【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の上記目的は、請求項1記載の同時に制御可能な少なくとも5本の軸を有する加工品を機械加工するための工作機械および請求項16記載の工作機械により加工品を機械加工するための方法によって達成される。従属項には好ましい実施形態が記載されている。
【0021】
本発明に従い、制御データによって制御される1つ以上の工具により加工品を機械加工するための、特にプログラム制御式機械加工するための、本発明に係わる工作機械は、同時に制御可能な少なくとも5本の軸を含み、更に加工品をクランプするためのクランプ手段と、工作機械の1つ以上の工具のうちの1つを支持するための支持手段を有する制御手段とを備え、制御手段は、支持手段内に支持された工具を制御データにより工具パスに沿って制御し、クランプ手段内にクランプされた加工品から材料を除去するようになっている。
【0022】
本発明によれば、工作機械は、第1加工品を機械加工し、第1加工品に第1ギアを設けるようになっており、第1加工品は、第2ギアを有する第2加工品のカウンター部品であり、第1ギアの第1の歯のフランクは、第2ギアの第2の歯のフランクのうちの噛み合いフランクを形成するようになっている。
【0023】
本発明に係わる工作機械は、第1加工品の第1ギアの現在の幾何学的形状、特に現在の歯のフランクの幾何学的形状および/または現在の歯のギャップの幾何学的形状が、第1加工品のギャップの目標とする歯のフランクの幾何学的形状および/または目標とする歯のギャップの幾何学的形状と異なるかどうかを、工作機械上での第1加工品の機械加工中および/またはその機械加工後に判断するようになっているテストシステムを更に備えることを特徴とする。
【0024】
このことによって、第1加工品の第1ギアの現在の幾何学的形状、すなわちテストシステムによる検査中にそのときに機械加工状態にある現在の幾何学的形状、特に少なくとも1つの歯のフランクの、または少なくとも2つの歯のフランクの間の、この作動状態に属す現在の歯のフランクの幾何学的形状および/または現在の歯のギャップの幾何学的形状と、第1加工品の第1ギアの、工作機械で機械加工作業を受け、特に機械加工作業前にあらかじめ決定された所望する目標のギアの幾何学的形状とが、異なるかどうかを、工作機械上での第1加工品の機械加工作業中、および/または機械加工作業後に特に決定するようになっているという利点が得られる。
【0025】
あらかじめ決定される目標とするギアの幾何学的形状は、例えば与えられるギアのタイプ、例えば直線ギア、ヘリカルギア、ダブルヘリカルギアまたはヘリンボーンギア、円弧ギア、スパイラルギア、インボリュートギアまたは別のギアの形状を指定することが好ましい。更に、あらかじめ決定される目標とするギアの幾何学的形状は、例えば製造すべき仕上げ部品のあらかじめ決定された歯のフランクのプロフィルを定めるパラメータ値、特に例えば歯の幅、歯の高さ、凸度および/または歯のフランクのあらかじめ決定された曲率、例えばインボリュート歯の形状、トロコイド状歯の形状、または別の歯の形状に関するパラメータを示すことが好ましい。
【0026】
少なくとも5本の軸を含むCNC工作機械では、工具制御において好ましく与えられるフレキシビリティを考慮し、少なくとも5の自由度で、ほとんどの任意の自由フォームの表面を製造できる。従って、あらかじめ決定される目標とするギアの幾何学的形状が、この目的のために、例えば歯のフランクの表面の数学的記述も含むことができるので、任意の歯のフランクを有するギア歯の製造が可能である。
【0027】
