(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来の開閉装置であるシャッター装置は、開閉体であるシャッターカーテンと、シャッターカーテンの開閉方向への移動を案内するガイド部材である一対のガイドレールとを含んで構成されている。各ガイドレールは、シャッターカーテンの幅方向における端部が開閉方向に移動自在に挿入される開口部が形成されている。
【0003】
通常、開口部とシャッターカーテンの端部と間には、シャッターカーテンの端部を開口部において開閉方向に移動自在とするために、隙間が形成されている。従って、シャッターカーテンを境界として形成される表面側空間部(シャッターカーテンの表面側の空間部)と、裏面側空間部(シャッターカーテンの裏面側の空間部)とは、上記隙間を介して連通することとなる。例えば、表面側空間部が室外、裏面側空間部が室内とすると、隙間を介して室内外で空気が移動することとなる。これにより、断熱性の確保が必ずしも十分ではない虞がある。
【0004】
また、従来では、開口部とシャッターカーテンの端部との隙間を閉塞する技術が開示されている。例えば、特許文献1に示すように、シャッターカーテンの端部と開口部との間にガイドレール消音帯が設けられているシャッター装置がある。このガイドレール消音帯は、ベース部がガイドレールに係合し、ベース部から延出する弾接部がシャッターカーテンの端部に接触することで、閉鎖状態のシャッターカーテンの煽りに対する風振音の発生を防止するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、シャッターカーテンの表面および裏面は、開閉方向に沿って平坦に形成されているとは限らない。例えば、シャッターカーテンが複数個のスラットを開閉方向に連接して形成されたスラット連接体であり、各スラットがその開閉方向の断面形状が厚さ方向に変化に富んでいる、例えば凹凸がある場合がある。この場合、上記ガイドレール消音帯は、各スラットの開閉方向の形状に追従できず、開閉方向において各スラットの端部の一部にだけしか接触できない虞がある。従って、開口部とシャッターカーテンの端部との間に、依然として隙間が形成されてしまう虞がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、開口部とシャッターカーテンの端部との隙間を開閉方向に沿って閉塞することで、少なくとも断熱性を確保することができる開閉装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、開閉方向に移動する開閉体と、前記開閉体の幅方向における端部が前記開閉方向に移動自在に挿入される開口部が形成され、前記開閉体の移動を案内するガイド部材と、前記端部に固定され、前記幅方向から見た場合に、前記開閉体の幅方向における端面を介した前記開閉体を挟んで形成される表面側空間部と裏面側空間部との厚さ方向における連通を遮断する端部部材と、前記開口部を形成する内周面と接触し、前記開閉方向に沿って形成されるシール部材と、を含んで構成され、前記端部部材は、前記開閉方向に沿って形成される平面部
が形成された本体部を有し、前記シール部材は、前記開閉方向に沿って前記平面部と接触
し、前記開閉体は、複数個のスラットを前記開閉方向に連接して形成されたスラット連接体であり、前記スラットは、前記開閉方向に隣り合うスラットを連接するための2つの連接部と、前記2つの連接部の間に形成される凹部とを有し、前記端部部材は、各前記スラットの幅方向における端部にそれぞれ固定され、前記端部部材の本体部は、前記スラットの端部から幅方向に突出し、前記スラットの幅方向から見た場合に、前記スラットの一方の前記連接部から前記凹部までの範囲において対向するものであり、前記開閉方向に隣り合う前記端部部材の間には、干渉抑制隙間が形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
