(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の画素データを含む原稿の画像データに基づき、前記原稿がカラー原稿かモノクロ原稿かを判定するカラー判定処理をプログラム制御プロセッサに実行させるためのプログラムであって、
前記画素データの輝度成分値及び色成分値に基づき、前記画素のカラー判定を行う画素カラー判定ステップと、
前記画素カラー判定ステップでカラー画素と判定された前記画素の1つを注目画素に順次設定し、前記注目画素に外郭形状の異なる複数のフィルタを適用した際に、前記フィルタに内包される全ての前記画素が前記画素カラー判定ステップによりカラー画素と判定されているか否かに応じて前記注目画素のカラー再判定を行う画素カラー再判定ステップと、
前記画素カラー再判定ステップによりカラー画素と再判定された前記画素数と予め設定された基準値との比較により、前記原稿のカラー・モノクロを判定する第1原稿カラー判定ステップと、
前記画素カラー再判定ステップでカラー画素と判定された変換画素の彩度積算値を算出して、該彩度積算値が予め設定された彩度基準値より大きい場合には、カラー原稿と判定し、前記彩度基準値より小さい場合には、モノクロ原稿と判定する不定画像判定ステップと、を含み、
前記第1原稿カラー判定ステップにより、カラー基準値及びモノクロ基準値により前記原稿のカラー・モノクロを判定し、前記画素数が、前記カラー基準値より大きい場合には、カラー画像と判定し、前記モノクロ基準値より小さい場合には、モノクロ画像と判定し、前記カラー基準値と前記モノクロ基準値との間の場合は、判定不可とすることを特徴とするカラー判定プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は、以下に述べる実施形態に限定されず、当業者が容易に実施できる範囲で様々な変更が可能である。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる画像処理装置2Aのブロック図である。この画像処理装置2Aは、原稿情報を読取る画像読取ユニット(画像読取部)4、原稿のカラー判定を行うカラー判定装置3A、画像形成する画像形成ユニット(画像印字部)8を備える。
【0017】
画像読取ユニット4は、スキャナ等の読取デバイスを備えて、原稿情報を読み取り、画像データとして出力する。なお、画像データの取得時又は取得した画像データに対して、シェーディング補正、色収差補正、ライン間補正、γ補正、下地除去、拡大・縮小等の各種の処理が適宜行われることがある。画像データは、画素単位のデータ(画素データ)により構成されている。
【0018】
カラー判定装置3Aによるカラー判定処理においては、画像読取ユニット4で取得された画像データを低解像度のデータに変換する処理が含まれる。従って、解像度変換の前後における画像データ及び画素は、それぞれ異なる。そこで、以下の説明において、画像読取ユニット4により取得された画像データを初期画像データと記載し、初期画像データに対して低解像度変換された画像データを変換画像データと記載する。また、この表記に従い、初期画像データの画素を初期画素、変換画像データの画素を変換画素と記載する。そして、これらを特に区別しない場合には、画像データ及び画素と記載する。
【0019】
カラー判定装置3Aは、初期画像データに基づき、原稿がカラー原稿かモノクロ原稿であるかを判定する。このカラー判定装置3Aは、専用ハードウェアにより構成できるが、カラー判定手順をプログラム化してプログラム制御プロセッサ等で実行することも可能である。カラー判定手順をプログラム化した場合には、記録媒体に記録し又は通信手段により配信して利用することが可能である。
【0020】
画像形成ユニット8は、初期画像データ又は変換画像データに基づき画像形成する。その際に、カラー画像又はモノクロ画像のいずれにより画像形成するかは、原則としてカラー判定装置3Aの判定結果に従い、ユーザ等によりカラー又はモノクロの指定が行なわれている場合は、この指定に従う。
【0021】
上述したカラー判定装置3Aは、解像度変換ユニット10A、画素カラー判定部(カラー/モノクロ判定部)20、画素カラー再判定部(カラー/モノクロ再判定部)30、第1原稿カラー判定部(カウント・最終判定部)40、画素データ記憶部5、ルックアップテーブル記憶部6、フィルタ記憶部7等を含んでいる。また、解像度変換ユニット10Aは、第1解像度変換部(平滑化・サンプリング部)11A、特性値算出部(画素データ処理部)12を含んでいる。
【0022】
そして、画像読取ユニット4からの初期画像データは、画素データ記憶部5に記憶されると共に、カラー判定装置3Aに入力する。カラー判定装置3Aは、以下のような概略手順でカラー判定を行う。先ず、第1解像度変換部11Aは、初期画像データを低解像度の変換画像データに変換する。次に、特性値算出部12は、各変換画素の輝度成分値と色成分値とを算出する。
【0023】
そして、画素カラー判定部20は、これらの輝度成分値及び、色成分値の2つの成分値を用いて、各変換画素のカラー判定を行う。さらに、画素カラー再判定部30は、画素カラー判定部20によりカラー画素と判定された各変換画素に対して、複数のフィルタを用いたカラー再判定を行う。最後に、第1原稿カラー判定部40は、画素カラー再判定部30によりカラー画素と判定された変換画素数に基づき、原稿がカラー原稿かモノクロ原稿かの最終判定を行う。画像形成ユニット8は、カラー判定装置3Aの原稿カラー判定に従いカラー又はモノクロの画像を形成する。
【0024】
次に、上述のカラー判定装置3Aの詳細な構成を説明する。画像読取ユニット4からの初期画像データは、画素データ記憶部5に格納されると共に、第1解像度変換部11Aに入力する。
【0025】
第1解像度変換部11Aは、各変換画素のR(Red),G(Green),B(Blue)値の平滑化処理及びサンプリング処理を行うことで、初期画像データより低解像度の変換画像データを生成する。生成された変換画像データは、画素データ記憶部5に格納されると共に、特性値算出部12に出力される。
【0026】
初期画像データより解像度の低い変換画像データに変換することにより、原稿読取り時に色ズレ等の画像歪みが発生しても、カラー判定は、この画像歪みによる影響を受け難くなる。また、カラー判定対象となる画素数が少なくなるので、カラー判定処理に必要な処理負荷が低減する。なお、画素データ記憶部5に記憶された変換画像データは、拡大・縮小画像を形成すための画像形成用のデータとして用いることができる。
【0027】
特性値算出部12は、各変換画素のR,G,B値から輝度成分値及び色成分値を算出する。このとき、R,G,B値の平均値を輝度成分値とする。また、R値とG値との差分値と、R値とB値との差分値との大きい方の差分値を色成分値とする。無論、輝度成分値及び色成分値の算出方法は、上記の平均値や差分値に限定するものではない。
