特許第5667029号(P5667029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5667029放射性物質の除染及び回収方法とそのための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5667029
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】放射性物質の除染及び回収方法とそのための装置
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/28 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
   G21F9/28 525B
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-229551(P2011-229551)
(22)【出願日】2011年10月19日
(65)【公開番号】特開2013-88301(P2013-88301A)
(43)【公開日】2013年5月13日
【審査請求日】2013年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】512037565
【氏名又は名称】辻田 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻田 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】長縄 弘親
(72)【発明者】
【氏名】松村 達郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一行
【審査官】 鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−082697(JP,A)
【文献】 特開2011−169486(JP,A)
【文献】 特開平07−167992(JP,A)
【文献】 特開2011−050887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/28
G21F 9/06
G21F 9/10
B01D 21/01
B09B 1/00−5/00
B09C 1/00−1/02
B09C 1/06−1/10
C02F 1/52−1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に付着した放射性物質によって表面が汚染された被洗浄物を、
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム及びグリセリンを成分として有する薬剤を、25ppm〜1000ppmの濃度となるように希釈するとともに、該希釈した液に不溶化剤を添加して得た洗浄液を用いて洗浄することによって除染し、
しかる後に、前記洗浄後の液を回収して、弱アルカリ性になるようpH調整し、
しかる後、ポリ塩化アルミニュームを添加して液中の固形物を凝集させることによって、
放射性物質を、液中から分離処理するよう構成したことを特徴とする放射性物質の除染及び回収方法。
【請求項2】
前記放射性物質を分離処理した後の液を、再び洗浄液の一部としてリサイクルすることを特徴とする請求項1記載の放射性物質の除染及び回収方法。
【請求項3】
前記洗浄液が、さらに、アクリルアミド・アクリル酸・2−アクリロイルアミノ−2−メチルプロパン スルホン酸共重合物ナトリウム塩を成分として有する薬剤を前記洗浄液において100ppm〜10000ppmとなるように、添加したものであることを特徴とする請求項1又は2記載の放射性物質の除染及び回収方法。
【請求項4】
前記不溶化剤がキレート剤であり、添加量は、含まれる固形分に対して0.01重量パーセント〜10.0重量パーセントであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の項に記載の放射性物質の除染及び回収方法。
【請求項5】
前記請求項1〜4記載のいずれか1の項に記載の放射性物質の除染及び回収方法を実施するための装置であって、
被洗浄物を収容する第1の容器と、
容器内の被洗浄物に対して洗浄液を噴射または攪拌する手段と、
前記噴射または攪拌した洗浄液を回収し収容するとともに、pH調整しポリ塩化アルミニュームを添加し凝集させる第2の容器と、
前記第2の容器内で凝集させた物質を固液分離する固液分離装置と、
前記固液分離装置で分離した液分を前記洗浄液として戻す流路と、
を有することを特徴とする装置。
【請求項6】
前記第1の容器に被洗浄物を搬入し且つ搬出する装置として、搬送装置をさらに具備していることを特徴とする請求項5記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所の事故等に起因する、放射性物質によって汚染された物を洗浄(除染)し、該洗浄後の液(排液又は汚染水ともいう)中に混入した放射性物質を液から分離して回収する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
予想だにしなかった原子力発電所(原発という)の事故が起こり、広範囲の領域にわたって放射性物質が飛散するという状況が、現実のものとなった。かかる未曾有の事態に、我が国の英知を結集して事故の収拾を図ろうとしている。
