(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5667314
(24)【登録日】2014年12月19日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
H01R13/52 301Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-25114(P2014-25114)
(22)【出願日】2014年2月13日
【審査請求日】2014年8月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100126745
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188363
【弁理士】
【氏名又は名称】長沢 豊
(72)【発明者】
【氏名】大崎 卓也
【審査官】
楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−147966(JP,A)
【文献】
特開平06−176815(JP,A)
【文献】
特開2001−006798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
B60L 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状部、及び前記筒状部に収容されると共に端子を収容する複数の端子収容部を有するハウジングと、
前記端子収容部をシールする第1シール部材及び第2シール部材とを備え、
前記第1シール部材は、第1端子収容部の外周側に嵌合される第1環状部と、前記第1環状部から隣接する第2端子収容部の配置方向とは異なる方向に延びるように形成された第1延在部とを有しており、
前記第2シール部材は、前記第2端子収容部に嵌合される第2環状部と、更に第3端子収容部に嵌合される第3環状部と、前記第2環状部及び前記第3環状部を連結すると共に少なくとも前記第1延在部上に重なるように延びて前記第1延在部を押さえる第2延在部とを有しており、
前記第2端子収容部及び前記第3端子収容部の先端側には前記第2シール部材を固定する固定部材が設けられることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記第1シール部材が、更に1又は2以上の環状部を有しており、前記第1シール部材の全ての環状部である第1シール環状部が前記第1延在部で連結されているを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第2シール部材が、更に1又は2以上の環状部を有しており、前記第2シール部材の全ての環状部である第2シール環状部が前記第2延在部で連結されていることを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第1シール環状部には、各環状部の外周に沿ってそれぞれ第1突起部が形成されており、前記第2シール環状部には、各環状部の外周に沿ってそれぞれ第2突起部が形成されており、前記第1突起部と前記第2突起部は、環状部の高さ方向における形成位置が異なることを特徴とする請求項1〜3何れか1項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車等の受電するために車両側に取付けられるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やプラグインハイブリッドタイプの自動車等の普及が進んでいる。これらの自動車は駆動力の主な発生源としてモーターを用いており、このモーターへの電力供給手段として二次電池を搭載している。このような車両の二次電池を充電する方法においては、車両側の充電口と充電ケーブルとの間を着脱自在に係合し、相互間の電気的な接続を得るためのコネクタを設ける必要がある。
【0003】
通常、車両への充電は屋外で行われるため、充電時に車両側の充電コネクタに水が浸入して端子間にリーク電流が流れて絶縁破壊される可能性がある。このような端子間のリーク電流を防止するために、各端子収容室の間をもシールする、いわゆる個室防水構造のコネクタが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−6798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されたコネクタは、コネクタハウジングに、端子金具を収容した複数の端子収容部が並んで突設され、この各端子収容部の外周に嵌着されて対応する相手側コネクタハウジングの筒部との間をシールする防水リングが設けられている。そして各防水リング同士がコネクタハウジングの前面壁に沿って設けられた連結体により一体的に連結され、この連結体に保持棒が形成されており、この保持棒をハウジングの取付穴に挿入することで、装着作業が簡便に行えるとされている。
【0006】
