特許第5666742号(P5666742)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5666742
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】最終処分場
(51)【国際特許分類】
   B09B 1/00 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
   B09B1/00 F
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-214739(P2014-214739)
(22)【出願日】2014年10月21日
【審査請求日】2014年10月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509068574
【氏名又は名称】株式会社フジコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 藤吉郎
【審査官】 金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5444501(JP,B1)
【文献】 特許第5444496(JP,B1)
【文献】 特許第5380627(JP,B1)
【文献】 特許第5372289(JP,B1)
【文献】 特許第5352023(JP,B1)
【文献】 特許第5352022(JP,B1)
【文献】 特許第5320519(JP,B1)
【文献】 登録実用新案第3189378(JP,U)
【文献】 特開2014−176804(JP,A)
【文献】 特開2014−176803(JP,A)
【文献】 特開2008−173570(JP,A)
【文献】 特開2006−341172(JP,A)
【文献】 特開2002−143801(JP,A)
【文献】 特開2003−340391(JP,A)
【文献】 特開平09−125403(JP,A)
【文献】 特開平08−199596(JP,A)
【文献】 特開平09−001099(JP,A)
【文献】 独国実用新案第29911114(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00− 5/00
E02B 3/04− 3/14
E02D 29/02
Thomson Innovation
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を含有する盛土材が投入されて該盛土材の圧密成形体が順次形成される複数の埋立区画が設定され、周囲が側壁部で画定される埋立領域と、
前記埋立領域を収容し、底部が底版構造体で構成される建屋とを備え、
前記底版構造体は、地盤上に設けられた第1防水構造体と、該第1防水構造体の上に設けられて前記埋立領域の底を画定するRC層とで構成され、
前記第1防水構造体は、コンクリートと防水ユニットとで構成され、
前記側壁部は、前記RC層から立ち上げられた鉄筋を主筋とする鉄筋コンクリートにより、該RC層との一体物として形成され、
前記一体物の表面は、第2防水構造体で被覆されており、
前記RC層の周縁部には、該RC層との一体物として該RC層から立ち上げられた垂直壁が設けられ、
前記建屋の側壁の下端面は、前記垂直壁の上端面に接続しており、
前記第2防水構造体は、前記垂直壁の内側の表面にまで延在し、
前記垂直壁、前記側壁部及び前記RC層は、上方に開放され、かつ前記第2防水構造体により内側が被覆された凹領域を形成しており、
前記圧密成形体を形成する盛土材を前記埋立区画に搬送する天井ホイストを走行させるための走行路が、前記凹領域の底部の前記第2防水構造体の上に設けられることを特徴とする最終処分場。
【請求項2】
前記凹領域には、そこに侵入する水を集めて排出するための集水桝が設けられることを特徴とする請求項1に記載の最終処分場。
【請求項3】
前記第1防水構造体は、
地盤に投入された第1コンクリート層と、
前記第1コンクリート層の上に設けられた前記防水ユニットと、
前記防水ユニットの上に投入された第2コンクリート層とで構成され、
前記防水ユニットは、遮水シートと、該遮水シートを両側から挟む2層の保護マットとで構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の最終処分場。
【請求項4】
