(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のようなニーズを満たそうとすると、加盟店に売上分の金銭を支払うクレジットカード会社側のリスクが高まってしまう。そこで、信用が付与される状況にないユーザに対してクレジットカードと同一のシステムにおいて利用可能な支払手段の利用を認めるにあたり、クレジットカード会社側のリスクを軽減することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係るID管理システムは、信用に基づく後払いサービスの利用を申請する際にユーザが事前に支払った前払金額を取得する取得部と、取得部によって取得された前払金額を支払ったユーザを後払いサービスにおいて特定する
第1のIDを生成する生成部と、取得部によって取得された前払金額に基づき決定される利用可能額と生成部によって生成された
第1のIDとが関連付けられたデータを登録する登録部と、ユーザに対する与信審査が完了する前に、生成部によって生成された
第1のIDに対応する利用可能額の範囲で前払いサービスによる支払いを可能とするように、該
第1のIDをユーザに通知する通知部と、ユーザに対する与信審査によりユーザに信用が与えられた場合に、
前払いサービスから、生成部によって生成された
第1のIDに対応し且つ信用に基づく後払いサービス
への切替と、新たなIDである第2のIDを生成して前払いサービスの残額以下の金額を該第2のIDに関連付けることでユーザのためのバーチャルプリペイドカードを生成し、該第2のIDをユーザに通知する処理とを実行する処理部とを備える。
【0008】
本発明の一側面に係るID管理方法は、プロセッサを備えるID管理システムにより実行されるID管理方法であって、信用に基づく後払いサービスの利用を申請する際にユーザが事前に支払った前払金額を取得する取得ステップと、取得ステップにおいて取得された前払金額を支払ったユーザを後払いサービスにおいて特定する
第1のIDを生成する生成ステップと、取得ステップにおいて取得された前払金額に基づき決定される利用可能額と生成ステップにおいて生成された
第1のIDとが関連付けられたデータを登録する登録ステップと、ユーザに対する与信審査が完了する前に、生成ステップにおいて生成された
第1のIDに対応する利用可能額の範囲で前払いサービスによる支払いを可能とするように、該
第1のIDをユーザに通知する通知ステップと、ユーザに対する与信審査によりユーザに信用が与えられた場合に、
前払いサービスから、生成ステップにおいて生成された
第1のIDに対応し且つ信用に基づく後払いサービス
への切替と、新たなIDである第2のIDを生成して前払いサービスの残額以下の金額を該第2のIDに関連付けることでユーザのためのバーチャルプリペイドカードを生成し、該第2のIDをユーザに通知する処理とを実行する処理ステップとを含む。
【0009】
本発明の一側面に係るID管理プログラムは、信用に基づく後払いサービスの利用を申請する際にユーザが事前に支払った前払金額を取得する取得部と、取得部によって取得された前払金額を支払ったユーザを後払いサービスにおいて特定する
第1のIDを生成する生成部と、取得部によって取得された前払金額に基づき決定される利用可能額と生成部によって生成された
第1のIDとが関連付けられたデータを登録する登録部と、ユーザに対する与信審査が完了する前に、生成部によって生成された
第1のIDに対応する利用可能額の範囲で前払いサービスによる支払いを可能とするように、該
第1のIDをユーザに通知する通知部と、ユーザに対する与信審査によりユーザに信用が与えられた場合に、
前払いサービスから、生成部によって生成された
第1のIDに対応し且つ信用に基づく後払いサービス
への切替と、新たなIDである第2のIDを生成して前払いサービスの残額以下の金額を該第2のIDに関連付けることでユーザのためのバーチャルプリペイドカードを生成し、該第2のIDをユーザに通知する処理とを実行する処理部としてコンピュータを機能させる。
【0011】
このような側面においては、
第1のIDに対応する利用可能額がユーザの前払金額に基づいて設定され、その設定が為された旨のメッセージが申請者に通知される。したがって、その申請者は利用可能額の範囲内でID情報を支払手段として利用することができる。一方、その利用可能額はユーザの前払金により保証されるので、カード会社側のリスクを軽減することができる。
