特許第5666804号(P5666804)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666804
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】クランプセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/22 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
   G01R1/22 A
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2009-275705(P2009-275705)
(22)【出願日】2009年12月3日
(65)【公開番号】特開2011-117837(P2011-117837A)
(43)【公開日】2011年6月16日
【審査請求日】2012年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088306
【弁理士】
【氏名又は名称】小宮 良雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126343
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 浩之
(72)【発明者】
【氏名】永井 明博
【審査官】 菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−102477(JP,U)
【文献】 実開平2−39170(JP,U)
【文献】 実開平2−39168(JP,U)
【文献】 特開2008−102035(JP,A)
【文献】 実開平6−33075(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円弧状の一対の固定センサアームおよび可動センサアームの先端部同士が突き当たって略環状を形成する閉状態で、その略環状の内側に通らせた被測定導体の電気測定を行うためのクランプセンサであって、
該固定センサアームに固定レバーが一体的に繋がった本体と、該可動センサアームに可動レバーが一体的に繋がった可動体とが鋏状に交差されて該可動体が回動自在に軸支されており、その両アームの先端部同士が離れて開状態になる方向に、該両レバーで係止された弾性体で該可動レバーが付勢され、
該両アームの先端部同士、および/または、前記両レバー同士には、該両アームの先端部が突き当たった閉状態のときに、近接し合って位置ずれが無くなる一対の印が、付されていることを特徴とするクランプセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線等の被測定導体に流れる電流を、被測定導体の切断、または被測定導体への電気的接触を行うことなく検出することのできるクランプセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力関連の現場では、電線等の漏れ電流、負荷電流等を検出するために、クランプセンサが広く使用されている。クランプセンサは、被測定導体を切断することなく電気的絶縁を保ちながら流れる電流を検出することができる。このようなクランプセンサが例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載されたクランプセンサは、磁気コアの配された略円弧状の一対の可動センサアーム(可動側センサ)と固定センサアーム(固定側センサ)とが対向して略環状を形成し、この略環状が開閉自在となるように両アームが軸支されている。可動センサアームに繋がる可動レバー(レバー部)は、両アームの先端部同士が突き当たって閉状態となる方向に、ねじりコイルばねによって付勢されている。
【0004】
このクランプセンサでは、被測定導体を電気測定する際に、ばねの弾性力に抗する操作力で可動レバーを握ることで両アームを開状態にして、両アーム間に被測定導体を入れてから、握りを緩めて両アームを閉状態にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−213598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなクランプセンサでは、両アームを閉状態としたときに、両磁気コアの端部同士を結合させて略環状の磁気回路を形成させているので、その結合状態の良し悪しで測定性能が左右される。両アームの先端部同士が確りと突き当たっていれば両磁気コアの結合状態は良好であるが、先端部同士が突き当たっていないと結合状態は悪化する。
