(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被検体からの磁気共鳴データのサンプリング中における、渦電流に起因する傾斜磁場の制御値からの変動量および傾斜磁場電源の出力波形の非線形性または不完全性に起因する傾斜磁場の制御値からの変動量による前記磁気共鳴データへの影響を補正するための補正データを取得する補正データ取得手段と、
前記磁気共鳴データを収集し、前記補正データを用いて前記磁気共鳴データの補正を行い、さらに補正後の磁気共鳴データに基づいて画像データを生成する画像データ生成手段と、
を備え、
前記補正データ取得手段は、
(a)前記渦電流に起因する前記傾斜磁場の制御値からの変動量についてはシミュレーションを行うことによって推定する一方、前記傾斜磁場電源の出力波形の非線形性または不完全性に起因する前記傾斜磁場の制御値からの変動量については前記傾斜磁場電源に備えられる電流計において計測された前記傾斜磁場電源からの出力電流波形を用いて求める、(b)前記渦電流に起因する前記傾斜磁場の制御値からの変動量については渦補正回路から前記傾斜磁場電源に出力される出力パルス波形を用いて求める一方、前記傾斜磁場電源の出力波形の非線形性または不完全性に起因する前記傾斜磁場の制御値からの変動量についてはシミュレーションを行うことによって推定する、または(c)前記渦電流に起因する傾斜磁場の制御値からの変動量および前記傾斜磁場電源の出力波形の非線形性または不完全性に起因する傾斜磁場の制御値からの変動量をシミュレーションを行うことによって推定する、
磁気共鳴イメージング装置。
前記補正データ取得手段は、前記渦電流に起因する傾斜磁場の制御値からの変動量については、シミュレーションを行うことによって推定する一方、前記傾斜磁場電源の出力波形の非線形性または不完全性に起因する前記傾斜磁場の制御値からの変動量については前記傾斜磁場電源に備えられる電流計において計測された前記傾斜磁場電源からの出力電流波形を用いて求めるように構成される請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
前記補正データ取得手段は、前記渦電流に起因する前記傾斜磁場の制御値からの変動量については、前記渦補正回路から前記傾斜磁場電源に出力される出力パルス波形を用いて求める一方、前記傾斜磁場電源の出力波形の非線形性または不完全性に起因する前記傾斜磁場の制御値からの変動量についてはシミュレーションを行うことによって推定するように構成される請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
前記補正データ取得手段は、前記渦補正回路から前記傾斜磁場電源に出力されるデータ収集位置ごとの出力パルス波形の履歴を用いて傾斜磁場により生じる渦電流の強度を求め、この求めた渦電流の強度を用いて前記渦電流に起因する前記傾斜磁場の制御値からの変動量を求める請求項3記載の磁気共鳴イメージング装置。
前記画像データ生成手段は、前記補正データを用いた前記磁気共鳴データの補正をハードウェアまたはファームウェアを用いて行うように構成される請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
前記画像データ生成手段は、前記補正データを用いた前記磁気共鳴データの補正を受信器におけるA/D変換後にディジタルフィルタを用いて行うように構成される請求項6記載の磁気共鳴イメージング装置。
前記画像データ生成手段は、複数のコイル要素を用いて複数の受信チャネルで前記磁気共鳴データを収集し、受信チャネルごとに補正データを用いて前記磁気共鳴データの補正を行うように構成される請求項6記載の磁気共鳴イメージング装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る磁気共鳴イメージング装置の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0014】
(構成および機能)
図1は本発明に係る磁気共鳴イメージング装置の実施の形態を示す構成図である。
【0015】
磁気共鳴イメージング装置20は、静磁場を形成する筒状の静磁場用磁石21と、この静磁場用磁石21の内部に設けられたシムコイル22、傾斜磁場コイル23およびRFコイル24とを図示しないガントリに内蔵した構成である。
【0016】
また、磁気共鳴イメージング装置20には、制御系25が備えられる。制御系25は、静磁場電源26、傾斜磁場電源27、シムコイル電源28、送信器29、受信器30、シーケンスコントローラ31およびコンピュータ32を具備している。制御系25の傾斜磁場電源27は、X軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27yおよびZ軸傾斜磁場電源27zで構成される。さらに、傾斜磁場電源27には、X軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27yおよびZ軸傾斜磁場電源27zから出力される電流を計測する電流計27aが設けられる。
【0017】
また、コンピュータ32には、入力装置33、表示装置34、演算装置35および記憶装置36が備えられる。
