【実施例】
【0067】
物質および細胞株
ヒトTGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3は、組み換え技術により産生でき、精製できるか、または例えば、R&D Systemsから購入できる。組み換えTGFβRII Fc融合タンパク質(TGFβRII−Fc)および可溶性組み換えTGFβRIIアルカリホスファターゼ(TGFβRII−AP)タンパク質は、当業者に公知の手順に従って安定にトランスフェクトされた細胞で発現でき、細胞培養上清から精製できる(Tessler,J.Biol.Chem.,269:12456−12461(1994))。
【0068】
ヒト癌細胞株BXPC−3、PANC−1、MDA−MB−231およびマウス腫瘍細胞株EMT6、4T1、CT26、B16−F10および骨髄腫細胞株P3−X63−Ag8.653は、アメリカ合衆国組織培養保存機関(Manassas,VA)から得ることができる。MDA−MB−231
ルシフェラーゼトランスフェクト細胞株は、Sunnybrook Health Sciences Centreから得ることができる。細胞は、10%ウシ胎仔血清(FCS,Hyclone,Logan,UT)を含有するRPMI1640またはIMDM培地(Invitrogen/Life Technologies,Inc.,Rockville,MD)中で維持できる。全ての細胞は、加湿した、5%CO
2雰囲気下中で37℃にて維持できる。
【0069】
抗TGFβRII mAbの生成
抗TGFβRII mAbは、ヒト免疫グロブリン形質転換マウス(Medarex,San Jose,CA)を用いた標準のハイブリドーマ技術(Harlow&Lane,ed.,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,211−213(1998))によって実質的に生成でき、これは、ヒト免疫グロブリンガンマ重鎖およびカッパ軽鎖
を産生し、
あるいはLewisラット(Charles River Laboratories, Wilmington,MA)
を用いても生成できる。つまり、マウスまたはラットに、完全フロイントアジュバンドを用いて乳化された組み換えヒトまたはマウスTGFβRII−Fcタンパク質で皮下(s.c.)に免疫性を与える。動物は
腹腔内(i.p.)で、不完全フロイントアジュバンド中の同じTGFβRII−Fcタンパク質を用いて3回追加免疫する。動物がリン酸
緩衝水溶液(PBS)中に50マイクログラム(μg)のTGFβRII−Fcタンパク質の最終的な
腹腔内追加免疫を受容する前に、その動物を一ヶ月の間、休ませる。脾臓細胞を、免疫を与えたマウスから採取し、ポリエチレングリコール(PEG,MW:1450KD)を用いてP3−X63−Ag8.653形質細胞腫細胞と融合させる。融合後、それらの細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)を補充したHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)培地に再懸濁し、ハイブリドーマ細胞を作製するために、ウェル毎に200マイクロリットルの密度で、96ウェルプレートに分配する。
【0070】
融合後10日〜12日に、ELISAベースの結合およびブロッキングアッセイにおいて、TGFβRIIタンパク質を用いて、
培養上清の抗体産生およ
び特異的結合活性についてハイブリドーマをスクリーニングする。特に、抗TGFβRII mAbを産生するハイブリドーマを、以下の手順に従って、ヤギ抗ヒトカッパ軽鎖または抗マウスIgG西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)接合抗体を用いて、TGFβRII結合抗体の検出によってまず同定する。ヒトTGFβRII−FcまたはマウスTGFβRII−Fcを、一晩、4℃にて、96マイクロタイタープレート上で、100ng/ウェルでコーティングする。コーティングしたプレートを、室温で2時間、ブロッキングバッファ
