(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2スイッチは、前記第2入力端子と前記第3スイッチとの間に接続された第1端、及び前記第3出力端子に接続された第2端を有することを特徴とする請求項3に記載のマルチプレクサ。
前記制御装置は、前記複数の入力端子のそれぞれに関して供給されるリーク出力に基づいて補正信号を演算し、前記補正信号を前記センサ出力に追加し、前記リーク電流の存在を補償した補正センサ出力を生成することを特徴とする請求項13に記載の多重入出力システム。
前記制御装置は、前記選択された入力チャネルに接続されたセンサの種別についての情報、及び前記選択された入力チャネルに接続された前記センサに関する抵抗値に更に基づき前記補正信号を演算し、前記マルチプレクサによって供給される前記センサ出力に対する、測定したリーク電流の影響を判定することを特徴とする請求項14に記載の多重入出力システム。
前記制御装置は、前記選択された入力チャネルに関するインテグリティの喪失を示す通知を行うか否かを、前記複数の入力端子のそれぞれに関する検出されたリーク電流に基づいて判定することを特徴とする請求項17に記載のマルチプレクサ。
前記制御装置は、前記複数の入力端子のそれぞれに関する検出されたリーク電流に基づき補正信号を演算し、前記補正信号を前記センサ出力に加えて前記選択された入力チャネルに供給されるセンサ出力に対する、前記リーク電流の影響を補償することを特徴とする請求項17に記載のマルチプレクサ。
前記制御装置は、前記選択された入力チャネルに接続されたセンサの種別、及び前記選択された入力チャネルに接続された前記センサに関する抵抗値に基づき、前記選択された入力チャネルに供給される前記センサ出力に対する、前記複数の入力端子のそれぞれにおいて検出される前記リーク電流の影響を演算することを特徴とする請求項を19に記載のマルチプレクサ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
全般に、本発明は、マルチプレクサに関するリーク電流の検出及び/又は補正を提供する多重入出力システムである。特に、本発明で使用されるマルチプレクサは、各入力チャネルに対して、少なくとも1つのリーク電流検出抵抗を含むとともに、リーク電流検出抵抗の両端の電圧を測定するために必要な追加のバスライン及びスイッチも含んでいる。リーク電流検出抵抗の両端の測定電圧に基づいて、特定のチャネルに関するリーク電流を推定することができ、そして、マルチプレクサによって供給される出力のインテグリティが、検出されたリーク電流によって低下しているかどうかを決定するために、特定のチャネルに関するリーク電流を使用することができる。特定のチャネル及び/又は特定の複数のチャネルに関するインテグリティの潜在的な喪失を示す応答として、警告信号を提供することができる。
【0009】
リーク電流の存在の検出に加えて、本発明は、マルチプレクサによって供給される出力信号に検出したリーク電流に基づいて補正を加えてもよい。当該補正は、リーク電流によって出力信号内にもたらされた誤りを訂正する。この手法の利点は、一般的なマルチプレクサが動作不能になりうる状態(例えば、高温、大きな装置間電位、)であっても信号のインテグリティが維持されることにある。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る入出力(I/O)システム10のブロック図である。システム10は、リーク電流検出マルチプレクサ12(以下、マルチプレクサ12と称する)、アナログ・デジタル(A/D)変換器14、及び制御装置16を有している。マルチプレクサ12は、複数の入力チャネルCh_1、Ch_2・・・Ch_3(“入力チャネル”と総称する)に接続され、各入力チャネルは、複数のセンサ素子18a、18b、18c(“センサ素子18”と総称する)のそれぞれ1つずつに対応して接続している。各入力チャネルは、1つ又は複数の入力ライン(すなわち、端子)から構成されてもよい。例えば、センサ素子18aは、2線式の熱電対素子であってもよい。このような場合、マルチプレクサ12は、センサ素子18aに対して、2つの入力端子を含むことになる。他の種類のセンサ素子には、様々なリード構造が用いられる。このような場合、マルチプレクサは、センサの種類の多様性に適合して一般的に設計され、各チャネルに対して4つの入力端子を一般的に有している。
【0011】
マルチプレクサ12は、複数のスイッチ(より詳細な形態は、
図2A、
図2B、
図4、及び
図5に基づき説明する)を含む。当該複数のスイッチは、制御装置16によって選択的に制御(すなわち、開閉)され、当該複数の入力チャネルのいずれかを特定してマルチプレクサ12の共通の出力に所定の信号を供給する。特定の入力チャネル(例えば、入力チャネルCh_1)を選択するため、選択されるチャネルに対応するスイッチが閉じ、選択される入力チャネルに供給される入力が、マルチプレクサ12の共通出力に供給される。選択されなかった残りの入力チャネル(例えば、入力チャネルCh_2、Ch_3)に接続されたスイッチは、選択されたチャネルから選択されなかったチャネルを絶縁するために、開いたままである。