【0018】
静磁場用磁石21は静磁場電源26と接続され、静磁場電源26から供給された電流により撮像領域に静磁場を形成させる機能を有する。尚、静磁場用磁石21は超伝導コイルで構成される場合が多く、励磁の際に静磁場電源26と接続されて電流が供給されるが、一旦励磁された後は非接続状態とされるのが一般的である。また、静磁場用磁石21を永久磁石で構成し、静磁場電源26が設けられない場合もある。
【0019】
また、静磁場用磁石21の内側には、同軸上に筒状のシムコイル22が設けられる。シムコイル22はシムコイル電源28と接続され、シムコイル電源28からシムコイル22に電流が供給されて静磁場が均一化されるように構成される。
【0020】
傾斜磁場コイル23は、X軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23yおよびZ軸傾斜磁場コイル23zで構成され、静磁場用磁石21の内部において筒状に形成される。傾斜磁場コイル23の内側には寝台37が設けられて撮像領域とされ、寝台37には被検体Pがセットされる。RFコイル24はガントリに内蔵されず、寝台37や被検体P近傍に設けられる場合もある。
【0021】
また、傾斜磁場コイル23は、傾斜磁場電源27と接続される。傾斜磁場コイル23のX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23yおよびZ軸傾斜磁場コイル23zはそれぞれ、傾斜磁場電源27のX軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27yおよびZ軸傾斜磁場電源27zと接続される。
【0022】
そして、X軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27yおよびZ軸傾斜磁場電源27zからそれぞれX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23yおよびZ軸傾斜磁場コイル23zに供給された電流により、撮像領域にそれぞれX軸方向の傾斜磁場Gx、Y軸方向の傾斜磁場Gy、Z軸方向の傾斜磁場Gzを形成することができるように構成される。
【0023】
RFコイル24は、送信器29および受信器30と接続される。RFコイル24は、送信器29からRF信号を受けて被検体Pに送信する機能と、被検体P内部の原子核スピンのRF信号による励起に伴って発生したNMR信号を受信して受信器30に与える機能を有する。
【0024】
図2は
図1に示すRFコイル24の詳細構成の一例を示す図であり、
図3は
図2に示す被検体Pの体表側に設けられるコイル要素24cの配置例を示す図、
図4は
図2に示す被検体Pの背面側に設けられるコイル要素24cの配置例を示す図である。
【0025】
図2に示すようにRFコイル24は、筒状の全身用(WB:whole-body)コイル24aとフェーズドアレイコイル24bを備えている。フェーズドアレイコイル24bは、複数のコイル要素24cを備えており、被検体Pの体表側と背面側とにそれぞれ複数のコイル要素24cが配置される。
【0026】
例えば
図3に示すように被検体の体表側には、広範囲の撮影部位がカバーされるようにx方向に4列、z方向に8列の合計32個のコイル要素24cが配置される。また、
図4に示すように被検体の背面側にも同様に広範囲の撮影部位がカバーされるようにx方向に4列、z方向に8列の合計32個のコイル要素24cが配置される。背面側では、被検体Pの背骨の存在を考慮した感度向上の観点から、体軸付近に他のコイル要素24cよりも小さいコイル要素24cが配置される。
【0027】
一方、受信器30は、デュプレクサ30a,アンプ30b、切換合成器30cおよび受信系回路30dを備えている。デュプレクサ30aは、送信器29、WBコイル24aおよびWBコイル24a用のアンプ30bと接続される。アンプ30bは、各コイル要素24cおよびWBコイル24aの数だけ設けられ、それぞれ個別に各コイル要素24cおよびWBコイル24aと接続される。切換合成器30cは、単一または複数個設けられ、切換合成器30cの入力側は、複数のアンプ30bを介して複数のコイル要素24またはWBコイル24aと接続される。受信系回路30dは、各コイル要素24cおよびWBコイル24aの数以下となるように所望の数だけ設けられ、切換合成器30cの出力側に設けられる。
【0028】
WBコイル24aは、RF信号の送信用のコイルとして用いることができる。また、NMR信号の受信用のコイルとして各コイル要素24cを用いることができる。さらに、WBコイル24aを受信用のコイルとして用いることもできる。
【0029】
このため、デュプレクサ30aは、送信器29から出力された送信用のRF信号をWBコイル24aに与える一方、WBコイル24aにおいて受信されたNMR信号を受信器30内のアンプ24dを経由して切換合成器30cに与えるように構成されている。また、各コイル要素24cにおいて受信されたNMR信号もそれぞれ対応するアンプ24dを経由して切換合成器30cに出力されるように構成されている。
【0030】