ー(5%粉乳を含む、PBS 0.05% TWEEN(登録商標)20)でブロッキングする。ハイブリドーマの上清または精製した抗体を2%ウシ血清アルブミン(BSA)および0.05% TWEEN(登録商標)20(ELISAバッファ
ー)を有するPBSにおいて希釈し、TGFβRIIコーティングした、96ウェルのマイクロタイタープレートにおいて30分インキュベートする。プレートをELISAバッファ
ーで洗浄し、ヤギ抗ヒトカッパ軽鎖または抗マウスIgG−HRP複合体を用いて30分インキュベートする。TMB(3,3’,5,5’−テトラ−メチルベンジジン)基質を製造者の使用説明書に従って発色現像のために用いる。450ナノメートル(nm)での吸光度を抗体の結合活性を定量化するために読み取る。中
和抗TGFβRII mAbを産生するハイブリドーマを同定するために、ELISAベースのブロッキングアッセイを以下の手順に従って行う。TGFβ1,TGFβ2,またはTGFβ3を、96ウェルプレート上でウェル毎に200ngにてコーティングし、次いで、ウェルを、ブロッキングバッファ
ーを用いてブロッキングする。ハイブリドーマの上清を、TGFβコーティングした96ウェルのマイクロタイタープレートにおいて、1時間、TGFβRII−APを含むELISAバッファ
ーを用いてインキュベートする。洗浄後、APのためのp−ニトロフェニルリン酸塩(PNPP)基質を、製造者の使用説明書に従って発色現像のためにウェルに加える。405nmでの吸光度をTGFβ1,TGFβ2,およびTGFβ3へのTGFβRII結合を定量化するために読み取る。光学密度(OD)の値を、マイクロタイタープレートリーダー(Molecular Devices Corp.,Sunnyvale,CA)上で読み取る。
【0071】
陽性ハイブリドーマを、モノクローナルハイブリドーマの細胞株の作製のために、限界希釈培養により、3回サブクローニングする。
【0072】
表1は、mAb TGF1
,およびTGF3の軽鎖CDRおよび重鎖CDRのアミノ酸配列を示す。
【0073】
表1 抗ヒトTGFβRII mAbの軽鎖CDRおよび重鎖CDRのアミノ酸配列
【表1】
【0074】
アミノ酸配列の配列番号、ならびに、mAb TGF1
,およびTGF3のための、HCVR,LCVR、重鎖(HC)および軽鎖(LC)のアミノ酸配列をコードするDNA配列を以下の表2に示す。
【0075】
表2 抗ヒトTGFβRII mA
bのアミノ酸配列およびコードDNA配列の配列番号
【表2】
【0076】
ヒトIgG1抗ヒトTGFβ受容体II抗体の操作および発現
抗TGFβRII mAbの重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNA配列を、発現ベクターにクローニングするためにPCRにより増幅できる。重鎖の可変領域を、ベクターpEE6.1(Lonza Biologics plc,Slough,Berkshire,UK)において、ヒト免疫グロブリン重鎖ガンマ1の定常領域に、
イン・フレームにて融合できる。ヒト軽鎖cDNA全体を、ベクターpEE12.1(Lonza Biologics PLC,Slough,Berkshire,UK)に、直接クローニングできる。操作した免疫グロブリン発現ベクターを、エレクトロポレーションによりNS0骨髄腫細胞に安定してトランスフェクトでき、グルタミ
ン合成酵素選択培地において選択する。安定したクローンを、抗ヒトTGFβRII特異的結合ELISAにより抗体発現についてスクリーニングできる。陽性クローンを、スピナーフラスコまたは生物反応器において、抗体産生のために無血清培地へと培養できる。完全長IgG1抗体を、タンパク質親和性クロマトグラフィー(Poros A,PerSeptive Biosystems Inc.,Foster City,CA)により精製でき、中性緩衝食塩溶液に溶出できる。
【0077】
抗ヒトTGFβRII mAb TGF1
,およびTGF3の重鎖および軽鎖の可変領域をコードするcDNAをクローニングでき、GS(グルタミン合成酵素)発現ベクターにおいて、ヒト免疫グロブリン重鎖ガンマ1定常領域に、
