特許第5667053号(P5667053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソルピー工業株式会社の特許一覧

特許5667053PMDA、DADE、BPDAおよび9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン成分を含む有機溶媒に可溶なポリイミド組成物およびその製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5667053
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】PMDA、DADE、BPDAおよび9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン成分を含む有機溶媒に可溶なポリイミド組成物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/10 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
   C08G73/10
【請求項の数】9
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2011-520693(P2011-520693)
(86)(22)【出願日】2009年6月30日
(86)【国際出願番号】JP2009061904
(87)【国際公開番号】WO2011001501
(87)【国際公開日】20110106
【審査請求日】2012年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】509277899
【氏名又は名称】ソルピー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】板谷 博
【審査官】 井津 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/155811(WO,A1)
【文献】 国際公開第01/034679(WO,A1)
【文献】 特開平04−331230(JP,A)
【文献】 特開昭55−065227(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/120398(WO,A1)
【文献】 特開2007−077308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/00−73/26
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A1)ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)またはベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)のいずれかのカルボン酸ジ無水物(DA)1モル当量と、ジアミノジフェニルエーテル(DADE)2モル当量とを反応させて、両末端がDADE由来のアミノ基であるオリゴマーを得る工程、
(A2)A1工程で得たオリゴマーと、ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)4モル当量と9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)2モル当量とを反応させて両末端がPMDA由来の酸無水物基であるオリゴマーを得る工程、および
(A3)A2工程で得たオリゴマーと、ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)またはベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)のいずれかのカルボン酸ジ無水物(DA)1モル当量と、3,3’−ジメチルベンチジン(CHAB)2モル当量とを反応させて製造される以下の成分比:
成分比:(PMDA)(DADE)(DA)(FDA)(CHAB)
を有するポリイミド組成物。
【請求項2】
(A1)ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)またはベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)のいずれかのカルボン酸ジ無水物(DA)1モル当量と、ジアミノジフェニルエーテル(DADE)2モル当量とを反応させて、両末端がDADE由来のアミノ基であるオリゴマーを得る工程、
(A2)A1工程で得たオリゴマーと、ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)4モル当量と9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)2モル当量とを反応させて両末端がPMDA由来の酸無水物基であるオリゴマーを得る工程、および
(A’3)A2工程で得たオリゴマーと、ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)またはベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)のいずれかのカルボン酸ジ無水物(DA)1モル当量と、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン(HOABSO)2モル当量とを反応させて製造される以下の成分比:
成分比:(PMDA)(DADE)(DA)(FDA)(HOABSO
を有するポリイミド組成物。
【請求項3】
(B1)ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)2モル当量と9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)1モル当量とを反応させて、両末端がPMDA由来の酸無水物基であるオリゴマーを得る工程、
(B2)B1工程で得たオリゴマーと、ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)またはベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)のいずれかのカルボン酸ジ無水物(DA)2モル当量と、ジアミノジフェニルエーテル(DADE)4モル当量とを反応させて、両末端がDADE由来のアミノ基であるオリゴマーを得る工程、および
(B3)B2工程で得たオリゴマーと、ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)2モル当量と、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン(HOABSO)1モル当量とを反応させて製造される以下の成分比:
成分比:(PMDA)(DADE)(DA)(FDA)(HOABSO
を有するポリイミド組成物。
【請求項4】
(C1)ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)またはベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)のいずれかのカルボン酸ジ無水物(DA)1モル当量と、ジアミノジフェニルエーテル(DADE)2モル当量とを反応させて、両末端がDADE由来のアミノ基であるオリゴマーを得る工程、
(C2)C1工程で得たオリゴマーと、ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)3モル当量と、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)1モル当量とを反応させて両末端が酸無水物基であるオリゴマーを得る工程、および
(C3)C2工程で得たオリゴマーと、ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)またはベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)のいずれかのカルボン酸ジ無水物(DA)1モル当量と、ジアミノトルエン(DAT)2モル当量とを反応させて製造される以下の成分比:
成分比:(PMDA)(DADE)(DA)(FDA)(DAT)
を有するポリイミド組成物。
【請求項5】
(C1)ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)またはベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)のいずれかのカルボン酸ジ無水物(DA)1モル当量と、ジアミノジフェニルエーテル(DADE)2モル当量とを反応させて、両末端がDADE由来のアミノ基であるオリゴマーを得る工程、
(C2)C1工程で得たオリゴマーと、ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)3モル当量と、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)1モル当量とを反応させて両末端が酸無水物基であるオリゴマーを得る工程、および
(C’3)C1工程で得たオリゴマーと、ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)またはベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)いずれかのカルボン酸ジ無水物(DA)1モル当量と、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン(HOABSO)1モル当量およびジアミノトルエン(DAT)1モル当量とを反応させて製造される以下の成分比:
成分比:(PMDA)(DADE)(DA)(FDA)(HOABSO(DAT)
を有するポリイミド組成物。
【請求項6】
(D1)ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)1モル当量と、ジアミノジフェニルエーテル(DADE)2モル当量とを反応させて、両末端がDADE由来のアミノ基であるオリゴマーを得る工程、