切換合成器30cは、コイル要素24cやWBコイル24aから受けたNMR信号の合成処理および切換を行って、対応する受信系回路30dに出力するように構成されている。換言すれば、受信系回路30dの数に合わせてコイル要素24cやWBコイル24aから受けたNMR信号の合成処理および切換が切換合成器30cにおいて行われ、所望の複数のコイル要素24cを用いて撮影部位に応じた感度分布を形成して様々な撮影部位からのNMR信号を受信できるように構成されている。
【0031】
ただし、コイル要素24cを設けずに、WBコイル24aのみでNMR信号を受信するようにしてもよい。また、切換合成器30cを設けずに、コイル要素24cやWBコイル24aにおいて受信されたNMR信号を直接受信系回路30dに出力するようにしてもよい。さらに、より多くのコイル要素24cを広範囲に亘って配置することもできる。
【0032】
一方、制御系25のシーケンスコントローラ31は、傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30と接続される。シーケンスコントローラ31は傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30を駆動させるために必要な制御情報、例えば傾斜磁場電源27に印加すべきパルス電流の強度や印加時間、印加タイミング等の動作制御情報を記述したパルスシーケンス情報を記憶する機能と、記憶した所定のパルスシーケンスに従って傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30を駆動させることによりX軸傾斜磁場Gx、Y軸傾斜磁場Gy,Z軸傾斜磁場GzおよびRF信号を発生させる機能を有する。
【0033】
また、シーケンスコントローラ31には、渦補正回路31aが設けられる。渦補正回路31aは、コンピュータ32から取得したパルスシーケンスに従って傾斜磁場電源27にパルス電流を出力した場合に、傾斜磁場により生じる渦電流が低減されるようにパルス電流の出力波形を調整する回路である。そして渦補正回路31aにおいて補正された出力波形を有するパルス電流が実際に傾斜磁場電源27に印加される。つまり、渦補正回路31aは、渦電流が発生しないように傾斜磁場電源27に印加されるパルス電流の渦電流補正を行う回路である。
【0034】
さらに、シーケンスコントローラ31は、受信器30におけるNMR信号の検波およびA/D (analog to digital)変換により得られた複素データである生データ(raw data)を受けてコンピュータ32に与えるように構成される。
【0035】
送信器29には、シーケンスコントローラ31から受けた制御情報に基づいてRF信号をRFコイル24に与える機能が備えられる一方、受信器30には、RFコイル24から受けたNMR信号を検波して所要の信号処理を実行するとともにA/D変換することにより、デジタル化された複素データである生データを生成する機能と生成した生データをシーケンスコントローラ31に与える機能とが備えられる。
【0036】
図5は、
図2に示す受信器30における受信系回路30dの詳細回路図である。
【0037】
図5に示すように受信系回路30dには、周波数変換器30e、A/D変換器(ADC: A/D converter)30f、検波回路30g、ディジタルフィルタ(DF: digital filter)30
h、DF制御系30iが備えられる。そして周波数変換器30eにおいて、切換合成器30cから出力されたNMR信号の周波数がラーモア周波数からディジタル信号に変換可能な周波数に変換され、A/D変換器30fにおいてNMR信号がディジタル信号に変換される。ディジタル信号となったNMR信号は、検波回路30gにおいて実数成分であるI成分および虚数成分であるQ成分を有するベースバンドのNMR信号に変換されてDF30hに出力される。DF30hは、NMR信号に所望のフィルタ係数でディジタルフィルタリングを掛けてシーケンスコントローラ31を通じてコンピュータ32に出力する機能を備えている。
【0038】
DF制御系30iは、回路またはプログラムを読み込ませた演算装置により構成することができる。DF制御系30iは、電流計27aから取得した傾斜磁場電源27の出力電流波形、渦補正回路31aから取得した傾斜磁場電源27に印加されるパルス電流の出力波形および/またはコンピュータ32からシーケンスコントローラ31を通じて与えられた情報に基づいて、サンプリング中のRO用傾斜磁場変動に起因するエコーデータのシフトが補正されるようなDF30hにおけるディジタルフィルタリングのフィルタ係数を補正データとして算出し、算出したフィルタ係数にてDF30hを制御する機能を有する。さらに、コンピュータ32からシーケンスコントローラ31を通じてDF30hにフィルタ係数を制御する制御信号を与えることによってもDF30hを制御できるように構成されている。
【0039】
また、コンピュータ32の記憶装置36に保存されたプログラムを演算装置35で実行することにより、コンピュータ32には各種機能が備えられる。ただし、プログラムによらず、各種機能を有する特定の回路を磁気共鳴イメージング装置20に設けてもよい。
【0040】
図6は、
図1に示すコンピュータ32の機能ブロック図である。
