(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
1つの周知の種類の体外血液処理はアフェレーシスシステム及び手順を伴う。アフェレーシスシステム及び手順においては、血液は、供血者又は患者(以後、供血者と総称する)から取り出され、血液成分分離装置(例えば、遠心分離機)に導かれ、採取又は治療の目的のために、様々な血液成分種類(例えば、赤血球、白血球、血小板、血漿)に分離される。1つ又は複数又は全てのこれらの血液成分種類は、治療目的のために採取又は処理された後に貯蔵又は患者に返還される一方で、その他の部分は、供血者又は患者に単に返還される。
【0003】
いくつかの要因がアフェレーシスシステムの商業化に影響し得る。1つの要因は、個人がアフェレーシスシステムを準備及び操作するために要求される時間及び専門技術に関する。例えば、オペレータが採取手順全体を完了させるために要求される時間を短縮すること、及びこれらの動作の複雑さを軽減することにより、生産性が向上され得、又はオペレータによる過誤の可能性が低減され得る。さらに、システムがオペレータに依存する度合いを低減することにより、これらのシステムのオペレータに望まれる/要求される資質を低く抑えることができる。
【0004】
性能に関する要因もアフェレーシスシステムの商業化に影響し得る。性能は、アフェレーシスシステムの採取効率により判断され得る。採取効率は、生成物品質に影響又は生成物品質を改善し、及び/又は、処理時間量を短縮し、その結果として、オペレータの負担を軽減し供血者の利便性を向上し得るものである。システムの採取効率は、もちろん、アフェレーシスシステムを通過するある特定血液成分の種類の量に対して採取された特定血液成分種類の量等の、様々な方法で測定され得る。性能は、アフェレーシス手順が様々な血液成分種類に対して有する効果に基づいて評価されてもよい。例えば、アフェレーシス手順の結果として生じる、血液成分種に対する悪影響が最小化されることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に、ある患者における、血漿により誘発される輸血反応に対する懸念が生じてきている。低い血漿濃度を有する、及びPASが保存溶液として用いられる、血小板成分(又は「生成物」)を生成するための努力がなされてきた。係る血小板生成物は、例えば、1ミリリットル当たり3000個から5000個の血小板という高い血小板濃度を有し得るが、可能な限り少量の残留血漿を有する血小板生成物を生成し、それにより血漿により誘発される輸血反応を軽減又は排除する必要が依然として存在する。
【0006】
アフェレーシス分離と組み合わせて赤血球を濾過するための装置及び方法も、2000年9月27日に出願された同一出願人の米国特許出願第09/672,519号に開示され、米国特許出願第09/672,519号は参照することにより本明細書に含まれる。アフェレーシス赤血球分離及び採取に関する関連技術は、国際公開第99/11305号パンフレットに見出され得る。国際公開第99/11305号パンフレットは参照することにより本明細書に含まれる。同一出願人の米国特許第7,052,606号明細書は、赤血球濾過に関するものであるが、保存溶液を採取された血液成分に加える必要性及び、保存溶液を採取された成分に加えるためのある手段について議論している。同一出願人による米国特許出願第12/234,960号(米国特許出願公開第2009/0166298号明細書)では、血液成分に対するPASの制御された添加についての記載がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、全般的には、体外血液処理に関し、さらに詳細には、低血漿含有量を有する高濃度血小板生成物を生成するための装置に関する。複数のチャンバが、分離器すなわちLRSチャンバと濃縮器すなわち濃縮チャンバとを備える遠心分離ロータに装着される。これらのチャンバは、血液成分が、1つのみのチャンバ又は両方のチャンバを介して、選択的に処理されるように、接続される。好ましくは、本発明の様々な態様はアフェレーシスシステム(「健康」な細胞若しくは他の血液成分が、後に輸血を行うために、供血者の血液から取り出される血液成分採取のため、又は「不健康」な血液成分を治療のために取り出すため)に組み込まれるので、本発明は係るアフェレーシスシステムに関して説明される。アフェレーシスは、多くの場合、ある血液成分を供血者に戻すことを意味する。しかし、本発明のある態様は、供血された全血液成分が保持される体外血液処理用途にも好適であり、係る用途も本発明の範囲に含まれることを意図するものである。
