(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レーダ波を前方に向けて送信し、送信したレーダ波の反射波を観測することにより、前方に存在する移動物体における前端部および後端部の位置を検出することができる移動物体検出装置であって、
前記反射波を観測した結果に基づいて、前記レーダ波を反射した反射点の位置である反射点位置を連続して検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段により検出された2つの前記反射点位置のうち、当該移動物体検出装置から遠い方の前記反射点位置である第1反射点位置を前記移動物体における前記前端部の位置であるとし、当該移動物体検出装置から近い方の前記反射点位置である第2反射点位置を前記移動物体における前記後端部の位置であるとして、前記第1反射点位置と前記第2反射点位置との間の距離である反射点間距離の時間経過による変動量が、前記反射点間距離の変動量が小さいことを示す予め設定された変動判定条件を満たす場合に、前記第1反射点位置および前記第2反射点位置がそれぞれ前記移動物体の前端部および後端部の位置であると判断する端部判断手段とを備える
ことを特徴とする移動物体検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下に本発明の第1実施形態について図面とともに説明する。
図1は、第1実施形態の移動物体検出装置1の構成を示すブロック図である。
【0023】
移動物体検出装置1は、車両に搭載され、
図1に示すように、レーダ装置2に接続される。レーダ装置2は、車両に搭載され、ミリ波帯のレーダ波を車両の前方に向けて送信し、反射したレーダ波を受信することにより、レーダ波が反射した地点(以下、反射点という)までの距離および方位を示す情報(以下、反射点位置情報という)を検出する。
【0024】
移動物体検出装置1は、対象領域内反射点抽出部10と、割当仮説生成部群20と、車両端点トラッカ群30と、平均処理部群40と、モデル選択部50と、固定・独立選択部60とを備える。
【0025】
これらのうち対象領域内反射点抽出部10は、レーダ装置2が検出した反射点位置情報のうち、予め設定された抽出対象領域内に位置する反射点についての反射点位置情報を、予め設定された観測周期T(例えば100ms)毎に抽出して、観測結果とする。なお、観測開始からk回目の観測結果を観測Z(k)と表記する(k=1,2,3,・・・)。
【0026】
また抽出対象領域は、
図2(a)に示すように、自車両Vmの前方領域のうち、自車両Vmが走行している車線の左右両側に設けられている車線である。そして例えば、自車両Vmの前方において自車両Vmの左右両側の車線を走行している車両Vs1,Vs2に向けてレーダ装置2がレーダ波を送信すると、レーダ装置2は、車両Vs1,Vs2の左右両側面のうち自車両Vmに近い側の側面における前端部Pf1,Pf2と後端部Pr1,Pr2で反射点を検出する。なおレーダ装置2は、ミリ波レーダであり、レーザレーダよりも分解能が低いため、車両の前端部と後端部以外を反射点として検出しにくい。
【0027】
次に
図1に示すように、割当仮説生成部群20は、複数個(本実施形態では3個)の車両長固定割当仮説生成部21,22,23と、1個の端点独立割当仮説生成部26とから構成されている。
【0028】
これらのうち車両長固定割当仮説生成部21,22,23は、前方車両の前端部Pfで検出された反射点と後端部Prで検出された反射点との距離(すなわち、車両長)がそれぞれ、予め設定された固定長L1,L2,L3に固定されていると仮定して、割り当て仮説を生成する。以下、車両長が固定長L1,L2,L3に固定されていると仮定したモデルをそれぞれ、第1,2,3固定反射モデルという。
【0029】
また端点独立割当仮説生成部26は、前方車両の前端部Pfで検出された反射点と後端部Prで検出された反射点がそれぞれ独立に移動すると仮定して、割り当て仮説を生成する。以下、両端部の反射点が独立に移動すると仮定したモデルを独立反射モデルという。
【0030】
ここで、割り当て仮説について説明する。