【0041】
コンピュータ32は、プログラムにより撮像条件設定部40、シーケンスコントローラ制御部41、k空間データベース42、画像再構成部43、画像データベース44、画像処理部45、データ補正部46、シミュレーション部47、シミュレーションパラメータ保存部48として機能する。また、撮像条件設定部40はDF制御部40aを有する。
【0042】
撮影条件設定部40は、入力装置33からの指示情報に基づいてEPIシーケンスやPROPELLER (Periodically Rotated Overlapping ParallEL Lines with Enhanced Reconstruction)シーケンス等のパルスシーケンスを含む撮影条件を設定し、設定した撮影条件をシーケンスコントローラ制御部41に与える機能を有する。特に、撮影条件設定部40では、パラレルイメージング(PI: parallel imaging)を行うための撮影条件を設定することができる。
【0043】
PIは、複数のコイル要素24cを用いてエコーデータを受信し、かつ位相エンコードをスキップさせることによって画像再構成に必要な位相エンコード数を減らす撮像法である。原理的には、位相エンコード数を、最大で画像再構成に必要な位相エンコード数のコイル要素24cの数分の1に減らすことができる。複数のエコー信号を連続的に収集するEPI法によるスキャンは、多くの場合、PIによって実行される。PIが行われる場合には、エコーデータの収集に用いるコイル要素24cの数や各コイル要素24cと撮影部位を関連付けた情報を始めとしてPIに必要な情報が撮影条件として設定される。
【0044】
また、撮影条件設定部40のDF制御部40aは、電流計27aから取得した傾斜磁場電源27の出力電流波形、渦補正回路31aから取得した傾斜磁場電源27に印加されるパルス電流の出力波形および/またはシミュレーション部47から取得したシミュレーション結果に基づいて、サンプリング中のRO用傾斜磁場変動に起因するエコーデータのシフトが補正されるようなDF30hにおけるディジタルフィルタリングのフィルタ係数を補正データとして算出する機能と、算出したフィルタ係数をシーケンスコントローラ制御部41およびシーケンスコントローラ31を通じて受信器29のDF30hに与えることによりDF30hを制御する機能とを有する。
【0045】
シーケンスコントローラ制御部41は、入力装置33からのスキャン開始指示情報を受けた場合に、撮影条件設定部40から取得したパルスシーケンスを含む撮影条件をシーケンスコントローラ31に与えることにより駆動制御させる機能を有する。また、シーケンスコントローラ制御部41は、シーケンスコントローラ31から生データを受けてk空間データベース42に形成されたk空間に配置する機能を有する。このため、k空間データベース42には、受信器30において生成された各生データがk空間データとして保存される。
【0046】
画像再構成部43は、k空間データベース42からk空間データを取り込んでフーリエ変換(FT: Fourier transform)を含む画像再構成処理を施すことにより画像データを再構成する機能と、再構成して得られた画像データを画像データベース44に書き込む機能を有する。このため、画像データベース44には、画像再構成部43において再構成された画像データが保存される。
【0047】
画像処理部45は、画像データベース44から画像データを取り込んで必要な画像処理を行って表示用の画像データを生成する機能と、生成した表示用の画像データを表示装置34に表示させる機能を有する。例えば画像処理部45は、PIによりエコー信号が収集された場合に、各コイル要素24cに対応する画像データに対してPIの条件に基づいてPIにおける後処理であるunfolding処理を行うことにより、展開された画像データを生成する機能を有する。unfolding処理には、各コイル要素24cの感度分布が用いられる。このため、各コイル要素24cの感度分布が画像処理部45に保存される。
【0048】
データ補正部46は、電流計27aから取得した傾斜磁場電源27の出力電流波形、渦補正回路31aから取得した傾斜磁場電源27に印加されるパルス電流の出力波形および/またはシミュレーション部47から取得したシミュレーション結果に基づいて、サンプリング中のRO用傾斜磁場変動に起因するエコーデータのシフトを補正するための補正データを作成する機能、k空間データベース42から読み込んだエコーデータに対して補正データに基づくRegrid処理を施すことにより渦電流や傾斜磁場電源27からの出力パルス電流の非線形性や不完全性の影響によるエコーデータのk空間におけるシフトを補正する機能および補正後のエコーデータをk空間データベース42に書き込む機能を有する。
【0049】
シミュレーション部47は、傾斜磁場電源27や磁気共鳴イメージング装置20の特性値をシミュレーションパラメータとして用いたシミュレーションを実行することによって、傾斜磁場電源27からの出力パルス電流の波形や渦電流の強度をシミュレーション結果として算出する機能と、算出したシミュレーション結果とパルスシーケンスにおけるRO用の傾斜磁場の制御値とからRO用の傾斜磁場モーメントの制御値からの変動量を求める機能を有する。
