【実施例1】
【0029】
図1において本発明に係る間仕切り用スライドドア装置(以下、スライドドア装置という)1は、間仕切り2の所要部位に設けられた出入口3が、スライドドア5で開閉可能となされている。本実施例において、該出入口3の幅方向を左右方向F1とし、
図1において向って左側を左、右側を右とする。又、該出入口3の出入方向を前後方向F2とし、
図1において出入口に面する側を前、その逆側を後とする。
【0030】
前記スライドドア5は、
図1〜3に示すように、2枚のドア単体6,6を以て構成され、左右隣り合う該ドア単体6,6は、相互が左右方向F1でスライド可能に連結されており、前記出入口3が開口された状態で、該2枚のドア単体6,6が、前記出入口3の左右方向F1で見た一方側(
図1においては左側)に存する一方側間仕切り部7の後側9に重なり合うようになされている。
【0031】
各ドア単体6,6は、
図4〜7に示すように、これを構成する上の横框部材10と下の横框部材11の夫々が、前記出入口3に面する前方面部12に、摺動部材13を分離不能の係合状態で左右方向F1で摺動させるための摺動溝15が、該前方面部12を後方向に凹ませて一体に設けられており、該摺動溝15に装着されている前記摺動部材13には、取付部材16の一端側の連結部17が連結される。
【0032】
又、前記スライドドアの、左右隣り合うドア単体6,6の内の前記出入口3が存する側に近いドア単体6aに連結されている前記取付部材16の他端側の固定部20が、
図5に示すように、前記一方側間仕切り部7の後側の壁面21に固定される一方、左右隣り合うドア単体6,6の内の前記出入口3が存する側から遠いドア単体6bに連結されている前記取付部材16の他端側の固定部20は、前記出入口3が存する側に近い該ドア単体6aの後面22に固定されている。
【0033】
又前記スライドドア5の、少なくとも先頭に位置するドア単体6bの下部24には、
図3〜5に示すように、床部23に接して左右方向で移動可能な支持部材25が設けられている。そして、前記上下の摺動部材13,13が前記上下の摺動溝15,15を摺動することによって前記スライドドア5が、前記出入口3を閉じる方向に或いは開く方向に移動(相対的な移動)できるようになされている。
【0034】
又、前記上下の框部材10,11には、
図3〜7に示すように、前記摺動溝15を正面側から覆うカバー片19が前記左右方向F1でスライド可能に装着されており、該カバー片19の、前記前方面部12に向き合う後面79(
図6)の上部にスライド部80(
図5〜7)が設けられている。そして
図6〜7に示すように、該スライド部80の上面81と、前記上下の框部材10,11の前記前方面部12,12の上部分で前方に向けて突設された突出部50の下面68とが略当接状態となされており、該上面81と該下面68の内の何れか一方に、入口が幅狭で且つ左右方向F1に延長する条溝82aとしての第1の線状係合部82が設けられると共に、その他方には、該条溝82aと略密接状態で前記左右方向F1でスライド可能に嵌合し得る突条69aとしての第2の線状係合部69が設けられている。
【0035】
又、前記スライド部80の、前記前方面部12に向き合う後面83と、前記上下の框部材10,11の前記前方面部12であって前記突出部50の下方に位置する部分の前面51とが略当接状態となされており、該後面83及び該前面51の何れか一方に、入口が幅狭で且つ左右方向F1に延長する条溝85aとしての第3の線状係合部85が設けられると共に、その他方には、該条溝85aと略密接状態で前記左右方向F1でスライド可能に嵌合し得る突条70aとしての第4の線状係合部70が設けられている。
【0036】
これをより具体的に説明すれば次の通りである。即ち、前記間仕切り2は本実施例においては
図1〜2に示すように、比較的大きなオフィース空間の一部を仕切って個別の区画空間26を形成して会議室や打合せ室、金融機関等における相談室等を構成するためのローパ−ティション27として構成されている。本実施例において該ローパ−ティション27は、例えば1400mm程度の背丈の低いパネルで構成されており、その所要部位に設けられた出入口3の上端28は
開放されている。そのため、該区画空間26に、該出入口3を通して人が障害なく移動できる。
【0037】
該出入口3を開閉可能とする前記スライドドア5は、
図1〜2に示すように2枚のドア単体6,6を以て構成されており、左右隣り合うドア単体6,6相互は、左右方向F1でスライド可能に連結されている。該ドア単体6,6は