【0007】
上記の特許文献1に記載されたクランプセンサでは、ばねの弾性力によって両アームが閉状態に保持されるので、先端部同士の突当具合の良し悪しは、ばねの弾性力によるところが大きい。ばねには個体差による弾性力のばらつきがあるので、そのばらつきで個々のクランプセンサ毎に先端部同士の突当具合に差異が生じることがあり、弾性力が弱い場合には、測定精度が低下してしまう可能性がある。ばねの弾性力が弱いと突当具合が悪くなるが、例えば、見た目では両アームが閉状態になっているように見えるが、完全には閉状態になっておらず、両アームを指で閉方向に加力するとまだ動くという状態が生じる恐れがある。このような場合、所期の測定精度が得られず、測定の再現性も低下してしまう。
【0008】
個々のクランプセンサ毎に両アームの先端部同士の突当具合に差異を生じさせないためには、弾性力の大きなばねを用いればよいが、可動レバーを動かすために、この大きな弾性力に抗する大きな操作力が必要になってしまうので、操作性が悪くなる。特に電線が込み入っている場合には、可動レバーを握ったまま開状態にして電線をかき分ける必要があるので、操作力が大きいと疲労してしまう。
【0009】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、測定精度にばらつきが無く、精度よく測定できると共に操作性に優れたクランプセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載されたクランプセンサは、略円弧状の一対の固定センサアームおよび可動センサアームの先端部同士が突き当たって略環状を形成する閉状態で、その略環状の内側に通らせた被測定導体の電気測定を行うためのクランプセンサであって、該固定センサアームに固定レバーが一体的に繋がった本体と、該可動センサアームに可動レバーが一体的に繋がった可動体とが鋏状に交差されて該可動体が回動自在に軸支されており、その両アームの先端部同士が離れて開状態になる方向に、該両レバーで係止された弾性体で該可動レバーが付勢されていることを特徴とする。
【0011】
さらに請求項1に記載されたクランプセンサは、該両アームの先端部同士、および/または、前記両レバー同士には、該両アームの先端部が突き当たった閉状態のときに、近接し合って位置ずれが無くなる一対の印が、付されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のクランプセンサによれば、固定センサアームに固定レバーが一体的に繋がった本体と、可動センサアームに可動レバーが一体的に繋がった可動体とが鋏状に交差されて可動体が回動自在に軸支されており、その両アームの先端部同士が離れて開状態になる方向に、両レバー同士が弾性体によって付勢されていることにより、測定時に両レバー同士を手で握って、その握った操作力で両アームを閉状態とするため、手の感触で両アームの先端同士が完全に突き当たっているか否かを判断することができる。したがって、先端同士が突き当たらない状態で測定してしまうことを防止できるので、センサごとに測定精度のばらつきが生じず、さらに、同一センサでも安定して精度の良い測定を行うことができる。また、アーム同士が常時開状態になっているので、被測定導体を両アーム間に位置させるまでに、両レバー同士を弾性力に抗して握ったまま作業する必要が無いので、操作性に優れている。
【0013】
本発明のクランプセンサによれば、両アームの先端部同士、および/または、両レバー同士には、両アームが閉状態のときに近接し合って位置ずれが無くなる一対の印が、付されていることにより、この一対の印の一致を確認して測定することで、確実に精度の良い測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明を適用するクランプセンサの使用状態を示す正面図である。
図2】本発明を適用するクランプセンサの内部構造図である。
図3】本発明を適用する別のクランプセンサの使用状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0016】
本発明を適用するクランプセンサの好ましい形態について、図面を参照しつつ説明する。図1(a)には開状態のクランプセンサ1を、図1(b)には閉状態のクランプセンサ1を図示している。
【0017】
クランプセンサ1は、本体2および可動体3が鋏状に交差されて、可動体3が回動自在に軸部9によって本体2に軸支されているものであり、測定器にケーブル(共に非図示)で電気的に接続されて、電線などの被測定導体50(断面で図示)をクランプし、その電気測定に用いられるものである。本体2は、固定センサアーム4aおよび固定レバー5aが一体的に繋がって形成されている。可動体3は、可動センサアーム4bおよび可動レバー5bが一体的に繋がって形成されている。
