【実施例】
【0077】
以下の例は、現在のところ最もよくわかっている本発明の実施形態を例証する。しかし、以下の例は、本発明の原理の応用に関する単なる例示または例証であると理解されたい。当業者は、多くの修正形態および代替の組成物、方法、およびシステムを、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに考案できる。添付の特許請求の範囲は、このような修正形態および配列を網羅するものとする。したがって、これまで本発明を詳細に説明してきたが、以下の例は、本発明の最も実際的かつ好ましい実施形態であると現在のところ考えられるものと関連させて、さらなる詳細を提供する。
【0078】
(例1)
trans−硫酸モノ−[2−(N’−[(S)−ピロリジン−2−カルボニル]−ヒドラジノカルボニル)−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−イル]エステル
【化5】
ステップ−1:trans−2−[N’−(6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−(S)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
N,N−ジメチルホルムアミド(150mL)中trans−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボン酸(15g、0.054モル)の澄明溶液に、EDC塩酸塩(15.57g、0.082モル)、続いてHOBt(11.0g、0.082モル)を、約25℃〜35℃で撹拌しながら添加した。反応混合物を15分間撹拌し、(S)−N−tert−ブトキシカルボニル−ピロリジン−2−カルボン酸ヒドラジド(14.93g、0.065モル)のN,N−ジメチルホルムアミド(75mL)溶液、続いてN,N−ジイソプロピルエチルアミン(28.4mL、0.163モル)を添加した。反応混合物を25℃〜35℃の間の温度で16時間撹拌した。反応混合物を、10%クエン酸水溶液(2250mL)中に撹拌しながら注ぎ入れた。生じた混合物をジエチルエーテル(1000mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、水(1000mL)、続いてブライン溶液(500mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。有機層を真空下で濃縮して、13gの粗残留物を得た。残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して精製して6.3gの生成物(trans−2−[N’−(6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−(S)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル)を白色粉末として得た。
分析:MS(ES+)C
24H
33N
5O
6=488.1(M+1);
H
1NMR(DMSO-d
6)=9.86(br d, 1H), 9.75(br d, 1H), 7.34-7.44(m, 5H), 4.92(dd, 2H), 4.07-4.10(m, 1H), 3.78-3.82(m, 1H), 3.68(br d, 1H), 3.20-3.25(m, 3H), 2.87(br d, 1H), 1.62-2.10(m, 8H), 1.34(s, 9H).
【0079】
ステップ−2:trans−2−[N’−(6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−(S)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
メタノール(30mL)中ステップ−1の生成物(3.0g、6.15ミリモル)の澄明溶液に、10%パラジウム/炭素(300mg)を添加した。懸濁液を大気圧の水素下に約30℃の温度で2時間撹拌した。触媒を、セライト床を通して濾過し、触媒を含む床をさらなるメタノール(10mL)およびジクロロメタン(10mL)で洗浄した。濾液を真空中で濃縮して白色粉末を得た。該粉末をジエチルエーテルと共に磨り潰して、2.00gのtrans−2−[N’−(6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−(S)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを白色粉末として82%の収率で得た。
分析:MS(ES+)C
17H
27N
5O
6=398.0(M+1);
H
1NMR(DMSO-d
6)=9.82(d, 1H), 9.70-9.80(m, 2H), 4.08-4.15(m, 1H), 3.4.0-3.78(m, 1H), 3.59(br s, 1H), 3.17-3.40(m, 3H), 2.97(br d, 1H), 1.55-2.15(m, 8H), 1.35(s, 9H).
