特許第5667119号(P5667119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5667119
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】錠剤供給装置及びPTP包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 37/04 20060101AFI20150122BHJP
   B65B 1/30 20060101ALI20150122BHJP
   B65B 9/04 20060101ALN20150122BHJP
【FI】
   B65B37/04
   B65B1/30 Z
   !B65B9/04
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-96300(P2012-96300)
(22)【出願日】2012年4月20日
(65)【公開番号】特開2013-224159(P2013-224159A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2013年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】新村 諭
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−147042(JP,A)
【文献】 米国特許第5816442(US,A)
【文献】 特開2012−153446(JP,A)
【文献】 特開2012−238134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 37/04
B65B 1/30
B65B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤を貯留するホッパと、
前記ホッパの下部に開口した吐出口から落下する錠剤を受ける受皿部材と、
前記受皿部材を振動させる振動手段とを備え、
前記受皿部材を振動させることにより、前記ホッパから落下した錠剤を順次、下流側へ移送する錠剤供給装置であって、
前記ホッパの吐出口から当該ホッパ内に挿通される弾性体よりなる棒状部材を前記受皿部材上に立設したことを特徴とする錠剤供給装置。
【請求項2】
前記受皿部材上に、前記棒状部材よりも剛性の高い突起部を形成し、
前記突起部に対し前記棒状部材を取付けたことを特徴とする請求項1に記載の錠剤供給装置。
【請求項3】
前記棒状部材の先端部をテーパ状に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の錠剤供給装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の錠剤供給装置と、
前記錠剤供給装置から供給される錠剤を、帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に充填する錠剤充填装置とを備えたことを特徴とするPTP包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTPシートに錠剤を充填するにあたり、ホッパに貯留した錠剤を順次供給する錠剤供給装置、及び、当該錠剤供給装置を備えたPTP包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、錠剤を収容するPTPシートは、錠剤が充填されるポケット部が形成された容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとから構成されている。かかるPTPシートは、PTP包装機(ブリスター包装機)によって製造される。
【0003】
PTP包装機は、帯状の容器フィルムにポケット部を形成するポケット部形成装置、ポケット部が形成された帯状の容器フィルムを搬送させつつポケット部に錠剤を充填する錠剤充填装置、ポケット部に錠剤の充填された帯状の容器フィルムに対しカバーフィルムを貼着する貼着装置、PTPシート単位に打ち抜く打抜き装置等を備えている。
【0004】
また、上記錠剤充填装置へ錠剤を供給する錠剤供給装置は、錠剤を貯留しておくホッパ、当該ホッパの下部に開口した吐出口から落下する錠剤を受ける受皿部材、当該受皿部材を振動させる振動装置等を備え、受皿部材を振動させることにより、ホッパから排出される錠剤を順次、下流側へ移送する構成となっている。
【0005】