【0028】
画素カラー判定部20は、ルックアップテーブル記憶部6に予め記憶されたルックアップテーブルを参照して、特性値算出部12が算出した輝度成分値及び色成分値の2つの成分値に基づき、各変換画素のカラー判定を行う。以下、カラー判定処理において判定対象となった変換画素を注目画素という。変換画像データは複数の変換画素データから構成されているので、注目画素数は、変換画素数に対応する。即ち、カラー判定は、変換画素数だけ行われる。
【0029】
図2は、ルックアップテーブル記憶部6に記憶されているルックアップテーブルをグラフ化した図である。以下、グラフ化されたルックアップテーブルをルックアップ曲線という。
図2の横軸は輝度成分値、縦軸は色成分値を示している。そして、ルックアップ曲線Kを境に高色成分値側の領域がカラー領域に対応し、低色成分値側の領域がモノクロ領域に対応する。
【0030】
なお、このようなルックアップテーブルは、原稿の種類に対応して複数設けられて、適宜選択して用いることが可能である。例えば、再生紙や新聞紙等では、下地が色味掛かっている場合が多い。このような原稿では、下地色に応じたルックアップテーブルを用いることにより、正確なカラー判定が行える。
【0031】
画素カラー再判定部30は、予めフィルタ記憶部7に記憶されている輪郭形状の異なる複数のフィルタの中から、少なくとも1つのフィルタを用いて、画素カラー判定部20によりカラー画素と判定された変換画素に対してカラー再判定を行う。
【0032】
図3を参照して、フィルタを用いたカラー再判定処理を説明する。
図3(a)は、画素カラー判定部20によりカラー画素と判定された変換画素をハッチングにより識別可能に表示した画素マップである。
図3(b)は、この画素マップに対して輪郭形状が菱形のフィルタを適用した図である。
【0033】
図3(a)、(b)においては、説明の都合からハッチングされた領域を判定領域R1〜R4と領域分けされている。また、
図3(b)において、クロスハッチングが付されている変換画素は、カラー再判定の対象となっている変換画素(注目画素)を示している。
図3(b)では、判定領域R1,R4の内の1つの変換画素P1,P4を注目画素とした場合に、適用した菱形フィルタの輪郭T1,T4が太実線で示されている。
【0034】
画素カラー再判定部30は、菱形フィルタの輪郭T1,T4に内含される全ての変換画素が画素カラー判定部20によりカラー画素であると判定されたか否かの判定を行う。
図3(b)の表記に従えば、カラー再判定は、輪郭T1,T4内の全ての変換画素にハッチングが施されているか否かを判定することになる。
【0035】
このとき画素カラー判定部20によりカラー画素であると判定されたか否かをフラグで表現することも可能である。例えば、カラー画素と判定された変換画素には「1」、モノクロ画素と判定された変換画素には「0」のフラグを設定する。後述する
図17(a)は、ハッチングに変えてフラグによりカラー判定結果を表示している。
【0036】
さて、
図3(b)において、判定領域R1の変換画素P1を注目画素として菱形フィルタを適用したとき、輪郭T1に内包される全ての変換画素は、画素カラー判定部20によってカラー画素である。そこで、画素カラー再判定部30は、この変換画素P1をカラー画素と再判定する。
【0037】
一方、判定領域R4の変換画素P4を注目画素として菱形フィルタを適用したとき、輪郭T4に内包される全ての変換画素は、画素カラー判定部20によってカラー画素と判定されていない。即ち、輪郭T4に内包される変換画素には、ハッチングの施されていない変換画素が含まれている。そこで、画素カラー再判定部30は、変換画素P4をモノクロ画素と判定する。
【0038】
このように画素カラー再判定部30は画素カラー判定部20によりカラー画素と判定された変換画素に対してカラー再判定を行うので、カラー判定精度が、向上する。特に、所定の輪郭形状を持つフィルタを適用してカラー再判定を行うことは、カラー再判定の対象である注目画素と、この注目画素に隣接した周辺の変換画素とのカラー関係がカラー判定に取込まれることになるので、ノイズ等の影響を含む変換画素が画素カラー判定部20によりカラー画素と判定されても、周囲の変換画素からのモノクロ画像であると正しく判断することができる。
【0039】
ところで、フィルタによるカラー判定は、用いるフィルタの輪郭形状に大きく依存する。そこで、同一画素に対して輪郭形状の異なる複数のフィルタを用いて、複数回カラー判定を行う。これにより、カラー判定の判定精度が向上する。
【0040】
図4は、フィルタ記憶部7に記憶されているフィルタF(F1〜F6)を例示した図である。
図4において、ハッチングで形成される領域が、各フィルタF1〜F6を示している。各フィルタFは、1つの画素領域Faと複数の画素領域Fbとにより構成されている。画素領域Faは注目画素に対応させる画素領域であり、画素領域Fbは注目画素の周辺画素に対応させる領域である。各フィルタF1〜F6は、画像の特徴に応じて用いることが好ましい。
【0041】
例えば、色細線の場合は、画像は一次元的形状を持つ。そこで、このような特徴を持つ画像に対しては、1次元的な輪郭形状を持つフィルタF1,F2,F6等を用いる。また、写真のような場合は、画像は2次元的の広がりを持つ。そこで、このような特徴を持つ画像に対しては、2次元的な輪郭形状を持つフィルタF3,F4,F5等を用いる。この他に、活字画像の場合には、その特徴に応じた形状のフィルタを用いる。
【0042】
従って、例えばモノクロ画像であるが、ノイズや画像歪み等が存在するためにカラー画素と判定された場合でも、画像の特徴に応じたフィルタを用いることによりモノクロ画像と正確に判定できるようになる。
【0043】
また、複数のフィルタを用いてカラー判定すると、1つのフィルタを用いたカラー再判定でモノクロ画像と判定された場合でも、他のフィルタを用いることによりカラー画像と判定できる場合がある。即ち、輪郭形状の異なる複数のフィルタを用いてカラー再判定を行うことで、カラー判定結果に対するフィルタの輪郭形状依存性が抑えられる。
【0044】
例えば、色細線だけの特殊な画像のカラー判定を行う場合に、
図4に示すフィルタF5を用いてカラー判定すると、モノクロ画素と判定されることが多い。しかし、このような画像でもフィルタF1を用いてカラー判定すると、適正なカラー判定を行うことができる。
【0045】
このように、画素カラー判定部20によりカラー画素と判定された変換画素に対して、画素カラー再判定部30がカラー再判定を行うため、カラー判定精度が向上する。
【0046】
また、予め特殊原稿であることが分かっている場合は、この原稿に適したフィルタを選択して、カラー判定を行うことで、カラー判定精度が向上する。
【0047】
第1原稿カラー判定部40は、画素カラー再判定部30でカラー画素と判定された変換画素数をカウントし、そのカウント値が予め設定されたカラー基準値以上の場合に、カラー原稿と判定する。
