(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、密度が0.920g/cm
3以上0.940g/cm
3未満のポリエチレン系樹脂粒子を発泡させて得られる、嵩密度が10g/L以上100g/L以下である無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子において、下記式(1)で求められる収縮率が2%以上30%以下であることを特徴とする。
収縮率 = (BD−VBD)×100÷VBD ・・・(1)
ここで、BDは、23℃、0.1MPaにおける無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子の嵩密度であり、VBDは、23℃、0.002MPa以下の減圧下における無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子の嵩密度である。
【0014】
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、低密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂、等が挙げられる。これらの中でも、高発泡のポリエチレン系樹脂型内発泡成形体が得られる点から、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(以下、「LLDPE」と略す場合がある)を用いることが好ましい。
【0015】
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂の組成としては、エチレンの単独重合体や、エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。
前記炭素数4〜10のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。
これらα−オレフィンのポリエチレン系樹脂全体における含有量は、1〜20重量%が好ましく、3〜10重量%が特に好ましい。α−オレフィンの含有率が20重量%を越える場合、曲げや圧縮等に対する強度が低下する傾向がある。
【0016】
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂の密度は、0.920g/cm
3以上0.940g/cm
3未満が好ましく、0.925g/cm
3以上0.940g/cm
3未満がより好ましい。ポリエチレン系樹脂粒子の密度が0.920g/cm
3より小さい場合は、得られる無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子や無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体の収縮が大きくなる傾向があり、0.940g/cm
3以上の場合は、発泡可能な温度領域が狭い傾向がある。
【0017】
本発明においては、ポリエチレン系樹脂の密度が0.920g/cm
3以上0.940g/cm
3未満となるのであれば、密度等が異なるポリエチレン系樹脂を混合しても良く、LLDPEに低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)等を混合して使用することもできる。
【0018】
本発明における無架橋ポリエチレン系樹脂粒子とは、熱キシレンに不溶なゲル分率が3.0%以下のものをいう。
ここで、前記ゲル分率は、以下の方法により測定したゲル成分量を元の樹脂重量に対する重量比率で表した数値である。すなわち、200メッシュの金網袋中に0.5gの樹脂粒子または発泡粒子を入れ、該粒子が外に出ないように金網の端を折り込んだ。該金網袋を、大気圧下で沸騰させたキシレン50ml中に3時間浸漬した後、冷却してキシレンから取り出す操作を、計3回行った。取り出した該金網袋を常温下で一晩乾燥させた後に、150℃のオーブン中で1時間乾燥させ、常温まで自然冷却させた。冷却後の金網袋内に残留した成分量をゲル成分量とした。
【0019】
本発明の無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子は、適度な収縮性を有している為、収縮が無い場合に比べて成形時の発泡力が高く、成形用ガスの追加を行わずとも、対金型寸法収縮率が小さく、表面伸びの良好な成形体を得ることができる。
【0020】
適度な収縮性を表現するために、様々な物性を検討したところ、本発明者は、23℃、0.1MPa(標準大気圧下)における無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子の嵩密度BDと、23℃、0.002MPa以下の減圧下における無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子の嵩密度VBDから、下記式(1)で求められる収縮率を用いることにより、適切に収縮性を表現できることを見出した。
なお、0.002MPa以下の減圧下とは、一般的な真空装置(真空恒温器等)において、概ね真空とされる程度である。
【0021】
本発明の無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子は、下記式(1)で求められる収縮率が2%以上30%以下であることを、好ましくは3%以上20%以下であることを特徴とする。
収縮率=(BD−VBD)÷VBD×100 ・・・(1)
ここで、BDは、23℃、0.1MPa(標準大気圧下)における無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子の嵩密度であり、VBDは、23℃、0.002MPa以下の減圧下における無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子の嵩密度である。
【0022】