このように、ホッパに貯留した錠剤等の供給物を順次供給する供給装置の分野においては、従来より、ホッパ内にて供給物が重なり合い、詰まりが発生しやすいという問題点があった。これに鑑み、近年では、ホッパの吐出口からホッパ内に挿通される棒状部材を受皿部材上に立設し、受皿部材の振動と共に棒状部材がホッパ内にて振動することにより、供給物の落下を促進し、ホッパ内における供給物の詰まりを抑制する技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−147042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、仮に図7に示すように、ホッパ90の吐出口90aからホッパ90内に挿通される棒状部材92を金属など比較的剛性の高い素材により形成し、これが立設された受皿部材93と共に、振動装置94により振動させる構成では、錠剤95に傷や割れ、欠け等のダメージを与えるおそれがある。
【0008】
例えば、錠剤95が徐々に排出され減っていく吐出口90a付近に比べ、ホッパ90内部は錠剤95の貯留密度も高い。また、剛性の高い棒状部材92を振動させた場合、棒状部材92の先端部も根元部も水平方向へ同様に振動する。
【0009】
そのため、ホッパ90内部に配される棒状部材92の先端部付近においては、錠剤95に対し当該錠剤95をせん断するような力がかかりやすい。また、棒状部材92の先端部近傍の側面側においては、錠剤95に対し当該錠剤95をホッパ90の内壁へ押し付けるような力がかかりやすい。さらに、剛性の高い棒状部材92を振動させた場合には、ホッパ90内における錠剤95の移動量も大きくなり、錠剤95がダメージを受けやすくなる。
【0010】
尚、特許文献1において供給物となるペレット(樹脂材料)等とは異なり、PTPシートへ充填される段階の錠剤は、完成された製品であり、より慎重な取扱いが求められる。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、製品品質の低下抑制等を図ることのできる錠剤供給装置及びPTP包装機を提供することを主たる目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0013】
手段1.錠剤を貯留するホッパと、
前記ホッパの下部に開口した吐出口から落下する錠剤を受ける受皿部材と、
前記受皿部材を振動させる振動手段とを備え、
前記受皿部材を振動させることにより、前記ホッパから落下した錠剤を順次、下流側へ移送する錠剤供給装置であって、
前記ホッパの吐出口から当該ホッパ内に挿通される弾性体よりなる棒状部材を前記受皿部材上に立設したことを特徴とする錠剤供給装置。
【0014】
上記手段1によれば、受皿部材の振動と共に棒状部材がホッパ内にて振動することにより、錠剤の落下を促進し、ホッパ内や吐出口付近等における錠剤の詰まりを抑制することができる。
【0015】
特に本手段では、棒状部材が例えばゴム等の弾性体により形成されている。そのため、棒状部材は、可撓性を有し、ホッパ内で撓みながら振動する。詳しくは、ホッパの吐出口付近においては、従来同様、棒状部材の根元部が受皿部材と共に大きく振動する一方、その振幅は棒状部材の先端に向かうにつれ小さくなり、錠剤のより詰まったホッパ内部に位置する棒状部材の先端部はほとんど動かないといった揺動態様となる。
【0016】
結果として、棒状部材自体が弾性体により柔らかく形成されていることに加え、上記揺動態様をとることで、棒状部材の先端部付近が不必要に大きく振動して錠剤を傷つける等といった不具合の発生を低減することができると共に、ホッパの吐出口付近においては、従来同様、大きく振動し、錠剤の詰まりを抑制することができる。
【0017】
また、棒状部材が上記揺動態様をとることによって、従来に比べ、棒状部材と錠剤との間に隙間が生じにくくなり、個々の錠剤の位置が激しく変化しないようになる。これにより、錠剤全体の流れがスムーズになり、棒状部材と錠剤とが衝突して、錠剤がダメージを受けるおそれを低減することができる。
【0018】
尚、仮に剛性の高い棒状部材の先端部をホッパ内に揺動自在に軸支し、その根元側を振動させるような構成とした場合には、棒状部材自体が堅いことに加え、本手段の構成に比べ、棒状部材と錠剤との間に隙間が生じやすく、棒状部材と錠剤とが衝突して錠剤にダメージを与えるおそれがある。また、装置の複雑化を招くと共に、ホッパと受皿部材(棒状部材)とを別々に交換できなくなるなど、メンテナンス性や汎用性の低下を招くおそれがある。
【0019】
手段2.前記受皿部材上に、前記棒状部材よりも剛性の高い突起部を形成し、
前記突起部に対し前記棒状部材を取付けたことを特徴とする手段1に記載の錠剤供給装置。
【0020】
上記手段2によれば、棒状部材の根元部の剛性が高くなるため、棒状部材が根元から倒れてしまうような不具合を低減することができ、より確実に上記揺動態様を実現することができる。
【0021】
また、棒状部材を取替え可能となるため、ホッパの形状や錠剤の種別、詰まりの発生するポイント等の違いに応じて、適宜、長さや太さの異なる棒状部材に変更して対応することができる。結果として、メンテナンス性や汎用性を高めることができる。
【0022】
手段3.前記棒状部材の先端部をテーパ状に形成したことを特徴とする手段1又は2に記載の錠剤供給装置。