【0048】
画像形成ユニット8は、画素データ記憶部5に記憶されている初期画像データを読み出し、第1原稿カラー判定部40による判定結果に基づきカラー印刷またはモノクロ印刷を実行する。このとき、画像を縮小等して印刷する場合には、変換画像データを用いる。
【0049】
次に、上述した画像処理装置2Aの画像処理手順を、
図5のフローチャートを参照して説明する。なお、以下においては、画像読取ユニット4は主走査方向及び副走査方向共に600dpiの解像度で、原稿を読取る場合を例に説明する。
【0050】
ステップSA1: まず、画像読取ユニット4により原稿を読取る。読取られた原稿の画像情報は、初期画像データとして画素データ記憶部5に記憶され、また第1解像度変換部11Aに出力される。この初期画像データは、主走査方向及び副走査方向共に600dpiの解像度データである。
【0051】
ステップSA2: そして、第1解像度変換部11Aは、初期画像データから、この初期画像データより低解像度の変換画像データを生成する。例えば、4画素(縦2画素×横2画素)のR,G,B値の平均値を算出し、その平均値を縦2画素×横2画素のR,G,B値とする。これにより縦2画素×横2画素は同じ値のR,G,B値を持つようになるので、縦2画素×横2画素を1つの変換画素にできる。これにより、主走査方向が300dpi、副走査方向が300dpiに変換された変換画像データが生成できる。
【0052】
ステップSA3,SA4: 続いて、第1解像度変換部11Aは、変換画像データの主走査方向及び副走査方向について解像度を300dpiから100dpiに変換する。解像度変換の方法として、例えば、左右2ライン/カラムを含めた5ライン/カラムでの加重平均を算出し、3ライン/カラム毎にサンプリングする方法が例示できる。
【0053】
このようにして得られた100dpiの変換画像データは、画素データ記憶部5に記憶される。なお、変換画像データが画素データ記憶部5に記憶されることにより、画像形成ユニット8がこの変換画像データに基づき画像形成できるようになる。このような解像度変換により、原稿読取り時に発生した画像歪みによる、カラー判定の判定精度の低下が抑制できると共に、カラー判定の対象となる画素数が少なるので、カラー判定に要する処理負荷が軽減できる。
【0054】
ステップSA5: 続いて、特性値算出部12は、各変換画素のR,G,B値から輝度成分値及び色成分値を算出する。輝度成分値は、R,G,B値の平均値とする。色成分値は、RとGの差分値、RとBの差分値との大きい方の差分値とする。輝度成分値や色成分値の算出方法は、上述した方法に限定されない。
【0055】
ステップSA6: 次に、画素カラー判定部20は、ステップSA5で算出された輝度成分値及び色成分値の2成分値が、
図2に示したルックアップ曲線Kで区画されるカラー領域とモノクロ領域のいずれの領域に位置するかの判定を行う。
【0056】
ステップSA7:画素カラー判定部20により、例えば
図3(a)のような判定領域R1〜R4が判定されたとする。このとき、画素カラー再判定部30は、フィルタ記憶部7の中から少なくとも1つのフィルタを読み出して、判定領域R1〜R4内の各変換画素に対してカラー再判定を行う。
【0057】
なお、カラー再判定処理においては、画素カラー判定部20でカラー画素と判定された変換画素を順次注目画素として、変換画素毎にカラー判定を行う。その際、1つの変換画素に対して、輪郭形状の異なる複数のフィルタを用いてカラー再判定が行なわれる。
【0058】
図6は、カラー判定を行う際に用いるフィルタ例を示す図である。以下、説明の都合から、
図6に示すフィルタを菱形フィルタF11,×形フィルタF12,+形フィルタF13と記載する。
【0059】
まず、カラー画素と判定された変換画素を順次注目画素として、例えば縦5画素×横5画素からなる菱形フィルタF11を用いてカラー判定を行う。
図7(a)、(b)は、
図3(b)に示した判定領域R1に対して、フィルタF11及びフィルタF13を適用した図である。
【0060】
このとき、
図7(a)に示すように、菱形フィルタF11の輪郭内に、画素カラー判定部20でモノクロ画素と判定された変換画素(ハッチングが施されていない変換画素)Gbが、存在している。しかし、変換画素P1は、カラー画素である可能性が大きい。即ち、1つのフィルタでカラー再判定を行うと、フィルタの輪郭形状により誤判定する可能性がある。そこで、
図7(b)に示すように、+形フィルタF13を適用すると、この+形フィルタF13に内包される変換画素は、全てハッチングが施された変換画素である。これにより、変換画素P1は、カラー画素と正しく判定される。
【0061】
このように誤判定を防止するために、同一の注目画素に対して、菱形フィルタF11を用いてカラー判定を行った後、×形フィルタF12を用いて2回目の再判定を実行し、さらに輪郭形状の異なる+形フィルタF13を用いて3回目のカラー判定を行う。
【0062】
そして、複数回のカラー判定のうちで1回でもカラー画素と判定された場合には、この注目画素は、カラー画素であると判定される。これにより、正確なカラー判定が行えるようになる。
【0063】
なお、
図6に示したようなフィルタF11〜F13を用いてカラー判定を行うが、これらのフィルタF11〜F13は、原稿の特徴に対応していないことがある。例えば、原稿が色細線の場合、画像は1次元的であるので、
図8に示すような輪郭形状のフィルタF21〜F23や
図9に示すような輪郭形状のフィルタF31〜F33等を用いることが好ましい。原稿の特徴を判断する機能をカラー判定装置3A等に追設することも可能であるが、ユーザが指定できるようにしてもよい。
【0064】
特殊原稿のカラー判定に用いるフィルタの組であっても、その組の中には2次元的広がりを持つ面状のフィルタを1つ含めることが好ましい。これは原稿の読取りにおいて発生することのある色ズレがカラー判定に与える影響を小さくするためである。
【0065】
ここで2次元的広がりを持つ面状のフィルタとは、
図4のフィルタF5,
図6のフィルタF11,
図8のフィルタF21,
図9のフィルタF31等のように、注目画素を取り囲む画素領域を含むようなフィルタである。この意味から、面状のフィルタは、菱形フィルタに限定されない。
【0066】
ステップSA8: 第1原稿カラー判定部40は、画素カラー再判定部30によりカラー画素と判定された変換画素数をカウントし、カウント値が所定のカラー基準値以上の場合に、読取原稿をカラーと最終判定する。例えば、カウント値が「1」以上であればカラー、「0」であればモノクロと判定する。
【0067】
ステップSA9: 画像形成ユニット8は、画素データ記憶部5に記憶されている初期画像データ又は変換画像データを読み出して、第1原稿カラー判定部40の最終判定に従ってカラー又はモノクロの印刷を実行する。