図2(b)に示すように、前端部Aと後端部Bが反射点となる場合において、レーダ装置2で3つの反射点が検出された場合に(以下、この3つの反射点を検出点Pd1,Pd2,Pd3という)、検出点Pd1,Pd2,Pd3を前端部Aと後端部Bに割り当てる仮説(以下、割当仮説という)をMECE(「相互に排他的な項目」による「完全な全体集合」)で生成する。なお、前端部Aおよび後端部Bが反射点として検出されない場合と、前端部Aおよび後端部Bでない箇所が反射点としてレーダ装置2に検出される場合も考慮して割当仮説を生成する。但し、前端部Aと後端部Bに起因しない反射点は、熱雑音等による誤検出でありクラッタという。
【0031】
観測Z(k)についての第i番目の割当仮説をθ
i|Z(k)と表記すると(i=0,1,2,3,・・・)、割当仮説θ
i|Z(k)は、例えば
図2(c)に示すように生成される。
【0032】
ここで、例えば割当仮説θ
1|Z(k)は「A−1,B−2,FA−{3}」と設定されている。これは、前端部Aは検出点Pd1として検出され、後端部Bは検出点Pd2として検出され、前端部Aおよび後端部B以外の点が検出点Pd3として検出される場合を仮定していることを示す。
【0033】
また、割当仮説θ
j|Z(k)は「A−1,B−*,FA−{2,3}」と設定されている。これは、前端部Aは検出点Pd1として検出され、後端部Bは検出点Pd2として検出されず、前端部Aおよび後端部B以外の点が検出点Pd2,Pd3として検出される場合を仮定していることを示す。
【0034】
また、割当仮説θ
0|Z(k)は「A−*,B−*,FA−{1,2,3}」と設定されている。これは、前端部Aおよび後端部B以外の点が検出点Pd1,Pd2,Pd3として検出される場合を仮定していることを示す。
【0035】
そして割当仮説生成部21,22,23,26は、割当仮説を生成した後に、生成した割当仮説θ
i(k)のそれぞれについて発生確率β
i(k)を下式(5)により算出する。
β
i(k) = P(θ
i(k)|Z
k) ・・・(5)
なおθ
i(k)は、k回目の観測におけるi番目の割当仮説を表す。またZ
kは、k回目の観測までに得られた観測の系列であり、下式(6)で表される。
【0036】
Z
k = {Z(1),Z(2),・・・,Z(k−1),Z(k)} ・・・(6)
すなわち、発生確率β
i(k)は、観測の系列Z
kが得られた場合における割当仮説θ
i(k)の発生し易さを示す。
【0037】
以下に、発生確率β
i(k)の算出方法を説明する。なお、本実施形態では、発生確率β
i(k)の算出のために、Yaakov Bar-Shalom著「Multitarget-Multisensor Tracking」の6章に記載の方法を用いている。
【0038】
まず、発生確率β
i(k)=P(θ
i(k)|Z
k)は、ベイズの定理を用いて下式(7)で表される。なお式(7)において、cは正規化係数、m(k)はk回目の観測における観測点数である。
【0040】
また、観測点数がm(k)個の場合の観測Z(k)は下式(8)で表される。
Z(k)= {z
1(k),z
2(k),・・・,z
m(k)-1(k),z
m(k)(k)}・・・(8)
なお式(8)において、z
j(k)は、観測Z(k)で検出された観測点である。
【0041】
そして、式(7)の最後の辺における2つの関数は、下式(9),(10)で表される。式(9)は、割当仮説θ
i(k)において観測点が位置z
j(k)にて検出される確率を表す(j=1,2,・・・,m(k)−1,m(k))。また式(10)は、観測点数m(k)が与えられた時の割当仮説θ
i(k)の確率を表す。
【0043】
なお式(9)において、t
jは、観測点z
j(k)に割り当てられる前端部Aまたは後端部Bを示す。
また、式(9)の右辺の関数pは下式(11)で表される。
【0045】
なお式(11)において、τ
ijは、割当仮説θ
i(k)において観測点z
j(k)が端部A,Bに割り当てられる場合には1となり、観測点z
j(k)がクラッタに割り当てられる場合には0となる関数である。
【0046】
そして、式(11)の関数fは下式(12)で表される。式(12)の右辺は、平均をz(k|k−1)、分散をS(k)とするガウス分布における観測点z