【0050】
シミュレーションパラメータ保存部48には、シミュレーション部47におけるシミュレーションに必要な渦電流の時定数等のシミュレーションパラメータが予め計測されて保存される。
【0051】
(動作および作用)
次に磁気共鳴イメージング装置20の動作および作用について説明する。
【0052】
初めに磁気共鳴イメージング装置20のハードウェア、例えば信号受信系のDF30hによりNMRエコー信号の補正を行う場合について説明する。
【0053】
図7は、
図1に示す磁気共鳴イメージング装置20により、信号受信系における傾斜磁場変動の影響を除去する信号の補正を伴ってEPI法によりイメージングを行う場合の流れを示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。また、
図8は、
図7に示すフローチャートの処理によって得られるデータを示す図である。
【0054】
まず、ステップS1において、撮影条件設定部40によりEPIシーケンスを用いた撮影条件が設定される。
【0055】
図9は、
図6に示す撮影条件設定部40において設定されるSS SE EPI DWIシーケンスの一例を示す図である。
【0056】
図9においてRFは、RF励起パルスを、ECHOは、エコー信号を、Gssは、スライス選択(SS: slice selection)用の傾斜磁場を、Groは、リードアウト用の傾斜磁場を、Gpeは、位相エンコード用の傾斜磁場を、それぞれ示す。
【0057】
図9に示すように、SS SE EPI DWIシーケンスでは、励起パルスに続いてリフォーカスパルスがスライス選択用傾斜磁場パルスとともに印加される。また、励起パルスとリフォーカスパルスとの間には、傾斜磁場のモーメントの調整を行うためのTUNEと呼ばれる傾斜磁場パルスがRO方向およびPE方向にそれぞれ印加される。さらに、リフォーカスパルスの印加後には、SS方向にMPGパルスが印加される。
【0058】
次に、BLIPパルスと呼ばれるPE方向の傾斜磁場パルスが繰り返し印加され、BLIPパルスの強度に応じた位相エンコード量が順次加算される。一方で、極性が交互に反転するRO用傾斜磁場が繰り返し印加される。これにより、1枚分の画像データの生成に必要なエコー信号がデータ収集部分において連続的に発生し、発生したエコー信号が収集される。すなわち1回の核磁気の励起により1枚分の画像データを生成するためのエコー信号を収集することができる。
【0059】
次に、ステップS2において、EPIシーケンスによるハードウェアの制御が行われる。
【0060】
そのために予め寝台37に被検体Pがセットされ、静磁場電源26により励磁された静磁場用磁石21(超伝導磁石)の撮像領域に静磁場が形成される。また、シムコイル電源28からシムコイル22に電流が供給されて撮像領域に形成された静磁場が均一化される。
【0061】
そして、入力装置33からシーケンスコントローラ制御部41にスキャン開始指示が与えられると、シーケンスコントローラ制御部41は撮影条件設定部40から取得したEPIシーケンスを含む撮影条件をシーケンスコントローラ31に与える。シーケンスコントローラ31は、シーケンスコントローラ制御部41から受けたEPIシーケンスに従って傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30を駆動させることにより被検体Pがセットされた撮像領域に傾斜磁場を形成させるとともに、RFコイル24からRF信号を発生させる。
【0062】
このとき、渦補正回路31aは、傾斜磁場の印加によって渦電流が低減されるように傾斜磁場電源27に印加されるパルス電流波形の渦電流補正を行う。さらに、傾斜磁場電源27の非線形性や不完全性によっても傾斜磁場電源27の出力パルス電流波形が制御上の波形から変化する場合がある。さらに、実際に撮像領域に形成されるRO用傾斜磁場の波形は、渦電流の発生により誘起される空間的に非線形な磁場や装置ごとの特性等の影響によって更に変形することとなる。このため、実際に撮影領域に形成される傾斜磁場の波形は、EPIシーケンスにおいて設定されているRO用傾斜磁場の波形が変形した波形となる。
【0063】
図10は、
図9に示すSS SE EPI DWIシーケンスのRO用傾斜磁場の渦補正前における制御波形および変形したRO用傾斜磁場の波形を示す図である。
【0064】
図10においてECHOはエコー信号を、Groは渦補正前におけるRO用傾斜磁場の制御波形を、Gro’は渦補正、傾斜磁場電源27の出力パルスの非線形性、渦電流により誘起される磁場等の影響により変形したRO用傾斜磁場の波形を示す。
【0065】
図10に示すように渦補正前におけるRO用傾斜磁場の制御波形Groは、直線的に立ち上がった後、一定の値となり直線的に立ち下がる波形である。そして、k空間の1列分のデータに相当するサンプリング位置が等間隔で設定される。尚、
図10に示すサンプリング位置は、傾斜磁場の立ち上がり中からエコー信号のサンプリングを行うRamp Samplingの場合の例を示している。
【0066】
しかし、実際に撮影領域に形成される傾斜磁場の波形Gro’は渦補正、傾斜磁場電源27の出力パルスの非線形性、渦電流により誘起される磁場等の影響により
