特許第5666749号(P5666749)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5666749冷却板、その製法及び半導体製造装置用部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5666749
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】冷却板、その製法及び半導体製造装置用部材
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20150122BHJP
   C04B 35/565 20060101ALI20150122BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
   H01L21/68 R
   C04B35/56 101K
   H01L21/02 Z
【請求項の数】13
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-530025(P2014-530025)
(86)(22)【出願日】2014年3月6日
(86)【国際出願番号】JP2014055813
【審査請求日】2014年6月20日
(31)【優先権主張番号】特願2013-61856(P2013-61856)
(32)【優先日】2013年3月25日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神藤 明日美
(72)【発明者】
【氏名】井上 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】勝田 祐司
(72)【発明者】
【氏名】片居木 俊
(72)【発明者】
【氏名】天野 真悟
(72)【発明者】
【氏名】杉本 博哉
【審査官】 青山 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−71845(JP,A)
【文献】 特開平2−77172(JP,A)
【文献】 特開2007−261830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/67−21/687
C04B 35/56−35/565
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に冷媒通路が形成され、AlNセラミック部材の冷却に用いられる冷却板であって、
含有量の多いものの上位3つが炭化珪素、チタンシリコンカーバイド、炭化チタンであり、この並び順が含有量の多いものから少ないものの順序を示しており、前記炭化珪素を51〜68質量%含有し、珪化チタンを含有せず、開気孔率が1%以下である緻密質複合材料で作製された第1基板と、
前記緻密質複合材料で作製され、前記冷媒通路と同じ形状となるように打ち抜かれた打ち抜き部を有する第2基板と、
前記緻密質複合材料で作製された第3基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に金属接合材を挟んで両基板を熱圧接合することにより両基板間に形成された第1金属接合層と、
前記第2基板と前記第3基板との間に金属接合材を挟んで両基板を熱圧接合することにより両基板間に形成された第2金属接合層と、
を備えた冷却板。
【請求項2】
内部に冷媒通路を有し、AlNセラミック部材の冷却に用いられる冷却板であって、
含有量の多いものの上位3つが炭化珪素、チタンシリコンカーバイド、炭化チタンであり、この並び順が含有量の多いものから少ないものの順序を示しており、前記炭化珪素を51〜68質量%含有し、珪化チタンを含有せず、開気孔率が1%以下である緻密質複合材料で作製された第1基板と、
前記緻密質複合材料で作製され、前記第1基板と向かい合う面に前記冷媒通路となる溝を有する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板のうち前記溝が設けられた面との間に金属接合材を挟んで両基板を熱圧接合することにより形成された金属接合層と、
を備えた冷却板。
【請求項3】
前記金属接合層は、前記金属接合材としてMgを含有するかSi及びMgを含有するアルミニウム合金の接合材を採用し、該接合材の固相線温度以下の温度で熱圧接合することにより形成されたものである、
請求項1又は2に記載の冷却板。
【請求項4】
前記緻密質複合材料は、前記チタンシリコンカーバイドを23〜40質量%、前記炭化チタンを4〜12質量%含有する、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷却板。
【請求項5】
前記緻密質複合材料は、前記炭化珪素粒子同士の間隙に、前記チタンシリコンカーバイド及び前記炭化チタンの少なくとも1つが前記炭化珪素粒子表面を覆うように存在している、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷却板。
【請求項6】
前記緻密質複合材料は、AlNとの40℃〜570℃の平均線熱膨張係数の差が0.5ppm/K以下である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷却板。
【請求項7】
前記緻密質複合材料は、40℃〜570℃の平均線熱膨張係数が5.4〜6.0ppm/Kである、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の冷却板。
【請求項8】
前記緻密質複合材料は、熱伝導率が100W/m・K以上、4点曲げ強度が300MPa以上である、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の冷却板。
【請求項9】
内部に冷媒通路が形成され、AlNセラミック部材の冷却に用いられる冷却板を製造する方法であって、
(a)含有量の多いものの上位3つが炭化珪素、チタンシリコンカーバイド、炭化チタンであり、この並び順が含有量の多いものから少ないものの順序を示しており、前記炭化珪素を51〜68質量%含有し、珪化チタンを含有せず、開気孔率が1%以下である緻密質複合材料を用いて、第1〜第3基板を作製する工程と、
(b)前記第2基板の一方の面から他方の面まで前記冷媒通路と同じ形状となるように打ち抜いて前記第2基板に打ち抜き部を形成する工程と、
(c)前記第1基板と前記第2基板の一方の面との間および前記第3基板と前記第2基板の他方の面との間にそれぞれ金属接合材を挟んで前記第1〜第3基板を熱圧接合する工程と、
を含む冷却板の製法。
【請求項10】
内部に冷媒通路を有し、AlNセラミック部材の冷却に用いられる冷却板を製造する方法であって、
(a)含有量の多いものの上位3つが炭化珪素、チタンシリコンカーバイド、炭化チタンであり、この並び順が含有量の多いものから少ないものの順序を示しており、前記炭化珪素を51〜68質量%含有し、珪化チタンを含有せず、開気孔率が1%以下である緻密質複合材料を用いて、第1基板及び第2基板を作製する工程と、
(b)前記第2基板の一方の面に前記冷媒通路となる溝を形成する工程と、
