(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下ケース(3)内に無接点充電器(1)の送電コイル(14)を装着した2次元移動機構(4)を配置し、上ケース(5)の下面側に回路基板(16)を配置し、前記下ケースの上方から前記上ケースを被せて構成し、前記上ケースの上面に受電コイル(C)を装着した充電池(2)を戴置すると、前記回路基板によって前記充電池の位置を検出し前記2次元移動機構により前記送電コイルを該充電池近傍に移動させ、該送電コイルから電力を前記充電池に向けて供給することによって該充電池を充電するコイル移動型無接点充電器において、
前記2次元移動機構は、
前記下ケースに固定されX軸方向又はY軸方向のいずれか一方に平行になるように配置される主ガイド(7)及び副ガイド(8)からなる固定ガイド(21)と、
前記X軸方向に移動自在なX軸用スライダ(6)と、
前記Y軸方向に移動自在なY軸用スライダ(9)と、
前記X軸用スライダ及びY軸用スライダを同時に駆動可能な単一のモータ(10)と、
前記モータの動力を前記X軸用スライダ又は前記Y軸用スライダの一方に伝達する動力伝達手段(11)と、
前記モータの動力が伝達された一方のスライダの動力を他方のスライダに伝達する動力分配手段(12)と、
前記他方のスライダに固着され前記送電コイルを装着したテーブル(15)と、
を具備し、
前記固定ガイドに前記一方のスライダをX軸方向又はY軸方向に移動自在に取着し、前記固定ガイドに取着した一方のスライダの一部には前記固定ガイドに直交する方向に平行なガイド部(28,28)を形成し、前記固定ガイドに取着しない他方のスライダを、前記固定ガイドに取着した一方のスライダのガイド部に沿って移動自在になるように取着し、前記一方のスライダに前記モータ及び前記動力伝達手段の一部であるギヤ群(33)を設け、前記モータの動力を、該ギヤ群を介し前記一方のスライダに伝達するとともに前記動力分配手段により該他方のスライダにも伝達され、該他方のスライダに固着され前記テーブルに装着された前記送電コイルがX軸方向及びY軸方向に移動自在となるように構成したことを特徴とするコイル移動型無接点充電器。
【背景技術】
【0002】
送電側のコイルを装着したテーブルをX軸方向及びY軸方向に自在に移動させるコイル移動型無接点充電器としては、種々のものが提案されている。
【0003】
例えば、WO2010/150482号公報には次のような充電器が開示されている。
すなわちこの公報には、2次元移動機構を使用した無接点充電器が開示されており、この2次元移動機構は、X軸方向に平行に配置されラック(27)を有するX軸ガイド(6)と、該X軸ガイド(6)にガイドされるX軸用スライダ(7)と、該X軸用スライダを駆動する第一駆動機構(8)と、Y軸方向に平行に配置されるY軸ガイド(9)と、該X軸ガイド(6)にガイドされラック(47)を有するY軸用スライダ(10)と、該X軸用スライダを駆動する第二駆動機構(11)と、を有して構成されている。また、前記第一駆動機構(8)は、モータ(30)と、ウォームギヤ(32)と、一対のピニオン(33,34)とで構成され、前記第二駆動機構(11)は、モータ(50)と、ウォームギヤ(52)と、一対のピニオン(53,54)とで構成されている。さらに、前記X軸用スライダ(6)及びY軸用スライダ(10)の双方に対して取付けられたスライダーベース(12)と、該スライダーベース(12)上に固着されるテーブル本体(13)と、該テーブル本体(13)の上面にはコイル(14)が装着されている。との開示がある。
【0004】
このように、コイル移動型無接点充電器では、前記コイル(14)が装着されたテーブル本体(13)をX軸方向及びY軸方向に移動自在とするために、各軸方向に、ガイド(6,9)、スライダ(7,10)及び駆動機構(8,11)を設ける必要があり構成が複雑となる問題があった。
【0005】