【0013】
他の側面に係るID管理システムでは、登録部が、
第1のIDと、利用可能額と、後払いサービスの与信限度額と、前払いサービスか後払いサービスかを示すフラグとが関連付けられたデータを記憶部に登録してもよい。
【0014】
他の側面に係るID管理システムでは、
第1のIDおよび照会金額を取得し、記憶部にアクセスして該
第1のIDに対応するフラグを取得し、該フラグが前払いサービスを示す場合には、該照会金額と利用可能額とを比較する比較部を更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一側面によれば、信用が付与される状況にないユーザに対してクレジットカードと同一のシステムにおいて利用可能なID情報の利用を認めるにあたり、クレジットカード会社側のリスクを軽減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
ID管理システム1は、ユーザが保有するクレジットカードの番号(カード番号)に係る支払手段をクレジット(後払型支払手段)とプリペイド(前払型支払手段)との間で切り替えるコンピュータ・システムである。ID管理システム1により、ユーザはカード番号を変えることなく、支払手段をプリペイドからクレジットに、あるいはクレジットからプリペイドに切り替えることができる。ただし、プリペイド機能を利用する際には、ユーザはその利用限度額(利用可能額)を設定するために前払金を支払う必要がある。ユーザはそのプリペイド機能をクレジットカードの加盟店で使うことができる。
【0024】
図1に示すように、ID管理システム1はユーザ端末Tu、ID管理装置10、データベース(記憶部)20、加盟店端末Ts、決済処理装置30、および金融機関サーバ40を備えている。ユーザ端末Tu、ID管理装置10、および金融機関サーバ40はインターネットなどのネットワークを介して相互接続されている。加盟店端末Tsおよび決済処理装置30はインターネットや専用線などのネットワークを介して相互接続されている。ID管理装置10および決済処理装置30それぞれ、インターネットや専用線などのネットワークを介してデータベース20に直接または間接的にアクセスできる。データベース20は、互いに同期する機能を有する複数の記憶装置で構成されていてもよい。なお、ID管理システム1におけるユーザ端末Tuおよび加盟店端末Tsの台数はいくつでもよい。
【0025】
ユーザ端末Tuは、クレジットカードを申請または保持するユーザが使用する端末である。ユーザ端末Tuの種類は限定されず、例えば据置型又は携帯型のパーソナルコンピュータでもよいし、高機能携帯電話機(スマートフォン)や携帯電話機、携帯情報端末(PDA)などの携帯端末でもよい。
【0026】
データベース20はカード情報を記憶する装置である。カード情報は、ユーザに割り当てられたカード番号に関する情報であり、カード情報の各レコードはカード番号により識別される。
図2に示すように各レコードは下記の項目を含む。本明細書ではカード番号がID情報に相当する。
【0027】
・クレジットカードの番号(「カード番号」)
・クレジット機能の「有効期限」
・カードの「セキュリティコード」(security code)
・ユーザを一意に特定する「ユーザID」
・クレジット機能での当期の「与信限度額」
・クレジット機能での当期の「利用額」
・クレジット機能が利用可能であるか否かを示す「状態フラグ」
・カード番号に適用されている支払手段を示す「種別フラグ」
・プリペイド機能での「利用限度額」
・プリペイド機能での「残額」
【0028】
なお、カード情報の構成は限定されない。例えば、他の項目をカード情報に加えてもよいし、カード情報に対して任意の正規化または冗長化を行ってもよい。また、処理の高速化・単純化のためにカード情報が「利用可能額」を含んでいてもよい。状態フラグに応じてその利用可能額を計算する場合には、クレジットでは、(利用可能額)=(当期与信限度額)−(当期利用額)であり、プリペイドでは、(利用可能額)=(残額)である。
【0029】
加盟店端末Tsは、クレジットカードを用いた決済を行うための端末であり、クレジットカードの加盟店に設置される。加盟店端末Tsは決済処理装置30と協働して決済処理を実行する。
【0030】
決済処理装置30は、クレジットカードに関する決済処理を実行するコンピュータである。この決済処理装置30は下記の機能を備える。