【0003】
前記事故によって原発を中心とした広域が、該原発からの放射性物質の拡散によって、汚染されている。さらに厄介なことに、かかる汚染地域のうち海岸から所定範囲内の地域においては、事故直前に発生した大地震の津波によって、建屋等の構造物、自動車や家電製品等の工業製品等が破壊され、スクラップ(瓦礫)化した状態で、放射性物質で汚染されている。
従って、前記スクラップ化した状態の構造物等は、通常のスクラップのように、単純にそのままスクラップ処理することはできない。
【0004】
ところで、従来から放射性物質により汚染された場合の除染方法として、水で洗浄して表面に付着した放射物質を洗い流すことが有効な方法であることが知られている。
【0005】
また、原発の一次冷却水管路壁面に堆積した放射性物質を剥離させて除染する方法等も提供されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−153855号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、当然、洗浄に使用した排液(汚染水という)を中に、除去された放射性物質が含まれており、従って、環境汚染を防止する観点からも、かかる洗浄に使用された汚染水から放射性物質が有効に回収されなければならない。
【0008】
ところが、前記汚染水中に溶化した放射性物質を液から回収することは、大がかりで高価な装置と多額のランニングコストを必要とする。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みておこなわれたもので、放射性物質により汚染された物を有効に除染するとともにその洗浄に使用した汚染水中の放射性物質を効果的に回収する方法とそのための装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる放射性物質の除染及び回収方法は、放射性物質で汚染された被洗浄物を、
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム及びグリセリンを成分として有する薬剤を、約25ppm〜約1000ppm の濃度となるように希釈するとともに、該希釈した液に不溶化剤を添加して得た洗浄液を用いて、洗浄することによって除染し、
しかる後に、前記洗浄後の液(汚染水ともいう)を回収して後、弱アルカリ性になるようpH調整し、
しかる後に、ポリ塩化アルミニューム(PAC)を添加して液中の固形物を凝集させることによって、
放射性物質を、液中から分離処理するよう構成したことを特徴とする。
【0011】
しかして、前述のように構成された本発明にかかる放射性物質の除染及び回収方法によれば、前記洗浄液によって、被洗浄物の表面に付着した放射性物質は除去され除染が実行される。その際、前記洗浄液の成分に起因して、洗浄液は細かい隙間まで浸透することから、高い洗浄作用が得られ、除染作用が促進される。また、洗浄液に不溶化剤が添加されているため、放射性物質中の水溶性のあるセシウムやストロンチウムの不溶化がおこる。
そして、前記放射性物質を含む洗浄後の汚染水について、pH調整がおこなわれ、次に、ポリ塩化アルミニュームの添加がおこなわれる。
この結果、前記セシウムやストロンチウムを含む放射性物質の凝集物への付着がおこって、汚染水から、放射性物質を分離することができる。かかる分離は、フィルターによる分離、あるいは遠心分離器(脱水機)等の固液分離装置による分離、沈殿による分離等のいずれかの分離、あるいはこれらの分離手法が複合的に、あるいは全ての分離手法が順次おこなわれることによって実行されてよい。
【0012】
また、放射性物質の除染及び回収方法において、前記放射性物質を分離処理した後の液(処理水ともいう)を、再び洗浄液としてリサイクルするよう構成すると、発生する排液の絶対量を減らすことができる。
【0013】
また、放射性物質の除染及び回収方法において、前記洗浄液が、さらに、アクリルアミド・アクリル酸・2−アクリロイルアミノ−2−メチルプロパン スルホン酸共重合物ナトリウム塩を成分として有する薬剤を、約100ppm〜約10000ppmの濃度となるように添加したものであると、放射性物質の捕捉作用が向上する。
【0014】
また、放射性物質の除染及び回収方法において、前記不溶化剤がキレート剤であり、添加量は、含まれる固形分に対して約0.01重量パーセント〜約10.0重量パーセントであると、容易に入手でき且つ比較的安価な薬剤である点で、また有効に作用させることができる点で好ましい構成となる。
【0015】
本発明にかかる装置は、前記放射性物質の除染及び回収方法を実施するための装置であって、
被洗浄物を収容する第1の容器と、
第1の容器内の被洗浄物に対して洗浄液を噴射または攪拌する手段と、
前記噴射または攪拌した洗浄液(汚染水)を回収し収容するとともに、pH調整しポリ塩化アルミニュームを添加し凝集させる第2の容器と、
前記第2の容器内で凝集させた物質を固液分離する固液分離装置と、
前記固液分離装置で分離した液分(処理水)を前記洗浄液として戻す流路と、
を有することを特徴とする。
【0016】
