値であるが、バッテリ17が使用過程で既に劣化していたり、或いはバッテリ温度が通常使用温度域から逸脱していたりすると、それに伴って適切な制限値は変動する。例えば、使用に伴ってバッテリ17が劣化しているほど、或いはバッテリ温度が通常の使用温度域から高温側或いは低温側に逸脱しているほど、充放電する際のバッテリ17への負担が増大することから、制限値を低くしないとバッテリ17の劣化を促進させてしまう。
【0030】
そこで、ECU18の記憶装置内には、積算電力制限値及び最大電力制限値と共に、これらの制限値をバッテリ17の使用期間及びバッテリ温度に応じて補正するためのマップが記憶されている。なお、バッテリ17の使用期間は、車両走行や電力需給の平準化のためにバッテリ17が充放電されている期間をECU18が逐次積算することにより算出される。
そして、実際のバッテリ17の充放電制御時においてECU18は、積算処理により求めたバッテリ17の使用期間及び温度センサ31が検出したバッテリ温度に基づき積算電力制限値及び最大電力制限値をそれぞれ補正し(制限値補正手段)、補正後の積算電力制限値及び最大電力制限値を上記した時刻毎の使用許諾容量と共に電力需給管理センター3に出力する。
【0031】
電力需給管理センター3側では、時刻毎の使用許諾容量のみならず積算電力制限値及び最大電力制限値を反映して各電力需要者2へのバッテリ17の充放電指令を設定できる。このため、充放電指令に基づき各電力需要者2で実際にバッテリ17を充放電制御する際には、バッテリ17への入出力電力の積算値が積算電力制限値を上限として制限され、入出力電力の最大値が最大電力制限値を上限として制限される。
より具体的には、例えば充放電制御中に入出力電力の積算値が積算電力制限値に達すると、その時点で充放電制御が中止されたり、或いは電力需給情報から電力需給の過不足により急激なバッテリ17の充放電が求められていても、実際のバッテリ17の入出力電力の最大値が最大電力制限値に抑制されたりする。これらの処理により、頻繁なバッテリ17への充放電及び急激なバッテリ17への充放電が防止され、バッテリ17の劣化を未然に回避することができる。
【0032】
しかも、充放電に起因するバッテリ劣化に影響を及ぼすバッテリ17の使用期間及びバッテリ温度に基づき積算電力制限値及び最大電力制限値を補正しているため、バッテリ使用期間やバッテリ温度に関わらず積算電力制限値や最大電力制限値による制限を常に適切に行うことができ、より確実にバッテリ17の劣化を回避することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、時刻毎の使用許諾容量を電気自動車10に備えられたタッチパネル式ディスプレイ19により入力し、且つ、入力した時刻毎の使用許諾容量を家庭内に設置したEMS13を介して電力需給管理センター3に出力したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0033】
例えば、家庭内においてEMS13に入力装置を接続し、電気自動車10側のディスプレイ19を使用することなく入力装置により時刻毎の使用許諾容量を入力するようにしてもよい。或いは、電気自動車10に通信装置を設置し、ディスプレイ19で入力された時刻毎の使用許諾容量を通信装置によりEMS13を介することなく電力需給管理センター3に送信するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、バッテリ17の充放電時に積算電力制限値及び最大電力制限値に基づき入出力電力を制限したが、これらの制限は必ずしも行う必要がなく、双方の制限を共に省略してもよいし、何れか一方の制限のみを行うようにしてもよい。また、バッテリ17の使用期間及びバッテリ温度に基づく積算電力制限値及び最大電力制限値の補正についても必ずしも行う必要がなく、双方の補正を共に省略してもよいし、何れか一方の補正のみを行うようにしてもよい。
更に、本発明における電気自動車としては上記実施形態に示した電気自動車10に限らずプラグインハイブリッド車であってもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 電力事業者
2 電力需要者
3 電力需給管理センター(電力需給管理手段)
4 配電線
10 電気自動車
13 EMS(出力手段、充放電制御手段)
17 バッテリ
18 ECU(制限値補正手段)
19 ディスプレイ(入力手段)