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子の収縮率が2%未満の場合、型内発泡成形時の発泡力が足らず、融着が悪く、表面の伸びの悪い無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体となる傾向がある。収縮率が30%越えると、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体の表面のみが融着して、内部が融着していない無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体となる傾向がある。
【0023】
本発明において、収縮率が2%以上30%以下の無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子を得る方法としては、例えば、
(1)ポリエチレン系樹脂粒子を、水、発泡剤、分散剤と共に耐圧容器内に導入し、耐圧容器内を所定温度、所定圧力に保持した後、ポリエチレン系樹脂粒子を耐圧容器内より低圧雰囲気下に放出する際の低圧雰囲気の温度を60℃以上120℃以下に調整する方法、
(2)ポリエチレン系樹脂粒子を、水、発泡剤、分散剤と共に耐圧容器内に導入し、耐圧容器内を所定温度、所定圧力に保持した後、ポリエチレン系樹脂粒子を耐圧容器内より低圧雰囲気下に放出して得られる、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子に、空気などにより内圧を付与し、水蒸気により加熱処理することで、さらに発泡させて、より発泡倍率の高い無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子を得る場合に(いわゆる、二段発泡において)、発泡させる際の蒸気圧力を0.03MPa(ゲージ圧)以上0.15MPa(ゲージ圧)以下、好ましくは0.045MPa(ゲージ圧)以上0.10MPa以下とする方法、
(3)得られる無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子に内圧を付与することなく、水蒸気により加熱処理する方法、
(4)後述する親水性化合物を所定量含有するポリエチレン系樹脂粒子を用いる方法、
等がある。
【0024】
本発明における無架橋ポリエチレン系樹脂粒子は、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、親水性化合物を0.01重量部以上10重量部以下含有することが好ましく、0.05重量部以上2重量部以下含有することがより好ましい。親水性化合物の含有量が0.01重量部未満では、得られる発泡粒子中の含水量が少ないため、発泡粒子の収縮率が小さくなりすぎる傾向があるだけでなく、親水性化合物を樹脂粒子全体に均一に分散させることが困難であり、発泡粒子間で品質にバラツキが出やすくなる。親水性化合物の含有量が10重量部を超えると、得られる発泡粒子中の含水量が多いため、水分が抜けた後の発泡粒子の収縮が大きくなりすぎる傾向があるだけでなく、得られる発泡粒子のセルが不均一になりやすい傾向がある。
【0025】
前記親水性化合物とは、分子内にカルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基、エステル基、スルホ基、ポリオキシエチレン基などの親水性基を含有する化合物やその誘導体であり、親水性ポリマーも含まれる。親水性基を含有する化合物および誘導体の具体例としては、カルボキシル基を含む化合物として、ラウリン酸、ラウリン酸ナトリウムなどが、水酸基を含む化合物として、エチレングリコール、グリセリンなど、エステル基を含む化合物として、炭素数が10以上25以下の脂肪酸のグリセリンエステルなどが挙げられる。また、その他の親水性有機化合物として、メラミン(化学名:1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン)、イソシアヌル酸、イソシアヌル酸縮合物等のトリアジン環を有する有機化合物などが挙げられる。
【0026】
なお、親水性ポリマーとは、ASTM D570に準拠して測定された吸水率が0.5重量%以上のポリマーのことであり、水に溶けることなく、自重の数倍から数百倍の水を吸収し、圧力がかかっても脱水されがたいポリマーである吸水性ポリマー、および、常温ないし高温状態で水に溶解するポリマーである水溶性ポリマーを包含するものである。
【0027】
親水性ポリマーの具体例としては、例えば、エチレン−アクリル酸−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のカルボン酸基をナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオンや亜鉛イオンなどの遷移金属イオンで中和し、分子間を架橋させたアイオノマー系樹脂;
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などのカルボキシル基含有ポリマー;
ナイロン−6、ナイロン−6,6、共重合ナイロンなどのポリアミド;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のノニオン型吸水性ポリマー;
ペレスタット(商品名、三洋化成社製)等に代表されるポリエーテル−ポリオレフィン系樹脂ブロック共重合体;
アクアコーク(商品名、住友精化社製)等に代表される架橋ポリエチレンオキサイド系重合体;などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
親水性ポリマーの中では、ノニオン型吸水性ポリマー、ポリエーテル−ポリオレフィン系樹脂ブロック共重合体が、耐圧容器内での分散安定性が比較的良好であり、かつ比較的少量で吸水性を発揮するため、好ましい。
【0028】
これら親水性物質の中でも、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールが、少量の含有量でも得られる発泡粒子の発泡倍率が高くなりやすく、発泡粒子のセルが微細化することないため、成形時の発泡力が高くなり、収縮率が小さく、表面伸びの良好な成形体が得られやすいため、好ましい。