【0008】
本発明の1つ又は複数の態様とともに用いられるアフェレーシスシステムは、一般に、少なくとも血液成分分離装置(薄膜に基づく分離装置、及び/又は、例えばロータ及び経路の組み合わせ等の回転可能な遠心分離機要素)を含み得る。係る血液成分分離装置は、血液を、例えば、赤血球、白血球、血小板、又は血漿等の様々な血液成分に分離するために必要とされる機構及び/又は力を提供する。1つの好適な実施形態においては、分離装置は、使い捨ての血液処理容器を受容する遠心分離経路を備える。典型的には、供血者は、体外管路により、血液処理容器と流体的に相互接続される。好適には、血液処理容器及び体外管路が共同して、密封された無菌システムを画成する。流体相互接続が確立されると、血液は、少なくとも1種類の血液成分が、採取又は治療目的のために、血液から分離及び取り出され得るよう、供血者から抽出され血液成分分離装置へと導かれ得る。添加剤又は保存溶液が、赤血球又は血小板に添加される。従来、選択された血液成分を供血者に返還する前に該血液成分を受容するため、返血貯血槽が用いられてきた。選択された血液成分が採取された後、保存溶液を血液処理管及び採取組立体の主要部分に対して付与するように制御が行われる。血液処理管及び採取組立体がある方法で接続されることにより、保存溶液が蠕動ポンプを通過して返血貯血槽へと流れることが可能となる。返血貯血槽におけるセンサは、保存溶液の存在を確認するために、及び管・採取組立体内における溶液を調整するために、用いられる。制御された容積の添加剤又は保存溶液が、赤血球又は血小板を含む保存バッグへとポンピングされる。この容積は、ポンプの一回転当たりの流動量が既知である蠕動ポンプの動作により、制御又は測定される。この装置は、システムにおける保存溶液の存在を確認した後、採取された血液成分を含有するバッグへと保存溶液をポンピングする。或いは、保存溶液は、成分を採取する際に添加されてもよい。保存溶液による自己プライミング及び溶液の測定された供給は、オペレータの介入の必要性及び生じうる過誤を低減させ、血液成分と保存溶液との混合の正確さを改善する。
【0009】
本発明の1つの特徴は、遠心分離ロータを備える血液処理装置及び使い捨てセットを提供することである。該装置及び該セットは、流出ラインを有し且つ前記遠心分離機に取り付けられ且つ前記流出ラインの少なくとも1部分が前述の遠心分離ロータから延在する分離チャンバと、少なくとも1つの流出ラインに流体連通する溶液ラインと、流入口及び流出口を有する採取チャンバとを備える。前記分離チャンバの流出口は前記採取チャンバの前記流入口に流体連通する。
【0010】
本発明の他の態様は、分離チャンバの流出口と採取チャンバの流入口との間に接続された溶液ラインを提供することである。
【0011】
本発明のさらに他の態様は、採取チャンバの流出口に流体連通する、少なくとも1つの血液成分採取バッグを提供することである。
【0012】
本発明の他の要素は、血液成分を採取チャンバから採取バッグへと流出させると同時に分離チャンバからの流体の流出を遮るための手段であってもよい。
【0013】
他の態様においては、全血を受容するための血液処理容器が提供される。血液処理容器は流出口を有し、血液処理容器の流出口は分離チャンバの流入口に流体連通する。
【0017】
本発明の上記及び他の態様は、以下に記載される、添付の図面と組み合わせて提示される好適な実施形態の以下の説明において、より詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、添付の図面と関連して説明される。一般に、本発明の主要な態様は、血液処理アフェレーシスシステムとともに用いるためのサブ組立体における、又はこのサブ組立体に対する、手順上の又は構造上の改良に関するものである。しかしながら、これらの改良のうちのあるものは、血液成分が供血者に直接戻されるか否かに関わらず、他の体外血液処理用途にも適用され得る。なお、それらも本発明の範囲に含まれる。
【0020】
本発明において用いられる、及び/又は本発明とともに用いられる、好適な血液アフェレーシスシステム2が、
