(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666789
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】隔壁接触リード誘導用プリフォーム探り針
(51)【国際特許分類】
A61N 1/05 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
A61N1/05
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2009-147086(P2009-147086)
(22)【出願日】2009年6月19日
(65)【公開番号】特開2010-12248(P2010-12248A)
(43)【公開日】2010年1月21日
【審査請求日】2012年3月6日
(31)【優先権主張番号】0803446
(32)【優先日】2008年6月20日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508000548
【氏名又は名称】エラ メディカル エス ア エス
【氏名又は名称原語表記】ELA MEDICAL S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−フランソワ オリヴィエ
【審査官】
熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−061181(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0208220(US,A1)
【文献】
実開昭61−024013(JP,U)
【文献】
特表平06−508538(JP,A)
【文献】
特開平09−173464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00− 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心房または心室隔壁に接触する隔膜リードを導入するために、
− 前記隔膜リードの中央管腔を通過させるのに適した近接端と先端を有する柔軟な金属線と、
− 金属線の近接端に固定され、軸の周りで回転できる、制御ハンドルを包含し、
前記金属線は、柔軟に曲げの変形が可能であり、そして応力のかかっていない状態で、先端において、順次、第1の曲線部分(C1)と30から70ミリメートルの間の長さ(L1)を有する第1の直線部分(D1)と第2の曲線部分(C2)を有しており、
− ここで、その金属線はハンドルの回転によって長さに沿って回転運動の伝達を許容する捩れ剛性を有しており、
− 40から60ミリメートルの間の曲率半径(R1)を有する第1曲線部分(C1)と10から15ミリメートルの間の曲率半径(R2)を有する第2曲線部分(C2)は、第1直線部分(D1)を含み10°から30°の間にある二面角(Δ)を定義する平面(P1、P2)の間で角度(φ3)を作るそれぞれの平面内で伸展しており、
− ここで、第1曲線部分(C1)が70°から110°の間の開き角(φ1)を与え、かつ、第2曲線部分(C2)が20°から40°の間の開き角(φ2)を与え、さらに
− 第1曲線部分と第1直線部分と第2曲線部分の全長が82と195mmの間にあり、かつ、前記先端部分が、前記探り針を具備したリードが導入される静脈組織の解剖学的湾曲に対応する形状を包含する誘導探り針。
【請求項2】
探り針が右撓側皮静脈(22)を通して静脈組織に導入されるように指定されているので、第1曲線部分(C1)と第2曲線部分(C2)が他者との関係に於いて、第1直線部分(D1)は直線部分(D1)を含む半平面の反対側でお互いに離れる方向で伸展するように構成される請求項1に記載の探り針。
【請求項3】
制御ハンドル(18)が、さらに前記探り針が右撓側皮静脈(22)を通して静脈組織の内側に導入されるように指定されている事を示す目印(32)を含む請求項2に記載の探り針。
【請求項4】
前記探り針が左撓側皮静脈(30)を介して静脈組織に導入されるように指定されているので、第1曲線部分(C1)と第2曲線部分(C2)が他者との関係に於いて、第1直線部分(D1)が第1直線部分(D1)を含む同じ側の半平面上に相互配列的に伸展するように構成される請求項1に記載の探り針。
【請求項5】