しかしながら、ハウジングの取付穴は各端子収容部の間に形成されていることから、各端子収容部のピッチを狭くすることができない。特に、電気自動車等用のコネクタはその形状等は規格で定められているところ、このようなコネクタは隣接する端子収容部のピッチが狭く、隣接する端子収容部間に取付穴を形成することができない。
【0007】
そこで本発明は、各端子収容部のピッチが狭くても作業性を損なうことなく防水部材を固定可能なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、以下の発明により、上記課題を解決し得ることを見出した。
【0009】
すなわち本発明に係るコネクタは、筒状部、及び前記筒状部に収容されると共に端子を収容する複数の端子収容部を有するハウジングと、前記端子収容部をシールする第1シール部材及び第2シール部材とを備え、前記第1シール部材は、第1端子収容部の外周側に嵌合される第1環状部と、前記第1環状部から隣接する第2端子収容部の配置方向とは異なる方向に延びるように形成された第1延在部とを有しており、前記第2シール部材は、前記第2端子収容部に嵌合される第2環状部と、更に第3端子収容部に嵌合される第3環状部と、前記第2環状部及び前記第3環状部を連結すると共に少なくとも前記第1延在部
上に重なるように延び
て前記第1延在部を押さえる第2延在部とを有しており、前記第2端子収容部及び前記第3端子収容部の先端側には前記第2シール部材を固定する固定部材が設けられることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るコネクタによれば、端子収容部をシールする第1シール部材及び第2シール部材とを備え、前記第1シール部材は、第1端子収容部の外周側に嵌合される第1環状部と、前記第1環状部から隣接する第2端子収容部の配置方向とは異なる方向に延びるように形成された第1延在部とを有しており、前記第2シール部材は、前記第2端子収容部に嵌合される第2環状部と、更に第3端子収容部に嵌合される第3環状部と、前記第2環状部及び前記第3環状部を連結すると共に少なくとも前記第1延在部に重なるように延びる第2延在部とを有している。これにより、第1延在部を2ヵ所で固定されている第2延在部で押さえることができるため第1シール部材を第2シール部材で確実に固定することができる。更に、第2端子収容部及び第3端子収容部の先端側には第2シール部材を固定する固定部材が設けられる。これにより、第2シール部材も端子収容部に固定される。このように第1及び第2シール部材に設けられる延在部を重ねることと重ねた第2シール部材を固定部材で固定することで容易にシール部材全体を端子収容部に固定することができる。また、第2延在部に押さえられる第1延在部が、第1環状部から隣接する第2端子収容部の配置方向とは異なる方向に延びるように形成されているので、隣接する端子収容部のピッチの狭広に関係なく、確実にシール部材を押さえることができる。この結果、隣接する各端子収容部のピッチが狭くても作業性を損なうことなく防水部材を固定可能なコネクタを提供することができる。
【0011】
また、前記第1シール部材が、更に1又は2以上の環状部を有しており、前記第1シール部材の全ての環状部である第1シール環状部が前記第1延在部で連結されていることが好ましい。
【0012】
これにより、複数の環状部の間に第1延在部が一体的に形成され、各環状部が対応する端子収容部に嵌合されているため、第1延在部が少なくとも2ヵ所で固定されることになる。そのため、第1延在部の位置調整が容易となりより確実に第2延在部で重ねて押さえることができ、より作業性が向上する。
【0013】
また、前記第2シール部材が、更に1又は2以上の環状部を有しており、前記第2シール部材の全ての環状部である第2シール環状部が前記第2延在部で連結されていることが好ましい。
【0014】
これにより、3つ以上の環状部の間に第2延在部が一体的に形成され、各環状部が対応する端子収容部に嵌合されているため、第2延在部が少なくとも3か所で固定されることになる。そのため、第2延在部の位置調整が容易となりより確実に第1延在部を重ねて押さえることができ、より作業性が向上する。
【0015】
また、前記第1シール環状部には、各環状部の外周に沿ってそれぞれ第1突起部が形成されており、前記第2シール環状部には、各環状部の外周に沿ってそれぞれ第2突起部が形成されており、前記第1突起部と前記第2突起部は、環状部の高さ方向における形成位置が異なることが好ましい。
【0016】
これにより、第1突起部と第2突起部は、環状部の高さ方向における形成位置が異なるため、給電側のコネクタを挿入するときに、第1突起部と第2突起部の変形するタイミングが異なることになる。このため、給電側のコネクタの挿入力が分散して給電時の作業性が高くなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、各端子収容部のピッチが狭くても作業性を損なうことなく防水部材を固定可能なコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係るコネクタを示す斜視図である。
【
図2】