図1に概略的に示される。アフェレーシスシステム2は、好適には、連続的血液成分分離プロセスを提供する。一般的に、全血は供血者から取り出され、実質上、それに引き続き、血液成分分離装置6に供給される。血液成分分離装置6においては、引き続いて、血液は様々な成分種類に分離され、好適には、これらの血液成分種類のうちの少なくとも1つが、引き続いて、血液成分分離装置6から採取される。次いで、1つ又は複数の分離された血液成分は、採取された後、輸血を介して他者に使用されるか、又は、採取されず供血者に返還され得る。ある分離された血液成分を治療処置して、ほぼ即時に返還することは、実行可能ではあるが、あまり一般的ではない。治療処置では、血液は、本発明の原理を用いて濾過により様々な成分に分離され、以下に説明するように、患者の臨床において該患者に返還され得ることもあると理解される。
【0021】
血液アフェレーシスシステム2において、血液は供血者から取り出され、あらかじめ接続されたバッグ・管セット8を通して導かれる。バッグ・管セット8は、体外管路10と、一実施形態においては血液処理容器12とを備え、これらにより、密封され消毒された使い捨てシステムが画成される。バッグ・管セット8は、好適には、使い捨てであり、血液成分分離装置6上及び/又は血液成分分離装置6内に取り付けられるよう構成される。分離装置6は、好適には、体外管路10に対して接続するためのポンプ/バルブ/センサ組立体14と、使い捨て血液処理容器12に対して接続するための導管組立体16とを備える。
【0022】
導管組立体16は、回転可能遠心分離ロータ組立体20に回転可能に相互接続された導管ハウジング18を備え得る。それにより、遠心分離により血液を様々な血液成分に分離するために必要とされる遠心力が提供される。血液処理容器12は、導管ハウジング18内に嵌合し得る。上述のように接続されると、血液は、供血者から、体外管路10を通過して、回転可能血液処理容器12へと実質的に連続的に流れ得る。次いで、血液処理容器12内の血液は、様々な血液成分種類へと連続的に分離され、これらの血液成分種類(血小板、血漿、又は赤血球)のうちの少なくとも1つが、好適には、血液処理容器12から連続的に取り出される。採取目的のために、又は治療処置目的のために保持されない血液成分はまた、好適には、血液処理容器12から取り出され、体外管路10を介して、供血者へと返還される。血液成分が供血者に返還される/されないにかかわらず、又は血液成分が供血者に返還されない場合でさえも、バッチ処理システム(全血液の非連続的な流入、又は分離された血液成分の非連続的な流出)又は小規模なバッチ又は連続的RBC/血漿分離システムを含む、その他様々なアフェレーシスシステム(図示せず)も本発明を利用することができる。
【0023】
血液成分分離装置6の動作は、好適には、血液成分分離装置6内に備えられた1つ又は複数のプロセッサにより制御され、増加の一途をたどるPCユーザ設備(例えば、CDROM、モデム、音響、ネットワーク、及び他の能力)とのインターフェースを可能とするために、複数の組み込みコンピュータプロセッサを備える。アフェレーシスシステム2のオペレータを、その動作の様々な態様に関して、補助するため、血液成分分離装置6は、好適には、インタラクティブタッチスクリーン24を有するグラフィックインターフェース22を備える。
【0024】
Gambro Trima(登録商標)システム及びTrima(登録商標)Accel(商標)システム(本出願の出願人である米国コロラド州レイクウッドのGambro BCT社から入手可能である)等の、好適なアフェレーシスシステムの動作に関するさらなる詳細は、例えば、他に多数ある中で一例をあげれば、国際公開第99/11305号パンフレット、米国特許第5,653,887号明細書、米国特許第5,676,644号明細書、米国特許第5,702,357号明細書、米国特許第5,720,716号明細書、米国特許第5,722,946号明細書、米国特許第5,738,644号明細書、米国特許第5,750,025号明細書、米国特許第5,795,317号明細書、米国特許第5,837,150号明細書、米国特許第5,919,154号明細書、米国特許第5,921,950号明細書、米国特許第5,941,842号明細書、及び米国特許第6,129,656号明細書を含む、複数の刊行物に見出され得る。これらの開示は、本明細書に組み込まれる。例えば、Baxter CS3000(登録商標)、Amicus(登録商標)、Autopheresis C(登録商標)、及びAlyx systems又はHaemonetics MCS(登録商標)及びMCS(登録商標)+、又はFresenius COM.TEC(商標) 及びAS 104(商標)、その他等の、他の既知であるアフェレーシスシステムも、有用である。
【0025】
使い捨てセット:体外管路
図2及び