図4に示すように、左右の縦框部材29,30の上の端部分31,31間と下の端部分32,32間に前記上下の横框部材10,11が配置されて全体が矩形状に枠組されると共に、枠組33で区画された開口部を覆う面材36の縁部分37が、
図5に示すように、該枠組33の内周面部の周方向に設けられた嵌入固定溝39に嵌入されてパッキン40を介して固定されることによって構成されている。
【0038】
そして
図4と、後のドア単体6bに係る
図8〜9、
図10〜11、
図12〜13に示すように、前記上下の横框部材10,11と前記左右の縦框部材29,30は、例えばアルミニウム押出形材を以て構成されており、全体として角筒状を呈している。このように枠組みする際、前記上下の横框部材10,11の接合端部分38と前記左右の縦框部材29,30の接合端部分44とは、所要に欠切されて嵌め合わされている。なお
図10、11における矢印は、前記カバ−片19を装着する際のその移動方向を示している。又
図10(B)における符号48は、前記後のドア単体6bの戸先側に付設されている戸当りである。
【0039】
前記上の横框部材10は、
図6に示すように、その上面部41の上面42が水平面に形成されると共に、前記出入口3が存する側に面する前方面部12は屈曲面部として形成され、該前方面部12と対向する後方面部43の後面45は垂直面として形成され、下面部46の下面47は水平面を呈し、該下面部47に、前記嵌入固定溝39の挿入開口49が設けられている。そして該前方面部12は、その上部分に、前方に突出する略角筒状を呈した突出部50が庇状に設けられており、該突出部50の下方に位置する部分の前面51は垂直面として形成されている。そして該前方面部12の上下方向で見た中央部分は、後方向に凹むように屈曲されており、入口52が幅狭で奥側が矩形状に拡張し且つ該入口52側の上下の部分に上下の係合溝53,53が形成されてなる前記摺動溝15が一体に設けられている。
【0040】
前記摺動部材13は、前記摺動溝15に嵌合されて左右方向F1で摺動可能の、左右方向F1に長い矩形板部55の上下に、前記上下の係合溝53,53に嵌まり合う上下の係合突部56,56が設けられてなり、該矩形板部55の前端面57は前記入口52から前方に若干突出する如く構成されている。又該前端面57の左右両側には、該矩形板部55を前後方向で貫通するネジ孔59,59が設けられている。かかる構成を有する摺動部材13は、
図4〜5、
図7に示すように、前記上下の係合突部56,56が前記上下の係合溝53,53に嵌まり合った分離不能の係合状態で、前記摺動溝15を左右方向F1で摺動できる。該摺動部材13の左右方向F1での長さは、例えば50mmに設定されている。
【0041】
前記上の横框部材10が有する前記突出部50は、
図6〜7に示すように、前記上面部41の前端60で垂下する垂下片部61の下端62で、後方に突出する水平片部63が連設されることによって設けられており、該水平片部63の水平下面65の後端66で、前記前面51の上端67が連なっている。そして該水平下面65(突出部50の下面68)の略長手中央線に沿って、断面円形状を呈し且つ左右方向に延長する突条69aとしての前記第2の線状係合部69が下方に向けて突設されており、前記前面51の中間部分には、左右方向F1に延長する断面円形状を呈する突条70aとしての前記第4の線状係合部70が前方に向けて突設されている。
【0042】
又
図6に示すように、前記前方面部12の下側部分71と前記後方面部43の下側部分72との間には前記嵌入固定溝39が形成されており、該嵌入固定溝39の頂板部には、断面C字状を呈するビスポケット75を構成するC字状突条部76が左右方向F1に延長する如く設けられている。
【0043】
前記カバー片19は、本実施例においては
図6〜7に示すように、アルミニウム押出形材として構成されており、垂直板部77の後面79の上部分に断面矩形状を呈するスライド部80が左右方向F1に延長する如く設けられている。該スライド部80の上面81の略長手中央線に沿って、条溝82aとしての前記第1の線状係合部82が設けられており、該スライド部80の後面83の略長手中央線に沿って、条溝85aとしての前記第3の線状係合部85が設けられている。
【0044】
そして、該スライド部80の上面81と前記突出部50の下面68とは略当接状態となされると共に、該スライド部80の前記後面83と、前記前方面部12の前記前面51とが略当接状態となされている。