【0080】
ステップ−3:trans−2−[N’−(6−スルホオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−(S)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
ステップ−2で得られた生成物(2.00g、5.03ミリモル)をピリジン(40mL)に溶解し、その澄明溶液にピリジン三酸化硫黄錯体(4.03g、25.18ミリモル)を添加した。懸濁液を、25℃〜35℃の温度で一夜撹拌した。懸濁液を濾過し、固体をジクロロメタン(25mL×2)で洗浄した。濾液を真空下で濃縮し、残留物を0.5Nリン酸二水素カリウム水溶液(200mL)中で0.5時間撹拌した。溶液を酢酸エチル(100mL×4)で洗浄し、層を分離した。水層に硫酸テトラブチルアンモニウム(1.71g、5.03ミリモル)を添加し、約25℃で4時間撹拌した。混合物をジクロロメタン(100mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物を、ブライン(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮して固体を得た。該固体をジエチルエーテルと共に磨り潰し、濾過して、ステップ−3の生成物として3.0gのtrans−2−[N’−(6−スルホオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−(S)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを白色固体として得た(収率83%)。
分析:MS(ES−)C
17H
26N
5O
9S・N(C
4H
9)
4(塩として)=476.0(M−1)(遊離スルホン酸として);
H
1NMR(CDCl
3)=9.13(br s, 1H), 8.49(br s, 1H), 4.35(br s, 2H), 3.98(d, 1H), 3.24-3.50(m, 10H), 3.13(br d, 1H), 2.35(dd, 2H), 2.16(br s, 2H), 1.91-2.01(m, 4H), 1.61-1.70(m, 10H), 1.40-1.48(m, 17H), 0.98-1.02(m, 12H).
【0081】
ステップ−4:trans−硫酸モノ−[2−(N’−[(S)−ピロリジン−2−カルボニル]−ヒドラジノカルボニル)−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−イル]エステル
ステップ−3で得られた粉末(3.0g、4.17ミリモル)にトリフルオロ酢酸(7mL)のジクロロメタン(7mL)溶液を、シリンジを用い−5℃で5分間にわたって徐々に添加した。混合物を撹拌しながら1時間維持した。溶媒を、高真空下に40℃未満で除去して残留物を得た。該残留物をジエチルエーテル(50mL×5)と共に磨り潰し、各回にジエチルエーテルをデカントした。得られた白色固体を、さらに、アセトニトリル(100mL×2)と共に磨り潰した。得られた固体をジクロロメタン(100mL)中で撹拌し、懸濁液を濾過した。固体を真空下で乾燥して、1.2gの本発明の標題化合物(trans−硫酸モノ−[2−(N’−[(S)−ピロリジン−2−カルボニル]−ヒドラジノカルボニル)−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−イル]エステル)を得た(収率59%)。
分析:MS(ES−)C
12H
19N
5O
7S=376.2(M−1)(遊離スルホン酸として);
H
1NMR(DMSO-d
6)=10.39(br s, 1H), 10.15(s, 1H), 8.96(br s, 2H), 4.19(t, 1H), 4.03(br s, 1H), 3.86(d, 1H), 3.16-3.25(m, 3H), 3.02(br d, 1H), 2.27-2.33(m, 1H), 1.92-2.23(m, 1H), 1.84-1.90(m, 4H), 1.69-1.75(m, 1H), 1.54-1.62(m, 1H).
【0082】
(例2)
trans−硫酸モノ−[2−(N’−[(R)−ピペリジン−3−カルボニル]−ヒドラジノカルボニル)−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−イル]エステル
【化6】
ステップ−1:trans−3−[N’−(6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−(R)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
例1のステップ−1に記載の手順を利用し、かつtrans−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボン酸(25g、0.084モル)、N,N−ジメチルホルムアミド(625mL)、EDC塩酸塩(24g、0.126モル)、HOBt(16.96g、0.126モル)、(R)−N−tert−ブトキシカルボニル−ピペリジン−3−カルボン酸ヒドラジド(21.40g、0.088モル)を使用して、17.0gの標題化合物を白色固体として41%の収率で得た。
分析:MS(ES+)C
25H
35N
5O
6=502.1(M+1);
H
1NMR(CDCl
3)=8.40(br s, 1H), 7.34-7.44(m, 5H), 5.05(d, 1H), 4.90(d, 1H), 4.00(br d, 1H), 3.82(br s, 1H), 3.30(br s, 1H), 3.16-3.21(m, 1H), 3.06(br d, 1H), 2.42(br s, 1H), 2.29-2.34(m, 1H), 1.18-2.02(m, 4H), 1.60-1.75(m, 4H), 1.45-1.55(m, 2H),1.44(s, 9H).
