【実施例】
【0019】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<基材フィルムの製造>
実施例1
酸含有量12質量%、MFR1.5、融点96℃のエチレン−メタクリル酸2元共重合体−Zn
++−アイオノマー樹脂(陽イオンによる中和度70mol%)(三井・デュポンポリケミカル社製、ハイミラン1650)80質量部と、酸含有量11質量%、MFR10、融点88℃のエチレン−メタクリル酸−(アクリル酸2−メチル−プロピル)3元共重合体樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製、ニュクレルAN4213C)20質量部との2成分の混合物を、押出機を使用して厚さ100μmの基材フィルムを製造した。
【0020】
実施例2
上記2元共重合体のアイオノマー樹脂(ハイミラン1650)の使用量を70質量部とし、上記3元共重合体樹脂(ニュクレルAN4213C)の使用量を30質量部とした以外は、実施例1と同様にして基材フィルムを製造した。
【0021】
実施例3
上記2元共重合体のアイオノマー樹脂(ハイミラン1650)の使用量を95質量部とし、上記3元共重合体樹脂(ニュクレルAN4213C)の使用量を5質量部とした以外は、実施例1と同様にして基材フィルムを製造した。
【0022】
実施例4
上記2元共重合体のアイオノマー樹脂(ハイミラン1650)の使用量を50質量部とし、上記3元共重合体樹脂(ニュクレルAN4213C)の使用量を50質量部とした以外は、実施例1と同様にして基材フィルムを製造した。
【0023】
実施例5
上記2元共重合体のアイオノマー樹脂(ハイミラン1650)の代わりに、酸含有量10質量%、MFR1.3、融点97℃のエチレン−メタクリル酸2元共重合体−Na
+−アイオノマー樹脂(陽イオンによる中和度50mol%)(三井・デュポンポリケミカル
社製、ハイミラン1601)を用いた以外は、実施例1と同様にして基材フィルムを製造した。
【0024】
実施例6
上記2元共重合体のアイオノマー樹脂(ハイミラン1650)の代わりに、エチレン−メタクリル酸2元共重合体−K
+−アイオノマー樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製、ハイミランMK400)を用いた以外は、実施例1と同様にして基材フィルムを製造した。
【0025】
実施例7
上記2元共重合体のアイオノマー樹脂(ハイミラン1650)の代わりに、酸含有量15質量%、MFR0.9、融点88℃のエチレン−メタクリル酸2元共重合体−Zn
++−アイオノマー樹脂(陽イオンによる中和度60mol%)(三井・デュポンポリケミカル社製、ハイミラン1706)を使用した以外は、実施例1と同様にして基材フィルムを製造した。
【0026】
実施例8
上記3元共重合体樹脂(ニュクレルAN4213C)の代わりに、酸含有量12質量%、MFR10、融点96℃のエチレン−メタクリル酸−(アクリル酸2−メチル−プロピル)3元共重合体樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製、ニュクレルAN4231C)を使用した以外は、実施例1と同様にして基材フィルムを製造した。
【0027】
比較例1
上記3元共重合体樹脂(ニュクレルAN4213C)を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして基材フィルムを製造した。
【0028】
比較例2
上記2元共重合体のアイオノマー樹脂(ハイミラン1650)の使用量を40質量部とし、上記3元共重合体樹脂(ニュクレルAN4213C)の使用量を60質量部とした以外は、実施例1と同様にして基材フィルムを製造した。
【0029】
比較例3
上記3元共重合体樹脂(ニュクレルAN4213C)の代わりに、酸含有量9質量%、MFR3、融点99℃のエチレン−メタクリル酸2元共重合体樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製、ニュクレルN0903C)を使用した以外は、実施例1と同様にして基材フィルムを製造した。
【0030】
比較例4
上記2元共重合体のアイオノマー樹脂(ハイミラン1650)の代わりに、酸含有量10質量%、MFR1.0、融点86℃のエチレン−メタクリル酸−(アクリル酸2−メチル−プロピル)3元共重合体−Zn
++−アイオノマー樹脂(陽イオンによる中和度60mol%)(三井・デュポンポリケミカル社製、ハイミラン1855)を使用した以外は、実施例1と同様にして基材フィルムを製造した。
【0031】
試験例1
実施例1〜8及び比較例1〜4で製造した基材フィルムのダイシング特性、エキスパンド性、柔軟性、耐熱性及び成形性を評価して表1に示した。
尚、評価方法及び評価基準は以下に示した通りである。
また、表1中の、AないしHは、以下の樹脂を意味する。
A:酸含有量12質量%、MFR1.5、融点96℃のエチレン−メタクリル酸2元共重
合体−Zn
