(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ケースの開口部に揺動操作可能に操作部が露出した操作体と、前記ケース内に離間した状態で設けられた固定接点及び固定端子と、前記固定端子と導通すると共に前記操作体の揺動動作に伴って前記固定接点と接離する接点部が一端側に設けられた可動導電体と、前記可動導電体の他端側に常に上方側へ付勢力を作用させる付勢部材と、前記可動導電体の他端側と前記操作体との間に配設され、前記操作体の揺動動作に伴って上下移動する駆動部材と、前記操作体に一体的に設けられた磁性部材と、通電状態に応じて前記磁性部材を吸引可能な電磁石とを備え、
前記接点部が前記固定接点と当接したオン状態では、前記付勢部材の付勢力に抗した前記電磁石と前記磁性部材との間での吸引により前記操作体が一方側に揺動した状態で保持される一方、前記接点部が前記固定接点から離間したオフ状態とする際には、前記電磁石と前記磁性部材との吸引状態が解かれるように前記電磁石への通電状態が切り替えられて、前記付勢部材の付勢力により前記可動導電体の他端側を上昇させると共に、前記駆動部材を介して前記操作体を他方側に揺動させる揺動操作型スイッチ装置であって、
前記ケース内に隔壁が設けられ、前記固定接点、可動導電体及び固定端子が前記隔壁の下方側に配設される一方、前記電磁石及び操作体が前記隔壁の上方側に配設されることを特徴とする揺動操作型スイッチ装置。
前記付勢部材は、一端側が前記ケースの内底部から突出して設けられた第1の係止部に係止され、他端側が前記可動導電体の他端側の一部に設けられた第2の係止部に係止されたトーションばねで構成され、前記第2の係止部に係止された他端側の位置を、前記第1の係止部に係止される一端側の位置よりも上方側の位置に配置したことを特徴とする請求項1記載の揺動操作型スイッチ装置。
前記ケースの内底面には、前記電磁石に対する通電用端子が配置される空間を、前記固定接点、可動導電体及び固定端子が配置される空間から仕切る仕切り壁が立設されていることを特徴とする請求項4記載の揺動操作型スイッチ装置。
前記可動導電体の他端側を回動支点として一端側を回動可能に支持する支持部材を備え、前記支持部材は、一端側が前記固定端子の一部に設けられた第3の係止部に係止され、他端側が前記可動導電体の一端側の一部に設けられた第4の係止部に係止されることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の揺動操作型スイッチ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の揺動操作型スイッチ装置においては、接点機構の接点状態の切り替えに用いられる操作バネの他に、接点状態を元の状態に動的に復帰させるために復帰バネを必要としている。このため、揺動操作型スイッチ装置に復帰バネを設けなければならず、さらに組み立て性が低いという問題がある。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、可動接点の操作機能と所定の接点状態への復帰機能とを単一の付勢部材に持たせることができ、組み立て性も良好な揺動操作型スイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の揺動操作型スイッチ装置は、ケースの開口部に揺動操作可能に操作部が露出した操作体と、前記ケース内に離間した状態で設けられた固定接点及び固定端子と、前記固定端子と導通すると共に前記操作体の揺動動作に伴って前記固定接点と接離する可動接点が一端側に設けられた可動導電体と、前記可動導電体の他端側に常に上方側へ付勢力を作用させる付勢部材と、前記可動導電体の他端側と前記操作体との間に配設され、前記操作体の揺動動作に伴って上下移動する駆動部材と、前記操作体に一体的に設けられた磁性部材と、通電状態に応じて前記磁性部材を吸引可能な電磁石とを備え、前記可動接点が前記固定接点と当接したオン状態では、前記付勢部材の付勢力に抗した前記電磁石と前記磁性部材との間での吸引により前記操作体が一方側に揺動した状態で保持される一方、前記可動接点が前記固定接点から離間したオフ状態とする際には、前記電磁石と前記磁性部材との吸引状態が解かれるように前記電磁石への通電状態が切り替えられて、前記付勢部材の付勢力により前記可動導電体の他端側を上昇させると共に、前記駆動部材を介して前記操作体を他方側に揺動させる
ものであって、前記ケース内に隔壁が設けられ、前記固定接点、可動導電体及び固定端子が前記隔壁の下方側に配設される一方、前記電磁石及び操作体が前記隔壁の上方側に配設されることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、可動接点が一端側に設けられた可動導電体の他端側に常に上方側へ付勢力を作用させる付勢部材を備え、この付勢部材の付勢力を利用して所定の接点状態(可動接点が固定接点から離間したオフ状態)とすることができるので、可動接点の操作機能と所定の接点状態への復帰機能とを単一の付勢部材に持たせることができる。また、単一の付勢部材に複数の機能を持たせることができるので、装置内の部品点数を少なくでき、組み立て性も改善することができる。この結果、可動接点の操作機能と所定の接点状態への復帰機能とを単一の付勢部材に持たせることができ、組み立て性も良好な揺動操作型スイッチ装置を提供することが可能となる。
また、隔壁により固定接点、可動導電体及び固定端子が配設される空間と、電磁石及び操作体が配設される空間とを隔てることができるので、ケース内の空間利用効率を高めることができる。また、接点機構を隔壁の下方側に配置したことから、操作者からの操作を受け付ける操作体と離間して配置することができるので、安全性を高めることが可能となる。