上記開閉装置では、幅方向から見た場合に、端部部材が、開閉体の端面を介した表面側空間部と裏面側空間部との厚さ方向における連通を遮断するので、表面側空間部と裏面側空間部とは、開口部と端部部材との間に形成される隙間を介さないと連通することができなくなる。開口部と端部部材との厚さ方向における距離は、開口部と平坦部との間で開閉方向において一定となる。開口部を形成する内周面に接触するシール部材は、開閉方向において厚さ方向に変化しない平面部と開閉方向に沿って接触するので、開口部と端部部材との隙間をシール部材により開閉方向に沿って閉塞することができる。従って、開閉体の厚さ方向の形状に拘わらず、開口部と開閉体の端部との隙間をシール部材と端部部材とにより開閉方向に沿って閉塞することができる。
上記開閉装置では、開閉方向に隣り合うスラットが連接部において相対位置を変化させることができる。例えば、スラット連接体が巻取軸に巻き取られる場合では、開閉方向に隣り合うスラットの相対位置は、連接部を基点として、スラットの裏面が互いに近接するように変化する。このとき、開閉方向に隣り合う端部部材の相対位置も、連接部を基点として同様に変化する。従って、開閉方向に隣り合う端部部材の間に干渉抑制隙間を形成することで、開閉方向に隣り合う端部部材の相対位置が変化する際に、互いに干渉することを抑制することができる。
上記開閉装置において、前記本体部の厚さは、前記スラットの前記厚さ方向における連接部の外径を含むスラットの厚さよりも薄いことが好ましい。
上記開閉装置において、前記端部部材は、前記スラットに当該端部部材を固定するための固定部を有することが好ましい。
【0010】
また、上記開閉装置において、前記平面部は、前記開閉体の厚さ方向に対向して2つ形成されており、前記シール部材は、前記2つの平面部にそれぞれ接触することが好ましい。
【0011】
上記開閉装置では、開口部において、厚さ方向で異なる2箇所でシール部材と端部部材とが接触することで、端部部材の厚さ方向への移動が規制される。従って、開閉体の端部が開口部において厚さ方向に移動することが規制でき、開閉体が開閉方向に移動する場合や、閉塞状態の開閉体に外力が加わった場合でも、開閉体とガイド部材とが接触することを抑制することができる。
【0012】
上記開閉装置において、前記シール部材は、弾性体であり、前記端部部材に向けて突出する突起部を有し、前記突起部は、前記平面部と弾性変形した状態で接触することが好ましい。
【0013】
上記開閉装置では、突起部が端部部材と弾性変形した状態で接触している。従って、端部部材が厚さ方向に移動しても、弾性体である突起部が端部部材に追従して弾性変形するので、開口部と端部部材との隙間を開閉方向に沿って閉塞することができる。
【0014】
上記開閉装置において、前記ガイド部材の外周面と前記内周面との間に形成される内部空間部に、前記開閉方向に沿って形成される断熱材が設けられていることが好ましい。
【0015】
上記開閉装置では、断熱材によりガイド部材の外部とガイド部材の内部との間での熱の移動が抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる開閉装置は、開閉方向において厚さ方向に変化しない平面部にシール部材が接触するので、開口部と開閉体の端部との隙間をシール部材と端部部材とにより閉塞することができ、断熱性を確保することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明にかかる開閉装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0021】
図1は、開閉装置であって、実施形態に係るシャッター装置の全体構成例を示す図である。まず、本実施形態に係るシャッター装置の全体構造について説明する。
【0022】
シャッター装置1は、巻取軸2にシャッターカーテン4を巻き取る、あるいは巻取軸2からシャッターカーテン4を繰り出すことで、シャッター装置1の開放状態と閉鎖状態を実現するものである。シャッター装置1は、天井部材100を挟んで形成される天井裏空間部101と室内空間部102と跨って設けられている。本実施形態に係るシャッター装置1は、巻取軸2と、開閉機3と、シャッターカーテン4と、一対のガイドレール5と、後述する端部部材と、一対のシール部材とを含んで構成されている。
【0023】