j(k)の確率を示す。なおz(k|k−1)は、後述のカルマンフィルタにより(k−1)回目の観測時点においてk回目の観測時点の観測点を推定した時の値を示す。すなわち、(k−1)回目の観測時点における予測値と、k回目の観測時点における観測値との差が大きいほど、式(12)の右辺の値は小さくなる。
【0048】
したがって、式(8)の右辺は下式(13)で表される。φ
iは、i番目の割当仮説におけるクラッタ数である。
【0050】
また式(13)のV
-φiは、
図3(a)に示すように、体積Vの観測領域内に一様に分布するクラッタをφ
i個検出する確率を表す。なお、クラッタの数φは、単位領域での平均発生個数をλとして、下式(14)で表されるポワソン分布に従うと仮定する。
【0052】
また、式(10)の右辺における2つ関数Pのうち左側の関数は、下式(15)で表される。式(15)の右辺は、反射点の観測状態δが与えられたときの割当仮説の総数の逆数を表す。
【0054】
また、式(10)の右辺における2つ関数Pのうち右側の関数は、下式(16)で表される。式(16)の右辺は、クラッタ数分布と、各端部A,Bの検出/非検出率を表す。なお式(16)において、P
tDは、前端部Aまたは後端部B(t=Aまたはt=B)の検出率である。またδ
itは、i番目の割当仮説における前端部Aまたは後端部B(t=Aまたはt=B)の観測状態である。
【0056】
例えば
図3(b)に示すように、割当仮説θ
i(k)が「A−1,B−*,FA−{2,3}」の場合に、反射点(前端部Aまたは後端部B)の観測状態δ
iは下式(17)で、式(15)の右辺は下式(18)で、式(16)の右辺は下式(19)で表される。
【0058】
以上より、割当仮説生成部群20は、発生確率β
i(k)=P(θ
i(k)|Z
k)を下式(20)に基づいて算出する。
【0060】
次に
図1に示すように、車両端点トラッカ群30は、車両長固定割当仮説生成部21,22,23に対応した車両端点トラッカ31,32,33と、端点独立割当仮説生成部26に対応した車両端点トラッカ36とから構成されている。
【0061】
車両端点トラッカ31,32,33,36は、割当仮説生成部21,22,23,26で生成された複数の割り当て仮説のそれぞれについて、公知のカルマンフィルタによる状態推定を観測周期T毎に実行する。なお、本実施形態のカルマンフィルタは、下式(21)で表される状態方程式と、下式(22)で表される観測方程式を用いて状態推定値x
k|kを推定するものである。なおx
k|kは、k回目の観測時点においてk回目の観測時点の状態を推定した時の値を示す。
【0063】
そして、推定の対象となる状態として、
図3(c)に示すように、前端と後端に反射点を持つ長さlの剛体における重心位置と重心速度とから構成される状態ベクトルxを設定すると、カルマンフィルタの状態方程式は下式(23)で表される。なお、式(23)中のvはシステムノイズであり、平均が0および分散がσ
v2のガウス分布に従う。
【0065】
また、カルマンフィルタの観測方程式は、前端と後端の両方で反射点が検出された場合、前端で反射点が検出された場合、後端で反射点が検出された場合、および前端と後端の両方で反射点が検出されなかった場合のそれぞれで異なる。
【0066】
まず、前端と後端の両方で反射点が検出された場合の観測方程式は下式(24)で表される。したがって、下式(25)で表される観測誤差を用いてカルマンフィルタを計算する。なお、式(24)中のwは観測ノイズであり、平均が0および分散がσ
w2のガウス分布に従う。また式(25)中のx
k|k-1は、(k−1)回目の観測時点においてk回目の観測時点の状態を推定した時の値を示す。
【0068】
また、前端で反射点が検出された場合の観測方程式は下式(26)で表される。したがって、下式(27)で表される観測誤差を用いてカルマンフィルタを計算する。
【0070】
また、後端で反射点が検出された場合の観測方程式は下式(28)で表される。したがって、下式(29)で表される観測誤差を用いてカルマンフィルタを計算する。
【0072】
また、前端と後端の両方で反射点が検出されなかった場合には、下式(30)で表される観測誤差を用いてカルマンフィルタを計算する。
【0074】
次に