【0068】
上述したように、本実施形態によれば、初期画像データを解像度の小さい変換画像データに変換してカラー判定を行うので、カラー判定処理負荷が軽減すると共に、色ズレ等による誤判定が防止できる。また、複数回のカラー再判定処理を行って、原稿がカラー原稿であるか否かの最終判断を行うので、カラー判定精度が向上する。さらに、カラー再判定において、輪郭形状の異なる複数のフィルタを用いるので、カラー判定精度が向上する。これにより、高品質な画像形成が可能になる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。なお、第1の実施形態と同一構成に関しては同一符号を用いて説明を適宜省略する。第1の実施形態においては、変換画像データにおける各変換画素のRGB値から輝度成分値及び色成分値を算出し、これらの輝度成分値及び色成分値に基づき画素カラー判定部がカラー判定を行った。これに対し、本実施形態は、各初期画素のRGB値をY,Cb,Cr値に変換して、このY,Cb,Cr値に基づきカラー判定が行なわれる。
【0069】
図10は、本発明にかかる第2の実施形態の画像処理装置2Bのブロック図である。画像処理装置2Bは、原稿の画像データを取得する画像読取ユニット4、原稿のカラー判定を行うカラー判定装置3B、画像形成する画像形成ユニット8を備える。
【0070】
図10に示す画像読取ユニット4は、第1の実施形態における
図1に示した画像読取ユニット4と同じ構成であり、内部構成が詳細に示されている点で相違する。即ち、画像読取ユニット4は、
図10に示すように、イメージセンサ等を含む画像読取部4a、画像を読込む際にシェーディング補正、色収差補正、ライン間補正を行う第1のデータ処理部4b、読込んだ画像データ(初期画像データ)に対してγ補正、下地除去、拡大・縮小等の画像処理を行う第2のデータ処理部4cを含んでいる。
【0071】
シェーディング補正、色収差補正等は、第1のデータ処理部4bと第2のデータ処理部4cとのいずれに含まれるかは問わない。例えば、色収差補正を第2のデータ処理部4cに含めた構成でも良い。また、第2のデータ処理部4cとカラー判定装置3Bの構成は、並列に配置される必要はなく、カラー判定装置3Bの出力が第2のデータ処理部4cに入力するように、カラー判定装置3Bと第2のデータ処理部4cとが直列する構成でもよい。
【0072】
カラー判定装置3Bは、解像度変換ユニット10B、画素カラー判定部20、画素カラー再判定部30、第1原稿カラー判定部40、画素データ記憶部5、ルックアップテーブル記憶部6、フィルタ記憶部7等を含んでいる。解像度変換ユニット10Bは、色空間変換部13、量子化部14、第1解像度変換部11B、色空間逆変換部15、特性値算出部12を含んでいる。
【0073】
色空間変換部13は、各初期画素のR,G,B値をY,Cb,Cr値に変換する。R,G,B色空間では、「R,G,Bの値の大きさ」という形で色を表現しているのに対し、Y,Cb,Cr色空間では「輝度Yの値と、色差Cb、Crの値」という形で色を表現している。従って、同じ色空間に対する表現の違いであるので、R,G,B値とY,Cb,Cr値とは相互変換が可能である。
【0074】
量子化部14は、色空間変換部13で得られた各初期画素のCb,Cr値を量子化する。ここではY値を8ビット、Cb,Cr値をそれぞれ4ビットに量子化する場合を説明する。このように、初期画像データを量子化することによりカラー判定処理の負荷が軽減される。
【0075】
第1解像度変換部11Bは、量子化された初期画像データを第1の実施形態における第1解像度変換部11Aが行う解像度変換処理に従い主走査方向及び副走査方向の解像度を、100dpiに変換する。これにより原稿読取り時に画像歪み等が発生しても、これがカラー判定に与える影響が抑制できると共に、画素数が少なくなることにより、カラー判定処理の処理負荷が軽減される。
【0076】
色空間逆変換部15は、第1解像度変換部11Bが出力した変換画像データにおける各変換画素のY,Cb,Cr値をR,G,B値に変換する。
【0077】
このようにして解像度変換が行われた変換画像データに基づき、第1の実施形態において説明したカラー判定を行うことが可能になる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。なお、第1の実施形態及び第2の実施形態と同一構成に関しては、同一符号を用い説明を適宜省略する。
【0078】
図11は、本実施形態にかかる画像処理装置2Cのブロック図である。画像処理装置2Cは、原稿画像を読取る画像読取ユニット4、カラー判定を行うカラー判定装置3C、画像形成する画像形成ユニット8を含む。
【0079】
カラー判定装置3Cは、解像度変換ユニット10C、画素カラー判定部20、画素カラー再判定部30、第1原稿カラー判定部40、不定画像判定ユニット50、第2原稿カラー判定部80、画素データ記憶部5、ルックアップテーブル記憶部6、フィルタ記憶部7を含んでいる。解像度変換ユニット10Cは、第1解像度変換部11A、領域除去部16、色味調整部17を含む。また、不定画像判定ユニット50は、第2解像度変換部60、不定画像判定部70を含んでいる。
【0080】
第1解像度変換部11Aは、各初期画素のR,G,B値の平滑化・サンプリング処理を行い、主走査方向及び副走査方向の解像度を例えば600dpiから100dpiまで小さくして、これを変換画像データとして出力する。例えば、縦2画素×横2画素の4画素単位のR,G,B値の平均値をとる。次に、左右2ラインを含めた5ラインでの加重平均を行い、2ライン飛ばしでサンプリングを行い、主走査方向及び副走査方向の解像度を100dpiにする。
【0081】
領域除去部16は、変換画像データから読取画像における周囲領域に対応するデータを除く。
図12は、領域除去部16により変換画像データW1から除去する周囲領域W2にハッチングした図である。なお、周囲領域W2の寸法は、領域除去部16に設けられている図示しないレジスタに予め変更可能に記憶されている。
【0082】
原稿の画像情報は、原稿サイズ一杯に記載されていることは少なく、周囲に余白が設けられていることが多い。従って、この余白領域である周囲領域W2に対するカラー判定処理は、無駄な処理となる。
【0083】
また、画像読取ユニット4において原稿を読取る場合、原稿の用紙端は主走査方向又は副走査方向と平行でなく、傾いていることがある。傾いている原稿を読取ると、初期画像データには原稿端に相当する線が含まれることがある。この線は原稿情報でないため、かかる線画像に対してカラー判定処理を行うと、処理の無駄を招くと共に、カラー判定を誤ることがある。そこで、領域除去部16は、変換画像データW1から画像の周囲領域W2に相当するデータを除くことで、効率的なカラー判定処理が行えるようにすると共に、カラー誤判定を抑制する。なお、第1解像度変換部11Aと領域除去部16との順序を変えても良い。