【0012】
隣接したセンサ間(例えば、センサ素子18aとセンサ素子18bとの間)における電位差(「V
S-S」を付す)の存在は、それぞれの入力チャネル間のクロストーク又はリーク電流の発生の原因となり得る。リーク電流は、選択された入力チャネルに供給される入力信号を歪め、当該歪みが著しい場合、対応するセンサによって測定されるプロセス変数の間違った解釈が生じる恐れがある。以下において詳細に説明するように、本発明の実施形態に係るマルチプレクサ12の構成は、複数の入力チャネルの1つ又は複数に関するリーク電流を検出することができる。検出されたリーク電流(「leak_det」を付す)は、選択された入力チャネル(「Sel_Ch」を付す)によって供給されるセンサ入力とともに、マルチプレクサ12の出力としてA/D変換器14に供給される。検出されたリーク電流のデジタル表現は制御装置16に供給されて、選択された入力チャネルに関するインテグリティの喪失を示す警告又は通知を送信すべきか否かが決定され及び/又は検出されたリーク電流に基づいて、選択された入力チャネルによって供給される信号の補正を制御装置16が行うことが許容される。
【0013】
図2A及び
図2Bは、本発明に係るリーク電流検出マルチプレクサ(それぞれにマルチプレクサ22a及びマルチプレクサ22bを付す)のより詳細な実施形態を示す回路図である。
図2Aに示す実施形態においては、マルチプレクサ22aが、複数の入力チャネルからセンサデータを受信するために接続されており、そのうちの2つの入力チャネル(すなわち、入力チャネルCh_1及びCh_2)が図示されている。マルチプレクサ22aは、複数の入力チャネルCh_1a、Ch_1c、Ch_2a及びCh_2c、複数のスイッチS_1a、S_1b、S_1c、S_2a、S_2b及びS_2c、複数のリーク電流検出抵抗R_1b及びR_2b、並びにマルチプレクサ22aの共通出力チャネルを構成する複数の出力端子Sel_Ch_a、Sel_Ch_b及びSel_Ch_cを含んでいる。
【0014】
マルチプレクサ22aで使用される部品には、当該部品に対応する入力チャネル及び出力端子の両方を示すための符号が付されている。例えば、入力チャネルCh_1に関連付けられる入力端子であって、(スイッチS_1aを経由して)出力端子Sel_Ch_aに出力を供給するために接続された入力端子は、Ch_1aが付されている。チャネルCh_1に関連付けられる入力端子であって、(スイッチS_1cを経由して)出力端子Sel_Ch_cに出力を供給するために接続された別の入力端子は、Ch_1cが付されている。入力チャネルCh_1に関連付けられるリーク検出抵抗は、一端がスイッチS_1bに、他端が出力端子Sel_Ch_bに接続されているので、当該リーク検出抵抗R_1bにはR_1bが付されている。入力チャネルCh_2に関連付けられる部品には、同様に、入力端子Ch_2a及びCh_2c、スイッチS_2a、S_2b、及びS_2c、並びにリーク検出抵抗(リーク電流抵抗)R_2bのように符号が付されている。入力端子Ch_2aは、スイッチS_2aを経由し、出力端子Sel_Ch_aに接続され、入力端子Ch_2cは、スイッチS_2cを経由し、出力端子Sel_Ch_cに接続されている。リーク検出抵抗R_2bは、一端がスイッチS_2bに、他端が出力端子Sel_Ch_bに接続されている。
【0015】
マルチプレクサ22aの説明を容易にするために、本実施形態において、センサ素子18は、単純な2端子型の熱電対素子として記載されている。当該熱電対素子のそれぞれは、高リード抵抗Rh及び低リード抵抗Rlを含み、対応する入力端子に接続されている(例えば、センサ素子18aは、入力端子Ch_1a及びCh_1cに接続されている)。一般的な熱電対素子は、機器における入力接続部の温度を測定するために、サーミスタ又はダイオードのような他の感熱素子を用いた人工的な冷接点を更に含むであろうが、本発明を説明する目的のためには、上述された単純な構造であっても十分であろう。
【0016】
特定の入力チャネルを選択して、マルチプレクサ22aの共通の出力チャネルに入力を供給するために、選択する入力チャネルに関連付けられる各スイッチが閉ざされる。
図2Aに示すように、スイッチS_1a、S_1b及びS_1cが閉ざされて入力チャネルCh_1が選択される。反対に、選択されていないチャネルに関連付けられるスイッチは開放され、選択されていないチャネルから選択されたチャネルを絶縁する。開状態のスイッチは、選択されていないチャネルから流れ出すいかなる電流の流出も、効果的に防ぐ無限抵抗してとして機能するのが理想的である。しかしながら、現実には、開状態のスイッチは、スイッチの個々の特性に基づくだけではなく、当該スイッチに対する温度のような外部要因に基づいて変化する有限抵抗を有している。センサ間の電位差(V