(c)前記第1基板と前記第2基板のうち前記溝が設けられた面との間に金属接合材を挟んで両基板を熱圧接合する工程と、
を含む冷却板の製法。
【請求項11】
前記工程(c)では、前記金属接合材としてMgを含有するかSi及びMgを含有するアルミニウム合金の接合材を採用し、該接合材の固相線温度以下の温度で熱圧接合する、
請求項9又は10に記載の冷却板の製法。
【請求項12】
静電電極及びヒータ電極を内蔵したAlN製の静電チャックと、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の冷却板と、
前記冷却板の前記第1基板の表面と前記静電チャックとの間に金属接合材を挟んで両者を熱圧接合することにより形成された冷却板−チャック接合層と、
を備えた半導体製造装置用部材。
【請求項13】
前記冷却板−チャック接合層は、前記金属接合材としてMgを含有するかSi及びMgを含有するアルミニウム合金の接合材を採用し、該接合材の固相線温度以下の温度で熱圧接合することにより形成されたものである、
請求項12に記載の半導体製造装置用部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却板、その製法及び半導体製造装置用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体プロセス中で高温化する静電チャックには、放熱のために冷却板が接合されている。この場合、静電チャックの材料としては窒化アルミニウム、冷却板の材料としてはアルミニウム、接合材としては樹脂が用いられることがある。窒化アルミニウムとアルミニウムは線熱膨張係数差が非常に大きく、例えば、窒化アルミニウムの線熱膨張係数は5.0ppm/K(RT−800℃:内田老鶴圃 「セラミックの物理」)、アルミニウムの線熱膨張係数は31.1ppm/K(RT−800℃:日本熱物性学会編、「新編熱物性ハンドブック」)である。このような静電チャックでは、接合材として柔らかい樹脂を用いているため、その線熱膨張係数差によって生じる応力を緩和することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−143580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した静電チャックでは、接合材として樹脂が用いられているが、樹脂は有機材料であるため、放熱性が低く、高温で分解しやすい。そのため、高温プロセスでは一般に使いにくい。そこで、樹脂に代わる高放熱な接合材として、金属が有効であることが確認されている。このように金属で接合する方法を金属接合という。金属接合の接合材としては、例えばアルミニウムなどが知られている。
【0005】
しかしながら、金属接合の接合材つまり金属には樹脂のような柔らかさがないため、静電チャックと冷却板との間の大きな線熱膨張係数差によって生じる応力を緩和することができない。こうしたことから、静電チャックとの金属接合に適する冷却板材料、つまり、窒化アルミニウムとの線熱膨張係数差が小さく、しかも冷却板として必要な特性を備えている新材料の開発が望まれていた。冷却板として必要な特性としては、放熱性を維持するため熱伝導率が高いこと、冷却液を通すため緻密性が高いこと、加工等に耐えるため強度が高いことなどが挙げられる。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、内部に冷媒通路を有し、AlNセラミック部材の冷却に用いられる冷却板において、AlNとの線熱膨張係数差がきわめて小さく、熱伝導率、緻密性及び強度が十分高いものを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の冷却板は、
内部に冷媒通路が形成され、AlNセラミック部材の冷却に用いられる冷却板であって、
含有量の多いものの上位3つが炭化珪素、チタンシリコンカーバイド、炭化チタンであり、この並び順が含有量の多いものから少ないものの順序を示しており、前記炭化珪素を51〜68質量%含有し、珪化チタンを含有せず、開気孔率が1%以下である緻密質複合材料で作製された第1基板と、
前記緻密質複合材料で作製され、前記冷媒通路と同じ形状となるように打ち抜かれた打ち抜き部を有する第2基板と、
前記緻密質複合材料で作製された第3基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に金属接合材を挟んで両基板を熱圧接合することにより両基板間に形成された第1金属接合層と、
前記第2基板と前記第3基板との間に金属接合材を挟んで両基板を熱圧接合することにより両基板間に形成された第2金属接合層と、
を備えたものであるか、
又は、
含有量の多いものの上位3つが炭化珪素、チタンシリコンカーバイド、炭化チタンであり、この並び順が含有量の多いものから少ないものの順序を示しており、前記炭化珪素を51〜68質量%含有し、珪化チタンを含有せず、開気孔率が1%以下である緻密質複合材料で作製された第1基板と、
前記緻密質複合材料で作製され、前記第1基板と向かい合う面に前記冷媒通路となる溝を有する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板のうち前記溝が設けられた面との間に金属接合材を挟んで両基板を熱圧接合することにより形成された金属接合層と、
を備えたものである。
【0008】
この冷却板は、金属接合層によって接合された各基板が上述した緻密質複合材料で作製されている。この緻密質複合材料は、AlNとの線熱膨張係数差がきわめて小さく、熱伝導率、緻密性及び強度が十分高い。このため、こうした冷却板とAlNセラミック部材とを接合した半導体製造装置用部材は、低温と高温との間で繰り返し使用したとしても冷却板とAlNセラミック部材とが剥がれることがなく、高い放熱性能を維持したまま、耐用期間が長くなる。また、上述した緻密質複合材料で作製された基板同士は、電子ビーム溶接などによる接合が難しく、樹脂接着材で接合すると冷却性能が低下してしまうが、ここでは、金属接合材を用いた熱圧接合(Thermal Compression Bonding,TCBと略す)により接合しているため、比較的容易に接合でき、しかも良好な冷却性能が得られる。
【0009】
本発明の冷却板において、前記金属接合層は、前記金属接合材としてMgを含有するかSi及びMgを含有するアルミニウム合金の接合材を採用し、該接合材の固相線温度以下の温度で熱圧接合することにより形成されたものであることが好ましい。こうすれば、より良好な冷却性能が得られる。
【0010】
本発明の冷却板において、前記緻密質複合材料は、前記チタンシリコンカーバイドを23〜40質量%、前記炭化チタンを4〜12質量%含有することが好ましい。前記緻密質複合材料は、前記炭化珪素粒子同士の間隙に、前記チタンシリコンカーバイド及び前記炭化チタンの少なくとも1つが前記炭化珪素粒子表面を覆うように存在していることが好ましい。前記緻密質複合材料は、AlNとの40℃〜570℃の平均線熱膨張係数の差が0.5ppm/K以下であることが好ましい。前記緻密質複合材料は、40℃〜570℃の平均線熱膨張係数が5.4〜6.0ppm/Kであることが好ましい。前記緻密質複合材料は、熱伝導率が100W/m・K以上、4点曲げ強度が300MPa以上であることが好ましい。