【0029】
本発明において、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種は、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、0.05重量部以上2重量部以下含有されることが好ましく、0.05重量部以上0.5重量部以下含有させることがより好ましい。グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種の含有量が0.05重量部未満では発泡倍率が上がりにくい傾向があり、2重量部を超えて含有させても、発泡倍率の更なる向上は発現し難い傾向にある。
【0030】
本発明のポリエチレン系樹脂粒子には、必要に応じて、セル造核剤や、酸化防止剤、相溶化剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤などを含有させることができる。
【0031】
本発明において用いられるポリエチレン系樹脂粒子は、例えば、次のようにして製造することができる。
具体的には、ポリエチレン系樹脂を上記親水性化合物やその他の添加剤と共に、ドライブレンド法、マスターバッチ法等の混合方法により混合した後、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー(登録商標)、ロール等を用いて溶融混練して、1粒の重量が好ましくは0.2〜10mg/粒、より好ましくは0.5〜6mg/粒のポリエチレン系樹脂粒子に加工する。また、液状の親水性化合物は、押出機に直接添加して溶融混練しても良い。
【0032】
本発明における無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子は、例えば、次のようにして製造することができる。
ポリエチレン系樹脂粒子を、水、発泡剤、分散剤と共に、耐圧容器内に導入し、耐圧容器内を所定温度、所定圧力に保持した後、ポリエチレン系樹脂粒子を耐圧容器内より低圧雰囲気下に放出して製造することができる。なお、以降、該発泡工程を「一段発泡」という場合がある。
【0033】
発泡工程において用いられる耐圧容器には特に限定はなく、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子製造時における容器内圧力、容器内温度に耐えられるものであればよく、例えば、オートクレーブ型の耐圧容器が挙げられる。
【0034】
発泡工程における水の使用量は、ポリエチレン系樹脂粒子の水中での分散性を良好なものにするために、ポリエチレン系樹脂粒子100重量部に対して、100重量部以上500重量部以下が好ましい。
【0035】
発泡工程における分散剤としては、難水溶性無機化合物を用いることが好ましい。ここで、難水溶性無機化合物とは、25℃の水への溶解量が1重量%未満である無機化合物をいう。
難水溶性無機化合物の具体例として、例えば、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、第三リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、第三リン酸バリウム、硫酸バリウム、ピロリン酸カルシウム等のアルカリ土類金属塩、カオリン、クレー等のアルミノ珪酸塩、などが挙げられる。
【0036】
発泡工程における分散剤の使用量は、その種類や用いるポリエチレン系樹脂粒子の種類や量等によって異なり、一概に規定できないが、ポリエチレン系樹脂粒子100重量部に対して、0.2重量部以上5重量部以下であることが好ましく、0.2重量部以上3重量部以下がさらに好ましい。
【0037】
発泡工程においては、分散剤と共に、分散助剤を併用してもよい。分散助剤としては、界面活性剤を使用することが好ましく、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン系高分子界面活性剤、ノニオン系高分子界面活性剤等の界面活性剤等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、n−パラフィンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム等が例示できる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が例示できる。
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド等が例示できる。アニオン系高分子界面活性剤としては、例えば、ポリアクリル酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、マレイン酸α−オレフィン共重合体塩等が例示できる。
ノニオン系高分子界面活性剤としては、例えば、ポリビニルアルコール等が例示できる。これらは、単独あるいは2種以上を併用して使用することができる。
【0038】
発泡工程における好ましい分散助剤としては、使用する分散剤の種類によって変わるため一概に規定できないが、例えば、分散剤として第三リン酸マグネシウムまたは第三リン酸カルシウムを使用する場合は、アニオン系界面活性剤を使用することが、分散状態が安定になるため好ましい。
【0039】
発泡工程における分散助剤の使用量は、その種類や用いるポリエチレン系樹脂の種類や量などによって異なり一概に規定できないが、通常、水100重量部に対して、分散助剤0.001重量部以上0.2重量部以下であることが好ましい。
【0040】
本発明において用いられる発泡剤としては、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン等の脂肪族炭化水素およびそれらの混合物や、窒素、炭酸ガス、空気などの無機ガスや水が挙げられる。これらのうちでも、無機ガスや水が、環境への負荷が少なく、火災や爆発の危険もないため、好ましい。
【0041】