(D2)D1工程で得たオリゴマーに、ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)2モル当量を加え、ついで間をおいてビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)1モル当量を加えた後、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)1モル当量を加え、これらを加熱して反応させて両末端が酸無水物基であるオリゴマーを得る工程、および
(D3)D2工程で得たオリゴマーと、3,3’−ジメチルベンチジン(CHAB)1モル当量とを反応させて製造される以下の成分比:
成分比:(PMDA)(DADE)(BPDA)(FDA)(CHAB)
を有するポリイミド組成物。
【請求項7】
(D1)ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)1モル当量と、ジアミノジフェニルエーテル(DADE)2モル当量とを反応させて、両末端がDADE由来のアミノ基であるオリゴマーを得る工程、
(D2)D1工程で得たオリゴマーに、ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)2モル当量を加え、ついで間をおいてビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)1モル当量を加えた後、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)1モル当量を加え、これらを加熱して反応させて両末端が酸無水物基であるオリゴマーを得る工程、および
(D’3)D2工程で得たオリゴマーと、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン(HOABSO)1モル当量とを反応させて製造される以下の成分比:
成分比:(PMDA)(DADE)(BPDA)(FDA)(HOABSO
を有するポリイミド組成物。
【請求項8】
請求項7のいずれか一項に記載の反応は、溶媒としてN−メチルピロリドン、スルホラン、またはジメチルアセトアミドを用い、触媒としてγ−バレロラクトンとピリジン、またはγ−バレロラクトンとN−メチルモルフォリンを用い、撹拌しながら160〜200℃に加熱し、共沸溶媒としてトルエンを用いて、反応により生成する水を共沸により除去することを含む、有機溶媒に可溶でありかつ高純度な請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリイミド組成物。
【請求項9】
PMDA−DADE−PMDA結合またはDADE−PMDA−DADE結合を含まない、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリイミド組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機溶媒に可溶なポリイミド組成物およびその製造方法に関する。本発明は、より詳しくは、ピロメリット酸ジ無水物(以下「PMDA」ともいう)、ジアミノジフェニルエーテル(DADE)、ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物またはベンゾフェノテトラカルボン酸無水物、および9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(以下「FDA」ともいう)成分を含む超耐熱性ポリイミドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超耐熱性ポリイミドとして、カプトン(KAPTON)(登録商標)やユーピレックス(Upilex)(登録商標)等の二成分系であって、不溶かつ不融のポリイミドが知られている。カプトンは、1960年デュポン社によって初めて製造され、ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)および1,4−ジアミノジフェニルエーテルから合成される。
【0003】
このポリイミドは、ガラス転移温度(Tg)が420℃、熱分解開始温度(Tm)が500℃以上の特性を示し、電気絶縁性、機械的強度、耐薬品性に優れたポリマーとして、航空宇宙材料、車輌用の材料、電子・電気部品、半導体用材料等として広く利用されている(非特許文献1:polyimides; D. Wilson, H. D. Steinberger, R. M. Morgenrother; Blackie, New York (1990))。
【0004】
ユーピレックスは、1980年、宇部興産株式会社によって製造されたポリイミドフィルムであり、ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(以下「BPDA」ともいう)および1,4−ジアミノベンゼンから合成される。このポリイミドは、Tg>500℃、Tm>550℃の耐熱性を有する(非特許文献1)。
【0005】
これらの開発以後、今日まで、カプトンおよびユーピレックスに匹敵する他の耐熱性ポリイミドフィルムは製造販売されていない。原料であるPMDA、BPDAに代わるテトラカルボン酸ジ無水物も開発されていない。
【0006】
カプトンおよびユーピレックスは有機溶媒に難溶であるため、テトラカルボン酸ジ無水物と芳香族アミンを極性有機溶媒中で重縮合して高分子量のポリアミック酸を合成し、ついで流延、加熱して(400℃以上)、脱有機溶媒するとともにイミド化反応して得られる。すなわち、従来のポリイミドは、ポリアミック酸溶液から塗布膜を形成しイミド化反応とフィルム化を同時に行うことにより得られていた。
【0007】
しかしながら、ポリアミック酸は水で分解し易く、冷凍保存されたとしても品質が保たれる期間は3ヶ月程度である。また、ポリアミック酸は、その溶液中で交換反応が生じやすいため、他の成分が加えられると、交換反応によりランダム共重合体となる。ランダム共重合体は、改質により高性能化することは困難である。
【0008】
以上のとおり、ポリアミック酸溶液から有機溶媒を除去するとともにポリイミドを合成する方法には課題があった。
【0009】
一方、溶液中にてポリアミック酸からポリイミドを生成する方法が知られている。例えば、発明者により出願された特許文献1(国際公開第2008/120398号パンフレット)、特許文献2(国際公開第2008/155811号パンフレット)には、ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADE)、ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)および2,4−ジアミノトルエン(DAT)等を原料とする有機極性溶媒に可溶の耐熱性ポリイミド共重合体が開示されている。このポリイミドは、BPDAの両末端にDADEを反応させて得た両末端がアミノ基であるオリゴマーを得る第一段階、当該オリゴマーと、2モル当量のPMDAおよび1モル当量のDATを反応させることにより、その両末端がPMDA由来の酸無水物基であるオリゴマーを得る第二段階、および当該オリゴマーとDATを反応させて重合する第三段階を経て製造される。従来、酸無水物成分であるPMDAとジアミン成分であるDADEを併用すると、ポリイミドの合成中に不溶物が生じてしまう問題があった。この原因は、ポリイミド中のPMDA−DADE−PMDAセグメント、またはDADE−PMDA−DADEセグメントが有機溶媒に難溶であるためと推察された。しかし、当該文献に記載の方法によれば、このようなセグメントを含まないポリイミドが合成できるので、有機溶媒に可溶なポリイミドが得られる。
【0010】
また、触媒を用いて、溶液中にてポリアミック酸からポリイミドを生成する方法が知られている(特許文献3: A. Berger,米国特許第4011297号明細書(1993)、特許文献4:米国特許第4359572号明細書(1983))。例えば、トルエンスルホン酸やリン酸を触媒とする方法が知られている。しかし、このようにして得たポリイミドは、溶液中に触媒が残存しているため、フィルムとした際に触媒の劣化が生じうる。そのため、溶液中から触媒を取り除く必要がある。溶液中から容易に除去できる触媒として、γ−バレロラクトンとピリジン、またはγ−バレロラクトンとN−メチルモルホリンの混合物が知られている(特許文献5:Y.Oie, H.Itatani,米国特許第5502142号明細書(1996))。この触媒は、以下に示すとおり、水の存在下に酸イオン種および塩基イオン種となり、水を除くとラクトンと塩基になる平衡反応を起こす。
【0011】
【化1】
すなわち、この触媒の存在下に酸ジ無水物とジアミンを反応させる場合、反応系を160〜200℃に加熱して撹拌すると系内には縮合反応により水が生成するので、この触媒の平衡は右側に傾き、触媒活性が向上しイミド化反応を促進できる。一方、反応系には通常、少量のトルエンが加えられており反応により生成する水はトルエン共沸によって系外に除かれる。さらにイミド化反応が終結すると、反応系は無水の状態に近づく。すると、前記平衡は、左側に傾き、γ−バレロラクトンとピリジンが生成し、触媒である酸性イオン種は消滅する。このような触媒を用いることで高純度のポリイミド共重合体が得られるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2008/120398号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2008/155811号パンフレット
【特許文献3】米国特許第4011297号明細書
【特許文献4】米国特許第4359572号明細書
【特許文献5】米国特許第5502142号明細書
【特許文献6】米国特許第6890621号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Polyimides; D. Wilson, H. D. Steinberger, R. M. Morgenrother; Blackie, New York (1990)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