【0031】
・クレジットカードの加盟店に設置される端末から送信される照会情報に含まれる照会金額が、当該照会情報に係る支払者に対応するカード番号に関連付けてデータベース20に記憶されているデータから特定される利用可能額以下である場合に限り承認情報を返信する機能。承認情報は、紹介金額が利用可能額以下であり、かつ、カード番号が有効である場合に限って返信されてもよい。
・承認情報を返信した場合に利用可能額から照会金額が減額されるよう、データベース20に記憶されているデータを変更する機能。
・カード番号に対応するユーザから回収される資金を加盟店に納付するための決済処理を加盟店からの売上情報に基づいて行う機能。
【0032】
金融機関サーバ40は、ユーザがプリペイド機能を利用する際に支払う前払金の決済処理を実行するコンピュータである。金融機関の種類は限定されず、例えば銀行でもよいし、電子マネー管理会社であってもよい。また、前払金の支払いおよび決済の方法も限定されない。
【0033】
ID管理装置10は、カード番号に対応する支払手段を管理するコンピュータである。ID管理装置10は、データベース20に対してデータの設定および変更を反映させることが可能である。
【0034】
ID管理装置10のハードウェア構成を
図3に示す。ID管理装置10は、オペレーティングシステムやアプリケーション・プログラムなどを実行する1以上のCPU101と、ROMおよびRAMで構成される主記憶部102と、ハードディスクやフラッシュメモリなどで構成される補助記憶部103と、ネットワークカードあるいは無線通信モジュールで構成される通信制御部104と、キーボードやマウスなどの入力装置105と、ディスプレイなどの出力装置106とを備えている。
【0035】
後述するID管理装置10の各機能的構成要素は、CPU101又は主記憶部102の上に所定のソフトウェアを読み込ませ、CPU101の制御の下で通信制御部104や入力装置105、出力装置106などを動作させ、主記憶部102又は補助記憶部103におけるデータの読み出しおよび書き込みを行うことで実現される。処理に必要なデータやデータベースは主記憶部102又は補助記憶部103内に格納される。
【0036】
図3ではID管理装置10が1台のコンピュータで構成されているが、ID管理装置10は複数台のコンピュータで構成されていてもよい。
【0037】
図4に示すように、ID管理装置10は機能的構成要素として受付部11、確認部12、割当部13、設定部14、通知部15、および切替部16を備えている。以下ではID管理装置10の機能を二つの実施形態に分けて説明する。第1実施形態は、プリペイドからクレジットへの切替の前に実行されるプリペイドの利用限度額の設定例である。第2実施形態は、クレジットからプリペイドへの切替の際に実行されるプリペイドの利用限度額の設定例である。ID管理装置10は第1および第2実施形態の双方を実行できてもよいし、これら二つの実施形態のどちらか一方のみを実行できてもよい。
【0038】
(第1実施形態)
受付部11は、クレジットカードの入会申請をユーザ端末Tuから受け付ける機能要素である。入会申請は情報処理申請の一種である。受付部11は、ユーザ端末Tuから送信された入会申請の情報(申請情報)をオンラインで受信してもよいし、郵送されてきた申請に基づいてID管理装置10のオペレータが入力した申請情報を受け付けてもよい。申請情報は、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、職業、勤務先、年収などの個人情報を含む。これらのような受付処理を完了すると、受付部11は入会申請を受け付けた旨の通知(受付通知)をユーザ端末Tuに送信するとともに、申請情報を確認部12に出力する。
【0039】
確認部12は、入会申請に関連付けて払い込まれた前払金の金額を確認する機能要素である。ユーザは振込などの任意の方法により金融機関に前払金を支払う。確認部12はユーザの前払金額を金融機関サーバ40に問い合わせ、金融機関サーバ40からその金額の情報を受信する。この情報には少なくともユーザおよび前払金額を特定する情報を含む。確認部12はその情報を前払金情報として申請情報と共に設定部14に出力する。
【0040】
割当部13は、入会申請に対して一つのカード番号を割り当てる機能要素である。割当部13は申請者に対して発行するカード番号を生成すると共に、そのクレジットカードの利用に必要な付属情報を設定する。本明細書では付属情報は有効期限およびセキュリティコードを含むが、付属情報の種類はこれに限定されない。割当部13はカード番号および付属情報を申請情報と共に設定部14に出力する。