本発明における発泡剤の使用量は、使用するポリエチレン系樹脂の種類、発泡剤の種類、目的とする発泡倍率等により異なり、一概には規定できないが、ポリエチレン系樹脂粒子100重量部に対して、2重量部以上60重量部以下であることが好ましく、4重量部以上15重量部以下であることがより好ましい。
【0042】
以上のようにして耐圧容器内に調整された、ポリエチレン系樹脂粒子を含んでなる水分散物は、攪拌下、所定の圧力まで加圧され、所定の温度まで昇温され、一定時間(通常5〜180分間、好ましくは10〜60分間)保持された後、ポリエチレン系樹脂粒子を含んでなる加圧された水分散物を、耐圧容器下部に設けられたバルブを開放して低圧雰囲気下(通常は大気圧下)に放出することにより無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子を製造する。
【0043】
耐圧容器内を加熱する所定温度(以降、「発泡温度」と称す場合がある)は、用いるポリエチレン系樹脂の融点[以降、Tm(℃)]、種類等により異なり、一概には規定できないが、ポリエチレン系樹脂の軟化温度以上に加熱することが好ましく、Tm−30(℃)以上Tm+10(℃)以下に加熱することがより好ましい。
なお、ポリエチレン系樹脂の融点とは、示差走査熱量計を用いて、ポリエチレン系樹脂粒子4〜6mgを10℃/分の速度にて10℃から190℃まで昇温することによりポリエチレン系樹脂粒子を融解し、その後、10℃/分の速度にて190℃から10℃まで降温することにより結晶化させた後に、さらに10℃/分の速度にて10℃から190℃まで昇温したときに得られる、2回目の昇温時のDSC曲線における融解ピーク温度である。
【0044】
耐圧容器内を加圧する所定圧力(以降、「発泡圧力」と称す場合がある)は、用いられるポリエチレン系樹脂の種類や、目標とする発泡粒子の発泡倍率等により異なり、一概には規定できないが、1.5MPa(ゲージ圧)以上5MPa以下(ゲージ圧)が好ましく、2MPa(ゲージ圧)以上4.5MPa以下(ゲージ圧)がより好ましい。発泡圧力が1.5MPa(ゲージ)未満であると、発泡倍率が低すぎる傾向にあり、5MPa(ゲージ圧)より高いと、得られる発泡粒子のセル径が細かくなりすぎる傾向にある。
【0045】
発泡工程において水分散物を放出する雰囲気温度は、通常常温であるが、水蒸気等の加熱媒体により雰囲気温度を60〜120℃、好ましくは80〜110℃に加温もしくは加熱することにより、常温雰囲気中に放出する場合に比べて、より高発泡倍率で、かつ、収縮率が2%以上30%以下の無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子を得ることができる。
【0046】
以上のようにして一段発泡により得られた無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(以降、「一段発泡粒子」と称する場合がある。)は、そのまま型内発泡成形に使用しても良い。また、得られた無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子を再度発泡させ、目的とする発泡倍率の無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子として、型内発泡成形に使用しても良い。なお、以降、一旦得られた発泡粒子をさらに発泡させる工程を「二段発泡」と称する場合があり、得られた無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子を「二段発泡粒子」と称する場合がある。
【0047】
二段発泡は、公知の方法を採用でき、例えば、次のようにして行うことができる。
具体的には、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子を加圧タンク内に入れ、所定の圧力の空気で加圧することにより(すなわち、無架橋ポリエチレン樹脂発泡粒子内に空気を導入して、一定時間放置することにより)、発泡粒子の内圧を大気圧より高めた後、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子を、好ましくは0.03MPa(ゲージ圧)以上0.15MPa(ゲージ圧)以下、より好ましくは0.045MPa(ゲージ圧)以上0.10MPa(ゲージ圧)以下の水蒸気で加熱することにより、二段発泡させる。
水蒸気の圧力が0.03MPa(ゲージ圧)未満では、発泡粒子の収縮率が小さくなるため、成形時の発泡力が弱く、得られる発泡成形体の対金型寸法収縮率が大きくなり、表面伸びが悪化する、または、得られる発泡粒子の発泡倍率のバラツキが大きくなる傾向があり、成形体重量の変動が大きくなる虞がある。水蒸気の圧力が0.15MPa(ゲージ圧)を超えると、発泡粒子同士が融着してしまい、成形に使用できなくなる場合がある。
【0048】
この際、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子の内圧を0.05〜0.70MPa(ゲージ圧)に、好ましくは0.10〜0.50MPa(ゲージ圧)に調整することが好ましい。発泡粒子の内圧が0.05MPa(ゲージ圧)未満では、発泡倍率を向上させるために高い圧力の水蒸気が必要となる傾向があり、0.70MPa(ゲージ圧)を超えると、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子を構成する気泡が二段発泡により連続気泡化しやすくなり、該発泡粒子を金型内に充填して型内発泡成形すると、得られる無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体が収縮したものとなる虞がある。
【0049】
本発明における無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径は、200μm以上700μm以下であることが好ましく、300μm以上600μm以下であることがより好ましい。無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径が200μm未満では、得られる無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体の収縮が大きくなる傾向がある。平均気泡径が700μmを越えると、得られる無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体の外観が悪くなる傾向がある。