なお、この明細書および特許請求の範囲において、「容器」とは、洗浄後の液(汚染水、処理水)を回収し収容することができるものをいい、プールのようなものや、単に凹所に防水機能を有するシート等を敷いたものを含む広い概念で使用する。
【0017】
しかして、前述のように構成された本発明にかかる装置によれば、放射性物質を含む洗浄後の液(汚染水)を外部に漏洩させることなく、前記放射性物質の除染及び回収方法を、実施することができる。また、固液分離した処理水を洗浄液としてリサイクルできることから、無用に汚染した液(除染にかかわる液)の量を増加させることはない。このため、環境に優しく、処理コストの低い処理方法を実施することができる。
【0018】
前記装置において、かかる装置が、前記第1の容器に被洗浄物を搬入し且つ搬出する装置として、コンベヤ等の搬送装置を具備していると、処理能力の高い装置を実現できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる放射性物質の除染及び回収方法とそのための装置によれば、放射性物質で汚染された物を、有効に除染しその洗浄に使用した排液中の放射性物質を有効に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明にかかる方法の1実施例の工程を示す図である。
図2図1に示す方法を実施するための装置の1実施例の構成を概念的に表した図である。
図3】放射性物質の除去に関する効果を示す表図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例にかかる装置と該装置を使用した放射性物質の除染および該放射性物質の回収方法について説明する。
(実施例)
本実施例にかかる放射性物質の除染および回収方法を実行する装置Aは、図2に示すように、被洗浄物(例えば、スクラップ(瓦礫)状態の自動車や家電製品等の製品あるいは建築物等)Sを収容する第1の容器1を有する。
この第1の容器1としては、例えば、地下や周辺に漏洩しないプール(ピット)状の構造物、あるいは、地面に穴を掘って、有害物が漏洩しないように、底部及び側部をビニールシート等のシール機能を有するシートで覆った簡易型のプール状の容器であってよい。
【0022】
そして、前述のように、第1の容器1内に収容している、放射性物質が付着した被洗浄物Sに向けて、洗浄液を、上方及び側方等から噴射装置(噴射または攪拌する手段の1実施形態)4を用いてシャワー状に噴射し、該被洗浄物Sを洗浄する。
【0023】
前記洗浄液としては、この実施例では、水道水や井戸水等の水に、
(1).ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとスルホコハク酸ジオクチルナトリウム及びグリセリンを成分として有する薬剤(例えば、商品名「EB−エコダッシュBB」(株式会社エコボンド(本社:広島県庄原市東城町川東164−19)販売)を、約25ppm〜約1000ppmの濃度(一般的には、約100ppm〜約500ppmで、基本的には約300PPM)になるよう添加するとともに、
(2).アクリルアミド・アクリル酸・2−アクリロイルアミノ−2−メチルプロパン スルホン酸共重合物ナトリウム塩を成分として有する薬剤(例えば、商品名「EB−2000WJ」(株式会社エコボンド(本社:広島県庄原市東城町川東164−19)販売)を、約100ppm〜約10000ppmの濃度(一般的には、約500ppm〜約1500ppmで、基本的には約1000PPM)になるよう添加し、
さらに、(3).不溶化剤として、キレート剤を水に含まれる固形分に対し約0.01重量パーセント〜約10.0重量パーセントになるよう添加する。なお、焼却灰の処理に際しては、灰の量に対して約1.0重量パーセント〜約5.0重量パーセントになるよう添加する。
前記「EB−エコダッシュBB」は、洗浄液の浸透性を高める作用を有し、前記「EB−2000WJ」は洗浄液の捕捉性を高める作用を有する。
また、前記不溶化剤としては、前記キレート剤に限定されるものでなく、他の不溶化剤を使用してもよいことは言うまでもない。
【0024】
前述の洗浄液を、被洗浄物Sに向けて噴射して洗浄すると、被洗浄物Sに付着している放射性物質が洗浄され、該洗浄後の液(汚染水)に、非水溶性の放射性物質は勿論のこと、水溶性の放射性物質も、溶けることなく含有された状態となる。
また、前記洗浄液の構成に起因して、被洗浄物の極く細かい隙間まで洗浄液が浸透することができ、当該隙間に付着している放射性物質をも有効に洗浄できる。また、前記洗浄液の構成に起因して、放射性物質は効果的に捕捉される。
また、前述のように、前記噴射装置4で洗浄液を噴射して被洗浄物Sを洗浄するとともに、第1の容器1内で洗浄液内に被洗浄物Sを浸漬させて噴流装置で該洗浄液を容器内の液中で噴射して噴流で攪拌して洗浄するように構成にすると、より高い洗浄効果を得ることができる点で好ましい構成となる。
【0025】
そして、洗浄された後の被洗浄物Sは、付着していた放射性物質が除去されて、第1の容器1から搬出される。
また、図2に図示するように、底面が傾斜している第1の容器1から、放射性物質を含む前記排液が、流路11を介して第2の容器2へ送られ、該第2の容器2内に溜められる。なお、この装置Aでは、汚染水はバッチ処理形式となるため、前述のように第2の容器2送られる際には、開閉可能なバルブ24が、閉から開にされるとともに、下流側に配置されているバルブ25が閉にされることになる。次に、前記バルブ24が再び閉にされる。