S-Sによって示す)の存在に相まって、
図2Aに示すような開状態のスイッチを通じてリーク電流が誘導され、開状態のスイッチS2_a、S2_b及びS2_cのそれぞれを通じてリーク電流1a、1b及び1cが流れる可能性がある。当該チャネルのそれぞれは、共通出力(出力端子Sel_Ch_a、Sel_Ch_b、及びSel_Ch_c)に接続されているため、リーク電流iaは開状態のスイッチS_2aを通じて閉状態のスイッチS_1aに供給され、リーク電流ibは開状態のスイッチS_2bを通じて閉状態のスイッチS_1bに供給され、リーク電流icは開状態のスイッチS_2cを通じて閉状態のスイッチS_1cに供給される。
【0017】
リーク電流ia、ib、icが熱電対素子のリード線抵抗Rh_1及びRl_1を通じて流れる結果、入力端子Ch_1a及びCh_1cに熱電対素子によって提供される電位差を変化させてしまうような電圧降下が生じる(リード線抵抗Rh_1及びRl_1が等しくないものと仮定している)。結果として、検出温度を示してマルチプレクサ22aによって(出力端子Sel_Ch_a及びSel_Ch_cに)供給される出力は、リーク電流に起因するある程度の歪みを含む。
【0018】
マルチプレクサ22aによるリーク電流の検出は、追加のリーク検出抵抗(例えば、リーク検出抵抗R_1bは、入力チャネルCh_1に対して設けられる)、並びに、リーク検出抵抗R_1bの両端の電圧降下を測定するための追加のバスライン及び出力端子(例えば、出力端子Sel_Ch_b)によって行われる。特定のチャネルにおけるリーク電流を測定するために、リーク検出抵抗に関連付けられるスイッチを含む、選択されたチャネルに関連付けられる複数のスイッチを閉じ、そして、バスラインのそれぞれに関する電圧を、マルチプレクサ22aの出力端子のそれぞれに供給する。
【0019】
例えば、入力チャネルCh_1に関するリーク電流の測定のために、スイッチS_1a、S_1b及びS_1cが閉ざされ(マルチプレクサ22内に含まれる残りの全てのスイッチは、開いたままである。)、リーク検出抵抗(電流検出抵抗)R_1bの両端の電圧が、出力端子Sel_Ch_b及びSel_Ch_cに供給される電圧差として測定される。リーク検出抵抗(電流検出抵抗)R_1bの両端の電圧差を、予め把握している抵抗R_1bの抵抗値と共に用いることにより、リーク電流ibを測定することができる。本実施形態において、端子Ch_1aに流入する電流は測定されることなく、また、端子Ch_1cに流入する電流は、リーク電流ibがリーク電流icに起因し得る範囲のみでわかっている。ここで、リーク電流ib及びicの合計が端子Ch_1cにおける実際のリーク電流を決定する。しかしながら、センサインテグリティの喪失(すなわち、選択された入力チャネルによって共通出力チャネルに供給されるセンサデータに関するインテグリティの喪失、この場合には、出力端子Sel_Ch_a及びSel_Ch_cにおけるインテグリティの喪失)の検出を目的とする場合、バスラインの1つを流れるリーク電流の大きさを知ることができれば、一般的に十分である。
【0020】
出力端子Sel_Ch_a、Sel_Ch_b及びSel_Ch_cに供給される電圧値は、アナログ電圧値をデジタル値に変換するA/D変換器14に供給される。A/D変換器14は、デジタル値を制御装置16に供給し、当該制御装置16が供給された値を読み取る。例えば、2端子型の熱電対素子は、測定された温度を示す電圧差を端子に供給する。制御装置16は、(それぞれが入力端子Ch_1a及びCh_1cに接続されている)出力端子Sel_Ch_a及びSel_Ch_cに供給される電圧を読み取り、センサ素子18aの計測値から温度を検知する。更に、制御装置16は、検出したリーク電流(出力端子Sel_Ch_b及びSel_Ch_c間に供給される電圧差によって表される)に基づいて、検出したリーク電流がマルチプレクサ22aによって供給される出力のインテグリティを低下させているか否かを決定する。この処理には、測定したリーク電流と閾値との比較、又は使用者若しくは制御室への検出したリーク電流の報告を含んでいてもよい。別の実施形態において、制御装置16は、センサから供給される信号を補正してリーク電流を補償してもよいが、(
図4及び
図5に関して説明するように、)正確な補正は、選択されたチャネルの入力端子のそれぞれを流れるリーク電流の情報によって改善される。
【0021】
同様の作動は、各入力チャネルに対して実施してもよい。用途に応じ、作動がいずれも比較的高コストとなるA/D変換器14及び制御装置16は、複数の入力のそれぞれに関するリーク電流を周期的に検査するだけでもよい。このような方法は、大きなリーク電流を発生させる要因(例えば、温度及びセンサ間の電位差)が通常はゆっくり変化していくので一般的に許容できる。しかしながら、別の用途においては、リーク電流の存在を連続的に監視することが有効的なこともある。