また、前記ガイド(6,9)は金属性の丸棒で形成されていて非常に高価なものであり、各駆動機構(8,11)のモータ(30,50)及びウォームギヤ(32,52)も、いずれも高価なものばかりである。これら高価な部品をX軸方向及びY軸方向にそれぞれの軸方向に設けなければならず、装置自体が高価なものとなってしまう問題もあった。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1は本発明のコイル移動型無接点充電器1及び電子機器等受電コイルCを搭載した電源用充電池2の外観を示す斜視図である。
【0016】
この無接点充電器1とは、充電器側と充電池側とをコネクタ等によって接続をする必要がなく、
図1に示すように、充電器1の上面に充電池2を載せるだけで、無接点で充電器1の電力を充電池2へ伝達して、充電池2を充電するものである。充電器の電力を充電池に伝達する方法は様々な方法が用いられている。本発明の実施の形態では以下に詳細を記載するが、充電器側(送電側)と充電池側(受電側)にそれぞれコイルを設け、それらのコイルを利用して、充電器の電力を磁気誘導作用により充電池へ伝達して充電池を充電させるものである。ただし、充電池2への電力の伝達方法はこれに限定されるものではない。
【0017】
図2は第一の実施形態の2次元移動機構を搭載したコイル移動型無接点充電器1を示す図であり、
図2に示す如く、前記充電器1は、矩形状の四辺から薄壁を上方に向けて形成した下ケース3内に2次元移動機構4を配置し、その上から上ケース5を被せて構成され、下ケース3と上ケース5とは図示しないねじにより固定される。
【0018】
図中矢印はそれぞれの軸方向を示しており、XはX軸方向、YはY軸方向、ZはZ軸方向を示している。
前記2次元移動機構4は、X軸方向に移動自在なX軸用スライダ6と、Y軸方向に平行にそれぞれ配置される主ガイド7、副ガイド8と、該主ガイド7及び副ガイド8にガイドされてY軸方向に移動自在なY軸用スライダ9と、該Y軸用スライダ9に配置されるモータ10と、該モータ10の動力を前記Y軸用スライダ9に伝達する動力伝達手段11と、前記Y軸用スライダ9に伝達される動力を前記X軸用スライダ6にも動力を分配する動力分配手段12と、前記X軸用スライダ6上に固着されるテーブル本体13と、前記テーブル本体13の上面に装着される送電側のコイルである送電コイル14とで構成される。前記テーブル本体13と送電コイル14とでテーブル15が構成される。
【0019】
前記上ケース5の下面側には回路基板16を配置している。
この回路基板16には、前記動力伝達手段11を駆動制御する駆動制御回路17や、受電コイルCを内蔵した前記電源用充電池2の位置を検出する位置検出回路18や、前記電源用充電池2が充電完了したことを検知し充電を停止する充電制御回路19等を搭載している。
【0020】
図3は、前記Y軸用スライダ9が前記主ガイド7及び副ガイド8にガイドされている状態を示している。
図3に示す如く、前記主ガイド7は金属製の丸棒で、それぞれ両端部を固定部材20,20に挿入し下ケース3にねじで固着される。前記副ガイド8は、合成樹脂製で前記下ケース3にねじで固着される。これら主ガイド7と副ガイド8とで固定ガイド21を形成している。
【0021】
前記Y軸用スライダ9は、X軸方向に長いベース部22の図中右端部に、前記主ガイド7を挿通させる一対の第一ガイド部23,23を有し、該一対の第一ガイド部23,23に前記主ガイド7を挿入している。一方、図中左端部には、前記副ガイド8に係合する第二ガイド部24を有している。また、前記ベース部22の図中左上部には、前記モータ10を固着するモータ取付部25も有している。さらに前記ベース部22のほぼ中央には、貫通孔26も有している。
【0022】
前記ベース部22の表面は、外枠部分を除き一段低い凹部27となっている。また、前記ベース部22のY軸方向の両端(図中上下端)は、X軸方向に平行なガイド部28,28を形成している。