前記第2防水構造体は、最も内側の撥水加工層と、該撥水加工層の外側にFRP防水加工を施して形成した防水加工層と、該防水加工層を覆う不燃性コートとで構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の最終処分場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物を圧密成形体として埋立処分するための最終処分場に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物を埋立処分するための処分場では、埋立処分された廃棄物から生じる浸出水が外部に漏洩するのを防止する措置を講ずる必要がある。かかる措置として、従来、コンクリートで構築した埋立用の区画の壁面に、遮水シートを用いて防水加工を施すことなどが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された廃棄物処分場の構築方法では、埋立用区画を構成するコンクリート壁の壁面に対し、遮水シートを取り付けたコンクリート打設用の型枠が、コンクリート壁の壁面に遮水シートが対向するようにして設置される。そして、型枠の遮水シートとコンクリート壁との間にコンクリートが打設され、所定期間の養生後、型枠が取り除かれる。その後、遮水シートの露出側の表面に樹脂材料が散布される。
【0004】
また、廃棄物を埋立処分する方法として、埋立領域内に、廃棄物を含有する盛土材で圧密成形体を順次形成することに埋立処分する方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。盛土材は、廃棄物をセメント等と混練することにより調整される。そして、圧密成形体は、盛土材を固化させることにより、セメント固化物として形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−236490号公報
【特許文献2】特開2014−061473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、使用済みの乾電池や蛍光灯などの水銀含有廃棄物(以下、「水銀含有廃棄物」という。)に含まれる水銀は、従来、可能な限り回収され、リサイクルして使用されている。しかし、近年、水銀の需要が激減しているので、水銀含有廃棄物は、リサイクルせずに、埋立処分する場合が多くなっている。
【0007】
この場合、水銀含有廃棄物から浸出水が処分場の外部に漏洩すると、水銀を含有しない廃棄物の場合に比べて、処分場の周囲の環境に大きな影響を与える。したがって、水銀含有廃棄物を埋立処分する場合には、上記従来の方法で構築される処分場の場合よりも、数段厳重な漏洩対策が必要となる。
【0008】
また、水銀含有廃棄物を含有する盛土材で圧密成形体を形成することにより水銀含有廃棄物を埋立処分する場合には、盛土材を、埋立領域内の各所望の位置に、順次効率的に搬送することが要求される。
【0009】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、水銀含有廃棄物を圧密成形体として埋立処分するのに適した最終処分場を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の最終処分場は、廃棄物を含有する盛土材が投入されて該盛土材の圧密成形体が順次形成される複数の埋立区画が設定され、周囲が側壁部で画定される埋立領域と、前記埋立領域を収容し、底部が底版構造体で構成される建屋とを備え、前記底版構造体は、地盤上に設けられた第1防水構造体と、該第1防水構造体の上に設けられて前記埋立領域の底を画定するRC層とで構成され、前記第1防水構造体は、コンクリートと防水ユニットとで構成され、前記側壁部は、前記RC層から立ち上げられた鉄筋を主筋とする鉄筋コンクリートにより、該RC層との一体物として形成され、前記一体物の表面は、第2防水構造体で被覆されており、前記RC層の周縁部には、該RC層との一体物として該RC層から立ち上げられた垂直壁が設けられ、前記建屋の側壁の下端面は、前記垂直壁の上端面に接続しており、前記第2防水構造体は、前記垂直壁の内側の表面にまで延在し、前記垂直壁、前記側壁部及び前記RC層は、上方に開放され、かつ前記第2防水構造体により内側が被覆された凹領域を形成しており、前記圧密成形体を形成する盛土材を前記埋立区画に搬送する天井ホイストを走行させるための走行路が、前記凹領域の底部の前記第2防水構造体の上に設けられることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、底部が底版構造体で構成される建屋を備え、底版構造体が、RC層と第1防水構造体とで構成され、埋立領域が、RC層と側壁部とで画定される。そして、側壁部は、RC層の底部から立ち上がる鉄筋を主筋として形成され、一体物の表面が、第2防水構造体で被覆される。
【0012】
したがって、側壁部、第2防水構造体及び建屋により雨水等の埋立領域への侵入を阻止しながら、第1防水構造体、RC層及び第2防水構造体により、埋立領域内の廃棄物を含む圧密成形体からの浸出水等が地盤に漏出するのを効果的に阻止するとともに、埋立領域を、RC層と側壁部により、堅固に維持することができる。
【0013】