【0045】
然して、条溝82aとしての前記第1の線状係合部82と、突条69aとしての前記第2の線状係合部69とを、且つ、条溝85aとしての前記第3の線状係合部85と、突条70aとしての前記第4の線状係合部70とを夫々、略密接状態で嵌合させることにより、前記カバー片19は
図10に示すように左右方向F1でスライド可能となる。
【0046】
そして
図7に示すように、前記スライド部80の下端86は、前記摺動溝15の前記入口52の上縁87の稍上方部に位置されており、又、前記カバー片19と前記前方面部12との間に収容間隙90が設けられている。本実施例においては、該カバ−片19の前記スライド部80の下方に位置する下側部分89と前記前方面部12との間に収容間隙90が設けられており、又本実施例においては、該カバー片19の、前記出入口3が存する側に面する前面91と前記突出部50の前面92は略面一状態に形成されている。
【0047】
前記下の横框部材11は
図8〜9に示すように、断面H形を呈する略角筒状を呈しており、その上側部分には、前記突出部50と前記摺動溝15と前記嵌入固定溝39を構成する角筒部95が設けられると共に、その下側部分には、
図5に示すように戸車25aを収容するための、戸車収容溝部96が設けられている。
【0048】
そして該下の横框部材11の上面部97の上面99は水平面に形成されると共に、前記出入口3が存する側に面する前方面部12は屈曲面部として形成され、該前方面部12と対向する後方面部99の後面100は垂直面として形成され、下面部101の下面102は水平面を呈し、該上面部97に、前記嵌入固定溝39の挿入開口103が設けられている。該前方面部12は、その上部分に、前方に突出する突出部50が設けられており、該突出部50の下方に位置する部分の前面51は、本実施例においては垂直面として形成されている。
【0049】
前記突出部50は、
図8〜9に示すように、前記上面部97の前端105で前方に一連に庇状に突出する水平板状を呈しており、その水平下面106(突出部50の下面68)の後端107に、前記前面51の上端109が連なっている。そして該水平下面106の略長手中央線に沿って、断面円形状を呈し且つ左右方向F1に延長する突条69aとしての第2の線状係合部69が下方に向けて突設されており、前記垂直な前面51の上下中央部位には、断面円形状を呈し且つ左右方向に延長する突条70aとしての第4の線状係合部70が前方に向けて突設されている。
【0050】
そして該前方面部12の上下方向で見た上側部分は、後方向に凹むように屈曲されており、入口52が幅狭で奥側が矩形状に拡張して該入口52側の上下の部分に上下の係合溝53,53が形成されてなる前記摺動溝15が一体に設けられている。
【0051】
前記摺動部材13は、
図8〜9に示すように、該摺動溝15に嵌合されて左右方向F1で摺動可能の、左右方向に長い矩形板部55の上下に、前記上下の係合溝53,53に嵌まり合う上下の係合突部56,56が設けられてなり、該矩形板部55の前端面57は、前記入口52から前方に若干突出する如く構成されている。又該前端面57の左右両側には、該矩形板部55を前後方向で貫通するネジ孔59,59が設けられている。かかる構成を有する摺動部材13は、
図5、
図9に示すように、前記上下の係合突部56,56が前記上下の係合溝53,53に嵌まり合った分離不能の係合状態で、前記摺動溝15を左右方向F1で摺動できる。
【0052】
又、前記嵌入固定溝39の底部110には、
図8〜9に示すように、断面C字状を呈するビスポケット75を構成するC字状突条部76が左右方向に延長する如く設けられている。そして、前記前方面部12の下側部分111と前記後方面部99の下側部分112との間には前記戸車収容溝部96が構成されている。
【0053】
前記取付部材16は、本実施例においては
図6〜7、
図8〜9に示すように、前記摺動部材13に連結される連結部17を上部に具えた後の取付片113と、固定部20を上部に具えた前の取付片115の下端116,117相互が、例えば水平の繋ぎ片119で連結されてなり、該前の取付片115の上端120の高さが前記後の取付片113の上端121の高さよりも低く形成されて、全体としてU字状を呈している。そして該固定部20は、
図5に示すように、前記出入口3の前記左右方向F1で見た一方側に存する一方側間仕切り部7の後側の壁面21に固定され、或いは、前記出入口3が存する側に近い前のドア単体6aの後面22に固定される。