【0083】
ステップ−2:trans−3−[N’−(6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−(R)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
例1のステップ−2に記載の手順を利用し、かつtrans−3−[N’−(6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−(R)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(16.5g、0.033モル)、メタノール(170mL)および10%パラジウム/炭素(3.5g)を使用して、13.5gの標題化合物を淡ピンク色の固体として得て、それを直ちに次の反応に使用した。
分析:MS(ES+)C
18H
29N
5O
6=411.1(M+1);
【0084】
ステップ−3:trans−3−[N’−(6−スルホオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−(R)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルのテトラブチルアンモニウム塩の調製
例1のステップ−3に記載の手順を利用し、かつtrans−3−[N’−(6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−(R)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(13.5g、0.033モル)、ピリジン(70mL)およびピリジン三酸化硫黄錯体(26.11g、0.164モル)、0.5Nリン酸二水素カリウム水溶液(400mL)および硫酸テトラブチルアンモニウム(9.74g、0.033モル)を使用して、25gの標題化合物を帯黄色固体として定量的収率で得た。
分析:MS(ES−)C
18H
28N
5O
9S・N(C
4H
9)
4(塩として)=490.0(M−1)(遊離スルホン酸として);
【0085】
ステップ−4:trans−硫酸モノ−[2−(N’−[(R)−ピペリジン−3−カルボニル]−ヒドラジノカルボニル)−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−イル]エステル
例1のステップ−4に記載の手順を利用し、かつtrans−3−[N’−(6−スルホオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−(R)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルのテトラブチルアンモニウム塩(24g、0.032ミリモル)、ジクロロメタン(60mL)およびトリフルオロ酢酸(60mL)を使用して、10gの標題化合物を白色固体として79%の収率で得た。
分析:MS(ES−)=C
13H
21N
5O
7S=390.2(M−1)(遊離スルホン酸として);
H
1NMR(DMSO-d
6)=9.97(d, 2H), 8.32(br s, 2H), 4.00(br s, 1H), 3.81(d, 1H), 3.10-3.22(m, 3H), 2.97-3.02(m, 2H), 2.86-2.91(m, 1H), 2.65-2.66(m, 1H), 1.97-2.03(m, 1H), 1.57-1.88(m, 7H).
[α]
D25=-32.6°,(c 0.5, 水).
【0086】
(例3)
trans−硫酸モノ−[2−(N’−[(R)−ピロリジン−3−カルボニル]−ヒドラジルカルボニル)−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−イル]エステル
【化7】
ステップ−1:trans−3−[N’−(6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−(R)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
例1のステップ−1に記載の手順を利用し、かつtrans−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボン酸(15.7g、0.057モル)、N,N−ジメチルホルムアミド(390mL)、EDC塩酸塩(16.24g、0.085モル)、HOBt(11.48g、0.085モル)、(R)−N−tert−ブトキシカルボニル−ピロリジン−3−カルボン酸ヒドラジド(13.7g、0.06モル)を使用して、11.94gの標題化合物を白色固体として43%の収率で得た。
分析:MS(ES+)C
24H
33N
5O
6=488.2(M+1);
H
1NMR(CDCl
3), D
2O交換=7.30-7.39(m, 5H), 4.85(s, 2H), 3.77(d, 1H), 3.68(br s, 1H), 3.39-3.41(m, 1H), 3.17-3.26(m, 3H), 3.01(d, 1H), 2.90-2.92(m, 2H), 1.97-2.03(m, 2H), 1.79-1.89(m, 2H), 1.66-1.70(m, 1H), 1.55-1.57(m, 1H),1.32(s, 9H).