イン・フレームにて融合できる。操作した免疫グロブリン発現ベクターを、CHO細胞に安定してトランスフェクトできる。安定したクローンを、ヒトTGFβRIIに特異的に結合する抗体の発現について検証できる。陽性のクローンを生物反応器において抗体産生のための無血清培地へと広げることができる。完全長IgG1抗体を、タンパク質A親和性クロマトグラフィーによって精製でき、中性緩衝食塩溶液に溶出できる。
【0078】
抗TGFβRII mAb
は、TGFβRIIへ結合し、TGFβRIIのそのリガンドへ
の結合をブロックする。
精製した抗TGFβRII mAbの結合およびブロッキング活性を、上述の「抗TGFβRII mAbの生成」で記載したように、ELISAにおいて決定する。抗体のED
50およびIC
50をGraphPad Prism(登録商標) ソフトウェア3.03(GraphPad Software Inc.,San Diego,CA)を用いて分析する。抗ヒトTGFβRII mAb TGF1
,およびTGF3
はそれぞれ、ELISAベースの結合アッセイにおいて0.031〜0.059nMのED
50にて
ヒトTGFβRIIに対する結合活性を別々に
示すが、他方で通常のヒトIgGは受容体に対しては結合活性を有さない。精製したmAb TGF1
,およびTGF3
は、0.10〜0.54nMのIC
50にてヒトTGFβRIIに対するヒトTGFβ1,TGFβ2,またはTGFβ3の結合を効果的に、各々別々にブロッ
クする。
【0079】
抗ヒトTGFβRII抗体の結合およびブロッキング特性を表3に要約する。
【0080】
表3 抗ヒトTGFβRII抗体の結合およびブロッキング特性
【表3】
【0081】
マウスTGFβRIIへの抗マウスTGFβRII mAb MT1の結合活性は0.054nMのED
50を有し、マウスTGFβ1,TGFβ2,またはTGFβ3へ結合するマウスTGFβRIIへのmAb MT1のブロッキング活性は0.12〜0.54nMのIC
50の値を有する。
【0082】
mAb MT1の結合およびブロッキング特性を表4に要約する。
【0083】
表4 抗マウスTGFβRII mAb MT1の結合およびブロッキング特性
【表4】
【0084】
抗TGFβRII mAbの結合親和性
抗TGFβRII mAbの結合親和性を、室温(20〜25℃)にて、BIAcore
(商標)2000を用いて、表面プラズモン共鳴技術によって決定する(Pharmacia, Piscataway, NJ)。mAbの動態分析を、5〜100nMの濃度にてセンサ表面上に、マウスTGFβRII(配列番号
41)の組み換え細胞外
ドメイン、あるいは、マウスまたはヒトのFcまたは重鎖定常領域と各々リンクされた
配列番号40によってコードされるヒトTGFβRI
Iの細胞外
ドメインの融合タンパク質の固定化によって行う。抗ヒトTGFβRII mAb TGF1
,およびTGF3は、各々11、78、19pMのK
D値を有して、高い親和性を示す。抗マウスTGFβRII mAb MT1は、33pMのK
D値を有して、高い親和性を示す。
【0085】
mAbの動態を表5に要約する。
【0086】
表5 抗ヒトTGFβRII mAbの反応速度
【表5】
【0087】
抗ヒトTGFβRII mAbの種特異性
抗ヒトTGFβRII mAbの特異性を、ELISAによって、ヒトTGFβRIIまたはマウスTGFβRIIに対する抗体の反応性を測定することによって決定する。抗ヒトTGFβRII mAb TGF1は、マウスTGFβRIIと交差反応を示さない。これに対して、mAb
TGF3は、マウスTGFβRIIと、中程度または小程度の交差反応を示す。しかしながら、mAb
TGF3は、マウスTGFβRIIに
対するヒトTGFβ1
の結合をブロックしない。
【0088】
TGFβRII発現細胞上での抗TGFβRII mAbの天然のTGFβRIIへの結合
抗ヒトTGFβRII mAb TGF1およびフルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識化されたヤギ抗ヒトIgG抗体の結合活性を、293−ヒトTGFβRII形質転換細胞およびヒト癌細胞を用いた染色アッセイにより決定できる。特に、形質転換細胞、癌細胞、脾臓細胞、またはリンパ節細胞の一定分量を増殖途中(subconfluent)の培養から採取し、フルオレセイン標識付けた、または標識付けのない