【0022】
図2Bは、リーク電流検出マルチプレクサ(
図2Aに基づき説明したマルチプレクサ22aと差別化するためにマルチプレクサ22bを付している)の別な実施形態をより詳細に記載した回路図である。マルチプレクサ22bは、
図2Aに示すマルチプレクサ22aについて説明した部品と同一の部品を含んでいる。具体的には、マルチプレクサ22bは、複数の入力チャネルCh_1a、Ch_1c、Ch_2a及びCh_2c、複数のスイッチS_1a、S_1b、S_1c’、S_2a、S_2b及びS_2c’、複数のリーク電流検出抵抗R_1b及びR_2b、並びに複数の出力端子Sel_Ch_a、Sel_Ch_b及びSel_Ch_cを含んでいる。
【0023】
本実施形態と
図2Aに示した実施形態との差違は、スイッチS_1c’及びS_2c’の接続である。なお、ダッシュを付記することにより、実施形態間の回路図の違いを示している。
図2Aにおいて、スイッチS_1cの第1端は入力端子Ch_1cに接続され、第2端は出力端子Sel_Ch_cに接続されていた。本実施形態において、スイッチS_1c’の第1端は、スイッチS_1bとリーク検出抵抗(電流リーク抵抗)R_1bとの間に接続されている。スイッチS_1c’の第2端は、
図2Aと同様に、出力端子Sel_Ch_cに接続されている。同様に、スイッチS_2c’の第1端は、スイッチS_2bとリーク検出抵抗(電流リーク抵抗)R_2bとの間に接続されている。
【0024】
この手法の利点は、端子Ch_1cに流入するリーク電流の大半が(リーク電流ib及びicの合成ではなく)リーク電流ibによるものである点にあり、リーク電流ibは、リーク検出抵抗(電流リーク抵抗)R_1bの両端で測定された電圧降下に基づいて測定することができる。リーク電流が、主として大きなセンサ間の大きな電位差V
S-Sの存在に起因するものであるとすれば、スイッチS_2c’の第1端をスイッチS_2bの反対側に接続することにより、電位差の大部分は、(開状態のスイッチにおける無限ではないが比較的高い抵抗により)開状態のスイッチS_2bの両端で低下することになろう。このため、スイッチS_2c’の第1端は、(
図2Aに示すような)スイッチS_2cの第1端よりも著しく低い電位の節点に接続され、開状態のスイッチS_2c’を流れるリーク電流icの大きさは、開状態のスイッチS_2bを流れるリーク電流ibよりも著しく小さくなる。
【0025】
結果として、リーク検出抵抗R_1bの両端で測定される電圧差に基づいて推定されるリーク電流は、入力端子Ch_1cを流れるリーク電流をより正確に表す。本実施形態において、入力端子Ch_1aに供給されるリーク電流は不明のままであるが、入力端子Ch_1cに関して測定されたリーク電流に基づき、入力端子Ch_1aに供給されるリーク電流を再度推定してもよい。
【0026】
図3A及び
図3Bは、センサ間電圧と温度との関係を、リーク電流の大きさと共に示すだけでなくセンサインテグリティの喪失を判定するために、リーク電流閾値が用いられる手法の一例を示すグラフである。
図3A及び
図3Bは、
図2Aに基づき説明した回路図に基づく試作品から得たものであるが、その原理は、
図2Bに基づき説明した実施形態に対しても依然として有効である。
【0027】
図3Aは、センサ間の電位及び温度がどのようにリーク電流に影響を及ぼすかを説明している。y軸は電流の大きさ(例えば、ナノアンペア(nA)単位)を表し、x軸はマルチプレクサの周辺温度(例えば、摂氏単位)を表している。すなわち、当該温度は、センサによって検出された温度の値を必ずしも表す必要はなく、マルチプレクサに関する単純な周辺温度を表しさえすればよい。各折れ線は、センサ間の電位V
S-Sの大きさを変化させて測定されたリーク電流を表し、電位V
S-Sのそれぞれには、「−600V」、「−100V」、「0V」、「50V」、「100V」、及び「600V」が付されている。検出されたプロセス変数(pv)のインテグリティの喪失が生じる際のリーク電流の大きさを特定する閾値は、30nA及び−30nA(「リーク限界」が付されている)で例示されている。これらの閾値は、検出されたプロセス変数が、規定された仕様限界(15μV及び−15μVと規定)を超えるポイント(
図3Bに示す)に基づいて決定される。
【0028】
図3Aに示すように、リーク電流は、温度上昇及びセンサ間の電位V
S-Sの増加にともなって増加する。特に、センサ間の電位V
S-Sが600Vである場合(「600V」が付された折れ線で表されている)、周辺温度が75℃に到達すると、リーク電流はリーク限界と一致し、周辺温度が85℃に到達するとリーク限界を超えることになる。リーク限界を超えることは、検出されたプロセス変数に関する誤差が仕様限界(
図3Bに示す)を超えること、すなわち、センサ信号のインテグリティが喪失することを示す。
【0029】
図3Bは、センサ間の電位V