【0023】
棒状部材の先端部が平坦に形成されている場合には、錠剤がその上に載ってしまい、落下せずに、詰まりの原因となるおそれがあるが、上記手段3によれば、このような不具合の発生を低減することができる。尚、金属製の棒状部材の先端部をテーパ状に形成してしまうと、錠剤を傷つけるおそれがあるが、弾性体よりなる棒状部材であれば、そのような不具合は発生しにくい。
【0024】
手段4.上記手段1乃至3のいずれかに記載の錠剤供給装置と、
前記錠剤供給装置から供給される錠剤を、帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に充填する錠剤充填装置とを備えたことを特徴とするPTP包装機。
【0025】
上記手段4によれば、PTPシートを製造するにあたり、製品品質の低下抑制等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】(a)はPTPシートを示す斜視図であり、(b)はPTPシートの部分拡大断面図である。
図2】PTP包装機の全体構成を説明するための概略図である。
図3】充填ユニットの構成を示した正面模式図である。
図4】充填ユニットの構成を示した側面模式図である。
図5】静止中の前進フィーダ及びホッパを示す部分断面図である。
図6】作動中の前進フィーダ及びホッパを示す部分断面図である。
図7】従来の前進フィーダ及びホッパを示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0028】
図1(a),(b)に示すように、本実施形態におけるPTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。容器フィルム3は、PP(ポロプロピレン)等の樹脂材料により構成され、光透過性を有している。カバーフィルム4は、アルミニウムによって構成されている。
【0029】
また、各ポケット部2には錠剤5が1つずつ収容されている。PTPシート1の容器フィルム3には、例えば2つのポケット部2が含まれたペア小片に切り離すことができるように複数の横スリット6が形成されている(もちろん縦スリットが形成されていてもよいし、スリットを省略してもよい)。
【0030】
次に、PTP包装機(ブリスタ包装機)10の構成について説明することとする。
【0031】
図2に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3は、間欠的に搬送されるようになっており、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置12とポケット成形装置13とが順に並設されている。これら加熱装置12及びポケット成形装置13によってポケット部形成装置14が構成されている。そして、加熱装置12によって容器フィルム3が部分的に加熱され、該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット成形装置13によって容器フィルム3にポケット部2が成形される。なお、このポケット部2の成形は、容器フィルム3の搬送動作間のインターバルに行われる。
【0032】
ポケット部2が形成された容器フィルム3の移送経路沿いには、錠剤供給装置15、充填装置16、外観検査装置17、シール装置18等が配設されている。
【0033】
錠剤供給装置15は、多量の錠剤5を貯留し、充填装置16へ順次供給するためのものである。錠剤供給装置15の詳細については後述する。
【0034】
充填装置16は、ロータリドラム等を備え、搬送される容器フィルム3のポケット部2に対し錠剤5を自動的に充填する。
【0035】
外観検査装置17は、錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、また錠剤5の欠け、ひび等の外観異常の有無、異物混入の有無等の検査を行うためのものである。該外観検査装置17は、ポケット部2の開口側からの検査を行う。
【0036】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、シール装置18の方へと案内されている。
【0037】
シール装置18は、フィルム受けロール19と、加熱ロール20とを備えており、フィルム受けロール19に加熱ロール20が圧接可能に構成されている。そして、両ロール19,20間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっており、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール19,20間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着され、これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填された帯状のPTPフィルム21が製造される。このとき、加熱ロール20の表面には、シール用の網目状の凸条が形成されており、これが強く圧接することで、強固なシールが実現されるようになっている。