所望の分子に対する一次抗体を用いて、氷上で一時間、1%BSA(染色バッファ
ー)を有するPBS中に
てインキュベートする。マッチさせたIgGアイソタイプをネガティブコントロールとして用いる。細胞を、染色バッファ
ーを用いて2回洗浄し、次いで、氷上で30分間、バッファ
ー中で、FITC、フィコエリトリン(PE)、または、一次抗体に対するAlxasレッド標識化種特異的二次抗体(BioSource International,Camarillo,CA)でインキュベートする。上述のように、細胞を洗浄し、フローサイトメーターで分析する。死滅細胞および残留物を前方および側方からの光散乱に基づいて分析から除く。平均の蛍光強度単位(MFIU)を、陽性の
集団の百分率を乗じた対数平均蛍光として計算する。平均蛍光強度比(MFIR)を、細胞株におけるTGFβRIIの相対的な発現レベルを定量化するために計算する。MFIRは、アイソタイプのコントロール抗体を用いて染色した細胞のMFIで割った、TGFβRII
特異的mAbを用いて染色した細胞の平均蛍光強度(MFI)である。
【0089】
抗ヒトTGFβRII mAb TGF1は、293−ヒトTGFβRII形質転換細胞およ
びMDA−MB−231ヒト乳癌細胞との結合反応性
を検証の結果、それぞれ46と209のMFIRを有する。これとは対照的に通常のヒトIgGは細胞に反応性を有さない。結果は、mAb TGF1が、細胞表面上において発現した天然のヒトTGFβRIIに特異的な反応性を有することを示す。
【0090】
キナーゼSmad2の下流でのTGFβ1に
応答したTGFβRIIの活性に
対する抗TGFβRII mAbの阻害活性
TGFβに誘導されたSmad2(p−Smad2)のリン酸化反応は、例えば様々な細胞種における増殖、運動、生存、分化など、細胞の生物学的反応を仲介するTGFβRIIを介したTGFβシグナル伝達の典型的な下流シグナル伝達経路である。p−Smad2活性
化を阻害す
る、抗ヒトTGFβRIIおよび抗ヒトマウスTGFβRII mAbの能力を、以下の手順に従って、4T1マウス乳癌細胞およびMDA−MB−231ヒト乳癌細胞を用いることによって決定できる。つまり、細胞をFCS含有
培地において80%のコンフルエンス状態にまで培養する。その培地と無血清培地とを取り替えた後、細胞を、1時間、10ng/mL TGFβの存在下において、抗体またはアイソタイプのコントロールで処理する。洗浄後、細胞溶解物を溶解バッファ
ーで調製し、電気泳動法を用いて、ニトロセルロース膜に電気移動する。リン酸化Smad2およびSmad2を、抗
−ホスホ−Smad2およびSmad2モノクローナル抗体(Millipore Corporate)を用いたウェスタンブロット法および電気化学発光システム(ECL)によって検出し、画像化して、フジ画像アナライザー(Fuji Image Analyzer)を用いた濃度測定で定量化する。
【0091】
抗TGFβRII mAb TGF1およびMT1はヒトMDA−MB−231およびマウス4T1乳癌細胞におけるSmad2のTGFβ誘導されたリン酸化反応を、用量依存的な方法において低減する。p−Smad2阻害試験において、mAb TGF1およびMT1のIC
50を、5±0.5nM
であると決定し、他方でmAb
TGF3は25±0.5nM未満のIC
50を示す。
【0092】
腫瘍細胞のインビトロでの移動および浸襲における抗TGFβRII mAbの阻害活性
腫瘍細胞の浸襲性に
対する抗TGFβRII mAbの阻害効果は、インビトロの移動および浸襲アッセイによって決定できる。つまり、癌細胞を、ウェル毎に5×10
3の密度で、無血清培地中の48ウェルプレート
のコラーゲンIおよびIVコーティングした下側のチャンバーに挿入されている上側のチャンバーに投与する。細胞を、24〜48時間、37℃にて、10ng/mLのTGFβの存在下において、3、10、および30μg/mLの投与量において、mAb TGF1またはMT1で処理する。25μg/mL TGFβRII−FcまたはアイソタイプIgGは、ポジティブコントロールおよびネガティブコントロールとしてアッセイにおいて用いる。同様の条件を、マトリゲルコーティングした上側のチャンバーを用いることは例外として浸襲アッセイにおいて用いる。インキュベーションの後、上側のチャンバーの反対側に移動した細胞を、10%緩