【0084】
色味調整部17は、特定の色傾向によるカラー判定の偏りを補正するために、各変換画素におけるR,G,B値を再計算し、色味の微調整を行う。
【0085】
この色味調整方法として、以下のような方法が可能である。即ち、色味調整前の変換画素のR,G,BをRin,Gin,Bin、色味調整後の変換画素のR,G,BをRout,Gout,Bout、重み係数をKrr,Krg,Krb,Kgr,Kgg,Kgb,Kbr,Kbg,Kbbとする。このとき、色味調整後のRout,Gout,Bout値は、
Rout=(Rin*Krr+Gin*Krg+Bin*Krb)/8
Gout=(Rin*Kgr+Gin*Kgg+Bin*Kgb)/8
Bout=(Rin*Kbr+Gin*Kbg+Bin*Kbb)/8
の3×3のマトリクス演算により算出できる。重み係数は、14bitの符号付き実数(固定小数点)とする。この重み係数は、図示しないレジスタに予め記憶されている。なお、色味調整部17における色味調整方法は、上述した方法に限定されない。
【0086】
色味調整部17からの色味調整された変換画像データのR,G,B値は、特性値算出部12に入力して、各変換画素の輝度成分値と色成分値とが算出されて、画素カラー判定部20に入力する。
【0087】
図13は、画素カラー判定部20のブロック図である。画素カラー判定部20は、平均値算出器21、Cb’算出器22a、Cr’算出器22b、彩度算出器23、シフトレジスタ24a,24b、比較器25を含む。
【0088】
平均値算出器21は、特性値算出部12からR,G,Bの平均値を算出して、輝度成分値Adrとする。そして、平均値算出器21で算出された輝度成分値Adrをアドレスとして、ルックアップテーブル記憶部6に記憶されているルックアップテーブルを検索する。ルックアップテーブルは、
図2に示したように輝度成分値と色成分値との対応関係を示し、輝度成分値がアドレスに対応している。従って、アドレスを指定することは、輝度成分値を指定することであり、このアドレス領域に記憶されている値は、色成分値となる。そこで、輝度成分値Adrのアドレス領域に記憶されている色成分値を読み出す。読み出された色成分値は、比較器25に入力する。
【0089】
例えば、
図2に示すように、アドレスがK1のとき、このアドレスK1のメモリ領域に記憶されている色成分値K2がルックアップテーブル記憶部6から読み出される。
【0090】
一方、Cb’算出器22aは、Cb’=B−Gの演算式に従い色成分値Cb’を算出し、Cr’算出器22bは、Cr’=R−Gの演算式に従い色成分値Cr’を算出する。
【0091】
そして、Cb’算出器22aからの色成分値Cb’、Cr’算出器22bからの色成分値Cr’は、彩度算出器23に入力して、色成分値Cb’と色成分値Cr’との大きい方の色成分値が選択されて、比較器25に出力される。
【0092】
比較器25は、彩度算出器23からの色成分値と、ルックアップテーブル記憶部6からの色成分値との大小を比較する。ルックアップテーブル記憶部6から読み出された色成分値をK2、彩度算出器23からの色成分値をK3とすると、比較器25は、K2とK3との大小を判定することになる。判定結果は「0」又は「1」のレベルの信号(フラグ)として、画素カラー再判定部30に出力される。即ち、K2<K3の場合は、注目画素はカラー画素であるとして「1」に設定され、K2≧K3の場合は、注目画素はモノクロ画素であるとして「0」に設定されたフラグが出力される。
【0093】
また、Cb’算出器22aからの色成分値Cb’は、シフトレジスタ24aに入力し、Cr’算出器22bからの色成分値Cr’は、シフトレジスタ24bに入力する。このシフトレジスタ24a,24bで、色成分値Cb’,Cr’は、2倍されて、色成分値Cb(=2*Cb’),Cr(=2*Cr’)として、第2解像度変換部60に出力される。
【0094】
画素カラー再判定部30は、
図4等に例示したフィルタを用いて画素カラー判定部20でカラー画素と判定された変換画素に対してカラー再判定を行う。画素カラー再判定部30によるカラー再判定結果は、カラーフラグとして第1原稿カラー判定部40及び第2解像度変換部60に出力される。
【0095】
図14は、第1原稿カラー判定部40のブロック図である。第1原稿カラー判定部40は、カウンタ41、比較器42を含む。カウンタ41は、画素カラー再判定部30によりカラー画素と判定されたフィルタ領域が、変換画像データ全体でいくつあったかを計数して、その計数値を保守レジスタ及び比較器42に出力する。保守レジスタに記憶された計数値は、保守時において利用される。
【0096】
比較器42には、カラー基準値及びモノクロ基準値が予め設定されている。そして、カウンタ41からの計数値が入力すると、比較器42は、計数値と、カラー基準値及びモノクロ基準値との比較を行う。この比較により、計数値がカラー基準値より大きい場合には、カラー原稿と判定する。また、計数値がモノクロ基準値より小さい場合には、モノクロ原稿と判定する。一方、計数値が、カラー基準値とモノクロ基準値との間の場合には、原稿のカラー判定ができない(判定不可)と判定する。
【0097】
不定画像判定部70は、第1原稿カラー判定部40において判定不可とされた場合に、画素カラー再判定部30でカラー画素と判定された変換画素に対して彩度積算値フィルタにより、一定領域の彩度積算値を算出する。そして、彩度基準値と比較することで原稿のカラー判定を行う。
【0098】
このとき、第2解像度変換部60は、不定画像判定部70において用いられる作業メモリ要領を低減するために、各変換画素の色成分値Cb,Crを、主走査方向に低解像度化する。このような解像度変換を行うため、第2解像度変換部60には、画素カラー再判定部30からカラーフラグ及び色成分値Cb,Crが入力して、これらに基づき画素カラー再判定部30で判定不可となった変換画素を中心とする一定の周囲領域について、カラーフラグおよび色成分値を主走査方向に解像度変換する。
【0099】
図15は、第2解像度変換部60のブロック図である。
図15においては、1/8に低解像度化する場合が例示されているが、1/2,1/4等に低解像度化することも可能である。ただし、あまりに低解像度化してしまうと、その分広い領域の平均を取ることになり、小さいカラー領域の判定精度が落ちてしまう。従って、原稿の特徴により適切な値が設定されることが好ましい。
【0100】
第2解像度変換部60は、色成分値Cb,Crが入力するシフトレジスタ61a,61b、入力した色成分値Cb,Crを加算する加算器62a,62b、加算した色成分値Cb,Crを除算する除算器63a,63bを備える。
【0101】
また、第2解像度変換部60は、カラーフラグが入力するシフトレジスタ64、入力したカラーフラグの中で例えばカラー画像を示す「1」のフラグを選択して出力するOR回路65、OR回路65からの出力を計数するカウンタ66を備える。