図1に示すように、平均処理部群40は、複数個(本実施形態では3個)の平均処理部41,42,43から構成されている。
平均処理部41,42,43は、下式(31)に示すように、車両端点トラッカ31,32,33で算出された状態推定値x
k|kを、車両長固定割当仮説生成部21,22,23で算出された発生確率で平均した値(以下、平均状態推定値X
kという)を算出する処理を行う。なお、式(31)におけるx
ik|kは、i番目の割当仮説における状態推定値である。
【0076】
次にモデル選択部50は、まず、k回目の観測による上記第1,2,3固定反射モデルそれぞれの尤もらしさ(以下、モデル尤度という)を、下式(32)により算出する。なお、式(32)におけるP(M
j|z
k)は、第j固定反射モデルのモデル尤度であり、M
jは第j固定反射モデルを示す(j=1,2,3)。また、β
jiは第j固定反射モデルにおけるi番目の割当仮説の発生確率である(j=1,2,3)。
【0077】
その後、第1,2,3固定反射モデルそれぞれのモデル尤度について、1回目からk回目までのモデル尤度を、下式(33)に示すように積算することによって、k回目の観測が終了した後のモデル尤度P(M
j|Z
k)を算出し、最も大きいモデル尤度を有する固定反射モデルを選択する。
【0079】
次に固定・独立選択部60は、まず、端点独立割当仮説生成部26が算出した発生確率を用いて、独立反射モデルのモデル尤度を下式(34)により算出する。なお、式(34)におけるP(M
0|z
k)は、k回目の観測による独立反射モデルのモデル尤度であり、β
0iは独立反射モデルのi番目の割当仮説における生起確率である。また、式(34)におけるM
0は独立反射モデルを示す。
【0080】
その後、独立反射モデルのモデル尤度について、式(33)と同様にして、k回目の観測が終了した後のモデル尤度P(M
0|Z
k)を算出する。
【0082】
その後に固定・独立選択部60は、モデル選択部50で選択した固定反射モデルのモデル尤度P(M
j|Z
k)と、独立反射モデルのモデル尤度P(M
0|Z
k)とを比較し、大きい方のモデルを選択する。そして、選択したモデルが固定反射モデルである場合には、1台の前方車両における前端部と後端部で検出された反射点であると判断して、選択した固定反射モデルの平均状態推定値X
kを出力する。
【0083】
このように構成された移動物体検出装置1では、レーダ装置2により観測した結果に基づいて、車両端点トラッカ31,32,33,36により、カルマンフィルタを用いて、前方車両の前端部と後端部で検出された反射点位置を示す状態推定値x
k|k(k回目の観測時点においてk回目の観測時点の状態を推定した時の値)を観測周期T毎に連続して推定する。
【0084】
そして、車両端点トラッカ31,32,33により、前方車両の前端部と後端部で検出された反射点との距離がそれぞれ、予め設定された固定長L1,L2,L3に固定されていると仮定して、カルマンフィルタを用いて、状態推定値x
k|k-1((k−1)回目の観測時点においてk回目の観測時点の状態を推定した時の値)を観測周期T毎に連続して推定する。
【0085】
また、車両長固定割当仮説生成部21,22,23およびモデル選択部50により、状態推定値x
k|k,x
k|k-1を用いて、固定長L1,L2,L3に固定されていると仮定した第1,2,3固定反射モデルM
1,M
2,M
3それぞれについて、k回目の観測が終了した後のモデル尤度P(M
j|Z
k)を算出し(j=1,2,3)、最も大きいモデル尤度を有するモデルを選択する。
【0086】
さらに車両端点トラッカ36により、前方車両の前端部と後端部で検出された反射点がそれぞれ独立に移動すると仮定して、カルマンフィルタを用いて、状態推定値x
k|k-1((k−1)回目の観測時点においてk回目の観測時点の状態を推定した時の値)を観測周期T毎に連続して推定する。
【0087】
また、端点独立割当仮説生成部26および固定・独立選択部60により、状態推定値x
k|k,x
k|k-1を用いて、独立に移動すると仮定した独立反射モデルM
0について、k回目の観測が終了した後のモデル尤度P(M
0|Z
k)を算出する。
【0088】
そして固定・独立選択部60により、第1,2,3固定反射モデルM