衝中性ホルマリンで固定し、2μg/mL Hoechst 33342,三塩酸塩,三水和物溶液(Invitrogen)で染色し、Zeiss Digital Image Cameraおよびsoftware Image−Pro Plus 5.1を用いて20倍の倍率で数える。
【0093】
抗TGFβRII mAb TGF1およびMT1は、IgG処理されたコントロールと比較すると、BXPC−3ヒト膵臓癌細胞の移動および
4T1マウス乳癌細胞の浸襲をそれぞれ100%(P<0.0001)および93% (P<0.0005)
と著しく阻害
した。
【0094】
これらの結果は、
その表面上にTGFβRIIを有する癌細胞の浸襲に
対する本発明の抗TGFβRII抗体の阻害効果を示す。
【0095】
腫瘍細胞におけるVEGF−A分
泌に対する抗TGFβRII mAbの阻害活性
TGFβは、腫瘍細胞におけるVEGF−A分
泌の刺激および内皮細胞機能の調節を介した病状の進行の間の血管形成を促進させる役割を担う。腫瘍細胞におけるTGFβ誘導されたVEGF−A
の分泌
に対する抗TGFβRII mAbの阻害効果を細胞培養において決定できる。
【0096】
つまり、腫瘍細胞を、48時間、10ng/mL TGFβ
および限界希釈のmAbの存在下または非存在下において
、5%CO
2での培養器中で、37℃
で無血清培地において培養する。
馴化培養物上清中のVEGF−A分
泌における変化を、製造者の使用説明書に従ってELIKONキット(R&D Systems)を使用して決定する。
【0097】
10μM/mLでの抗ヒトTGFβRII mAb TGF1は
、MDA−MB−231ヒト乳癌
細胞において、VEGF−AのTGFβ誘導生成を
63%(P<0.01)阻害する。10μM/mLでの抗マウスTGFβRII mAb MT1は、4T1マウス乳癌細
胞において、VEGF−AのTGFβ誘導生成を
30%(P<0.02)阻害する。
【0098】
これらの結果は、TGFβ誘導VEGF−A
分泌を低減することによって本発明の抗TGFβRII mAbが血管生成を阻害することを示す。
【0099】
インビトロでのTGFβ誘導Treg転換に
対する抗TGFβRII mAbの阻害活性
TGFβは、免疫反応を陰性に制御する免疫抑制能力を有する制御性T(Treg)細胞を形成するために、未感作T細胞を誘導することができることが証明されている。TGFβ誘導制御性細胞転換に
対する抗TGFβRII mAbの阻害効果を、以下のように、インビトロで評価できる。
【0100】
つまり、精製した未感作のCD4+細胞を、7日間、5%CO
2下の培養器において、37℃で、完全RPMI培地中で、10ng/mLのTGFβ
および段階希釈のmAb MT1の存在下または非存在下において
、1μg/mLの抗CD3抗体および精製した抗原提示細胞(APC)で刺激する。細胞を、次いで、CD25+/Foxp3+Treg細胞の染色のために採取して、染色した細胞をフローサイトメーターで分析する。
【0101】
10μM/mLでの抗マウスTGFβRII mAb MT1は、コントロールIgGで処理した細胞と比較して
、インビトロにて、TGFβ誘導Treg細胞の数を
75%(P<0.005)低減する。
【0102】
腫瘍の増殖および転移に
対する抗TGFβRII mAbの阻害活性
抗TGFβRII mAbの抗腫瘍効果を、静脈または皮下転移腫瘍モデルにおいて試験できる。
【0103】
無胸腺ヌードマウス(Charles River Laboratories,Wilmington,MA)、Balb/cマウス、またはC57B6マウス(Charles River Laboratories,Wilmington,MA)を、マウスまたはヒト癌細胞
による接種のために用いることができる。皮下モデルにおける生成された腫瘍の処置のために、腫瘍を、約200mm
3の大きさまで成長させることができ、次いで、マウスを、グループ毎に12匹〜15匹のグループとなるよう無作為に抽出する。肺転移モデルにおいて、マウス
に、尾静脈を介して腫瘍