図10に示すように変形する。従って、変形した波形Gro’の傾斜磁場が撮影部位に生成された状態で被検体Pの内部における核磁気共鳴によりNMR信号が発生する。
【0067】
次に、ステップS3において、EPIシーケンスに従ってNMR信号列が連続的に順次RFコイル24により受信されて受信器30に与えられる。受信器30は、RFコイル24からNMR信号を受けて、周波数変換器30eによる周波数変換、A/D変換器30fによるA/D変換、検波回路30gによる検波を行うことにより、デジタルデータのNMR信号列である生データを生成する。すなわち、
図8(a)に示すような1つのエコーデータが生成される。
【0068】
しかしながら、エコーデータは、
図10に示すような変形した波形Gro’のRO用傾斜磁場を印加してRamp Samplingによりサンプリングされているためサンプリング位置ごとに傾斜磁場モーメント(面積)が異なることとなる。このため、エコーデータのサンプリングポイントが不等間隔となっている。そこで、エコーデータが等間隔となるように補正する必要がある。この補正に用いる補正データを求めるためには、RO用傾斜磁場モーメントの制御値からの変動量を求める必要がある。
【0069】
RO用傾斜磁場モーメントの制御値からの変動量は、傾斜磁場制御系から取得した傾斜磁場の測定値またはソフトウェアによるシミュレーション結果に基づいて求めることができる。
【0070】
シミュレーションによってRO用傾斜磁場モーメントの制御値からの変動量を求める場合には、ステップS4において、撮像条件設定部40において設定されたEPIシーケンスを含む撮影条件に基づいてコンピュータ32のシミュレーション部47によりRO用傾斜磁場モーメントの制御値からの変動量を求めるための装置や傾斜磁場制御系を模擬したシミュレーションが行われ、シミュレーション結果に基づいてRO用傾斜磁場モーメントの変動量が算出される。シミュレーション部47におけるシミュレーションに必要な渦電流の減衰の時定数、スケーリング係数および近似式の係数等のパラメータは、シミュレーションパラメータ保存部48から取得することができる。
【0071】
例えば、傾斜磁場電源27ごとの特性値をシミュレーションパラメータとして用いたシミュレーションによって、傾斜磁場電源27からの渦補正処理後の非線形性を有する出力パルス電流の波形を算出することができる。そして、算出された傾斜磁場電源27からの出力パルス電流の波形に基づいてRO用傾斜磁場モーメントの制御値からの変動量を求めることができる。具体的には、EPIシーケンスにおけるRO用傾斜磁場の制御値とシミュレーションとして算出された出力パルス電流に対応するRO用傾斜磁場の波形との差分を計算すればよい。これにより傾斜磁場電源27からの出力パルス電流の非線形性によって変動するRO用傾斜磁場に起因するエコーデータの誤差を補正することが可能となる。
【0072】
さらに、磁気共鳴イメージング装置20の特性値をシミュレーションパラメータとして用いたシミュレーションによって、渦電流の強度を算出することができる。そして、算出された渦電流の強度に基づいてRO用傾斜磁場モーメントの変動量を求めることもできる。具体的には、EPIシーケンスにおけるRO用傾斜磁場の制御値とシミュレーションとして算出された渦電流によって誘起される傾斜磁場との差分を計算すればよい。この場合、渦電流によるRO用傾斜磁場の変動に起因するエコーデータの誤差を補正することが可能となる。
【0073】
また、算出された傾斜磁場電源27からの出力パルス電流の波形および渦電流の強度の双方を用いてRO用傾斜磁場モーメントの変動量を求めることもできる。この場合には、傾斜磁場電源27からの出力パルス電流の非線形性および渦電流の双方に起因するRO用傾斜磁場の変動によるエコーデータの誤差を補正することが可能となる。
【0074】
一方、傾斜磁場制御系から取得した傾斜磁場の測定値に基づいてRO用傾斜磁場モーメントの制御値からの変動量を求める場合には、ステップS5において、RO用傾斜磁場の変動量が計測される。
【0075】
例えば、傾斜磁場電源27の電流計27aにおいて計測された出力パルス電流の波形に基づいて実際に撮像領域に印加される傾斜磁場パルスの波形を推定することができる。そしてEPIシーケンスにおけるRO用傾斜磁場の制御値と電流計27aの測定値に基づく傾斜磁場パルスの波形の推定値との差分を求めることにより、RO用傾斜磁場モーメントの制御値からの変動量を求めることができる。これにより傾斜磁場電源27からの出力パルス電流の非線形性によって変動するRO用傾斜磁場に起因するエコーデータの誤差を補正することが可能となる。
【0076】
さらに、渦補正回路31aからデータ収集位置ごとの出力パルス波形の履歴に基づいて渦電流の強度を計算することもできる。すなわち、渦補正回路31aでは、EPIシーケンスにおけるRO用傾斜磁場の制御値に対して傾斜磁場の制御に応じた渦電流が低減されるように補正が行われるため、渦電流補正の補正量から渦電流の強度を計算することができる。この渦電流の強度の計算に必要な時定数等のパラメータは予め計測することによる取得することができる。そして、EPIシーケンスにおけるRO用傾斜磁場の制御値と渦補正回路31aからの出力パルス波形に基づいて算出された渦電流によって誘起される傾斜磁場との差分を求めることにより、RO用傾斜磁場モーメントの制御値からの変動量を求めることができる。この場合、渦電流によるRO用傾斜磁場の変動に起因するエコーデータの誤差を補正することが可能となる。