【0102】
そして、画素カラー再判定部30から注目画素を中心に主走査方向の8個の変換画素の色成分値Cb_n−7,Cb_n−6,…,Cb_n、色成分値Cr_n−7,Cr_n−6,…Cr_nがシフトレジスタ61a,61bに入力する。このときの注目画素は、画素カラー再判定部30においてカラー画素と判定された変換画素である。
【0103】
シフトレジスタ61a,61bに入力した各色成分値は、それぞれ加算器62a,62bに入力して加算される。その後、加算された色成分値は、除算器63a,63bに入力して、除算される。
図15の場合、8個の変換画素の色成分値が、加算器62a,62bで加算されるので、除算器63a,63bでは加算された色成分値は、8で除算される。これにより、1/8の解像度変換が行われた。なお、
図15において説明した平均化処理は、所謂単純移動平均化処理であるが、単純間引きや内分点演算等の他の方法による処理でもよい。
【0104】
一方、画素カラー再判定部30からの注目画素を中心に主走査方向の8個の変換画素のカラーフラグF_n−7、F_n−6、…、F_nが、シフトレジスタ64に入力して、OR回路65に入力する。OR回路65は、入力したカラーフラグの中で、カラー画素を示す「1」が1つでも存在すれば、「1」を出力する。以下、このカラーフラグを二次判定用カラーフラグと記載する。
【0105】
OR回路65から出力された二次判定用カラーフラグは、不定画像判定部70に出力されると共に、フラグ値「1」である変換画素数がカウンタ66で計数されて図示しない保守レジスタに記憶される。
【0106】
不定画像判定部70は、彩度の積算値による見極めを行う。これは色ズレが発生している場合、彩度の積算値が「0」に近づくという特性があるので、彩度を積算することにより色ズレの発生による影響を抑制するためである。
【0107】
図16は、不定画像判定部70の詳細ブロック図である。不定画像判定部70は、ラインバッファ71a,71b、1×7フィルタ領域積算器72a,72b、3×7フィルタ領域積算器73a,73b、セレクタ74a,74b、積算値出力判定器75a,75b、最大値保持レジスタ76、比較器77、セレクト情報レジスタ78を含む。
【0108】
図16においては、不定画像判定部70が、1×7フィルタ領域積算器72a,72b、3×7フィルタ領域積算器73a,73bを備える場合について例示しているが、いずれか一方のフィルタ領域積算器であっても良い。
【0109】
また、彩度積算領域は、横1画素x縦7画素等に限定されないが、大きな領域に設定すると、演算処理に際して大きなメモリ領域(ラインバッファ71a,71bの容量)が必要になると共に、処理速度の低下の要因となるので、状況に応じて設定することが好ましい。上述した、横1画素x縦7画素や横3画素x縦7画素は、実際に行った結果、少ないメモリ領域で処理速度の低下を伴うことなく、かつ、判定精度を低下させることのない実験条件として得られた値である。
【0110】
このような構成で、第2解像度変換部60から彩度Cb,Crが、ラインバッファ71a,71b、1×7フィルタ領域積算器72a,72b、3×7フィルタ領域積算器73a,73bに入力する。1×7フィルタ領域積算器72a,72b及び3×7フィルタ領域積算器73a,73bは、ラインバッファ71a,71bを作業メモリとして、彩度Cb,Crを積算する。
【0111】
図17(a)は、3×7フィルタ領域積算器73a,73bにより彩度Cb,Crを積算する際の二次判定用カラーフラグのマップ、
図17(b)は各変換画素における彩度Cb,Crの表記を示した図である。
図17(a)においては、太線で囲まれた横3画素x縦7画素の彩度積算領域Jに対して彩度積算値を行うことを示している。
【0112】
この彩度積算領域Jにおける各変換画素の彩度を、
図17(b)のように、Cb(0,0),Cb(0,1),…,Cb(6,2)、Cr(0,0),Cr(0,1)…Cr(6,2)と記載したとき、3×7フィルタ領域積算器73a,73bの彩度積算値は、式1及び式2に従い、
SUM_Cb=Cb(0,0)+Cb(0,1)+…+Cb(6,2) … (1)
SUM_Cr=Cr(0,0)+Cr(0,1)+…+Cr(6,2) … (2)
と算出される。
【0113】
セレクタ74a,74bには、1×7フィルタ領域積算器72a,72bと、3×7フィルタ領域積算器73a,73bとの出力彩度積算値SUM_Cb,SUM_Crが入力すると共に、セレクト情報レジスタ78からセレクト信号が入力している。このセレクト信号は、ユーザ等により設定された信号で、1×7フィルタ領域積算器72a,72bと、3×7フィルタ領域積算器73a,73bとのいずれの積算値を用いるかを指定する。
【0114】
セレクタ74a,74bで選択された彩度積算値SUM_Cb,SUM_Crは、積算値出力判定器75a,75bに入力する。この積算値出力判定器75a,75bには、第2解像度変換部60から二次判定用カラーフラグが入力している。
【0115】
そこで、積算値出力判定器75a,75bは、二次判定用カラーフラグが「1」の場合に、彩度積算値SUM_Cb,SUM_Crを最大値保持レジスタ76に出力する。
【0116】
積算値出力判定器75a,75bからの出力は、最大値保持レジスタ76に入力し、この最大値保持レジスタ76で、彩度積算値SUM_Cb,SUM_Crの内で大きい値(彩度最大絶対値という)が選択されて保持される。選択された彩度積算値は、比較器77及び保守用レジスタに出力される。
【0117】
比較器77には、最大値保持レジスタ76からの彩度積算値が入力すると共に、図示しないレジスタから彩度値基準が入力する。そこで、比較器77は、彩度値基準と最大値保持レジスタ76からの彩度積算値とを比較する。比較の結果、最大値保持レジスタ76からの彩度積算値が彩度値基準より大きい場合には、カラー画素と判定し、小さい場合はモノクロ画素と判定する。
【0118】
第2原稿カラー判定部80は、画素カラー再判定部30と不定画像判定部70における判定結果を統合して出力する。
【0119】
図18は、画素カラー再判定部30と不定画像判定部70における判定結果を纏めた図である。画素カラー再判定部30で、判定不可とされた変換画素が、不定画像判定部70における彩度基準値と彩度最大絶対値との比較により、カラー判定できることが示されている。
【0120】
そこで、第2原稿カラー判定部80は、画素カラー再判定部30でカラー画像又はモノクロ画像と判断された場合には、このカラー判定を採用し、画素カラー再判定部30でカラー判定不可と判断された場合には、不定画像判定部70の判定結果を採用する。
【0121】