【0009】
上記揺動操作型スイッチ装置において、前記付勢部材は、一端側が前記ケースの内底部から突出して設けられた第1の係止部に係止され、他端側が前記可動導電体の他端側の一部に設けられた第2の係止部に係止されたトーションばねで構成され、前記第2の係止部に係止された他端側の位置を、前記第1の係止部に係止される一端側の位置よりも上方側の位置に配置することが好ましい。この場合には、第1の係止部がケースの一部に設けられる一方、第2の係止部が可動導電体の一部に設けられ、第2の係止部に係止された他端側の位置が、第1の係止部に係止される一端側の位置よりも上方側の位置に配置されることから、トーションばねの付勢力をその他端側に集中させることができるので、簡単な構成で可動導電体の他端側に常に上方側に付勢する付勢力を作用させることが可能となる。
【0010】
特に、上記揺動操作型スイッチ装置において、前記第1の係止部は、前記ケースの内底部に設けられた前記固定端子の一部に設けられることが好ましい。この場合には、トーションばねの一端側が固定端子の一部に係止されることから、熱変形等による悪影響を低減できるので、位置精度を確保しながら確実にトーションばねの一端側を係止することが可能となる。
【0012】
特に、上記揺動操作型スイッチ装置において、前記隔壁は、前記ケースの内側に収容され、前記駆動部材及び電磁石の位置決めを行う内部ケースの一部で構成されることが好ましい。この場合には、駆動部材や電磁石の位置決めを行う内部ケースの一部で隔壁が構成されることから、装置の部品点数を削減しつつ、ケース内の空間利用効率を高めることができる。
【0013】
また、上記揺動操作型スイッチ装置において、前記ケースの内底面には、前記電磁石に対する通電用端子が配置される空間を、前記固定接点、可動導電体及び固定端子が配置される空間から仕切る仕切り壁が立設されていることが好ましい。この場合には、電磁石に対する通電用端子が配置される空間を、固定接点、可動導電体及び固定端子が配置される空間から仕切ることができるので、通電用端子と可動導電体等との接触を防止でき、これらの接触に起因するスイッチ装置の不具合を効果的に防止することが可能となる。
【0014】
さらに、上記揺動操作型スイッチ装置においては、前記ケースの内壁部又は前記内部ケースの側壁部の一部に前記駆動部材を案内する案内部が設けられることが好ましい。この場合には、ケースの内壁部又は内部ケースの側壁部の一部で駆動部材が案内されることから、駆動部材を介した操作体と可動導電体と間の動作の伝達を円滑にすることができ、確実にオン状態及びオフ状態を切り替えることが可能となる。
【0015】
さらに、上記揺動操作型スイッチ装置において、前記駆動部材は、前記可動導電体の他端側で前記第2の係止部を挟んで設けられた保持部に載置される一対の腕部を有することが好ましい。この場合には、前記可動導電体の他端側で第2の係止部を挟んで設けられた保持部に一対の腕部が載置されることから、操作体の揺動動作に伴ってバランス良く可動導電体を押し下げることが可能となる。また、可動導電体に作用する付勢力を適切に駆動部材に伝達することが可能となる。
【0016】
さらに、上記揺動操作型スイッチ装置においては、前記磁性部材が磁石で構成されることが好ましい。この場合には、電磁石に対する磁石の吸引力を利用してオン状態を保持することができるので、常に電磁石に通電を必要としない低消費電力の揺動操作型スイッチ装置を提供することが可能となる。
【0017】
なお、上記揺動操作型スイッチ装置においては、前記磁性部材を軟磁性体で構成することも可能である。この場合には、磁性部材を磁石で構成する場合と比較して、材料費を低減することができるので、揺動操作型スイッチ装置の製造コストを低減することが可能となる。
【0018】
特に、上記揺動操作型スイッチ装置においては、前記操作体に前記磁石又は軟磁性体を保護する保護部を設けることが好ましい。この場合には、磁石又は軟磁性体を保護することができるので、これらの破損に起因するオン状態/オフ状態の切り替えに関する不具合の発生を抑制することが可能となる。
【0019】
さらに、上記揺動操作型スイッチ装置においては、前記可動導電体の他端側を回動支点として一端側を回動可能に支持する支持部材を備え、前記支持部材は、一端側が前記固定端子の一部に設けられた第3の係止部に係止され、他端側が前記可動導電体の一端側の一部に設けられた第4の係止部に係止されることが好ましい。この場合には、支持部材によって、可動導電体が他端側を回動支点として一端側を回動可能に支持されることから、可動導電体の動作を安定させることができ、一端側に設けられた可動接点を固定接点に接離することが可能となる。
【0020】
さらに、上記揺動操作型スイッチ装置において、前記可動導電体は、前記操作体の揺動動作に伴ってスナップアクション動作を行うことが好ましい。この場合には、操作体の揺動動作に伴って素早くオン状態/オフ状態を切り替えることができるので、信頼性を高めることが可能となる。
【0021】
さらに、上記揺動操作型スイッチ装置において、前記内部ケースの下面部には、前記可動導電体の一端側における一定位置から上方側への移動を制限するストッパ部が設けられていることが好ましい。この場合には、可動導電体がスナップアクション動作を行う場合においても、可動導電体の一端側部分が一定位置以上に移動するのを制限でき、安定した動作を確保することが可能となる。
【0022】