有機溶媒に可溶なポリイミドは、高耐熱接着剤、コーティング剤等の新たな用途が期待される。しかし、ポリイミドには、さらなる耐熱性向上に代表されるように、より高機能化が要求されている。この要求に応えるには、そのような機能を付与する原料を用いて新規なポリイミドを得る必要がある。ところが既に述べたとおり、異なる化合物を原料として用いると、ポリイミドの有機溶媒への溶解性が低下する恐れがある。すなわち、耐熱性に優れ、かつ有機溶媒に可溶なポリイミドが要求されているものの、未だそのようなポリイミドは存在しなかった。
【0015】
かかる事情に鑑み、本発明は、耐熱性に優れ、有機溶媒に可溶なポリイミド組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明者らは、特定のテトラカルボン酸ジ無水物および芳香族ジアミンを用いることで、前記課題を解決した。すなわち、本発明は、(1)ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)、(2)ジアミノジフェニルエーテル(以下「DADE」ともいう)、(3)ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)またはベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)、ならびに(4)9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)の各成分を含む、有機溶媒に可溶なポリイミド組成物を提供する。また、本発明のポリイミド組成物は、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン(以下「HOABSO」ともいう)を原料として含むことが好ましい。
【0017】
これらのポリイミド組成物は、今日まで知られていない新規な以下の製造方法で製造されることが好ましい。例えば、本発明のポリイミド組成物は、以下の製造方法Aで製造されるポリイミド組成物である。
(A1)ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)またはベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)のいずれかのカルボン酸ジ無水物(以下「DA」ともいう)1モル当量と、ジアミノジフェニルエーテル(DADE)2モル当量とを反応させて、両末端がDADE由来のアミノ基であるオリゴマーを得る工程、
(A2)A1工程で得たオリゴマーと、ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)4モル当量と9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)2モル当量とを反応させて両末端がPMDA由来の酸無水物基であるオリゴマーを得る工程、および
(A3)A2工程で得たオリゴマーと、ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)またはベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)を含むカルボン酸ジ無水物(DA)1モル当量と、3,3’−ジメチルベンチジン(CHAB)2モル当量とを反応させて重合体を得る工程を含む製造方法。
【0018】
このようにして得られたポリイミド組成物は、(PMDA)(DADE)(DA)(FDA)(CHAB)の成分比を有する。
【0019】
この他に、本発明のポリイミド組成物は、後述するような製造方法B〜Gで製造されることが好ましい。このように製造されるポリイミド組成物の成分比は、以下のとおりであることが好ましい。
(PMDA)(DADE)(DA)(FDA)(HOABSO
(PMDA)(DADE)(DA)(FDA)(HOABSO
(PMDA)(DADE)(DA)(FDA)(DAT)
(PMDA)(DADE)(DA)(FDA)(HOABSO(DAT)
(PMDA)(DADE)(BPDA)(FDA)(CHAB)
(PMDA)(DADE)(BPDA)(FDA)(HOABSO
(PMDA)(DADE)(BPDA)(FDA)(DABz)
(PMDA)(DADE)(BPDA)(FDA)(HOABSO(DAT)
(PMDA)(DADE)(BPDA)(BTDA)(HOABSO(FAD)
また、これらの製造方法A〜Gにおける各反応は160〜200℃程度の温度において、溶媒としてN−メチルピロリドン等を用い、触媒としてγ−バレロラクトンとピリジン、またはγ−バレロラクトンとN−メチルモルフォリンを用い、共沸溶媒であるトルエンを用いて行われることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、耐熱性に優れ、有機溶媒に可溶なポリイミド組成物およびその製造方法が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.本発明のポリイミド組成物
本発明のポリイミド組成物は、
(1)ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)、
(2)ジアミノジフェニルエーテル(DADE)
(3)ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)またはベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)、ならびに
(4)9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)の各成分を含有する。
【0022】
1−1 各成分
(1)PMDA
ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)は化学式(m1)で表される化合物である。
【0023】
【化2】
(2)DADE
ジアミノジフェニルエーテルは、ジフェニルエーテルのベンゼン環に一つずつアミノ基が結合した化合物である。その例には、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、および3,4’−ジアミノジフェニルエーテルが含まれる。本発明においては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。これを原料とするポリイミドは耐熱性により優れるからである。4,4’−ジアミノジフェニルエーテルは、化学式(m2)で表される。
【0024】
【化3】
(3)DA
ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)は、ビフェニルに二つの酸無水物基が結合した化合物である。本発明においては入手の容易さ等から、化学式(m3−1)で表される化合物が好ましい。
【0025】
【化4】
ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)は、ベンゾフェノンに二つの酸無水物基が結合した化合物である。本発明においては入手の容易さ等から、化学式(m3−2)で表される化合物が好ましい。
【0026】
【化5】
本発明においては、ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物またはベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物のいずれかのカルボン酸ジ無水物を「DA」と称する。本発明においては、BPDAを単独で用いることがより好ましい。BPDA由来の成分を含むポリイミド組成物は、ガラス転移温度(Tg)がより高いからである。
【0027】
(4)FDA
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)は、化学式(m4)で表される。
【0028】
【化6】
(5)その他の芳香族ジアミン
本発明のポリイミド組成物は、上記以外の芳香族ジアミンを原料として用いてよい。芳香族ジアミンとは、芳香族基にアミノ基が2つ結合している化合物である。その好ましい例には、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン(HOABSO)、フェニレンジアミン、アルキルフェニレンジアミン、ジアルキルベンチジン、ジアミノジフェニルスルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、およびジアミノ安息香酸が含まれる。
【0029】
ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン(HOABSO)は、化学式(m5)で表される化合物である。この化合物は、分子内にスルホニル基、2つのアミノ基、および2つの水酸基を有する、ジヒドロキシジアミンである。
【0030】
【化7】
アルキルフェニレンジアミンの好ましい例には、トルエンジアミンが含まれる。またジアルキルベンチジンの好ましい例には、3,3’−ジメチルベンチジンが含まれる。これらの芳香族ジアミンはp−体、m−体、4,4’−体、3,4’−体等の異性体も含む。
【0031】
1−2 本発明のポリイミド組成物の特性
本発明のポリイミド組成物は、有機溶媒、好ましくは極性有機溶媒に可溶である。このような極性有機溶媒の例には、N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルアセトアミド、およびN,N’−ジメチルホルムアミドが含まれる。ポリイミド組成物が有機溶媒へ溶解する量は、前述の有機溶媒100質量部に対し、10〜15質量部が好ましい。このような溶解性を持つポリイミド組成物は、ポリイミド溶液としたときの取り扱い性に優れるからである。ポリイミド組成物の溶解性の程度に応じて、有機溶媒は適宜選択してよい。本発明において記号「〜」はその両端の値を含む。
【0032】
本発明のポリイミド組成物は、耐熱性に優れる。耐熱性は、分解開始温度(Tm)やガラス転移温度(Tg)で評価される。本発明のポリイミド組成物は高いTmを有する。これは、後に説明するように、分子内に剛直なフルオレニル基を有するためと考えられる。本発明のポリイミド組成物のTmは500〜560℃が好ましく、540〜560℃がより好ましい。また、本発明のポリイミド組成物のTgは350〜450℃が好ましく、400〜450℃がより好ましい。このような範囲のTmおよびTgを有するポリイミド組成物は、極めて高い耐熱性が要求される用途へ適用できる。
【0033】