さらに、上記の凹領域が埋立領域の側壁部の外側を取り囲むように形成され、凹領域底部の第2防水構造体の上に、天井ホイストを走行させるための走行路が設けられる。これにより、凹領域を、埋立領域への雨水等の侵入及び埋立領域から建屋外への水分の漏出を防止するためのバッファ領域として機能させ、かつ該凹領域を、天井ホイストの走行路を設けるための領域としても利用することができる。
【0014】
したがって、埋立領域と外部との高度な遮蔽性を高い信頼性で確保しつつ、天井ホイストを、圧密成形体を形成するための盛土材の搬送手段として、容易に採用することができる。したがって、水銀含有廃棄物を圧密成形体として埋立処分するのに適した最終処分場を提供することができる。
【0015】
本発明において、前記凹領域には、そこに侵入する水を集めて排出するための集水桝が設けられてもよい。これによれば、凹領域に侵入する雨水等が集水桝に集められて排出されるので、上述の凹領域のバッファ領域としての機能を確実に実現することができる。
【0016】
本発明において、前記第1防水構造体は、地盤に投入された第1コンクリート層と、前記第1コンクリート層の上に設けられた前記防水ユニットと、前記防水ユニットの上に投入された第2コンクリート層とで構成され、前記防水ユニットは、遮水シートと、該遮水シートを両側から挟む2層の保護マットとで構成されてもよい。
【0017】
これによれば、第1コンクリート層及び第2コンクリート層と、保護マットとにより遮水シートが保護されるので、第1防水構造体による遮水性を、高度に維持することができる。
【0018】
本発明において、前記第2防水構造体は、最も内側の撥水加工層と、該撥水加工層の外側にFRP防水加工を施して形成した防水加工層と、該防水加工層を覆う不燃性コートとで構成されてもよい。これによれば、不燃性コートにより火災事故等を防止しながら、撥水加工層と防水加工層による防水効果を享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る最終処分場の斜視図である。
図2図1のII-II線断面図である。
図3】最終処分場のRC層における各鉄筋コンクリート層の誘発目地を示す斜視図である。
図4】底盤構造体のRC層及び埋立領域の側壁部における配筋を示す配筋図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。実施形態の最終処分場1は、水銀含有廃棄物の安全な埋立処分にも対応できるものである。図1に示すように、最終処分場1は、それぞれ周囲が側壁部2により画定された2つの埋立領域3と、底部が底版構造体4(図2参照)により構成され、各埋立領域3を収容する建屋5とを備える。
【0021】
建屋5は、上方から見下ろした形状が、長方形状を有する。各埋立領域3は、水平面に沿った形状が建屋5の長さ方向に沿って長い長方形状を有し、相互に平行に配置される。
【0022】
各埋立領域3には、廃棄物の圧密成形体6が順次形成される複数の埋立区画7が設定される。図1では、1つの埋立区画7のみが、1点鎖線で示されている。かかる直方体状の多数の埋立区画7が、埋立領域3内に、埋立領域3の縦、横、高さ方向に沿って、隙間なく定義される。
【0023】
圧密成形体6は、廃棄物とセメント等を混練して得られる盛土材8を、順次埋立区画7毎に投入し、締め固めて硬化させることにより形成される。建屋5内には、廃棄物とセメント等を混練して盛土材8を調製するためのセメント混練室9が設けられる。セメント混練室9の近傍の建屋5外には、混練用のセメントを供給するためのセメントサイロCが設けられる。
【0024】
セメント混練室9内には、混練用のピット10や、撹拌バケット等を装着可能な重機11、盛土材8を移送するための容器12等が配置される。セメント混練室9へ通じる運搬車両13の搬入路には、気密性の重量シャッタで構成された第1ゲート14及び第2ゲート15が設けられる。
【0025】
セメント混練室9から盛土材8を移送するための移送路16への出口には、同様に気密性を有する内部ゲート17が設けられる。これにより、セメント混練室9を気密に保持し、廃棄物の混練時に水銀成分がセメント混練室9の外部に飛散するのを防止することができるようになっている。
【0026】
埋立領域3の側壁部2の外側には、圧密成形体6を形成する盛土材8を埋立領域3内の埋立区画7に搬送する天井ホイスト18を走行させるための走行路19が設けられる。この走行路19を用いて天井ホイスト18を走行させ、さらに天井ホイスト18の巻上げ機構部分であるホイスト20(図2参照)を横行させることにより、盛土材8が入れられた容器12を、圧密成形体を形成しようとする埋立区画7まで搬送できるようになっている。
【0027】
建屋5内の正面側には、比較的広い正面スペース21が設けられる。正面スペース21には、盛土材8が入れられた容器12をセメント混練室9から天井ホイスト18への受渡し位置22まで移送するための移送路16やフォークリフト23が配置される。正面スペース21の正面側は、建屋5の出入り口となっており、気密性の重量シャッタ24により開閉される。