【0026】
次に、前記第2の容器2内に溜められた汚染水が、弱アルカリ性になるよう、pH調整がおこなわれる。この実施例では、前記調整は、約pH7〜約8.5になるように、より好ましくは、約pH7.5〜約8になるように、おこなわれる。
【0027】
次に、前記pH調整がおこなわれた汚染水内に、PAC(ポリ塩化アルミニウム)が約20ppm〜約3000ppmの濃度(一般的には、約30ppm〜約1000ppmで、基本的には約50ppm〜500PPM)になるように添加される。その結果、排液内で凝集が生じる。なお、ここで「PAC」を用いるのは、塩基性塩なので、アルカリ度の消費量が少なく、アルカリ剤が不要となるか、または少量でよいためである。さらに、「PAC」は、凝集効果を奏するpHの範囲が広いため、変化する処理しようとする排液のpHの値の変化に対応できる。また、「PAC」は、汚染水が低温でも凝集効果が低下しないという特長を有している。
そして、前記凝集によって、汚染水中の放射性物質は凝集物に付着する。
【0028】
次に、前記バルブ25が開にされて、前記凝集が生じた汚染水は、第2の容器2から流路12を介して固液分離装置5に送られる。ここで、放射性物質を含む固形物と、放射性物質が除去された液分(処理水)とが、分離される。
【0029】
そして、放射性物質が分離された液分(処理水)は、下流側に配置されている第3の容器(タンク等)3に、流路13(高低差の関係で必要な場合には固液分離装置5に設けられたポンプ)を介して送られ、洗浄液としてリサイクルされることになる。なお、第3の容器3から、第1の容器1に設けられた噴射装置4へは、ポンプ6と流路14を介して、送られる。
【0030】
一方、前記分離された放射性物質を含む固形物は、固液分離装置5内から回収されて、放射性物質を含む放射性廃棄物として、容器に詰められる等して、従来からの手法により処理される。
【0031】
本発明の実施例にかかる方法と装置を用いると前述した如き作用効果を奏するが、それを実際の放射性物質が付着したスクラップを洗浄した汚染水,処理水,スライム(前記分離された放射性物質を含む固形物)を測定したところ、図3に示すような効果が得られた。つまり、汚染水1kg当り、セシウム134は約240ベクレル、セシウム137は約320ベクレル、ヨウ素131は約13ベクレル以下であったものが、前記実施例に記載の条件内において実施したところ、処理後の処理水は、処理水1kg当り、セシウム134は約8.4ベクレル以下に、セシウム137は約7.1ベクレル、ヨウ素131は約6.7ベクレル以下に低下していた。一方、凝集させた固形物1kg当り、セシウム134は約7300ベクレルに、セシウム137は約8900ベクレル、ヨウ素131は約48ベクレル以下になっていた。かかる結果からも、本発明の優れた効果が判る。
【0032】
そして、この実施例にかかる装置の場合には、前記流路11,12にそれぞれ前記バルブ24,25が配置され、且つこれらのバルブ24,25と前記ポンプ6とは、制御線L1〜L3を介して制御装置Cと接続され、該制御装置Cによって制御可能に構成されている。
このため、オペレータは、遠隔操作によって前記制御装置Cに指示を与えるだけで、前記一連の処理をおこなうことができる。
また、センサー等を前記装置の必要箇所に付加すると、良好な処理を担保しつつ自動運転させることもできる。
【0033】
また、前記第1の容器1内への被洗浄物Sの搬入や搬出を、無人の搬送装置(例えば、クレーン、ローダ、またはコンベヤ等)によって、遠隔操作または自動運転ができるように構成しておくことが望ましい。
特に、搬送装置として、スラットコンベヤやトロリコンベヤ等のコンベヤを設けて、前記第1の容器1に被洗浄物を搬入し、該コンベヤ上に被洗浄物を載せたまま前記洗浄をおこない、搬出するよう構成すると、単位時間当りの処理量を飛躍的に高める上で好ましい構成となる。
【0034】
カメラとモニターで確認しながら、前述のように遠隔操作あるいは自動運転させるように構成すると、放射性物質の放射能レベルが高い場合にも、作業員等が被爆することなく、安全に被洗浄物Sの処理をすることが可能となる。
【0035】
また、被洗浄物Sとしては、汚染された土壌や砕石等についても、前記自動車や電気製品等の場合と同様に、前記工程を経て除染と放射性物質の回収を実施することができる。
【0036】
なお、前記リサイルしようとする液(処理水)に、放射性物質が残っている場合には、前記第3の容器3の前に、ゼオライトや活性炭等を充填した吸着槽を設けて、この吸着槽で、残存する放射性物質を除去するように構成することが望ましい。
【0037】
前述した種々の実施例は本発明の単なる実施例であって、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく、本発明の技術的思想に基づく範囲において種々の形態で実施することが可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明にかかる放射性物質の除染及び回収方法とそのための装置は、放射性物質に汚染されたスクラップ等を安全に且つ効果的に除染処理等するのに用いることができる。
【符号の説明】
【0039】
A…装置
1…第1の容器
2…第2の容器
4…噴射装置
5…固液分離装置
図1
図2
図3