なお、上記説明では、不定画像判定ユニット50は、第1原稿カラー判定部40において判定不可とされた場合に、原稿のカラー判定を行った。しかし、本実施形態は、これに限定されない。例えば、不定画像判定ユニット50は、画素カラー再判定部30の判定結果に基づき原稿のカラー判定を行い、その結果を第2原稿カラー判定部80に出力することが可能である。そして、第2原稿カラー判定部80は、第1原稿カラー判定部40からの判定結果が「判定不可」の場合に、不定画像判定ユニット50の判定結果を採用する。
【0122】
このように、不定画像判定ユニット50が第1原稿カラー判定部40と並列に判定処理を行うことにより、不定画像判定ユニット50は、第1原稿カラー判定部40の判定結果を待つことなく、画素カラー再判定部30の判定結果に基づき原稿のカラー判定を行うことができる。そして、不定画像判定ユニット50の判定処理において必要となるラインメモリ等の作業メモリの削減が可能になる。
【0123】
以上のように、彩度積算値フィルタを加えただけの簡易な構成で、カラー判定やカラー再判定で判定できない原稿に対しても、適正なカラー判定が可能になる。従って、小回路規模ハードウェアのみで信頼性の高いカラー判定が可能になる。
【0124】
以上本発明の特徴を以下に纏める。
(付記1)
複数の画素データを含む原稿の画像データに基づき、前記原稿がカラー原稿かモノクロ原稿かを判定するカラー判定装置であって、
前記画素データの輝度成分値及び色成分値に基づき、前記画素のカラー判定を行う画素カラー判定部と、
前記画素カラー判定部がカラー画素と判定した前記画素の1つを注目画素に順次設定し、前記注目画素に外郭形状の異なる複数のフィルタを適用した際に、前記フィルタに内包される全ての前記画素が前記画素カラー判定部によりカラー画素と判定されているか否かに応じて前記注目画素のカラー再判定を行う画素カラー再判定部と、
前記画素カラー再判定部によりカラー画素と再判定された前記画素数と予め設定された基準値との比較により、前記原稿のカラー・モノクロを判定する第1原稿カラー判定部と、を備えることを特徴とするカラー判定装置。
【0125】
(付記2)
付記1に記載のカラー判定装置であって、
前記画像データより低い解像度の画像データに、前記画像データの解像度を変換して、前記画素カラー判定部に出力する第1解像度変換部を備えることを特徴とするカラー判定装置。
【0126】
(付記3)
付記1又は2に記載のカラー判定装置であって、
前記第1原稿カラー判定部が、カラー基準値及びモノクロ基準値により前記原稿のカラー・モノクロを判定し、その際に、前記画素数が、前記カラー基準値より大きい場合には、カラー画像と判定し、前記モノクロ基準値より小さい場合には、モノクロ画像と判定し、前記カラー基準値と前記モノクロ基準値との間の場合は、判定不可とすることを特徴とするカラー判定装置。
(付記4)
付記1乃至3のいずれかの項に記載のカラー判定装置であって、
前記画素カラー再判定部は、輪郭形状の異なる複数の前記フィルタを用いて、前記注目画素のカラー再判定を複数回行うことを特徴とするカラー判定装置。
(付記5)
付記1乃至4のいずれかの項に記載のカラー判定装置であって、
前記画素カラー再判定部が前記カラー再判定の際に用いる前記フィルタには、輪郭形状が2次元的広がりを持つ面状の前記フィルタが含まれることを特徴とするカラー判定装置。
(付記6)
付記1乃至5のいずれかの項に記載のカラー判定装置であって、
前記画素カラー再判定部が前記カラー再判定の際に用いる前記フィルタは、原稿の特徴に応じてユーザにより指定されることを特徴とするカラー判定装置。
(付記7)
付記4乃至6のいずれかの項に記載のカラー判定装置であって、
前記画素カラー再判定部は、少なくとも1つの前記フィルタによりカラー画素と再判定された場合には、前記注目画素をカラー画素と再判定することを特徴とするカラー判定装置。
(付記8)
付記2乃至7のいずれかの項に記載のカラー判定装置であって、
前記解像度変換部は、所定範囲における前記画素データのR,G,B値を統計処理して、解像度変換された前記画素のR,G,B値を算出する特性値算出部を備えることを特徴とするカラー判定装置。
(付記9)
付記2乃至7のいずれかの項に記載のカラー判定装置であって、
前記解像度変換部は、所定範囲における前記画素データのR,G,B値を量子化されたY,Cb,Cr値に変換して、該Y,Cb,Cr値を統計処理して、解像度変換された前記画素のR,G,B値を算出する特性値算出部を備えることを特徴とするカラー判定装置。
(付記10)
付記2乃至9のいずれかの項に記載のカラー判定装置であって、
前記解像度変換部が、前記画像データの周囲領域のデータを除去する領域除去部を備えることを特徴とするカラー判定装置。
(付記11)
付記3乃至10のいずれかの項に記載のカラー判定装置であって、
前記画素カラー再判定部でカラー画素と判定された変換画素の彩度積算値を算出して、該彩度積算値が予め設定された彩度基準値より大きい場合には、カラー原稿と判定し、前記彩度基準値より小さい場合には、モノクロ原稿と判定する不定画像判定部を備えることを特徴とするカラー判定装置。
(付記12)
付記11に記載のカラー判定装置であって、
前記不定画像判定部が、複数の積算方法から指定された積算方法に従い前記彩度積算値を算出することを特徴とするカラー判定装置。
(付記13)
原稿画像を読取り画像データを出力する画像読取ユニットと、
前記画像データに基づき原稿のカラー・モノクロを判定する付記1乃至12のいずれか1項に記載のカラー判定装置と、
前記カラー判定装置の判定結果に従い、前記画像データの画像を形成する画像形成ユニットと、を備えることを特徴とする画像処理装置。
(付記14)
複数の画素データを含む原稿の画像データに基づき、前記原稿がカラー原稿かモノクロ原稿かを判定するカラー判定方法であって、
前記画素データの輝度成分値及び色成分値に基づき、前記画素のカラー判定を行う画素カラー判定手順と、
前記画素カラー判定手順でカラー画素と判定された前記画素の1つを注目画素に順次設定し、前記注目画素に外郭形状の異なる複数のフィルタを適用した際に、前記フィルタに内包される全ての前記画素が前記画素カラー判定手順によりカラー画素と判定されているか否かに応じて前記注目画素のカラー再判定を行う画素カラー再判定手順と、
前記画素カラー再判定手順によりカラー画素と再判定された前記画素数と予め設定された基準値との比較により、前記原稿のカラー・モノクロを判定する第1原稿カラー判定手順と、を含むことを特徴とするカラー判定方法。
(付記15)
付記14に記載のカラー判定方法であって、
前記画像データより低い解像度の画像データに、前記画像データの解像度を変換して、前記画素カラー判定手順にに出力する第1解像度変換手順を含むことを特徴とするカラー判定方法。
(付記16)
付記14又は15に記載のカラー判定方法であって、
前記第1原稿カラー判定手順が、カラー基準値及びモノクロ基準値により前記原稿のカラー・モノクロを判定し、前記画素数が、前記カラー基準値より大きい場合にはカラー画像と判定し、前記モノクロ基準値より小さい場合には、モノクロ画像と判定し、前記カラー基準値と前記モノクロ基準値との間の場合は判定不可とすることを特徴とするカラー判定方法。