図1のコネクタのシール部材及び固定部材を組込む前の斜視図である。
【
図3】
図1のコネクタのシール部材及び固定部材を示す斜視図である。
【
図4】
図2のシール部材及び固定部材の分解斜視図である。
【
図5】シール部材の変形例を示す図であり(a)は第1シール部材の正面図であり、(b)は第2シール部材の正面図であり、(c)は組立てたシール部材の正面図である。
【
図6】シール部材の他の変形例を示す図であり(a)は第1シール部材の正面図であり、(b)は第2シール部材の正面図であり、(c)は組立てたシール部材の正面図である。
【
図7】シール部材の更に他の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係るコネクタ1を示す斜視図である。
図2は、
図1のコネクタのシール部材及び固定部材を組込む前の斜視図である。
図1及び
図2に示すように、コネクタ1は、筒状部2と、筒状部2に収容されると共に端子を収容する第1〜第4端子収容部31〜34と、を有するハウジング4を備えている。このハウジング4は筒状部2の外周側に外側に延びるフランジ部5を備えており、不図示の固定孔により、コネクタ1を電気自動車やプラグインハイブリッドカーの車体に取り付ける際にネジなどを挿通させる。また、ハウジング4には蓋体6が回動可能に取り付けられており、筒状部2の開口7を開閉することができる。
【0021】
筒状部2には、筒状部2の内部を仕切る底部8が形成されており、筒状の各端子収容部31〜34は、この底部8から筒状部2の軸方向に延びるように形成され、それぞれに不図示の端子が収容されている。本実施形態において第1〜第4収容端子部31〜34は、それぞれの軸中心を結んだ線が略正方形となるように配置されており、対角線上の一対である第1端子収容部31及び第4端子収容部34が充電プラグの信号端子に嵌合する2つの信号線ソケットと、他の対角線上の一対である第2端子収容部32及び第3端子収容部33が充電プラグのパワー端子に嵌合する2つのパワーソケットとして機能する。そして、この信号用ソケットとして機能する第1及び第4端子収容部31,34と、パワーソケットとして機能する第2及び第3端子収容部32,33とは互いに隣接して配置されている。
【0022】
また、各端子収容部31〜34には、充電プラグのパワー端子及び信号端子が嵌合する際に防水性を確保するための第1シール部材9と第2シール部材10とが設けられている。更には第2シール部材10を固定するための固定部材11が設けられている。
【0023】
図3及び
図4を参照して、第1シール部材9、第2シール部材10及び固定部材11について詳細に説明する。
【0024】
図3は、
図1の本実施形態に係るコネクタのシール部材及び固定部材を示す斜視図である。なお、本図は、本実施形態に係るコネクタに組込まれた状態のシール部材及び固定部材のみを示し、他の部材は省略している。
図4は、
図3のシール部材及び固定部材の分解斜視図である。
【0025】
第1シール部材9は、シリコーンゴムなどの弾性材料で形成されており、防水性を確保するために2つの信号ソケットとして機能する第1及び第4端子収容部31,34に取付けられる。この第1シール部材9は全部で2つの環状部からなる第1シール環状部90、即ち第1環状部91及び第4環状部92を有しており、第1環状部91及び第4環状部92の間に板状の第1延在部93が一体的に形成されている。即ち、第1シール環状部である第1環状部91及び第4環状部92が第1延在部93で連結されている。
【0026】
各環状部はそれぞれ第1及び第4端子収容部31,34に嵌合して取付けられ、充電コネクタ嵌合後の防水性を確保する。また、各環状部の外周側には、その外周に沿って第1突起部94が設けられており充電コネクタの嵌合性と防水性とを更に高めている。なお、第1環状部91及び第4環状部92に形成される各第1突起部94は、それぞれ環状部の高さ方向における形成位置が略同一である。第1延在部93は両側縁が内側に切り欠かれた切欠部95が形成されている。この切欠部95は、第1シール部材9がハウジング4に組込まれたときに、隣接する端子収容部に組込まれる後述する第2シール部材10の環状部に干渉しないように、第2シール部材10の環状部の外形に沿った形に切り欠かれている。
【0027】
第2シール部材10は、シリコーンゴムなどの弾性材料で形成されており、防水性を確保するために2つのパワーソケットとして機能する第2及び第3端子収容部32,33に取付けられる。この第2シール部材10は全部で2つの環状部からなる第2シール環状部100、即ち第2環状部101及び第3環状部102を有しており、この2つの環状部の間に板状の第2延在部103が一体的に形成されている。即ち、第2シール環状部である第2環状部101及び第3環状部102が第2延在部103で連結されている。
【0028】