【0054】
かかる構成を有する後の取付片113の前記連結部17の左右側には、
図6、
図8、
図12、
図13に示すように、前記摺動部材13に設けられている左右のネジ孔59,59と位置合わせしてビス挿通孔123,123が設けられており、該ビス挿通孔123,123を挿通する左右のビス125,125(
図7、
図9)を前記左右のネジ孔59,59に螺合し締め付けることによって、
図7、
図9に示すように、該連結部17が該摺動部材13に連結される。
【0055】
前記後の取付片113の構成は、
図6、
図8に示すように、上下の横框部材10,11について同様構成とすることもできる。しかし本実施例においては
図1〜2に示すように、前記後のドア単体6bに付設される把手126が、戸先側の上側に設けられる関係上、前記スライドドア5のスライド動作をより円滑化させるために、
図12(A)に示すように、該後の取付片113を左右方向F1で長く形成し、連結部17に、左右方向で4個のビス挿通孔123,123,123,123を設けている。然して本実施例においては
図12(B)に示すように、前記摺動部材13の2個を左右方向で直列に配置し、4個のネジ孔59,59,59,59に該ビス挿通孔123を位置合わせし、4本のビス125を該ネジ孔59に螺合し締め付けると、該連結部17を該2個の摺動部材13,13に連結できる。
【0056】
このように連結された状態で、
図7、
図9に示すように、前記第1、第2の線状係合部82,69を嵌合させ且つ前記第3、第4の線状係合部85,70を嵌合させることによって前記カバー片19を前記上下の横框部材10,11に装着すると、前記後の取付片113が前記収容間隙90に収容状態となる。前記のように、前記摺動部材13を構成する前記矩形板部55の前端面57が前記入口52から前方に若干突出する如く構成されているため、前記後の取付片113は前記前方面部12に接触しない。
【0057】
又、該連結部17が前記摺動部材13に固定された状態で、垂下状態にある前記後の取付片113が前記収容間隙90に納められ、且つ
図7、
図9に示すように、前記繋ぎ片119が前記カバー片19の下端24の下方に位置する。この状態で前記摺動部材13が
図4に矢印で示す左右方向F1に摺動するに伴い、該後の取付片113が、前記前方面部12、前記カバ−片19と干渉することなく前記収容間隙90を左右方向F1で移動できる。
【0058】
この移動の範囲は、例えば
図14〜15、
図16〜17に示すように、前記摺動溝15の溝底部127(
図6、
図8)の左右の端部129,130から内方に控えた部位にストッパ部131,131を設けておくことによって、前記摺動部材13が該左右のストッパ部131,131に当接するまでの範囲に規制される。該左右のストッパ部131,131は上下の横框部材10,11の双方に設けてもよいのであるが、本実施例においては、該左右のストッパ部131,131を上の横框部材10にのみ設けている。
【0059】
前記カバー片19をこのように装着して後、
図4、
図10〜11に示すように、前記左右の縦框部材29,30の上の端部分31,31間と下の端部分32,32(
図4)間に前記上下の横框部材10,11を介装し、且つ、該縦框部材29,30と該横框部材10,11とを、前記上下の横框部材10,11に設けられている前記ビスポケット75,75(
図6、
図8)にねじ込まれるビス(図示を省略)を用いて連結する。これによって
図14〜15、
図16〜17に示すように、前記カバー片19の両端部133,133が前記左右の縦框部材29,30の内面部135,135に当接されることにより抜け止めされる。かかることから前記カバー片19を、何らビス固定することなく、上下の横框部材10,11に簡易且つ確実に固定状態となし得る。
【0060】
前記左右の縦框部材29,30と前記上下の横框部材10,11とを前記のように矩形状に枠組し、且つその際に、
図5に示すように、前記嵌入固定溝39に前記面材36の縁部分37を嵌入しパッキン材40,40で固定することによって前記ドア単体6(
図4)を構成できる。このように構成したドア単体6の2枚を、前記取付部材16を介して連結することにより前記スライドドア5(
図3)を構成できる。
【0061】
図3、
図18は、前後のドア単体6a,6bを前記取付部材16を介して連結した状態を示しており、後のドア単体6bの前記取付部材16が、前記摺動溝15の左端側140に位置された状態で、該取付部材16の前記固定部20が、