【0018】
固定センサアーム4aおよび可動センサアーム4bは、対をなすものであり、各々が略円弧状に形成されていて、同図(b)に示すように、各々の先端部21a,21b同士が突き当たった閉状態で略環状を形成する。クランプセンサ1は、この両アーム4a,4bの形成する略環状の内側を通らせた被測定導体50の電流を検出する。
【0019】
このアーム4a,4bの先端部21a,21b同士は、突き当たったときに外部から視認可能に互いが噛み合う形状、一例として段付きの形状に形成されている。この固定センサアーム4aの先端部21aには印31aが、可動センサアーム4bの先端部21bには印31bが付されている。具体的には、一対の印31a,31bは、同図(b)の上側の丸枠内に拡大して示すように、可動センサアーム4bの回動方向に概ね沿って対向し合う先端部21a,21bの縁辺部に、先端部21a,21b同士が完全に突き当たったときに近接し合って位置ずれが無くなる場所、言い換えると互いの指し示す位置が一致する場所に付されている。
【0020】
この印31a,31bの形状は、例えば、同図(b)に示すような閉状態で互いに頂角の頂点同士が近接して対向し合う二等辺三角形状に形成されている。この二等辺三角形状の頂角の頂点が、印31a,31bの指し示す位置となる。なお、印31a,31bの形状は、互いの差し示す位置が視認しやすい形状であればよく、例えば、角部の頂点同士が近接し合う多角形状や星型形状、矢印形状、線形状、または小径の円形状が挙げられる。多角形状等の場合、印31a,31bは、その位置ずれが視認しやすいように、互いに近接して対向し合う部分の形状が鋭角であることが好ましい。印31a,31bは、例えば、印刷や塗装による色付け、凹状の窪み、凸状の隆起、またはシールの貼付によって先端部21a,21bに付すことができる。
【0021】
このクランプセンサ1は、一例として図2に示すような内部構造になっている。図2(a)には開状態のクランプセンサ1の内部構造を、図2(b)には閉状態のクランプセンサ1の内部構造を図示している。
【0022】
同図(a)に示した固定コアケース22aは、絶縁性の樹脂成型品であり、本体2のハウジングケースの略半分を構成するものである。固定コアケース22aには、固定レバー5aの固定センサアーム4a側部分に、円筒形状に突設されてその中央部が貫通孔になっている軸受11が形成されている。また、固定コアケース22aには、固定レバー5a部分に、壁状に突設された、ばね係止部12が形成されている。
【0023】
絶縁性の樹脂成型品の可動コアケース23aは、可動体3のハウジングケースの略半分を構成するものである。この可動コアケース23aには、可動レバー5bの可動センサアーム4b側部分に、軸受11の貫通する通孔が形成されて、この通孔が軸受11に嵌められている。また、可動コアケース23aには、可動レバー5b部分に、円筒状に突設された、ばね係止部13が形成されている。
【0024】
固定コアケース22aには、その固定センサアーム4a部分に、磁気コア7aが収納されている。可動コアケース23aには、その可動センサアーム4b部分に、磁気コア7bが収納されている。磁気コア7a,7bは、例えば磁性鋼板などの磁性材料によって略円弧状に形成されたコア部6a,6bに、巻線が付されて形成されている。この磁気コア7a,7bは、同図(b)に示すように、閉状態でコア部6a,6bの両端同士が重なり合って結合して円環状の磁気回路を形成する。
【0025】
軸受11には、ねじりコイルばね8(弾性体の一例)のコイル部分が介装されていて、ねじりコイルばね8の開放一端部がばね係止部12に、開放他端部がばね係止部13によって係止されている。このねじりコイルばね8の弾性力によって、可動コアケース23aの可動レバー5b部分が、固定コアケース22aの固定レバー5aに対して離れる(開く)方向に常時付勢されている。このため、可動センサアーム4bが固定センサアーム4aに対して開く方向に常時付勢されていて、通常状態では、図2(a)および図1(a)に示すように、アーム4a,4bが開状態になっている。ねじりコイルばね8は、アーム4a,4bが開状態になる大きさの弾性力を有していればよく、開状態になりさえすればその弾性力は小さいものであることが操作性の観点から好ましい。
【0026】