制御ハンドル(18)が、さらに前記探り針が左撓側皮静脈(30)を通して静脈組織の内側に導入されるように指定されている事を示す目印(32)を含む請求項4に記載の探り針。
【請求項6】
金属線が、さらに第2曲線部分(C2)の先にある15ミリメートル以下の長さ(L2)を有する第2直線部分(D2)を含む請求項1に記載の探り針。
【請求項7】
請求項1の構造によるプリフォームされた誘導探り針を含み、心房または心室隔壁に接触するまでプローブ先端を方向付けし、かつ誘導するための静脈組織への導入のためのキット。
【請求項8】
− 応力のかかっていない状態で本質的に真っ直ぐなプリフォームされていない金属線を含む誘導探り針と、
− 第1曲線部分(C1)と30から70ミリメートルの間の長さを有する第1直線部分(D1)と10から15ミリメートルの間の曲率半径(R2)を有する第2曲線部分(C2)を順次有するように、前記金属線を成型する鋳型と、を包含し、
− ここで、金属線はハンドルの回転による回転運動の全長にわたる伝達を可能にする捩れ剛性を有しており、
− 40から60ミリメートルの間の曲率半径(R1)を有する第1曲線部分(C1)と第2曲線部分(C2)は、第1直線部分(D1)を含み10°から30°の間にある二面角(Δ)を定義する平面(P1、P2)の間で各(φ3)を作るそれぞれの平面内で伸展しており、
− ここで、第1曲線部分(C1)が70°から110°の間の開き角(φ1)を与え、かつ、第2曲線部分(C2)が20°から40°の間の開き角(φ2)を与え、さらに
− 第1曲線部分と第1直線部分と第2曲線部分の全長は82と195ミリメートルの間にあり、かつ、
− 前記先端がある形状を含んでいるとともに、前記探り針を具備したリードが導入される静脈組織の解剖学的湾曲に対応していて、心房または心室隔壁に接触するまでリード先端を方向付けし、かつ誘導するための静脈組織への導入のためのキット。
【請求項9】
前記鋳型がさらに探り針の梱包に基づいて形成されたレリーフを包含する、前記キットが前記探り針を収納する前記梱包を包含する請求項8に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は体内リードを導入する際に使用する探り針に係わるものであり、“能動埋め込み医用装置”と関連する検出/刺激用リード、そのような装置は1990年6月20日のヨーロッパ共同体評議会指示90/385/CEEによって定義されているが、さらに特定すると、心臓刺激、再同期、電気的除細動や除細動のためのインプラントに関連するリードを含むものである。本発明は特に“心臓隔膜”として定義される心室内壁または心房内壁に対して配置されるように意図される“隔膜リード”として知られている特殊な心臓内リードの埋め込みに係わるものである。
【背景技術】
【0002】
体内リードは、特に多点ペーシングまたは再同期装置と共に、左心房や心室を刺激するために使用され、これはリードの構成や位置に依存する。これらのリードは普通は、ねじ錨、一般的には引き込み可能ねじを装備しており、これは隔膜の壁にリード先端の固定を許容するものであり、その結果リードの先端部分の電極は壁に対して垂直にしっかりとした方法で付けられる。この設定を想定すると、隔膜リードの配置は特に細心の注意を必要とする操作となり、これは右心室の頂点に届くまで単純に押し込まれる右胸空ペーシングリードの配置とは異なるものである。これらの隔膜リードは他の心内リードと同様に、右撓側皮静脈と上大静脈を介して(“右接近”)か、または左撓側皮静脈と上大静脈を介して(“左接近”)静脈網から導入される。従来の右空洞ペーシングリードの場合には、そのリードは単に心室の頂点まで押し込まれるだけである。しかしながら、隔膜リードの場合には、一度その先端が空洞内に到達すると、リードの先端は隔膜壁に対して垂直に向けられ、そして電極を含むリード先端を隔膜にねじ込むことによってしっかり留めることが出来るように、選択されたペーシング場所で壁に圧着される必要がある。
【0003】