【0038】
前記シール装置18の下流には、ポケット部2側から錠剤5等の異常を検出するための外観検査装置23が設けられている。尚、外観検査装置17,23によって不良品判定された場合、図示しない不良シート排出機構に不良品信号が送られ、その不良品判定となったPTPシート1は、不良シート排出機構によって別途排出され、図示しない不良品受箱に移送されるようになっている。
【0039】
外観検査装置23の下流ではPTPフィルム21移送経路に沿って、スリット成形装置24及びシート打抜装置26が順に配設されている。スリット成形装置24は、PTPフィルム21の所定位置に前記横スリット6を形成する機能を有する。シート打抜装置26は、PTPフィルム21をPTPシート1単位に打抜く機能を有する。前記シート打抜装置26の下流側には、シート打抜装置26から落下する端材27を貯留するためのスクラップ用受箱28が設けられている。また、シート打抜装置26の右側には、打抜かれたPTPシート1を移送するためのコンベア29が設けられており、該PTPシート1は完成品用受箱30に移送されるようになっている。
【0040】
このようなPTP包装機10は、衛生面を考慮して、筐体内部に構築されている。特に本実施形態では、図2,3等に示すように、錠剤供給装置15及び充填装置16は、ユニットカバー46に覆われることにより、装置本体11とは別体の充填ユニット40としてユニット化されている。また、充填ユニット40は、装置本体11に対し着脱可能となっている。
【0041】
ここで、充填ユニット40の構成について説明する。図3図4は、充填ユニット40の概略構成を示す模式図である。図3は、充填ユニット40を正面側(図2と同方向)から見たものであり、図4は、充填ユニット40を左側方(図3中の矢印Lで示す方向)から見たものである。本来は不透明なユニットカバー46に覆われていて外部からは目視できない充填ユニット40の内部構成を、ここでは便宜的に示した。なお、以下では、フィルムの搬送方向(図3における左右方向)を「左右方向」といい、これに垂直なフィルム幅方向(図4における左右方向)を「前後方向」という。
【0042】
図3図4に示すように、ユニットカバー46の内部には、高さ方向において下部から1/3くらいのところに、水平方向に延びる棚部46Aが設けられている。また、棚部46Aの先端を支持するように、壁部46Bが立設されている。棚部46Aは、左右方向においては両端がユニットカバー46の内壁に当接するように設けられ、前後方向においては後端部がユニットカバー46の内壁に当接し、前端部が壁部46Bの上端部に連結するように設けられている。
【0043】
そして、この棚部46Aの上に、錠剤供給装置15が配置されている。本実施形態における錠剤供給装置15は、ホッパ41、前進フィーダ42、ボウルフィーダ43、スプリングホース44等を備えている。
【0044】
ホッパ41は、錠剤5を貯留するためのホッパ本体41A、及びその蓋部41Bを備えており、一部がユニットカバー46の上方へ突出するように配設されている。
【0045】
ホッパ本体41Aは、貯留される錠剤5がスムーズに滑り落ちるように下方へ向け先細りした略逆四角錐形状(又は略逆円錐形状)をなし、その下端部にて錠剤5を落下させるための吐出口41C(図5等参照)が開口した、いわゆる漏斗状に形成されている。
【0046】
蓋部41Bはホッパ本体41Aの上部開口に対応して設けられており、蓋部41Bを開放することにより錠剤5の供給が可能となり、蓋部41Bを閉鎖することによりホッパ41内部への異物などの侵入を防止可能となる。なお、ユニットカバー46の上部にはホッパ41を上方へ突出させるべく開口が設けられているが、当該開口の外縁は、ホッパ本体41Aに対し隙間なく密着させられており、これにより、異物等の内部への侵入防止が図られている。
【0047】
また、棚部46Aの上面には、前進フィーダ42及びボウルフィーダ43が設けられている。
【0048】
前進フィーダ42は、ホッパ41から落下する錠剤5を受ける受皿部材42Aと、当該受皿部材42Aを振動させる振動手段としての振動装置42Bとを有している。
【0049】
受皿部材42Aは、ホッパ41の下方にて左右方向に沿って配置されており、振動装置42Bによって振動させられることにより、ホッパ41から受けた錠剤5を下流側のボウルフィーダ43へ順次移送する。
【0050】
ボウルフィーダ43は、前進フィーダ42から供給される錠剤5を受ける受皿部材43Aと、当該受皿部材43Aを振動させる振動装置43Bとを有している。
【0051】
受皿部材43Aの底部には錠剤落下口43Cが形成されており、受皿部材43Aの振動に伴って、錠剤落下口43Cから錠剤5が下流側へ定量供給される。
【0052】