図3に示すように、カセット組立体26と、カセット組立体26に対して相互接続された、いくつかの管/採取組立体28、30、32、34、36、40とを備える、あらかじめ接続された体外管路10が示される。好適には、脱血/返血管組立体28は、供血者と、体外管路10の残りの部分との間のシングルニードル接続を提供する(ただし、図示しないが、2針構成も用いられ得る)。少なくとも2本のライン42及び44が、供血者から血液を取り出すために、及び供血者に血液成分を返還するために、組立体28に設けられる(
図3を参照)。この実施形態はカセット組立体26を備える。カセット組立体26は、供血者が接続される管組立体28と、カセット組立体26と血液処理容器12とのインターフェースを構成する血液流入/血液成分流出管ラインサブ組立体32との間で相互接続される。
図2及び
図3において、血液及び成分の処理容器12に対する移動のための4本のライン46、48、50、52が示される。この実施形態においては、抗凝血管組立体30、血漿採取管・バッグ組立体36、PAS溶液バッグ38、ベントバッグ管ラインサブ組立体34、及び血小板組立体40も、カセット組立体26によって相互接続される。理解されるように、体外管路10及び血液処理容器12は、好適には、一回使い切り用の、密封され、あらかじめ消毒された、使い捨て組立体を構成するように、あらかじめ相互接続される。
【0026】
血液流入/血液成分管組立体32のRBC流出管ライン48は、血液処理容器12から出て、カセット組立体26のカセット54の統合RBC通路52と相互接続される(
図2及び
図3を参照)。統合RBC通路52は、第1分岐52a及び第2分岐52bを備える。第1分岐52aは、分離されたRBCを供血者に返還するためのRBC返還管ループ56と相互接続される。係る目的のために、RBC返還管ループ52は、好適には、カセット組立体26の返血貯血槽58の上部に相互接続される。第2分岐52bは、本開示においては好適であるように、閉じられてよい。
【0027】
カセット組立体26の1部分においては、血液流入/血液成分管組立体32の血漿管50(
図2及び
図3を参照)は、カセット組立体26の第1統合血漿通路74a(
図3を参照)と相互接続される(これは、好適には、血漿採取サブシステムであるが、しかしながら、血小板等の他の成分も、この構成、又は同様の構成を用いて、採取され得る)。カセット組立体26は、ポンプと係合する血漿管ループ76をさらに備える。血漿管ループ76は、第1統合血漿通路74a及び第2統合血漿通路74bに対して相互接続する。第2統合血漿通路74bは、第1分岐78a及び第2分岐78bを備える。第1分岐78aは、管ライン80を介して、血漿採取管組立体36に相互接続される。血漿採取管組立体36は、使用中に血漿を採取するために用いられ、血漿採取管80及び血漿採取バッグ82を備える。スライドクランプ84(
図2を参照)が血漿採取管80に設けられる。第2統合血漿通路74bの第2分岐78bは、血漿を供血者/患者に返還するために、血漿返還管ループ86に相互接続される。係る目的のために、血漿返還管ループ86は、ループ108及びループ114を通って、カセット組立体26の返血貯血槽58の上部に相互接続される。1つ又は複数の種類の未採取血液成分、例えば、血漿及び/又は血小板は、返血成分と総称され、使用中は、周期的に返血貯血槽58に蓄積され、返血貯血槽58から取り出される。ここでもまた、バルブ/クランプがカセット組立体26を通じて利用され、それにより、血漿採取管80及び血漿返還管ループ86が、流れ制御するためのあらかじめ定められた離間関係に保たれる。
【0028】
管組立体28、30、32、36、34、38、40と、カセット組立体26との大部分は、好適には、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)管ラインを含む、プラスチック部品から構成される。これらのプラスチック部品は、使用中に、血液/血液成分の視覚的観察及び監視を可能とする。薄壁ポリ塩化ビニル管が、特に赤血球採取管ライン60に対する、承認された無菌結合(すなわち、2本の管ラインの直接的接続)のために用いられ得ることに注意すべきである。すべての管ラインは、システムの無菌性を最大限に維持するために、使い捨て組立体全体を消毒する前にあらかじめ接続される。採取バッグを含む管回路の構成要素全部をあらかじめ接続することに関して極めて望ましい利点は、予め完全に組み立て、その後に滅菌することにより、後で無菌結合をする必要がないことである(保存溶液のスパイク添加を除く)。従って、無菌結合のコスト及びリスクが排除される。或いは、厚壁ポリ塩化ビニル管を、特に赤血球採取管ライン60の承認された無菌結合のために用いてもよい。