【0087】
ステップ−2:trans−3−[N’−(6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−(R)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
例1のステップ−2に記載の手順を利用し、かつtrans−3−[N’−(6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−(R)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(11.5g、0.024モル)、メタノール(115mL)および10%パラジウム/炭素(3.0g)を使用して、9.5gの標題化合物を淡褐色の固体として得て、それを直ちに次の反応に使用した。
分析:MS(ES+)C
17H
27N
5O
6=398.2(M+1);
【0088】
ステップ−3:trans−3−[N’−(6−スルホオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−(R)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルのテトラブチルアンモニウム塩の調製
例1のステップ−3に記載の手順を利用し、かつtrans−3−[N’−(6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−(R)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(9.5g、0.024モル)、ピリジン(95mL)およびピリジン三酸化硫黄錯体(19.08g、0.12モル)、0.5Nリン酸二水素カリウム水溶液(300mL)および硫酸テトラブチルアンモニウム(8.15g、0.024モル)を使用して、15.3gの標題化合物を帯黄色固体として87%の収率で得た。
分析:MS(ES−)C
17H
26N
5O
9S・N(C
4H
9)
4(塩として)=476.1(M−1)(遊離スルホン酸として);
H
1NMR(DMSO-d
6)=9.82(d, 2H), 3.97(br s, 1H), 3.79(d, 1H), 3.42-3.44(m, 1H), 3.00-3.18(m, 10H), 2.65-2.97(m, 2H), 1.98-2.01(m, 2H), 1.74-1.83(m, 2H), 1.63-1.72(m, 1H), 1.38-1.55(m, 9H), 1.33(s, 9H), 1.24-1.28(m. 8H), 0.91-0.99(m, 12H).
【0089】
ステップ−4:trans−硫酸モノ−[2−(N’−[(R)−ピロリジン−3−カルボニル]−ヒドラジノカルボニル)−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−イル]エステル
例1のステップ−4に記載の手順を利用し、かつtrans−3−[N’−(6−スルホオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−(R)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルのテトラブチルアンモニウム塩(15g、0.021ミリモル)、ジクロロメタン(37mL)およびトリフルオロ酢酸(37mL)を使用して、7.7gの標題化合物を白色固体として得た。
分析:MS(ES−)=C
12H
19N
5O
7S=376.1(M−1)(遊離スルホン酸として);
H
1NMR(DMSO-d
6)=10.04(s, 1H), 9.96(s, 1H), 8.79(br s, 1H), 8.68(br s, 1H), 4.00(br s, 1H), 3.82(d, 1H), 3.18-3.32(m, 4H), 3.08-3.12(m, 1H), 3.00(br d, 1H), 2.05-2.29(m, 1H), 1.96-2.05(m, 2H), 1.84-1.87(m, 1H), 1.69-1.73(m, 1H), 1.56-1.67(m, 1H)..
[α]
D25=-44.2°,(c 0.5, 水).
【0090】
(例4)
trans−{7−オキソ−2−[N’−((R)−ピペリジン−3−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]−オクタ−6−イルオキシ}−酢酸
【化8】
ステップ−1:trans−3−{N’−(6−エトキシカルボニルメトキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル}−(R)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
例2のステップ−2で得られた中間化合物であるtrans−3−[N’−(6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−(R)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(4.0g、9.73ミリモル)をDMF(12mL)に溶解し、この澄明溶液に炭酸カリウム(1.61g、11.6ミリモル)、続いてブロモ酢酸エチル(1.2mL、10.0ミリモル)を撹拌しながら添加し、懸濁液を約25℃で18時間撹拌した。反応をTLCで監視した。DMFを減圧下で蒸発させて残留物を得た。該残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、2.6gのステップ−1の標題中間化合物を固体として53.7%の収率で得た。
分析:MS(+)=C
22H
35N
5O
8=498.1(M+1);
H
1NMR(CDCl
3)=8.45(br s, 2H), 4.58(s, 2H), 4.19-4.27(m, 2H), 4.02-4.12(m, 2H), 3.25(br d, 1H), 3.15(br d, 1H), 2.38(br s, 1H), 2.35(dd, 1H), 2.15-2.20(m, 1H), 1.79-2.02(m, 4H), 1.67-1.77(m, 4H), 1.44-1.51(m, 11H), 1.28(t, 3H).