巻取軸2は、天井裏空間部101に配置されている。巻取軸2は、天井裏空間部101に存在する建物躯体103に取り付けられた一対の軸受部材8により、天井部材100と水平に配置されるとともに、回転自在に支持されている。巻取軸2は、チェーンやスプロケットなどを含んで構成される動力伝達機構9を介して、開閉機3に連結されている。
【0024】
開閉機3は、天井裏空間部101に配置されており、巻取軸2の回転を制御することで、シャッターカーテン4の巻き取り、あるいは繰り出しを行うものである。開閉機3は、一対の軸受部材8のうち一方(
図1では、右側)により取り付けられている。開閉機3は、駆動源としてのモータと巻取軸2の回転を規制するブレーキ、これらを制御する制御装置などを含んで構成されている。
【0025】
シャッターカーテン4は、開閉体であり、開閉方向に移動するものである。ここで、本実施形態では開方向が上方向、閉方向が下方向となる。シャッターカーテン4の開方向における端部が巻取軸2に連結されている。シャッターカーテン4の幅方向における端部41は、一対のガイドレール5に形成された開口部51に開閉方向に移動自在にそれぞれ挿入されている。シャッターカーテン4は、開放状態において、巻取軸2に巻き取られた状態となり天井裏空間部101に位置する。一方、シャッターカーテン4は、閉鎖状態において、閉方向の端部が室内空間部102の床面105と接触(床面105とほぼ接触する場合も含む)し、大部分が室内空間部102に位置し、一部が天井裏空間部101に位置する。
【0026】
一対のガイドレール5は、ガイド部材であり、開閉体であるシャッターカーテン4の移動を案内するものである。一対のガイドレール5は、室内空間部102に配置されるものであり、柱や壁などの建築躯体104に設けられている。一対のガイドレール5は、シャッターカーテン4の幅方向においてシャッターカーテン4を挟んで対向している。一対のガイドレール5には、幅方向において入口部51aが向かい合うように開口部51がそれぞれ形成されている。開口部51は、開閉方向に沿って形成されている。従って、シャッターカーテン4は、端部41が開口部51に沿って移動するので、開閉方向、本実施形態では上下方向に移動することとなる。本実施形態では、開口部51は、天井部材100から床面105まで連続して形成されている。ここで、本実施形態では幅方向が左右方向となり、厚み方向が前後方向となる。
【0027】
シャッター装置1は、開放動作の開始指示を制御装置が受けると、制御装置によりブレーキが解除されることで、巻取軸2の回転の規制が解除されるとともに、巻取軸2がシャッターカーテン4を巻き取る方向に回転できるように、モータを回転させる。従って、巻取軸2によるシャッターカーテン4の巻き取りが開始され、シャッターカーテン4が一対のガイドレール5に案内されながら開方向に移動する。そして、開閉機3に設けられているリミットスイッチからの開放信号により巻取軸2によるシャッターカーテン4の巻き取りの完了を制御装置が検出すると、制御装置によりモータの回転が停止されてブレーキが作動し巻取軸2の回転が規制される。これにより、シャッターカーテン4が天井裏空間部101に位置し、天井部材100、一対のガイドレール5、床面105とで形成される開閉空間部にシャッターカーテン4が存在しなくなり、シャッター装置1が開放状態となる。
【0028】
一方、シャッター装置1は、閉鎖動作の閉鎖指示を制御装置が受けると、制御装置によりブレーキが解除されることで、巻取軸2の回転の規制が解除されるとともに、巻取軸2がシャッターカーテン4を繰り出す方向に回転できるように、モータを回転させる。従って、巻取軸2によるシャッターカーテン4の繰り出しが開始され、シャッターカーテン4が一対のガイドレール5に案内されながら閉方向に移動する。そして、開閉機3に設けられているリミットスイッチからの閉鎖信号により巻取軸2によるシャッターカーテン4の繰り出しの完了を制御装置が検出すると、制御装置によりモータの回転が停止されてブレーキが作動し巻取軸2の回転が規制される。これにより、シャッターカーテン4の大部分が室内空間部102に位置し、上記開閉空間部をシャッターカーテン4が閉塞し、シャッター装置1が閉鎖状態となる。なお、制御装置に対する開放動作、閉鎖動作の開始指示は、例えば一対のガイドレール5の近傍に設けられたスイッチ装置や、上記制御装置と通信可能な端末装置などからユーザーが指示することで行われても良い。また、閉鎖動作は、ブレーキを解除するのみで、シャッターカーテン4の自重により巻取軸2からシャッターカーテン4を送り出しても良い。また、手動で巻取軸2を回転させることで、シャッターカーテン4の巻き取り、あるいは繰り出しを行っても良い。