ここで、平均気泡径は、次のようにして測定する。顕微鏡などで得られる発泡粒子の切断面の画像において、発泡粒子のほぼ中心を通る直線を引き、該直線が貫通している気泡数をn、および該直線と発泡粒子表面との交点から定まる発泡粒子径L(μm)を読み取り、式(2)によって求める。
平均気泡径(μm)=L÷n ・・・(2)
【0050】
本発明においては、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子を、所定形状の金型内に充填した後、水蒸気等で加熱して、発泡粒子を互いに融着させる、型内発泡成形を行うことによって、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得ることができる。
【0051】
型内発泡成形方法としては、例えば、
イ)ポリエチレン系樹脂発泡粒子を無機ガス、例えば空気や窒素、二酸化炭素等で加圧処理してポリエチレン系樹脂発泡粒子内に無機ガスを含浸させ所定のポリエチレン系樹脂発泡粒子内圧を付与した後、金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法、ロ)ポリエチレン系樹脂発泡粒子をガス圧力で圧縮して金型に充填し、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の回復力を利用して、水蒸気で加熱融着させる方法、
ハ)特に前処理することなくポリエチレン系樹脂発泡粒子を金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法、などの方法が利用し得る。
【0052】
本発明において得られる無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体は、対金型寸法収縮率が小さく、変形が少なく、表面伸びが良い。
【実施例】
【0053】
次に、本発明の無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子の製造方法を実施例及び比較例を挙げて、詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0054】
なお、実施例および比較例における評価は、以下の方法により行なった。
【0055】
<メルトフローインデックスの測定>
メルトフローインデックス(MI)は、JIS K7210記載のMI測定器を用い、オリフィス径2.0959±0.005mmφ、オリフィス長さ8.000±0.025mm、荷重2160g、樹脂温度190±0.2℃の条件下で測定した。
【0056】
<熱キシレンに不溶なゲル分率の測定>
200メッシュの金網袋中に0.5gの樹脂粒子または発泡粒子を入れ、該粒子が外に出ないように金網の端を折り込んだ。該金網袋を、大気圧下で沸騰させたキシレン50ml中に3時間浸漬した後、冷却してキシレンから取り出す操作を、計3回行った。取り出した該金網袋を常温下で一晩乾燥させた後に、150℃のオーブン中で1時間乾燥させ、常温まで自然冷却させた。冷却後の金網袋内に残留した成分量をゲル成分量とした。
得られたゲル成分量の、元の樹脂粒子または発泡粒子の重量に対する重量比率を、熱キシレンに不溶なゲル分率とした。なお、1水準に対して、N=2での平均値を求めた。
【0057】
<発泡倍率の測定>
得られた発泡粒子3g以上10g以下程度を取り、60℃で2時間乾燥した後、23℃、湿度50%の恒温恒湿室内で1時間静置した後、重量w(g)を測定後、エタノールの入ったメスシリンダー中に沈め、メスシリンダーの水位上昇分(水没法)にて体積v(cm
3)を測定し、発泡粒子の真比重ρ
b=w÷vを求め、発泡前のポリエチレン系樹脂粒子の密度ρ
rとの比から、発泡倍率K=ρ
r÷ρ
bを求めた。
なお、以下に示す実施例および比較例においては、発泡前のポリエチレン系樹脂粒子の密度は、実施例12(0.931g/cm
3)を除いて、いずれも0.926g/cm
3であった。
【0058】
<嵩密度BDおよびVBDの測定>
BDおよびVBDは、以下のように求める。
測定する発泡粒子の重量をW
1とし、23℃において大気圧(標準大気圧0.1MPa)下で、メスシリンダーを用いて体積V
1を求める。式(3)に従って、23℃、0.1MPa(標準大気圧下)における無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子の嵩密度である、BDを求める。
BD(g/L)=W
1÷V
1 ・・・(3)
測定する発泡粒子の重量をW
2とし、目盛りのある耐圧容器に入れて、真空ホンプなどにより耐圧容器内を減圧する。0.002MPa以下の減圧状態下になったことを圧力計にて確認した後、バイブレーターを用いて耐圧容器を振動させ、発泡粒子上部の目盛りの変化がなくなるまで振動させた後、耐圧容器内の発泡粒子上部の目盛りを読み、それを体積V
2とする。なお、減圧時は、発泡粒子同士が押し合って体積変化が阻害される場合があるため、耐圧容器を横にするなどして発泡粒子に体積変化が阻害されないようにし、徐々に減圧する。
式(4)に従って、23℃、0.002MPa以下における無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子の嵩密度VBDを求める。
VBD(g/L)=W
2÷V
2 ・・・(4)
【0059】
以下のポリエチレン系樹脂発泡成形体に対する評価は、実施例8および比較例5については、75〜80℃雰囲気下で48時間乾燥させた後、23℃、湿度50%の恒温恒湿室内で24時間静置させた後に、実施した。他方、上記以外の実施例および比較例については、75〜80℃雰囲気下で24時間乾燥させた後、23℃、湿度50%の恒温恒湿室内で24時間静置させた後に、該評価を実施した。
【0060】