さらに、上記揺動操作型スイッチ装置において、前記支持部材は、前記可動導電体と前記固定端子との間の導電路を形成することが好ましい。この場合には、可動導電体を支持する支持部材に導電機能を兼用させることができるので、装置内の部品点数を削減でき、組み立て性を改善すると共に製造コストの低減を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、可動接点が一端側に設けられた可動導電体の他端側に常に上方側へ付勢力を作用させる付勢部材を備え、この付勢部材の付勢力を利用して所定の接点状態(可動接点が固定接点から離間したオフ状態)とすることができるので、可動接点の操作機能と所定の接点状態への復帰機能とを単一の付勢部材に持たせることができ、組み立て性も良好な揺動操作型スイッチ装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1及び
図2は、本発明の一実施の形態に係る揺動操作型スイッチ装置(以下、単に「スイッチ装置」という)1の全体構成を示す分解斜視図である。なお、以下においては、説明の便宜上、
図1に示す左方側を「スイッチ装置1の左方側」又は単に「左方側」と呼び、
図1に示す右方側を「スイッチ装置1の右方側」又は単に「右方側」と呼ぶものとする。
図2においては、
図1に示す左右方向を逆転させた状態について示している。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態に係るスイッチ装置1は、上方に開口した外部ケース2と、この外部ケース2に収納され、外部ケース2内の空間を上下に仕切る内部ケース3と、この内部ケース3の上方側に配置され、外部ケース2から一部(操作部)が露出した状態で揺動動作可能に配置される操作体4とを備えている。内部ケース3で仕切られた下方側の空間には、外部ケース2の底面部を構成する絶縁基台5に設けられた固定接点61を有する固定接点端子6及び固定端子7と、固定接点61に接離する可動接点81が設けられた可動導電体8とが配設される(
図2参照)。一方、内部ケース3で仕切られた上方側の空間には、操作体4に一体的に設けられる磁石9と、通電状態に応じて磁石9を吸引可能に構成される電磁石10と、操作体4の揺動動作に伴って上下移動する駆動部材11とが配設される。以下、本実施の形態に係るスイッチ装置1を構成する各部材について説明する。
【0027】
外部ケース2は、例えば、ポリアセタールやポリアミドなどの熱可塑性の樹脂材料で形成されている。上述したように、外部ケース2は、上方に開口した箱状を有しており、その内部に内部ケース3等が収納される収納部201が設けられている。平面視して矩形状をなした外部ケース2が有する側壁部のうち、長手方向の側壁部202の上方側中央には、後述する操作体4の軸部403が係合する孔203が形成されている。また、外部ケース2の短手方向の側壁部204には、スイッチ装置1が取り付けられる電子機器等へのスナップ係合用のフック部205が設けられている。また、外部ケース2の下面部には、開口部206が設けられ、この開口部206に絶縁基台5が固定される(
図2参照)。ここでは、絶縁基台5が外部ケース2に固定される場合について示しているが、外部ケース2の一部として一体的に設けるようにしても良い。また、外部ケース2の下面であって、開口部206の側方側には、下方側に延出する一対の壁部207が設けられている。
【0028】
図3(a)は、本実施の形態に係るスイッチ装置1が有する外部ケース2の上面図であり、同図(b)は、同図(a)に示す一点鎖線における断面図である。なお、
図3においては、絶縁基台5を固定する前の状態における外部ケース2について示している。
【0029】
図3(b)に示すように、外部ケース2において、開口部206を規定する内底面部208には、その側方側に一対の壁部209が立設されている。これらの壁部209は、内部ケース3の下方側に形成される空間を仕切る仕切り壁を構成する。また、これらの壁部209の側方側には、電磁石10への通電用端子12(
図1参照)が挿通される一対のスリット210が形成されている。これらのスリット210は、
図3(a)に示すように、外部ケース2の下面に設けられた壁部207の外側に形成されている。また、開口部206を規定する内底面部208には、絶縁基台5の外形の形状に応じた凹部211が形成され、絶縁基台5を所定位置に確実に固定可能に構成されている。
【0030】
絶縁基台5は、外部ケース2と同様に、例えば、ポリアセタールやポリアミドなどの熱可塑性の樹脂材料で形成されている。絶縁基台5は、平面視にて概して長方形状に設けられている。絶縁基台5における長手方向の中央部には、上方側に突出する突出部501が設けられている。この突出部501の中央には、後述する固定端子7の傾斜部703と略同一の角度に構成された傾斜面部502が設けられている。この突出部501の右方側部分の中央には、固定端子7が挿通されるスリット503が形成されている。一方、突出部501の左方側部分には、固定接点端子6が挿通されるスリット504が形成されている。スリット504は、絶縁基台5の中央よりも僅かに一方の側壁部202側の位置に形成されている。これらのスリット503、504は、絶縁基台5の長手方向に延在して形成されている。
【0031】
固定接点端子6及び固定端子7は、導電性を有する金属板材で構成される。固定接点端子6の上端部には、上下方向に延伸する端子本体から略直交して折り曲げられた折り曲げ部601が設けられている。固定接点61は、この折り曲げ部601の上面に設けられている。固定端子7の上方側部分には、後述するトーションばね13の一端を係止する係止部701と、後述する支持アーム14の一端を係止する係止部702とが形成されている。なお、係止部701は、第1の係止部を構成し、係止部702は、第3の係止部を構成する。また、固定端子7の上方側部分の左方側端部には、傾斜部703が設けられている。
【0032】