【0011】
本発明の冷却板の製法は、
内部に冷媒通路が形成され、AlNセラミック部材の冷却に用いられる冷却板を製造する方法であって、
(a)含有量の多いものの上位3つが炭化珪素、チタンシリコンカーバイド、炭化チタンであり、この並び順が含有量の多いものから少ないものの順序を示しており、前記炭化珪素を51〜68質量%含有し、珪化チタンを含有せず、開気孔率が1%以下である緻密質複合材料を用いて、第1〜第3基板を作製する工程と、
(b)前記第2基板の一方の面から他方の面まで前記冷媒通路と同じ形状となるように打ち抜いて前記第2基板に打ち抜き部を形成する工程と、
(c)前記第1基板と前記第2基板の一方の面との間および前記第3基板と前記第2基板の他方の面との間にそれぞれ金属接合材を挟んで前記第1〜第3基板を熱圧接合する工程と、
を含むものであるか、
又は、
(a)含有量の多いものの上位3つが炭化珪素、チタンシリコンカーバイド、炭化チタンであり、この並び順が含有量の多いものから少ないものの順序を示しており、前記炭化珪素を51〜68質量%含有し、珪化チタンを含有せず、開気孔率が1%以下である緻密質複合材料を用いて、第1基板及び第2基板を作製する工程と、
(b)前記第2基板の一方の面に前記冷媒通路となる溝を形成する工程と、
(c)前記第1基板と前記第2基板のうち前記溝が設けられた面との間に金属接合材を挟んで両基板を熱圧接合する工程と、
を含むものである。
【0012】
この冷却板の製法によれば、上述した冷却板を容易に製造することができる。特に、上述した緻密質複合材料で作製された基板同士は、電子ビーム溶接などによる接合が難しく、樹脂接着材で接合すると冷却性能が低下してしまうが、ここでは、金属接合材を用いた熱圧接合により接合しているため、比較的容易に接合でき、しかも良好な冷却性能が得られる。
【0013】
本発明の冷却板の製法において、前記工程(c)では、前記金属接合材としてMgを含有するかSi及びMgを含有するアルミニウム合金の接合材を採用し、該接合材の固相線温度以下の温度で熱圧接合するのが好ましい。こうすれば、より良好な冷却性能を持つ冷却板が得られる。
【0014】
本発明の半導体製造装置用部材は、
静電電極及びヒータ電極を内蔵したAlN製の静電チャックと、
上述したいずれかの冷却板と、
前記冷却板の前記第1基板の表面と前記静電チャックとの間に金属接合材を挟んで両者を熱圧接合することにより形成された冷却板−チャック接合層と、
を備えたものである。
【0015】
この半導体製造装置用部材によれば、低温と高温との間で繰り返し使用したとしても冷却板とAlNセラミック部材とが剥がれることがなく、高い放熱性能を維持したまま、耐用期間が長くなる。また、静電チャックの熱を効率よく冷却板へ逃がすことができる。
【0016】
本発明の半導体製造装置用部材において、前記冷却板−チャック接合層は、前記金属接合材としてMgを含有するかSi及びMgを含有するアルミニウム合金の接合材を採用し、該接合材の固相線温度以下の温度で熱圧接合することにより形成されたものであることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】半導体製造装置用部材10の平面図。
図2図1のA−A断面図。
図3】半導体製造装置用部材10の製造工程図。
図4】半導体製造装置用部材10の製造工程図。
図5】第2基板32の説明図。
図6】半導体製造装置用部材110の断面図。
図7】半導体製造装置用部材110の製造工程図。
図8】第2基板132の説明図。
図9】実験例5で得られた緻密質複合材料のSEM像(反射電子像)。
図10】実験例5で得られた緻密質複合材料のXRDプロファイル。
図11】実験例15で得られた緻密質複合材料のSEM像(反射電子像)。
図12】実験例15で得られた緻密質複合材料のXRDプロファイル。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[半導体製造装置用部材−第1実施形態]
以下に、第1実施形態の半導体製造装置用部材10について説明する。図1は半導体製造装置用部材10の平面図、図2図1のA−A断面図である。
【0019】
半導体製造装置用部材10は、プラズマ処理を施すシリコン製のウエハWを吸着可能なAlN製の静電チャック20と、線熱膨張係数がAlNと同程度の緻密質複合材料で作製された冷却板30と、静電チャック20と冷却板30とを接合する冷却板−チャック接合層40と、を備えている。
【0020】
静電チャック20は、外径がウエハーWの外径よりも小さい円盤状のAlNプレートであり、静電電極22とヒータ電極24とを内蔵している。静電電極22は、棒状の給電端子23を介して図示しない外部電源により直流電圧を印加可能な平面状の電極である。この静電電極22に直流電圧が印加されるとウエハWはジョンソン・ラーベック力によりウエハ載置面20aに吸着固定され、直流電圧の印加を解除するとウエハWのウエハ載置面20aへの吸着固定が解除される。ヒータ電極24は、静電チャック20の全面にわたって配線されるように例えば一筆書きの要領でパターン形成され、電圧を印加すると発熱してウエハWを加熱する。ヒータ電極24には、冷却板30の裏面からヒータ電極24の一端及び他端にそれぞれ到達する棒状の給電端子25によって電圧を印加可能である。
【0021】
冷却板30は、外径が静電チャック20と同等かやや大きい円盤状のプレートであり、第1基板31と、第2基板32と、第3基板33と、第1基板31と第2基板32との間に形成された第1金属接合層34と、第2基板32と第3基板33との間に形成された第2金属接合層35と、冷媒が流通可能な冷媒通路36と、を備えている。第1〜第3基板31,32,33は、緻密質複合材料で形成されている。この緻密質複合材料は、含有量の多いものの上位3つが炭化珪素、チタンシリコンカーバイド、炭化チタンであり、この並び順が含有量の多いものから少ないものの順序を示しており、炭化珪素を51〜68質量%含有し、珪化チタンを含有せず、開気孔率が1%以下であるが、詳しくは後述する。また、第2基板32には、打ち抜き部32aが形成されている。この打ち抜き部32aは、第2基板32の一方の面から他方の面までを冷媒通路36と同じ形状となるように打ち抜いたものである。第1及び第2金属接合層34,35は、第1基板31と第2基板32の一方の面との間と、第2基板32の他方の面と第3基板33との間に、Al−Si−Mg系の金属接合材を挟んで各基板31〜33を熱圧接合することにより形成されたものである。冷却板30には、静電チャック20が接合された面とは反対側の面からウエハ載置面20aと直交する方向に延びて冷媒通路36の入口36a及び出口36bにそれぞれ繋がる冷媒供給孔46a及び冷媒排出孔46bが形成されている。また、冷却板30には、静電チャック20が接合された面とその反対側の面とを貫通する端子挿通孔43,45が形成されている。端子挿通孔43は、静電電極22の給電端子23を挿通するための孔であり、端子挿通孔45は、ヒータ電極24の給電端子25を挿通するための孔である。