ポリイミド組成物とはポリイミドを主成分とする組成物である。本発明のポリイミド組成物におけるポリイミド(以下単に本発明のポリイミドともいう)は、剛直でかつ嵩高いフルオレニル基を有する。このため、高分子鎖のパッキングが疎となり、比重が軽くかつ柔軟性に優れる。また、後述するとおり、ポリイミドのピロメリット酸ジ無水物(PMDA)は、イミド化の際に分子間架橋反応を起こしやすいが、本発明のポリイミド組成物におけるポリイミドは、分子内に嵩高いフルオレニル基を有するので、立体障害が大きくなり、分子間架橋反応を起こしにくい。分子間架橋反応が生じにくいポリイミドは、ゲル等が生成しにくいので、有機溶媒への溶解性に優れる。
【0034】
また本発明のポリイミド組成物は、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン(HOABSO)を原料としてもよい。このようなポリイミド組成物は、後述するとおり主鎖に極性基であるオキザゾール基またはカルボキシル基を有するので他の材料との接着性に優れる。また、このようなポリイミド組成物は、光が照射されるとオキサゾリン環の−N=C−結合が開裂されてその部分の分子鎖が切断されるという感光特性も有する(特許文献6)。
【0035】
1−3 本発明のポリイミド組成物の構造
本発明のポリイミド組成物は、ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)と、ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)またはベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)と、ジアミノジフェニルエーテル(DADE)と、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)等の芳香族ジアミンとが縮合した構造である。本発明は、PMDAとDADEを含有するポリイミド組成物を有機溶媒に可溶にするための新しい手段を提供する。
【0036】
本発明のポリイミド組成物におけるポリイミドの繰り返し単位は限定されない。しかしながら本発明のポリイミド組成物は、次に述べる方法で製造されることが好ましいので、ポリイミドには好適な繰り返し単位が存在する。好適な繰り返し単位については、製造方法とともに説明する。
【0037】
2.本発明のポリイミド組成物の製造方法
本発明で用いるビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)等のカルボン酸ジ無水物(DA)は、1つのベンゼン環に1つの酸無水物基を有する。一方、ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)は、1つのベンゼン環に2つの酸無水物基を有する。すなわち、酸ジ無水物の構造の違いによって、1分子中に存在する酸無水物基同士の近さが異なるため、イミド化反応の反応性も大きく異なる。
【0038】
例えば、ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)等を原料としてポリイミドを重合する場合、反応時間の経過とともに、ポリマーの分子量は減少する。つまり、時間を横軸にして生成するポリマーの分子量をプロットすると放物線状の曲線が得られる。一方、ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)を原料としてポリイミドを重合する場合は、これとは異なり、時間とともに生成するポリマーの分子量は急激に増大する。つまり、時間を横軸にして生成するポリマーの分子量をプロットすると双曲線状の曲線が得られる。分子量が急激に増大すると、ゲル状物が生成され、ポリイミドの有機溶媒への溶解性が低下する。急激な分子量の増大は、前駆体として生成したポリアミック酸の分子間架橋反応によると考えられる(スキーム1)。
【0039】
【化8】
本発明においては、酸ジ無水物としてPMDAとDAを併用し、かつ有機溶媒に可溶なポリイミドを合成する。よって、PMDAとDAの反応性の違い、分子量の制御、および反応の終点の決定が重要となる。
【0040】
以上から、本発明のポリイミド組成物は、以下の点を特徴とする方法で製造されることが好ましい。
1)三つの段階で逐次重合を行う、三段階逐次重合法を採用する。
2)第1および第2工程で、両末端にアミノ基を有するオリゴマー、または両末端に酸無水物基を有するオリゴマーを得る。
3)第3工程で、前工程で得たオリゴマーを重合し、高分子量のポリイミドを得る。
4)同一の工程に、ジアミノジフェニルエーテル(DADE)とピロメリット酸ジ無水物(PMDA)同時に存在させないようにし、有機溶媒に難溶な成分である[PMDA]−[DADE]−[PMDA]または[DADE]−[PMDA]−[DADE]で表されるオリゴマーが製造中に生成されないか、あるいはこれらの構造がポリマーに形成されないようにする。ここで、[PMDA]はPMDAの残基を意味する。残基とは、ポリマーにおける部分構造であって化学結合以外の構造をいう。例えば、ジアミノジフェニルエーテル残基すなわち[DADE]は、二価のジフェニルエーテル基である。以下の他の酸ジ無水物および芳香族ジアミンの残基も同様に表記される。
【0041】
また、本発明のポリイミド組成物は嵩高いフルオレニル基を有するFDAを原料として用いる。そのため、スキーム1に示すような分子間架橋反応が起こりにくい。分子間架橋反応が生じないポリイミド組成物は、溶解性がより高くなる。
【0042】
具体的に、本発明のポリイミド組成物は以下のA〜Gの方法で製造されることが好ましい。
(1)製造方法A
製造方法Aは、
(A1)ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)またはベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)のいずれかのカルボン酸ジ無水物(DA)1モル当量と、ジアミノジフェニルエーテル(DADE)2モル当量とを反応させて、両末端がDADE由来のアミノ基であるオリゴマーを得る工程、
(A2)A1工程で得たオリゴマーと、ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)4モル当量と9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)2モル当量とを反応させて両末端がPMDA由来の酸無水物基であるオリゴマーを得る工程、および
(A3)A2工程で得たオリゴマーと、ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)またはベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)のいずれかのカルボン酸ジ無水物(DA)1モル当量と、芳香族ジアミン2モル当量とを反応させて重合体を得る工程を含む方法である。
【0043】
本製造方法における芳香族ジアミンは、芳香族基にアミノ基が二つ結合している化合物であれば限定されない。これらの芳香族ジアミンの例には、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン(HOABSO)、フェニレンジアミン、アルキルフェニレンジアミン、ジアルキルベンチジン、ジアミノジフェニルスルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンが含まれる。中でも、入手が容易であり、かつ溶解性に優れたポリイミドが得られるため、2,4−ジアミノトルエン(以下「DAT」ともいう)、3,3’−ジメチルベンチジン(以下「CHAB」ともいう)、またはビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン(HOABSO)が好ましい。
【0044】
以下は、説明を簡略にするため、一例として、カルボン酸ジ無水物(DA)としてビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)を、芳香族ジアミンとして2,4’−ジアミノトルエン(DAT)を用いる場合について説明する。この反応は以下のスキームAで示される。
【0045】
【化9】
1)A1工程
この工程では、BPDAの一つの酸無水物基と、DADEの一つのアミノ基が反応し、さらにBPDAの他方の酸無水物基と、別分子のDADEの一つのアミノ基が反応する。この結果、末端がアミノ基であるオリゴマー(a1)が生成する。このオリゴマーは安定であって、かつ有機溶媒に可溶であるため、反応液中にオリゴマーが析出しない。
【0046】
この工程は、不活性ガス気流下、極性有機溶媒下で行われることが好ましい。不活性ガスの例には窒素およびアルゴンが含まれる。極性有機溶媒の例には、NMP、DMAc、およびDMFが含まれる。
【0047】
触媒として、γ−バレロラクトンとピリジン、またはγ−バレロラクトンとN−メチルモルフォリンを用いることが好ましい。反応物100〜200ミリモルに対して、γ−バレロラクトンは10〜15ミリモル当量、ピリジンまたはN−メチルモルフォリンは、20〜30ミリモル当量であることが好ましい。
【0048】
また反応により生成する水を系外に除去するため、水と共沸できるトルエン等の溶媒を併用することが好ましい。
【0049】
反応温度は、イミド化反応に要求される温度であり、本発明においては、反応温度は150〜200℃程度が好ましい。
【0050】
また、反応時間は反応の進行状況によって適宜決定される。
【0051】
2)A2工程
この工程は、4モル当量のピロメリット酸ジ無水物(PMDA)と2モル当量の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)を添加して、前工程で得たオリゴマーと反応させる。反応機構は限定されないが以下のように推察される。
i)FDAの一つのアミノ基と、PMDAの一つの酸無水物基が反応し、さらにFDAの他方のアミノ基と、別分子のPMDAの一つの酸無水物基が反応する。この結果、[PMDA]−[FDA]−[PMDA]で表されるオリゴマーが2モル当量生成する。ここで、[PMDA]および[FDA]は、それぞれPMDAおよびFDAの残基を示す。
ii)A1工程で生成したオリゴマー(a1)の一つの末端のアミノ基と、[PMDA]−[FDA]−[PMDA]のオリゴマーの一つの末端に存在する酸無水物基が反応する。