1,M
2,M
3の中で最も大きいモデル尤度を有するモデルのモデル尤度と、独立反射モデルM
0のモデル尤度とを比較して、固定反射モデルのモデル尤度の方が大きい場合に、1台の前方車両における前端部と後端部で検出された反射点であると判断する。
【0089】
このように構成された移動物体検出装置1では、2つの反射点位置の距離(以下、反射点間距離という)の時間経過による変動量が小さい場合に、2つの反射点位置が1つの移動物体に起因したものであると判断する。
【0090】
ここで、例えば
図4(a)に示すように、前方車両1の後方から前方車両2が接近した後に前方車両1と前方車両2とが略等しい速度で走行している状況で、移動物体検出装置1が、前方車両1の後端部を反射点1として検出するとともに、前方車両2の前端部を反射点2として検出した場合を検討する。
【0091】
まず、略等しい速度で移動する反射点を単一の移動物体であると判断する手法では、
図4(b)に示すように、前方車両1と前方車両2とが略等しい速度で走行している状況下(図中の時刻Tb以降)において、前方車両1と前方車両2とを区別して検出することができない。
【0092】
一方、移動物体検出装置1では、
図4(c)に示すように、前方車両1の後方から前方車両2が接近している期間(図中の時刻T1c〜時刻T2cまでの期間)で、反射点1と反射点2との距離D12が変動していることを検出できるため、反射点1および反射点2が1つの移動物体に起因したものであると判断しない。
【0093】
したがって、このように構成された移動物体検出装置1によれば、複数の移動体を単一の移動物体であると誤認識してしまう状況の発生を抑制し、移動体検出精度を向上させることができる。
【0094】
また移動物体検出装置1では、第1,2,3固定反射モデルM
1,M
2,M
3の中で最も大きいモデル尤度を有するモデルのモデル尤度と、独立反射モデルM
0のモデル尤度とを比較して、固定反射モデルのモデル尤度の方が大きい場合に、1台の前方車両における前端部と後端部で検出された反射点であると判断する。このため、固定反射モデルのモデル尤度と独立反射モデルのモデル尤度とを比較するという簡便な方法で、2つの反射点位置が1つの移動物体に起因したものであるか否かを判断することができる。
【0095】
また、固定長が互いに異なる複数の固定反射モデル毎にモデル尤度が算出されるため、モデル尤度が最も大きい固定反射モデルの固定長を、検出した移動物体における前端部と後端部との間の距離とすることができる。このため、移動物体検出装置1では、検出した移動物体の長さを検出することができる。
【0096】
以上説明した実施形態において、車両端点トラッカ31,32,33,36において状態推定値x
k|kを推定する処理は本発明における位置検出手段、割当仮説生成部群20と車両端点トラッカ群30とモデル選択部50と固定・独立選択部60は本発明における端部判断手段、車両端点トラッカ31,32,33において状態推定値x
k|k-1を推定する処理は本発明における固定位置予測手段、車両長固定割当仮説生成部21,22,23およびモデル選択部50は本発明における固定一致度算出手段、車両端点トラッカ36において状態推定値x
k|k-1を推定する処理は本発明における独立位置予測手段、端点独立割当仮説生成部26および固定・独立選択部60は本発明における独立一致度算出手段である。
【0097】
また、固定長L1,L2,L3は本発明における固定値、モデル尤度P(M
1|Z
k),P(M
2|Z
k),P(M
3|Z
k)は本発明における固定一致度、モデル尤度P(M
0|Z
k)は本発明における独立一致度である。
【0098】
(第2実施形態)
以下に本発明の第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0099】
図5(a)は、第2実施形態の移動物体検出装置1の構成を示すブロック図である。
第2実施形態の移動物体検出装置1は、
図5(a)に示すように、対象領域内反射点抽出部10と、車両長固定割当仮説生成部25と、端点独立割当仮説生成部26と、車両端点トラッカ35,36と、平均処理部45と、固定・独立選択部61とを備える。
【0100】