【0023】
図4は、前記動力伝達手段11を示しており、前記Y軸用スライダ9の裏面側を示している。
図4に示す如く、前記動力伝達手段11は、前記モータ10の軸30に直結したウォームギヤ31と、ラックプレート32と、このウォームギヤ31と前記ラックプレート32との間に介在する複数のギヤで構成されるギヤ群33と、で構成されている。
【0024】
前記ラックプレート32はY軸方向に細長く形成され長手方向の一側面(図中右側)にラック34を有している。該ラックプレート32は、前記下ケース3に図示しないねじにて固定される(
図2参照)。
【0025】
前記ギヤ群33は、前記Y軸用スライダ9のベース部22の裏面側に装置され、第一ギヤ40、第二ギヤ41、第三ギヤ42、第四ギヤ43、第五ギヤ44で構成されている。第一ギヤ40は、上下二段ギヤとなっていて、図中下方に位置する第一段目ギヤ45は前記ウォームギヤ31と噛合するはすばギヤで、上方に位置する第二段目ギヤ46は平ギヤとなっている。第二ギヤ41、第三ギヤ42、第四ギヤ43は、それぞれ平ギヤとなっている。第五ギヤ44は、上下二段ギヤとなっていて、図中下方に位置する第一段目ギヤ47は前記第四ギヤ43と噛合し、上方に位置する第二段目ギヤ48は、前記ラックプレート32のラック34と噛合している。該第五ギヤ44は、第一段目ギヤ47、第二段目ギヤ48ともに平ギヤとなっている。
【0026】
このような構成にすることによって、前記Y軸用スライダ9に装着された前記モータ10を起動すると、ギヤ群33を介し前記モータ10の動力が前記下ケース3に固定されたラックプレート32に伝達され、その反力を受けて前記Y軸用スライダ9は前記主ガイド7及び副ガイド8(
図3参照)に沿ってY軸方向に移動自在となる。
【0027】
図5ないし
図7は、前記X軸用スライダ6と前記Y軸用スライダ9と前記動力分配手段12の関係を示す説明図である。
図5は斜視図、
図6は一部を断面とした側面説明図、
図7は正面図となっている。
図5ないし
図7に示す如く、前記X軸用スライダ6は前記Y軸用スライダ9の上方に配置される。
【0028】
前記X軸用スライダ6は、
図7に示す如く、矩形状の一角(図中左上部)が欠けている形状をなし、ほぼ中央に、Y軸方向に平行なカム溝50が設けられている。また、
図6に示す如く、該X軸用スライダ6のY軸方向の両端には、下方に延出する被ガイド部51,51が設けられている。この被ガイド部51,51の下端の3箇所(
図7参照)に内側に向けた爪部52,52を有している。
【0029】
前記X軸用スライダ6は、前記被ガイド部51,51を前記Y軸用スライダ9のガイド部28に係合させており、前記爪部52,52によりZ軸方向(図中上下方向)の外れを防止している。これによりX軸用スライダ6は、前記Y軸用スライダ9上を前記ガイド部28,28に沿ってX軸方向に移動自在(
図7参照)となっている。このように、Y軸用スライダ9にガイド部28,28を一体的に設けることによって、X軸方向にも必要と考えられていた高価な金属製の軸を省くことができる。
【0030】
図7の如く、リンクプレート60は、合成樹脂製で円盤状をなす本体部61と、この本体部61の外方に位置し、上方(
図6参照)に突出する凸部62を有している。また、前記本体部61の中央には下方(
図6参照)に延出する軸部63を有している。このリンクプレート60は、
図5の如く、前記Y軸用スライダ9と前記X軸用スライダ6との間に介在させ、前記Y軸用スライダ9の凹部27の上に配置する。そして、
図6の如く、前記軸部63を前記Y軸用スライダ9の貫通孔26に通し、前記本体部61の底面を前記Y軸用スライダ9の凹部27の上面あわせた後、前記軸部63を前記ギヤ群33の一部である第四ギヤ43に圧入している。これにより、該ギヤ群33の一部である第四ギヤ43とリンクプレート60とは一体に回転することができる。また、前記リンクプレート60の凸部62は、前記X軸用スライダ6のカム溝50に係合するように配置する。前記リンクプレート60の凸部62と前記X軸用スライダ6のカム溝50とで動力分配手段12を形成している。