【0077】
また、シミュレーションの場合と同様に、傾斜磁場電源27からの出力パルス電流の波形および渦電流の強度の双方を用いてRO用傾斜磁場モーメントの変動量を求めることもできる。
【0078】
このような傾斜磁場制御系から取得した測定値に基づくRO用傾斜磁場モーメントの変動量の計算は、受信器30のDF制御系30iまたはコンピュータ32のDF制御部40aにて行うことができる。また、シミュレーションによってRO用傾斜磁場モーメントの変動量が計算された場合には、シミュレーション部47からRO用傾斜磁場モーメントの変動量がコンピュータ32のDF制御部40aまたはシーケンスコントローラ31を介して受信器30のDF制御系30iに与えられる。
【0079】
次に、ステップS6において、受信器30のDF制御系30iまたはコンピュータ32のDF制御部40aにおいてRO用傾斜磁場モーメントの変動量に応じたエコーデータの補正データが作成される。すなわち、RO用傾斜磁場モーメントの変動量に起因する各エコーデータのそれぞれのシフト量が求められ、求めたエコーデータ別のシフト量が補正データとされる。この結果、エコーデータ別の補正データ間の比率は、サンプリング位置間における傾斜磁場モーメント間の比率となる。
【0080】
次に、ステップS7において、受信器30のDF制御系30iまたはコンピュータ32のDF制御部40aにおいて作成された補正データによってエコーデータが補正されるようにDF30hのフィルタ係数が算出され、算出されたフィルタ係数がDF30hに与えられることによってDF30hが制御される。
【0081】
これにより、RO用傾斜磁場モーメントの変動に起因してシフトした検波後のエコーデータ列はDF30hにおいてエコーデータ列ごとに順次補正される。この結果、
図8(b)に示すようなシフト補正後のエコーデータ列がDF30hにおいて順次得られる。
【0082】
図11は、
図10に示す変形した波形Gro’のRO用傾斜磁場を印加してRamp Samplingによりサンプリングしたエコーデータ列に対する補正方法を説明する図である。
【0083】
図11(a), (b)において横軸はRO方向を示す。
図11(a)に示すように、検波後のエコーデータ列はRO用傾斜磁場モーメントの変動の影響を受けており、かつRamp SamplingによりRO傾斜磁場の立ち上がりおよび立ち下がり中においてもエコーデータのサンプリングを行っているため、不等間隔となっている。通常、Ramp Samplingによりエコーデータが収集された場合には、RO傾斜磁場の立ち上がり部分および立ち下がり部分の制御波形に応じた傾斜磁場モーメントの線形の変化量に基づいて、エコーデータが格子点上となるように位相ソフト補正がDF30hにおけるフィルタリングによって行われる。
【0084】
しかしながら、Ramp Samplingによるエコーデータの位相シフトが補正されたとしても渦電流や傾斜磁場電源27からの出力パルス電流の非線形性や不完全性の影響によってエコーデータがシフトしているため、依然としてエコーデータ列が不等間隔となる。このような不等間隔のエコーデータ列をそのまま用いて画像データを再構成すると、画像データの画質が劣化する。
【0085】
そこで、DF30hにおいて、Ramp Samplingによるエコーデータの位相シフト成分に加えて、渦電流や傾斜磁場電源27からの出力パルス電流の非線形性の影響によるエコーデータの非対称の位相シフト成分がキャンセルされるようにエコーデータの位相シフト補正が行われる。これにより、傾斜磁場モーメントの制御値からの変動量に対応するシフト分だけRO方向にエコーデータが平行移動し、
図11(b)に示すような格子点上の等間隔のエコーデータ列が得られる。
【0086】
尚、Ramp Samplingによるエコーデータの位相シフト成分に対する位相シフト補正とは別に渦電流や傾斜磁場電源27からの出力パルス電流の非線形性の影響によるエコーデータの位相シフト成分に対する位相シフト補正をDF30hにおいて行ってもよい。また、Ramp Samplingを行わない場合には、Ramp Samplingによるエコーデータの位相シフト成分に対する位相シフト補正を行う必要はない。
【0087】
また、PIを行う場合には、複数の受信チャネルにてそれぞれエコーデータ列が収集されるため、受信チャネルごとにこのようなエコーデータ列の位相シフト補正が順次行われる。
【0088】
次に、ステップS8において、DF30hにおいて順次得られたシフト補正後のエコーデータ列は、受信器30からシーケンスコントローラ31およびシーケンスコントローラ制御部41を経由して
図8(c)に示すようにk空間データベース42に形成されたk空間に順次配置される。
【0089】
そして、全てのエコーデータ列がk空間に配置されると、ステップS9において、k空間データから
