特許第5666857号(P5666857)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5666857
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】ガスコンセント用の保護キャップ
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/08 20060101AFI20150122BHJP
   F16K 27/06 20060101ALI20150122BHJP
【FI】
   F16K27/08
   F16K27/06 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-200116(P2010-200116)
(22)【出願日】2010年9月7日
(65)【公開番号】特開2012-57686(P2012-57686A)
(43)【公開日】2012年3月22日
【審査請求日】2013年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000151977
【氏名又は名称】株式会社藤井合金製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100128901
【弁理士】
【氏名又は名称】東 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】越智 毅
(72)【発明者】
【氏名】植田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】西川 三次
(72)【発明者】
【氏名】西川 忠良
【審査官】 関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−076982(JP,A)
【文献】 特開2005−127470(JP,A)
【文献】 特開2000−002388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00−27/12,
F16L 5/00,
F16L 55/00,
F16L 37/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットが着脱自在に接続されるプラグと、前記プラグに前記ソケットが接続されたソケット接続状態を解除するために前記プラグの側方に位置する脱レバーとを備え、その脱レバーが、前記プラグの軸心を中心としてその周りに回動自在で、その脱レバーの操作部が、前記プラグの側方に突出するように設けられたガスコンセントに被せるためのガスコンセント用の保護キャップであって、
前記プラグに被せる有底筒状のキャップ本体部と、前記キャップ本体部が前記プラグに被せられた被冠状態で、前記操作部における少なくとも前記プラグの先端側を覆うレバー覆い部が一体的に備えられ、且つ、前記キャップ本体部の前記プラグの軸心周りでの回動時に、前記脱レバーに接当して脱レバーと一緒に回動する接当部が一体的に備えられているガスコンセント用の保護キャップ。
【請求項2】
前記接当部が、前記キャップ本体部の軸心方向視において前記脱レバーの突出方向の左右両外側又は内側に接当する一対の舌片により構成されている請求項1に記載のガスコンセント用の保護キャップ。
【請求項3】
前記操作部が、前記プラグから離間する側に切り欠き部を有する二股状の二股操作部として構成され、前記レバー覆い部が、前記二股操作部を覆う一対のカバー部を備えている請求項1又は2に記載のガスコンセント用の保護キャップ。
【請求項4】
前記キャップ本体部とレバー覆い部を連結する補強用のリブが、前記キャップ本体部の軸心方向視において前記脱レバーの突出方向の左右に一対設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスコンセント用の保護キャップ。
【請求項5】
前記プラグの外周に円環溝が形成され、
前記脱レバーが、前記円環溝内に相対回動自在に嵌入された支持軸により支持されることで、前記プラグの軸心を中心としてその周りに回動するように構成された請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスコンセント用の保護キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソケットが着脱自在に接続されるプラグと、前記プラグに前記ソケットが接続されたソケット接続状態を解除するために前記プラグの側方に位置する脱レバーとを備え、その脱レバーが、前記プラグの周りに回動自在で、その脱レバーの操作部が、前記プラグの側方に突出するように設けられたガスコンセントに被せるためのガスコンセント用の保護キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