【0029】
次に、シャッターカーテン4、一対のガイドレール5、端部部材6、一対のシール部材7の詳細な構造について説明する。
図2は、実施形態に係るシャッター装置の端部部材とシール部材の接触状態を示す要部断面図である。
図3および
図4は、シャッターカーテンに固定された端部部材を示す図である。なお、
図2は、幅方向における断面図であり、シャッターカーテン4(スラット42)を模式的に示している。また、
図3は、端部部材6からシャッターカーテン4を幅方向に見た図である。また、
図4は、シャッターカーテン4の裏面側から見た図である。
【0030】
シャッターカーテン4は、本実施形態では、
図3に示すように、複数のスラット42を開閉方向に連接して形成されたスラット連接体である。各スラット42は、2つの連接部43,44と、凹部45とを含んで構成されている。2つの連接部43,44は、開閉方向に隣り合うスラット42と連接するためのものである。2つの連接部43,44は、スラット42の開閉方向の端部にそれぞれ形成されている。開方向の端部に形成される連接部43は、幅方向から見た場合に、スラット42の表面46側から裏面47側に、閉方向に向かって渦状に形成される。閉方向の端部に形成される連接部44は、幅方向から見た場合に、スラット42の表面46側から裏面47側に、閉方向に向かって渦状に形成されている。凹部45は、2つの連接部43,44の間に形成されている。凹部45は、幅方向から見た場合に、裏面47側から表面46側に向かって突出することで形成されている。ここで、各スラット42は、開閉方向の断面形状が厚さ方向に変化に富んでおり、厚さ方向の厚みも、開閉方向において異なり、厚さ方向に凹凸が形成されている。つまり、シャッターカーテン4の少なくともガイドレール5と厚さ方向において対向する部分は、その開閉方向の断面形状が厚さ方向に変化に富んでおり、開閉方向において平坦に形成されておらず、すなわちガイドレール5と開閉方向において平行に形成されておらず、厚さ方向に凹凸が形成されている。なお、各スラット42は、所定厚さの金属製の板材で形成されている。
【0031】
各スラット42は、連接部43が開方向において隣り合うスラット42の連接部44と、連接部44が閉方向において隣り合うスラット42の連接部43と連接する。これにより、各スラット42は、連接部43,44において開閉方向において隣り合うスラット42との相対位置を変化させることができる。シャッターカーテン4が巻取軸2に巻き取られる場合では、開閉方向に隣り合うスラット42の相対位置は、連接部43,44を基点として、スラット42の裏面47が互いに近接するように変化することとなる。各スラット42は、開閉方向に隣り合うスラット42と、連接部43,44において接触する。従って、各スラット42の幅方向における端面48は、開閉方向において隣り合うスラット42の端面48と接触している。つまり、開閉体であるシャッターカーテン4の端面は、幅方向から見た場合に、開閉方向に連続して形成されていることとなる。これにより、シャッターカーテン4の端面は、シャッター装置1が開放状態から閉塞状態となることで、幅方向から見た場合に、開放状態で連続する空間部を2つの空間部に区画する。ここで、区画された2つの空間部のうち、シャッターカーテン4の表面側(スラット42の表面46側)の空間部を表面側空間部FSとし、シャッターカーテン4の裏面側(スラット42の裏面47側)の空間部を裏面側空間部BSとする。つまり、表面側空間部FSと裏面側空間部BSとは、シャッターカーテン4を挟んで形成される。また、表面側空間部FSと裏面側空間部BSとは、幅方向から見た場合に、シャッターカーテン4の端面を介して厚さ方向において連通することができることとなる。