【0022】
冷却板−チャック接合層40は、冷却板30の第1基板31と静電チャック20との間にAl−Si−Mg系又はAl−Mg系の金属接合材を挟んで両者を熱圧接合することにより形成されたものである。なお、各給電端子23,25は、冷却板30や第1及び第2金属接合層34,35、冷却板−チャック接合層40と直接接触しないように構成されている。
【0023】
なお、半導体製造装置用部材10には、ウエハWの裏面にHeガスを供給するためのガス供給孔やウエハWをウエハ載置面20aから持ち上げるリフトピンを挿通するためのリフトピン挿通孔を、ウエハ載置面20aと直交する方向に半導体製造装置用部材10を貫通するように設けてもよい。
【0024】
次に、半導体製造装置用部材10の使用例について説明する。まず、図示しない真空チャンバ内に半導体製造装置用部材10を設置した状態で、ウエハWをウエハ載置面20aに載置する。そして、真空チャンバ内を真空ポンプにより減圧して所定の真空度になるように調整し、静電電極22に直流電圧をかけてジョンソン−ラーベック力を発生させ、ウエハWをウエハ載置面20aに吸着固定する。次に、真空チャンバ内を所定圧力(例えば数10〜数100Pa)の反応ガス雰囲気とし、この状態で、プラズマを発生させる。そして、発生したプラズマによってウエハWの表面のエッチングを行う。図示しないコントローラは、ウエハWの温度が予め設定された目標温度となるように、ヒータ電極24へ供給する電力を制御する。
【0025】
次に、半導体製造装置用部材10の製造例について説明する。図3及び図4は半導体製造装置用部材10の製造工程図である。図5は第2基板32の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【0026】
まず、上述した緻密質複合材料を用いて、円盤状の薄型プレートである第1〜第3基板31〜33を作製する(図3(a)参照)。次に、第2基板32の一方の面から他方の面まで冷媒通路36と同じ形状となるように打ち抜いて、第2基板32に打ち抜き部32aを形成する(図3(b)及び図5参照)。打ち抜き部32aは、マシニングセンタ、ウォータジェット、放電加工などにより形成することができる。次に、第1基板31と第2基板32の一方の面との間に金属接合材51を挟むと共に、第2基板32の他方の面と第3基板33との間に金属接合材52を挟み(図3(c)参照)、第1〜第3基板31〜32を熱圧接合する(図3(d)参照)。これにより、打ち抜き部32aが冷媒通路36になり、第1基板31と第2基板32との間に第1金属接合層34が形成され、第2基板32と第3基板33との間に第2金属接合層35が形成され、冷却板30が完成する。このとき、金属接合材51,52としては、Al−Si−Mg系又はAl−Mg系接合材を使用するのが好ましい。これらの接合材を用いた熱圧接合(TCB)は、真空雰囲気下、固相線温度以下に加熱した状態で各基板を0.5〜2.0kg/mm2 の圧力で1〜5時間かけて加圧することにより行う。その後、冷却板30の裏面側から冷媒通路36の入口36aに至る冷媒供給孔46aと、冷却板30の裏面側から冷媒通路36の出口36bに至る冷媒排出孔46bとを形成すると共に、冷却板30の表裏を貫通する端子挿通孔43,45を形成する(図3(e)参照、図3(e)には、冷媒通路36の入口36aや出口36b、冷媒供給孔46a、冷媒排出孔46bは現れていないが、これらについては図1を参照)。
【0027】
一方、静電電極22及びヒータ電極24が埋設され、給電端子23,25が取り付けられた静電チャック20を作製する(図4(a)参照)。こうした静電チャック20は、例えば特開2006−196864号公報の記載にしたがって用意することができる。そして、静電チャック20のウエハ載置面20aとは反対側の面と冷却板30の第1基板31の表面との間に金属接合材28を挟み、給電端子23,25をそれぞれ端子挿通孔43,45に挿通し、静電チャック20と冷却板30とを熱圧接合する(図4(a)参照)。これにより、静電チャック20と冷却板30との間には冷却板−チャック接合層40が形成され、半導体製造装置用部材10が完成する(図4(b)参照)。金属接合材28としては、上述したようにAl−Si−Mg系又はAl−Mg系接合材を使用してTCBを行うのが好ましい。
【0028】
以上詳述した第1実施形態によれば、冷却板30は、第1及び第2金属接合層34,35によって接合された第1〜第3基板31〜33が上述した緻密質複合材料で作製されており、この緻密質複合材料は、AlNとの線熱膨張係数差がきわめて小さく、熱伝導率、緻密性及び強度が十分高い。このため、こうした冷却板30とAlNセラミック部材である静電チャック20とを接合した半導体製造装置用部材10は、低温と高温との間で繰り返し使用したとしても冷却板30と静電チャック20とが剥がれることがなく、高い放熱性能を維持したまま、耐用期間が長くなる。また、上述した緻密質複合材料で作製された第1〜第3基板31〜33は、電子ビーム溶接などによる接合が難しく、樹脂接着材で接合すると冷却性能が低下してしまうが、ここでは、金属接合材を用いたTCBにより接合しているため、比較的容易に接合でき、しかも良好な冷却性能が得られる。
【0029】
また、第1〜第3基板31〜33は緻密性が十分高いため、冷却板30の内部に冷却液や冷却ガスを通過させることができ、冷却効率が一層向上する。更に、第1〜第3基板31〜33は、強度が十分高いため、半導体製造装置用部材10を製造する際の加工や接合に耐えることができるし、使用時の温度変化によって生じる応力にも十分耐えることができる。
【0030】
[半導体製造装置用部材−第2実施形態]
以下に、第2実施形態の半導体製造装置用部材110について説明する。図6は半導体製造装置用部材110の断面図である。
【0031】
半導体製造装置用部材110は、プラズマ処理を施すシリコン製のウエハWを吸着可能なAlN製の静電チャック20と、線熱膨張係数がAlNと同程度の緻密質複合材料で作製された冷却板130と、冷却板130と静電チャック20とを接合する冷却板−チャック接合層40と、を備えている。
【0032】
静電チャック20は、第1実施形態と同じであるため、第1実施形態と同じ符号を付し、説明を省略する。冷却板130は、外径が静電チャック20と同等かやや大きい円盤状のプレートであり、第1基板131と、第2基板132と、第1基板131と第2基板132との間に形成された金属接合層134と、冷媒が流通可能な冷媒通路136と、を備えている。第1及び第2基板131,132は、第1実施形態で用いた緻密質複合材料と同じ材料で形成されている。第2基板132は、第1基板131と向かい合う面に冷媒通路136となる溝を有している。金属接合層134は、第1基板131と第2基板132のうち溝132aが設けられた面との間に、Al−Si−Mg系又はAl−Mg系の金属接合材を挟んで両基板131,132を熱圧接合することにより形成されたものである。冷却板130には、第1実施形態と同様、冷媒通路136の入口及び出口にそれぞれ繋がる冷媒供給孔及び冷媒排出孔が形成されているが、これらの図示は省略する。また、冷却板130には、第1実施形態と同様、端子挿通孔43,45が形成されている。冷却板−チャック接合層40は、第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0033】