図5に示すように、前記前のドア単体6aの後面22に固定されている。
【0062】
この固定は、ビス固定やボルト固定によって行うことができる。本実施例においては、例えば
図5、
図18〜19に示すように、該後面22で突設されたボルト軸142,142を前記固定部20の左右部位に設けられているボルト孔141,141に挿通させ、該ボルト軸142,142に螺合するナット143,143を締め付けることによって行うことができる。該ナット143の螺締操作は、前記カバー片19と前記前の取付片115との間に形成された固定用間隙145(
図5、
図18)にスパナ等の工具を挿入して行うことができる。該固定用間隙145は、前記繋ぎ片119(
図6、
図8)の前後幅によって設定されるものであり、該スパナ等の工具を用いてナットを回転させるに必要な最小限度の幅(例えば、スパナの厚み程度の幅)に設定できる。
【0063】
かかる固定によって構成されたスライドドア5の夫々のドア単体6a,6bの下部には、前記のように、床部23に接して左右方向で移動可能な支持部材25が設けられている(
図5)。該支持部材25は本実施例においては、各ドア単体6a,6bの前記戸車収容溝部96,96の左右側に納設された戸車25a,25a、25a,25aを以て構成されている。該戸車25aは、
図1〜2、
図5に示すように、床面146の左右方向に延長して設けられたレール部材147の前後のレール溝149,150(前記床部23に該当する)を左右方向で移動可能であり、該戸車25aによってドア単体6a,6bの重量が支持される。該前のレール溝149を、前記前のドア単体6aの前記戸車25aが左右方向F1で走行でき、該後のレール溝150を、前記後のドア単体6bの前記戸車25aが左右方向F1で走行できる。
【0064】
図1は、既設のローパ−ティション27で区画された例えば金融相談室の区画空間26に設けられている出入口3を、後付けで、前記スライドドア5で開閉可能としたスライドドア装着1を示すものである。該スライドドア装置1を構成するに際しては、例えば、2枚のドア単体6a,6bをスライド可能に連結してなるスライドドア5(
図3)を予め工場で製作しておき、これを施工現場に搬入して前記開口部3に取り付けて行うことができる。
【0065】
かかるスライドドア5は、前記摺動溝15が上下の横框部材10,11と一体に設けられているため、特許文献1における場合とは異なり、前記のパネル側レールfやドア側レールk等の特別な部品を必要とせず、それ故、これらの部品を所要に位置決めして固定(ビス固定、ボルト固定等)する作業が不要となる。従って該スライドドア5は、全体構造が簡素であり、生産性向上と製造コストの低減を期し得ることとなる。
【0066】
図5、
図18〜19には、該スライドドア5を構成する前記前のドア単体6aを、前記取付部材16を介して、前記左右方向F1で見た一方側に存する一方側間仕切り部7の後側の壁面21に固定した状態が示されている。この固定は、
図18に示すように、前記前のドア単体6aに設けられている前記取付部材16を戸尻側に位置させ、この状態で該取付部材16の前記固定部20を該後側の壁面21にボルト固定して行なわれている。かかる構成を有するスライドドア5が前記出入口3を開いた状態においては、
図1〜2に示すように、前記前のドア単体6aが前記一方側間仕切り部7の後側の壁面21に略完全に重なる状態となされる。そして本実施例においては、
図2に示すように、該前のドア単体6aが、その戸尻側の端部151が前記床部23に設けたストッパ部材152に当たって停止され、且つ、該後のドア単体6bが、その戸尻側の端部164が前記床部23に設けたストッパ部材168に当たって停止されるようになされている。又この状態で、
図1が示すように、前記後のドア単体6bに設けられている把手126が前記出入口3の一方の端部153から出入口3内に稍入り込んだ状態となるようになされている。これにより、前記スライドドア5を開く際に把手126を把持し易い。
【0067】
前記固定部20を前記後側の壁面21に固定するに際しては、
図18、
図19(C)(D)に示すように、該取付部材16を、前記前のドア単体6aの戸尻側(前記摺動溝15の左端側144)に位置させた状態で、前記後側の壁面21で突設されたボルト軸155,155を前記固定部20の左右部位に設けられているボルト孔156,156に挿通させ、該ボルト軸156に螺合するナット143,143を締め付けることによって行うことができる。該ナット157の螺締操作は、前記固定用間隙145に通したスパナ等の工具を用いて行うことができる。