S-Sの増加及び温度上昇によって生じるリーク電流が、検出されたプロセス電圧、及び検出されたプロセス変数のインテグリティにどのようにして悪影響を与えるかを例示する。y軸は、検出されるプロセス変数に生じた誤差値(マイクロボルト(μV)単位)を示す。x軸は、マルチプレクサの周辺温度(摂氏)を示し、
図3Aについて用いられたスケールと同様である。各折れ線は、センサ間の電位の大きさの変動に対応させて測定されたプロセス変数誤差を表し、
図3Aと同様に、電位V
S-Sのそれぞれには、「−600V」、「−100V」、「−50V」、「0V」、「50V」、「100V」、及び「600V」が付されている。「pv限界」が付されている仕様限界は、検出されたプロセス変動のインテグリティが喪失したポイント(例えば、15μVから−15μV)を示すものとして定義されている。このシミュレーションにおいて、温度が75℃であってセンサ間の電圧の絶対値が600V(すなわち、600V及び−600V)である場合、検出されるプロセス変数における誤差が仕様限界を超える。
図3Aに示すように、この温度及びセンサ間の電位で生じるリーク電流は、リーク電流閾値(
図3Aにおいて示す)に到達する。このようにして、定義された閾値を超えるリーク電流は、検出されたプロセス電圧によって定義され、インテグリティの喪失を示す。
【0030】
リーク限界は、リーク電流がセンサインテグリティにどのように影響を与えるかに関する情報に基づき、個々のセンサに対して決定される。使用されるセンサの種類についての既知の情報であって、センサの抵抗及び各リード線に関する抵抗差を含む情報に基づき、リーク電流限界を推定することができるが、既知の電流を当該センサに流し、(電流を2線式の抵抗温度素子(RTD:resistive temperature device)に流す方法とほぼ同様にして)発生する電圧を測定して個々のセンサの抵抗を測定することにより、リーク電流限界を決定してもよい。センサ抵抗を知ることにより(例えば、熱電対素子においては、熱電対素子の各リード線に関する抵抗率を知ること)、リーク電流が信号のインテグリティに及ぼす影響が判定される。例えば、熱電対素子においては、端子間の抵抗率が大きくなるにつれて、リーク電流がセンサインテグリティに与える影響がより顕著となる。
【0031】
図4は、本発明に係るリーク電流検出マルチプレクサ(ここではマルチプレクサ24を付す)の別な実施形態の回路図を示している。
【0032】
図4に示す実施形態において、マルチプレクサ24は、上述した実施形態と同様に、複数の入力チャネルからセンサデータを受信するために接続がなされており、そのうちの2つ(入力チャネルCh_1及びCh_2)が示されている。上述した実施形態と同様に、各入力チャネルに接続された2端子型素子を前提とすることにより、マルチプレクサ24の説明を容易にしている。マルチプレクサ24は、複数の入力端子Ch_1a、Ch_1d、Ch_2a、及びCh_2d、複数のスイッチS_1a、S_1b、S_1c、S_1d、S_2a、S_2b、S_2c、及びS_2d、複数のリーク検出抵抗R_1b、R_1c、R_2b、及びR_2c、並びにマルチプレクサ24の共通出力チャネルを形成する複数の出力端子Sel_Ch_a、Sel_Ch_b、Sel_Ch_c、及びSel_Ch_dを含む。
【0033】
マルチプレクサ24で使用される部品には、上述した実施形態と同様に、当該部品に対応する入力チャネル及び出力チャネルの両方を示すために符号が付される。例えば、入力チャネルCh_1に関連付けられる入力端子であって、(スイッチS_1aを介して)出力端子Sel_Ch_aに出力を供給するために接続された入力端子には、Ch_1aが付されている。入力チャネルCh_1に関連付けられる他の入力端子であって、(スイッチS_1dを介して)出力端子Sel_Ch_dに出力を供給するために接続された入力端子には、Ch_1dが付されている。入力チャネルCh_1に関連付けられるリーク検出抵抗であって、一端がスイッチS_1bに接続され、他端が出力端子Sel_Ch_bに接続されたリーク検出抵抗にはR_1bが付され、一端がスイッチS_1cに接続され、他端が出力端子Sel_Ch_cに接続されたリーク検出抵抗にはR_1cが付されている。
【0034】
図2A及び2Bに関して説明した実施形態とは異なり、本実施形態は、複数の入力端子のそれぞれに対して接続されるリーク検出抵抗を含んでいる。本実施形態においては、マルチプレクサ24が複雑になってしまうが、追加のバスライン及びリーク検出抵抗に関する利点は、各入力端子におけるリーク電流を知ることを可能にすることにある。各入力端子を流れるリーク電流の情報は、選択された入力チャネルに供給されるセンサ信号を補正するために使用することができる。
【0035】
例えば、