本発明は、好ましくは工作機械のクランプ手段内のクランプ位置から加工品をアンクランプすることなく、工作機械での機械加工作業中および/または機械加工作業後に、加工品および/または加工品の現在のギアの幾何学的形状を決定できるようにするテストシステムを更に含む工作機械を提供するものである。従って、本発明は、達成されるギアの形状の質をチェックするのに別の工作機械を使用する必要がないように、加工品の機械加工があらかじめ決定された目標のギアの幾何学的形状からの偏差の検査および質の検査を更に可能にするような工作機械を提供できる。
【0028】
仕上げられた第1加工品および/または第2加工品に対して付与されるギアの品質、特に所定の表面仕上げにより、第1加工品の第1ギアの上記目標とするギアの幾何学的形状、特に目標とする歯のフランクの幾何学的形状および/または目標とする歯のギャップの幾何学的形状、および所望する場合に第2の加工品の第2ギアの対応する目標とするギアの幾何学的形状を、決定することも好ましい。
【0029】
このことによって、工作機械での加工品、特にギア歯の機械加工作業で得るべき、あらかじめ決定された目標とするギアの幾何学的形状が、あらかじめ決定されたギアの品質、特に歯のフランクのあらかじめ決定された表面仕上げにより、自ら正しく定まり、あらかじめ決定された目標とするギアの幾何学的形状からの、第1加工品の第1ギアの現在のあらかじめ決定されたギアの幾何学的形状の検出された偏差により、工作機械のクランプ手段にクランプされた第1加工品および/または第1加工品の第1ギアが、現在の機械加工の状態において、達成すべきギアの幾何学的形状、特に達成すべきギアの質または表面の仕上げに関する条件を満たしているかどうか、または所望するギアの質または表面仕上げを得るのに、所望する場合にプログラム制御により、好ましくは、工作機械で加工品を再機械加工する必要が好ましいかどうかを判断できるという利点が得られる。
【0030】
工作機械で行われた機械加工の後の、特に仕上げられた状態にある第1加工品は、好ましくは、内歯を有する平ギア、外歯を有する平ギア、歯付きラックまたはベベルギアであり、特に工作機械上で行われた機械加工により仕上げられた状態にある第2加工品は、好ましくは、内歯を有する平ギア、外歯を有する平ギア、歯付きラックまたはベベルギアであり、よって好ましくは、第2加工品は、第1加工品に対するカウンター部分となっている。
【0031】
これによって、内歯を有する平ギア、外歯を有する平ギア、歯付きラックまたはベベルギアを工作機械で製造でき、これらギアは、所望する場合に第1加工品の機械加工作業前、機械加工作業中、または機械加工後に、工作機械で所望する場合に製造できる、内歯を有する平ギア、外歯を有する平ギア、歯付きラックまたはベベルギアとすることができる第2加工品と共に、ギアのペア、すなわちギアホイールのペアを形成できるという利点が得られる。
【0032】
工作機械のテストシステムは、検出要素により、第1加工品の第1ギアの歯のフランクの側面を機械的にスキャニングすることにより、第1加工品の第1ギアの現在のギアの幾何学的形状と、第1加工品の第1ギアの目標とするギアの幾何学的形状とが、異なっているかどうかを判断するかまたは検出するようになっている第1検出要素を備えることが好ましい。
【0033】
これによって、検出要素を使用した機械式スキャニングにより、現在存在するギアの幾何学的形状を判断し、この幾何学的形状と第1ギアのあらかじめ決定された目標とするギアの幾何学的形状とを比較するよう、検出要素により第1加工品の第1ギアの歯のフランクの側面の機械的スキャニングが可能となる。従って、生じ得る偏差を決定または検出できる。この目的のために、検出要素は機械的スキャニングにより第1ギアの1つ以上の歯のフランクの側面の現在の幾何学的形状を決定できるよう、加工品に対する異なる回転角方向位置で、加工品をスキャニングするようになっていることが好ましい。ここで、この検出要素は、第1ギアの歯のフランクの側面の機械的スキャニングのために、制御デバイスにより、検出要素を制御できるよう、工作機械の加工品と同じように、工作機械の制御装置の支持手段に支持されるようになっていることが好ましい。従って、工作機械の少なくとも5本の軸により、クランプされた加工品に対して5の自由度で、工作機械の工具と同じように、検出要素も制御できる。