iii)このii)で生成したオリゴマーのもう一つの末端のアミノ基と、別の[PMDA]−[FDA]−[PMDA]の一つの末端の酸無水物基が反応する。この結果、末端が酸無水物基であるオリゴマー(a2)が生成する。
【0052】
この方法では先に述べたとおり、有機溶媒に難溶である[PMDA]−[DADE]−[PMDA]、または[DADE]−[PMDA]−[DADE]で表されるオリゴマーが生成されない。しかし、[PMDA]−[FDA]−[PMDA]という従来にないオリゴマーが生成する。ポリイミドの原料として従来用いられなかった化合物を含むオリゴマーは、一般に有機溶媒に不溶である場合が多いが、[PMDA]−[FDA]−[PMDA]で表されるオリゴマーは有機溶媒に可溶である。よって、この構造のセグメントを分子内に含むオリゴマー(a2)も有機溶媒に可溶である。これは、FDAは、分子内に嵩高いフルオレニル基を有するため、分子のパッキングが疎になるためではないかと推察される。
A2工程も、A1工程同様、不活性ガス気流下で行われることが好ましい。また、反応温度、反応時間もA1工程と同様にしてよい。
【0053】
3)A3工程
この工程は、1モル当量のビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)と2モル当量の2,4’−ジアミノトルエン(DAT)を添加して、前工程で得たオリゴマーと、1モル当量のBPDAと2モル当量のDATを反応させ、重合体を得る。
【0054】
この反応機構は限定されないが以下のように推察される。
i)BPDAの一つの酸無水物基と、DATの一つのアミノ基が反応し、さらにBPDAの他方の酸無水物基と、別分子のDATの一つのアミノ基が反応する。この結果、[DAT]−[BPDA]−[DAT]で表されるオリゴマーが1モル当量生成する。
ii)A2工程で生成したオリゴマー(a2)の一つの末端の酸無水物基と、[DAT]−[BPDA]−[DAT]のオリゴマーの一つの末端に存在するアミノ基が反応して、オリゴマー(a2)の一つの末端に[DAT]−[BPDA]−[DAT]が結合したオリゴマーが生成する。
iii)このii)で生成したオリゴマーは一方の端にアミノ基をもう一方の端に酸無水物基を有するので、重合して高分子量のポリイミド(a3)を生成する。この工程でも有機溶媒に難溶である[PMDA]−[DADE]−[PMDA]、または[DADE]−PMDA]−[DADE]で表されるオリゴマーが生成しない。よって、工程中に成分が反応系に析出することはなく、さらに得られたポリイミド(a3)も有機溶媒に可溶である。
【0055】
A3工程も、A1工程同様、不活性ガス気流下で行われることが好ましい。また、反応温度、反応時間もA1工程と同様にしてよい。ポリマーが高分子量化するに伴い系の粘度が上昇するため、溶媒を追加することが好ましい。溶媒の追加量は適宜調整してよいが、反応溶液の取り扱い性等を考慮して、反応液がポリマーを10〜20質量%程度含むように調整されることが好ましい。
【0056】
以上、1)三段階逐次重合法を採用し、2)第1の工程で両末端がアミノ基のオリゴマーを得て、第2の工程で両末端が酸無水物基であるオリゴマーを得る、3)第3の工程で高分子量のポリイミドを得る、4)[PMDA]−[DADE]−[PMDA]等で表されるオリゴマーを生成させない、という特徴を有する本製造方法により、溶媒に可溶なポリイミド組成物が得られる。
【0057】
一般式(a3)で表されるポリイミドにおいて、PMDAおよびBPDA等の酸ジ無水物と、DADE、FDAおよびDAT等の芳香族ジアミンとの結合はイミド結合である。一般にポリイミドを段階的に重合して得る場合には、これらの酸ジ無水物と芳香族ジアミンとの結合をアミド結合としておいて、最終工程でこのアミド結合をイミド結合とする方法が採用される。これは、オリゴマーの状態でイミド結合が形成されてしまうと有機溶媒に難溶となってしまうからである。しかし本発明においては、有機溶媒に難溶なオリゴマーが生成しないため、最終工程ではないA1、A2の工程において酸ジ無水物と芳香族ジアミンとをイミド結合させることができる。このため、本発明は、酸ジ無水物と芳香族ジアミンが不安定なアミド結合の状態にあるために生じる溶液中での交換反応を抑制できる利点がある。
【0058】
また、本発明のポリイミド組成物におけるポリイミドのWで示した部分等はPMDA残基が存在するため分子間架橋反応が生じやすいと考えられる。しかし、Wで示した部分等は前述のとおり嵩高いFDA残基が存在するので分子間架橋が生じにくいと考えられる。よって、従来のポリイミドに比べて本発明のポリイミドは分子間架橋反応が生じにくいといえる。
【0059】
上記は芳香族ジアミンとしてDATを用いた場合を説明したが、DATの代わりに3,3’−ジメチルベンチジン(CHAB)または芳香族ジアミンとしてHOABSOを用いてもよい。さらに、これらの芳香族ジアミンは、複数の種類を併用してもよい。芳香族ジアミンとしてHOABSOを用いた場合、HOABSOとPMDA等との結合は、オキサゾール基を介した結合またはイミド結合である。
【0060】
このようにして得られるポリイミド組成物は、PMDA等の成分を含有する。言い換えれば、本発明のポリイミド組成物は、PMDA等を重合して得られるので、PMDA等の原料に由来する成分、つまり原料成分の残基を含有する。
【0061】
製造方法Aで得られるポリイミドは、以下に示す繰り返し単位を有することが好ましい。
―[PMDA]-[FDA]-[PMDA]―[DADE]-[DA]-[DADE]―[PMDA]-[FDA]-[PMDA]―U10― (A)
式中、U10は、X−[DA]−Xで表される基である。Xは独立に、既に述べた芳香族ジアミンの残基である。[PMDA]等はPMDA残基である。
この方法で得られるポリイミド組成物は、(PMDA)(DADE)(DA)(FDA)(CHAB)または(PMDA)(DADE)(DA)(FDA)(HOABSOの成分比を有することが好ましい。
(2)製造方法B
製造方法Bは、
(B1)ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)2モル当量と9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)1モル当量とを反応させて、両末端がPMDA由来の酸無水物基であるオリゴマーを得る工程、
(B2)B1工程で得たオリゴマーと、ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)またはベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)のいずれかのカルボン酸ジ無水物(DA)2モル当量と、ジアミノジフェニルエーテル(DADE)4モル当量とを反応させて、両末端がDADE由来のアミノ基であるオリゴマーを得る工程、および
(B3)B2工程で得たオリゴマーと、ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)2モル当量と、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ)スルホン(HOABSO)1モル当量とを反応させて重合体を得る工程を含む方法である。以下、説明を簡略にするためカルボン酸ジ無水物(DA)としてBPDAを用いる場合を例に説明する。
【0062】
本製造方法では、以下のようにオリゴマーが生成され、ポリイミドが得られる。各工程の条件は、製造方法Aで説明したとおりにすればよい。
B1工程:[PMDA]-[FDA]-[PMDA]で表されるオリゴマーが生成する。
B2工程:[DADE]-[BPDA]-[DADE]―[PMDA]-[FDA]-[PMDA]―[DADE]-[BPDA]-[DADE]で表されるオリゴマー(b2)が生成する。
B3工程:[PMDA]-[HOABSO]-[PMDA]で表されるオリゴマーが生成する。このオリゴマーは、オリゴマー(b2)と反応し重合する。
【0063】
製造方法Bで得られるポリイミドは、以下に示す繰り返し単位を有することが好ましい。
―[DADE]-[DA]-[DADE]―[PMDA]-[FDA]-[PMDA]―[DADE]-[DA]-[DADE]―[PMDA]-[HOABSO2]-[PMDA]― (B)
式中、[DADE]等や、これらの残基の結合は一般式(A)で述べたとおりである。
この方法で得られるポリイミド組成物は、(PMDA)(DADE)(DA)(FDA)(HOABSOの成分比を有することが好ましい。
【0064】
(3)製造方法C
製造方法Cは、
(C1)ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)またはベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)のいずれかのカルボン酸ジ無水物(DA)1モル当量と、ジアミノジフェニルエーテル(DADE)2モル当量とを反応させて、両末端がDADE由来のアミノ基であるオリゴマーを得る工程、
(C2)C1工程で得たオリゴマーと、ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)3モル当量と、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)1モル当量とを反応させて両末端が酸無水物基であるオリゴマーを得る工程、および
(C3)C2工程で得たオリゴマーと、ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)またはベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)のいずれかのカルボン酸ジ無水物(DA)1モル当量と、芳香族ジアミン2モル当量とを反応させて重合体を得る工程を含む製造方法である。
【0065】
本製造方法で好ましく用いられる芳香族ジアミンは、製造方法Aで述べたとおりである。中でも2,4’−ジアミノトルエン(DAT)が好ましい。DATを原料とするポリイミドは有機溶媒への溶解性がより高くなるからである。以下は、説明を簡略にするためカルボン酸ジ無水物(DA)としてBPDAを、芳香族ジアミンとしてDATを用いる場合について説明する。
C1工程:製造方法Aと同じオリゴマー(c1)が生成する。