図4に示す例において、スイッチS_1a、S_1b、S_1c、及びS_1dは、入力チャネルCh_1を選択するために閉じている。選択されなかったチャネルに関連付けられるスイッチについては、開いたままである。センサ素子18aによって供給されるセンサ入力は、電圧差として出力端子Sel_Ch_a及びSel_Ch_dのそれぞれに供給される。入力端子Ch_1aを流れるリーク電流ibは、リーク検出抵抗R_1bの両端の電圧降下に基づいて測定され、且つ出力端子Sel_Ch_aとSel_Ch_bとの間の電圧差として計測される。入力端子Ch_1dに流れるリーク電流icは、リーク検出抵抗R_1cの両端の電圧降下に基づいて測定され、且つ出力端子Sel_Ch_cとSel_Ch_dとの間の電圧差として計測される。このようにして、
図4に示された実施形態は、特定のチャネルに関連付けられる2つの入力端子(例えば、入力チャネルCh_1a及びCh_1d)に供給されるリーク電流に関する情報を提供する。
【0036】
本実施形態においては、リーク電流ia及びidを測定しないため、入力端子Ch_1a及びCh_1dに供給される実際のリーク電流は、残りのバスラインに起因し得る測定されたリーク電流ib及びicの範囲内のみで把握される。特定の入力チャネルに3つ又は4つの端子のセンサ素子が接続されるような場合には、(
図5に示すような)追加のバスラインを流れるリーク電流の情報が必要となるかもしれない。しかしながら、入力端子Ch_1a及びCh_1dを流れるリーク電流のそれぞれの大部分は、リーク電流ia及びibの合成、並びにリーク電流ic及びidの合成ではなく、リーク電流ib及びicに起因する。リーク電流ib及びicのそれぞれは、リーク検出抵抗R_1b及びR_1cのそれぞれの両端の電圧降下の測定に基づいて把握される。これは、上述した実施形態と同様に、スイッチS_2b及びS_2cの両端の電位が大きくて、スイッチS_2a及びS_2dの両端の電位が比較的に小さくなるために、リーク電流ia及びidが相対的に小さくなるからである。
【0037】
結果として、リーク検出抵抗R_1b及びR_1cの両端において測定された電圧差に基づいて推定されるリーク電流は、入力端子Ch_1a及びCh_1dを流れるリーク電流を的確に表すことになる。入力端子Ch_1a及びCh_1dの間の電圧に対するリーク電流の影響を演算するためには、ハイサイド抵抗(リード線抵抗(Rh_1))及びロウサイド抵抗(リード線抵抗(Rl_1))の情報が要求される。一実施形態において、熱電対素子に関する抵抗の合計を測定することであって、熱電対素子の両端における標準的な2線式抵抗で素子の総抵抗を計測し、ハイサイド抵抗とロウサイド抵抗との比率を定める素子についての情報を併せて用いることにより、ハイサイド抵抗及びロウサイド抵抗を個別に測定することができる。既知のハイサイド抵抗及びロウサイド抵抗を有する熱電対素子に加えられる補正は、以下の例示的な式によって定義される。
【0038】
V
comp=−ib×Rh_1+ic×R1_1 式1
【0039】
式1を用いて演算された電圧補正では、リード線抵抗(ハイサイド抵抗)Rh_1を流れるリーク電流ibに起因する電圧降下、及びリード線抵抗(ロウサイド抵抗)Rl_1を流れるリーク電流icに起因する電圧降下が考慮されている。
【0040】
リーク電流の存在に起因したセンサインテグリティの喪失を検出する目的においては、入力端子の1つにおけるリーク電流に関する情報を取得できれば、一般的に十分である。入力チャネルの各端子におけるリーク電流の流れに関する情報を、リード線抵抗(ハイサイド抵抗)Rh_1及びリード線抵抗(ロウサイド抵抗)Rl_1に関する情報と共に用いることにより、入力端子Ch_1a及びCh_1bに供給される電圧におけるリーク電流の影響を補正することができる。
【0041】
センサ信号を示す出力(例えば、出力端子Sel_Ch_aと出力端子Sel_Ch_dとの間の電圧差)、及び各リーク検出抵抗の両端の電圧降下を示す出力(例えば、出力端子Sel_Ch_aと出力端子Sel_Ch_bとの間の電圧差、及び出力端子Sel_Ch_cと出力端子Sel_Ch_dとの間の電圧差)を含み、マルチプレクサ24によって供給される出力は、A/D変換器14によってデジタル値に変換されて制御装置16に供給される。供給される出力に基づき、制御装置16は、選択されたチャネルに接続されたセンサによって測定されるプロセス変数(この場合、熱電対素子によって測定される温度)を演算し、そして、算出されるリーク電流に基づいて、測定されたセンサ信号を、(例えば、式1に示すように)補正する。この手法の利点は、センサ信号のインテグリティをさもなければ喪失させる可能性のあるリーク電流の存在にもかかわらず、本発明が、検出されたリーク電流の存在を修正する補正を行うことができる点にある。
【0042】
同様の作動は、各入力チャネルに対して実施することができる。用途に応じ、作動がいずれも比較的高コストとなるA/D変換器14及び制御装置16は、複数の入力のそれぞれに関するリーク電流を周期的に検査するだけとし、事前に演算された補正信号をセンサ信号に適用してもよい。このような方法は、大きなリーク電流を発生させる要因(例えば、温度及びセンサ間の電位差)が通常はゆっくりと変化していくので一般的に許容できる。しかしながら、別の用途においては、選択されたチャネルのそれぞれに関するリーク電流を監視することが有効的なこともある。この場合、センサ信号に加えられる補正を連続的に更新することにより、信号の正確性が向上する。