【0029】
上述のように、
図3の実施形態におけるカセット組立体26は、使用の際、血液成分分離装置6のポンプ/バルブ/センサ組立体14に取り付けられ、また動作可能に接続される。血液成分分離装置6に対する使い捨て組立体8の装填及び相互作用を含む、アフェレーシスシステム構成に関するさらなる詳細は、特に、上記に列挙した特許に見出され得るものであり、本明細書においては網羅的に繰り返さない。
【0030】
体外管路及び血液成分分離装置の動作
アフェレーシス手順のプライミング及び他の様々な動作は、好適には、上記で列挙した特許に記載されるように実行される。脱血において、全血は、供血者から、脱血/返血管組立体28の管ライン44へと通され、次いで、血液成分分離装置6に輸送される。血液成分分離装置6において、血液は、好適にはループ88(
図3を参照)を介してポンピングされ、カセット組立体26と血液流入/血液成分管組立体32のライン46(
図2及び
図3を参照)とを介して、処理容器12へ流れる。次いで、分離処理は、血液処理容器12において実質的に連続的に行われる。すなわち、血液処理容器12において流れる血液は分離され、分離成分として血液処理容器12から流出する。血液処理容器12における分離処理(分離は連続的に生じるものであるが)の後、未採取の血液成分は、血液処理容器12から、カセット組立体26へと輸送され、カセット組立体26を通って、カセット26の返血貯血槽58(
図2及び
図3を参照)へと輸送され、所定レベルに達するまで返血貯血槽58内に蓄積される。この所定レベルにおいては、血液成分分離装置6は、シングルニードル動作の場合(ただし、連続システムにおいてはその必要はないが)、脱血サブモードを停止し、これらの未採取及び/又は処理された成分が供血者に返還され得る返血サブモードを開始する。そのために、これらの蓄積された成分は、脱血/返血管組立体28の返血管ライン44へと輸送され、供血者へと戻される。シングルニードル返血モードにおいては、返血貯血槽58における蓄積された返血成分が、所定レベルに低下するまで取り出されると、血液成分分離装置6は返血サブモードを自動的に停止する。これにより、好適には、脱血サブモードが再開又は継続されるように自動的に機能する。次いで、脱血サブモード及び返血サブモードのサイクルは、所定量の採取された血液成分が採取されるまで、継続される。デュアルニードル方式においては、当該技術分野において既知であるように、血液は連続的に供血者から取り出され、血液成分は連続的に供血者に返還される。例えばポンプの制御を含む係る動作に対する詳細な機構については、本明細書において詳細に図示又は説明しない。
【0031】
ある成分も、同時に又は連続的に、次々と採取され得る。1つの例においては、血小板は同時に血漿とともに採取され得る。図面に示す主要な例においては、2つの成分、すなわち組立体36に血小板が、他の採取組立体40に血漿が採取される様子が示される。十分な量の、一方の成分又は他方の成分が採取されると、係る成分のさらなる分離された部分は、十分な量の全成分が採取されるまで、他方の未採取成分とともに、供血者に返還される。1つ又は2つの選択された成分は採取され、同時に、その他の全成分は供血者に返還されてもよい。
【0032】
特に
図2及び
図3を参照すると、通常動作において、全血は、供血者から、ニードル・脱血管組立体28と、カセット組立体26と、血液流入管ライン46とを通って、処理容器12へと通される。次いで、全血は処理容器12において分離される。また、血小板流又は血漿流は、処理容器12内で分離され、次いで、採取組立体40又は36において採取されるか、又は最終的に供血者に返還されるために返血貯血槽58へと迂回される。分離された血漿は、血漿用の容器82に採取するために、カセット26を通り、ループ76及びライン80を介して流れるか、又は、ループ86を介して返血貯血槽58に迂回される。分離された血小板は、容器112に採取するために、カセット26を通り、ループ108及びライン110を介して流れるか、又は、ループ114を介して返血貯血槽58に迂回される。さらに、赤血球(いくらかの白血球も含み得る)は、処理容器12において分離され、処理容器12から出て、RBC流出管ライン48を通り、カセット組立体26及びループ56を通り、返血貯血槽58へと流れる。
【0033】
アフェレーシス手続