【0091】
ステップ−2:trans−3−{N’−(6−カルボキシメトキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル}−(R)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
テトラヒドロフラン(32mL)+水(12mL)中のtrans−3−{N’−(6−エトキシカルボニルメトキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル}−(R)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(600mg、1.20ミリモル)の澄明溶液に、水酸化リチウム(43.2mg、1.8ミリモル)を0℃で添加した。反応混合物を3時間撹拌し、1N硫酸水素カリウム水溶液を添加してpH6まで中和した。それを酢酸エチル(3×25mL)で抽出した。層を分離し、水層を1N硫酸水素カリウムでpH1まで酸性化し、酢酸エチル(3×25mL)で抽出した。有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で蒸発乾固して、160mgの標題中間体を固体として27%の収率で得た。
分析:MS(ES+)=C
20H
31N
5O
8=470.1(M+1)
H
1NMR(CDCl
3)=8.40(br s, 2H), 4.67(d, 1H), 4.52(d, 1H), 4.07-4.14(m, 2H), 3.95(br s, 1H), 3.43(br d, 1H), 3.19(br d, 1H), 2.47(br s, 1H), 2.39(dd, 1H), 2.09-2.13(m, 2H), 1.77-2.00(m, 4H), 1.68-1.77(m, 2H), 1.45-1.51(m, 11H)..
【0092】
ステップ−3:trans−{7−オキソ−2−[N’−((R)−ピペリジン−3−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]−オクタ−6−イルオキシ}−酢酸
ジクロロメタン(2mL)中trans−3−{N’−(6−カルボキシメトキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル}−(R)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(150mg、0.32ミリモル)の澄明溶液に、トリフルオロ酢酸を撹拌しながら−10℃で添加した。反応混合物を−10℃で約1時間撹拌し、溶媒を真空下で蒸発させて、残留物を得た。該残留物を、逐次的にジエチルエーテル(25mL)およびアセトニトリル(25mL)と共に磨り潰し、溶媒をデカントして固体を得て、該固体を真空下で乾燥して59mgの標題化合物を50%の収率で得た。
分析:MS(ES−)=C
15H
23N
5O
6=368.0(M−1)
H
1NMR(DMSO-d
6)=9.97(br s, 2H), 4.48(d, 1H), 4.29(d, 1H), 3.91(s, 1H), 3.83(d, 1H), 3.36(q, 1H), 3.11-3.21(m, 4H), 2.84-3.01(m, 3H), 2.66(br s, 1H), 1.90-2.05(m, 3H), 1.69-1.76(m, 2H), 1.59-1.66(m, 3H).
【0093】
(例5)
trans−ジフルオロ−{7−オキソ−2−[N’−((R)−ピペリジン−3−カルボニル)−ヒドラジノカルボニル]−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]−オクタ−6−イルオキシ}−酢酸
【化9】
例4に記載の手順を利用し、かつブロモ酢酸エチルに代わってブロモジフルオロ酢酸エチル(2.0g、10.0ミリモル)を使用して、30mgの標題化合物を固体として調製した。
分析:MS(ES+)=C
15H
21F
2N
5O
6=406.2(M+1)
H
1NMR(DMSO-d
6)=10.99(d, 2H), 8.59(br s, 2H), 3.89-4.00(m, 2H), 3.13-3.31(m, 4H), 2.95-3.07(m, 2H), 2.81-2.88(m, 1H), 2.62-2.78(m, 1H), 1.97-2.05(m, 1H), 1-84-1.95(m, 1H), 1.72-1.79(m, 2H), 1.59-1.64(m, 3H).