半導体製造装置用部材110の使用例は、第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0034】
次に、半導体製造装置用部材110の製造例について説明する。図7は半導体製造装置用部材110の製造工程図、図8は第2基板132の説明図であり、(a)は平面図、(b)はC−C断面図である。まず、上述した緻密質複合材料を用いて、円盤状の薄型プレートである第1及び第2基板131,132を作製する(図7(a)参照)。次に、第2基板132のうち第1基板131と向かい合う面に冷媒通路136となる溝132aを形成する(図7(b)及び図8参照)。溝132aは、マシニングセンタ、ウォータジェット、放電加工などにより形成することができる。次に、第1基板131と第2基板132の溝132aが形成された面との間に金属接合材61を挟み(図7(c)参照)、第1及び第2基板131,132を熱圧接合する(図7(d)参照)。これにより、溝132aが冷媒通路36になり、第1基板131と第2基板132との間に金属接合層134が形成され、冷却板130が完成する。このとき、金属接合材61としては、上述したようにAl−Si−Mg系又はAl−Mg系接合材を使用してTCBを行うのが好ましい。この後の工程すなわち静電チャック20と冷却板130との接合工程は、第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0035】
以上詳述した第2実施形態によれば、冷却板130は、金属接合層134によって接合された第1及び第2基板131,132が上述した緻密質複合材料で作製されており、この緻密質複合材料は、AlNとの線熱膨張係数差がきわめて小さく、熱伝導率、緻密性及び強度が十分高い。このため、こうした冷却板130とAlNセラミック部材である静電チャック20とを接合した半導体製造装置用部材110は、低温と高温との間で繰り返し使用したとしても冷却板130と静電チャック20とが剥がれることがなく、高い放熱性能を維持したまま、耐用期間が長くなる。また、上述した緻密質複合材料で作製された第1及び第2基板131,132は、電子ビーム溶接などによる接合が難しく、樹脂接着材で接合すると冷却性能が低下してしまうが、ここでは、金属接合材を用いたTCBにより接合しているため、比較的容易に接合でき、しかも良好な冷却性能が得られる。
【0036】
また、第1及び第2基板131,132は緻密性が十分高いため、冷却板130の内部に冷却液や冷却ガスを通過させることができ、冷却効率が一層向上する。更に、第1及び第2基板131,132は、強度が十分高いため、半導体製造装置用部材110を製造する際の加工や接合に耐えることができるし、使用時の温度変化によって生じる応力にも十分耐えることができる。
【0037】
[緻密質複合材料]
上述した実施形態で使用する緻密質複合材料は、含有量の多いものの上位3つが炭化珪素、チタンシリコンカーバイド、炭化チタンであり、この並び順が含有量の多いものから少ないものの順序を示しており、炭化珪素を51〜68質量%含有し、珪化チタンを含有せず、開気孔率が1%以下のものである。ここでは、含有量は、X線回折のピークに基づいて求めた値とする。また、開気孔率は、純水を媒体としたアルキメデス法により測定した値とする。
【0038】
炭化珪素は、51〜68質量%含有されている。51質量%未満しか含有されていない場合には、窒化アルミニウムとの熱膨張係数差が大きくなるため、好ましくない。また、68質量%を超えると、開気孔率が大きくなったり強度が十分高くならなかったりするため、好ましくない。
【0039】
チタンシリコンカーバイドは、炭化珪素より少量含有されており、炭化チタンは、チタンシリコンカーバイドより少量含有されている。チタンシリコンカーバイドとしては、Ti3SiC2(TSC)が好ましく、炭化チタンとしては、TiCが好ましい。例えば、チタンシリコンカーバイドを27〜40質量%含有し、炭化チタンを4〜12質量%含有していることが好ましい。
【0040】
炭化珪素粒子同士の間隙には、チタンシリコンカーバイド及び炭化チタンの少なくとも1つが炭化珪素粒子表面を覆うように存在していることが好ましい。炭化珪素粒子が高頻度に分散している場合、炭化珪素粒子間に気孔が残存しやすくなるが、上述したように炭化珪素粒子表面が他の粒子で覆われていると、その気孔が埋まりやすくなり、緻密且つ高強度な材料となりやすいため、好ましい。
【0041】
上述した実施形態で使用する緻密質複合材料は、線熱膨張係数が窒化アルミニウムと同程度である。そのため、この緻密質複合材料で作製された部材と窒化アルミニウムで作製された部材とを接合(例えば金属接合)した場合、低温と高温との間で繰り返し使用したとしても剥離しにくい。具体的には、この緻密質複合材料は、窒化アルミニウムとの40〜570℃の平均線熱膨張係数の差が0.5ppm/K以下であることが好ましい。また、この緻密質複合材料の40〜570℃の平均線熱膨張係数は5.4〜6.0ppm/Kであることがより好ましい。なお、この緻密質複合材料と同じ条件で、窒化アルミニウムに焼結助剤としてY23を5重量%添加した窒化アルミニウム焼結体の40〜570℃の平均線熱膨張係数を測定したところ、5.7ppm/Kであり、焼結助剤なしの窒化アルミニウム焼結体の平均線熱膨張係数を測定したところ、5.2ppm/Kであった。よって、本発明では両者の間の値である、線熱膨張係数5.5ppm/K(40〜570℃)を中心値とし、平均線熱膨張係数の差が0.5ppm/K以下である窒化アルミニウム焼結体の提供を目的とした。
【0042】
上述した実施形態で使用する緻密質複合材料は、熱伝導性に優れているが、具体的には熱伝導率が100W/m・K以上であることが好ましい。こうすれば、この緻密質複合材料で作製された部材と窒化アルミニウムで作製された部材とを金属接合した場合、窒化アルミニウムが持つ熱を効率よく逃がすことができる。
【0043】
上述した実施形態で使用する緻密質複合材料は、強度に優れているが、具体的には4点曲げ強度が300MPa以上であることが好ましい。こうすれば、この緻密質複合材料で作製された部材を冷却板等に適用しやすくなる。
【0044】
上述した実施形態で使用する緻密質複合材料の製法は、例えば、(a)炭化珪素を43〜52質量%、炭化チタンを33〜45質量%含有し、残部が、珪化チタンを18質量%以下、及び/又は、シリコンを13質量%以下含有する粉体混合物を作製する工程と、(b)前記粉体混合物を不活性雰囲気下ホットプレスで焼結させることにより、上述した緻密質複合材料を得る工程と、を含むものとしてもよい。
【0045】