これらのうち、対象領域内反射点抽出部10と端点独立割当仮説生成部26と車両端点トラッカ36は、第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。
まず車両長固定割当仮説生成部25は、平均的な車両長として予め設定された固定長Laに固定されていると仮定して、割り当て仮説を生成する。以下、車両長が固定長Laに固定されていると仮定したモデルを平均固定反射モデルという。
【0101】
次に車両端点トラッカ35は、車両長固定割当仮説生成部25で生成された複数の割り当て仮説のそれぞれについて、公知のカルマンフィルタによる状態推定を観測周期T毎に実行し、第1実施形態の車両端点トラッカ31,32,33と同様の処理を行う。
【0102】
また平均処理部45は、車両端点トラッカ35で算出された状態推定値x
k|kを、車両長固定割当仮説生成部25で算出された発生確率で平均した値(平均状態推定値X
k)を算出する処理を行う。
【0103】
そして固定・独立選択部61は、第1実施形態のモデル選択部50と同様の方法で、平均固定反射モデルについて、k回目の観測が終了した後のモデル尤度P(M
a|Z
k)を算出するとともに、第1実施形態の固定・独立選択部60と同様の方法で、独立反射モデルのモデル尤度について、k回目の観測が終了した後のモデル尤度P(M
0|Z
k)を算出する。
【0104】
その後に固定・独立選択部61は、平均固定反射モデルのモデル尤度P(M
a|Z
k)と、独立反射モデルのモデル尤度P(M
0|Z
k)とを比較し、大きい方のモデルを選択する。
【0105】
このように構成された移動物体検出装置1では、レーダ装置2により観測した結果に基づいて、車両端点トラッカ35により、カルマンフィルタを用いて、前方車両の前端部と後端部で検出された反射点位置を示す状態推定値x
k|k(k回目の観測時点においてk回目の観測時点の状態を推定した時の値)を観測周期T毎に連続して推定する。
【0106】
そして、車両端点トラッカ35により、前方車両の前端部と後端部で検出された反射点との距離がそれぞれ、平均的な車両長として予め設定された固定長Laに固定されていると仮定して、カルマンフィルタを用いて、状態推定値x
k|k-1((k−1)回目の観測時点においてk回目の観測時点の状態を推定した時の値)を観測周期T毎に連続して推定する。
【0107】
また車両長固定割当仮説生成部25により、状態推定値x
k|k,x
k|k-1を用いて、固定長Laに固定されていると仮定した平均固定反射モデルM
aについて、k回目の観測が終了した後のモデル尤度P(M
a|Z
k)を算出する。
【0108】
さらに車両端点トラッカ36により、前方車両の前端部と後端部で検出された反射点がそれぞれ独立に移動すると仮定して、カルマンフィルタを用いて、状態推定値x
k|k-1((k−1)回目の観測時点においてk回目の観測時点の状態を推定した時の値)を観測周期T毎に連続して推定する。
【0109】
また、端点独立割当仮説生成部26および固定・独立選択部61により、状態推定値x
k|k,x
k|k-1を用いて、独立に移動すると仮定した独立反射モデルM
0について、k回目の観測が終了した後のモデル尤度P(M
0|Z
k)を算出する。
【0110】
そして固定・独立選択部61により、平均固定反射モデルM
aのモデル尤度と、独立反射モデルM
0のモデル尤度とを比較して、平均固定反射モデルのモデル尤度の方が大きい場合に、1台の前方車両における前端部と後端部で検出された反射点であると判断する。
【0111】
このように構成された移動物体検出装置1によれば、第1実施形態の移動物体検出装置1と同様に、複数の移動体を単一の移動物体であると誤認識してしまう状況の発生を抑制し、移動体検出精度を向上させることができる。
【0112】
また、第1実施形態よりも、車両長固定割当仮説生成部、車両端点トラッカ、および平均処理部の個数が少ないため、第1実施形態よりも単純な構成での移動物体検出装置を製造することができる。
【0113】
以上説明した実施形態において、車両端点トラッカ35,36において状態推定値x