【0028】
また、建屋5内には、管路25を介して建屋5内の必要個所に不活性ガスを送る消火設備を有する消火設備室26が設けられ、万一の場合に備えられている。その他、建屋5内には管理室27や倉庫28等が設けられる。
【0029】
図2は、図1のII−II線断面図であり、建屋5の底版構造体4等の断面を示す。図2のように、底版構造体4は、地盤29上に設けられる第1防水構造体30と、第1防水構造体30の上に設けられるRC層31とで構成される。
【0030】
地盤29は、地盤29の性質に応じ、置換工法、浅層混合処理、深層混合処理工法等の地盤改良工法により、予め改良される。第1防水構造体30は、地盤29に打設された第1コンクリート層としての第1捨コンクリート32と、第1捨コンクリート32の上に設けられた防水ユニット33と、防水ユニット33の上に打設された第2コンクリート層としての第2捨コンクリート34とで構成される。防水ユニット33は、遮水シート35と、遮水シート35を両側から挟む2層の保護マット36とで構成される。
【0031】
RC層31は、3層の鉄筋コンクリート層37で構成される。各鉄筋コンクリート層37は、別個の養生期間を経て下層から順に構築される。各鉄筋コンクリート層37の養生期間は、例えば28日である。
【0032】
図3のように、RC層31を構成する各鉄筋コンクリート層37には、上面に誘発目地38が設けられる。なお、図3では、各鉄筋コンクリート層37の誘発目地38の位置がわかり易いように、後述の第2防水構造体46(図2参照)を表示せず、かつ適宜の誘発目地38に沿った位置で、各鉄筋コンクリート層37を切断して示している。
【0033】
誘発目地38は、例えば、幅20[mm]×深さ40[mm]の寸法を有する。誘発目地38には、伸縮目地材39が充填される。各鉄筋コンクリート層37の誘発目地38は、鉄筋コンクリート層37の上面に平行な方向において相互に異なる位置に配置される。具体的には、各鉄筋コンクリート層37の誘発目地38は、縦横等間隔で格子状に形成され、格子を形成する縦又は横のラインは、側壁部2に平行である。そして、各鉄筋コンクリート層37の誘発目地38は、相互に格子間隔の3分の1ずつずれている。
【0034】
このため、誘発目地38により誘発される各鉄筋コンクリート層37のクラックも、相互に格子間隔の3分の1ずつずれる。したがって、1つの鉄筋コンクリート層37のクラックが生じた部分が、隣接する鉄筋コンクリート層37のクラックが生じていない部分に重なる。このため、誘発されるクラックによるRC層31の強度劣化や柔軟性の低下は、最小限に留められる。また、伸縮目地材39の防水効果と相俟って、クラックによるRC層31の水分遮断性の劣化が抑制される。
【0035】
図2及び図4に示すように、埋立領域3を確定する側壁部2は、RC層31の底部から立ち上げられた鉄筋を主筋40とする鉄筋コンクリートにより、RC層31の一番上の鉄筋コンクリート層37との一体物として、その鉄筋コンクリート層37と同時に形成される。埋立領域3の底は、RC層31により画定される。
【0036】
RC層31を構成する各鉄筋コンクリート層37の鉄筋は、図4のように、その鉄筋コンクリート層37の上側に縦横に格子状に配置した鉄筋41と、下側に縦横に格子状に配置した鉄筋42とで構成される。そして、最下層の鉄筋コンクリート層37の下側に格子状に配置した鉄筋42の上からL字状に立ち上げられた主筋40の水平方向に延びた部分が、側壁部2に垂直となるように配置される。
【0037】
側壁部2は、かかる主筋40と、側壁部2に沿って水平方向に延びた水平筋43とを格子状に配置した内側(埋立領域3側)の鉄筋群と、同様に主筋40と水平筋43とを格子状に配置した外側(埋立領域3と反対側)の鉄筋群とで強化された鉄筋コンクリートの壁として形成される。主筋40は、各鉄筋コンクリート層37を相互に固定する機能も有している。
【0038】
図2のように、RC層31の周縁部には、RC層31の一番上の鉄筋コンクリート層37から立ち上げられた垂直壁44が設けられる。垂直壁44は、一番上の鉄筋コンクリート層37との一体物として、その鉄筋コンクリート層37と同時に形成される。
【0039】
垂直壁44の外側には、RC層31のうちの一番上の鉄筋コンクリート層37のみが、2[m]ほど地盤29面に沿って延び出した延出部45が形成される。延出部45は、3つの鉄筋コンクリート層37から成るRC層31の部分に対して段差を成している。地盤29とRC層31との間の第1防水構造体30は、この段差部分を経て延出部45まで連続している。
【0040】