上述のアフェレーシスシステム2を利用して供血者に対してアフェレーシス手順を実施する際に従うべき1つの好適な手続について、ここでまとめる。最初に、オペレータは、使い捨てプラスチック組立体8を、血液成分分離装置6において、及び/又は、血液成分分離装置6上に、装填する。本手続によれば、オペレータは様々なバッグを、血液成分分離装置6上のフックに吊す。1つが用いられる場合、オペレータは、カセット組立体26を、血液成分分離装置6上に装填し、及び/又は血液処理容器12を、血液成分分離装置6の遠心分離ロータ組立体20に取り付けられる導管ハウジング18内に装填する。
【0034】
体外管路10及び血液処理容器12が上記の方法で装填されると、供血者は、ニードル/管組立体28のアクセスニードルを供血者に挿入することにより、体外管路10に対して流体的に相互接続される。加えて、抗凝血管組立体30(
図2を参照)がプライミングされ、脱血/返血管組立体28が、好適には、供血者からの血液によりプライミングされる。血液処理容器12もまたアフェレーシス手順のためにプライミングされる。一実施形態において、血液が血液処理容器12内に導入される最初の液体となるように、血液プライミングが用いられる。プライミング手順の間、及び、アフェレーシス手順の残り全体を通して、血液は血液処理容器12に流れ込み、血液成分は相互に分離され、1つ又は複数の成分が血液処理容器12から取り出される。
【0035】
好適な血液アフェレーシスシステム2は、血液処理の間に、血小板及び血漿の分離を含む、複数の血液成分を同時に分離するが、任意に、血小板を分離及び採取してもよい。次いで、係る分離された血液成分は、対応する貯血槽に選択的に採取されるか、又はそれぞれの返血サブモード中に、即時もしくは微小遅延後に、(又は2針構成においては実質的に定常的に)供血者に返還される。
【0036】
図3に示すプライミング段階においては、供血者の血液はライン42を通ってポンプループ88へと流れる。ポンプループ88においては、蠕動ポンプが、全血を、ライン46を通って血液処理容器12へと流す。或いは、供血者の血液に代わって、食塩水又は他の好適な溶液が装置をプライミングするために用いられてもよい。血液処理容器12が血液で充填され、遠心力の影響により分離が開始されると、赤血球はライン48から流出し、カセットにおける通路52と返還ループ56とを通って、返血貯血槽58へと流れる。場合によって、血液成分は、返還ループ130に対して動作する蠕動ポンプにより、返血貯血槽58から汲み出される。血液成分はライン44を通って供血者に返還される。血小板及び血漿は、分離容器12を出て、第1分離のために、第1の階段状LRSすなわち分離チャンバ132に入る。カセット26の管と係合するバルブの影響により、後に説明するように、分離チャンバ132から出る流体は、第2又は濃縮チャンバ134と、管50、内部通路74a、ポンプ係合ループ76、内部通路74b、及び返還ループ136を備え且つ返血貯血槽58に接続された返還経路との両方を充填する。濃縮チャンバは、階段状側壁を有する必要はない。PAS溶液ライン83は、逆止弁144により、外向きの流れに対して閉じられる。血漿ライン86は、ポンプ/バルブ/センサ組立体14上の回転バルブ138により、閉じられる。濃縮チャンバ134から流れる流体は、ライン52を通ってカセット26の内部通路106aへ流れ、ポンプ係合ループ108及び返還ループ114を通って、返血貯血槽58へと流れる。バルブ140は、血小板ライン110を一時的に閉じる。
【0037】
プライミング後、血漿は採取され、その一方で、血小板は分離チャンバ又はLRSチャンバ132に蓄積する。
図4に示すように、全血は、依然としてループ88を通って、血液処理容器12へと駆動される。血漿は、ループ76のポンプの動作により、分離チャンバ132から採取される。バルブ138が回転して、管86が開放され、管83及びループ136の両方が閉じられる。加えて、いくらかの血漿は、ループ114及び返血貯血槽58を通って供血者に返還されるために、濃縮チャンバ134から取り出される。2つのチャンバからの取り出しの相対的比率は、ループ76で及びループ108で動作する蠕動ポンプの相対速度に依存する。血漿は採取され、その一方で、血小板は分離チャンバ132に蓄積される。或いは、血漿は採取されるか、又は第1チャンバ132、又は第2チャンバ134から、供血者に返還される。
【0038】
分離チャンバ132が血小板により充填又は飽和された後、血小板は、