【0041】
設定部14は、カード番号に対応するプリペイド機能の利用限度額を設定する機能要素である。設定部14は下記の条件を満たすように利用限度額を決定する。
【0042】
(条件1)利用限度額が、クレジット機能での与信限度額を上限とする範囲内であること。
(条件2)利用限度額が、前払金額を上限とする範囲内であること。例えば、利用限度額は前払金の金額と同じであってもよいし、前払金から所定の手数料を差し引いた残りの金額であってもよい。
【0043】
ただし、この時点では入会申請に対する与信審査が完了していないので、設定部14は予め定められている与信限度額の最低値を用いて条件1の判定を実行してもよい。
【0044】
続いて、設定部14はカード情報を生成してデータベース20に格納する。設定部14は入力された情報に基づいてカード番号、付属情報(有効期限およびセキュリティコード)、及びユーザIDを設定し、決定した利用限度額をプリペイド機能の利用限度額および残額の項目に設定する。この時点では与信審査が完了していないので、設定部14はカード情報の与信限度額、利用額、状態フラグを空値(NULL)に設定し、種別フラグを「プリペイド」に設定する。
【0045】
通知部15は、カード番号に関連付けて利用限度額が設定された旨をクレジットカードの入会申請者に通知する機能要素である。
【0046】
まず通知部15は、カード番号が割り当てられてプリペイド機能が利用可能になることを通知する案内メールを生成して、申請者のメールアドレス宛にその案内メールを送信する。この案内メールは、ユーザがカード番号および付属情報を入手するためのワンタイム・パスワード(One Time Password)を含む。
【0047】
この案内メールに応じて申請者がユーザ端末Tuを介して指定のWebページにアクセスしてワンタイム・パスワードを入力し、ユーザ端末Tuがそのパスワードを送信すると、通知部15はそのパスワードを受け付けて認証処理を実行する。通知部15は、そのパスワードが正しい場合にはカード番号および付属情報を含むプリペイド設定通知をユーザ端末Tuに送信する。このプリペイド設定通知は、カード番号に対して利用限度額が設定されたことを示す設定メッセージである。一方、パスワードが誤っている場合には、通知部15は、認証に失敗した旨のメッセージをユーザ端末Tuに送信する。通知部15は、ワンタイム・パスワードを用いることでカード情報を安全にユーザに送信することができる。
【0048】
通知部15は、入会申請に対する与信審査が完了する前に、および切替部16の処理が開始される前にこれらの処理を実行するので、クレジットカードの申請者はその審査を待つことなく、カード情報を取得した時点からプリペイド機能を利用することができる。プリペイド機能を利用する際には、ユーザはクレジットカードを使う場合と同様にカード番号および付属情報を使う。
【0049】
切替部16は、カード番号に対応する支払手段をプリペイド(前払型支払手段)からクレジット(後払型支払手段)に切り替える機能要素である。
【0050】
まず、切替部16は入会申請に対する与信審査の結果を取得する。与信審査自体はクレジットカード会社の社員により行われてもよく、この場合には切替部16は、オペレータにより入力された与信審査の結果を受け付ける。あるいは、ID管理装置10などの任意のコンピュータが与信審査の一部または全てを自動的に実行してもよく、この場合にも切替部16はその審査結果を受け付ける。
【0051】
与信審査においてクレジットカードを発行する(入会を承認する)と判断された場合には、切替部16はカード番号に対応する支払手段をプリペイドからクレジットに変更する。具体的には、切替部16はそのカード番号に対応するデータベース20内のカード情報に対して、与信限度額を設定し、利用フラグを「利用可」に設定し、種別フラグを「クレジット」に変更する。
【0052】
また、申請者が与信審査を通った場合には、クレジットカード会社はプラスチック製のクレジットカードを発行して申請者宛に発送する。
【0053】
支払手段をクレジットに切り替えた場合に、切替部16はプリペイド機能の残額(前払金の残額)に関する処理を実行してもよい。切替部16がこの機能を備える場合には、申請者はその残額を有効に利用することができる。