選択されたペーシング場所に埋め込みを行うときに先端を容易に導き、かつそれに対してしっかりと垂直方向になるようにするために、リードは比較的硬いことが必要である。これを行うために、外科医は最初にリード本体の空洞、柔軟性のある鞘に柔軟な線材の形で探り針を導入する。この探り針は近接端から与えられて、リードから出てくるので、制御ハンドルで外科医は鞘の内部で探り針の回転や並進運動を送ることができる。その時、リード線は、探り針によって精度を確保されて、静脈網に導入されることが可能である。それから、その先端は探り針の近接端でのハンドルの回転によって方向付けをすることが出来る。この方法で、外科医はリードの先端を回転させ(これは湾曲を示す)、そして隔膜埋め込み場所にそれを向ける。一度、その場所に達すると、それから外科医は隔壁の組織を貫くねじ錨を回転させることによってリードの先端を錨留めする。
【0004】
右空洞ペーシングリードに対比して、その位置決めは比較的容易であるが(心室頂部において)、隔壁に錨留めされるリードの先端の場合には、静脈接近路と心臓形態の多様性は隔膜への接近及び隔壁に対してのリード先端の位置決めの両方とも困難であることを示すものである。
【0005】
これらの性質に対応して、一度空洞に挿入されると、隔壁に対して接近を容易にし、格納できる湾曲部をリードの対応端に与えるように、その先端の塑性変形を与えることによって、外科医は探針の先端構造を特徴づけようと試みるものである。
【0006】
欧州特許出願公開第1920795号A1明細書(対応する米国特許出願公開第20090105724号明細書)は、いろいろなレベルで面した一連の曲がりを持った弓形を有している、特別な3次元構造を用いて予め作られたプラスチック糸で出来ている先端を有する探り針について記述している。一度、探り針がリード内に挿入され、そして探り針/リードの組み合わせが導入されて心室内に配置されると、この特別な構造は希望する方向に無理なく向けるような形をリードに与えることが可能になる。リード先端の位置決めの微調整は探り針の近接端にある制御ハンドルを多く押したり、少なく押したりすることによって達成できる。連続したいろいろな曲がりを持った弓形によって、トルクを与えたり、送ったりする必要なしでリード内部の探り針の軸方向運動はリードの回転に自動的に変換される。実際、この装置では近接部分は恒久的に変形可能な物質で出来ており(探り針の形に“記憶”を与えるように)、これは相対的な可塑性のためにトルクを送るようには設計されていない。探り針の軸方向移動によってリード先端の方向の微調整を可能にするために、このシステムにおいて、全ての湾曲構造の探り針(それ故に、リード)が右心室、言わば、心臓内部に配置して使用されることは注目に値するものである。
【0007】
欧州特許出願公開第0778044号A2明細書(そして、対応する米国特許第5,807,339号明細書)は、Over−The−Wire(OTW)と呼ばれ特別な技術に適用される“ガイド金属線”または金属線ガイド型の付属品を記述している。そこでは、ガイド金属線は全長に亘って探り針覆いを通って走っており、誘導したり、先端部に現れたりする。非外傷端に到達する際に、さらに静脈に安全に直接的に前進を可能にするために、金属線ガイドはボールまたは螺旋で先端部が終端される。探り針の鞘の内部でガイド金属線を多かれ少なかれ折り返す場合、心腔内または冠状動脈網(しかし、心臓内に位置する部分ではいつでも)の中へとずっと容易に方向付けをするために、それを強化して、特別な、変更可能な湾曲を与えることが可能である。そのようなガイド金属線の典型的な応用は冠状動脈洞へのリードの配置であって、最終位置が得られるまで、ガイドの上をリードをゆっくりと滑らせることによって、冠状動脈洞の中心を貫通し、そして冠状静脈システムのなかに到達させるように、両方で構成される技術によるものである。
【0008】
更に複雑な装置もまた提案されており、これはお互いに適合する2つの探り針を有しており、先端の曲がった部分の開き角を変更できるものである。この問題解決法は比較的高価で複雑であり、曲がった先端の開き角は変更できるが曲率半径それ自身は変更できないので、時として意図した機能に適合しない場合がある。
【0009】
加えるに、この装置が使用されるときは何であっても、リードの空洞軸内の探り針の回転中に医者に良く知られている現象は探り針の近接端でハンドルにゆっくりした回転を与えると、その回転は反対側の先端に伝えられ、第一に、探り針の先端は非常にゆっくりした回転であり、第二に、探針のハンドルのゆっくりとした回転が続くと或る閾値を過ぎた後で、探り針の先端の回転に突然ジャンプが生じる。この機械的緩和現象はリード覆い内の探り針の機械的トルクの進行的蓄積から生じるものであり、つぎに先端においてジャンプが生じてこれらの制約の突然の解放が行われる。このジャンプは探り針の回転中に“クリック音”または“ガタガタ音”の形で医者によって感じ取られる。これは探り針の先端の動きを精密に制御し、その結果、必要とする前進と精度を持って隔壁にリードを精確に向けることが不可能であることに帰着する。
