【課題を解決するための手段】
【0009】
〔請求項1〕
本発明は、ガラスびん胴部の下部に、その上の一般胴部よりも径の大きな拡径胴部を形成し、該拡径胴部と一般胴部の間が環状の段差部となり、前記一般胴部の外面の全部又は下端を含む一部に、少なくとも縦方向に連続する凹部を有する凹凸面を形成し、前記一般胴部と拡径胴部の全部又は一部をシュリンクラベルで被覆し、
前記段差部において前記シュリンクラベルとガラスびん外面との間にガラスびん全周に亘って隙間が形成され、前記シュリンクラベルの前記段差部を覆う部分に貫通孔を設け
、前記貫通孔と前記隙間とが連通することを特徴とするシュリンクラベル付きのガラスびんである。
【0010】
本発明は、拡径胴部と一般胴部の間が環状の段差部となっているので、
図8に示すように、段差部においてびん外面とシュリンクラベルの間に隙間が生じる。また、シュリンクラベルの段差部を覆う部分に貫通孔を設けたので、貫通孔から空気がシュリンクラベルとびん外面の凹部の間に出入り自由になっている。
【0011】
ガラスびんが割れると、内溶液が胴部外面の凹部とシュリンクラベルの間に漏れ出す。漏れ出した内溶液は、毛細管現象と重力の作用で、胴部外面とシュリンクラベルの間の凹部を下方に降下していくが、このとき、シュリンクラベルの貫通孔で、空気がシュリンクラベルとびん外面の凹部の間に出入り自由になっているので、内溶液の降下が抵抗なく促進され、比較的多量の内溶液が降下し、段差部から貫通孔を通ってシュリンクラベル外部に流れ出す。段差部におけるびん外面とシュリンクラベルの間の隙間は、びん全周に亘っているので、シュリンクラベルの位置合わせは不要である。また、内溶液の降下が抵抗なく促進されるので、びん外面の凹凸面における凹凸の深さ又は高さを小さくすることができる。
【0012】
凹凸面は、びん外面に溝や多数の小突起を設けることで形成してもよいし、槌目模様や、不定形な微細凹凸を組み合わせた梨地模様など、種々の態様とすることができる。少なくとも縦方向に連続する凹部とは、びん外面に流出した内溶液が凹部を伝わって下方に流れることができる態様であればよい。しかし、凹部は縦方向及び横方向に連続するものであるほうが、内溶液の降下が一層促進され、より好ましい。凹部が縦方向及び横方向に連続する凹凸面は、格子状の溝、多数の小突起、槌目模様、梨地模様などである。
【0013】
また本発明は、ガラスびんが落下したときに割れにくい構造となっている。
図1は、ガラスびん落下によるびん破損を実験した結果で、ガラスびん1に破損オリジン(開始点)を×印で表したものである。外面ヒンジ破損は、びん周壁に外側が引張、内側が圧縮となる曲げ力が作用したことによる破損である。
図1で明らかなように、破損オリジンの多くは胴部の下部になっている。
【0014】
図2は外面ヒンジ破損の説明図である。ガラスびん1が落下すると、びん胴部が径方向に押し潰されると共に、共に落下した内溶液の動圧が加わり、両側のA点に大きなヒンジ応力が発生する。
【0015】
図3はガラスびん1が口部から落下した場合の説明図である。
口部が衝突した後に胴部が衝突した際、口部から胴部の衝突個所までの距離Lが長く、底部はガラス量が多く重いため、矢印に示すような強いモーメントが発生する。したがって、口部から落下した場合は破損しやすい。
【0016】
図4はガラスびん1が裾部から落下した場合の説明図である。
裾部で衝突後、肩部が衝突した際、口部側は底部側よりガラス容積が小さく、支点から衝突個所までの距離Lも短いため、
図3の場合に比べてモーメントは小さく、ガラスびんは破損しにくい。
【0017】
図5は、胴部上端までの高さが80mmのガラスびんに衝撃(0.5J)が加わった場合の、衝撃高さとヒンジ応力の関係を示している。最大応力は177MPaで、胴部の下側及び上側はヒンジ応力が小さくなっている。
【0018】
本発明は、ガラスびん胴部の下部に、その上の一般胴部よりも径の大きな拡径胴部を形成したので、ガラスびんが落下したときに、胴部中央で衝突することがなく、下方の拡径胴部又は上方の胴部上端ないし肩部で衝突する。そして、
図5から明らかなように、胴部下方及び上端部付近での衝突は、ヒンジ応力が小さいため、ガラスびんは割れにくい。