【0094】
例1に記載のような手順を利用し、かつ(S)−N−tert−ブトキシカルボニル−ピロリジン−2−カルボン酸ヒドラジドの代わりに対応するR
1CONHNH
2を使用して、化合物6〜42(表1)を調製した。
【化10】
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】
【表5】
【0100】
【表6】
【0101】
【表7】
【0102】
【表8】
【0103】
【表9】
【0104】
【表10】
【0105】
(例43)
trans−硫酸モノ−[2−(N’−(シアノ−アセチル)−ヒドラジノカルボニル)−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−イル]エステルのナトリウム塩
【化11】
trans−硫酸モノ−[2−(N’−(シアノ−アセチル)−ヒドラジノカルボニル)−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−イル]エステルのテトラブチルアンモニウム塩(600mg、例1のステップ−1からステップ−3に記載の手順を利用し、(S)−N−tert−ブトキシカルボニル−ピロリジン−2−カルボン酸ヒドラジドの代わりにシアノ酢酸ヒドラジドを使用して得られる)を、テトラヒドロフランと水の1:9混合物(10mL)中に配合し、ナトリウム形態で新たに活性化されたAmberlite200C樹脂(100g)中を徐々に通過させた。カラムを、10%テトラヒドロフラン/水の混合物で溶離した。画分をTLCで分析し、所望の画分を真空下に40℃未満で濃縮して揮発性溶媒を除去した。次いで、水層をジクロロメタン(25mL×2)で洗浄し、層を分離した。水層を真空下に40℃未満で濃縮して残留物を得た。該残留物をアセトンと共沸させ、ジエチルエーテルと共に磨り潰して、懸濁液を得た。該懸濁液を濾過して300mgの標題化合物(trans−硫酸モノ−[2−(N’−(シアノ−アセチル)−ヒドラジノカルボニル)−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−イル]エステルのナトリウム塩)を81%の収率で得た。
分析:MS(ES−)C
10H
12N
5O
7SNa、346.2(M−1)(遊離スルホン酸として);
H
1NMR(DMSO-d
6)=10.2(s, 1H), 10.05(s, 1H), 3.99(s, 1H), 3.82(d, 1H), 3.72(s, 1H), 3.36(s, 1H), 3.14(br d, 1H), 2.99(d, 1H), 1.98-2.03(m, 1H), 1.75-1.84(m, 1H), 1.56-1.72(m, 2H).
【0106】
化合物44〜52(表2)では、例16に記載の手順を利用し、かつシアノ酢酸ヒドラジドの代わりに対応するR
1CONHNH
2を使用した。
【化12】
【0107】
【表11】
【0108】
【表12】
【0109】
【表13】
【0110】
本発明の例1〜52の化合物は、出発化合物として(S)−ピログルタミン酸を使用して調製した。それゆえ、絶対立体化学は、(2S,5R)7−オキソ-1,6-ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン環である。したがって、例2の化合物であるtrans−硫酸モノ−[2−(N’−[(R)−ピペリジン−3−カルボニル]−ヒドラジノカルボニル)−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−イル]エステルは、(2R,5R)−硫酸モノ−[2−(N’−[(R)−ピペリジン−3−カルボニル]−ヒドラジノカルボニル)−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−イル]エステルとしての絶対立体化学を有する。代わりに、使用する出発化合物が、(R)−ピログルタミン酸である場合、得られる化合物は、7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン環において(2R,5S)の立体化学を有する。本発明による化合物への言及は、また、(2S,5R)および(2R,5S)の立体化学を有する対応化合物を包含する。
【0111】
生物学的活性