かかるガスコンセント用の保護キャップを被せるガスコンセントは、例えば、住宅の壁面などに対して埋め込み式に配設され、ガスホースの先端に取り付けられたソケットを接続することにより、ガスファンヒータなどの各種のガス機器にガスを供給するために使用される。
そのガスコンセントには、通常、ソケットが着脱自在に接続されるプラグと、プラグにソケットが接続されたソケット接続状態を解除するためにプラグの側方に位置する脱レバーとが備えられ、その脱レバーが、ガスコンセントの取り付け姿勢に応じて、プラグに対する脱レバーの向きを自由に設定できるように、プラグの周りに回動自在に設けられ、その脱レバーの操作部が、プラグの側方に突出するように設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなガスコンセントでは、プラグに傷が付いたり、プラグ内に塵埃などが入り込むと、ソケットとの接続に支障をきたすため、ガスコンセントの保管時や新規設置箇所への運搬時に保護キャップが被せられる。更に、その保護キャップは、ガスコンセントを壁面形成材の裏面側に取り付けた後においても、周辺の作業が終了して壁面形成材に設けられた開口部に表カバーが取り付けられるまでの間、プラグを保護するために被せられたままとなる。
そして、このような機能を有する保護キャップは、上記特許文献1には記載されていないが、従来、プラグに被せることが可能な有底円筒状の全体形状を呈するように構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−127470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の保護キャップは、全体形状が有底円筒状で、ガスコンセントのプラグのみに被せる構成であったがため、プラグの側方に突出している脱レバーの操作部は露出したままで保護されないという問題があった。
そのため、ガスコンセントの保管時や運搬時に他物が脱レバーの操作部に当って損傷する可能性があり、更には、ガスコンセントの新規設置作業時に、例えば、ガスコンセントを壁面形成材の裏面側に取り付けた後において、壁面周辺での各種の作業時に作業用の工具や機器などが脱レバーの操作部に当って損傷する虞があり、脱レバーの操作部が損傷すると、プラグに対するソケットの解除を所望どおりに行うことができなくなるという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガスコンセントの保護性能の向上を図り、ガスコンセントを所望どおりに保護し得るガスコンセント用の保護キャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のガスコンセント用の保護キャップは、ソケットが着脱自在に接続されるプラグと、前記プラグに前記ソケットが接続されたソケット接続状態を解除するために前記プラグの側方に位置する脱レバーとを備え、その脱レバーが、前記プラグの軸心を中心としてその周りに回動自在で、その脱レバーの操作部が、前記プラグの側方に突出するように設けられたガスコンセントに被せるためのものであって、
第1特徴構成は、前記プラグに被せる有底筒状のキャップ本体部と、前記キャップ本体部が前記プラグに被せられた被冠状態で、前記操作部における少なくとも前記プラグの先端側を覆うレバー覆い部が一体的に備えられ、且つ、前記キャップ本体部の前記プラグの軸心周りでの回動時に、前記脱レバーに接当して脱レバーと一緒に回動する接当部が一体的に備えられている点にある。
【0008】
上記特徴構成によれば、プラグに被せる有底筒状のキャップ本体部が備えられているので、従来と同様に、ソケットが接続されるガスコンセントのプラグを確実に保護することができる。
それに加えて、キャップ本体部がプラグに被せられた被冠状態で、脱レバーの操作部における少なくともプラグの先端側を覆うレバー覆い部が一体的に備えられているので、脱レバーの操作部もレバー覆い部により確実に保護することができる。
そして、脱レバーが、プラグの周りに回動自在であるため、ガスコンセントの取り付け姿勢、例えば、ガスコンセントを縦向きに取り付ける場合にも、また、横向きに取り付ける場合にも、その取り付け姿勢に応じて、プラグに対する脱レバーの向きを自由に設定できるのであり、その脱レバーの回動時に、脱レバーに接当して脱レバーと一緒に回動する接当部が一体的に備えられているので、脱レバーの回動時において、保護キャップをいちいち取り外す必要はなく、ガスコンセントのプラグと脱レバーの操作部を確実に保護することができる。