【0068】
図20(C)は、前記スライドドア5が前記出入口3を閉じた状態を示すものであるが、このように閉じた状態とするには、前記把手126を把持して前記後のドア単体6bを
図20(A)に矢印で示す右方向にスライドさせる。前記出入口3の上端28(
図1〜2)が開放状態にあって該スライドドア5の上端がフリーの状態にあるにも拘わらず、前記スライドドア5は、前記出入口3を閉じる方向に安定的にスライドできる。
【0069】
これは、
図5に示すように、該前後のドア単体6a,6bの上下の横框部材10,11の前方面部12,12が前記取付部材16,16を介して前記後側の壁面21、前記前のドア単体6aの後面22に支持されており、且つ、該前後のドア単体6a,6bの戸先側が前記戸車25a,25aを介して前記レール溝149,150(床部23)に支持されており、スライドドア5が安定的に取り付けられているからである。そして、このスライドに伴い、前記上下の横框部材10,11に設けられている前記摺動溝15,15を、前記摺動部材13,13が左端側(戸尻側)140に向けて相対的に摺動する。そして
図20(B)、
図21(A)に示すように、上の摺動部材13aが上の摺動溝15の左端側に設けられている前記ストッパ部131に当った後は、前記前のドア単体6aが前記閉じる方向に向けてスライドすることになる。そして、
図20(C)、
図21(B)に示すように、該後のドア単体6bの戸先側の先端に付設されている前記戸当り48(
図10(B))が前記出入口3の他方の端部153bに当接することによって、該前のドア単体6aが停止状態となる。この停止状態で、前記出入口3がスライドドア5で閉じられた状態となる。なお
図20(C)においては、
図21(A)(B)に拡大して示すように、前記上のスライド部材13,13が共に、ドア単体6a,6bの戸尻側に設けられている前記ストッパ部113,113に当接状態にある。
【0070】
この状態から該出入口3を開く場合は、前記後のドア単体6bの前記把手126を把持して前記スライドドア5を、
図22(A)に矢印で示すように、該出入口3を開く方向にスライドさせる。この場合も、該出入口3を閉じる場合と同様の理由で、該スライドドア5は、前記出入口3を開く方向に安定的にスライドできる。このとき、前記上下の摺動部材13,13が前記上下の摺動溝15,15を、後のドア単体6bの戸先側に向けて相対的に摺動する。
【0071】
その後、前記後のドア単体6bの上の摺動部材13aが、
図22(B)、
図23(A)に示すように、上の摺動溝15aの戸先側に設けられているストッパ部131に当接することによって、前記前のドア単体6aが、
図22(B)に矢印で示すように、出入口3を開く方向に向けてスライドすることになる。そして本実施例においては、
図22(C)に示すように、前記前のドア単体6aが、その戸尻側の端部151が前記ストッパ部材152に当ることによって停止され、略同時に、前記後のドア単体6bが、その戸尻側の端部164が前記ストッパ部材168に当たって停止される。なお
図22(C)においては、
図23(C)に拡大して示すように、前記ドア単体6a,6bの前記上のスライド部材13a,13aが、該ドア単体6a,6bの戸先側に設けられている前記ストッパ部113,113に当接状態にある。そしてこの状態で、
図22(C)に示すように、該前のドア単体6aが前記左右方向F1で見た一方側に存する一方側間仕切り部7の後側9に重なった状態となる。且つ、前記後のドア単体6bが該前のドア単体6aの後側になり合った状態となり、前記把手126が前記一方側間仕切り部7の一方の端部153から出入口3内に稍突出した状態となり、これにより、スライドドア5が該出入口3を開いた状態が得られる。
【0072】
前記スライドドア5が前記出入口3を閉じた状態においては、
図20(C)に示すように、前記前のドア単体6aが前記後側の壁面21に接近した状態にあり、該前のドア単体6aの戸尻側部分161と該後側の壁面21との間の間隙162が小さい。又、前記前のドア単体6aの戸先側部分159と前記後のドア単体6bの戸尻側部分160との間の間隙163も小さい。かかることから前記出入口3の出入り方向(前記前後方向F2)で見た全体厚さが特許文献1における全体厚さに比して小さい。又