k|kを推定する処理は本発明における位置検出手段、割当仮説生成部25,26と車両端点トラッカ35,36と固定・独立選択部61は本発明における端部判断手段、車両端点トラッカ35において状態推定値x
k|k-1を推定する処理は本発明における固定位置予測手段、車両長固定割当仮説生成部25は本発明における固定一致度算出手段、車両端点トラッカ36において状態推定値x
k|k-1を推定する処理は本発明における独立位置予測手段、端点独立割当仮説生成部26および固定・独立選択部61は本発明における独立一致度算出手段である。
【0114】
また、固定長Laは本発明における固定値、モデル尤度P(M
a|Z
k)は本発明における固定一致度、モデル尤度P(M
0|Z
k)は本発明における独立一致度である。
(第3実施形態)
以下に本発明の第3実施形態を説明する。なお、第3実施形態では、第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0115】
図5(b)は、第3実施形態の移動物体検出装置1の構成を示すブロック図である。
第3実施形態の移動物体検出装置1は、
図5(b)に示すように、対象領域内反射点抽出部10と、端点独立割当仮説生成部26と、車両端点トラッカ36と、固定・独立選択部62とを備える。
【0116】
これらのうち、対象領域内反射点抽出部10と端点独立割当仮説生成部26と車両端点トラッカ36は、第1実施形態と同一であるため説明を省略する。
そして固定・独立選択部62は、以下に示す方法を用いて、検出された反射点が、車両の前端部および後端部であるのか否かを判断する。
【0117】
まず、k回目の観測で車両端点トラッカ36により算出された前端部Aおよび後端部Bの位置座標(車両進行方向(y方向)の座標)の状態推定値をそれぞれ端点座標y
1kおよび端点座標y
2kと表記し、端点座標y
1k,y
2kが、下式(35),(36)に示すように正規分布に従って分布しているとする。ここで、σ
1t,σ
2tは、k回目の観測時点における前端部および後端部のy座標推定誤差分散である。
【0119】
さらに、端点座標y
1k,y
2kが車両側面の前後端点であるならば、下式(37),(38)が成り立つと仮定する。
【0121】
そして、下式(39),(40)が成り立つ場合に、端点座標y
1k,y
2kを車両側面の前後端点であると判断する。
【0123】
このように構成された移動物体検出装置1によれば、第1,2実施形態の車両長固定割当仮説生成部を用いる必要がないため、第1,2実施形態の移動物体検出装置1よりも単純な構成で、2つの反射点位置が1つの移動物体に起因したものであるか否かを判断することができる。
【0124】
以上説明した実施形態において、車両端点トラッカ36において状態推定値x
k|kを推定する処理は本発明における位置検出手段、割当仮説生成部26と車両端点トラッカ35と固定・独立選択部62は本発明における端部判断手段である。
【0125】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採ることができる。
例えば上記実施形態では、自車両の進行方向と、自車両の前方領域を走行している車両(以下、前方他車両という)の進行方向が一致していると仮定して、カルマンフィルタによる状態推定を行うものを示した。しかし、
図6(a)に示すように、自車両と前方他車両とで進行方向が異なっている場合には、以下に示す状態方程式および観測方程式を用いてカルマンフィルタによる状態推定を行うようにしてもよい。
【0126】
まず、前方他車両における側面の中点の位置および速度x
n(以下、位置速度ベクトルx
nという)を下式(41)で、前方他車両の進行方向角度φ
nを下式(42)で、プロセスノイズを下式(43)で表すと、状態方程式は下式(44)で表される。
【0128】
そして、
図6(b)に示すように、前端の反射点の観測をz
fn、後端の反射点の観測をz
rnと表記すると、前端と後端の両方で反射点が検出された場合の観測方程式は下式(45),(46),(47),(48)で表される。
【0130】
また、前端で反射点が検出された場合の観測方程式は下式(49),(50),(51)で表される。
【0132】
また、後端で反射点が検出された場合の観測方程式は下式(52),(53),(54)で表される。