【0034】
工作機械のテストシステムは、第1加工品の第1ギアの歯のフランクの側面を光学的に、および/または誘導的にスキャニングすることにより、第1加工品の第1ギアの現在の幾何学的形状と、第1加工品の第1ギアの目標とするギアの幾何学的形状、特に目標とする歯のフランクの幾何学的形状および/または目標とする歯のギャップの幾何学的形状とが、異なっているかどうかを判断するかまたは検出するようになっている第2検出要素を備えることが好ましい。
【0035】
このことは、歯のフランクの側面の上記機械的スキャニングの他に、またはそれに加え、第1ギアの歯のフランクの側面の光学的スキャニングおよび/または電磁誘導的スキャニングにより、第1加工品の第1ギアの現在の幾何学的形状を決定するようになっている第2検出要素を設けるという別の方法により、第1加工品の第1ギアの現在の幾何学的形状を決定できるという利点が得られる。ここで、工作機械の光学的スキャニング手段により、加工品に対し、好ましくは回転角方向のいくつかの位置にて、1本以上のレーザービームにより、歯のフランクの側面の光学的スキャニングを任意で行うことができる。ここで、光学的スキャニングなる用語は、可視波長レンジに限定されると解してはならない。
【0036】
工作機械の支持手段は、第2加工品も支持するようになっていることが好ましい。
【0037】
これによって、工作機械の1つ以上の工具、上記検出要素または他の工具の支持と共に、第2加工品の支持を可能にする支持手段を、工作機械の制御装置に含む工作機械を提供できるという利点が得られ、この場合、第2加工品は、上記のように、外歯を有する平ギア、内歯を有する平ギア、歯付きラックまたはベベルギアであることが好ましい。従って、工作機械のクランプ手段だけでなく、制御装置の支持手段でも、加工品を工作機械で支持することが可能となり、所望する場合に工作機械の少なくとも5本の軸の1つ以上により、工作機械の制御装置によって加工品を制御することが可能である。
【0038】
工作機械は、第1加工品の第1ギアと第2加工品の第2ギアとが噛合し、第1ギアの少なくとも1つの第1フランクと第2ギアの少なくとも1つの第1噛合フランクとが協働するように、支持手段に支持されている第2加工品およびクランプ手段にクランプされている第1加工品を相互に制御するようになっていることが好ましい。
【0039】
これによって、工作機械は特に、ギアのペアを構成する第1加工品および第2加工品を互いに制御し、第1加工品の第1ギアの歯と第2加工品の第2ギアの歯とを、それぞれ選択されたギア形状に従って互いに噛合させ、よって第1ギアの第1フランクと第2ギアの少なくとも1つの第1噛合フランクとを協働させるようになっているという利点が得られる。このことは、第1加工品と第2加工品のその後の所望する場合に作動時に、ギアのペアとして生じるか、または生じなければならない第1加工品と第2加工品との係合を確立するように働く。
【0040】
工作機械のテストシステムは、第1ギアの第1フランクと、第2ギアの第1噛み合いフランクとの間の歯の接触パターンをスポッティングにより、判断するようになっている歯の接触パターン検出デバイスを備えることが好ましい。
【0041】
これによって工作機械のクランプ手段および工作機械の制御装置の支持手段内に各々がクランプされている第1加工品と第2加工品とを係合させ、スポッティングにより第1ギアの第1フランクと第2ギアの第1噛み合いフランクとの間の歯の接触パターンを検出できるという利点が得られる。ここで、歯の接触パターン検出装置は、第1ギアの第1フランクと第2ギアの第1噛み合いフランクとが協働したときに、第1フランクからのペイントが第1噛み合いフランクに移されるか、または第1噛み合いフランクから第1フランクへ移されるように、第1ギアおよび第2ギアのうちの少なくとも1つのギアへのペイントの塗布を可能にするような手段を含むことが好ましく、この歯の接触パターン検出装置は更に、光学的検出により、特に第1噛み合いフランクと第1フランクとが協働するときにペイントが移される第1フランクまたは第1噛み合いフランクの表面の光学的検出により、歯の接触パターンを決定するようになっている手段も含むことが好ましい。