RC層31、側壁部2及び垂直壁44で構成される一体物の表面は、垂直壁44の外側面を除き、第2防水構造体46で隙間なく被覆される。建屋5の側壁57の下端面は、垂直壁44の上端面に、第2防水構造体46を介して接続される。第2防水構造体46は、内側の撥水剤を塗布して形成される撥水加工層47と、撥水加工層47にFRP防水加工を施した防水加工層48と、防水加工層48を被覆する最も外側の不燃性コート49とで構成される。
【0041】
建屋5周囲の垂直壁44、各埋立領域3の側壁部2、及び底版構造体4のRC層31により、上方に開放し、かつ第2防水構造体46により内側が被覆された凹領域50が形成される。図1のように、凹領域50には、そこに侵入する雨水等を排出するための集水桝51が設けられる。
【0042】
なお、図1では、建屋5の側壁57及び屋根52のうち、建屋5の正面と反対側の一部のみが示されているが、実際には、建屋5の側壁57及び屋根52は、底版構造体4周囲の垂直壁44の内側全体を覆っている。
【0043】
また、図1では建屋5に隠れているが、各埋立領域3の建屋5正面と反対側の側壁部2と垂直壁44との間にも凹領域50が形成される。また、各埋立領域3の対向する側壁部2の間にも凹領域50が形成される。図1で表示されている建屋5の両側の凹領域50と、上記の正面と反対側の凹領域50及び各埋立領域3の間の凹領域50は、W字状に繋がっている。天井ホイスト18が走行するための走行路19は、凹領域50底部の第2防水構造体46の上に設けられる。
【0044】
この構成において、水銀含有廃棄物を埋立処分するに際しては、まず、建屋内のセメント混練室9において、運搬車両13により搬入される水銀含有廃棄物に、セメントサイロCからのセメント等を供給してこれらを重機11の撹拌バケットで混練することにより、盛土材8が調製される。混練時には、第1ゲート14、第2ゲート15等が閉じられ、セメント混練室9が機密状態に維持される。これにより、混練時における水銀成分の外部への飛散が回避される。
【0045】
調製された盛土材8は、容器12に入れられ、フォークリフト23により、内部ゲート17及び移送路16を経て、受渡し位置22まで搬送され、受渡し位置22から、天井ホイスト18により、圧密成形体6を形成しようとする埋立区画7まで搬送される。この搬送が完了するまでの間に、その埋立区画7については、開放されている側面を閉塞する堰堤53が配置される。
【0046】
その埋立区画7まで搬送された盛土材8は、その埋立区画7内に、容器12から投入される。このようにして、埋立区画7を満たした盛土材8は、その上に加圧ウェイトが載せられ、所定の養生期間を経て硬化し、圧密成形体6を形成する。このようにして、埋立領域3の各埋立区画7に対し、順次圧密成形体が形成される。
【0047】
この間、種々の気象の変動が生じた場合でも、建屋5、建屋5周囲の垂直壁44、埋立領域3の側壁部2、及び底版構造体4のRC層31と、RC層31、側壁部2及び垂直壁44に設けられた第2防水構造体46とにより、雨水等の埋立領域3への侵入が阻止される。また、この第2防水構造体46や、RC層31の下に設けられた第1防水構造体30の防水ユニット33により、埋立領域3内の廃棄物からの浸出水等が地盤29や建屋5の外部に漏出することが阻止される。
【0048】
また、地震等の変動が生じた場合でも、各鉄筋コンクリート層37やその誘発目地38により強靭性や遮水性が高められたRC層31や、RC層31の底部から立ち上げられた主筋40によって強靭性が高められた側壁部2により、埋立領域3は堅固に維持される。また、RC層31にクラックが生じた場合でも、RC層31の誘発目地38により、RC層31の遮水性が効果的に維持される。また、地震等の変動が生じた場合でも、RC層31や側壁部2の強靭性により、第1防水構造体30や第2防水構造体46による遮水・防水効果が損なわれることなく維持される。
【0049】
また、埋立領域3外側の凹領域50の第2防水構造体46上に設けられた走行路19により、第2防水構造体46による防水効果を享受しながら、天井ホイスト18を走行させて盛土材8の移送が行われる。また、第2防水構造体46の外側が不燃性コート49で構成されているので、火災事故等が生じた場合でも、大事に至らしめることなく、撥水加工層47と防水加工層48による防水効果が享受される。
【0050】
以上のように、本実施形態によれば、底部が底版構造体4で構成される建屋5を備え、底版構造体4が、複数の鉄筋コンクリート層37からなるRC層31と第1防水構造体30とで構成され、埋立領域3が、RC層31と側壁部2とで画定される。そして、側壁部2は、RC層31の底部から立ち上がる鉄筋を主筋として、RC層31の一番上の鉄筋コンクリート層37との一体物として形成され、一体物の表面が、第2防水構造体46で被覆される。
【0051】