C2工程:まず、2モル当量のPMDAと1モル当量のFDAが反応して[PMDA]−[FDA]−[PMDA]で表されるオリゴマーが生成する。このオリゴマーはC1工程で生成したオリゴマー(c1)の片方の端のアミノ基と反応する。一方、残った1モル当量のPMDAは、オリゴマー(c1)の他方の端のアミノ基と反応する。このようにしてオリゴマー(c2)が生成される。
C3工程:オリゴマー(c2)の両末端の酸無水物基とDATのアミノ基が反応して、重合体が生成する。反応条件等は、製造方法Aで述べたとおりである。
【0066】
製造方法Cで得られるポリイミドは、以下に示す繰り返し単位を有することが好ましい。
―[PMDA]-[FDA]-[PMDA]―[DADE]-[DA]-[DADE]―[PMDA]―X1-[DA]-X1― (C)
式中、XはDAT等の前記芳香族ジアミン残基であり、[DADE]等や、これらの結合は一般式(A)で述べたとおりである。
この方法で得られるポリイミド組成物は、(PMDA)(DADE)(DA)(FDA)(DAT)の成分比を有することが好ましい。
また、C3工程において、芳香族ジアミンとして、1モル当量のDATおよび1モル当量のHOABSOを用いることが好ましい。この場合、得られるポリイミド組成物は、(PMDA)(DADE)(DA)(FDA)(HOABSO(DAT)の成分比を有する。
【0067】
(4)製造方法D
製造方法Dは、
(D1)ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)1モル当量と、ジアミノジフェニルエーテル(DADE)2モル当量とを反応させて、両末端がDADE由来のアミノ基であるオリゴマーを得る工程、
(D2)D1工程で得たオリゴマーに、ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)2モル当量を加え、ついで間をおいてビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)1モル当量を加えた後、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)1モル当量を加え、これらを加熱して反応させて両末端が酸無水物基であるオリゴマーを得る工程、および
(D3)D2工程で得たオリゴマーと、芳香族ジアミン1モル当量とを反応させて重合体を得る工程を含む製造方法である。
【0068】
本製造方法で好ましく用いられる芳香族ジアミンは、製造方法Aで述べたとおりである。中でも3,3’−ジメチルベンチジン(CHAB)またはビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン(HOABSO)が好ましい。これらの芳香族ジアミンを原料とするポリイミドは、有機溶媒への溶解性がより高くなるからである。反応条件等は、製造方法Aで述べたとおりである。
【0069】
製造方法Dで得られるポリイミドは、以下に示す繰り返し単位を有することが好ましい。
―[PMDA]-[FDA]-[BPDA]―[DADE]-[BPDA]-[DADE]―[PMDA]―[X1]― (D)
式中、XはCHAB等の前記芳香族ジアミン残基であり、[DADE]等や、これらの結合は一般式(A)で述べたとおりである。
この方法で得られるポリイミド組成物は、(PMDA)(DADE)(BPDA)(FDA)(CHAB)または(PMDA)(DADE)(BPDA)(FDA)(HOABSOの成分比を有することが好ましい。
D2工程においてはPMDAを添加した後、間をおいてBPDAを加えるが、これはPMDAがほぼ溶解した後にBPDAを添加することを意味する。
【0070】
(5)製造方法E
製造方法Eは、
(E1)ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)1モル当量と、ジアミノジフェニルエーテル(DADE)2モル当量とを反応させて、両末端がDADE由来のアミノ基であるオリゴマーを得る工程、
(E2)ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)2モル当量とビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)1モル当量と芳香族ジアミン1モル当量をN−メチルピロリドンに溶解させ、当該溶液をE1工程で得たオリゴマーに加えて反応させ、末端が酸無水物基であるオリゴマーを得る工程、
(E3)E2で得たオリゴマーと9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)1モル当量を反応させて重合体を得る工程を含む製造方法である。
工程を含む製造方法である。
【0071】
本製造方法で好ましく用いられる芳香族ジアミンは、製造方法Aで述べたとおりであるが、3,5−ジアミノ安息香酸(DABz)が好ましい。DABzを原料とするポリイミド組成物は、接着性がより高くなるからである。反応条件等は、製造方法Aで述べたとおりである。
【0072】
製造方法Eで得られるポリイミドは、以下に示す繰り返し単位を有することが好ましい。
―[PMDA]-X2-[PMDA]―[DADE]-[BPDA]-[DADE]―[BPDA]―[FDA]― (E)
式中、Xは、前記芳香族ジアミン残基であり、[DADE]等や、これらの結合は一般式(A)で述べたとおりである。
本方法で得られるポリイミド組成物の成分比は、(PMDA)(DADE)(BPDA)(FDA)(DABz)であることが好ましい。
【0073】
(6)製造方法F
製造方法Fは、
(F1)ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)1モル当量と、ジアミノジフェニルエーテル(DADE)2モル当量とを反応させて、両末端がDADE由来のアミノ基であるオリゴマーを得る工程、
(F2)F1工程で得たオリゴマーと、ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)4モル当量と、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ)スルホン(HOABSO)2モル当量とを反応させて両末端が酸無水物基であるオリゴマーを得る工程、および
(F3)F2工程で得たオリゴマーと、ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)1モル当量と9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)1モル当量と芳香族ジアミン1モル当量とを反応させて重合体を得る工程を含む製造方法である。
【0074】
本製造方法で好ましく用いられる芳香族ジアミンは、製造方法Aで述べたとおりである。中でも3,4−ジアミノトルエン(DAT)を用いることが好ましい。DATを原料とするポリイミド組成物は有機溶媒への溶解性がより高くなるからである。また、F2工程でHOABSOの代わりにDATを用いることもできる。反応条件等は、製造方法Aで述べたとおりである。
【0075】
製造方法Fで得られるポリイミドは、以下に示す繰り返し単位を有することが好ましい。
―[PMDA]-[HOABSO2]-[PMDA]―[DADE]-[BPDA]-[DADE]―[PMDA]-[HOABSO2]-[PMDA]―[FDA]-[BPDA]-X2― (F)
式中、Xは、独立に前記芳香族ジアミン残基であり、[DADE]等や、これらの結合は一般式(A)で述べたとおりである。
本方法で得られるポリイミド組成物の成分比は、(PMDA)(DADE)(BPDA)(FDA)(HOABSO)(DAT)であることが好ましい。
【0076】
(7)製造方法G
製造方法Gは、
(G1)ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)2モル当量とビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン(HOABSO)1モル当量とを反応させて、両末端がPMDA由来の酸無水物基であるオリゴマーを得る工程、
(G2)G1工程で得たオリゴマーと、ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)2モル当量と、ジアミノジフェニルエーテル(DADE)4モル当量とを反応させて、両末端がDADE由来のアミノ基であるオリゴマーを得る工程、および
(G3)G2工程で得たオリゴマーと、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)2モル当量と9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)1モル当量、とを反応させて重合体を得る工程を含む製造方法である。反応条件等は、製造方法Aで述べたとおりである。
【0077】
製造方法Gで得られるポリイミドは、以下に示す繰り返し単位を有することが好ましい。
―[DADE]-[BPDA]-[DADE]―[PMDA]-[HOABSO2]-[PMDA]―[DADE]-[BPDA]-[DADE]―[BTDA]-[FDA]-[BTDA]― (G)
式中、[DADE]等や、これらの結合は一般式(A)で述べたとおりである。
本方法で得られるポリイミド組成物の成分比は、(PMDA)(DADE)(BPDA)(BTDA)(HOABSO)(FDA)であることが好ましい。
【0078】
3.本発明のポリイミド組成物の用途
本発明のポリイミド組成物は、KAPTONやUpilexと同等の耐熱性を示すポリイミドであり、有機溶媒に可溶のポリイミドとして多目的に使用できる。他の材料と複合化された複合材料として用いることができる。特に、基材の上に本発明のポリイミド組成物から得られたフィルムを積層して得た複合材料が好ましい。前述のとおり、本発明のポリイミド組成物は、優れた耐熱性と接着性を有するので、高耐熱かつ高強度の複合材料が得られる。このような複合材料は、航空宇宙材料、輸送用車両材料、半導体用材料として用いることができる。また、特にHOABSOを原料とする本発明のポリイミド組成物は、C=Nの開裂反応を利用したレジスト材料や、カルボキシル基を利用した電着塗装等の用途に適用できる。
【実施例】
【0079】
実施例において、例えば、第1工程で1モル当量のカルボン酸ジ無水物(DA)と2モル当量のDADEを反応させ、第2工程で4モル当量のPMDAと2モル当量のFDAを反応させ、第3工程で1モル当量のDAと2モル当量の芳香族ジアミン(X)を反応させた場合、反応工程を以下のように表す。
(DA+2DADE)(4PMDA+2FDA)(DA+2X)