【0042】
これによって工作機械は、工作機械上の歯の接触パターン、特に工作機械で実行される機械加工作業の後および/または機械加工作業中の第1加工品のギアの現在の幾何学的形状に従う歯の接触パターンを所望する場合に自動的に検出できる、歯の接触パターン検出装置を特に提供できるという利点が得られる。従って、現在のギアの歯の接触パターンを検出するために、所望する場合にマニュアルまたは外部の工作機械にて、歯の接触パターンを決定するよう、工作機械のクランプ手段から第1加工品をアンクランプする必要はない。
【0043】
第1加工品または第2加工品が歯付きラックである場合、工作機械は支持手段内に支持された第1加工品とクランプ手段内にクランプされた第1加工品を互いに制御するよう、工作機械の1本以上のリニア軸を制御するようになっていることが好ましい。
【0044】
これによって、第1加工品または第2加工品の実際の移動は、工作機械の少なくとも1つまたはそれ以上のリニア軸、および所望する場合に工作機械の1本以上の回転軸によって行われるので、特に歯が噛み合うときに第1加工品と第2加工品とを互いに制御できるという利点が得られる。この場合において、第1加工品または第2加工品が歯付きラックである場合、カウンター部品は、外歯を有する平ギア、ベベルギア、特に中心軸を中心として工作機械の回転軸により回転駆動できることが好ましいピニオンとなる。
【0045】
第1加工品および/または第2加工品が、ギアホイール、特にベベルギアまたは平ギアである場合、工作機械は、支持手段に支持された第2加工品とクランプ手段内にクランプされた第1加工品との相互の関係を制御するための工作機械の1本以上の回転軸を制御するようになっていることが好ましい。
【0046】
これによって、歯が噛み合うときに第1加工品と第2加工品とを互いに制御できるという利点が得られる。第1加工品および/または第2加工品がギアホイールである場合、工作機械は好ましくはギアホイールの中心軸を中心として、工作機械の回転軸の少なくとも1つにより、ギアホイールを駆動するようになっている。第1加工品と第2加工品とが1つのギアホイールのペアを形成するように、第1加工品と第2加工品の双方がギアである場合、工作機械は第1加工品と第2加工品を係合するギアホイールのペアとして駆動するようになっていることが好ましく、各ケースにおいて、それぞれの第1加工品および第2加工品は、ギアホイールのそれぞれの中心軸を中心として回転軸により駆動されることが好ましい。
【0047】
第1加工品が、ギアホイール、特にベベルギアまたは平ギアであり、第2加工品が、ギアホイール、特にベベルギアまたは平ギアである場合、工作機械は、この工作機械のクランプ手段を回転駆動するようになっている第1回転軸により、好ましくは、第1加工品の中心軸を中心として第1加工品を回転駆動するようになっており、工作機械は、この工作機械の支持手段を回転駆動するようになっている第2回転軸により、好ましくは、第2加工品の中心軸を中心として第2加工品を更に回転駆動するようにもなっていることが好ましい。
【0048】