工程(a)では、炭化珪素の原料粉末の粒径は特に限定されないが、平均粒径が2〜35μmであることが好ましい。また、粗粒(例えば平均粒径15〜35μm)のみを用いてもよいし、細粒(例えば平均粒径2〜10μm)のみを用いてもよいし、粗粒と細粒とを混合して用いてもよい。SiCの平均粒径が2μmよりも小さい場合、原料中のSiC比が多い組成ではSiC粒子の表面積が増加する為に焼結性が低下し、緻密な焼結体が得られにくい。一方、SiCの平均粒径が35μmよりも大きい場合は、焼結性には問題無いが、強度が低下することが懸念される。また、工程(a)では、上述したように、原料粉末として炭化珪素、炭化チタン、珪化チタンを用いてもよいが、炭化珪素、炭化チタン、珪化チタン、チタン、シリコンの中から適宜選択して用いてもよい。
【0046】
工程(b)では、不活性雰囲気とは、例えば真空雰囲気、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気などが挙げられる。また、ホットプレス条件は、上述した緻密質複合材料が得られるように設定すればよい。例えば、ホットプレス時の圧力は100〜400kgf/cm2が好ましく、200〜300kgf/cm2がより好ましい。ホットプレス時の温度は1550〜1800℃が好ましく、1600〜1750℃がより好ましい。圧力と温度との関係は、粉体混合物の組成や原料粉の粒径などにより、この範囲内で適宜設定すればよい。例えば、粉体混合物中の炭化珪素の含有率が低い場合には、粉体混合物は焼結しやすいため、比較的穏やかなホットプレス条件で緻密化する。一方、粉体混合物中の炭化珪素の含有率が高い場合には、粉体混合物は焼結しにくいため、比較的厳しいホットプレス条件で緻密化する。また、炭化珪素が粗粒のみを用いる場合には、比較的厳しいホットプレス条件で緻密化するが、粗粒と細粒を混合して用いる場合には、比較的穏やかなホットプレス条件で緻密化する。なお、焼成時間は、ホットプレス条件に応じて適宜設定すればよいが、例えば1〜10時間の間で適宜設定すればよい。但し、粗粒のみを用いる場合に比べて、粗粒と細粒とを混合して用いた場合の方が、穏やかなホットプレス条件で緻密化する傾向があるため、好ましい。
【0047】
工程(b)のホットプレス条件は、例えば、粉体混合物中の炭化珪素が43質量%以上47質量%未満の場合、炭化珪素が粗粒か細粒かにかかわらず、1600〜1800℃で200〜400kgf/cm2という条件が好ましい。また、粉体混合物中の炭化珪素が47質量%以上52質量%以下の場合、炭化珪素が粗粒か細粒かにかかわらず、1650〜1800℃で300〜400kgf/cm2という条件か、1750〜1800℃で250〜400kgf/cm2という条件が好ましいが、炭化珪素が粗粒と細粒の混合粒であれば、1650〜1800℃で300〜400kgf/cm2という条件か、1700〜1800℃で250〜400kgf/cm2という条件が好ましい。
【実施例】
【0048】
[半導体製造装置用部材]
実施例の半導体製造装置用部材10は、静電チャック20として、AlN製のジョンソン−ラーベックタイプで、直径が297mm、厚み5がmm、誘電体膜厚(静電電極22からウエハ載置面20aまでの厚み)が0.35mm、ヒータ電極24がNbコイルのものを用いた。また、冷却板30として、後述する実験例15の緻密質材料で作製した第1〜第3基板31〜33を、Al−Si−Mg系接合材(88.5重量%のAl、10重量%のSi、1.5重量%のMgを含有し、固相線温度が約560℃)を用いてTCBにより接合した。TCBは、真空雰囲気下、540〜560℃に加熱した状態で各基板を1.5kg/mm2 の圧力で5時間かけて加圧することにより行った。得られた冷却板30は、直径が340mm、厚みが32mmであった。静電チャック20と冷却板30との接合も、同じ接合材を用いてTCBにより行った。冷却板−チャック接合層40の厚みは0.12mmであった。一方、比較例の半導体製造装置用部材は、アルミニウム製の第1〜第3基板をアクリル樹脂(熱伝導率0.2W/mK)により接合した冷却板を用いた以外は、上述した実施例と同様にして作製した。
【0049】
そして、実施例の半導体製造装置用部材10の冷却板30の冷媒通路36に温度25℃の純水(冷媒)を流量13L/minを流し、ヒータ電極24に所定の電力を投入してヒータ電極24を発熱させたときのウエハ載置面20aの温度を表面温度計でモニターした。比較例の半導体製造装置用部材についても、同様にしてモニターした。その結果を表1に示す。表1から、投入電力にかかわらず、実施例の方が比較例よりも冷却性能が優れていることがわかる。
【0050】
【表1】
【0051】
[緻密質複合材料]
以下に、上述した実施形態で使用する緻密質複合材料の好適な適用例について説明する。SiC原料は、純度96.0%以上、平均粒径32.3μm或いは、16.4μm或いは、2.9μmの市販品を使用した。TiC原料は、純度94.5%以上、平均粒径4.3μmの市販品を使用した。TiSi2原料は、純度96.0%以上、平均粒径6.9μmの市販品を使用した。Si原料は、純度97.0%以上、平均粒径2.1μmの市販品を使用した。
【0052】
1.製造手順
・調合
SiC原料、TiC原料及びTiSi2原料、あるいは、SiC原料、TiC原料及びSi原料を、表2,3に示す質量%となるように秤量し、イソプロピルアルコールを溶媒とし、ナイロン製のポット、直径10mmの鉄芯入りナイロンボールを用いて4時間湿式混合した。混合後スラリーを取り出し、窒素気流中110℃で乾燥した。その後、30メッシュの篩に通し、調合粉末とした。尚、秤量した原料約300gを高速流動混合機(粉体投入部の容量1.8L)に投入し、攪拌羽根の回転数1500rpmで混合した場合にも湿式混合と同様の材料特性が得られることを確認した。
・成形
調合粉末を、200kgf/cm2の圧力で一軸加圧成形し、直径50mm、厚さ15mm程度の円盤状成形体を作製し、焼成用黒鉛モールドに収納した。
・焼成
円盤状成形体をホットプレス焼成することにより緻密質焼結材料を得た。ホットプレス焼成では、表2,3に示す焼成温度(最高温度)及びプレス圧力で焼成し、焼成終了まで真空雰囲気とした。焼成温度での保持時間は4時間とした。なお、以下では、ホットプレスをHPと略す。
【0053】
2.各実験例
表2,3には、各実験例の出発原料組成(質量%)、SiC原料の粒径とその割合、HP焼成条件、XRD測定結果から求めた焼結体の構成相とその量比(簡易定量結果)、焼結体の基本特性(開気孔率、嵩密度、4点曲げ強度、線熱膨張係数、熱伝導率)を示した。なお、実験例1〜36のうち、実験例3〜7,10,12,13,15,16,18〜21,23,24、26,33〜36が上述した実施形態で使用するのに適した緻密質複合材料であり、残りは適さない材料である。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
3.構成相の簡易定量