【0031】
前記モータ10が起動すると、前記ギヤ群33(
図4参照)が順次回転することになり、前記Y軸用スライダ9は矢印Y1方向に移動する。このとき、ギヤ群33の一部である第四ギヤ43も回転するため、前記リンクプレート60は該第四ギヤ43と一体に回転することになる。すると、このリンクプレート60が矢印C1方向に回転することになり、前記凸部62が前記X軸用スライダ6のカム溝50を押圧し、該X軸用スライダ6は前記Y軸用スライダ9のガイド部28,28に沿って矢印X1方向に移動することになる。すなわち、単一のモータであるモータ10の動力を、Y軸用スライダ9に伝達しY軸用スライダ9を移動させるとともに動力分配手段12によりX軸用スライダ6にも動力を分配し、X軸用スライダ6とY軸用スライダ9を同時に移動させることを可能としている。
【0032】
図8に示す如く、前記テーブル本体13は矩形状の土台部65を有している。該土台部65の上面に前記送電コイル14を装着する。そして、前記土台部65の下面側にて、前記X軸用スライダ6に固着している。テーブル本体13に送電コイル14を装着する手段は特に限定するものではなく、例えば、接着剤にて装着しても良い。また、前記X軸用スライダ6にテーブル本体13を固着する手段も特に限定するものではなく、例えば、前記土台部65の両端に爪のようなフックを設けてそのフックを前記X軸用スライダ6の一部に係合させて固着しても良い。また、図示していないが、前記送電コイル14の上面には、摺動性の良い材質や帯電防止材質を用いた摺接保護シートなどを貼付けて前記送電コイル14と前記回路基板16との摺接による摩耗や静電気の帯電を防ぐようにしても良い。
【0033】
次に、2次元移動機構4の動作について
図9及び
図10を用いて説明する。
図9は、2次元移動機構4の送電コイル14(実線で示す)が図中手前側のホームポジションに位置した状態を示している。この状態において、
図1のように充電池2を、2次元移動機構4による送電コイル14の移動範囲、すなわち充電可能範囲に置くと、位置検出回路18(
図2参照)が充電池2を検出する。すると、駆動制御回路17(
図2参照)が充電池2の位置に向けて前記送電コイル14を移動させるべく、前記モータ10を起動させる。
【0034】
前記モータ10の動力は、前記動力伝達手段11(
図4参照)により前記Y軸用スライダ9に伝達され、Y軸用スライダ9が矢印Y1方向へ移動する。同時に前記動力分配手段12(
図7参照)によりモータ10の動力は、前記X軸用スライダ6にも伝達され、X軸用スライダ6が矢印X1方向へ移動する。
【0035】
すなわち、前記テーブル15上に固着されている前記送電コイル14は、X軸用スライダ6の移動にともない移動する。そして、送電コイル14が所定の位置まで移動すると、駆動制御回路17(
図2参照)によりモータ10を停止して、送電コイル14から充電池2へ電力を伝達し充電池2への充電が開始される。
【0036】
図中、仮想線で示されているのは、上述した前記送電コイル14の移動範囲において、ホームポジションに位置する送電コイル14の移動範囲の対極に位置した状態を示している。本実施の形態では、ホームポジションに位置した前記送電コイル14が、仮想線で示された対極の位置に移動したときの距離を、X軸方向に約32mm、Y軸方向に約36mmと設定している。すなわち、本実施の形態の前記送電コイル14の移動範囲とは、この範囲内のこととなる。しかし、本実施の形態ではこのような設定で説明したが、これに限定されるものではない。
【0037】
図10は、前記2次元移動機構4の動作において、前記動力伝達手段11の作用を示し、前記X軸用スライダ6及びY軸用スライダ9の動作を説明したものである。
図10(a)はホームポジションの位置であり、前記リンクプレート60は、