本発明による代表的化合物の種々の細菌株に対する生物学的活性を調べた。典型的な研究では、一夜増殖させた細菌培養物を、適切に希釈し、試験化合物の2回希釈物を含む寒天培地上に接種した。外界空気中、35±2℃で16〜20時間インキュベートした後、増殖または非増殖についての観察を実施した。全部の手順を、臨床・検査標準化協会(Clinical and Laboratory Standards Institute)(CLSI)の勧告(Clinical and Laboratory Standards Institute (LLSI)、Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing,20th Informational Supplement, M100-S20,Volume 30,N0.1,2010)通りに実施した。これらの研究の結果を表3〜8に要約する。
【0112】
表3に、ESBL(基質特異性拡張型βラクタマーゼ)を発現する種々の大腸菌株(NCTC13351、M50および7MP)に対する、本発明による代表的化合物の抗菌活性を列挙する。
【0113】
(表3続き)
【0114】
表4および5に、本発明による代表的化合物の種々のESBLを発現する種々の多剤耐性(MDR)グラム陰性細菌株に対する抗菌活性を示す。活性はMIC(μg/mL)で表現される。比較のため、いくつかの既知抗菌剤(例えば、セフタジジム、アズトレオナム、イミペネム、シプロフロキサシンおよびチゲサイクリン)の活性も含める。明らかなように、本発明による代表的化合物は、種々のMDR菌株に対して抗菌活性を示す。表4および5中のデータは、本発明による化合物が、広範な種類の細菌に対して、様々な種類のβ−ラクタマーゼ酵素を産生する細菌に対してさえも強力な活性を示すことを指摘している。一般に、本発明による化合物の種々のβ−ラクタマーゼ産生細菌株に対する活性は、このような感染を処置するための臨床実践において現在採用される他の抗菌剤に比べて一層より優れている。
【0115】
また、本発明による代表的化合物の抗菌活性を、前記研究プロトコールを使用して、少なくとも1種の抗菌剤と組み合わせて検討した。その結果を表6に示す。明らかなように、本発明による化合物を使用すると、抗菌剤のMIC値が相当に低下した(例えば、セフタジジンの場合。)結果は、また、前記抗菌剤を薬学的有効量の式(I)の化合物またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩と同時投与すると、本発明による化合物は、抗菌剤の抗菌有効性を増大させることを示唆している。
【0116】
また、本発明による代表的化合物の抗菌活性を、前記研究プロトコールを使用してβ−ラクタマーゼ阻害剤と組み合わせて検討した。その結果を表7に示す。明らかなように、β−ラクタム阻害剤と組み合わせた本発明による化合物は、種々の細菌株に対して優れた抗菌活性を示した。例えば、本発明による例2(さらには例3)の化合物をスルバクタムと組み合わせて含む組合せは、それらを単独で使用した場合に比較してはるかに優れたMIC値を示した。結果は、また、β−ラクタム阻害剤と組み合わせた本発明による化合物を、1種または複数のβ−ラクタマーゼ酵素を産生する細菌に起因する感染を含む、対象における細菌感染を予防または処置する上で効果的に使用できることを示唆している。
【0117】
また、本発明による代表的化合物の抗菌活性を、前記研究プロトコールを使用して、β−ラクタマーゼ阻害剤および抗菌剤と組み合わせて検討した。その結果を表8に示す。明らかなように、少なくとも1種のβ−ラクタム阻害剤および少なくとも1種の抗菌剤と組み合わせた本発明による化合物は、種々の細菌株に対して優れた抗菌活性を示した。例えば、本発明による例2(さらには例3)の化合物をスルバクタムおよびセフェピムと組み合わせて含む組合せは、それらを単独で使用した場合に比較してより優れたMIC値を示した。結果は、また、少なくとも1種のβ−ラクタム阻害剤および少なくとも1種の抗菌剤と組み合わせた本発明による化合物を、1種または複数のβ−ラクタマーゼ酵素を産生する細菌に起因する感染を含め、対象における細菌感染を予防または処置する上で効果的に使用できることを示唆している。
【0118】
【表14】
【0119】
【表15】
【0120】
【表16】
【0121】
【表17】
【0122】
【表18】