【0054】
例えば、切替部16は、新たなカード番号およびその付属情報(有効期限およびセキュリティコード)を発行してそのカード番号に前払金の残額以下の金額を関連付けることで、バーチャルプリペイドカード(virtual prepaid card)を生成してもよい。この場合には、切替部16は新たなカード番号およびその付属情報を含む引継設定メッセージを生成してそのメッセージをユーザ端末Tuに送信する。この結果、ユーザはクレジットカードおよびバーチャルプリペイドカードの双方を使うことができる。
【0055】
バーチャルプリペイドカードとは、インターネット上で利用可能であって、クレジットカードと同様のカード番号および付属情報を用いる前払型支払手段である。バーチャルプリペイドカードを利用するためには利用限度額を設定する必要があるが、切替部16は前払金の残額を利用限度額として設定するので、ユーザが前払金を再度支払う必要はない。このバーチャルプリペイドカードは、チャージ機能がない使い切り型であってもよいし、チャージ可能であってもよい。例えば、当期中に前払金の払込みを済ませた場合に次期の初めに利用限度額が増額するバーチャルプリペイドカードを採用してもよい。
【0056】
あるいは、切替部16は前払金の残額を当期の与信限度額に付加してもよい。この場合にはその期の与信限度額は前払金の残額の分だけ増加する。あるいは、次回のクレジットカードの請求において前払金の残額が請求金額と相殺されてもよい。あるいは、任意の方法により前払金の残額をユーザに返金してもよい。切替部16はこれらのいずれかの処理をユーザの選択に応じて実行してもよい。
【0057】
一方、与信審査においてクレジットカードを発行しないと判断された場合には、切替部16は支払手段の切替えを実行しない。この場合には、クレジットカード会社はクレジットカードの発行および発送はせず、審査に通らなかった旨を任意の手段により申請者に通知する。ユーザが与信審査を通過しなかった場合には、切替部16はこの時点で処理を終了し、通知部15が、申請者に対応するカード番号に関連付けて既に発効している利用可能額が引き続き有効であることを示す設定継続メッセージを当該申請者に通知する。この場合には、ユーザに割り当てたカード番号および付属情報は有効であり続けるので、ユーザはプリペイド機能をバーチャルプリペイドカードとして使い続けることができる。あるいは、切替部16はそのカード番号を無効にし、プリペイド機能が無効になった旨をユーザに通知してもよい。この場合には、任意の方法により前払金の残額がそのユーザに返金される。
【0058】
次に、
図5を用いて、ID管理システム1の動作を説明するとともに本実施形態に係るID管理方法について説明する。
【0059】
まず、受付部11が、ユーザ(クレジットカードの申請者)からの入会申請に応じて申請情報を受け付ける(ステップS11,S12)。続いて、確認部12が金融機関サーバ40に問い合わせることで前払金の金額を確認する(ステップS13、確認ステップ)。続いて、割当部13がカード番号を割り当て、付属情報(有効期限およびセキュリティコード)を設定する(ステップS14)。続いて、設定部14が前払金に基づいてプリペイド機能の利用限度額を設定し(ステップS15、設定ステップ)、そのカード番号についてのカード情報を生成してデータベース20に格納する(ステップS16)。
【0060】
続いて、通知部15がワンタイム・パスワードが記載された案内メールをユーザ端末Tuに送信し(ステップS17)、このメールに応じてユーザ端末Tuから送信されてきたワンタイム・パスワードに応じてプリペイド設定通知をユーザ端末Tuに送信する(ステップS18,S19、通知ステップ)。このプリペイド設定通知はカード番号および付属情報を含む。この時点から、クレジットカードの申請者はそのカード番号によるプリペイド機能を利用できる。
【0061】
その後、与信審査が行われる(ステップS20)。クレジットカードを発行する(入会を承認する)と判断された場合には、切替部16はデータベース20内のカード情報を更新することで、カード番号に対応する支払手段をプリペイドからクレジットに切り替える(ステップS21)。その後、いくらかの時間をおいて(例えば1日または数日)、プラスチック製のクレジットカードが申請者に向けて発送される(ステップS22)。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によれば、カード番号に対応する利用限度額がユーザの前払金以下の金額に設定され、その設定が為された旨のメッセージが申請者に通知される。したがって、その申請者は利用限度額の範囲内でカード番号を前払型支払手段として利用することができる。一方、その利用限度額はユーザの前払金により保証されるので、カード会社側のリスクを軽減することができる。