図4(a)、(b)は、それぞれ本実施の形態に係るスイッチ装置1が有する絶縁基台5の斜視図及び側面図である。なお、
図4(a)、(b)においては、固定接点端子6及び固定端子7が固定された状態の絶縁基台5について示している。
【0033】
図4(a)に示すように、絶縁基台5において、固定接点端子6は、スリット504に挿通され、折り曲げ部601が絶縁基台5の上面に重ねられた状態で固定される。固定接点61は、固定接点端子6が絶縁基台5に固定された状態において、絶縁基台5における短手方向の中央部に配置される。この場合、固定接点61は、絶縁基台5に固定された固定端子7の延在方向(スリット503の延在方向)の延長線上に配置されている。
【0034】
固定端子7は、スリット503に挿通され、係止部701、702等が形成された上方側部分を露出した状態で固定される。絶縁基台5に固定された状態において、傾斜部703は、突出部501の傾斜面部502と連続した傾斜面を構成する。これらの傾斜面部502及び傾斜部703からなる傾斜面は、後述するトーションばね13の一端を係止部701に係止する際に利用される。
【0035】
固定端子7において、係止部701は、
図4(a)、(b)に示すように、右方側に開口した形状を有しており、係止部702は、左方側に開口した形状を有している。係止部701は、係止部702よりも左方側の位置に配置されると共に、係止部702よりも下方側の位置に配置されている。係止部701の上方には、傾斜部703が配置されており、この傾斜部703により後述するトーションばね13の一端が係止部701に案内されるものとなっている。
【0036】
可動導電体8は、導電性を有する金属板材に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことで形成される。可動導電体8は、左方側に配置された一端側の下面に可動接点81が設けられている(
図2参照)。また、可動導電体8の左方側に配置された一端側であって、可動接点81の近傍には、後述する支持アーム14の他端を係止する係止部801が設けられている。一方、可動導電体8の右方側に配置された他端側の上面には、後述するトーションばね13の他端を係止する係止部802が設けられている。なお、係止部801は、第4の係止部を構成し、係止部802は、第2の係止部を構成する。さらに、可動導電体8の他端側には、係止部802を挟んで配置された一対の保持部803が設けられている。これらの保持部803は、後述する駆動部材11の突出片1102aの下端部が載置される。
【0037】
トーションばね13は、付勢部材を構成するものであり、例えば、金属棒材に捻じり加工を施すことで形成される。トーションばね13の両方の先端部には、それぞれ内側に折り曲げられた係止片13a、13bが設けられている。支持アーム14は、支持部材を構成するものであり、例えば、導電性を有する金属棒材に折り曲げ加工を施すことで形成される。支持アーム14は、平面視にて左方側に開口したU字形状をなし、その両方の先端部に外側に折り曲げられた係止片14a、14bが設けられている。なお、支持アーム14は、固定端子7と可動導電体8との間の導電路を形成する。
【0038】
図5(a)、(b)は、それぞれ本実施の形態に係るスイッチ装置1が有する可動導電体8の斜視図及び側面図である。なお、
図5(a)、(b)においては、スイッチ装置1がオフ状態における可動導電体8の状態について示している。また、
図5(a)、(b)においては、トーションばね13及び支持アーム14が係止された状態の可動導電体8について示し、説明の便宜上、固定端子7も示している。
【0039】
図5(a)、(b)に示すように、トーションばね13は、一端側に設けられた係止片13aが固定端子7の係止部701に係止されると共に、他端側に設けられた係止片13bが可動導電体8の係止部802に係止された状態で配置される。なお、本実施の形態では、トーションばね13の係止片13aが固定端子7の係止部701に係止される場合について説明していくが、絶縁基台5の一部(例えば、絶縁基台5から上方側に突出された突出部の一部)で係止されるようにしても良い。
【0040】
支持アーム14は、一端側に設けられた折り曲げ部14cが固定端子7の係止部702に係止されると共に、他端側に設けられた係止片14a、14bが可動導電体8の係止部801に係止された状態で配置される。なお、支持アーム14は、可動導電体8の係止部801の近傍に設けられた一対の爪部804に下方側から支持された状態となっている。支持アーム14は、可動導電体8の他端側を回動支点として一端側を回動可能に支持する役割を果たし、可動導電体8の安定した動作を確保することができる。上述のように、このように可動導電体8を支持する支持アーム14に、固定端子7と可動導電体8との間の導電路としての機能を持たせていることから、スイッチ装置1の部品点数を削減でき、組み立て性を改善すると共に製造コストの低減を実現することができる。
【0041】
図5(a)に示すように、トーションばね13の係止片13aは、支持アーム14の内側を通過して固定端子7の係止部701に係止されている。
図5(b)に示すように、トーションばね13は、係止片13aが係止片13bよりも下方側に位置した状態で配置される。また、支持アーム14は、係止片14a(14b)が折り曲げ部14cよりも僅かに上方側に位置した状態で配置される。トーションばね13の係止片13aは、支持アーム14の折り曲げ部14cよりも下方側の位置に配置され、係止片13bは、支持アーム14の係止片14a(14b)よりも上方側の位置に配置されている。
【0042】