その結果、ガスコンセントの取り付け姿勢の如何にかかわらず、ガスコンセントのプラグのみならず、脱レバーの操作部も、他物の接当による損傷や塵埃の付着から確実に保護され、ガスコンセントの保護性能の向上を図ることができる。
【0009】
第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記接当部が、前記キャップ本体部の軸心方向視において前記脱レバーの突出方向の左右両外側又は内側に接当する一対の舌片により構成されている点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、脱レバーと一緒に回動する接当部が、キャップ本体部の軸心方向視において脱レバーの突出方向の左右両外側又は内側に接当する一対の舌片により構成されているので、その一対の舌片が、キャップ本体部周りにおいて脱レバーに対する保護キャップの回転止めとして機能し、更に、脱レバーの左右両外側又は内側の保護機能をも兼用することになり、機能の兼用化による構造の簡素化を図ることができる。
【0011】
第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、前記操作部が、前記プラグから離間する側に切り欠き部を有する二股状の二股操作部として構成され、前記レバー覆い部が、前記二股操作部を覆う一対のカバー部を備えている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、保護キャップをガスコンセントに被せると、レバー覆い部の一対のカバー部が、プラグから離間する側に切り欠き部を有する二股状の操作部における少なくともプラグ先端側を覆うことになり、脱レバーの操作部が二股状になっていても、その二股操作部を的確に覆うことができる。
【0013】
第4特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成に加えて、前記キャップ本体部とレバー覆い部を連結する補強用のリブが、前記キャップ本体部の軸心方向視において前記脱レバーの突出方向の左右に一対設けられている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、キャップ本体部とレバー覆い部を連結する補強用のリブが、キャップ本体部の軸心方向視において脱レバーの突出方向の左右に一対設けられているので、キャップ本体部とレバー覆い部との連結は強固なものとなり、たとえ他物が接当しても、キャップ本体部又はレバー覆い部が容易に欠落する虞はなく、ガスコンセントのプラグと脱レバーの操作部を確実に保護することができる。
さらなる特徴構成として、前記プラグの外周に円環溝が形成され、前記脱レバーが、前記円環溝内に相対回動自在に嵌入された支持軸により支持されることで、前記プラグの軸心を中心としてその周りに回動するように構成すると好適である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】壁面形成材に対するガスコンセントの取付構造を示す分解斜視図
図2】ガスコンセントにおける脱レバーを分離した状態での斜視図
図3】壁面形成材に取り付けられたガスコンセントの横断平面図
図4】壁面形成材に取り付けられたガスコンセントの横断平面図
図5】壁面形成材に取り付けられたガスコンセントの横断平面図
図6】壁面形成材に取り付けられたガスコンセントの横断平面図
図7】表カバー及びガスコンセントの裏面側からの斜視図
図8】ガスコンセントの要部と保護キャップの斜視図
図9】保護キャップにおけるキャップ本体部の軸心方向視図
図10】保護キャップが被せられたガスコンセントの要部の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明によるガスコンセント用の保護キャップにつき、その実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の対象となるガスコンセントとしては、例えば、図1に示すように、壁面形成材Wに形成された開口部W1に臨む状態で、壁面形成材Wの裏面側に配設のガス管P(図3図6参照)に取り付けられる埋設式のガスコンセント1がある。
このガスコンセント1は、図2図6に示すように、円筒状のプラグ2を備え、図5に仮想線で示すように、そのプラグ2にソケット3を外嵌して押し込むことにより、プラグ2に対してソケット3がワンタッチで接続されるとともに、ソケット3の先端にある進退筒3aが進出して接続がロックされ、且つ、ガスコンセント1内に設けられた開閉弁(図示せず)が開弁して、ガス管Pからのガスがプラグ2を介してソケット3側へ流入するように構成されている。