【0063】
従来、申請者はプラスチック製のクレジットカードが届くまでは、決済に利用可能なカード番号および付属情報を知ることができず、したがってそのカード番号を用いた支払いを行うことができなかった。これに対して本実施形態では、与信審査の完了を待つことなく、設定されたカード番号および付属情報がプリペイド機能の情報として即時に申請者に提供される。したがって、申請者はクレジットカードを入手する前から、前払金により保証された利用限度額の範囲内でカード番号を支払手段として利用することができる。
【0064】
本実施形態では、申請者が与信審査を通過したことを契機として、カード番号の支払手段がプリペイドからクレジットに自動的に切り替わるので、申請者はその時点から、支払手段の切替えを申請する必要なくクレジット機能を使うことが可能になる。
【0065】
上記実施形態では、クレジットカードの入会申請の際の処理を説明したが、プリペイドからクレジットへの切替を実行するタイミングはこれに限定されない。例えば、ID管理装置10は、クレジットカードを入手した後にそのカード番号の支払手段をプリペイドに変更したユーザから、クレジットへの切替えの申請を受け付けてもよい。この場合には、その申請に基づいて切替部16が上記と同様の切替処理を実行する。
【0066】
(第2実施形態)
受付部11は、クレジットからプリペイドへの切替申請をユーザ端末Tuから受け付ける。切替申請は情報処理申請の一種である。切替申請の情報(申請情報)はユーザIDおよびカード番号を含む。なお、受付部11は、ユーザがサービスサイトにログインしていることを前提として、クッキーのセッションIDなどによりユーザIDを特定してもよい。受付部11は、ユーザ端末Tuからその申請情報(オンラインの申請情報)を受信してもよいし、ユーザからの申請に基づいてID管理装置10のオペレータが入力した申請情報を受け付けてもよい。受付部11は切替申請を受け付けた旨の通知(受付通知)をユーザ端末Tuに送信すると共に、申請情報を確認部12に出力する。
【0067】
本実施形態では、ID管理装置10がユーザのクレジット機能が停止される場面においてクレジットかプリペイドへの切替えを実行する例を示す。したがって、受付部11は、カード番号が既に無効であるか、または無効にされることが予定されている場合に限り、切替申請を受け付ける。
【0068】
例えば、請求日に口座からクレジットカードの利用額を引き出すことができなかった場合にクレジットカードが停止状態になることが考えられる。もちろん、クレジットカードが停止状態になる条件はこれに限定されない。例えば、他のカード会社が発行した他のクレジットカードが停止されたことに応じてクレジットカードが停止状態になることも有り得る。この状況は、本実施形態での処理対象であるクレジットカードを即時に停止するほどの状況ではないとも言えるが、何らかの規則によりそのクレジットカードも無効にせざるを得ない場合がある。本実施形態はこのような場合の救済策としても機能し得る。
【0069】
確認部12は、切替申請に関連付けて払い込まれた前払金の金額を確認する。確認部12は、第1実施形態と同様にユーザの前払金額を金融機関サーバ40に問い合わせ、金融機関サーバ40から受信した前払金情報を申請情報と共に設定部14に出力する。
【0070】
設定部14は、カード番号に対応するプリペイド機能の利用限度額を設定する。設定部14は第1実施形態と同様に、上記の条件1,2を満たすように利用限度額を決定する。本実施形態ではユーザの与信限度額が既に設定されている。したがって、設定部14はカード番号に対応する与信限度額をデータベース20から読み出して、その与信限度額を用いて条件1の判定を実行すればよい。
【0071】
通知部15は、カード番号に関連付けて利用限度額が設定されたことを示すプリペイド設定通知を、切替申請を行ったユーザに通知する。本実施形態ではユーザは既にクレジットカードを得ているので、通知部15はワンタイム・パスワードを求めることなく、単に、プリペイド設定通知をユーザ端末Tuに送信すればよい。ただし、通知部15は、切替部16によるクレジットからプリペイドへの切替が完了した後にプリペイド設定通知を送信する。