内部ケース3は、例えば、ポリアセタールやポリアミドなどの熱可塑性の樹脂材料で形成され、平面視して概して矩形状に設けられている。内部ケース3の外形は、外部ケース2の収納部201の内壁面と略同一の形状に設けられている。内部ケース3の左方側部分の上面には電磁石10を収容する収容部301が設けられ、右方側部分の下面にはトーションばね13の本体部(巻回部)を収容する収容部302が設けられている(
図2参照)。
【0043】
内部ケース3における長手方向の側壁部303の中央よりも僅かに左方側の位置には、矩形状の開口部304aが形成された一対の固定片304が設けられている。これらの開口部304aは、後述するブラケット1001bの突起部1001eを収容し、電磁石10の位置決めを行う。また、長手方向の側壁部303の中央よりも僅かに右方側の位置には、駆動部材11の上下移動をガイドする一対のガイド部305が設けられている。これらのガイド部305は、上下に延在する凹部として設けられ、後述する駆動部材11の腕部1102を収容可能に構成されている。
【0044】
また、内部ケース3における左方側端部及び右方側端部には、電磁石10に対する通電用端子12が挿通されるスリット306a、306bが形成されている(
図2参照)。また、内部ケース3の左方側部分(収容部301に対応する部分)の下面中央には、平面視して矩形状の突出片307が設けられている(
図2参照)。この突出片307は、可動導電体8における一定位置から上方側への移動を規制するストッパ部として機能する。
【0045】
電磁石10は、一定距離離間して配置された一対のブラケット1001a、1001b及びこれらのブラケット1001a、1001bを連結する図示しない円筒形状の連結部(
図10参照)を有するコイルホルダ1001cと、コイルホルダ1001cの連結部に挿通される鉄芯1002と、コイルホルダ1001cの連結部の外周部に巻回されるコイル1003と、コイル1003から発生した磁場(磁力線)の外部への漏れを防止するヨーク1004とを備えて構成されている。電磁石10においては、通電用端子12を介してコイル1003に電流を流すことにより、鉄芯1002により増幅された磁場が発生する。
【0046】
ブラケット1001a、1001bは、側面視してそれぞれ概してL字形状を有し、内部ケース3の内底面に垂直に配置される平面の上方側部分に孔1001dが形成されている。ヨーク1004は、側面視して概してL字形状を有し、水平面1004aがコイル1003の上方側に配置される。また、この水平面1004aの左方側端部に垂下する垂直面1004bを有し、この垂直面1004bの中央には孔1004cが形成されている。
【0047】
ブラケット1001bには、孔1001dを挟んで一対の突起部1001eが設けられている。これらの突起部1001eは、内部ケース3に設けられた開口部304aと係合し、電磁石10の位置決めに利用される。ブラケット1001aには、通電用端子12が挿通されるスリット1001fが形成されている(
図2参照)。電磁石10が内部ケース3の収容部301に収容された状態で通電用端子12は、スリット1001fを介してスリット306aに挿通される。
【0048】
鉄芯1002の右方側端部には、矩形状のヘッド部1002aが設けられている。ヘッド部1002aは、後述する操作体4の保持部402に保持された磁石9との吸着を受ける一方、コイル1003に流される電流の向きに応じて発生する磁場にしたがって磁石9との吸引状態を解き、離間させる部分である。
【0049】
図6(a)、(b)は、それぞれ本実施の形態に係るスイッチ装置1が有する内部ケース3の斜視図及び側面図である。なお、
図6(a)、(b)においては、電磁石10が内部ケース3の収容部301に収容された状態について示している。また、
図6(a)、(b)においては、電磁石10(コイル1003)に対する通電に利用される通電用端子12を省略している。
【0050】
図6(a)、(b)に示すように、電磁石10においては、ブラケット1001a、1001bの孔1001dに挿通された鉄芯1002の先端部をヨーク1004の孔1004cに挿通し、接着剤等により垂直面1004bに固着することにより一体化される。一体化された電磁石10は、ブラケット1001bの突起部1001eにより位置決めされた状態で収容部301に収容される。この場合、鉄芯1002のヘッド部1002aは、ブラケット1001bの表面から突出した状態となっている。
【0051】
操作体4は、例えば、ポリアセタールやポリアミドなどの熱可塑性の樹脂材料で形成されている。操作体4は、下方に開口した概して箱状を有する操作部401と、操作部401の下面中央から延出し、磁石9を保持する保持部402とを有している。操作部401は、その下方側の一部を外部ケース2の収納部201に収納可能な寸法に設けられている。操作部401の側面部中央には、側方側に突出する一対の軸部403が設けられている。軸部403は、外部ケース2の孔203に挿入可能な寸法に設けられている。
【0052】
保持部402は、一定距離を挟んで対向配置される一対の板状部402a、402bで構成される。板状部402aの下端部近傍には、矩形状の開口部402cが形成されると共に、その側縁部から板状部402b側に突出する一対の側壁部402dが設けられている。一方、板状部402bには、下端部から板状部402a側に突出する突出片402eが設けられている。板状部402aの開口部402cは、磁石9の外形よりも僅かに小さく、鉄芯1002のヘッド部1002aが通過可能な寸法に設けられている。開口部402cが設けられた板状部402bは、磁石9を保護する保護部として機能するものである。このように操作体4に保護部を設けることにより、磁石9の破損を防止することができる。
【0053】