【0017】
ガスコンセント1のプラグ2は、図2に示すように、先端側2tが小径となる2段筒状に形成され、基端側の大径部の外周には、円環溝2aが形成され、且つ、円環溝2aより基端側に大径の段部2bが設けられていて、ほぼC字状の装着軸4aとその両端から一体的に延出する一対の延出軸4bからなる金属線材製の支持軸4が、その円環溝2a内に相対回動自在に嵌入され、支持軸4の両延出軸4bに脱レバー5が揺動自在に取り付けられている。
脱レバー5は、プラグ2にソケット3が外嵌接続されたソケット接続状態で、プラグ2に対するソケット3の接続を揺動操作により解除するもので、二股状に形成されてプラグ2の側方へ突出する二股操作部5a、言い換えると、プラグ2から離間する側に切り欠き部を有する二股操作部5a、同じく二股状に形成されてプラグ2の側方に位置する解除操作部5b、及び、その二股操作部5aと解除操作部5bを連結する連結部5cなどを備え、その解除操作部5bの連結部5c近傍が、支持軸4の延出軸4bにより支持され、脱レバー5が、プラグ2の軸心方向に揺動自在に構成されている。
【0018】
脱レバー5を支持する支持軸4の両延出軸4bには、1本のコイルバネ6の両端部が巻き付けられて脱レバー5の解除操作部5bにそれぞれ接当され、そのコイルバネ6の中間部がプラグ2の外周面に接当され、それによって、脱レバー5が一定の方向、つまり、脱レバー5の二股操作部5aがプラグ2の先端側2tへ、解除操作部5bがプラグ2の基端側へ弾性的に揺動付勢されるとともに、脱レバー5の解除操作部5bがプラグ2の段部2bに接当するように構成されている。
すなわち、脱レバー5の揺動範囲は、プラグ2の段部2bにより規制され、解除操作部5bが、段部2bよりもプラグ2の先端側2tにおいてのみ揺動するように設定され、通常は、コイルバネ6によって、解除操作部5bが段部2bに接当する位置、つまり、図4図5に示す姿勢に維持されている。
【0019】
更に、コイルバネ6の中間部には、外側へ突出するように折曲された折曲部6aが設けられ、その折曲部6aがプラグ2の外周面に設けられた複数本の突条2cのいずれかに係合することにより、脱レバー5の位置が位置決めされるように構成されている。
すなわち、脱レバー5は、支持軸4がプラグ2の円環溝2a内で回動することにより、プラグ2の周りに回動自在に構成され、その脱レバー5の回動に伴ってコイルバネ6も一緒に回動し、コイルバネ6の折曲部6aが突条2c(本実施例では、90度の角度を置いて3本の突条2cが設けられている)に係合する位置で、脱レバー5が位置決めされるように構成されている。
そして、プラグ2にソケット3が外嵌接続されたソケット接続状態で、脱レバー5の二股操作部5aをプラグ2の基端側へ押し込むように揺動させることにより、図6に示すように、解除操作部5bがプラグ2の先端側2tへ揺動されてソケット3の進退筒3aをロック解除方向へ押圧し、プラグ2からソケット3を取り外して接続を解除するように構成されている。
【0020】
次に、このようなガスコンセント1を壁面形成材Wの裏面側に取り付けるための構成について説明する。
ガスコンセント1は、図1に示すように、取付部材20を用いて壁面形成材Wの裏面側に取り付けられる。この取付部材20は、開口部W1の開口縁に沿って壁面形成材Wの表面側に取り付けられる矩形枠状の表側枠体21、開口部W1の開口縁に沿って壁面形成材Wの裏面側に取り付けられる矩形枠状の裏側枠体22、及び、その裏側枠体22の裏面側に間隔を開けて取り付けられる取付台23などで構成されている。
表側枠体21と裏側枠体22は、それらの間に壁面形成材Wを介在させた状態で複数のネジ24で連結することにより、壁面形成材Wの表裏に取り付けられ、裏側枠体22の裏面側には、複数の突片22aが壁面形成材Wの奥側に向けて突設され、これら複数の突片22aの先端に、取付台23が複数のネジ25により取り付けられる。
そして、ガスコンセント1が、裏側枠体22と取付台23との間に位置された状態で、複数のネジ26により取付台23に取り付けられることにより、壁面形成材Wの裏面側に埋め込み状で取り付けられる。
【0021】
更に、図7にも示すように、壁面形成材Wの開口部W1を覆う表カバー30が、表側枠体21に着脱自在に取り付けられるように構成されている。
この表カバー30の裏面側には、取付部材20に取り付けられたガスコンセント1のプラグ2の先端を臨ませる円筒状部31が突設され、表面側には、底面に円筒状部31が開口し且つその開口部の側方に細長矩形状の扉体挿通孔32が開口する形態で、矩形状の凹部33が形成されている。