細胞を静脈注射できる。動物は、毎週3回、10〜40mg/kgの投与量で
腹腔内投与の抗TGFβRII mAbを受容できる。コントロールグループ中のマウスは、等量の生理食塩水または通常のIgG溶液を受容できる。動物の処置は、実験期間の間継続できる。腫瘍は測径器を用いて毎週2回測定できる。腫瘍の
体積を、以下の式「π/6(w1×w2×w2)」を用いて計算でき、ここで「w1」は、最大の腫瘍直径を示し、「w2」は、最小の腫瘍直径を示す。
【0104】
腫瘍
体積のデータを、処置
、時点、および処置時間の相互作用
の間での腫瘍の大きさにおける
有意差を決定するために、反復測定ANOVA(RM−ANOVA)を用いて分析できる。処置とコントロールとの間のインビトロでの腫瘍細胞の成長の比較を、両側スチューデントT検定(two−tailed Student’s t test)を用いて行うことができる。0.05未満
のP値が統計的に
有意であると
考えられる。
【0105】
腫瘍を有するマウスを、腫瘍細胞の静脈注射後または一次腫瘍が
確立した24時間後、毎週3回、40mg/kgの投与量で、mAb TGF1
で処置する。mAb TGF1の
全身投与は、PANC−1膵臓癌異種移植片(T/C=69%,ANOVA p<0.03),BXPC−3膵臓癌異種移植片(T/C=30%,ANOVA p<0.0001),およびMDA−MB−231 乳癌異種移植片(T/C=63%,ANOVA p<0.01)の皮下一次腫瘍の成長を抑制する。
【0106】
抗マウスTGFβRII mAb MT1を、免疫担当マウスにおける一次および転移性腫瘍に対する抗腫瘍活性を決定するために、マウス同系(syngenetic)腫瘍モデルにおいて試験する。マウスに、マウス4T1,CT26またはB16 F10癌細胞を静脈注射(i.v.)し、または、EMT6マウス腫瘍細胞を皮下注射(s.c.)する。マウスは、静脈注射接種後または一次皮下腫瘍が
確立した24時間後、毎週3回、40mg/kgの投与量で、mAb MT1の投与を受容する。
【0107】
mAb MT1の
全身投与は、84%(P<0.0001)
で4T1、94%(P<0.0001)
でCT26、および63%
(P<0.001)
でB16 F10
腫瘍の肺への転移を
それぞれ有意に抑制する。抗マウスTGFβRII mAb MT1は、
EMT6 皮下注射腫瘍モデルにおいて、28%(P<0.05)
で一次腫瘍の成長および84%(P<0.0001)
で不随意的な肺転移を阻害する。
【0108】
Gr−1/CD11b+表現型を有する骨髄性細胞は、腫瘍進行の間、転移を促進し、血管形成の免疫抑制を促進する重要な役割を果たすことが報告されている。CD4/CD25/Foxp3+Treg細胞は、
腫瘍細胞に対するナチュラルキラー細胞の機能、およ
び細胞傷害性Tリンパ球(CTL)免疫エフェクター細胞の機能を抑制する能力を有する。免疫抑制細胞、すなわちCD4/CD25/Foxp3/TGFβRII+Treg細胞およびGr−1+/CD11b+/TGFβRII+骨髄性細胞に対するmAb MT1の阻害活性を、EMT6 皮下注射腫瘍モデルにおいて評価する。腫瘍を有するマウス中のTregおよびGr−1+/CD11b+骨髄性細胞
集団に
対する抗TGFβRII抗体の阻害効果を、mAb MT1
によるマウスの処置後のGr−1+/CD11b+
集団ならびにCD4/CD25/Foxp3/TGFβRII+およびGr−1+/CD11b+/TGFβRII+
集団の変化に
ついてのFACS分析によって決定できる。
【0109】
抗マウスTGFβRII mAb MT1は、EMT6腫瘍を有する処置済みのマウス中に、95%(P<0.0001)
でGr−1+/CD11b+/TGFβRII+骨髄性細胞および71%(P<0.0005)
でCD4/CD25/Foxp3/TGFβRII+Treg細胞の
数をそれぞれ有意に低減する。
【0110】
これらの結果は、抗TGFβRIIの抗体が、TGFβRII+Tregおよび骨髄性細胞の阻害および/または喪失により、CD4/CD25/Foxp3/TGFβRII+およびGr−1+/CD11b+
集団を
制御できることを示す。
【0111】
マウス
における線維症モデル
TGFβは、肝星細胞(HSC)