磁石9は、磁性部材を構成するものであり、直方体形状を有している。磁石9は、保持部402を構成する板状部402a、402b間の寸法よりも僅かに薄い寸法に設けられている。磁石9は、接着剤等により板状部402bの内壁面に固定されている。磁石9は、鉄芯1002のヘッド部1002aの一定範囲内に接近した場合にヘッド部1002aに吸着可能に着磁されている。
【0054】
図7(a)、(b)は、それぞれ本実施の形態に係るスイッチ装置1が有する操作体4の側面図及び側断面図である。なお、
図7(a)、(b)においては、保持部402で磁石9を保持した状態の操作体4について示している。また、
図7(b)においては、操作体4が有する操作部401の短手方向の中央部における断面を示している。
【0055】
図7(a)、(b)に示すように、磁石9は、保持部402を構成する板状部402aと、板状部402bとの間に保持される。保持部402で保持された状態において、磁石9は、板状部402aの突出片402eにより下方側への脱落が防止され、板状部402bの側壁部402dにより側方側への脱落が防止されている。また、保持部402に保持された状態において、磁石9は、板状部402aに形成された開口部402cから左方側の表面を露出した状態となっている。
【0056】
操作部401の下面中央には、
図7(b)に示すように、リブ404が設けられている。リブ404は、駆動部材11が配置される右方側部分にのみ設けられている。リブ404は、後述する駆動部材11の当接片1103と当接し、操作体4に対する揺動操作に伴って駆動部材11を上下方向に移動させる。
【0057】
駆動部材11は、例えば、ポリアセタールやポリアミドなどの熱可塑性の樹脂材料で形成されている。駆動部材11は、水平方向に延在する基部1101と、この基部1101の両端部から下方側に延出して設けられた一対の腕部1102とを有している。腕部1102は、下端部において左方側部分が右方側部分よりも突出して設けられた突出片1102aを有している。駆動部材11は、これらの突出片1102aにより可動導電体8の保持部803上に載置される。また、基部1101の上面中央には、上方側に突出する当接片1103が設けられている。この当接片1103の上端部は、球面形状に設けられている。
【0058】
これらのような構成部品を外部ケース2に組み込むと、
図8に示すスイッチ装置1が完成する。
図8は、本実施の形態に係るスイッチ装置1の外観を示す側面図である。なお、
図8においては、可動導電体8に設けられた可動接点81が、固定接点端子6に設けられた固定接点61から離間した状態(すなわち、オフ状態)のスイッチ装置1の外観について示している。
【0059】
図8に示すように、スイッチ装置1においては、外部ケース2の収納部201内に、可動導電体8、内部ケース3及び駆動部材11等の構成部品を収容した状態で操作体4が被せられている。操作体4は、軸部403が孔203に係合することで外部ケース2に揺動可能に保持される。また、操作体4は、操作部401の一部が外部ケース2から露出した状態となっており、この露出した部分で操作者からの揺動操作を受け付け可能に構成されている。
【0060】
外部ケース2の内部において、内部ケース3は、外部ケース2の内底面に立設された一対の壁部209の上端部に載置された状態となっている(
図10参照)。この場合、壁部209により通電用端子12が配置される空間が、可動導電体8等が配置される空間から仕切られる。これにより、通電用端子12と可動導電体8等との接触を防止でき、これらの接触に起因するスイッチ装置1の不具合を効果的に防止することができる。
【0061】
また、内部ケース3の外形は、外部ケース2の収納部201の内壁面と略同一の形状に設けられていることから、その底面部が収納部201を仕切る隔壁を構成するものとなっている。内部ケース3の底面部(隔壁)により仕切られた上下の空間には、
図9に示すように、各構成部品が配置される。
図9は、
図8から外部ケース2を省略した状態のスイッチ装置1の側面図である。
【0062】
図9に示すように、内部ケース3の下方側の空間においては、上述したようにトーションばね13と支持アーム14とを係止した状態の可動導電体8が配設されている。可動導電体8は、トーションばね13の付勢力により他端側が上方側に付勢されている。なお、可動導電体8に作用するトーションばね13の付勢力については後述する。このような他端側に作用する付勢力により、可動導電体8全体が持ち上げられ、一端側に設けられた可動接点81が固定接点61から離間すると共に、可動接点81の裏面側が突出片307の下面に当接した状態となっている。このようにオフ状態において、可動導電体8は、可動接点81の裏面側が突出片307の下面に当接することから、後述するように、可動導電体8がスナップアクション動作を行う場合においても、可動導電体8の一端側部分が一定位置以上に移動するのを制限でき、安定した動作を確保することができる。
【0063】
一方、内部ケース3の上方側の空間においては、電磁石10が内部ケース3の収容部301に収容されている。電磁石10は、ブラケット1001bの突起部1001eが内部ケース3の開口部304aに係合した状態で収容部301内に位置決めされている。駆動部材11は、内部ケース3のガイド部305に腕部1102を収容された状態で、可動導電体8上に載置される。上下移動する際、駆動部材11は、内部ケース3のガイド部305に案内される。駆動部材を介した操作体と可動導電体と間の動作を円滑に伝達できるものとなっている。また、駆動部材11は、腕部1102の突出片1102aが保持部803に載置されている。このように可動導電体8の他端側で係止部802を挟んで設けられた保持部803に一対の腕部1102が載置されることから、操作体4の揺動動作に伴ってバランス良く可動導電体8を押し下げると共に、可動導電体8に作用する付勢力を適切に駆動部材11に伝達できるものとなっている。