そして、表カバー30には、円筒状部31の表側を開閉する矩形状の扉体38が、凹部33に嵌まり込んで円筒状部31の表側を閉じる倒れ姿勢(図4参照)と面方向がプラグ2の軸心に沿う姿勢で扉体挿通孔32に挿通される状態となって円筒状部31の表側を開く立ち姿勢(図5図6参照)とに切り換え自在で、且つ、立ち姿勢においてプラグ2の軸心に沿う方向に往復移動操作自在に設けられている。
【0022】
表カバー30に対する扉体38の支持構成について、説明を加える。
表カバー30の裏面側には、図7にも示すように、その裏面側に延びる一対の案内部34が、円筒状部31における径方向一端側に偏った位置でその円筒状部31を挟む形態で設けられ、それら一対の案内部34に、押し込み部材35がプラグ2の軸心に沿う方向に移動自在に支持されている。
倒れ姿勢での扉体38における扉体挿通孔32側端部の両側部には、一対のアーム部38aが裏面側に延びる形態で延設され、これら一対のアーム部38aが押し込み部材35の両側部に枢支部36を介して枢支されている。
そして、扉体38と押し込み部材35との一対の枢支部36が、押し込み部材35と一体的に一対の案内部34に案内されてプラグ2の軸心に沿う方向に移動自在に支持され、一対のコイルバネ37が、一対のアーム部38aと表カバー30の裏面とにわたって伸び状態で接続されてトグル機構が構成されている。
【0023】
つまり、扉体38は、押し込み部材35に支持された状態で、トグル機構によって一対の枢支部36を軸心とする揺動により倒れ姿勢と立ち姿勢とに切り換え自在に構成されている。
そして、扉体38を立ち姿勢にすると、その立ち姿勢の扉体38は、扉体挿通孔32を通して、押し込み部材35と一体的にプラグ2の軸心に沿う方向に移動自在となり、図5に示すように、扉体38を立ち姿勢にした状態で、ソケット3を表カバー30の円筒状部31を通して押し込むと、ソケット3がプラグ2に接続される。
ソケット3をガスコンセント1のプラグ2から取り外すときは、図6に示すように、立ち姿勢の扉体38を一対のコイルバネ37の付勢力に抗して壁面の奥側に押し込む。すると、扉体38と一体的に押し込み部材35が壁面の奥側に移動して、その押し込み部材35により脱レバー5の二股操作部5aがプラグ2の基端側に押し込まれ、それに伴って、脱レバー5の解除操作部5bがプラグ2の先端側2tに揺動されて、ソケット3の進退筒3aが後退させられるので、ソケット3がプラグ2から取り外される。
【0024】
このようなガスコンセント1には、図8図10に示すように、ガスコンセント用の保護キャップ7が被せられる。
本発明では、保護キャップ7には、プラグ2に被せる有底筒状のキャップ本体部8、キャップ本体部8がプラグ2に被せられた被冠状態で、脱レバー5の二股操作部5aにおける少なくともプラグ2の先端側2tを覆うレバー覆い部10、及び、キャップ本体部8がプラグ2に被せられた被冠状態で、ガスコンセント1の脱レバー5に引っ掛かって係合してキャップ本体部8がプラグ2から離脱するのを防止するとともに、脱レバー5に対する係合を解除可能な鉤状体14が一体的に備えられている。
【0025】
保護キャップ7について、説明を加えると、有底筒状のキャップ本体部8の筒軸の基端部にはフランジ部9が一体的に設けられている。
レバー覆い部10は、二股操作部5aにおけるプラグ2の先端側2tを覆う一対のカバー部10aを備え、且つ、それら一対のカバー部10aがキャップ本体部8の側方に突出する形態でキャップ本体部8にフランジ部9を介して支持されている。
更に、各カバー部10aの先端部の外側縁部には、キャップ本体部8の基端側へ向けて延びて、脱レバー5のプラグ2周りでの回動時に、脱レバー5の外側に接当して脱レバー5と一緒に回動する接当部として機能する舌片10bが一体的に突設されている。
つまり、保護キャップ7のレバー覆い部10は、一対のカバー部10aと、各カバー部10aの先端部の外側縁部にキャップ本体部8の基端側へ向けてそれぞれ突設された一対の接当部としての舌片10bとを備えて構成されている。
【0026】
そして、ガスコンセント1に保護キャップ7を被せると、レバー覆い部10の一対のカバー部10aにより、二股操作部5aにおけるプラグ2の先端側2tが覆われ、更に、一対のカバー部10aの先端部の一対の舌片10bにより、キャップ本体部8の軸心方向視において二股操作部5aの左右両外側が覆われることになる。
しかも、保護キャップ7をガスコンセント1に被せると、一対の舌片10bが、キャップ本体部8の周りにおいて脱レバー5に対する保護キャップ7の回転止めとして機能し、その結果、保護キャップ7を回動すると、一対の舌片10bのいずれか一方が二股操作部5aに当接するので、脱レバー5を保護キャップ7と一緒に回動させることができる。
【0027】