可動コアケース23aは、これに嵌合可能で略対称形状の可動コアケース23b(図1(a)参照)で蓋がされて可動体3が構成されている。また、固定コアケース22aは、これに嵌合可能で略対称形状の固定コアケース22b(図1(a)参照)で蓋がされて本体2が構成されている。軸受11には、本体2および可動体3を貫通する支軸が挿通され、支軸が螺子で抜止め固定されて、図1(a)に示すように軸部9が構成されている。
【0027】
次に、クランプセンサ1の測定動作について図1を参照しつつ説明する。
【0028】
このクランプセンサ1は、レバー5a,5bで係止されたねじりコイルばね8の弾性力によって、レバー5bが開く方向に付勢されているため、レバー5a,5bに操作力を加えない状態では、図1(a)に示すように、アーム4a,4bの先端部21a,21bが離れて常時開状態になっている。したがって、測定者は、レバー5a,5b間に力を加えることなくクランプセンサ1を移動させるだけで、開状態のアーム4a,4b間に被測定導体50を位置させることができる。このため、例えば配電盤などの込み入った電線の中から測定対象の一本の電線(被測定導体50)を掻き分けてアーム4a,4b間に被測定導体50を位置させる場合であっても、ねじりコイルばね8の弾性力に抗する操作力でレバー5a,5b同士を握ったままこの作業をする必要がないので、操作性に優れていて、測定者は疲労しない。
【0029】
測定者は、アーム4a,4b間に被測定導体50を位置させてから、レバー5a,5b間に加力して、レバー5bをレバー5aに近づける方向に回動させ、同図(b)に示すように、アーム4a,4bを閉状態にする。測定者は、自身の手でレバー5a,5b同士を握っているので、その手の感触によって、先端部21a,21bが完全に突き当たることを確認することができる。
【0030】
この時、測定者は、先端部21a,21bの印31a,31bがずれなく一致しているか否かを目視して確認する。印31a,31bがずれなく一致しているときには、先端部21a,21bが完全に突き当たった状態になっているため、図2に示した磁気コア7a,7bが良好に結合している。仮に印31a,31bのずれを確認したら、さらにレバー5a,5bを操作して印31a,31bが一致するまで、レバー5bを回動させる。このように、印31a,31bを付すことで、先端部21a,21bが完全に突き当たっていることを測定者は視覚を通じて一層確実に確認することができる。したがって、先端部21a,21bが完全に突き当たっていない状態のまま測定してしまうことが防止されるため、被測定導体50の電流を精度よく測定することができる。
【0031】
この完全な閉状態のときに、非図示の測定器に、クランプセンサ1の検出した電流から電流値等を測定させる。測定は通常短時間で終了するので、操作力を加える時間は短時間で済み測定者は疲労しない。さらに、本発明のクランプセンサ1は、背景技術に記載した従来のクランプセンサのように大きな弾性力のばねを用いる必要がないことから、レバー5bの操作力を小さくすることができるため、操作性に一層優れている。
【0032】
測定が終了すると、測定者はレバー5a,5bを握る力を緩めることで、アーム4a,4bを開状態に戻し、クランプセンサ1を被測定導体50から遠ざける。以上で、測定作業が終了する。
【0033】
複数の被測定導体50について測定を行うときは、各被測定導体50ごとに上記の測定動作を繰り返す。被測定導体50の数が多くても、アーム4a,4b間への被測定導体50のセットが簡便であり、大きな操作力を必要としないので、測定者は、疲労することなく、多くの被測定体50を連続して測定することができる。
【0034】
次に、本発明を適用する別のクランプセンサについて図3を参照しつつ説明する。なお、すでに説明した構成と同様の構成については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。図3(a)には開状態のクランプセンサ1aを、図3(b)には閉状態のクランプセンサ1aを図示している。
【0035】
すでに説明したクランプセンサ1は、測定器とは別体に形成されていて測定器にケーブルで接続されて用いられるものであったが、このクランプセンサ1aは、測定器と組み合わされて一体的に形成されていて、単体で測定に用いられるものである。具体的には、クランプセンサ1aは、すでに説明したクランプセンサ1の本体2の固定レバー5aを、測定用電気回路(非図示)を内部に収容すると共に、表示部41および操作部42をハウジングケース表面部分に備えて、なおかつ握りやすい形態に形成されている固定レバー5cに換えたものである。この固定レバー5cと固定センサアーム4aとが一体的に繋がって本体2aが形成されている。
【0036】