【0010】
ガタガタ音現象の原点はリードの空洞軸管への探り針の機械的トルク平衡の位置であり、リードは挿入された静脈網の形状をとるものである。リードの挿入の場合に於いて、探り針によって固定化されるので、時として探り針本体の恒久的変形に至る場合があり、小さいのだけれども、この恒久的変形は静脈形態(これは自身、右か左か通路に依存するものである)によって与えられる通路に組織的に蓄積する傾向にある。その理由は捩れにおけるエネルギー最小の基本力学的原理によるものである。
【0011】
それ故に、本発明の目的は静脈接近の調査に基礎を置いた隔膜リードの自己位置決めを与える新しい技術を提供することにあり、そして、その結果、外科医によって選択され、指定された刺激場所に向けて隔壁に対してリード先端を容易に配置するために、制御ハンドルによって作り出されるトルクの隔膜リードの先端への有効な伝達を与えるものである。
【0012】
しかしながら、本発明は探り針の配置の関連でここに記述されるが、それは他の身体内装置の配置にも同様に適用でき、これは、例えば、左空洞への接近を達成するための中隔カテーテルの配置を含むものであるということが理解されるべきである。
【0013】
広く、本発明は、例えば、前記欧州特許出願公開第1920795号A1明細書で開示されているように、一般に知られている型の改善されたガイド探り針に向けられており、リードの中央管内において先端によって導入される柔軟な金属線と近接端での金属線に装着された制御ハンドルを含むものである。この金属線は曲げに於いて弾性的に変形可能であり、その捩れは近接端での制御ハンドルの回転による運動の金属線の全体の長さに亘って伝達を可能にする十分な剛性を有している。圧力の加えられない状態では、その金属線は先端で、順次に第1の曲線の部分、第1の直線部分、及び第2の曲線の部分を含んでいる。
【0014】
本発明によれば、第1曲線部分と第2曲線部分はそれぞれの平面内で伸展していて、それらの間でねじれ角を定義しており、その軸は直線部分を含んでいる。第1曲線部分と、第1直線部分と、第2曲線部分の全長は望ましくは82と195ミリメートルの間であり、この寸法は探り針を備えたリードが導入される静脈網の解剖学的曲率と適合するように選択されている。
【0015】
換言すれば、都合の良いことに、機械的トルク制限の蓄積と捩れにおけるエネルギー最小の力学原理に起因する突然の開放、即ちガタガタ動作、の現象に対抗して争う代わりに、本発明では隔膜の方向でのリード先端の位置決めを確実にするためにこの単純で予測可能な力学的現象を利用することを提案するものである。
【0016】
実際、探り針に与えられる特別な構造は、本発明によれば、上大静脈と撓側皮静脈(右または左)を含む静脈組織の曲がりに力学的に適合させるのを可能にしている。この曲がりは、これは解剖学的曲がりに普通に含まれるものであるが、自動的に探り針の先端、それ故に、リード先端部分を好きな方向に操作することができる。この角度は探り針のハンドルを回転させることによって微細に調整することができる。これは探り針の機械的ジャンプ(ガタガタ動作)が生じる前に、±20°から±40°位の柔軟性を持った範囲で、平衡トルク位置の付近でゆっくり行われる。
【0017】
先行技術で提案されている複合二重探り針システムとは異なり、実施が簡単で経済的なので、本発明で提案される解決法は特に有利である。
【0018】
さらに、外科医によって微細な調整(先端部分のプラスチック変形)を必要とするだけなので、本発明の探り針は工場で直接的にプリフォームしておくことが出来る。言葉を換えると、全体構造は製造業者によって製造され、それから外科医によって埋め込みの時に精密調整が為される。その最終調整は主に先端の調整を含むものであって、一方において他の曲線(半径、角度、回転軸に関する位置、曲線の角描画、など)は製造中に調整される。
【0019】
他の実施態様に於いては、探り針のプリフォームはされないが、外科手術に利用できる簡単な配座道具が外科医に利用できるようにされる。例えば、探り針が梱包される“気泡”梱包で、造りこまれる種々の半径を持つ熱成型鋳型であり、これは又適切な角度基準を有している。