各環状部はそれぞれ第2及び第3端子収容部32,33に嵌合して取付けられ、充電コネクタ嵌合後の防水性を確保する。また、各環状部の外周側には、その外周に沿って第2突起部104が設けられており充電コネクタの嵌合性と防水性とを更に高めている。なお、第2環状部101及び第3環状部102に形成される各第2突起部104は、それぞれ環状部の高さ方向における形成位置が略同一である。更に、組込んだときの第1シール部材の第1環状部91及び第4環状部92の第1突起部94に対しても、環状部の高さ方向における形成位置が略同一である。第2延在部103は両側縁が内側に切り欠かれた切欠部105が形成されている。この切欠部105は、第2シール部材10がハウジング4に組込まれたときに、隣接する端子収容部に組込まれる第1シール部材9の環状部に干渉しないように、第1シール部材9の環状部の外形に沿った形に切り欠かれている。
【0029】
固定部材11は、樹脂材料などで円筒状に形成されており、第2シール部材10をハウジング4に固定するために、第2シール部材10が組込まれた第2及び第3端子収容部32,33の先端側に取付けられている。固定部材には、弾性変形する係止部111が設けられており、第2及び第3端子収容部32,33の先端に形成される不図示の凹部に係止されることで確実に固定される。
【0030】
続いて、第1シール部材9、第2シール部材10及び固定部材11のハウジング4への組込み手順について説明する。
【0031】
まず、第1シール部材9の第1環状部91及び第4環状部92を
図2に示す信号用ソケットとして機能する第1端子収容部31及び第4端子収容部34に嵌合する。このとき第1延在部93は、
図2に示すパワーソケットとして機能する第2端子収容部32及び第3端子収容部33の間に配置されることになる。即ち、信号用ソケットとして機能する第1端子収容部31に対して隣接するパワーソケットとして機能する第2端子収容部32の配置方向(略正方形配置の辺方向)とは異なる方向(略正方形配置の対角線方向)に第1延在部93が延びるように配置される。
【0032】
次に、第2シール部材10の第2環状部101及び第3環状部102をパワーソケットとして機能する第2端子収容部32及び第3端子収容部33に嵌合する。このとき第2延在部103は、第1延在部93上に重なるように配置されることになる。これにより第2延在部103で第1延在部93を重ねて押さえることになる。
【0033】
そして、2つの固定部材11を第2端子収容部32及び第3端子収容部33の先端側に取付けて、第2シール部材10を固定する。これにより、第1シール部材9及び第2シール部材10の全てのシール部材が第1〜第4端子収容部31〜34に固定される。
【0034】
本実施形態に係るコネクタによれば、第1〜第4端子収容部31〜34をシールする第1シール部材9及び第2シール部材10とを備え、前記第1シール部材9は、第1端子収容部31の外周側に嵌合される第1環状部91と、前記第1環状部91から隣接する第2端子収容部32の配置方向とは異なる方向に延びるように形成された第1延在部93とを有しており、前記第2シール部材10は、前記第2端子収容部32に嵌合される第2環状部101と、更に第3端子収容部33に嵌合される第3環状部102と、前記第2環状部101及び前記第3環状部102を連結すると共に少なくとも前記第1延在部93に重なるように延びる第2延在部103とを有している。これにより、第1延在部93を2ヵ所で固定されている第2延在部103で押さえることができるため第1シール部材9を第2シール部材10で確実に固定することができる。更に、第2端子収容部32及び第3端子収容部33の先端側には第2シール部材10を固定する固定部材11が設けられる。これにより、第2シール部材10も第2及び第3端子収容部32,33に固定される。このように第1及び第2シール部材9,10に設けられる各延在部93,103を重ねることと重ねた第2シール部材10を固定部材11で固定することで容易にシール部材全体を第1〜第4端子収容部31〜34に固定することができる。また、第2延在部103に押さえられる第1延在部93が、第1環状部91から隣接する第2端子収容部32の配置方向とは異なる方向に延びるように形成されているので、隣接する端子収容部のピッチの狭広に関係なく、確実にシール部材を押さえることができる。この結果、隣接する各端子収容部のピッチが狭くても作業性を損なうことなく防水部材を固定可能なコネクタを提供することができる。
【0035】
また、本実施形態に係るコネクタは、第1シール部材9が、第1環状部91及び第4環状部92の2つの環状部を有しており、前記第1シール部材9の全ての環状部である第1シール環状部90が前記第1延在部93で連結されている。これにより、2つの環状部の間に第1延在部93が一体的に形成され、各環状部が対応する第1端子収容部31及び第4端子収容部34に嵌合されているため、第1延在部93が少なくとも2ヵ所で固定されることになる。そのため、第1延在部93の位置調整が容易となりより確実に第2延在部103で重ねて押さえることができ、より作業性が向上する。
【0036】
また、第2シール部材10の第2シール環状部100が更に1又は2以上の環状部、即ち3つ以上の環状部が形成され、この第2シール環状部100が第2延在部103で連結されていても良い。これにより、3つ以上の環状部の間に第2延在部103一体的に形成され、各環状部が対応する端子収容部に嵌合されているため、第2延在部103が少なくとも3か所で固定されることになる。そのため、第2延在部103の位置調整が容易となり、より確実に第1延在部93を重ねて押さえることができ、より作業性が向上する。