【0064】
これらのように本実施の形態に係るスイッチ装置1においては、内部ケース3の底面部により固定接点61が設けられた固定接点端子6、可動導電体8及び固定端子7が配設される空間と、電磁石10及び操作体4が配設される空間とを隔てることができるので、外部ケース2内の空間利用効率を高めることができる。また、接点機構を内部ケース3の下方側に配置したことから、操作者からの操作を受け付ける操作体4と離間して配置することができるので、安全性を高めることが可能となる。特に、このように収納部201を仕切る隔壁を内部ケース3の一部で構成したことから、スイッチ装置1の部品点数を削減しつつ、外部ケース2内の空間利用効率を高めることができるものとなっている。
【0065】
操作体4は、リブ404が駆動部材11の当接片1103に当接した状態で外部ケース2に取り付けられる。操作体4は、外部ケース2に取り付けられた状態において、操作部401の下方側の空間(リブ404が設けられていない側の空間)で電磁石10の一部を収容可能に構成されている。この場合、ブラケット1001bから右方側に突出した鉄芯1002のヘッド部1002aは、操作体4の保持部402に保持された磁石9に対向して配置されている。
【0066】
ここで、トーションばね13により可動導電体8に作用する付勢力について
図10〜
図12を参照しながら説明する。
図10〜
図12は、それぞれ本実施の形態に係るスイッチ装置1の側断面図である。なお、
図10においては、オフ状態のスイッチ装置1について示している。
図11においては、オフ状態からオン状態に切り替わる過程のスイッチ装置1について示している。
図12においては、オン状態のスイッチ装置1について示している。また、
図10〜
図12においては、スイッチ装置1における短手方向の中央部における断面を示している。
【0067】
上述したように、トーションばね13は、係止片13aが固定端子7の係止部701に係止され、係止片13bが可動導電体8の係止部802に係止され、それぞれの係止片13a、13bが押し狭められた状態で保持されている。この場合、トーションばね13においては、係止片13a、13bを外側に広げるような力が作用することとなり、その力の方向は係止片13aの中心と係止片13bの中心とを結んだ直線方向(
図10〜
図12に示す直線A)に沿ったものとなる。
【0068】
本実施の形態に係るスイッチ装置1において、係止片13a、13bを結ぶ直線Aは、
図10〜
図12に示すように、スイッチ装置1の状態(オフ状態、オン状態及び両者間の切り替え状態)に関わらず、係止片13b側が水平方向よりも上向きになるように設計されている。この場合において、係止片13aは、固定端子7の係止部701により係止され、移動することができない。このため、トーションばね13における付勢力は、係止片13bを常に上向きに付勢する成分を含んだものとなる。この結果、係止片13bを係止した可動導電体8には、他端側を常に上方側に移動させる付勢力が作用することとなる。
【0069】
このように本実施の形態に係るスイッチ装置1においては、係止部701が固定端子7の一部に設けられる一方、係止部802が可動導電体8の一部に設けられ、係止部802に係止された係止片13bの位置が、係止部701に係止される係止片13aの位置よりも上方側の位置に配置されることから、トーションばね13の付勢力を係止片13b側に集中させることができるので、簡単な構成で可動導電体8の他端側に常に上方側に付勢する付勢力を作用させることができる。特に、トーションばね13の係止片13aが金属板材で構成される固定端子7の一部に係止されることから、熱変形等による悪影響を低減できるので、位置精度を確保しながら確実にトーションばね13の係止片13aを係止することができる。
【0070】
次に、本実施の形態に係るスイッチ装置1における動作について
図10〜
図12を用いて説明する。
図10に示すオフ状態においては、トーションばね13の付勢力により可動導電体8の他端側が持ち上げられ、保持部803に載置された駆動部材11も持ち上げられた状態となっている。駆動部材11においては、当接片1103がリブ404を介して操作体4の右方側部分を持ち上げた状態となっている。この場合、操作体4の保持部402に保持された磁石9は、鉄芯1002のヘッド部1002aから離間した状態となっている。また、可動導電体8は、トーションばね13の付勢力によって全体が持ち上げられた状態となっており、一端側も固定接点61とは反対側の方向(上方側)へ付勢する付勢力が作用した状態となっている。
【0071】
図10に示すオフ状態から操作体4の右方側部分を押し下げる操作(揺動操作)を受け付けると、駆動部材11を介して、トーションばね13の付勢力に抗して可動導電体8が押し下げられる。この場合、可動導電体8は、
図11に示すように、可動接点81と固定接点61とを離間させた状態を維持したまま、全体的に下方側に移動していく。そして、一定位置まで可動導電体8が移動すると、例えば、トーションばね13の係止片13bの位置が、支持アーム14の折り曲げ部14c(固定端子7の係止部702)の位置よりも下方側に進んだ時を境にして可動導電体8の一端側に作用するトーションばね13の付勢力の方向が固定接点61側(下方側)に反転する。これにより、可動導電体8の一端側は固定接点61側に自走し、可動接点81と固定接点61と当接してオン状態に切り替わる(スナップアクション動作)。このように本実施の形態に係るスイッチ装置1においては、操作体4の揺動動作に伴って素早くオン状態/オフ状態を切り替えることができるので、信頼性を高めることが可能となる。