図10(b)、
図10(c)の順に時計方向に回転し、
図10(d)で、ほぼ1回転している。前記X軸用スライダ6は、このリンクプレート60が1回転すると、前記Y軸用スライダ9のガイド部28,28に沿ってX軸方向に1往復するようになっている。
【0038】
図中Oは、前記リンクプレート60の本体部61の中心点であり、O’は前記凸部62の中心点である(
図10(b)及び
図10(c)参照)。
図10(b)及び
図10(c)には、x−x’の線が示されている。これは、前記本体部61の中心点Oを通るX軸方向に平行な直線である。
【0039】
図10(a)のホームポジションの位置から前記駆動モータ10を起動させると、前記動力伝達手段11により前記X軸用スライダ6及びY軸用スライダ9が移動を開始する。
図10(b)の如く、前記動力伝達手段11から前記リンクプレート60に動力が伝達されると、該リンクプレート60が図中時計方向(矢印C1方向)に回転し、該リンクプレート60の凸部62が前記X軸用スライダ6のカム溝50を押圧しX軸用スライダ6は前記Y軸用スライダ9のガイド部28,28に沿って矢印X1方向に移動する。このとき、前記Y軸用スライダ9は前記主ガイド7及び副ガイド8(
図3参照)に沿って矢印Y1方向に移動する。
【0040】
前記X軸用スライダ6は、
図10(b)の如く、前記リンクプレート60の凸部62の中心点O’がx−x’線の図中下方側に位置している間は、図中X1方向に移動するが、前記リンクプレート60の凸部62の中心点O’が前記x−x’線の図中上方側に位置するまで回転すると、前記X軸用スライダ6は
図10(c)に示す如く、矢印X2方向に移動する。
【0041】
さらに、
図10(d)に示す位置まで前記リンクプレート60が回転すると、
図10(a)で示す位置から1回転したことになり、前記X軸用スライダ6はX軸方向に1往復したことになる。前記リンクプレート60の1回転すなわちX軸用スライダ6が1往復すると、Y軸用スライダ9は、図中LだけY1方向に移動する。本実施の形態では、このときのY軸用スライダ9の移動距離Lは、約2mmに設定されている。
【0042】
図11は、前記送電コイル14の移動における中心点の軌跡を示す図であり、上述したように前記送電コイル14は前記テーブル本体13の土台部65に固着されており、さらに該テーブル本体13は前記X軸用スライダ6に装着(
図8参照)されている。
図11の如く、前記送電コイル14の中心点がホームポジションの位置P1に位置しているとき、前記充電池2を前記送電コイル14の移動範囲内であるP2(前記充電器2に内蔵されている受電コイルの中心点がP2の位置にあると仮定する)に置くと、前記駆動制御回路17が作動し前記モータ10を起動する。
【0043】
すると、前記位置検出回路18により、充電池2のP2の位置が検出され、前記送電コイル14はX方向及びY方向に正弦曲線を描きながら前記送電コイル14の中心点をP2近傍まで移動し停止する。そして、前記送電コイル14から前記充電器2への電力の伝達が開始される。
【0044】
上述したが、本発明の実施の形態では、充電器の電力を充電池へ伝達する方法として磁気誘導作用を用いた方式(磁気誘導方式)にしている。この磁気誘導方式による電力の伝達は、送電側コイル(充電器)の中心と受電側コイル(充電池)の中心が一致すると電力の伝達効率が良い。しかし、それぞれのコイルの中心が離れるほど、電力の伝達量がロスしてしまい電力の伝達効率が低下してしまう。すなわち、前記充電池2を前記送電コイル14の移動範囲内に置いた際、このY軸用スライダ9の移動距離Lが長くなってしまうと、前記送電コイル14(充電器)の中心と受電側コイル(充電池)の中心とが一致し難くなり、電力の伝達効率が低い範囲が広がってしまう。
【0045】
したがって、電力の効率を考慮すると、X軸用スライダ6の1往復でのY軸用スライダ9の移動距離Lは短い方が良く、本実施の形態に記載されるように凡そ2mm程度に留めておく方がよい。しかし、この設定に限るものではない。