これによって、ギアホイールペアのその後の作動のためにあらかじめ決定されるか、または所望するように、ギアホイールペアの歯が噛み合うときに、工作機械はギアホイールペアを駆動するようになっているという利点が得られる。従って、工作機械の少なくとも5本の軸が、ギアホイールの間、特にギアホイールと対応するピニオンの間の回転張力を、所望する場合に工作機械のNC機能により調節できるよう、ギアホイールペアの相互の正確な位置決めの制御を可能にできるので、ギアホイールのそれぞれの中心軸を中心として工作機械の回転軸によりギアホイールの各々を回転駆動できる。従って、NC回転テーブル、NC部分装置または完全一体化NCクランプ装置によりギアホイールを駆動でき、工作機械のワークスピンドルを介し、特に工作機械の制御装置内のワークスピンドルを介し、他のギアホイールを更に駆動できるので、工作機械のNC5軸を介し、ギアホイールペアのうちのギアホイールの相互の位置、特にギアホイールと対応するピニオンとの相互の位置を調節することができる。
【0049】
第1加工品の第1ギアと第2加工品の第2ギアとが噛合し、好ましくは、少なくとも第1ギアの第1フランクが第2ギアの第1噛み合いフランクとローリング状態で協働するように、第1加工品と第2加工品とが好ましくは、相互に制御される間、工作機械のテストシステムは、第1加工品および第2加工品の共通作動特性が第1加工品および第2加工品の目標とする作動特性と異なっているかどうかを判断するようになっている作動特性テスト手段を更に備えることが好ましい。
【0050】
これにより、ギアペアの歯が噛み合う間に、第1加工品と第2加工品とが駆動されるときに、ギアペアの作動特性をチェックまたは決定できるという利点が得られる。従って、工作機械のクランプ手段内に第1加工品がクランプされており、工作機械の制御装置の支持手段内に第2加工品がクランプされているときに、機械加工すべき第1加工品を工作機械のクランプ手段からアンクランプしなくても、工作機械上でギアペアの作動特性をチェックまたは決定できる。
【0051】
作動特性テスト手段は、1つ以上の音響検出器を備えることが好ましく、この作動特性テスト手段は、第1加工品の第1ギアと第2加工品の第2ギアとが噛合し、好ましくは、少なくとも第1ギアの第1フランクが第2ギアの第1噛み合いフランクとローリング状態で協働するように、好ましくは、第1加工品と第2加工品とが相互に制御される間、第1加工品および第2加工品が駆動されるときに生じる作動ノイズを、好ましくは、1つ以上の音響検出器により検出することにより、第1加工品および第2加工品の共通作動特性と第1加工品および第2加工品の目標とする作動特性とが異なるかどうかを判断するようになっていることが好ましい。
【0052】
このことによって、工作機械は作動特性テスト手段を含むという利点を提供でき、この作動特性テスト手段は、第1加工品の第1ギアの第1フランクとギアのペアのその後の作動時に設けられる第2加工品の第2ギアの第1噛み合いフランクとがローリング状態で協働するように、歯が係合状態にあるギアのペアとして第1加工品と第2加工品を制御できるときに生じる作動ノイズを特に検出または記録することによって、第1加工品が工作機械にクランプされているときにギアペアの作動特性を決定できるよう、工作機械の制御装置の、特に1つ以上の音響検出器、所望する場合に好ましくは制御装置のワークスピンドルおよび/または支持手段上の少なくとも1つの音響検出器を有する。これによって、ギアペアの作動特性の検査またはギアペアの作動ノイズのテストを工作機械で決定できるという利点が得られる。
【0053】
作動特性テスト手段は、1つ以上の振動検出器を備えることが好ましく、この作動特性テスト手段は、第1加工品の第1ギアと第2加工品の第2ギアとが噛合し、好ましくは、少なくとも第1ギアの第1フランクが第2ギアの第1噛み合いフランクとローリング状態で協働するように、好ましくは、第1加工品と第2加工品とが相互に制御される間、第1加工品および第2加工品が駆動されるときに生じる振動を、好ましくは、1つ以上の振動センサにより検出することにより、第1加工品および第2加工品の共通作動特性と第1加工品および第2加工品の目標とする作動特性とが異なるかどうかを判断するようになっていることが好ましい。