【0020】
一般に、必要に応じて、第1曲線部分と第2曲線部分はお互いの関係の下で設定され、そして、第1直線部分は、お互いに離れて伸展するように、右撓側皮静脈を介して静脈組織に導入されるように設計された探り針に関しては、第1直線部分を含む半平面の反対側に、または、相互配列に於いて、左撓側皮静脈を介して静脈組織に導入されるように設計された探針に関しては、第1直線部分を含む半平面と同じ側になる。それから、好ましくは制御ハンドルは目印を含んでいる。即ち、探り針が右撓側皮静脈を介して静脈組織に導入される探り針であるか、または左撓側皮静脈であるかを示すRまたはLまたは色符号などである。
【0021】
いろいろな好ましい実施態様によれば、
− ねじれ角は好ましくは45°未満であり、10°と30°の間から選択されれば有利である。
− 第1曲線部分は200ミリメートルより少ないか、または等しい曲率半径を有する。さらに好ましくは、40と60ミリメートルの間であり、
− 第1曲線部分は少なくとも10°の直線開き角、さらに好ましくは70°と110°の間を有しており、
− 第1直線部分は少なくとも10ミリメートルの長さを有しており、さらに好ましくは30と70ミリメートルの間であり、
− 第2曲線部分は10と15ミリメートルの間から選ばれた曲率半径を有しており、
− 第2曲線部分は20°と40°の間から選択された曲線開き角を示し、さらに、
− この金属線は、また付加的に第2曲線部分の後で、15ミリメートルより少ないか、または等しい長さの直線部分を、先端の部分で示すものである。
【0022】
本発明の更なる付加的な側面は静脈組織に感知金属線の導入を誘導する探り針を含むキットとシステムに向けられており、それ故に、その方向付けと誘導によって感知器の先端を心房と心室隔膜の壁に接触させることができる。
【0023】
そのようなキットまたはシステムは好ましくは前述した構成に従って、既にプリフォームされた金属線を含むことがある。別の場合には、それはプリフォームされた金属線、即ち、ストレスの掛かっていない状態では本質的に真っ直ぐな金属線と、前述したように或る型に従ってプリフォームされた金属線を成型する鋳型を含まない場合がある。前記鋳型は多分に探り針梱包で成型された代替品である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の更なる性質、有利な点と特徴は、本発明の好ましい実施態様の以下の詳しい説明に従って述べられ、これは付属の図面を参照してなされ、そこでは、同じ参照番号は一つの図面から他の図面にわたって同等か、または機能的に同じである項目を示している。
【
図1】心内隔膜に対して配置されたリードの埋め込みの通路と方法を図示したものである。
【
図2】右接近の方法での埋め込みに関連して、本発明による探り針を示している。
【
図3】左接近の方法での埋め込みに関連して、本発明による探り針を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1から3に関連して、参照番号10は一般に心内リードの中央空洞軸の管腔に通された探り針を示しており、その結果、リードは、構造が非常に柔軟であり、内部に導入された探り針によって与えられた形を再現している。
【0026】
その先端部分12と先端14は右心室に到達し、リード先端に対応する。これは心室内壁または隔膜に埋め込まれるように意図されているものである(この発明がさらに心房間の隔膜に対する位置にも適応できることに注目すべきである)。
【0027】
その反対側、近接部分16で、探り針10には駆動制御ハンドル18が備えられており、これは先端12(14)の捩れ伝達動力によってそれを誘導、つまり探り針が通されて、選択されたペーシング場所の方向にリードを誘導するように制御することを可能にしている。
【0028】
探針10は好ましくは柔軟な材料で作られており、これは比較的硬くはあるが、塑性的に変形可能であり、直径が通常0.30ミリメートルから0.45ミリメートルのステンレス鋼線AISI302又はAISI304のようなものである。この金属線は曲げや捩れに対して塑性的に変形可能であり、回転運動の伝達を可能にする充分な硬さを有しており、糸の全長にわたって、ハンドル18で外科医が制御できるものである。
【0029】