の活性化ならびに筋線維芽細胞および線維症の一因となる細胞外
マトリックス蓄
積における主要調節因子である。動物における肝線維症モデルは、線維症を阻害するTGFβシグナル伝達阻害因子の活性の評価のための実験的なモデルとして広く利用されている。コラーゲン沈着は、肝臓中の線維症の形成についての公知の指標である。線維症の保護および干渉にお
ける抗TGFβRII抗体の治療活性を、四塩化炭素(CCl
4)誘導肝線維症モデルにおいて評価できる。
【0112】
つまり、C57BL6マウスに、1週間に2回、トウモロコシ油を混入した1mL/kgのCCl
4溶液を
腹腔内注射できる。干渉治療グループ中のマウスに、そのマウスにCCl
4を
腹腔内注射した
14日後、
一週間に3回、40mg/kgの投与量でmAb MT1を投与できる。コントロールグループ中のマウスに、同じ量で、コントロールラットIgGを投与できる。CCl
4注射
の8週間後、肝組織および血漿試料を処置後のマウスから収集できる。アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の血漿レベル、すなわち肝機能障害の指標を、血清ALTキットを用いて決定できる(Pointe Scientific,Inc.MI)。肝臓組織を、コラーゲン沈着のSiriusレッド染色を用いて免疫組織化学(IHC)分析により評価できる。
【0113】
上述のように実質的に行われた研究において、抗マウスTGFβRII mAb MT1は、
CCl4を与えられたマウスの肝臓中、95%(P<00001)
で、コラーゲン沈着を
有意に低減し、他方で、コントロールラットIgGは効果を有さない。抗マウスTGFβRII mAb MT1は、
CCl4を与えられたマウス中のALTの血漿レベルによって測定されるように、85%(P<0.001)で、肝臓を機能障害から保護し、他方で、コントロールラットIgGで処置したマウスは
有意に高いALTレベルを有する。
【0114】
これらの結果は、抗TGFβRII抗体MT1が、損傷によって誘発された線維症および肝機能障害からマウスを保護するのに有効であることを示唆する。
【0115】
mAb MT1およびシクロホスファミドを用いた併用療法に
ついてのインビボでの研究
シクロホスファミド(CTX)、すなわち造血および骨髄性前駆細胞を抑制する能力を有する潜在的細胞毒性薬は、骨髄性細胞に
対する阻害効果を有すると報告されている(Honeychurchら,Cancer Res.65:7493−7501(2005)を参照)。EMT6−腫瘍を有するマウス
を、mAb MT1を単独で、CTX単独で、またはそれらの組み合わせで処置できる。例えば、Balb/cマウスまたはC57B6マウス(Charles River Laboratories,Wilmington,MA)を、癌細胞の接種のために使用できる。
確立した腫瘍を有するマウスを、例えば、グループ毎に12匹の動物
となるように無作為化できる。動物に、40mg/kgの抗TGFβRII mAbまたは80mg/kgのCXT、あるいは両方の組み合わせを、毎週3回
腹腔内投与できる。コントロールグループ中のマウスは、等量の生理食塩水または通常のIgG溶液を受容できる。腫瘍の大きさを、以下の式「π/6(w1×w2×w2)」を用いて計算でき、ここで「w1」は、最大の腫瘍直径を示し、「w2」は、最小の腫瘍直径を示す。
【0116】
上述のように、実質的に行われる抗マウスTGFβRII mAb MT1およびCTXを用いた併用療法は、一次腫瘍成長の阻害に
おいて、mAb MT1 28%(P<0.05)またはCTX 62%(P<0.0005)
、ならびに、転移の阻害に
おいて、mAb MT1 84%(P<0.0001)またはCTX 96%(P<0.00001)を用いた単剤療法と比較して、EMT6腫瘍を有するマウスにおいて、80%(P<0.0001)
で一次腫瘍成長および99.99%(P<0.000001)
で不随意的な肺転移を低減する。
【0117】
その結果は、骨髄性細胞抑制化学療法と組み合わせた抗TGFβRII抗体によるTGFβRII陽性骨髄性細胞のサブセットの阻害が、腫瘍の成長および転移における干渉のために効果的なストラテジーであることを証明する。