【0072】
切替部16はカード番号に対応する支払手段をクレジットからプリペイドに切り替える。切替部16は、カード番号に対応するデータベース20内のカード情報を更新することで、カード番号に対応する支払手段をプリペイドに変更する。具体的には、切替部16は設定された利用限度額をプリペイド機能の利用限度額および残額の項目に書き込むと共に、種別フラグを「プリペイド」に変更する。
【0073】
次に、
図6を用いて、ID管理システム1の動作を説明するとともに本実施形態に係るID管理方法について説明する。
【0074】
まず、受付部11が、ユーザ(クレジットカードの保有者)からの切替申請に応じて申請情報を受け付ける(ステップS31,S32)。
【0075】
続いて、確認部12が金融機関サーバ40に問い合わせることでユーザの前払金の金額を確認する(ステップS33、確認ステップ)。続いて、設定部14が前払金に基づいてプリペイド機能の利用限度額を設定する(ステップS34、設定ステップ)。続いて、切替部16がデータベース20内のカード情報を更新することで、カード番号に対応する支払手段をクレジットからプリペイドに切り替える(ステップS35)。また、通知部15がプリペイド設定通知をユーザ端末Tuに送信する(ステップS36、通知ステップ)。
【0076】
以上説明したように、本実施形態においても、カード番号に対応する利用限度額がユーザの前払金以下の金額に設定され、その設定が為された旨のメッセージが申請者に通知される。したがって、その申請者は利用限度額の範囲内でカード番号を前払型支払手段として利用することができる。例えば、クレジット機能を停止させられたユーザも前払金を支払いさえすればそのカード番号を引き続き前払型支払手段として利用することができる。一方、その利用限度額はユーザの前払金により保証されるので、カード会社側のリスクを軽減することができる。
【0077】
ID管理装置10は、クレジット機能を停止しようとする際に(状況フラグを「利用不可」に更新しようとする際に)、クレジット機能が停止すること(カード番号が無効になること)とプリペイド機能への切替えが可能であることとを示すメッセージをユーザに通知してもよい。このような処理を実行する予告部をID管理装置10が備えることで、ユーザに前払金の支払いとプリペイド機能の設定とを促すことができる。
【0078】
次に、
図7を用いて、コンピュータを第1または第2実施形態に係るID管理装置10として機能させるためのID管理プログラムPについて説明する。
【0079】
ID管理プログラムPは、メインモジュールP10、受付モジュールP11、確認モジュールP12、割当モジュールP13、設定モジュールP14、通知モジュールP15、および切替モジュールP16を備える。
【0080】
メインモジュールP10は、カード番号の管理を統括的に制御する部分である。受付モジュールP11、確認モジュールP12、割当モジュールP13、設定モジュールP14、通知モジュールP15、および切替モジュールP16を実行することにより実現される機能はそれぞれ、上記の受付部11、確認部12、割当部13、設定部14、通知部15、および切替部16の機能と同様である。
【0081】
ID管理プログラムPは、例えば、CD−ROMやDVD−ROM、半導体メモリ等の有形の記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。また、ID管理プログラムは、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0082】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
一実施形態に係るID管理装置は確認部、設定部、および通知部を備える。確認部は、情報処理申請に関連付けて払い込まれた前払金額を確認する。設定部は、情報処理申請の申請者に対する与信限度額を上限とする範囲で当該申請者に対応するID情報に関連付けて既に発効している又は今後設定されるべき利用可能額を、確認部により確認された前払金額を上限とする金額に設定する。通知部は、設定部により設定された利用可能額が記憶部に反映された後に、申請者に対応するID情報に関連付けて利用可能額が設定されたことを示す設定メッセージを当該申請者に通知する。