スプリングホース44は、上記錠剤落下口43Cと充填装置16とを連結するように設けられている。スプリングホース44は、コイルばねで形成される錠剤5の供給経路であり、上記錠剤落下口43Cから充填装置16へ錠剤5を供給する。
【0053】
充填装置16は、左右方向において2台設けられている。図3では、容器フィルム3の上流側から順に充填装置16A、充填装置16Bとして示した。これら2台の充填装置16A,16Bは、各々が2台のロータリドラムを有しており(図示略)、ロータリドラムの回転により、容器フィルム3に形成されたポケット部2に対し搬送方向において1つおきに錠剤5を充填する。そして、各2台の充填装置16A,16Bが、一つおきに別のポケット部2へ錠剤5を充填することで、全てのポケット部2に対して錠剤5が充填されるようになっている。
【0054】
さらに、ユニットカバー46の下部、上記充填装置16A,16Bの下方には、左右方向に延びるレール部45が配設されている。このレール部45は、容器フィルム3の搬送をガイドするためのものであると同時に、容器フィルム3を下方から支持するためのものである。既にポケット部2の形成された容器フィルム3を支持するため、レール部45の上面には、ポケット部2に対応する左右方向の溝が形成されている(図示略)。
【0055】
また、上記レール部45に対応させ、ユニットカバー46の下部(底壁)には、容器フィルム3を充填ユニット40内部へ搬入するための搬入用開口46Cが形成されている。また、ユニットカバー46の右側部には、容器フィルム3を充填ユニット40から搬出するための搬出用開口46Dが形成されている。
【0056】
ここで、ホッパ41と前進フィーダ42との関連構成について、図5,6を参照して、より詳しく説明する。図5は、静止中の前進フィーダ42及びホッパ41を示す部分断面図であり、図6は、作動中の前進フィーダ42及びホッパ41を示す部分断面図である。
【0057】
受皿部材42Aの上面には、突起部50が上方に向け突出形成されている。本実施形態における突起部50は、金属など比較的剛性の高い素材により形成されている。
【0058】
そして、この突起部50に対し、ゴム等の弾性体により形成された棒状部材としての振動棒51が取付けられている。より詳しくは、振動棒51の長手方向一端部に形成された挿込孔51Aに対し突起部50を挿し込むようにして、振動棒51を突起部50に被せるように取付ける。これにより、振動棒51は、上下方向に沿って受皿部材42Aの上面に立設し、吐出口41Cからホッパ41(ホッパ本体41A)内に挿通された状態となる。
【0059】
また、振動棒51の先端部には、上方に向け先細りしたテーパ部51Bが形成されている。
【0060】
上記構成の下、図6に示すように、振動装置42Bにより受皿部材42Aを振動させることにより、ホッパ41の吐出口41Cから排出される錠剤5を順次、下流側のボウルフィーダ43へと移送する。
【0061】
この際、受皿部材42Aの振動と共に振動棒51がホッパ41内にて振動することにより、錠剤5の落下を促進し、ホッパ41内や吐出口41C付近における錠剤5の詰まりを抑制することができる。
【0062】
特に本実施形態では、振動棒51がゴム等の弾性体により形成されている。そのため、振動棒51は、可撓性を有し、ホッパ41内で撓みながら振動する。詳しくは、ホッパ41の吐出口41C付近においては、振動棒51の根元部が受皿部材42Aと共に大きく振動する一方、その振幅は振動棒51の先端に向かうにつれ小さくなり、錠剤5のより詰まったホッパ41内部に位置する振動棒51の先端部はほとんど動かないといった揺動態様となる。
【0063】
結果として、振動棒51自体が弾性体により柔らかく形成されていることに加え、上記揺動態様をとることで、振動棒51の先端部付近が不必要に大きく振動して錠剤5を傷つける等といった不具合の発生を低減することができると共に、ホッパ41の吐出口41C付近においては、大きく振動し、錠剤5の詰まりを抑制することができる。
【0064】
また、振動棒51が上記揺動態様をとることによって、従来に比べ、振動棒51と錠剤5との間に隙間が生じにくくなり、個々の錠剤5の位置が激しく変化しないようになる。これにより、錠剤5全体の流れがスムーズになり、振動棒51と錠剤5とが衝突して、錠剤5がダメージを受けるおそれを低減することができる。
【0065】
加えて、本実施形態では、受皿部材42Aの上面に突起部50を突設し、当該突起部50に対し振動棒51を取付ける構成となっている。これにより、振動棒51の根元部の剛性が高くなるため、振動棒51が根元から倒れてしまうような不具合を低減することができ、より確実に上記揺動態様を実現することができる。また、振動棒51を取替え可能となるため、ホッパ41の形状や錠剤5の種別、詰まりの発生するポイント等の違いに応じて、適宜、長さや太さの異なる振動棒51に変更して対応することができる。結果として、メンテナンス性や汎用性を高めることができる。
【0066】