表示部41は、例えば液晶パネルであり、測定結果の電流値などの測定値を表示するためのものである。操作部42は、一例として、電源スイッチボタン43、および、測定モードや測定レンジを切り替える切替ボタン44で構成されて、測定器を操作するためのものである。
【0037】
このクランプセンサ1aは、クランプセンサ1と同様に、ねじりコイルばね8(非図示)が軸部9に介装されていて、アーム4a,4bが常時開状態になるように可動体3が付勢されている。その構造は、クランプセンサ1と同様に形成されている。
【0038】
可動体3の可動レバー5bは、同図(a)に示すように、固定レバー5cから遠ざかる位置に付勢されていて、これが同図(b)に示すように、固定レバー5cに押し込まれるようになっている。
【0039】
固定レバー5cには、同図(b)の左側の丸枠内に拡大図で示すように、そのハウジングケースの可動レバー5b側の正面縁辺を一部切り欠いた切欠部24が形成されている。この切欠部24は、可動レバー5bの回動方向に概ね沿う方向に切り欠かれている。固定レバー5cには、可動レバー5bの回動方向に沿う切欠部24の縁辺部に、印32aが付されている。可動レバー5bには、アーム4a,4bの先端部21a,21b同士が完全に突き当たったときに、固定レバー5cに付された印32aに近接し合って位置ずれが無くなると共に切欠部24から視認できる場所に、印32bが付されている。一対の印32a,32bは、先端部21a,21bに付された一対の印31a,31bと同様の形状で付されている。
【0040】
次に、クランプセンサ1aの測定動作について図3を参照しつつ説明する。
【0041】
予め、電源スイッチボタン43および切替ボタン44を操作して、測定器として測定可能な状態にしておく。
【0042】
同図(a)のように、付勢されて開状態になっているアーム4a,4bの間に、被測定導体50を位置させてから、測定者が可動レバー5bを固定レバー5c側に加力して押し込んで、同図(b)のように、アーム4a,4bを閉状態にする。
【0043】
このクランプセンサ1aでは、先端部21a,21bに印31a,31bが付されているだけでなく、固定レバー5cおよび可動レバー5bに印32a,32bが付されているので、測定者は、印31a,31b、および印32a,32bの少なくとも一方の対の印を目視して、その印がずれなく一致するところまで可動レバー5bを回動させる。これにより、先端部21a,21bが完全に突き当たるため、被測定導体50の電流を精度よく検出でき、その電流値等を精度よく電気測定することができる。その測定値が表示部41に表示されて測定作業が終了する。
【0044】
このクランプセンサ1aでは、印31a,31bおよび印32a,32bが付されているため、測定者は目視し易い方の一対の印に着目すればよいので、測定の利便性に優れている。例えば、先端部21a,21bが込み入った複数の電線によって見え難いときには、レバー5b,5cの印32a,32bを目視すればよい。
【0045】
なお、印31a,31b、および印32a,32bの少なくとも一方を、クランプセンサ1,1aの正面側(観察面側)だけでなく、背面側(非観察面側)に付してもよい。背面側にも31a,31b、および/または印32a,32bを付した場合、クランプセンサ1,1aの向きに関わらず一対の印が視認し易くなるので、先端部21a,21bが完全に突き当たることを確実に確認できるので、確実に精度よく測定することができる。
【0046】
また、図1のクランプセンサ1の固定レバー5bを、図3の固定レバー5cのような切欠部24を有する形状に形成し、レバー5a,5bに印32a,32bを付してもよい。また、クランプセンサ1aには、印31a,31bおよび印32a,32bの何れか一方だけを付してもよい。
【0047】
また、レバー5a,5bが、ねじりコイルばね8で付勢されている例について説明したが、スプリングばね(弾性体の他の一例)を、その軸がレバー5bの回動方向に沿うような向きでレバー5a,5b間に掛け渡して、スプリングばねの端部をレバー5a,5bで係止して、レバー5bを付勢する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1,1aはクランプセンサ、2,2aは本体、3は可動体、4aは固定センサアーム、4bは可動センサアーム、5a,5cは固定レバー、5bは可動レバー、6a,6bはコア部、7a,7bは磁気コア、8はねじりコイルばね、9は軸部、11は軸受、12,13はばね係止部、21a,21bは先端部、22a,22bは固定コアケース、23a,23bは可動コアケース、24は切欠部、31a,31b,32a,32bは印、41は表示部、42は操作部、43は電源スイッチボタン、44は切替ボタン、50は被測定導体である。
図1
図2
図3