【0072】
なお、
図11においては、可動導電体8の一端側が自走する直前のスイッチ装置1の状態を示しており、
図12においては、可動導電体8の一端側が自走した後のスイッチ装置1の状態を示している。ここでは、トーションばね13の係止片13bの位置が、支持アーム14の折り曲げ部14cの位置よりも下方側に進んだ時を境にしてトーションばね13の付勢力の方向が反転する場合について説明しているが、付勢力が反転するタイミングについては、これに限定されるものではなく、トーションばね13の係止片13bや、支持アーム14の折り曲げ部14cの位置関係により定まる。
【0073】
図12に示すオン状態においては、操作体4の右方側部分が押し下げられた状態となっている。操作体4の保持部402に保持された磁石9は、鉄芯1002のヘッド部1002aと当接した状態となっている。本実施の形態に係るスイッチ装置1においては、このように可動接点81と固定接点61とが当接したオン状態を保持すると共に、このオン状態から可動接点81と固定接点61とが離間したオフ状態に自動的に切り替えるべく、電磁石10のコイル1003に対する通電状態の制御を行う。
【0074】
オン状態を保持する場合には、磁石9の鉄芯1002のヘッド部1002aに対する吸引力を利用する。すなわち、磁石9の吸引力(
図12に示す矢印G)が、トーションばね13の付勢力(
図12に示す矢印F)より大きくなるように設定しておくことにより、操作体4、駆動部材11及び可動導電体8を
図12に示す状態に維持することができ、可動接点81と固定接点61とを当接した状態(オン状態)を保持することが可能となる。
【0075】
一方、オン状態からオフ状態に自動的に切り替える場合には、電磁石10において、磁石9におけるヘッド部1002aに対する吸引状態が解かれるようにコイル1003に対して通電を行う。例えば、磁石9の磁束の向きと逆方向の磁界が発生するようにコイル1003に通電が行われる。より具体的には、コイル1003の磁界による反発力(
図12に示す矢印H)によって、トーションばね13の付勢力(
図12に示す矢印F)が、電磁石10と磁石9との間の吸引力(
図12に示す矢印G)を上回るようにコイル1003に通電が行われる。このように通電を行うことにより、トーションばね13の付勢力に応じて可動導電体8の他端側が持ち上げられると共に、可動導電体8全体が上方側に移動し、可動接点81が固定接点61から離間した状態(オフ状態)に切り替えられる。
【0076】
以上説明したように、本実施の形態に係るスイッチ装置1によれば、可動接点81が一端側に設けられた可動導電体8の他端側に常に上方側へ付勢力を作用させるトーションばね13を備え、このトーションばね13の付勢力を利用して所定の接点状態(可動接点81が固定接点61から離間したオフ状態)とすることができるので、可動接点81の操作機能と所定の接点状態への復帰機能とを単一の付勢部材(トーションばね13)に持たせることができる。また、単一のトーションばね13に複数の機能を持たせることができるので、装置内の部品点数を少なくでき、組み立て性も改善することができる。この結果、可動接点81の操作機能と所定の接点状態への復帰機能とを単一の付勢部材(トーションばね13)に持たせることができ、組み立て性も良好なスイッチ装置1を提供することが可能となる。
【0077】
特に、本実施の形態に係るスイッチ装置1においては、操作体4の保持部402に保持された磁石9を電磁石10の鉄芯1002に吸着させることにより、オン状態を保持している。これにより、電磁石10に対する磁石9の吸引力を利用してオン状態を保持することができるので、常に電磁石10(のコイル1003)に通電を必要としない低消費電力のスイッチ装置1を提供することが可能となる。
【0078】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本考案の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本考案の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0079】
例えば、上記実施の形態においては、操作体4の保持部402に磁石9を保持しておき、磁石9の吸引力によりオン状態を保持する一方、電磁石10への通電状態を制御することによりオフ状態に切り替える場合について説明している。しかしながら、本発明に係るスイッチ装置1におけるオン状態の保持及びオフ状態へ切り替える態様については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、磁石9の代わりに鉄などの軟磁性体を使用することも可能である。この場合、オン状態においては、鉄芯1002のヘッド部1002aに軟磁性体が吸引されるようにコイル1003に通電を行う一方、オフ状態に切り替える場合には、この軟磁性体との吸引状態が解かれるようにコイル1003への通電状態を切り替えるか、または付勢部材の付勢力よりも電磁石と軟磁性体との間の吸引力の方が下回るようにコイル1003への通電状態を切り替えれば良い。このように軟磁性体を使用する場合には、磁石9によりオン状態を保持する場合に比べて材料費を低減でき、スイッチ装置1の製造コストを低減することが可能となる。
【0080】
また、上記実施の形態においては、内部ケース3の側壁部の一部に駆動部材11の上下移動を案内するガイド部305を設ける場合について説明している。しかしながら、駆動部材11の上下移動を案内するガイド部が設けられる構成要素については、これに限定されるものではない。例えば、外部ケース2の内壁面にガイド部305と同等の機能を有するガイド部を設けても良い。