【0032】
一対のガイドレール5は、本実施形態では、
図2に示すように、開閉方向に沿って形成される複数の枠状部材52〜56により、開口部51と、複数の内部空間部57〜59とがそれぞれ形成されている。開口部51は、枠状部材52〜54により、シャッターカーテン4の端部41が挿入する入口部51aを除いて囲まれる空間部であり、開閉方向に沿って形成されている。ここで、各ガイドレール5の外周面5aは、枠状部材53〜55により形成される。開口部51を形成する内周面5bは、枠状部材52〜54により形成される。ここで、開口部51の入口部51aの厚さ方向における長さL1は、シャッターカーテン4の厚さ方向の厚さL2よりも長く設定されるとともに、開口部51の内部51bの厚さ方向における長さL3よりも短く設定されている。これにより、開口部51は、厚さ方向におけるスペースを確保することができるので一対のシール部材7を配置することができるとともに、開口部51とシャッターカーテン4との間に形成される隙間S1を小さくすることができる。なお、各枠状部材52〜56は、例えば、金属製の板状部材を折り曲げることで形成されている。
【0033】
また、内部空間部57は、外周面5aおよび内周面5bを形成する枠状部材52,54,56により囲まれる空間部であり、開閉方向に沿って形成されている。また、内部空間部58は、外周面5aおよび内周面5bを形成する枠状部材54,56により囲まれる空間部であり、開閉方向に沿って形成されている。また、内部空間部59は、外周面5aおよび内周面5bを形成する枠状部材52〜56により囲まれる空間部であり、開閉方向に沿って形成されている。内部空間部57には断熱材10、内部空間部58には断熱材11、内部空間部59には断熱材12が設けられている。各断熱材10〜12は、開閉方向に沿って形成されている。従って、各断熱材10〜12は、ガイドレール5の外部と内部との間で発生する熱の移動を抑制することができる。表面側空間部FSと裏面側空間部BSとの温度差が大きい場合でも、ガイドレール5を介して両空間部の間での熱の移動が抑制されるため、断熱性を確保することができる。なお、各断熱材10〜12は、例えばグラスウール、ロックウールなどのガラス系材料により形成されている。
【0034】
端部部材6は、
図2および
図3に示すように、シャッターカーテン4の端部41、本実施形態では、各スラット42の端部49にそれぞれ固定されるものである。端部部材6は、本体部61と、固定部62とを含んで構成されている。
【0035】
本体部61は、スラット42の端部49から幅方向に突出する部分である。本体部61は、本実施形態では、スラット42のうち、連接部43からスラット42の凹部45までのスラット42の大部分の範囲と幅方向において対向するものである。つまり、端部部材6の開閉方向の端部のうち、一方の端部65は、幅方向において連接部43と対向することになる。従って、開閉方向に隣り合うスラット42が連接部43,44において幅方向に相対移動しようとしても、端部65により幅方向への移動が規制される。これにより、開閉方向に隣り合うスラット42の幅方向の相対移動を抑制することができる。ここで、本体部61の開閉方向の長さは、開閉方向に隣り合う端部部材6の間に干渉抑制隙間S3が形成できる長さに設定される。ここで、干渉抑制隙間S3は、シャッターカーテン4の巻き取り時あるいは繰り出し時に、各スラット42の相対位置の変化に伴って、開閉方向に隣り合う端部部材6の相対位置が変化しても、互いの干渉を抑制することができる程度に設定されている。これにより、開閉方向に隣り合う端部部材6の相対位置の変化する際に、開閉方向に隣り合う端部部材6が互いに干渉することを抑制することができる。
【0036】