実施例においては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをDADEと表記した。
【0080】
本発明のポリイミド組成物の製造方法におけるもっとも重要な工程は、第2工程である。この工程は、通常、単に、試薬を反応系に添加するが、試薬を添加する順序や、試薬を添加する時間に制限が生じる場合がある。よって第2工程は必要に応じ適宜変えて行うことができる。このように第2工程を適宜変更して行うことは、初めて実験を行う場合に有効である。例えば、第2工程は、1)反応容器とは別の容器を準備して、第2工程で加える試薬を必要に応じて加熱し、予め溶解させる、2)こうして得た均一な溶液を反応容器に加える工程としてよい。また、第3工程にも必要に応じてこのような変更を加えてもよい。
【0081】
[実施例1]
(BPDA+2DADE)(4PMDA+2FDA)(BPDA+2CHAB)
ガラス製のセパラブルフラスコに、碇型の撹拌羽(ステンレス製)を備えた撹拌装置と水分離トラップ(ディーンスタークトラップ)と還流冷却器を取り付けた。フラスコ内に窒素ガスを流しながら、上記フラスコをシリコン浴に浸漬した。
1)3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物(BPDA)2.94g(10mmol)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADE)4.00g(20mmol)、γ−バレロラクトン 1.2g(12mmol)、ピリジン 2.0g(25mmol)、N−メチルピロリドン(NMP)80g、トルエン 25gをフラスコに装入した。窒素ガス気流下、180rpm、シリコン浴温度180℃の条件で、40分間加熱撹拌して反応を行った。その後、反応混合物を撹拌しながら20分間空冷した。
2)次いで、ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)8.73g(40mmol)、次に9,9‘−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)6.97g(20mmol)、NMP 60gをフラスコに装入した。フラスコを180℃のシリコン浴に浸漬し、180rpmで20分間撹拌して反応を行った。その後、反応混合物を撹拌しながら20分間空冷した。
3)次いで、BPDA 2.94g(10mmol)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(CHAB)4.24g(20mmol)、NMP 80gをこの順にフラスコ内に装入した。フラスコを180℃のシリコン浴に浸漬し、180rpmで重合反応を行った。3時間10分が経過した時点で反応混合物にNMP 60gを加えた。反応は3時間40分行った。反応後、反応混合物を空冷して反応を停止した。このようにして11質量%のポリイミド溶液を得た。
溶液の一部を採取して、高速液体クロマトグラフィー(東ソー株式会社製GPC:HLCP−8320)でポリエチレン換算分子量および分子量分布を測定した。その結果を表1に示す。
4)得られた溶液をガラス板表面に塗布し、空気通気下、150℃で1時間乾燥した。乾燥された塗布膜をガラス板から遊離して金属製の枠に貼り付けた。この状態で、280℃で1時間さらに加熱して、ポリイミドフィルムを得た。熱分解開始温度(Tm)、Tm測定において最初に観測される分解温度である一次減量温度、ガラス転移温度(Tg)を、Mac Science社製 TG−DTA分析装置を用いて測定した。測定条件は、昇温速度:10℃/分、測定温度:室温〜600℃、窒素ガス気流下とした。結果を表1に示す。
【0082】
なお、2)の工程に関しては、以下のような別法を用いてポリイミドを合成した。
PMDA 8.73g、FDA 6.97g、NMP 60gを別のフラスコに採取し、室温で撹拌しながら時々加熱して均一な溶液を得た。この液を1)の工程で得た反応混合物に添加し、20分間撹拌した後、180℃、180rpmの条件で、20分間撹拌した。その後、反応混合物を20分間撹拌しながら空冷した。
【0083】
[実施例2]
(BPDA+2DADE)(4PMDA+2FDA)(BTDA+2DAT)
以下の変更点以外は、実施例1と同様にして13質量%のポリイミド溶液を得た。
3)の工程において添加する原料を、BPDA 2.94g(10mmol)、2,4−ジアミノトルエン(以下「DAT」ともいう)2.44g(20mmol)とし、最初に添加するNMPの量を40gとした。また、反応時間を4時間と、反応終了後NMP 40gを反応混合物に添加した。得られたポリイミドの分子量、および耐熱性を表1に示す。
【0084】
[実施例3]
(BPDA+2DADE)(3PMDA+FDA)(BPDA+2DAT)
実施例1と同様のフラスコを準備し、シリコン浴に浸漬した。
1)BPDA 2.94g(10mmol)、DADE 4.00g(20mmol)、γ−バレロラクトン 1.2g(12mmol)、ピリジン 2.0g(25mmol)、N−メチルピロリドン(NMP)80g、トルエン 20gをフラスコに装入した。窒素ガス気流下、180rpm、シリコン浴温度180℃の条件で、40分間加熱撹拌して反応を行った。その後、反応混合物を撹拌しながら20分間空冷した。
2)次いで、PMDA 6.64g(30mmol)、FDA 3.49g(10mmol)、NMP 60gをフラスコに装入した。フラスコを180℃のシリコン浴に浸漬し、180rpmで20分間撹拌して反応を行った。その後、反応混合物を撹拌しながら20分間空冷した。
3)次いで、BPDA 2.94g(10mmol)、DAT 2.44g(20mmol)、NMP 80gをこの順にフラスコ内に装入した。フラスコを180℃のシリコン浴に浸漬し、180rpmで重合反応を行った。4時間45分が経過した時点で反応を終了した。このようにして11質量%のポリイミド溶液を得た。得られたポリイミドの分子量、および耐熱性を表1に示す。
【0085】
[実施例4]
(BPDA+2DADE)(2PMDA+BPDA+FDA)(CHAB)
以下の変更点以外は、実施例3と同様にしてポリイミド溶液を得た。
2)の工程において添加する原料を、PMDA 4.36g(20mmol)、BPDA 2.94g(10mmol)、FDA 3.48g(10mmol)とした。
3)の工程において添加する原料を、CHAB 2.12g(10mmol)、加えるNMPの量を30gとし、かつ反応時間を4.5時間とした。
反応終了後に反応混合物に60gのNMPを添加し、11質量%のポリイミド溶液を得た。得られたポリイミドの分子量、および耐熱性を表1に示す。
【0086】
[実施例5]
(BPDA+2DADE)(4PMDA+2DAT)(PMDA+DAT+FDA)
実施例1と同様のフラスコを準備し、シリコン浴に浸漬した。
1)BPDA 2.9g(10mmol)、DADE 4.0g(20mmol)、γ−バレロラクトン 0.9g、ピリジン 1.8g、NMP 100g、トルエン 35gをフラスコに装入した。窒素ガス気流下、180rpm、シリコン浴温度180℃の条件で、1時間加熱撹拌して反応を行った。その後、反応混合物を撹拌しながら20分間空冷した。
2)次いで、PMDA 8.72g(40mmol)、DAT 8.44g(20mmol)、NMP 60gをフラスコに装入した。フラスコを180℃のシリコン浴に浸漬し、180rpmで15分間撹拌して反応を行った。その後、反応混合物を撹拌しながら20分間空冷した。
3)次いで、PMDA 2.18g(10mmol)、DAT 1.22g(10mmol)、FDA 3.49g(10mmol)、NMP 65gをこの順にフラスコ内に装入した。室温にてフラスコ内を15分間撹拌した後、フラスコを180℃のシリコン浴に浸漬し、180rpmで重合反応を行った。3時間30分が経過した時点で反応を終了した。このようにして10質量%のポリイミド溶液を得た。得られたポリイミドの分子量、および耐熱性を表1に示す。
【0087】
[実施例6]
(BPDA+2DADE)(4PMDA+2DAT)(BPDA+DAT+FDA)
以下の変更点以外は、実施例5と同様にしてポリイミド溶液を得た。
3)の工程において添加する原料を、BPDA 2.94g(10mmol)、DAT 1.22g(10mmol)、FDA 3.49g(10mmol)とした。加えるNMPの量を80gとした。反応時間を4時間とした。得られたポリイミドの分子量、および耐熱性を表1に示す。
【0088】
[実施例7]
(BPDA+2DADE)(2PMDA+BPDA+DAT)(FDA)
実施例1と同様のフラスコを準備し、シリコン浴に浸漬した。
1)BPDA 2.94g(10mmol)、DADE 4.00g(20mmol)、γ−バレロラクトン 1.2g(12mmol)、ピリジン 2.0g(25mmol)、N−メチルピロリドン(NMP)80g、トルエン 25gをフラスコに装入した。窒素ガス気流下、180rpm、シリコン浴温度180℃の条件で、40分間加熱撹拌して反応を行った。その後、反応混合物を撹拌しながら20分間空冷した。
2)次いで、PMDA 4.36g(20mmol)、BPDA 2.94g(10mmol)、DAT 1.22g(10mmol)NMP 60gをフラスコに装入した。フラスコを180℃のシリコン浴に浸漬し、180rpmで20分間撹拌して反応を行った。その後、反応混合物を撹拌しながら20分間空冷した。
3)次いで、FDA 3.49g(10mmol)、NMP 40gをこの順にフラスコ内に装入した。室温で20分間撹拌し、その後フラスコを180℃のシリコン浴に浸漬し、180rpmで重合反応を行った。4時間40分で反応を終了した。このようにして11質量%のポリイミド溶液を得た。得られたポリイミドの分子量、および耐熱性を表1に示す。
【0089】
[実施例8]
(BPDA+2DADE)(2PMDA+BPDA+DABz)(FDA)
以下の変更点以外は、実施例7と同様にしてポリイミド溶液を得た。
2)の工程において芳香族ジアミンとしてDATの代わりに10mmolの3,5−ジアミノ安息香酸(DABz)を用いた。得られたポリイミドの分子量、および耐熱性を表1に示す。
【0090】
[実施例9]
(BPDA+2DADE)(3PMDA+DAT)(BPDA+FDA+mPD)
実施例1と同様のフラスコを準備し、シリコン浴に浸漬した。