<発泡成形体の密度測定>
型内発泡成形により得られた発泡成形体を、75〜80℃雰囲気下で所定時間乾燥させた後、23℃、湿度50%の恒温恒湿室内で24時間静置した後に、発泡成形体の重量W
3を測定する。発泡成形体を水中に水没させた時の体積変化V
3を測定して、式(5)に従って、発泡成形体の密度(g/L)を求めた。
発泡成形体の密度(g/L)=W
3÷V
3 ・・・(5)
【0061】
<融着性>
得られた発泡成形体の中央付近にナイフなどで約5mmの深さのクラックを入れた後、該クラックに沿って発泡成形体を割り、破断面を観察する。
破断面の全粒子数における破壊粒子数の割合を求めて、成形体融着率とし、以下の基準にて評価した。
○:融着率が80%以上。
△:融着率が60%以上80%未満。
×:融着率が60%未満。
【0062】
<対金型寸法収縮率>
得られた発泡成形体の長手寸法(400mm方向)を、デジタルノギス[Mitutoyo製]を用いて測定する。
対応する金型寸法をL
0とし、発泡成形体の寸法をL
1として、式(6)により、対金型寸法収縮率を算出し、以下の基準にて評価した。
対金型寸法収縮率=(L
0−L
1)÷L
0×100 ・・・(6)
○:対金型寸法収縮率が3%以下。
△:対金型寸法収縮率が3%を超えて4%以下。
×:対金型寸法収縮率が4%より大きい。
【0063】
<表面伸び>
得られた発泡成形体の端部を観察し、以下の基準にて評価した。
○:隣り合う発泡粒子同士がいずれの部分においてもきれいに融着しており、発泡粒子間
に隙間がない。
△:隣り合う発泡粒子間に隙間がある箇所が少し見られる。
×:隣り合う発泡粒子間に隙間がある箇所が多数見られる。
ここで、発泡成形体の端部とは、型内発泡成形体の面と面が交差する稜線部である。
【0064】
<変形>
ヒケの発生しやすい、発泡成形体の長手方向端部から50mmかつ短手方向端部から50mmの場所において、ネックノギス[Mitutoyo製]を用いて、厚みを測定し、以下の基準にて評価した。
○:厚みが48.5mm以上。
△:厚みが47mm以上、48.5mm未満。
×:厚みが47mm未満。
【0065】
(実施例1)
[樹脂粒子の作製]
基材樹脂として、MI=2g/10分、融点123℃、熱キシレンに不溶なゲル分率0.3重量%、コモノマーとして4−メチル−1−ペンテンを8.2重量%含む、樹脂密度0.926g/cm
3である直鎖状低密度ポリエチレン100重量部に対して、親水性化合物としてグリセリン[ライオン(株)製、精製グリセリンD]0.2重量部をドライブレンドした。
ドライブレンドした混合物を、一軸押出機を用いて、樹脂温度210℃で溶融混練し、押出機の先端に取り付けられた円形ダイを通してストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、一粒の重量が1.3mg/粒のポリエチレン系樹脂粒子を得た。
[発泡粒子の作製]
得られたポリエチレン系樹脂粒子100重量部(80kg)、水200重量部、難水溶性無機化合物として第三リン酸カルシウム(太平化学産業社製)0.5重量部、界面活性剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム0.03重量部を容量0.3m
3の耐圧オートクレーブ中に仕込み、攪拌下、発泡剤として炭酸ガスを7重量部添加した。
オートクレーブ内容物を昇温し、123℃の発泡温度まで加熱した。その後、炭酸ガスを追加圧入してオートクレーブ内を3.0MPa(ゲージ圧)の発泡圧力まで昇圧し、前記発泡温度、発泡圧力で30分間保持した後、オートクレーブ下部のバルブを開き、3.6mmφで1穴の開口オリフィスを通して、オートクレーブ内容物を100℃雰囲気下に放出して無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子の評価結果を、表1に示した。
[型内発泡成形体の作製]
得られた無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子の水分を飛ばした後、長手方向400×短手方向300×厚み方向50mmの金型内に充填し、0.11MPa(ゲージ圧)の蒸気圧力で型内発泡成形して、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表1に示した。
【0066】
(実施例2〜4)
[発泡粒子の作製]において、実施例1で得られた無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)の水分を飛ばした後、空気加圧処理により空気を含浸させて、表1記載の内圧および水蒸気圧力にて二段発泡を行った以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリエチレン系樹脂粒子、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子および無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子および無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表1に示した。
【0067】
(実施例5)
[樹脂粒子の作製]において、直鎖状低密度ポリエチレン100重量部に対して、親水性化合物としてポリエチレングリコール[ライオン(株)製、PEG300、以下PEG]0.5重量部を使用した以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリエチレン系樹脂粒子、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)および無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子および無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表1に示した。
【0068】
(実施例6〜7)