本体部61は、幅方向から見た場合に、本体部61が形成される領域に幅方向において対向するスラット42の端面48(端面48を形成する表面46の幅方向における端部および裏面47の幅方向における端部を含む)と接触している。つまり、幅方向から見た場合に、スラット42の表面46と裏面47とが端面48を介して厚さ方向において連通しようとしても、本体部61がスラット42の端面48と接触しているため、本体部61に阻害されて連通することができない。つまり、端部部材6は、幅方向から見た場合に、スラット42の表面46と端面48と裏面47との連続性を阻害するものである。従って、端部部材6は、幅方向から見た場合に、スラット42を挟んで形成される表面側空間部FSと裏面側空間部BSとの、端面48を介する厚さ方向における連通を遮断することができる。これにより、表面側空間部FSと裏面側空間部BSとは、開口部51と端部部材6との間に形成される隙間S2を介さないと連通することができなくなる。なお、端部部材6は、例えば樹脂、金属、ゴムなどの材料により形成されている。
【0037】
本体部61は、2つの平面部63,64が形成されている。本実施形態では、本体部61の表側の側面および裏側の側面がそれぞれ平面部63,64として形成されている。2つの平面部63,64は、開閉方向に沿って形成されている。従って、本体部61は、2つの平面部63,64により、厚さ方向における厚さが変化せず一定となる。つまり、開口部51と端部部材6との間に形成される隙間S2は、開口部51と2つの平面部63,64との間で開閉方向において一定となる。従って、一対のシール部材7の平面部63,64に対する当たりを一定とすることができる。ここで、端部部材6の開閉方向に沿って形成される平面部63,64とは、端部部材6の開閉方向における両端部、本実施形態では、上下方向における上端部から下端部までの範囲に亘って、使用目的に合致する程度には若干の凹凸を許容する場合を含む実質的に開閉方向と一致する直線部を有している面をいう。平面部63,64は、例えば、シャッターカーテン4が上下方向に移動するのであれば、鉛直方向と一致する直線部を有する面である。
【0038】
固定部62は、
図4に示すように、スラット42に端部部材6を固定するためのものである。固定部62は、スラット42の裏面47に固定されている。固定部62は、本実施形態では、凹部45に挿入され、凹部45を形成する裏面47にリベット止めされている。なお、固定部62の裏面47への固定は、リベット止めに限られるものではなく、例えばボルトやネジによる締結、接着剤による接着、凹部45への幅方向からの圧入などで実現しても良い。
【0039】
各スラット42に固定された端部部材6は、
図3に示すように、幅方向から見た場合に開閉方向に沿って連続的に配置されている。特に、閉鎖状態において、開口部51に位置する各スラット42に固定された端部部材6は、幅方向から見た場合に、直線状に配置される。つまり、複数の端部部材6は、シャッターカーテン4の端部41に固定され、開閉方向に沿って連続して、直列に配置される。つまり、幅方向から見た場合に、シャッターカーテン4の幅方向における端面を介して、シャッターカーテン4を挟んで形成される表面側空間部FSと裏面側空間部BSとの厚さ方向における連通を遮断することができる。ここで、閉鎖状態とは、断熱性を要求される閉鎖状態のことをいう。閉鎖状態として典型的で好ましいのは、シャッターカーテン4の全部や大部分が室内空間部102に位置している状態である全閉鎖状態または略全閉鎖状態であるが、これに限らず、シャッター装置1の使用目的に応じて決定されるものである。例えば、閉鎖状態としては、要求される断熱性を確保できるのであれば、全閉鎖状態を100%とした場合に、50%以上閉鎖されている状態でも良く、80%以上や90%以上閉鎖されている状態がでも良い。また、閉鎖状態としては、全閉鎖状態に必ずしもならない場合があり、例えば、シャッターカーテン4の閉鎖側先端に設けられている座板(図示省略)と当接部材である床面105等との間で若干の隙間が形成されるように設定されている場合である。また、シャッターカーテン4自体は全閉鎖状態になっていても、端部部材6により表面側空間部FSと裏面側空間部BSとの厚さ方向における連通が完全には遮断されない場合もある。上述の干渉抑制隙間S3が形成されている場合以外に、シャッターカーテン4の開閉方向における中間部に位置しているスラット42に鍵バー等の施錠機構を突出させて設けたり、シャッターカーテン4の開閉方向における任意の位置の単数あるいは複数のスラット42にガイドレール5に対する抜止部材を設けたりする場合である。この場合には、当該スラット42に端部部材6を設けることができず、これらの箇所ではシール部材7との接触ができずに隙間ができてしまい連通が遮断されなくなることがありえるが、シャッター装置1の使用目的に合致すればこのような構成になっても良い。勿論、端部部材6により表面側空間部FSと裏面側空間部BSとの厚さ方向における連通をより完全な遮断をしたい場合には、鍵バー等の施錠機構や抜止部材を端部部材6と一体的又は取り付け等によって同一スラット42に設けるようにしても良い。