複合材料を乳鉢で粉砕し、X線回折装置により結晶相を同定した。測定条件はCuKα,40kV,40mA,2θ=5〜70°とし、封入管式X線回折装置(ブルカー・エイエックスエス製 D8 ADVANCE)を使用した。また、構成相の簡易定量を行った。この簡易定量は、複合材料に含まれる結晶相の含有量をX線回折のピークに基づいて求めた。ここでは、SiC、TSC(Ti3SiC2)、TiC及びTiSi2に分けて簡易定量を行い含有量を求めた。簡易定量には、ブルカー・エイエックスエス社の粉末回折データ解析用ソフトウェア「EVA」の簡易プロファイルフィッティング機能(FPM Eval.)を利用した。本機能は定性した結晶相のICDD PDFカードのI/Icor(コランダムの回折強度に 対する強度比)を用いて構成相の量比を算出するものである。各結晶相のPDFカード番号は、SiC:00−049−1428、TSC:01−070−6397、TiC:01−070−9258(TiC0.62)、TiSi2:01−071−0187を用いた。なお、表2,3中、「−」はXRDプロファイルにて検出されなかったことを示す。
【0057】
4.基本特性の測定
(1)開気孔率及び嵩密度
純水を媒体としたアルキメデス法により測定した。
(2)4点曲げ強度
JIS−R1601に従って求めた。
(3)線熱膨張係数(40〜570℃の平均線熱膨張係数)
ブルカーエイエックスエス(株)製、TD5020S(横型示差膨張測定方式)を使用し、アルゴン雰囲気中、昇温速度20℃/分の条件で650℃まで2回昇温し、2回目の測定データから40〜570℃の平均線熱膨張計数を算出した。標準試料には装置付属のアルミナ標準試料(純度99.7%、嵩密度3.9g/cm3、長さ20mm)を使用した。このアルミナ標準試料をもう1本用意し、同一条件で線熱膨張係数を測定した値は7.7ppm/Kであった。尚、本条件で、窒化アルミニウムに焼結助剤としてY23を5重量%添加した窒化アルミニウム焼結体の40〜570℃の平均線熱膨張係数を測定したところ、5.7ppm/Kであり、焼結助剤なしの窒化アルミニウム焼結体の平均線熱膨張係数を測定したところ、5.2ppm/Kであった。
(4)熱伝導率
レーザーフラッシュ法により測定した。
【0058】
5.結果
(1)実験例1,2
実験例1では、平均粒径が16.4μmのSiC原料を使用し、実験例2では、平均粒径が2.9μmのSiC原料を使用した以外は、同じ原料組成、同じHP焼成条件で焼成した。調合粉末中のSiC含有率は41.2質量%とした。その結果、実験例1,2では、開気孔率0%の緻密質複合材料が得られたものの、窒化アルミニウムとの熱膨張係数差が0.5ppm/Kを超えてしまった。実験例1,2では、使用したSiC原料が少なすぎたため、得られた緻密質複合材料中のSiCが47〜49質量%と低くなりすぎ、熱膨張係数が十分低くならなかったと考えられる。
【0059】
(2)実験例3〜6
実験例3〜5では、異なるHP焼成条件で焼成した以外は、平均粒径が16.4μmのSiC原料を使用し、同じ原料組成の調合粉末を焼成した。調合粉末中のSiC含有率は43.1質量%とした。その結果、実験例3〜5では、SiC含有率51〜53質量%、開気孔率0%、熱膨張係数6.0ppm/Kの緻密質複合材料が得られた。これらの4点曲げ強度は300MPa以上であり、熱伝導率は100W/m・K以上であった。また、実験例6では、平均粒径が2.9μmのSiC原料を使用した以外は、実験例5と同じ原料組成、同じHP焼成条件で焼成した。その結果、実験例6では、実験例5と同等の性能を持つ緻密質複合材料が得られた。ここで、代表例として実験例5で得られた緻密質複合材料のSEM像(反射電子像)とXRDプロファイルを図9及び図10にそれぞれ示す。図9から、SiC粒子の表面はTSC及びTiCの少なくとも1つによって覆われていることがわかる。なお、他の実験例についても同様のSEM像及びXRDプロファイルが得られた。
【0060】
(3)実験例7〜12
実験例7〜12では、異なるHP焼成条件で焼成した以外は、平均粒径が16.4μmのSiC原料を使用し、同じ原料組成の調合粉末を焼成した。調合粉末中のSiC含有率は49.2質量%とした。その結果、実験例7,10,12では、SiC含有率59〜64質量%、開気孔率0.2〜0.9%、熱膨張係数5.8ppm/Kの緻密質複合材料が得られた。これらの4点曲げ強度は300MPa以上であり、熱伝導率は100W/m・K以上であった。一方、実験例8,9,11では、熱膨張係数5.8ppm/Kの複合材料が得られたが、開気孔率が1%を超えていた。実験例8,9では、HP焼成条件として温度1700℃、実験例11では、HP焼成条件として温度1750℃を採用したが、いずれもプレス圧力が不足していたため開気孔率が大きくなったと思われる。なお、実験例7,10,12についても図9及び図10と同様のSEM像及びXRDプロファイルが得られた。
【0061】
(4)実験例13〜18
実験例13〜18では、異なるHP焼成条件で焼成した以外は、平均粒径16.4μmのSiC原料と平均粒径2.9μmのSiC原料とを65:35(質量比)で混合したSiCを使用し、同じ原料組成の調合粉末を焼成した。調合粉末中のSiC含有率は49.2質量%とした。その結果、実験例13,15,16,18では、SiC含有率60〜63質量%、開気孔率0〜0.9%、熱膨張係数5.7〜5.8ppm/Kの緻密質複合材料が得られた。これらの4点曲げ強度は300MPa以上であり、熱伝導率は100W/m・K以上であった。一方、実験例14,17では、熱膨張係数5.7〜5.8ppm/Kの複合材料が得られたが、開気孔率が1%を超えていた。実験例14では、HP焼成条件として温度1700℃、実験例17では、HP焼成条件として温度1725℃を採用したが、いずれもプレス圧力が不足していたため開気孔率が大きくなったと考えられる。ここで、代表例として実験例15で得られた緻密質複合材料のSEM像(反射電子像)とXRDプロファイルを図11及び図12にそれぞれ示す。図11から、SiC粒子の表面はTSC及びTiCの少なくとも1つによって覆われていることがわかる。なお、実験例13,16,18についても図11及び図12と同様のSEM像及びXRDプロファイルが得られた。
【0062】
ここで、実験例15と実験例9とを対比すると、実験例15では粗粒と細粒とが入り交じったSiC原料を用いたのに対して、実験例9では粗粒のみのSiC原料を用いたことが異なるが、それ以外は、同じ原料組成、同じHP焼成条件で調合粉末を焼成した。その結果、実験例9の焼結体は十分緻密化しなかった(開気孔率1.9%)が、実験例15の焼結体は十分緻密化した(開気孔率が0.4%)。この結果から、粗粒と細粒とが入り交じったSiC原料を使用した方が、粗粒のみのSiC原料を使用した場合に比べて緻密化しやすい傾向があるといえる。
【0063】
(5)実験例19,20
実験例19,20では、異なるSiC原料を用いた以外は、同じ原料組成の調合粉末を、同じHP焼成条件で焼成した。実験例19では、平均粒径32.3μmのSiC原料と平均粒径2.9μmのSiC原料とを65:35(質量比)で混合したSiCを使用し、実験例20では、平均粒径32.3μmのSiC原料と平均粒径2.9μmのSiC原料とを55:45(質量比)で混合したSiCを使用した。調合粉末中のSiC含有率は49.2質量%とした。その結果、SiC含有率64〜66質量%、開気孔率0.5〜0.8%、熱膨張係数5.7〜5.8ppm/Kの緻密質複合材料が得られた。これらの4点曲げ強度は300MPa以上であり、熱伝導率は100W/m・K以上であった。なお、実験例19,20についても図11及び図12と同様のSEM像及びXRDプロファイルが得られた。