[発泡粒子の作製]において、実施例5で得られた無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)の水分を飛ばした後、空気加圧処理により空気を含浸させて、表1記載の内圧と蒸気圧力にて二段発泡を行った以外は、以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリエチレン系樹脂粒子、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子および無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子および無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表1に示した。
【0069】
(実施例8)
[樹脂粒子の作製]
一粒の重量を4.5mg/粒に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、ポリエチレン系樹脂粒子を得た。
[発泡樹脂粒子の作製]
使用する開口オリフィスの直径を4.0mmφに変更した以外は、実施例1と同様の方法にて無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)を得た。
さらに、得られた無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)の水分を飛ばした後、空気加圧処理により空気を含浸させて、表1記載の内圧と蒸気圧力で二段発泡を行って、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子の評価結果を、表1に示した。
[型内発泡成形体の作製]
得られた無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(二段発泡粒子)を、実施例1と同様の方法により、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表1に示した。
【0070】
(実施例9)
[樹脂粒子の作製]において、直鎖状低密度ポリエチレン100重量部に対して、親水性化合物としてポリプロピレングリコール[和光純薬製、平均分子量300、以下PPG]0.5重量部を使用した以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリエチレン系樹脂粒子、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)および無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子および無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表1に示した。
【0071】
(実施例10)
[樹脂粒子の作製]
親水性化合物を使用しなかった以外は、実施例1と同様の方法により、ポリエチレン系樹脂粒子を得た。
[発泡樹脂粒子の作製]
得られたポリエチレン系樹脂粒子を、実施例1と同様の方法にて、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)を得た。
さらに、得られた無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)の水分を飛ばした後、空気加圧処理により空気を含浸させて、表1記載の内圧と蒸気圧力で二段発泡を行って、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(二段発泡粒子)を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子の評価結果を、表1に示した。
[型内発泡成形体の作製]
得られた無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(二段発泡粒子)を、実施例1と同様の方法により、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表1に示した。
【0072】
(実施例11)
[樹脂粒子の作製]
親水性化合物としてアイオノマー系樹脂[住友精化製、アクアコーク]1重量部を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、ポリエチレン系樹脂粒子を得た。
[発泡樹脂粒子の作製]
得られたポリエチレン系樹脂粒子を、実施例1と同様の方法にて、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)を得た。
さらに、得られた無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)の水分を飛ばした後、空気加圧処理により空気を含浸させて、表1記載の内圧と蒸気圧力で二段発泡を行って、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(二段発泡粒子)を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子の評価結果を、表1に示した。
[型内発泡成形体の作製]
得られた無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(二段発泡粒子)を、実施例1と同様の方法により、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表1に示した。
【0073】
(実施例12)
[樹脂粒子の作製]
基材樹脂として、MI=2g/10分、融点123℃、熱キシレンに不溶なゲル分率0.3重量%、コモノマーとして1−ヘキセンを5.3重量%含む、樹脂密度0.931g/cm
3である直鎖状低密度ポリエチレンを使用した以外は、実施例1と同様の方法により、ポリエチレン系樹脂粒子を得た。
[発泡粒子の作製]