【0054】
これによって、音響検出器による作動特性の決定の代わりに、またはその決定の他に、振動、特に歯が噛み合っているときに第1加工品と第2加工品を相互に制御する間、噛み合いフランク上のフランクの作動特性またはローリング特性から生じる振動を、1つ以上の振動センサによって検出することにより、ギアペアの作動特性を検出することも可能である。
【0055】
第1加工品および第2加工品の双方の作動特性の上記テストにより、作動特性または作動ノイズのノイズレベルが所望する場合に時々目標とするギアの幾何学的形状に対応するノイズレベルを上回ったとき、または目標とするギアの幾何学的形状に従ったフランク形状が得られていないか、またはまだ得られていないことを示す振動が発見されたときに、目標とするギアの幾何学的形状からの変位の検出が全体として可能となる。
【0056】
この工作機械は、好ましくは第1加工品の第1ギアの現在の幾何学的形状、特に現在の歯のフランクの幾何学的形状および/または現在の歯のギャップの幾何学的形状が、第1加工品の第1ギアの目標とするギアの幾何学的形状、特に目標とする歯のフランクの幾何学的形状および/または目標とする歯のギャップの幾何学的形状と異なることを、工作機械での第1加工品の機械加工作業後および/または機械加工作業中にテストシステムが検出したときに、支持手段により、工作機械の上のクランプ手段にクランプされている第1加工品を制御手段内に保持されている工具により、再機械加工するようになっていることが好ましい。
【0057】
これによって、所定の目標とするギアの幾何学的形状からの現在のギアの幾何学的形状の偏差が決定されたときに、第1加工品をクランプしたり、アンクランプしなくても、クランプ手段内にクランプされている第1加工品を工作機械が再機械加工できるという利点が得られる。
【0058】
従って、工作機械は、この工作機械上の加工品を、ブランクから仕上がった部品に機械加工することにより、ギアを有する加工品の完全な機械加工作業をすることが可能となっており、この完全な機械加工は所望する場合に予備的製造を含み、第1加工品に歯の形状を設けることを更に含む。この工作機械は、工作機械での第1加工品の機械加工作業中および/または機械加工作業後に、加工品の必要なクランプまたはアンクランプを行わなくても、目標とするギアの幾何学的形状による歯の形状のテストを実行し、更に所望する場合に、希望する表面仕上げ、希望するギアの質、特に希望する目標のギアの幾何学的形状を得るための再機械加工作業を所望する場合に実行するようになっている。ここで特に、第1加工品の第1ギアの現在のギアの幾何学的形状が、希望する目標のギアの幾何学的形状に対応していることが分かった場合、または現在のギアの幾何学的形状と目標とするギアの幾何学的形状との間の偏差が所定の最大偏差値を下回っていることが検出された場合、このことは第1加工品または第1加工品上の第1ギアが目標とするギアの幾何学的形状により求められている条件に対応することを示す。
【0059】
本発明によれば、上記のように工作機械上で、制御データによって制御される1つ以上の工具により加工品を機械加工するための本発明の方法は、
加工品の第1ギアの目標とするギアの幾何学的形状、特に目標とする歯のフランクの幾何学的形状および/または目標とする歯のギャップの幾何学的形状を決定するステップと、
所定の目標とするギアの幾何学的形状により、第1ギアを第1加工品に設けるよう、工作機械のクランプ手段内にクランプされた第1加工品を機械加工するステップとを備え、第1加工品は、第1ギアの第1の歯のフランクが第2ギアの第2の歯のフランクの噛み合いフランクを形成するよう、第2ギアを有する第2加工品に対するカウンター部品となっている。
【0060】
本発明に係わるこの方法は、