【0040】
一対のシール部材7は、
図2および
図3に示すように、ガイドレール5に対応して開閉方向に延在して形成されており、開口部51と端部部材6との間を開閉方向に沿って密閉するものである。一対のシール部材7は、端部部材6に形成された平面部63,64とそれぞれ接触するものである。一対のシール部材7は、開閉方向に対して線対称に形成されている。シール部材7は、例えばゴム、スポンジなどの弾性体であり、本体部71と、突起部72とを含んで構成されている。
【0041】
各本体部71は、開口部51を形成する内周面5bと接触するものである。各本体部71は、本実施形態では、それぞれ枠状部材52,53との間、枠状部材52,54との間に挿入されて、内周面5bを形成する枠状部材52〜54と接触した状態で、開口部51に取り付けられている。各本体部71の幅方向における端部に突起部72がそれぞれ形成されている。
【0042】
各突起部72は、端部部材6の平面部63,64とそれぞれ接触するものである。各突起部72は、端部部材6に向けて突出して形成されている。各突起部72は、外力が作用していない状態で、互いの先端部の間の厚さ方向における距離が端部部材6の厚さ方向の長さよりも短くなるように形成されている。従って、開口部51にシャッターカーテン4の端部41が挿入された状態では、各突起部72は、幅方向のうちシャッターカーテン4が開口部51に挿入される方向に弾性変形した状態で平面部63,64とそれぞれ接触することとなる。従って、シャッターカーテン4が厚さ方向に移動することで、端部部材6が厚さ方向に移動しても、弾性体である各突起部72が端部部材6の厚さ方向への移動に追従することとなる。
【0043】
以上のように、本実施形態1に係るシャッター装置1では、開口部51を形成する内周面5bに接触する一対のシール部材7は、開閉方向において厚さ方向に変化しない平面部63,64とそれぞれ接触するので、開口部51と端部部材6との隙間S2を一対のシール部材7により開閉方向に沿って閉塞することができる。ここで、シャッターカーテン4の表面および裏面が開閉方向に沿って平坦に形成されていない場合は、開口部51とシャッターカーテン4の端部41との隙間S1が開閉方向において変化するため、開口部51とシャッターカーテン4の端部41との隙間S1を開閉方向に沿って閉塞することが困難である。しかしながら、本実施形態1に係るシャッター装置1では、シャッターカーテン4の厚さ方向の形状に拘わらず、開口部51とシャッターカーテン4の端部41との隙間S1を一対のシール部材7と端部部材6とにより開閉方向に沿って閉塞することができる。これにより、シャッター装置1の閉鎖状態において、表面側空間部FSと裏面側空間部BSとの間での空気の移動が抑制されるので、表面側空間部FSと裏面側空間部BSとの間での熱の移動が抑制され、断熱性を確保することができる。また、表面側空間部FSと裏面側空間部BSとの間での音や振動の伝播が抑制され、遮音性を確保することができる。さらに、表面側空間部FSと裏面側空間部BSとの間での匂いや水分などの移動が抑制され、気密性を確保することができる。
【0044】
また、各突起部72は、端部部材6の厚さ方向への移動に追従して弾性変形するので、端部部材6に対する一対のシール部材7の追従性を確保することができる。これにより、開口部51とシャッターカーテン4の端部41との隙間S1を一対のシール部材7と端部部材6とにより開閉方向に沿って閉塞することができ、上述の断熱性、遮音性、気密性をさらに確保することができる。また、シャッターカーテン4の振動を一対のシール部材7が吸収することができるので、静粛性を確保することができる。