図5に示すように、第1チャンバから溢れ始める。この段階においては、ループ76を駆動する蠕動ポンプは停止され、それにより、血漿のさらなる採取は遮られる。加えて、バルブ138が再び回転されることにより、返還ループ136は開放され、血漿採取管86は閉じられる。PAS溶液ライン83は、逆止弁144により、依然として遮られている。血小板は濃縮チャンバ134に流れ込み、濃縮チャンバ134において蓄積され始める。血漿は、ループ108上のポンプ動作により、濃縮チャンバ134から取り出され、返還ループ114及び返血貯血槽58を通って供血者に返還される。
【0039】
濃縮チャンバ134に蓄積する血小板から血漿をさらに洗い出すため、
図6に示すように、血小板添加剤溶液(PAS)が濃縮チャンバ134の流入ラインへと導入される。この段階において、ポンプ/バルブ/センサ組立体14のバルブ142が回転されることにより、赤血球返還ループ56は閉じられる。管76と係合する血漿ポンプが逆方向に運転されると、それにより、PASは、逆止弁144を通って引き出される一方で、流体は、第2逆止弁146により、返還ループ136の逆流が防止される。バルブ140は、血小板採取管110における流体流を依然として遮る。この状態においては、PASはカセット26へと引かれ、ループ76を通って、血漿管50へと流れ込む。PASと、分離チャンバ132から流れる血小板及び血漿の混合液との均衡された流れは、混合されて、濃縮チャンバ134の流入口に入る。濃縮チャンバ134において、血小板は蓄積を続ける。血漿及びPASの混合液は、ループ108及び返還ループ114を通ってポンピングされ、返血貯血槽58に流れ込む。PASにより希釈された血漿が供血者に返還される。2つのポンプと、濃縮チャンバ134に流入する2つの流体ソースとの組み合わせにより、濃縮チャンバにおける成分の混合を制御することが可能となる。さらに、濃縮チャンバにおける血小板(又は、他の血球又は細胞種類)は、連続プロセスにより、所望量の、PAS等の洗浄用溶液を用いて、洗い出されてもよい。従来の細胞洗浄装置においては、ある容積の洗浄用溶液が、血液成分を含むバッグに導入された。次いで、バッグ及びその内容物は遠心力を受け、それにより、内容物が分離された。望ましくない成分(例えば、血漿)及び洗浄用溶液を含有する低濃度流体は、取り除かれる。次いで、このプロセスは、望ましくない内容物の濃度が所望の低レベルに低下するまで、反復された。それと対比的に、本発明においては、望ましくない内容物が所望レベルに達するまで、洗浄用溶液は採取チャンバ134へと連続的に導入され得る。
【0040】
PASにおいて保存濃度に希釈された純粋な血小板の採取が
図7に示される。この段階において、バルブ140は血小板採取ライン110を開放し、返還ループ114を閉じる。血漿採取ポンプの逆方向(例えば、時計方向)の速度が高められ、全血ループ88と係合する全血ポンプが停止されると、それにより、分離チャンバ132からさらに流出する流体流は遮られ、その一方で、蓄積された血小板が濃縮チャンバから流出される。ループ108と係合する血小板採取ポンプは、血小板及びPASを血小板採取管110へと、及び血小板採取バッグ40へと、ポンピングする。
図4、
図5、及び
図6に示す段階は、十分な量の血小板が採取されるまで、複数回繰り返される。
【0041】
血小板及び血漿の採取が完了すると、採取バッグ36及び40は、セット8の他の部分から分離される。この分離は、クランプにより、又は管ライン86及び110をRFシールし、次いで、特に米国特許第5,345,070号明細書及び米国特許第5,520,218号明細書にしたがって、管ラインのRFシールされた部分に沿って分離することにより、なされ得る。他の周知の方法を用いて、管ラインを閉じ、次いで採取バッグ36及び40を使い捨て組立体8の残りの部分から分離してもよい。
【0042】
本発明に関する前述の説明は、例示及び説明の目的のために提示されたものである。さらに、前述の説明は、発明を、本明細書において開示された形態に限定することを意図するものではない。従って、上述の教示に相応する変化例及び変更例、及び関連技術の技能及び知識は、本発明の範囲に含まれる。上述した実施形態は、本発明を実施することに関して知られる最良の形態を説明し、当業者が、係る実施形態において、又は係る他の実施形態において、及び、本発明の特定の用途又は使用により必要とされる様々な変更例を用いて、本発明を利用することを可能とすることを、さらに意図するものである。添付の請求項は、先行技術により容認される程度まで代替的な実施形態を含むものであると解釈されることを意図するものである。