工作機械上での第1加工品の機械加工中、および/またはその後に、第1加工品の第1ギアの現在の幾何学的形状、特に現在の歯のフランクの幾何学的形状および/または現在の歯のギャップの幾何学的形状と、第1加工品の第1ギアの所定の目標とするギアの幾何学的形状、特に目標とする歯のフランクの幾何学的形状および/または目標とする歯のギャップの幾何学的形状とが、異なっているかどうかを判断するステップを更に備えることを特に特徴とする。
【0061】
更に本発明に係わる方法は、
第1加工品の第1ギアの現在のギアの幾何学的形状と第1加工品の第1ギアの目標とするギアの幾何学的形状とが異なるかどうかを判断するよう、検出要素により第1加工品の第1ギアの歯のフランクの側面を機械的にスキャニングするステップと、
第1加工品の第1ギアの現在のギアの幾何学的形状と第1加工品の第1ギアの目標とするギアの幾何学的形状とが異なるかどうかを判断するよう、第1加工品の第1ギアの歯のフランクの側面を光学的にスキャニングするステップと、
第1加工品の第1ギアの現在のギアの幾何学的形状と第1加工品の第1ギアの目標とするギアの幾何学的形状とが異なるかどうかを判断するよう、第1加工品の第1ギアの歯のフランクの側面を誘導スキャニングするステップのうちの1つ以上を含むことも好ましい。
【0062】
更に本発明に係わる方法は、
好ましくは工作機械の支持手段内に、第2加工品を支持するステップと、
支持手段内に支持された第2加工品とクランプ手段内にクランプされた第1加工品との好ましくは、相互の関係を制御し、よって第1加工品の第1ギアと第2加工品の第2ギアとを好ましくは、噛合させ、好ましくは第1ギアの少なくとも1つの第1フランクと第2ギアの少なくとも1つの第1噛み合いフランクとを協働させるステップと、
好ましくは、スポッティングにより第1ギアの第1フランクと第2ギアの第1噛み合いフランクとの間の歯の接触パターンを決定するステップとを含むことが好ましい。
【0063】
更に本方法は、
好ましくは、工作機械の支持手段内に第2加工品を支持するステップと、
支持手段内に支持された第2加工品とクランプ手段内にクランプされた第1加工品との好ましくは、相互の関係を制御し、よって第1加工品の第1ギアと第2加工品の第2ギアとを好ましくは、噛合させ、好ましくは、第1ギアの少なくとも1つの第1フランクと第2ギアの少なくとも1つの第1噛み合いフランクとをローリング状態で協働させるステップと、
第1加工品の第1ギアと第2加工品の第2ギアとが好ましくは、噛合し、少なくとも第1ギアの第1フランクが第2ギアの第1噛み合いフランクとローリング状態で協働するように、好ましくは、第1加工品と第2加工品とが相互に制御される間、第1加工品および第2加工品の共通作動特性と第1加工品および第2加工品の目標とする作動特性とが異なるかどうかを判断するステップとを含むことが好ましい。
【0064】
更に本方法は、
好ましくは、工作機械上での第1加工品の機械加工中、および/またはその後に、第1加工品の第1ギアの現在の幾何学的形状、特に現在の歯のフランクの幾何学的形状および/または現在の歯のギャップの幾何学的形状と第1加工品の第1ギアの所定の目標とするギアの幾何学的形状、特に目標とする歯のフランクの幾何学的形状および/または目標とする歯のギャップの幾何学的形状とが、異なっていると判断された時に、好ましくは、工作機械のクランプ手段内にクランプされた第1加工品を再機械加工するか、または仕上げるステップを含む。
【0065】
このように、第1加工品の必要なクランプまたはアンクランプを行うことなく、加工品上で現在のギアの幾何学的形状の品質検査を含み、更に現在のギアの幾何学的形状が所定の目標とするギアの幾何学的形状と異なることが検出されたときに、可能な再機械加工をすることを含み、特に第1加工品での第1ギアの仕上げを工作機械で実行される機械加工作業が可能にする、本発明に係わる工作機械での、第1加工品の完全な機械加工をするための方法が提供される。