++−アイオノマー樹脂(陽イオンによる中和度70mol%)(三井・デュポンポリケミカル社製、ハイミラン1650)
B:酸含有量10質量%、MFR1.3、融点97℃のエチレン−メタクリル酸2元共重合体−Na
+−アイオノマー樹脂(陽イオンによる中和度50mol%)(三井・デュポンポリケミカル社製、ハイミラン1601)
C:エチレン−メタクリル酸2元共重合体−K
+−アイオノマー樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製、ハイミランMK400)
D:酸含有量15質量%、MFR0.9、融点88℃のエチレン−メタクリル酸2元共重合体−Zn
++−アイオノマー樹脂(陽イオンによる中和度60mol%)(三井・デュポンポリケミカル社製、ハイミラン1706)
E:酸含有量10質量%、MFR1.0、融点86℃のエチレン−メタクリル酸−(アクリル酸2−メチル−プロピル)3元共重合体−Zn
++−アイオノマー樹脂(陽イオンによる中和度60mol%)(三井・デュポンポリケミカル社製、ハイミラン1855)
F:酸含有量11質量%、MFR10、融点88℃のエチレン−メタクリル酸−(アクリル酸2−メチル−プロピル)3元共重合体樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製、ニュクレルAN4213C)
G:酸含有量12質量%、MFR10、融点96℃のエチレン−メタクリル酸−(アクリル酸2−メチル−プロピル)3元共重合体樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製、ニュクレルAN4231C)
H:酸含有量9質量%、MFR3、融点99℃のエチレン−メタクリル酸2元共重合体樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製、ニュクレルN0903C)
【0032】
評価方法・評価基準
<ダイシング特性>
ダイシングブレードを使用し、回転数45000rpm、カットスピード100m/秒で裁断した際の切削屑の有無を評価した。
・切削屑無し ○
・長さ100μm未満の切削屑が有り △
・長さ100μm以上の切削屑が有り ×
<エキスパンド性>
25%延伸時における縦と横の荷重の比を測定した。
・縦と横の荷重の比(TD/MD)が80〜100%の範囲内 ○
・縦と横の荷重の比(TD/MD)が60〜80%未満 △
・縦と横の荷重の比(TD/MD)が60%未満 ×
<柔軟性>
JIS K 6732に準じて試験をおこなった。
・25%延伸時の応力が15MPa未満 ○
・25%延伸時の応力が15MPa以上25MPa未満 △
・25%延伸時の応力が25MPa以上 ×
<耐熱性>
幅15mm×標線10mm×5g荷重で、120℃のオーブンに15分間吊るして、状態を観察した。
・伸びきらなかった ○
・伸びきった ×
<成形性>
基材フィルム成形時におけるロール剥離性を評価した。
・良好なロール剥離性を示した ○
・良好なロール剥離性を示さなかった ×
【0033】
【表1】
【0034】
結果:
A)エチレン−(メタ)アクリル酸2元共重合体のアイオノマー樹脂及び
B)エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル3元共重合体の2成分からなり、前記成分B)の使用量が、成分A)+B)の総量に基づき、5質量%以上であり且つ50質量%以下の範囲である実施例1ないし4及び8の基材フィルムは、何れも、優れたダイシング特性、エキスパンド性、柔軟性、耐熱性及び成形性を示したが、架橋金属イオンがNa
+であるアイオノマー樹脂を用いる実施例5及び架橋金属イオンがK
+であるアイオノマー樹脂を用いる実施例6では、ダイシング特性が多少低下する傾向が観られ、また、架橋金属イオンがZn
++であるものの、酸含有量が15質量%であるアイオノマー樹脂を用いる実施例7では、柔軟性が多少低下する傾向が観られた。
一方、成分B)エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル3元共重合体を用いなかった比較例1の基材フィルムは柔軟性が不十分であった。
また、上記成分B)の使用量が、5質量%以上であり且つ50質量%以下の範囲外である、60質量%となる比較例2の基材フィルムはエキスパンド性が不十分であった。
また、上記成分B)のエチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル3元共重合体の代わりに、エチレン−メタクリル酸2元共重合体を用いた比較例3の基材フィルムは柔軟性が不十分であった。
また、成分A)のエチレン−(メタ)アクリル酸2元共重合体のアイオノマー樹脂の代わりに、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル3元共重合体のアイオノマー樹脂を用いた比較例4の基材フィルムは成形性が不十分であり、また、エキスパンド性も多少低下する傾向が観られた。