さらに、本実施形態では、振動棒51の先端部をテーパ状に形成している。これにより、振動棒51の先端部に錠剤5がその上に載ってしまい、落下せずに、詰まりの原因となる等の不具合の発生を低減することができる。
【0067】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0068】
(a)PTP包装機10の構成は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、錠剤供給装置15及び充填装置16が、装置本体11とは別体に着脱可能な充填ユニット40としてユニット化されているが、これに限らず、例えば錠剤供給装置15や充填装置16が装置本体11に対して着脱不能に組付けられた構成としてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では充填装置16が2台のロータリドラムを備えるものであったが、1台のロータリドラムを備えるものとしてもよい。また、ロータリドラムを備えるものに代え、シャッタ機構による充填装置を用いてもよい。
【0070】
(b)上記実施形態では、錠剤供給装置15から充填装置16へ供給され、PTPシート1のポケット部2に充填される錠剤5として、円盤状のタブレット錠(素錠)が例示されているが、錠剤5の種類や形状等はこれに限定されるものではない。例えばカプセル錠や糖衣錠などの供給に対して、本願発明を適用してもよい。特に脆く傷つきやすいタイプの錠剤や、錠剤同士が重なり合い詰まりやすいタイプの錠剤、ホッパ41の大きさに対して比較的大きな錠剤等を取り扱う場合により奏功する。
【0071】
(c)錠剤供給装置15の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では前進フィーダ42及びボウルフィーダ43を用いて、錠剤5を充填装置16まで供給する構成となっているが、これに限らず、例えば前進フィーダ42を省略し、ホッパ41からボウルフィーダ43へ直接、錠剤5が排出される構成としてもよい。かかる構成においては、ボウルフィーダ43の受皿部材43Aに上記振動棒51等を設けることとなる。
【0072】
また、上記実施形態では、特に言及していないが、前進フィーダ42(受皿部材42A)に、ボウルフィーダ43への供給量を調整するためのセンサを備えた構成としてもよい。例えば、前進フィーダ42のセンサが受皿部材43B上面の錠剤5の貯留量を検知し、この検知結果に基づき、前進フィーダ42(受皿部材42A)が振動し、ボウルフィーダ43の受皿部材43Bに一定量の錠剤5が供給される構成としてもよい。
【0073】
(d)上記実施形態では、振動棒51の素材例としてゴムが例示されているが、振動棒51の形成素材はこれに限定されるものではなく、例えば発砲樹脂材料など他の弾性体により形成してもよい。錠剤5を傷つけにくい柔らかい素材で、可撓性を有するものであれば、同様の作用効果を奏する。
【0074】
また、例えば軸心を可撓性を有する樹脂素材により形成し、その外側をスポンジゴム等で覆うような2層構造のものを採用してもよい。また、振動棒51の先端側と根元側とで材質や硬さの異なるものを採用してもよい。
【0075】
(e)振動棒51の形状や構造は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、中空状(筒状)の振動棒51を採用してもよい。
【0076】
(f)上記実施形態では、突起部50を介して、振動棒51が取付けられる構成となっているが、これに限らず、突起部50を省略した構成としてもよい。例えば、振動棒51の根元部の周囲にフランジ等を形成し、これを固定する構成としてもよい。
【0077】
また、筒状の突起部を設け、当該突起部内に振動棒51の端部を挿し込む構成としてもよい。
【0078】
(g)上記実施形態では、振動棒51の先端部にテーパ部51Bが形成されているが、テーパ部51Bを省略した構成としてもよい。但し、テーパ部51Bを省略した場合には、振動棒51先端の平坦面に錠剤5が載ってしまい、落下せずに、詰まりの原因となるおそれがあるため、テーパ部51Bを備えることがより好ましい。
【0079】
また、振動棒51を根元部から先端部にかけて先細るように形成してもよい。但し、振動棒51の先端が細くなり過ぎると、ホッパ41内の錠剤5の圧力により、振動棒51が折れ曲がってしまうおそれがあるため、振動棒51の先端部のみテーパ状に形成する方がより好ましい。
【符号の説明】
【0080】
1…PTPシート、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、5…錠剤、10…PTP包装機、15…錠剤供給装置、16…充填装置、41…ホッパ、41C…吐出口、42…前進フィーダ、42A…受皿部材、42B…振動装置、50…突起部、51…振動棒、51B…テーパ部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7