図20(A)に示すように、前記スライドドア5が前記出入口3を開いた状態における、重なり状態にある該スライドドア5の、前記後側の壁面21からの突出量も小さい。かかることから、スライドドア装置1の全体をコンパクトに見栄えよく構成し得ることとなり、省スペース化を図り得ることとなる。
【0073】
これは、前記上下の横框部材10,11に前記摺動溝15が一体に設けられているために実現できることである。そして本実施例においては前記カバー片19が前記摺動溝15を正面側から覆うように装着されているため、前記摺動溝15を摺動する摺動部材13に手指が挟まる恐れもなく安全であり、又、該摺動溝15に埃等が付着するのを防止できる。又、前記カバー片19に覆い隠されて前記摺動部材13の摺動状態が目視不能となるため、摺動構造部分の見栄えを向上させ得る。
【0074】
又、前記スライドドア5が前記出入口3を閉じた状態における、前記前のドア単体6aの戸尻側部分161と前記後側の壁面21との間の間隙162が小さく且つ、前のドア単体6aの戸先側部分159と前記後のドア単体6bの戸尻側部分160との間の間隙163が小さいことから、特許文献1における場合とは異なり、該間隙162,163を通して区画空間26の内部が見えにくい。
【実施例4】
【0080】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0081】
(1) 例えば養護老人施設において、間仕切りの所要部位に設けられた出入口3に、養護老人の腰高程度の高さ(例えば70cm程度の高さ)を有するスライドドア5を前記と同様にして設けることもできる。かかる構成を有するスライドドア装置1によるときは、該スライドドア5で出入口3を閉じることにより、養護老人が管理区域に不用意に立ち入るのを防止できることになる。
【0082】
(2) 本発明に係るスライドドア装置1は、1枚のドア単体6を以てなるスライドドア5を用いて構成されることもある。
図28、
図29はその一例を示すものであり、スライドドア5が1枚であることの他は前記実施例で説明したところと同様であるため、前記と同様箇所には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0083】
(3) 本発明に係るスライドドア装置1において、前記スライドドア5の下部24に設けられる、床部23に接して左右方向で移動可能な支持部材25は、前記した戸車の他、転動しない樹脂ブロック片を用いて構成し、該樹脂ブロック片の下面が該床部23に接して左右方向で移動可能となるように構成してもよい。又前記床部23は、前記したレール部材147を床面146に固定して構成されることの他、床面その自体であることもある。
【0084】
(4) 前記支持部材25を戸車25aとして構成する場合、前記レ−ル部材147は、該戸車25aを走行させるための前記レール溝149,150としての床部23の他、突条レ−ルとしての床部23を具える如く構成してもよい。
【0085】
(5) 前記スライドドア5が前記出入口3を閉じる方向に或いは開く方向に無理なくスライドできるならば、前記支持部材25を省略してもよい。
【0086】
(6) 本発明に係るスライドドア装置1を構成する前記スライドドア5は、複数枚のドア単体6を以て構成できるものであり、前記した2枚のドア単体6a, 6bを以て構成されることの他、例えば3枚や4枚のドア単体6を以て構成されることもある。
図30〜31は、3枚のドア単体6,6,6を以てスライドドア5を構成した状態を示している。この場合におけるスライドドア5の構成は、該複数枚のドア単体の内の端部に位置する端部のドア単体6Aに設けられている取付部材16の前記固定部20が、前記出入口3の前記左右方向F1で見た一方側に存する一方側間仕切り部7の後側の壁面21に固定される一方、左右隣り合うドア単体6,6の内の前記出入口3が存する側から遠いドア単体に連結されている前記取付部材16の前記固定部20は、前記出入口3が存する側に近いドア単体の後面22に固定されている。
【0087】
(7) 前記上下の横框部材10,11に、前記摺動溝15を正面側から覆う如く装着されるカバー片19は、前記したスライド方式で装着されることの他、けんどん式で固定されたり、ビス固定等によって固定されることもある。
【0088】
(8) 前記上下の框部材10,11は前記した金属製の他、樹脂製とされることもあり、或いは木製本体に金属板を固定して構成することも可能である。
【0089】