(付記17)
付記14乃至16のいずれかの項に記載のカラー判定方法であって、
前記画素カラー再判定手順は、輪郭形状の異なる複数の前記フィルタを用いて、前記注目画素のカラー再判定を複数回行うことを特徴とするカラー判定方法。
(付記18)
付記14乃至17のいずれかの項に記載のカラー判定方法であって、
前記画素カラー再判定手順が前記カラー再判定の際に用いる前記フィルタには、輪郭形状が2次元的広がりを持つ面状の前記フィルタが含まれることを特徴とするカラー判定方法。
(付記19)
付記17又は18のいずれかの項に記載のカラー判定方法であって、
前記画素カラー再判定手順は、少なくとも1つの前記フィルタによりカラー画素と再判定された場合には、前記注目画素をカラー画素と再判定することを特徴とするカラー判定方法。
(付記20)
付記15乃至18のいずれかの項に記載のカラー判定方法であって、
前記第1解像度変換手順は、所定範囲における前記画素データのR,G,B値を統計処理して、解像度変換された前記画素のR,G,B値を算出する特性値算出手順を含むことを特徴とするカラー判定方法。
(付記21)
付記15乃至18のいずれかの項に記載のカラー判定方法であって、
前記第1解像度変換手順は、所定範囲における前記画素データのR,G,B値を量子化されたY,Cb,Cr値に変換して、該Y,Cb,Cr値を統計処理して、解像度変換された前記画素のR,G,B値を算出する特性値算出手順を含むことを特徴とするカラー判定方法。
(付記22)
付記15乃至21のいずれかの項に記載のカラー判定方法であって、
前記第1解像度変換手順が、前記画像データの周囲領域のデータを除去する領域除去手順を含むことを特徴とするカラー判定方法。
(付記23)
付記16乃至22のいずれかの項に記載のカラー判定方法であって、
前記画素カラー再判定手順でカラー画素と判定された変換画素の彩度積算値を算出して、該彩度積算値が予め設定された彩度基準値より大きい場合には、カラー原稿と判定し、前記彩度基準値より小さい場合には、モノクロ原稿と判定する不定画像判定手順を含むことを特徴とするカラー判定方法。
(付記24)
付記23に記載のカラー判定方法であって、
前記不定画像判定手順が、複数の積算方法から指定された積算方法に従い前記彩度積算値を算出することを特徴とするカラー判定方法。
(付記25)
複数の画素データを含む原稿の画像データに基づき、前記原稿がカラー原稿かモノクロ原稿かを判定するカラー判定処理をプログラム制御プロセッサに実行させるためのプログラムであって、
前記画素データの輝度成分値及び色成分値に基づき、前記画素のカラー判定を行う画素カラー判定ステップと、
前記画素カラー判定ステップでカラー画素と判定された前記画素の1つを注目画素に順次設定し、前記注目画素に外郭形状の異なる複数のフィルタを適用した際に、前記フィルタに内包される全ての前記画素が前記画素カラー判定ステップによりカラー画素と判定されているか否かに応じて前記注目画素のカラー再判定を行う画素カラー再判定ステップと、
前記画素カラー再判定ステップによりカラー画素と再判定された前記画素数と予め設定された基準値との比較により、前記原稿のカラー・モノクロを判定する第1原稿カラー判定ステップと、を含むことを特徴とするカラー判定プログラム。
(付記26)
付記25に記載のカラー判定プログラムであって、
前記画像データより低い解像度の画像データに、前記画像データの解像度を変換して、前記画素カラー判定ステップに出力する第1解像度変換ステップを含むことを特徴とするカラー判定プログラム。
(付記27)
付記25又は26に記載のカラー判定プログラムであって、
前記第1原稿カラー判定ステップが、カラー基準値及びモノクロ基準値により前記原稿のカラー・モノクロを判定し、前記画素数が、前記カラー基準値より大きい場合にはカラー画像と判定し、前記モノクロ基準値より小さい場合には、モノクロ画像と判定し、前記カラー基準値と前記モノクロ基準値との間の場合は判定不可とすることを特徴とするカラー判定プログラム。
(付記28)
付記25乃至27のいずれかの項に記載のカラー判定プログラムであって、
前記画素カラー再判定ステップは、輪郭形状の異なる複数の前記フィルタを用いて、前記注目画素のカラー再判定を複数回行うことを特徴とするカラー判定プログラム。
(付記29)
付記25乃至28のいずれかの項に記載のカラー判定プログラムであって、
前記画素カラー再判定ステップが前記カラー再判定の際に用いる前記フィルタには、輪郭形状が2次元的広がりを持つ面状の前記フィルタが含まれることを特徴とするカラー判定プログラム。
(付記30)
付記28乃至29のいずれかの項に記載のカラー判定プログラムであって、
前記画素カラー再判定ステップは、少なくとも1つの前記フィルタによりカラー画素と再判定された場合には、前記注目画素をカラー画素と再判定することを特徴とするカラー判定プログラム。
(付記31)
付記26乃至30のいずれかの項に記載のカラー判定プログラムであって、
前記第1解像度変換ステップは、所定範囲における前記画素データのR,G,B値を統計処理して、解像度変換された前記画素のR,G,B値を算出する特性値算出ステップを含むことを特徴とするカラー判定プログラム。
(付記32)
付記26乃至30のいずれかの項に記載のカラー判定プログラムであって、
前記第1解像度変換ステップは、所定範囲における前記画素データのR,G,B値を量子化されたY,Cb,Cr値に変換して、該Y,Cb,Cr値を統計処理して、解像度変換された前記画素のR,G,B値を算出する特性値算出ステップを含むことを特徴とするカラー判定プログラム。
(付記33)
付記25乃至32のいずれかの項に記載のカラー判定プログラムであって、
前記第1解像度変換ステップが、前記画像データの周囲領域のデータを除去する領域除去ステップを含むことを特徴とするカラー判定プログラム。
(付記34)
付記26乃至33のいずれかの項に記載のカラー判定プログラムであって、
前記画素カラー再判定ステップでカラー画素と判定された変換画素の彩度積算値を算出して、該彩度積算値が予め設定された彩度基準値より大きい場合には、カラー原稿と判定し、前記彩度基準値より小さい場合には、モノクロ原稿と判定する不定画像判定ステップを含むことを特徴とするカラー判定プログラム。
(付記35)
付記34に記載のカラー判定プログラムであって、
前記不定画像判定ステップが、複数の積算方法から指定された積算方法に従い前記彩度積算値を算出することを特徴とするカラー判定プログラム。
【0127】
本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。この出願は、2009年9月2日に出願された日本出願特願2009−202233を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。