図8(d)に示すような画像データが生成され、生成された画像データが表示される。すなわち、画像再構成部43は、k空間データベース42からk空間データを取り込んで画像再構成処理を施すことにより画像データを再構成し、得られた画像データを画像データベース44に書き込む。また、画像処理部45は、画像データベース44から画像データを取り込んでPIのunfolding処理等の必要な画像処理を行って表示用の画像データを生成し、生成した表示用の画像データを表示装置34に表示させる。これにより診断用の画像を得ることができる。
【0090】
尚、上述した例では、信号受信系のDF30hにおいてエコーデータ列の補正を行う場合について説明したが、磁気共鳴イメージング装置20のDF30h以外のハードウェアやファームウェアの制御によってエコーデータ列の補正を行ってもよい。
【0091】
次に、磁気共鳴イメージング装置20のコンピュータ32における画像再構成処理の前処理としてソフトウェアによりエコーデータの補正を行う場合について説明する。
【0092】
図12は、
図1に示す磁気共鳴イメージング装置20により、コンピュータ32内での傾斜磁場変動の影響を除去する信号の補正を伴ってEPI法によりイメージングを行う場合の流れを示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。尚、
図7と同様のステップには同符号を付して説明を省略する。また、
図13は、
図12に示すフローチャートの処理によって得られるデータを示す図である。
【0093】
コンピュータ32においてエコーデータの補正を行う場合には、ステップS6において、受信器30のDF制御系30iまたはコンピュータ32のDF制御部40aにおいてエコーデータの補正データを求める方法と同様な方法でデータ補正部46によりエコーデータの補正データが求められる。
【0094】
また、ステップS10において、
図13(a)に示すようなシフト補正前におけるエコーデータ列が
図13(b)に示すように順次k空間に配置される。このため、シフト補正前におけるエコーデータがk空間データベース42に配置される。
【0095】
次に、ステップS11において、データ補正部46は、k空間データベース42に配置されたエコーデータに対して、補正データに基づくRegrid処理を施すことにより、渦電流や傾斜磁場電源27からの出力パルス電流の非線形性の影響によるエコーデータのk空間におけるシフトを補正する。
【0096】
Regrid処理は、エコーデータごとに行われる公知の処理であり、エコーデータ列のシフトに対しては、cubic spline関数等のn次スプライン関数を用いた内挿による補間処理によって移動補正する一方、エコーデータのシフトについては、それぞれ位相シフト処理によってエコーデータを平行移動させる処理である。
【0097】
尚、DF30hにおいてエコーデータ列の補正を行う場合と同様に、Ramp Samplingによるエコーデータのシフト成分が存在する場合には、Ramp Samplingによるエコーデータのシフト成分に対する補正と同時または別に、渦電流や傾斜磁場電源27からの出力パルス電流の非線形性の影響によるエコーデータのシフト成分に対する補正を行うことができる。
【0098】
このようなエコーデータの補正処理によって
図13(c)に示すような補正後のエコーデータが得られる。そして、ステップS9において、補正後のk空間データから
図13(d)に示すような画像データが生成され、生成された画像データが表示される。
【0099】
つまり以上のような磁気共鳴イメージング装置20は、サンプリング中におけるRO用の傾斜磁場モーメントの変動に起因して生じるエコーデータのシフトをRO用の傾斜磁場の制御波形からの変動量に基づいて求めた補正データを用いて補正するように構成したものである。
【0100】
(効果)
このため、磁気共鳴イメージング装置20によれば、サンプリングデータの読出し時に、渦電流補正や傾斜磁場電源の出力波形の非線形性等の傾斜磁場変動要因に起因して生データに位相シフトやポイントシフトが生じても補正することができる。このため、従来、サンプリングデータの読出し時における渦電流補正や傾斜磁場電源の出力波形の非線形性等の傾斜磁場強度を変動させる要因によって発生していたボケ、ピクセルずれ、ゴースト等のアーチファクトを低減させて、画質を向上させることができる。
【0101】
また、DWIを行う場合にもDWIデータの画質が向上するため、DWIデータの後処理によって生成されるIsotropic 画像や拡散係数(ADC: apparent diffusion coefficient)画像の画質も向上させることができる。
【0102】
さらに、DF30h等のハードウェアやファームウェアを用いて前処理としてNMR信号の補正を行うようにすれば、画像データの生成処理に要する時間を延長させることなくNMR信号の補正を行うことができる。一方、コンピュータ32におけるシミュレーションにより得られたシミュレーション情報に基づいてコンピュータ32内においてNMR信号の補正を行うようにすれば、従来のMRI装置のハードウェアを変更することなく、渦電流補正や傾斜磁場電源の出力波形の非線形性等の影響による傾斜磁場モーメントのずれにより生じるNMR信号の位相シフトを補正することが可能となる。