(9) 前記摺動溝15に前記摺動部材13を摺動可能に装着する手段としては、前記したように、該摺動溝15の入口52を幅狭に構成することにより該摺動部材13が該摺動溝15に対して分離不能の係合状態となすことの他、例えば
図32に示すように、該摺動溝15の底面部172で突出するT字状ガイドレール173を左右方向F1で延長する如く設け、前記摺動部材13を該T字状ガイドレール173に沿って分離不能の係合状態で摺動させるように構成するもの等、摺動部材13を分離不能の係合状態で該摺動溝15において摺動可能とする各種手段を採用できる。
【0090】
(10)
図33は、前記上下の框部材10,11に設けられた突出部50の下面47に条溝82aとしての第1の線状係合部82を設けると共に、前記カバ−片19に設けられている前記スライド部80の上面81に、該条溝82aと略密接状態でスライド可能に嵌合し得る突条69aとしての第2の線状係合部69を設ける一方、前記上下の框部材10,11の前記突出部50の下方に位置する部分の前面51に条溝85aとしての第3の線状係合部85を設けると共に、前記スライド部80の後面83に、該条溝85aと略密接状態でスライド可能に嵌合し得る突条70aとしての第4の線状係合部70を設けた場合を示している。
【0091】
又、前記スライド部80の上面81に条溝82aとしての第1の線状係合部82を設ける一方、前記スライド部80の前記後面83に突条70aとしての第4の線状係合部70が設けられることもある。
【0092】
(11)複数枚のドア単体6を以て構成された前記スライドドア5の端部に位置するドア単体は、前記出入口3の左右方向で見た他方側に存する他方側間仕切り部8(
図27)の後側壁面21に取付部材16を介して取り付けられてもよい。
【0093】
(12)
図34は、
図1に示した場合とは逆に、前記一方側間仕切り部7の前記後側の壁面21を前記区画空間26の外側に設定した場合におけるスライドドア装置1を示している。この場合も実施例1における場合と同様に、前記出入口3の出入方向が前後方向とされているが、前記出入口3に面する側が前、その逆側が後とされている。
【0094】
(13)前記スライドドア5が複数枚のドア単体6を用いて構成される場合、該スライドドア5を、前記出入口3を閉じる方向に或は開く方向に、支障なくスライドさせ得る限り、前記支持部材25は、全てのドア単体6の下部に設けられることの他、先頭に位置するドア単体の下部にのみ設けられることもある。又、ドア単体6の下部24に設ける支持部材25は、該下部24の所要部位に設けてよく、例えば、ドア単体6の戸先側にのみ設けることもある。
【0095】
(14)前記スライド部80の前記上面81は水平面とは限らず、前記後面83は垂直面とは限らない。
【0096】
(15)装着されたカバー片19の安定性を向上させるために、例えば
図35に示すように、前記上下の横框部材10,11(例えば上の横框部材10)の前方面部12の両端側において(例えば、前記左右のストッパ部131,131の外側において)、例えば10mm程度の左右幅を有するスポンジ片136,136を圧縮状態で介在させるのがよい。これによって、前記第1、第2の線状係合部82,69との嵌合部分137及び前記第3、第4の線状係合部85,70との嵌合部分139に若干のがたつきがある場合であっても、スライドドア5のスライド中におけるカバー片19の装着部分で発生する振動を、該左右両側に配置されている該スポンジ片136,136によって防止できる。なお前記スポンジ片136に代えて、軟質ゴム等の弾性部材を用いてもよい。
【0097】
(16)上下の横框部材に前記カバ−片が装着されない場合は、前記摺動部材13に連結される取付部材16の構成の自由度が高まる。
【0098】
(17)前記摺動溝を正面側から覆うカバ−片を左右方向でスライド可能に装着するための構成は、前記した第1の線状係合部と第2の線状係合部、前記第3の線状係合部と前記第4の線状係合部とを略密接状態でスライド可能に嵌合させる構成の他、該カバ−片を左右方向でスライド可能に嵌合させ得る各種の公知手段を採用できる。
【0099】
(18)前記突出部50は、所要の筒状形態や所要の板状形態等として構成できる。
【0100】
(19)本発明において、「出入口3が開口された状態でスライドドア5が前記一方側間仕切り部7の後側に重なり合う」とは、例えば
図26(B)に示すように完全に重なり合うことの他、例えば
図2や
図20(A)に示すように部分的にずれて重なり合うことも含む。