更に、拡径胴部を形成したことにより、ガラスびん製造過程や運搬過程において、びんどうしの接触によるすり傷が一般胴部に付きにくくなる。ガラスびんの強度はこのすり傷によって大きく低下するから、この点でも本発明のガラスびんは割れにくくなっている。
【0019】
〔請求項2〕
また本発明は、前記拡径胴部の上端の高さが15mm以下である請求項1に記載のシュリンクラベル付きのガラスびんである。
【0020】
拡径胴部の上端の高さを15mm以下にすると、びんが落下したときの衝撃高さが15mm以下になる。
図5から分かるように、衝撃高さが15mm以下になると、ヒンジ応力が最大応力(177MPa)の約30%減(約120MPa)となり、ガラスびんが非常に割れにくくなる。なお、ヒンジ応力が最大応力の約30%減となるための拡径胴部の上端の高さは、ガラスびんの大きさ(高さ)にほとんど関係せずに約15mmである。
なお、拡径胴部の上端の高さの好ましい範囲は10mm〜15mmである。10mm未満の高さで衝撃を受けると、底部の厚いガラスでびん全体の変形を抑制するため、ヒンジ応力はさらに小さくなる。しかし、衝撃を受けた際、びん全体が変形することで衝撃エネルギ−を吸収するが、衝撃位置が10mm未満ではびん全体の変形が少なくなる分、衝撃部に衝突エネルギ−が集中し、衝撃点での破損が増えるおそれがある。
【0021】
〔請求項3〕
また本発明は、前記拡径胴部の下方に、該拡径胴部よりも小さい径の下側胴部を設けた請求項1又は2に記載のシュリンクラベル付きのガラスびんである。
【0022】
このように、拡径胴部の下方に、該拡径胴部よりも小さい径の下側胴部を設けても差し支えない。
【0023】
〔請求項4〕
また本発明は、前記段差部が環状溝となっている請求項1〜3のいずれかに記載のシュリンクラベル付きのガラスびんである。
【0024】
図14,15に示すように、段差部18を環状溝にすることで、シュリンクラベルと段差部(環状溝)との隙間が大きくなり、びん割れのときに内溶液がシュリンクラベルの貫通孔から流出しやすくなる。
なお、段差部18の断面形状は、
図9に示すように直線状(a)、外側に凸の曲線状(b)、外側に凹の曲線状(c)などとすることができる。
【0025】
〔請求項5〕
また本発明は、ガラスびん胴部の下部に、環状溝を形成し、該環状溝よりも上の胴部外面の全部又は環状溝上端を含む一部に、少なくとも縦方向に連続する凹部を有する凹凸面を形成し、前記環状溝、及びその上下の胴部の全部又は一部をシュリンクラベルで被覆し、
前記環状溝において前記シュリンクラベルとガラスびん外面との間にガラスびん全周に亘って隙間が形成され、前記シュリンクラベルの前記環状溝を覆う部分に貫通孔を設け
、前記貫通孔と前記隙間とが連通することを特徴とするシュリンクラベル付きのガラスびんである。
【0026】
前記請求項4の発明と同様に、シュリンクラベルと環状溝との隙間が大きくなり、びん割れのときに内溶液がシュリンクラベルの貫通孔から流出しやすくなり、びん割れを発見しやすい。なお、環状溝の上下の胴部の径を同じにすることによって、びんが割れにくくなる効果はなくなる。
【0027】
また本発明
のガラスびんは、ガラスびんの胴部の下部に、その上の一般胴部よりも径の大きな拡径胴部を形成し、該拡径胴部と一般胴部の間が環状の段差部となっており、前記拡径胴部の上端の高さが15mm以下であること
ができる。
【0028】
このようにすることで、前記請求項1の発明と同様に、ガラスびん胴部の下部に、その上の一般胴部よりも径の大きな拡径胴部を形成したので、ガラスびんが落下したときに、胴部中央で衝突することがなく、下方の拡径胴部又は上方の胴部上端ないし肩部で衝突する。そして、
図5から明らかなように、胴部下方及び上端部付近での衝突は、ヒンジ応力が小さいため、ガラスびんは割れにくい。
また、拡径胴部の上端の高さが15mm以下のため、ヒンジ応力が最大応力(177MPa)の約30%減(約120MPa)となり、ガラスびんが非常に割れにくくなる。
なお、拡径胴部の上端の高さの好ましい範囲は10mm〜15mmである。
【0029】
本発明は、内容量が50〜100ml、又はびん高さが100〜130mm程度の小型の飲料用ガラスびんに好適に適用できる。