【0064】
ここで、実験例17と実験例19とを対比すると、実験例17では平均粒径が16.4μmのSiC原料を用いたのに対して、実験例19では平均粒径が32.3μmのSiC原料を用いたことが異なるが、それ以外は、同じ原料組成、同じHP焼成条件で調合粉末を焼成した。その結果、実験例17の焼結体は十分緻密化しなかった(開気孔率1.7%)が、実験例19の焼結体は十分緻密化した(開気孔率0.8%)。この結果から、平均粒径の大きな粗粒のSiC原料を使用した方が、平均粒径の小さな粗粒のSiC原料を使用した場合に比べて緻密化しやすい傾向があるといえる。特にSiC原料の量が多い場合において、粗粒のSiC量の割合を多くすることが緻密化に有効となる。
【0065】
(6)実験例21〜26
実験例21〜26では、異なるHP焼成条件で焼成した以外は、平均粒径16.4μmのSiC原料と平均粒径2.9μmのSiC原料とを65:35(質量比)で混合したSiCを使用し、同じ原料組成の調合粉末を焼成した。調合粉末中のSiC含有率は51.4質量%とした。その結果、実験例21,23,24,26では、SiC含有率66〜68質量%、開気孔率0.2〜0.9%、熱膨張係数5.4〜5.5ppm/Kの緻密質複合材料が得られた。これらの4点曲げ強度は300MPa以上であり、熱伝導率は100W/m・K以上であった。一方、実験例22,25では、熱膨張係数5.5ppm/Kの複合材料が得られたが、開気孔率が1%を超えていた。実験例22では、HP焼成条件として温度1700℃、実験例25では、HP焼成条件として温度1750℃を採用したが、いずれもプレス圧力が不足していたため開気孔率が大きくなったと考えられる。なお、実験例21,23,24,26についても図11及び図12と同様のSEM像及びXRDプロファイルが得られた。
【0066】
(7)実験例27〜32
実験例27〜32では、異なるHP焼成条件で焼成した以外は、平均粒径16.4μmのSiC原料と平均粒径2.9μmのSiC原料とを65:35(質量比)で混合したSiCを使用し、同じ原料組成の調合粉末を焼成した。調合粉末中のSiC含有率は53.8質量%とした。その結果、実験例27〜32では、SiC含有率68〜72質量%、熱膨張係数5.2〜5.3ppm/Kの複合材料が得られたが、開気孔率は1%を超えていた。実験例27〜32では、使用したSiC原料が多すぎたため、HP焼成でも十分に焼結せず、開気孔率が高くなってしまったと思われる。
【0067】
(8)実験例33〜36
実験例33〜36では、原料にTiSi2を使用せず、TiCとSiを用い、平均粒径16.4μmのSiC原料と平均粒径2.9μmのSiC原料とを65:35(質量比)で混合したSiCを使用し、SiC:TiC:Si=43.2:44.2:12.6(質量比)の原料組成の調合粉末を異なるHP焼成条件で焼成した。その結果、SiC含有率61〜63質量%、開気孔率0.1〜0.9%、熱膨張係数5.8〜5.9ppm/Kの緻密質複合材料が得られた。これらの4点曲げ強度は300MPa以上であり、熱伝導率は100W/m・K以上であった。
【0068】
ここで、実験例14、17と実験例33,34とを対比すると、原料の種類と組成が異なるが、それ以外は、同じHP焼成条件で調合粉末を焼成した。その結果、実験例14、17の焼結体は十分緻密化しなかったが、実験例33,34の焼結体は十分緻密化した。実験例33,34と実験例14、17の焼結体のSiC含有量は同等であることから、原料のSiC、TiSi2を減量し、代わりにTiSi2よりも平均粒径の小さなTiC、Si原料を用いてSi、Ti、C成分量を調整することによって、より緻密化しやすくなる傾向があることが分かった。
【0069】
(9)まとめ
実験例3〜7,10,12,13,15,16,18〜21,23,24、26,33〜36で得られた緻密質複合材料は、開気孔率が1%以下で、線熱膨張係数が窒化アルミニウムとほとんど同じ(40〜570℃で5.4〜6.0ppm/K)であり、熱伝導率、緻密性及び強度が十分高かった。このため、こうした緻密質複合材料からなる第1板材と、窒化アルミニウムからなる第2板材とを金属接合した半導体製造装置用部材は、低温と高温との間で繰り返し使用されたとしても、第1部材と第2部材とが剥がれることがないため、耐用期間が長くなる。これらの実験例をみると、緻密質複合材料を得るための調合粉末については、SiCは43〜52質量%、TiCは33〜45質量%、TiSi2は14〜18質量%の範囲に入り、緻密質複合材料については、SiCは51〜68質量%、TSCは27〜40質量%、TiCは4〜12質量%の範囲に入ることがわかる。また、実験例33〜36の結果から、SiC、TiSi2原料の一部或いは全量をTiC、Siのような原料で代替することによっても、同等の特性を有する緻密質複合材が発現できることがわかる。この場合、調合粉末については、SiCは43〜52質量%、炭化チタンは33〜45質量%の範囲に入り、残部は、珪化チタンが18質量%以下、及び/又は、Siが13質量%以下の範囲に入る。
【0070】
本出願は、2013年3月25日に出願された日本国特許出願第2013−061856号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容の全てが本明細書に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の冷却板は、例えば、窒化アルミニウム製の静電チャックやサセプターなどに金属接合される冷却板に用いられる。
【符号の説明】
【0072】
10 半導体製造装置用部材、20 静電チャック、20a ウエハ載置面、22 静電電極、23 給電端子、24 ヒータ電極、25 給電端子、28 金属接合材、30 冷却板、31 第1基板、32 第2基板、32a 打ち抜き部、33 第3基板、34 第1金属接合層、35 第2金属接合層、36 冷媒通路、36a 入口、36b 出口、40 冷却板−チャック接合層、43 端子挿通孔、45 端子挿通孔、46a 冷媒供給孔、46b 冷媒排出孔、51 金属接合材、52 金属接合材、61 金属接合材、110 半導体製造装置用部材、130 冷却板、132 第2基板、132a 溝、134 金属接合層、136 冷媒通路。
【要約】
半導体製造装置用部材(10)は、AlN製の静電チャック(20)と、冷却板(30)と、冷却板−チャック接合層(40)とを備えている。冷却板(30)は、第1〜第3基板(31〜33)と、第1及び第2基板(31,32)の間に形成された第1金属接合層(34)と、第2及び第3基板(32,33)の間に形成された第2金属接合層(35)と、冷媒通路(36)とを備えている。第1〜第3基板(31〜33)は、含有量の多いものからSiC,TiSiC及びTiCをこの順に含む緻密質複合材料で形成されている。金属接合層(34,35)は、第1及び第2基板(31,32)の間と第2及び第3基板(32,33)の間にAl−Si−Mg系接合材を挟んで各基板(31〜33)を熱圧接合することにより形成されたものである。
図1
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図11
図12