そして、棒状の鉤状体14が、その長手方向をキャップ本体部8の軸心に沿わせて一対のカバー部10aの間を通る姿勢で、その長手方向の中間部が一対のカバー部10aに一対の揺動部材15にて支持された状態で設けられている。
それによって、キャップ本体部8がプラグ2に被せられるに伴って、鉤状体14の先端の鉤部14aが脱レバー5の連結部5c(二股操作部5aにおける二股の連結部分に相当する)に引っ掛かって係合するように構成されている。
【0028】
更に、一対のカバー部10aの先端が、連結部12により連結され、補強用のリブ13が、レバー覆い部10の一対のカバー部10aのそれぞれに対して、各カバー部10aにおけるキャップ本体部8の底部側に位置する状態で、各カバー部10aとキャップ本体部8とに跨って設けられている。
そして、この保護キャップ7全体が、つまり、キャップ本体部8、フランジ部9、レバー覆い部10、連結部12、リブ13、鉤状体14、及び、揺動部材15が、柔軟性を有するシリコン樹脂などの軟質樹脂による樹脂成形により弾性を有するように一体的に形成されている。
【0029】
上述のように構成した保護キャップ7は、ガスコンセント1の保管中や設置場所への搬送中は勿論のこと、ガスコンセント1を壁面形成材Wの裏面に取り付けた後も、表カバー30を取り付けるまでの間は、図3に示すように、ガスコンセント1に被せたままにして他物の接当や塵埃の付着から保護する。
そして、最終的に、ガスコンセント1から保護キャップ7を外して表カバー30を取り付けることになるが、保護キャップ7を被せたまま表カバー30を表側枠体21に取り付けようとすると、表カバー30に設けられた押し込み部材35が保護キャップ7の鉤状体14の頂部に当って、表カバー30を取り付けることができない。したがって、保護キャップ7を被せたまま、誤って表カバー30を取り付けることが回避される。
【0030】
この保護キャップ7をガスコンセント1に被せるには、例えば、親指と人差し指で一対のリブ13を挟んで持ち、鉤状体14先端の鉤部14aが二股操作部5aの間を通るようにしてガスコンセント1に押し込む。すると、揺動部材15の弾性変形によって、鉤部14aが脱レバー5の連結部5cに引っ掛かって係合し、保護キャップ7がガスコンセント1に取り付けられる。
逆に、保護キャップ7をガスコンセント1から取り外しには、親指と中指で一対のリブ13を挟み、人差し指で鉤状体14の上端を手前に引くことにより、鉤部14aと連結部5cとの係合が解除されるので、保護キャップ7を手前に引き出すことによって、保護キャップ7を簡単に取り外すことができる。
【0031】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ) 先の実施形態では、レバー覆い部10のカバー部10aによって、脱レバー5の二股操作部5aにおける少なくともプラグ2の先端側2tを覆うように構成した例を示したが、二股操作部5aの先端側2tに加えて、二股操作部5aの側方や基端側も覆うように構成することもできる。
また、レバー覆い部10の舌片10bによって、脱レバー5の回動時に脱レバー5と一緒に回動する接当部を構成した例を示したが、例えば、二股操作部5a間に入り込む接当部を保護キャップ7に突設し、その接当部が二股操作部5aの内側に接当して一緒に回動するように構成することもできる。
ただし、脱レバー5の操作部の形状は、必ずしも二股状である必要はなく、例えば、幅広の板状とすることもでき、その場合には、板状の操作部の外側に接当する舌片10bにより接当部を構成することになる。
【0032】
(ロ) 先の実施形態では、キャップ本体部8とレバー覆い部10を補強用のリブ13により連結した例を示したが、補強用のリブ13については必ずしも必要ではなく、リブ13をなくして実施することもできる。
そして、保護キャップ7全体をシリコン樹脂による樹脂成形品で構成した例を示したが、例えば、キャップ本体部8とレバー覆い部10を別体に構成し、両者を接着剤などで接続して実施することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上説明したように、ガスコンセントの保護性能の向上を図り、ガスコンセントを所望どおりに保護し得るガスコンセント用の保護キャップを提供することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 ガスコンセント
2 プラグ
3 ソケット
5 脱レバー
5a 二股操作部
7 保護キャップ
8 キャップ本体部
10 レバー覆い部
10a カバー部
10b 舌片
13 リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10