得られたポリエチレン系樹脂粒子を実施例1と同様の方法にて、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子を得た。さらに、得られた無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)の水分を飛ばした後、空気加圧処理により空気を含浸させて、表1記載の内圧と蒸気圧力で二段発泡を行って、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(二段発泡粒子)を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子の評価結果を、表1に示した。
[型内発泡成形体の作製]
得られた無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(二段発泡粒子)を、実施例1と同様の方法により、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表1に示した。
【0074】
【表1】
【0075】
(比較例1〜3)
[発泡粒子の作製]において、実施例1で得られた無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)の水分を飛ばした後、空気加圧処理により空気を含浸させて、表2記載の内圧および水蒸気圧力にて二段発泡を行った以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリエチレン系樹脂粒子、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子および無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子および無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表2に示した。
【0076】
(比較例4)
[発泡粒子の作製]において、実施例5で得られた無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)の水分を飛ばした後、空気加圧処理により空気を含浸させて、表2記載の内圧および水蒸気圧力にて二段発泡を行った以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリエチレン系樹脂粒子、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子および無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子および無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表2に示した。
【0077】
(比較例5)
[発泡粒子の作製]において、実施例8で得られた無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)の水分を飛ばした後、空気加圧処理により空気を含浸させて、表2記載の内圧および水蒸気圧力にて二段発泡を行った以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリエチレン系樹脂粒子、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子および無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子および無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表2に示した。
【0078】
(比較例6)
[樹脂粒子の作製]
親水性化合物を使用しなかった以外は、実施例1と同様の方法により、ポリエチレン系樹脂粒子を得た。
[発泡樹脂粒子の作製]
得られたポリエチレン系樹脂粒子を、実施例1と同様の方法にて、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子の評価結果を、表2に示した。
[型内発泡成形体の作製]
得られた無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(
一段発泡粒子)を、実施例1と同様の方法により、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表2に示した。
【0079】
(比較例7)
[樹脂粒子の作製]において、直鎖状低密度ポリエチレン100重量部に対して、親水性化合物としてグリセリン[ライオン(株)製、精製グリセリンD]0.03重量部を使用した以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリエチレン系樹脂粒子、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)および無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡粒子および無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表2に示した。
【0080】
(参考例1)
[型内発泡成形体の作製]において、比較例3で得られた無架橋ポリエチレン系発泡樹脂粒子(二段発泡粒子)に対して、0.10MPa(ゲージ圧)で12時間空気加圧することにより、発泡粒子に0.04MPa(ゲージ圧)の内圧を付与した以外は、実施例1と同様の方法により、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表2に示した。
【0081】
(参考例2)
[型内発泡成形体の作製]において、比較例4で得られた無架橋ポリエチレン系発泡樹脂粒子(二段発泡粒子)に対して、0.10MPa(ゲージ圧)で12時間空気加圧することにより、発泡粒子に0.04MPa(ゲージ圧)の内圧を付与した以外は、実施例1と同様の方法により、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表2に示した。
【0082】
【表2】