1)BPDA 2.94g(10mmol)、DADE 4.00g(20mmol)、γ−バレロラクトン 1.2g、ピリジン 2.0g、NMP 80g、トルエン 25gをフラスコに装入した。窒素ガス気流下、180rpm、シリコン浴温度180℃の条件で、40分間加熱撹拌して反応を行った。その後、反応混合物を撹拌しながら20分間空冷した。
2)次いで、PMDA 6.64g(30mmol)、ついでDAT 1.22g(10mmol)、NMP 60gをフラスコに装入した。フラスコを180℃のシリコン浴に浸漬し、180rpmで20分間撹拌して反応を行った。その後、反応混合物を撹拌しながら20分間空冷した。
3)次いで、BPDA 2.94g(10mmol)、FDA 3.49g(10mmol)、m−フェニレンジアミン(mPD) 1.00g(10mmol)、NMP 80gをフラスコ内に装入した。フラスコを180℃のシリコン浴に浸漬し、180rpmで重合反応を行った。5時間40分反応を行った後、反応混合物を空冷して反応を停止し、NMP 40gを加えた。得られたポリイミドを実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0091】
[実施例10]
(2PMDA+FDA)(2BPDA+4DADE)(2PMDA+HOABSO
以下の変更点以外は、実施例9と同様にしてポリイミド溶液を得た。
1)の工程で加えるNMPの量を80gとした。
3)工程は、PMDA 4.36g(20mmol)、HOABSO 2.80g(10mmol)、およびNMP 80gを加えた後、フラスコを180℃のシリコン浴に浸漬し、180rpmで4時間40分間撹拌して反応を行った。反応途中でNMP 140gを追加した。得られたポリイミドを実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0092】
[実施例11]
(BPDA+2DADE)(4PMDA+2FDA)(BPDA+DAT+HOABSO
実施例1と同様のフラスコを準備し、シリコン浴に浸漬した。
1)BPDA 2.94g(10mmol)、DADE 4.00g(20mmol)、γ−バレロラクトン 1.2g、ピリジン 2.0g、NMP 80g、トルエン 30gをフラスコに装入した。窒素ガス気流下、180rpm、シリコン浴温度180℃の条件で、30分間加熱撹拌して反応を行った。その後、反応混合物を撹拌しながら20分間空冷した。
2)次いで、PMDA 8.73g(40mmol)、FDA 6.98g(20mmol)、NMP 100gをフラスコに装入した。フラスコを180℃のシリコン浴に浸漬し、180rpmで20分間撹拌して反応を行った。その後、反応混合物を撹拌しながら20分間空冷した。
3)次いで、BPDA 2.94g(10mmol)、DAT 1.22g(10mmol)。HOABSO 2.80g(10mmol)、NMP 110gをフラスコ内に装入した。フラスコを180℃のシリコン浴に浸漬し、180rpmで重合反応を行った。5時間30分反応を行った後、反応混合物を空冷して反応を停止した。このようにして11質量%のポリイミド溶液を得た。得られたポリイミドを実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0093】
[実施例12]
(BPDA+2DADE)(4PMDA+2FDA)(BPDA+2HOABSO
以下の変更点以外は、実施例11と同様にしてポリイミド溶液を得た。
2)の工程において、原料を加えた後、180℃、180rpmの条件で20分撹拌したのち、20分間空冷した。
3)の工程において、BPDA 2.94g(10mmol)、HOABSO 5.60g(20mmol)を添加した。これらの原料を添加した後、フラスコを180℃のシリコン浴に浸漬し、180rpmの条件で4時間25分間反応した。得られたポリイミドを実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0094】
[実施例13]
(BPDA+2DADE)(3PMDA+FDA)(BPDA+HOABSO+DAT)
実施例1と同様のフラスコを準備し、シリコン浴に浸漬した。
1)BPDA 2.94g(10mmol)、DADE 4.00g(20mmol)、γ−バレロラクトン 1.2g(12mmol)、ピリジン 2.0g(25mmol)、N−メチルピロリドン(NMP)80g、トルエン 20gをフラスコに装入した。窒素ガス気流下、180rpm、シリコン浴温度180℃の条件で、40分間加熱撹拌して反応を行った。その後、反応混合物を撹拌しながら20分間空冷した。
2)次いで、PMDA 6.64g(30mmol)、FDA 3.49g(10mmol)、NMP 60gをフラスコに装入した。フラスコを180℃のシリコン浴に浸漬し、180rpmで20分間撹拌して反応を行った。その後、反応混合物を撹拌しながら10分間空冷した。
3)次いで、BPDA 2.94g(10mmol)、DAT 1.22g(10mmol)、HOABSO 2.80g(10mmol)、NMP 80gをこの順にフラスコ内に装入し、室温で20分間撹拌した。フラスコを180℃のシリコン浴に浸漬し、180rpmで重合反応を行った。4時間45分が経過した時点で反応を終了した。このようにして11質量%のポリイミド溶液を得た。得られたポリイミドの分子量、および耐熱性を表1に示す。
【0095】
[実施例14]
(BPDA+2DADE)(2PMDA+BPDA+FDA)(HOABSO
以下の変更点以外は、実施例13と同様にしてポリイミド溶液を得た。
2)の工程で加える原料を、PMDA 4.36g(20mmol)、BPDA 2.94g(10mmol)、FDA 3.94g(10mmol)とし、加えるNMPの量を60gとした。
3)の工程で加える原料を、HOABSO 2.80g(10mmol)、加えるNMPの量を40gとした。また、この工程の反応時間は4時間15分とした。このようにして得たポリイミドの分子量、および耐熱性を表1に示す。
【0096】
[実施例15]
(2PMDA+HOABSO)(2BPDA+4DADE)(2BTDA+FDA)
実施例1と同様のフラスコを準備し、シリコン浴に浸漬した。
1)PMDA 8.72g(40mmol)、HOABSO 5.60g(20mmol)、γ−バレロラクトン 2.0g、ピリジン 4.2g、NMP 140g、トルエン 50gをフラスコに装入した。窒素ガス気流下、180rpm、シリコン浴温度180℃の条件で、60分間加熱撹拌して反応を行った。その後、反応混合物を撹拌しながら30分間空冷した。
2)次いで、BPDA 11.76g(40mmol)、DEDA 16.00g(80mmol)、NMP 114gをフラスコに装入した。フラスコを180℃のシリコン浴に浸漬し、180rpmで20分間撹拌して反応を行った。その後、反応混合物を撹拌しながら30分間空冷した。
3)次いで、BTDA 12.88g(40mmol)、FDA 6.98g(20mmol)、NMP 133gをこの順にフラスコ内に装入し、室温で20分間撹拌した。フラスコを180℃のシリコン浴に浸漬し、180rpmで重合反応を行った。2時間30分が経過した時点で反応を終了した。その後NMP 100gを反応混合物に添加し、13質量%のポリイミド溶液を得た。得られたポリイミドの分子量、および耐熱性を表1に示す。
【0097】
[実施例16]
(BPDA+2DADE)(4PMDA+2HOABSO)(BPDA+DAT+FDA)
1)BPDA 2.94g(10mmol)、DADE 4.00g(20mmol)、γ−バレロラクトン 1.2g、ピリジン 2.0g、NMP 80g、トルエン 25gをフラスコに装入した。窒素ガス気流下、180rpm、シリコン浴温度180℃の条件で、40分間加熱撹拌して反応を行った。その後、反応混合物を撹拌しながら20分間空冷した。
2)次いで、PMDA 8.73g(40mmol)、HOABSO 5.60g(20mmol)、NMP 100gをフラスコに装入した。フラスコを180℃のシリコン浴に浸漬し、180rpmで20分間撹拌して反応を行った。その後、反応混合物を撹拌しながら空冷した。
3)次いで、BPDA 2.94g(10mmol)、DAT 1.22g(10mmol)、FDA 3.41g(10mmol)、NMP 94gをこの順にフラスコ内に装入した。フラスコを180℃のシリコン浴に浸漬し、180rpmで重合反応を行った。4時間30分が経過した時点で反応を終了した。得られたポリイミドの分子量、および耐熱性を表1に示す。
【0098】
[比較例1]
(BPDA+2DADE)(4PMDA+2DAT)(BPDA+2DAT)
実施例1と同様の装置を準備した。
BPDA 5.88g(20ミリモル)、DADE 8.01g(40ミリモル)、γ−バレロラクトン 1.5g(15ミリモル)、ピリジン 3.5g(44ミリモル)、NMP 150g、トルエン 45gを前記装置に装入した。窒素を通じながら、シリコン浴温度180℃、180rpm回転数で1時間加熱、撹拌した。水−トルエン留分20mlを除いた。
1時間180rpmで空冷、撹拌した。ついでPMDA 17.45g(80ミリモル)、ついでDAT 4.88g(40ミリモル)を加え、さらにNMP 250gを加えて、室温で20分間窒素を通じながら180rpmで撹拌した。
次に、BPDA 5.88g(20ミリモル)、DAT 4.88g(40ミリモル)、NMP 120g、トルエン 30gを加え、230rpmで30分間撹拌して、180℃のシリコン浴で加熱して180rpmで撹拌した。トルエン20mlを除去した。5時間10分間、180℃、180rpmで反応して10質量%のポリイミド溶液を得た。
【0099】
反応液の一部をジメチルホルムアミドで稀釈して、実施例1と同様にして分子量を測定した。
乾燥ポリイミドフィルムの一部をとり、理学電機製熱分析装置Thermo Plus Tg 8120で熱分解開始温度(Tm)を測定した。条件は、昇温速度 10℃/1分、昇温600℃までとした。Tmは、512.5℃であった。
Perkin Elmer Pyrid Diameter DSCを用いてガラス転位温度(Tg)を測定した。条件は、昇温速度10℃/1分で400℃まで昇温し、その後、空冷して再び10℃/1分で430℃まで昇温した。Tgは観察されなかった。
【0100】
【表1】
本発明のポリイミド組成物は、熱分解開始温度Tmが、500〜550℃と極めて高い耐熱性を有する。これは嵩高いフルオレニル基を有するためと考えられる。