したがって、側壁部2、第2防水構造体46及び建屋5により雨水等の埋立領域3への侵入を確実に阻止することができる。また、第2防水構造体46、RC層31及び第1防水構造体30により、埋立領域3内の廃棄物を含む圧密成形体6からの浸出水等が地盤29に漏出するのを効果的に阻止することができる。そして、埋立領域3を、強靭なRC層31と側壁部2により、堅固に維持することができる。
【0052】
このため、地震等の変動が生じた場合でも、第2防水構造体46や防水ユニット33による防水・遮水効果を確実に維持しながら、埋立領域3を保全することができる。したがって、水銀含有廃棄物を、周囲の環境に影響を与えることなく、確実に埋立処分することができる。
【0053】
また、各鉄筋コンクリート層37の誘発目地38がずれているので、誘発目地38により誘発されるクラックを、特定箇所に集中させずに分散させることができる。これにより、クラックの発生に拘わらず、RC層31の厚み方向全範囲にわたる断層が発生するのを回避してRC層31の強靭性を維持することができる。また、伸縮目地材39により、RC層31に遮水性を効果的に付与するとともに、その遮水性を、クラックの発生に拘わらず、維持することができる。
【0054】
また、RC層31の周縁部の垂直壁44、側壁部2及びRC層31が、上方に開放され、かつ第2防水構造体46により内側が被覆された凹領域50を形成し、凹領域50には、そこに侵入する水を集めて排出するための集水桝51が設けられる。これにより、凹領域50を、埋立領域3への雨水等の侵入や、埋立領域3から建屋5外部への水分の漏出を阻止するためのバッファ領域として機能させ、埋立領域3と建屋5外部との遮断性をより高度に確保することができる。
【0055】
また、凹領域50が埋立領域3の側壁部2の外側を取り囲むように形成され、凹領域50底部の第2防水構造体46の上に、天井ホイスト18を走行させるための走行路19が設けられる。これにより、凹領域50を、上述のバッファ領域として機能させながら、天井ホイスト18の走行路19を設けるための領域としても利用することができる。
【0056】
したがって、埋立領域3と建屋5外部との高度な遮蔽性を高い信頼性で確保しつつ、天井ホイスト18を、圧密成形体6を形成するための盛土材8の搬送手段として、容易に採用することができる。したがって、水銀含有廃棄物を圧密成形体6として埋立処分するのに適した最終処分場1を提供することができる。
【0057】
また、第1防水構造体30は、地盤上の第1捨コンクリート32と、その上の防水ユニット33と、その上に投入された第2捨コンクリート34とで構成され、防水ユニット33は、遮水シート35と、これを挟む保護マット36とで構成される。そして、第1防水構造体30の上には、上記の厚み方向全範囲にわたる断層の発生が回避されたRC層31が形成され、さらに保護マット36により遮水シート35が保護されるので、防水ユニット33による遮水性を高度に維持することができる。
【0058】
また、第2防水構造体46は、撥水加工層47と、その外側の防水加工層48と、防水加工層48を覆う不燃性コート49とで構成されるので、不燃性コート49により火災事故等を防止しながら、撥水加工層47と防水加工層48による防水効果を享受することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本願発明は、水銀含有廃棄物のように高度な防水・遮水性及び強靭な埋立領域が要求される廃棄物であれば、水銀含有廃棄物以外の廃棄物、例えば放射性廃棄物にも好ましく適用することができる。また、廃棄物の最終処分に限らず、放射性廃棄物等の場合には、中間処分場としても使用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1…最終処分場、2…側壁部、3…埋立領域、4…底版構造体、5…建屋、6…圧密成形体、7…埋立区画、8…盛土材、18…天井ホイスト、19…走行路、29…地盤、30…第1防水構造体、31…RC層、32…第1捨コンクリート(第1コンクリート層)、33…防水ユニット、34…第2捨コンクリート(第2コンクリート層)、35…遮水シート、36…保護マット、37…鉄筋コンクリート層、38…誘発目地、39…伸縮目地材、40…主筋、44…垂直壁、46…第2防水構造体、47…撥水加工層、48…防水加工層、49…不燃性コート、50…凹領域、51…集水桝。
【要約】
【課題】水銀含有廃棄物の処分に対応できる最終処分場を提供する。
【解決手段】最終処分場1は、周囲が側壁部2で画定される埋立領域3と、埋立領域3を収容し、底部が底版構造体4で構成される建屋5とを備える。底版構造体4は、第1防水構造体30と、その上のRC層31とで構成される。RC層31の周縁部に設けられた垂直壁44、側壁部2及びRC層31は、第2防水構造体により内側が被覆された凹領域50を形成しており、天井ホイスト18を走行させるための走行路19が、凹領域50の底部に設けられる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4