【0037】
続いて、シール部材の変形例について詳細に説明する。
【0038】
図5は、シール部材の変形例を示す図であり(a)は第1シール部材の正面図であり、(b)は第2シール部材の正面図であり、(c)は組立てたシール部材の正面図である。
【0039】
図5に示すように、本変形例に係るシール部材は、上記実施形態に係る第1シール部材9が第1環状部91及び第4環状部92の2つの環状部を有しているのに対して、第1環状部91のみの1つの環状部のみを有している点で異なる。そのため、第1延在部93は一端側では環状部が一体的に形成されているが、他端側では自由端となる。本変形例のシール部材では、第1シール部材9は1つの環状部を有し、第2シール部材は2つの環状部を有する。従って、3つの端子収容部を有するコネクタに対応する。
【0040】
本変形例に係るシール部材においても、第1延在部93上に第2延在部103が重なるように配置されることになり、隣接する各端子収容部のピッチが狭くても作業性を損なうことなく防水部材を固定可能なコネクタを提供することができる。
【0041】
図6は、シール部材の他の変形例を示す図であり(a)は第1シール部材の正面図であり、(b)は第2シール部材の正面図であり、(c)は組立てたシール部材の正面図である。
【0042】
図6に示すように、本変形例に係るシール部材は、上記実施形態に係る第1シール部材9が第1環状部91及び第4環状部92の2つの環状部を有しているのに対して、更に第5環状部96の3つの環状部を有している点で異なる。そのため、第1延在部93は一端側では1つの環状部が一体的に形成されているが、他端側では2つの環状部が並んで一体的に形成されてる。本変形例のシール部材では、第1シール部材9は3つの環状部を有し、第2シール部材10は2つの環状部を有する。従って、5つの端子収容部を有するコネクタに対応する。
【0043】
本変形例に係るシール部材においては、第1シール部材9の第1シール環状部90が更に1又は2以上の環状部、即ち3つ以上の環状部が形成され、この第1シール環状部90が第1延在部93で連結されている。これにより、3つ以上の環状部の間に第1延在部93一体的に形成され、各環状部が対応する端子収容部に嵌合されているため、第1延在部93が少なくとも3か所で固定されることになる。そのため、第1延在部93の位置調整が更に容易となり、より作業性が向上する。
【0044】
図7は、シール部材の更に他の変形例を示す斜視図である。
【0045】
図7に示すように、本変形例に係るシール部材は、上記実施形態に係るシール部材の第1シール環状部90の第1突起部94と、第2シール環状部100の第2突起部104が、各シール部材を組込んだときの環状部の高さ方向における形成位置が略同一であるのに対して、第1シール環状部90の第1突起部94と、第2シール環状部100の第2突起部104が、各シール部材を組込んだときの環状部の高さ方向における形成位置が異なる点で異なる。
【0046】
本変形例に係るシール部材においては、第1突起部94と第2突起部104は、環状部の高さ方向における形成位置が異なるため、給電側のコネクタを挿入するときに、第1突起部94と第2突起部104の変形するタイミングが異なることになる。このため、給電側のコネクタの挿入力が分散して給電時の作業性が高くなる。
【符号の説明】
【0047】
1…コネクタ、2…筒状部、31…第1端子収容部、32…第2端子収容部、33…第3端子収容部、34…第4端子収容部、4…ハウジング、5…フランジ部、6…蓋体、7…開口、8…底部、9…第1シール部材、90…第1シール環状部、91…第1環状部、92…第4環状部、93…第1延在部、94…第1突起部、95,105…切欠部、96…第5環状部、10…第2シール部材、100…第2シール環状部、101…第2環状部、102…第3環状部、103…第2延在部、104…第2突起部、11…固定部材、111…係止部。
【要約】
【課題】本発明は、端子収容部のピッチが狭くても作業性を損なうことなく防水部材を固定可能なコネクタを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のコネクタは、筒状部2及び筒状部に収容され端子を収容する端子収容部31〜34を有するハウジング4と端子収容部をシールする第1シール部材9及び第2シール部材10とを備え、第1シール部材は、第1端子収容部に嵌合される第1環状部91と、隣接する第2端子収容部の配置方向とは異なる方向に延びるように形成された第1延在部93とを有し、第2シール部材は、第2端子収容部に嵌合される第2環状部101と更に第3端子収容部に嵌合される第3環状部102と、第2環状部及び第3環状部を連結すると共に少なくとも第1延在部に重なるように延びる第2延在部103とを有しており、第2端子収容部及び第3端子収容部の先端側には固定部材11が設けられる。
【選択図】
図1