【0043】
図5は、リーク電流検出マルチプレクサ(ここでは、マルチプレクサ26として符号を付す)の別な実施形態をより詳細に例示する回路図である。
図4に基づき説明したマルチプレクサと比較すると、マルチプレクサ26は、各チャネルに対応する追加のバスライン、及びマルチプレクサ26の入力端子におけるリーク電流を測定する追加のリーク検出抵抗を含んでいる。マルチプレクサ26は、複数の入力端子Ch_1b、Ch_1f、Ch_2b及びCh_2f、複数のスイッチS_1a、S_1b、S_1c、S_1d、S_1e、S_1f、S_2a、S_2b、S_2c、S_2d、S_2e及びS_2f、複数のリーク検出抵抗R_1a、R_1c、R_1d、R_1e、R_2a、R_2c、R_2d及びR_2e、並びに共通する出力チャネルを構成する複数の出力端子Sel_Ch_a、Sel_Ch_b、Sel_Ch_c、Sel_Ch_d、Sel_Ch_e及びSel_Ch_fを含んでいる。上述した実施形態と同様に、部品には、当該部品に対応する入力チャネル及び出力チャネルの両方を示すために符号が付される。
【0044】
追加のバスラインにより、マルチプレクサ26は、各端子に4つの端子が用いられたセンサに関するリーク電流の検出を行うことができる。例えば、ここでは、センサ素子18aが熱電対素子として説明されているが、温度にともなって変化する抵抗を有する抵抗温度素子に代えてもよい。抵抗温度素子は、3端子素子であってもよく、4端子素子であってもよい。4端子素子の場合、2つの端子を介して抵抗温度素子に電流が供給される。他の2つの端子は、供給された電流に応じて抵抗温度素子の両端に生じる電圧を測定するための高インピーダンス経路である。既知電流を用い、測定された電圧は、抵抗温度素子の抵抗、すなわち対応する素子の温度決定のために使用される。
【0045】
この実施形態においては、リーク電流が各バスラインに関連している上述した実施形態とは異なり、各入力端子に供給されるリーク電流のみに符号が付されている。従って、リーク電流i1及びi2は、端子Ch_2bと端子Ch_ibとの間に供給され、リーク電流i3及びi4は、端子Ch_2fと端子Ch_1fとの間に供給される。
【0046】
特定の入力チャネルを選択して、マルチプレクサ26の共通の出力チャネルに出力を供給するために、選択される入力チャネルに関連付けられるスイッチのそれぞれが閉ざされる。
図5に示す例においては、スイッチS_1a、S_1b、S_1c、S_1d、S_1e、及びS_1fが閉ざされ、チャネルCh_1が選択されている。反対に、選択されないチャネルに関連付けられるスイッチは、選択されないチャネルから選択されるチャネルを絶縁するために開かれる(又は開いたままである)。上述したように、リーク電流は、選択されたチャネルと選択されなかったチャネルとの間において発生する可能性がある。本実施形態において、リーク電流は、複数のバスライン間のそれぞれにおいて発生する可能性があるが、スイッチS_1b及びS_1fに関するバスラインにおけるリーク電流は、一般的に微小である。例えば、スイッチS_2fは、スイッチS_2eと抵抗R_2eとの間に接続されている。スイッチS_2eが開いている(すなわち、高インピーダンス)場合、センサ間の電圧V
S-Sの大部分は、スイッチS_2eの両端に供給され、これにより、スイッチS_2fにおける電圧降下は最小となる。結果として、最小のリーク電流が、スイッチS_2fを介してスイッチS_1fに供給される。スイッチS_2bに関しても同様であり、スイッチS_1bには、微小のリーク電流が供給されるか、又はリーク電流は供給されない。
【0047】
この点を考慮に入れると、リーク検出抵抗R_1a、R_1c、R_1d及びR_1eのそれぞれの両端の電圧を測定することにより、リーク電流i1、i2、i3及びi4を正確に測定することができる。リーク電流i1は、外部端子Ch_Sel_a及びCh_Sel_bを介し、リーク検出抵抗(電流検出抵抗)R_1aの両側の電圧を計測することによって測定される。リーク検出抵抗R_1aの両端において測定された電圧を、抵抗R_1aの抵抗値の情報と共に用いることにより、リーク電流ilを測定することができる。同様に、リーク電流i2は、外部端子Ch_Sel_b及びCh_Sel_cを介し、リーク検出抵抗(電流検出抵抗)R_1cの両側の電圧を計測することによって測定される。抵抗R_1d及びR_1eは、入力端子Ch_1fを流れるリーク電流i3及びi4を測定するために同様に用いられている。リーク電流i1及びi2は、入力端子Ch_1bにおけるリーク電流を測定するために合成され、リーク電流i3及びi4は、入力端子Ch_1fにおけるリーク電流を測定するために合成される。