【0046】
次に第二の実施の形態について、
図12を参照して説明する。
図12は、第二の実施の形態の2次元移動機構を示しており、第一の実施の形態との相違は、角度を90度傾けただけである。すなわち、X軸方向とY軸方向が反対となっているだけであり、装置の構成は同一である。
【0047】
図12の如く、主ガイド101と副ガイド102からなる固定ガイド103がX軸方向に向けて、それぞれ平行に配置されている。これら主ガイド101及び副ガイド102は、図示しない下ケースに固定される。
X軸用スライダ104は、前記主ガイド101及び副ガイド102にガイドされてX軸方向に移動自在となっている。前記X軸用スライダ104は、Y軸方向に長いベース部105を有しており、該ベース部105のX軸方向の両端(図中左右端)は、Y軸方向に平行なガイド部106,106を形成している。
【0048】
前記X軸用スライダ104の上方には、Y軸用スライダ107が配置されている。該Y軸用スライダ107は、矩形状の一角(図中左下部)が欠けている形状をなし、ほぼ中央にX軸方向に平行なカム溝108が設けられている。また、該Y軸用スライダ107のX軸方向の両端には、被ガイド部109,109が設けられている。そして、該Y軸用スライダ107は、前記被ガイド部109,109を前記X軸用スライダ104のガイド部106,106に係合させて、前記ガイド部106,106に沿ってY軸方向に移動自在となっている。
【0049】
リンクプレート110は、円盤状をなす本体部111と、この本体部111の外方に位置し上方に突出する凸部112を有している。該リンクプレート110は、前記X軸用スライダ104と前記Y軸用スライダ107とに介在させ、前記X軸用スライダ104のベース部105上に回転可能に配置し、前記凸部112を前記Y軸用スライダ107のカム溝108に係合させている。そして、前記凸部112と前記カム溝108とで動力分配手段113を形成している。また、前記リンクプレート110は、図示しない軸部を有しており、該軸部を前記X軸用スライダ104の貫通孔(図示せず)に通している。さらにこの軸部は図示しないギヤ群の一部のギヤに圧入しており、該ギヤの回転と一体に回転することができる。
【0050】
以上の構成によれば、第一の実施形態の如く、テーブル15がX軸方向及びY軸方向に移動自在でありながら、モータ10はひとつだけで良く、また金属性の主ガイド7もY軸方向に一本あれば良く、装置を簡素化することができる。また、前記モータ10や主ガイド7は、非常に高価であるため、これらの使用数を減らすことにより、装置を安価にすることができる。
【0051】
さらに、動力分配手段12を前記ギヤ群33の一部であるリンクプレート60に凸部62を設け、前記X軸用スライダ6にカム溝50を設け、前記凸部62を前記カム溝50に係合させて構成し、前記モータ10の動力を受けた前記リンクプレート60の回転力を前記凸部62と前記カム溝50によりX軸方向に動力を変換させる構成にすると、さらなる装置の簡素化を実現することができる。
【0052】
また、第二の実施形態の如く、動力分配手段113を前記ギヤ群の一部であるリンクプレート110に凸部112を設け、前記Y軸用スライダ107にカム溝108を設け、前記凸部112を前記カム溝108に係合させて構成し、前記モータの動力を受けた前記リンクプレート110の回転力を前記凸部112と前記カム溝108により直線方向に動力を変換させる構成にすると、第一の実施形態に対し、角度を90度傾けてX軸方向、Y軸方向が反対となっても第一の実施形態と同様に装置を簡素化することができる。
【0053】
なお、本実施の形態では、充電池を上ケースの上面に戴置して説明したが、充電池単体に限るものではなく、受電コイルを内蔵した製品、例えば、携帯電話や、ポータブル音楽再生機、ポータブルゲーム機等であってもよい。