探り針を有するリードは上大静脈20と右撓側皮静脈22を介して心腔に挿入され、右心房24と心室26(心室間隔膜に対する埋め込みの場合に)に到達する。ハンドル18を回転させることによって、外科医はリード先端を心室間隔膜28の方向の隔壁に向ける、ここで外科医はそれをネジ回転させることによって、隔膜組織にリード先端を錨止めすることができる。他の接近法が撓側皮静脈30と左上大静脈20を介して可能である。後者の場合は“左接近法”と呼ばれ、一方において前者は“右接近法”と呼ばれる。
図2、3は本発明に従って探り針10の先端部分12に与えられる特別な構造を示している。この構成は選択された方法によって異なっており、
図2は右接近法、
図3は左接近法に対応している。
【0030】
この特別な左または右接近構造は好ましくは製造中に探り針10に与えられる。それ故に、探り針10は、後で述べられるように、いわゆる自由な状態、すなわち何の応力も加えられない状態で(例えば、特にリードの空洞軸の中央管腔に導入される前に)配置されるときに、ある曲率を与えるように、プリフォームされた状態で提供される。
【0031】
先端部12は中央部分から先端部分14まで順次包含する、即ち
− 第1曲率半径R1と開き角φ1を有する第1曲線部分C1と、
− 第1の長さL1を有する第1直線部分D1と、
− 第2曲率半径R2と開き角φ2を有する第2曲線部分C2と、付加的に
− 第2の長さL2を有する第2直線部分D2と、である。
【0032】
図示された例では、曲線部分は、即ち楕円または不均一な半径を有する曲がった弓形を含む、一定の曲率半径または他の曲がった形を有する、弓形であり得ることに注目されるべきである。本発明の文脈においては“曲線”という言葉は最も広い、非直線という意味で理解されるべきである。
【0033】
好ましくは、曲線部分C1とC2は同一平面上には無く、むしろ軸Δが第1直線部分D1を含む二面角を定義する角φ3をそれらの間に形成する2つのそれぞれの平面P1、P2内に配置されている。
【0034】
右接近法(
図2)の探針10の場合には、両曲線部分C1とC2はお互いから離れるように進展している。即ち、直線部分D1を含む半平面のどちらか一方の側に、である。左接近法(
図3)の探針の場合には両曲線部分C1とC2は共通の位置あわせで、即ち直線部分D1を含む半平面の同じ側で配列されている。
【0035】
探針10が製造中にプリフォームされるならば、梱包は両方の型の探り針を含むことがある。そして外科医は右か、左か、適切なものとして選択された接近法に適応する方法を選択することができる。この場合には、2つの探り針をもっと容易に区別できるように目印32、例えば、“L”、“R”または色符号を有するハンドル16を提供するのが有利である。
【0036】
本発明の一実施態様によれば、探り針の形状は以下の典型的、かつ制限のない範囲で変化する以下の7つのパラメータの内の1つ以上を包含する。即ち、
第1曲線部分:R1≦200mm、好ましくはR1=40から60mm、
φ1≧10°、好ましくは70°から110°
第1直線部分:L1≧10mm、好ましくは30から70mm
第2曲線部分:R2=10から15mm、
φ2=20°から40°
第2直線部分:L2=0から15mm(これは第2直線部分が省略されること(L2=0)を意味している、つまり先端部分14が第2曲線部分(C2)の自由端である前者に直に配置されている)
平面P1とP2の相互角:φ3=0°から45°、好ましくは10°から30°
【0037】
曲率と角度の極端な値を使用すれば、弓状に展開した曲線接触の長さを計算することができる。
− 第1曲線部分C1:49から115mm
− 第2曲線部分C2:3から10mm
または、30と70mmの間の直線部分D1の長さと0から15mmの間の第2の直線部分(付加的)の長さで、全体の進展長は、
− 第2直線部分が無い場合は82と195mm、かつ、
− 第2直線部分が有る場合は82と210mm
の間にある。これらの極端な進展長の値は以下のような事実を反映している、つまり一連の直線および曲線部分は、心腔(単に、第2直線と曲線部分が展開している)ではなく、探り針を有するリードが導入される静脈網の解剖学的湾曲を補わなければならないという事である。
【0038】
本発明が、ここで開示された実施態様以外のものであっても実施することが可能であり、特別な、典型的なパラメータが与えられているが、これらは説明のために与えられているものであり、制限を与えるものではないという事が当業者には理解できるであろう。