【0048】
上述したように、出力端子Sel_Ch_a、Sel_Ch_b、Sel_Ch_c、Sel_Ch_d、Sel_Ch_e、及びSel_Ch_fに供給される電圧値は、A/D変換器14に供給され、デジタル値に変換され、分析のために制御装置(例えば、
図1に示す制御装置16)に供給される。例えば、センサ値は、出力端子Sel_Ch_b及びSel_Ch_fの間に供給される電圧差に基づいている。リーク電流i1は、出力端子Sel_Ch_a及びSel_Ch_bの間に供給される電圧差に基づいており、リーク電流i2、i3、i4は、リーク検出抵抗R_1c、R_1d及びR_1eのそれぞれの両端で検出される電圧差のそれぞれに基づいている。
【0049】
供給された出力に基づき、制御装置16は、選択されたチャネルに接続されたセンサによって測定されたプロセス変数(例えば、センサ素子18aによって検出される温度)を演算し、リーク電流の大きさがマルチプレクサの出力のインテグリティを喪失させたか否かを判定する。各端子におけるリーク電流の大きさの把握は、検出されたプロセス変動に対してリーク電流が与える影響を、制御装置16がいっそう適切に判定することができるので有利である。
【0050】
加えて、入力端子の両方に流れるリーク電流の情報を把握することにより、制御装置は、センサ素子18aの各配線に供給されるリーク電流の影響を補正するべく、選択されたセンサによって供給される出力に加える補正信号(例えば、電圧)を演算することができる。追加のバスラインにより、多数の端子を有した入力チャネル(例えば、抵抗温度素子に接続された入力チャネル)に関するリーク電流を測定することが可能になる。この手法の利点は、センサ信号のインテグリティをさもなければ喪失させる可能性のあるリーク電流の存在にもかかわらず、本発明が、検出されたリーク電流の存在を修正する補正を行うことができることにある。具体的な実施形態において、制御装置16は、以下の数式を使用し、リード線抵抗Rh_1及びRl_1を有する熱電対素子によって供給されるセンサ出力に適用される補正値を演算する。上述した式1に関して説明したように、熱電対素子の場合は、リード線抵抗(ハイサイド抵抗)Rh_1の値及びリード線抵抗(ロウサイド抵抗)Rl_1の値の情報が必要である。
【0051】
V
comp=−((i1+i2)×Rh_1+i2×R_1c)
+((i3+i4)×Rl_1+i3×R_1d) 式2
【0052】
式2に示すように演算された電圧補正値により、リーク電流i1及びi2に起因するハイサイド抵抗の両端の電圧降下、及びリーク電流i2に起因するリーク検出抵抗R_1cの両端の電圧降下だけでなく、リーク電流i3及びi4に起因するロウサイド抵抗の両端における電圧降下、並びにリーク電流i3に起因するリーク検出抵抗R_1dの両端における電圧降下に対するリーク電流の影響が考慮される。
【0053】
同様の作動は、各入力チャネルに対して実施してもよい。用途に応じ、作動がいずれも比較的高コストとなるA/D変換器14及び制御装置16は、複数の入力のそれぞれに関するリーク電流を周期的に検査するだけとし、事前に演算された補正信号をセンサ信号に適用してもよい。このような方法は、大きなリーク電流を発生させる要因が比較的ゆっくりと変化していくので一般的に許容できる。別の用途においては、選択されたチャネルのそれぞれに関するリーク電流を監視することが有効的なこともある。この場合、センサ信号に加えられる補正を連続的に更新することにより、信号の正確性が向上する。
【0054】
具体的な実施形態に基づいて本発明を説明したが、当業者は、特許請求の範囲に記載された発明の範囲から逸脱せずに、形状や詳細構成について変形が可能であることを認識するであろう。例えば、本発明のマルチプレクサは、
図2A、
図2B、
図4及び
図5に関して説明された単なる2端子型の熱電対素子以外の素子と情報伝達するように構成されてもよい。ある素子は、各入力チャネルに対して、追加の入力端子を必要とする。結果として、マルチプレクサは、各入力端子に接続された追加のバスライン、及び特定のチャネルに関連付けられる入力のそれぞれと情報伝達する追加の出力端子を含んでいてもよい。1又は複数の端子に関するリーク電流の測定のために、1又は複数の入力端子に対して追加のリーク検出抵抗が必要となることもある。また、設けられた各リーク検出抵抗の両端における電圧降下を測定するために、追加のバスラインが必要となることもあろう。
【0055】
更に、各実施形態においては、マルチプレクサ、A/D変換器及び制御装置を個別の部品として説明したが、当業者は、これらの部品が単一部品として、組み合わされうることを認識できるであろう。例えば、これらの部品のそれぞれによって実行される機能は、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)又は同様の装置の使用によって実現されてもよい。