【0045】
また、一対のシール部材7は、端部部材6の2つの平面部63,64にそれぞれ接触するので、開口部51において厚さ方向で異なる2箇所で一対のシール部材7と端部部材6とが接触することで、端部部材6の厚さ方向への移動を規制することができる。従って、シャッターカーテン4の端部41が開口部51において厚さ方向に移動することが規制できるので、シャッターカーテン4が開閉方向に移動する場合や、閉鎖状態のシャッターカーテン4に外力が加わった場合でも、シャッターカーテン4とガイドレール5とが接触することを抑制でき、接触により発生する音や振動を抑制することができる。これにより、開閉体の開閉時や閉鎖状態での静粛性を確保することができる。
【0046】
上記実施形態においては、開閉方向に隣り合うスラット42の間に干渉抑制隙間S3が形成できればよいので、端部部材6がスラット42と幅方向において対向する範囲は限定されるものではない。例えば、端部部材6は、スラット42のうち、スラット42の凹部45から連接部44までの範囲と幅方向において対向するように形成されても良い。また、端部部材6は、スラット42のうち、スラット42の凹部45の範囲と幅方向において対向するように形成されても良い。また、端部部材6の厚さは、任意に設定されるものであるが、コスト等を考慮するとスラット42の厚さよりも薄いことが好ましい。また、端部部材6の表面は、製造容易性等を考慮すると、全体が平坦であって、開閉方向に沿って平面部63,64が形成されていることが好ましい。
【0047】
上記実施形態では、2つの平面部63,64に一対のシール部材7が接触するが、これに限定されるものではなく、1つのシール部材7が端部部材6に開閉方向に沿って形成された1つの平面部と接触するようにしても良い。この場合は、シール部材7の数を削減できるので、コストの低減、組み立て工程の削減を図ることができる。また、開口部51に対するシール部材7の配置は、シール部材7が開口部51を形成する内周面5bと端部部材6の平面部63,64とに接触することができれば、いずれであっても良い。
【0048】
上記実施形態においては、3つの内部空間部57〜59にそれぞれ断熱材10〜12が設けられているが、内部空間部の数はこれに限定されるものではない。断熱材を内部空間部に設ける場合は、内部空間部が1以上形成されていれば良い。また、断熱材は、内部空間部を設けずに開口部51に設けても良い。この場合は、シール部材7と断熱材とを一体で形成しても良い。この場合、シール部材7と断熱材とが一体に形成されているので、コストの低減、組立て工数の削減を図ることができる。
【0049】
上記実施形態において、端部部材6の開閉方向における端部は、幅方向から見た場合に、テーパー、円弧、楕円弧などの形状に形成されていても良い。この場合は、シャッターカーテン4の開閉方向への移動に伴って、端部部材6が一対のシール部材7と接触しながら移動する際の抵抗を低減することができる。
【0050】
また、上記実施形態においては、シャッター装置1として、上方向が開方向、下方向が閉方向のシャッター装置について説明したがこれに限定されるものではない。シャッター装置1は、下方向が開方向、上方向が閉方向のシャッター装置や、左右方向が開閉方向のシャッター装置など開閉方向がいずれの方向のシャッター装置であっても良い。
【0051】
また、上記実施形態におけるシャッター装置1は、使用環境、適用環境を問わず使用することができる。例えば、端部部材6を金属製とし、一対のシール部材7を耐熱性のある材料(難燃ゴムなど)で形成することで、防災用シャッター装置として使用することができる。使用環境、適用環境に合わせて、端部部材6および一対のシール部材7を形成する材料を変更することが好ましい。また、各板状部材52〜56の材質は、任意に決められるものであり、上記金属製でなくても良い。ここで、断熱性を向上するためには、端部部材6が厚さ方向においてヒートブリッジとなることを抑制することが好ましい。従って、各板状部材52〜56の材質としては、例えばプラスチック等の熱伝導性が低い材質を用いても良い。